SAMURAI JACK開発事例:海外むけアクションゲームをオーソドックスに作ってみた 【UNREAL FEST EXTREME 2021 SUMMER】

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May 27, 21

スライド概要

動画アーカイブ:
https://www.youtube.com/watch?v=TkMv8MZJIHw

講演内容:
SAMURAI JACK: BATTLE THROUGH TIMEはアメリカのテレビアニメのゲーム化です。比較的小規模少人数のタイトルだったため、UE4の機能をなるべくそのまま使用してオーソドックスに開発をしました。開発事例をグラフィック、エンジン対応、プラットフォーム、パフォーマンス、AIなどを広く浅くお話したいと思います。

講演者:
田中 達大 (ソレイユ株式会社 シニアソフトウェアエンジニア)
上野 能弘 (株式会社ブラストエッジゲームズ CTO)
松田 理孝 (株式会社ブラストエッジゲームズ リードエンジニア)

UNREAL FEST EXTREME 2021 SUMMER公式サイト配信ページ:
https://unrealengine.jp/unrealfest/timetable/game-soleil.html

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Unreal Engineを開発・提供しているエピック ゲームズ ジャパンによる公式アカウントです。 勉強会や配信などで行った講演資料を公開しています。 公式サイトはこちら https://www.unrealengine.com/ja/

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関連スライド

各ページのテキスト
1.

SAMURAI JACK 開発事例: 海外むけアクションゲー ムを オーソドックスに作ってみた ソレイユ株式会社 シニアソフトウェアエンジニア 田中達大 SAMURAI JACK: BATTLE THROUGH TIME software © 2021 Cartoon Network, Adult Swim, the logo, Samurai Jack and all related characters elements are trademarks of and © Cartoon Network, a WarnerMedia company. All Rights Reserved.

2.

はじめに

3.

はじめに 2020年に発売されたゲーム SAMURAI JACK: BATTLE THROUGH TIME の制作事例についてお話します。 前半はソレイユ株式会社 田中が開発全体について。 後半はキャラクター、AIなどを担当したブラストエッジゲーム ズの上野、松田がお話します。

4.

前半のアジェンダ このスライドのアジェンダ

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前半のアジェンダ • • • • • • • • 自己紹介、会社紹介 SAMURAI JACKとは 開発方針 UE4エンジン改造総ざらい グラフィックスについて ライティングシナリオ運用 最適化ポイント その他小ネタ集

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自己紹介、会社紹介

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自己紹介・田中達大 • ソレイユ株式会社シニアソフトウェアエンジニア • 主にUE4プロジェクトのグラフィックス関連、技術サポート をやってます。 • ゲーム業界歴30年以上の年寄り • エンジン改造大好き • SAMURAI JACKでは技術・プログラムのディレクションを担 当、プラットフォーム対応、最適化なども。

8.

会社紹介・ソレイユ株式会社 • リリースタイトル • NARUTO TO BORUTO シノビストライカー • NINJARA • SAMURAI JACK: BATTLE THROUGH TIME • 現在も複数プロジェクト開発進行中 アクションゲームを得意とするゲームデベロッパー UE4がメインだけど他のエンジンもやるよ。 新卒採用もあるのでウェブサイトを御覧ください。 https://soleilgamestudios.com/jp/

9.

SAMURAI JACKとは 正式名称:SAMURAI JACK: BATTLE THROUGH TIME 国内タイトル:サムライジャック 時空の戦い(DMM様から販売)

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SAMURAI JACKって? 主に海外で放映されていた人気アニメ。 日本でもカートゥーンネットワークで放映されていた。 サムライというだけあって、一応ジャックは日本人らしい。 実は日本要素はあまりない。 シーズン4まで放映されてしばらく未完だったが、2017年に シーズン5が放映されて完結した。 • 欧米ではけっこう人気。 • 最近カートゥーンネットワークでリマスターで再放送された。 • • • • •

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SAMURAI JACK BATTLE THORUGH TIMEって? そんなSAMURAI JACKのアニメを原作に制作 されたアクションゲームが SAMURAI JACK BATTLE THROUGH TIME です。シーズン5をベースに各シーズンの主な エピソードをモチーフに構成されています。 主人公のジャックを操り、多彩な武器を駆使し て冒険を進める内容となっています。

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開発方針 どんな方針や考え方で開発されたか

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開発方針 • • • • • • 原作アニメファンを大事に、楽しんでもらえるように。 原作を踏襲したストーリー。 広い層をターゲットにしつつも手応えのあるアクション。 オーソドックスなTPSアクション。 UE4を使って効率よく開発したい。 どのプラットフォームでも同じ体験を

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開発方針 • 原作アニメファンを大事に、楽しんでもらえるように • 原作を踏襲したストーリー AdultSwim社の厳しい監修がありました。シナリオはアニメ 版のシナリオライターが作成。原作者のゲンディ・タルタコフ スキー氏からも数々のフィードバックを頂きました。 個人的にも原作アニメファンが喜んでもらえるストーリーに 仕上がっていてると思っています。

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開発方針 • 広い層をターゲットにしつつも手応えのあるアクション • オーソドックスなTPSアクション この点は弊社アクションチーム、アニメーションチームであ る元NINJA GAIDEN開発チームのノウハウが活かされた。 実際の制作には多くの開発会社様による協力がありました。

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開発方針 • UE4を使って効率よく開発したい • どのプラットフォームでも同じ体験を UE4さまさまです。特にマルチプラットフォーム開発の容易 さは本当に助かりました。 カットシーンは外部の会社をメインに作成してもらいました が、UE4に慣れていない会社も比較的短期間で良いカットシー ンを作成してくれました。Sequencer大活躍。

