【Unite Tokyo 2019】学生向けUnity教育の導入事例:立命館大学映像学部におけるゲーム制作数学事例

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September 26, 19

スライド概要

2019/9/25-6に開催されたUnite Tokyo 2019の講演スライドです。
石井 勇一(ユニティ・テクノロジーズ・ジャパン合同会社)
伊藤 周(おなかソフト)
奥出 成希(立命館大学 映像学部)
谷口 直嗣(Holoeyes株式会社 / 女子美術大学)

こんな人におすすめ
・教員、研修担当者など実際にUnityを教える機会のある方

受講者が得られる知見
・プログラミング教育の現状
・教育現場でのUnity活用事例
・Unityの教育方法

Unityのイベント資料はこちらから:
https://www.slideshare.net/UnityTechnologiesJapan/clipboards

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リアルタイム3Dコンテンツを制作・運用するための世界的にリードするプラットフォームである「Unity」の日本国内における販売、サポート、コミュニティ活動、研究開発、教育支援を行っています。ゲーム開発者からアーティスト、建築家、自動車デザイナー、映画製作者など、さまざまなクリエイターがUnityを使い想像力を発揮しています。

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関連スライド

各ページのテキスト
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立命館大学映像学部における ゲーム制作教学事例 立命館大学 映像学部 特別契約教授 奥出成希

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奥出 成希 (OKUDE Seiki) 立命館大学映像学部 特別契約教授 ゲーム制作ゼミ担当 京都コンピュータ学院(KCG) 講師 もともとはプログラマとして、ゲームボーイやスーパー ファミコンの時代からゲームを作っていました。 ビデオゲームで遊んで40年。 ブレイクアウト、サーカス、スペースインベーダーから。 3

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立命館大学映像学部における ゲーム制作教学事例 — 立命館大学 映像学部 ゲームゼミ(asobi-lab)紹介 — 学生作品紹介 — 授業での取り組み — ゲームゼミ教員が考える 「未来のゲーム像」 — EIZO JUNCTION x キャリアフェア告知 4

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立命館大学におけるゲーム 立命館大学ゲーム研究センター(RCGS) — ゲーム分野における日本で唯一の学術的機関 — ゲームアーカイブプロジェクト, RCGS Collection試作版 立命館ゲームウィーク 2019.8.5 – 2019.8.11 — IEEE SeGAH 2019, DIGRA 2019, Replaying Japan 2019 — 3つの国際学会が、RCGSの主催、共催で開催された。 5

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映像学部におけるゲーム — 文学部、法学部、産業社会学部、国際関係学部と同じ、 衣笠キャンパス(京都) — 制作に関して、映画やCGなどのリニア映像の部門と インタラクティブ映像の部門がある。 — ゲームはインタラクティブ映像に属する。 — 理系ではないが1回生からプログラミングを学習する。 — 一方で、実写映像撮影のためのカメラも扱う。 — 「映像」というジャンルで多岐にわたる学習を行う。 6

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ゲームゼミ(asobi-lab) — 「ゲームゼミ」と呼ばれているが、asobi-labと称して ゲームだけではなく「遊び」をメインとした制作を行うゼミである。 — 既存のゲームにとらわれないエンターテインメントを創出するこ とを掲げている。 — 複数教員による集団指導体制。

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教員の構成 — ゲームデザイン ・ 難易度 — ゲームシナリオ ・ ナラティブ — アート ・ 表現 — データ分析 ・ ネットワーク — プログラミング — ゲーム制作の技術は多岐にわたるため、 複数の専門分野の教員による指導体制を採る。 — サウンドの専門家も加わる予定。

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ゼミの方針 — 学生には常に複数のスキルについて、知識を広げるように指導。 — ゼミでの制作はチームで行うもよし、個人で制作するもよし。 — 制作物もデジタルゲームとは限らない。 — ゼミプロジェクトとしていくつかの既存プロジェクトがあり、 学生はそこにジョインすることもできる。 — 我々の目指す方向は「新しい遊び」の追求。

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ゼミ卒業後 — 就職はゲーム業界だけとは限らない。 — もちろんゲーム業界にも多数就職している。 — 業種は何にせよ、ゲーム制作を通して経験した、 ゲームプレイヤーをもてなす精神をスキルとして、その後の人生 に活かしてほしい。 — 大学院へ進学。

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ゼミ作品紹介 — 回遊 — 難易度シンセサイザー — ぶんまわしヒーロー — Man Power Elevator — 立命館ゲームウィークでの展示 11

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「回遊」 — Unity + Arduino — 大学院生の研究プロジェクト — 京都デジタルアミューズメントアワード受賞作品 — 多数のプレイヤーの入力をリアルタイムに統合して1つのゲーム を遊ぶ。 — 専用のゲームではなく、市販のゲームソフトに対応可能。 — 30人でギャラガをプレイするといったことが可能なミドルウェア。 — 内部的には数フレームずつ、入力受付できるコントローラーを切 り替えている。

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大学院生の研究制プロジェクト 京都アミューズメントアワード受賞作品

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多数のコントローラーの入力を1つに統合して、 1つのゲームを全員で楽しむためのミドルウェア

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立命館ゲームウィークでは、30人でギャラガを遊ぶという 展示を行った。

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立命館ゲームウィークでは、30人でギャラガを遊ぶという 展示を行った。

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「難易度シンセサイザー」 — Unity + Arduino — 教員主導の学生混成プロジェクト — ゲームの難易度を調整する装置とシューティングゲーム。 — 自動で動くプレイヤーをもてなす。 — ゲーム制作におけるバランス調整を体験できる装置。 — ゲームバランス調整の難しさを改めて知る。

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スライダーを操作してゲームの難易度を調節する。 ゲームの腕前の違う2人を同時に満足させる調整をめざす。

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スライダーを操作してゲームの難易度を調節する。 ゲームの腕前の違う2人を同時に満足させる調整をめざす。

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BitSummitでの展示風景

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「ぶんまわしヒーロー」 — Unityで制作 — 学部生卒業制作 — Steamで無料配信中 — Nintendo Switchでも動作(未公開) — 質的にも量的にも商用レベルにどれだけ迫れるのかにチャレン ジした。

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卒業制作作品として制作された。 見下ろし型アクションゲーム。

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卒業制作展での展示の様子

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卒業制作展での展示の様子

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TOKYO GAME SHOW 2018での展示の様子 制作メンバーの2人

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「Man Power Elevator」 — Unity + Arduino — デパートのエレベーターを操作して、お客さんを目的のフロアへ 輸送するゲーム — アナログゲームとデジタルゲーム それぞれの利点と弱点を相互に補完する — 直感的コントローラー

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エレベーターの箱を紐で引き上げる。 目的のフロアで停止して乗客の乗り降り。

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直感的コントローラーで、 多くの説明をしなくても楽しめるゲーム

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立命館ゲームウィークでの展示 学部3回生のゼミプロジェクト — 学会に来られた研究者の方々をもてなす展示 — 「ゲームがもたらす新たな団欒」がテーマ。 — オリジナルの入力デバイスと、そのデバイスを活用したゲーム体 験を創る。 — Unityとマイコン+センサーで制作 — Arduino / M5Stackなどのマイコンで加速センサ、引っ張りセン サ、マイク、圧力センサなどを制御。 — Unityとシリアル通信で連携する。

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ひっぱりセンサーで画面上の風船の上昇速度を コントロールするゲーム

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加速センサーのついたベルトを装着して、 2人で踊ることで協力して進行するゲーム

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作品ではないが、卒業作品展の会場レイアウトをUnityで 立体的に作成し展示作品の位置決め、来場者の動線などの 確認に使用した。

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授業での取り組み:学部 Unityの基本操作 — 3Dモデル取り込み、コンポーネント、プレハブ、 PostProcess、パーティクルシステムなどの演出 プログラミング基礎 — 1回生からプログラミングをやっているとはいえ苦手意識を持つ 学生は多い。なるべく簡易なプログラムを参考に、時にはコピペ のみで進める。

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授業での取り組み:学部 ステージデザイン — ProBuilderなどをつかってスタートからゴールまでの ゲームステージを作る。 チーム制作 — チーム制作実習授業では、学生個人の得意とするスキルを活か してチームに貢献する。いくつかの雛形プロジェクトを参考に、企 画から実装、完成までの一通りを実習する。 チーム運営、チームのメンバーとして各自の役割をこなす。

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授業での取り組み:大学院 — Androidタブレットのセンサーを使った制作の講座 — GPS、ジャイロ、カメラ、コンパスなどの情報を使い、 アプリケーションを作成する。 — Unityでゲームとして仕上げる。

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ゲームゼミ教員が考える「未来のゲーム像」 — 「あそび」への原点回帰 — 現実の観察からゲームや遊びのアイデアを見出す。 — 「あそびのデザイン講座」の前段階レベル、 なにをゲームにするのか? — 現実の遊びをそのままゲームにするのではなく、 遊びの面白さの本質部分を見る。

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ゲームゼミ教員が考える「未来のゲーム像」 — ゲームからゲームの再生産をみなおしたい — 技術的制限をアイデアと抽象化によってこなしてきた。そこで生 み出された「お約束」が、その理由を失って受け継がれてしまい、 ゲームとはこういうものだと常識化されてしまう。 — その常識を一度疑ってみる。 — 十字キーとボタンは素晴らしい発明で、いろいろな「あそび」を再 現することができたが、逆にゲームの限界を決めてしまう。 — 入力装置も含めたゲームの企画。

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ゲームゼミ教員が考える「未来のゲーム像」 — 記録と保存、そのアーカイブからの学び — 過去にどんなゲームがあったのかを学生は意外と知らず、 積極的に調べない傾向。 — 立命館ゲーム研究センターではゲームの保存活動も行っている。 — ゲームはその性質上、実行するプラットフォーム、入力装置、 出力装置込みで保存することが理想的。 — 過去のゲームを正しく参照して利用することが必要。

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**ここからは奥出個人の感想です**

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Unityみたいないいツールあるんだから — 学生作品で陥りやすいのは既存作品の劣化コピー — 技術のトレースはもちろん大事 — でもどう頑張ったってプロには勝てないよ — 学生のうちは商品として世に出そうにない尖った作品を作ろう

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Unityみたいないいツールあるんだから — もっと自由にゲームを作ろう — 雑でもいいから作る体験をたくさん積もう — 不謹慎ゲームも作りようでジャーナリズム

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Unityみたいないいツールあるんだから — 頭でっかちにならず — 制作の技術に縛られすぎないで、気楽に作ろう — チームの人間関係?企業で予算があって商品作っているわけじゃ ないから、自由に抜けたり入ったりでいいじゃない — 企画意図?世界観?シナリオ? それより先に「このゲームはこんなたのしい遊びができるんだ」を 言えるようになろう

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EIZO JUNCTION×キャリアフェア(ジャンキャリ) — 映像業界の方をお呼びして講演をしていただく 『仕事人研究企画』 — 映像学部生の作品や研究を発表して来場者に講評してもらう 『映像学部発信企画』 — 出展者・来場者の方々と立食形式で交流する 『懇親会』 — 2019年10月19日(土)10:15~17:40(予定) — 場所:立命館大学 衣笠キャンパス 充光館

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ご質問、ご相談などはこちらまで。 Twitter : @sokude Facebook : sokude / 奥出成希 Email : sokude@fc.ritsumei.ac.jp 45