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開発環境 UE4 4.22.3(スタート時は4.20) Visual Studio 2017 対応プラットフォームはWin64/PS4/XBOX ONE/Switch 後にiOS(Apple Arcade)も追加された。iOS版はスペインの会 社が担当 • バージョン管理はPerforce、CIはTeamcity • プログラマーは10名程度(のべトータルで20名くらい) • • • •

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UE4エンジン改造総ざらい 実はそんなに改造してないですが

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UE4のエンジン改造 • 弊社タイトル(というか僕が手掛けたプロジェクト)では最 もエンジン改造が少ないかも。(NINJARAは別チームなので 除外) • とはいえ必要なエンジン改造はためらわないポリシー。 • 最近のUE4のアップデートマージは昔ほど問題が起きない。 エンジンアップデート時のマージは1、2日で完了していた。 • 以前ほどエンジンのコア部分が大きく変わることが無くなっ たのが大きい。(メモリ管理、ローディングなど)

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UE4の改造 • Static Meshの使用していないUVセットを削除する ムダなUVセットを持つアセットが地味にGPU負荷になる場合 があったので。 • マテリアルのシェーディングモデルを追加 一部キャラにアウトラインを描画するため。(後述) • AnimNotifyのインポート アニメーションを入れ替えたときのAnimNotifyの再設定用 • ローカライズのデフォルト言語を強制設定する 対応言語以外ならデフォルト言語に強制設定

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UE4の改造 • Windowsのフルスクリーン挙動の修正 タイトルバーなどが無いボーダレスWindowモード追加 Ctl-Enterでのフルスクリーン切り替えの抑止など • ゲーム画面をRender Targetにキャプチャする機能 画面をキャプチャしたものを使用する演出用。ゲーム画面だけのものと、 UMGごとキャプチャするものを作成 • LandscapeのDynamic Shadowを描画しない設定 最適化の項目で後述

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UE4の改造 • アスペクト比が違うディスプレイのレターボックス対応 レターボックス化でUMGの位置がずれる問題などの対応 • エンジンの不具合対応 Hotfixの適用や、細かいクラッシュ対応など • プラットフォームごとの規約対応 けっこう細々とありましたがプラットフォームの詳細は非公開なので、 詳しくは語りません。コントローラーの抜き差しとかユーザー交代とか そういう類。

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UE4の改造まとめ • 全くエンジンに手を入れないのは難しい。不具合修正やプラ ットフォーム対応などはどうしても必要に。 • 変更箇所にしっかり検索できるようなコメントを入れておく ことが大事。 • 改造しなくても出来る方法をなるべく考える。 • 無いと思ってた機能もよく調べるとすでにエンジンに実装さ れていることもある。 • 継承したいクラスにENGINE_APIなどのマクロが付いてない、 privateメンバーにアクセスしたいのでGetterを追加なども

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グラフィックスについて

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グラフィックス • UE4のライティング・マテリアルシステムをほぼそのまま使 用。 • セルシェーディングでもPBRでも無い • キャラの肌はサブサーフェス • 一部だけアウトライン • 雰囲気づくりはVolumetric Fogとアニメをベースにした独特 の色遣いで

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アウトライン 局所的にどうしてもアウトラインが欲しかった。 • ジャックの鼻筋 • ジャックの顔と首の間 • 指の間 鼻筋はメッシュを配置してカメラ方向で左右切り替え描画 それ以外は専用のアウトラインを実装。ポストプロセスで生成。

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ジャックの鼻筋 鼻筋用のメッシュを配置。顔の向きで左右の表示を制御 カットシーンなどで正面を向いているときは左右どちらかに固 定した。 © & ™ Cartoon Network, Adult Swim 2021 © & ™ Cartoon Network, Adult Swim 2021

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アウトライン メッシュの頂点カラーにアウトラインの差分情報を格納。 GBufferのスペキュラに情報を出力。キャラクターシェーダーの スペキュラは内部で0.5に固定してGBuffer情報を使用しないよ うにした。 ポストプロセスでスペキュラ値(アウトライン用のパラメータ ー)を参照してアウトライン生成 地味だけどこだわりポイントだった

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アウトラインあり © & ™ Cartoon Network, Adult Swim 2021

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アウトラインなし © & ™ Cartoon Network, Adult Swim 2021

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アウトライン わかりにくい違いですが。 キャラクターデザインとして大事だったようです。

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ライティングシナリオ運用

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ライティングシナリオの切り替え • ステージ内でライティングが大きく変更になる場合に使用 • 屋外から屋内など、同じパーシスタントレベル内でライティ ング環境は複数というシチュエーションに対応したかった • サブレベルが複数のライティング環境を持つというパターン は無かった。同じサブレベルだが、昼と夜みたいなパターン。 • レベルの途中でライティング変化する場合に使用。 • ただし、少々イレギュラー。UE4は動的にライティングシナ リオを変更することを考慮していないかも?

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ライティングシナリオの切り替え 通常はライトマップはサブレベルごとに、Volumetric Lightmapはパーシスタントレベルに生成される。 ライティングシナリオ設定のサブレベルでライトビルドを行 うと、ライトマップ、Volumetric Lightmap共にライティング シナリオ設定のサブレベルに生成される。 ライティングシナリオ設定のサブレベルと、それに影響され るサブレベルを切り替えてしまおうという算段。 とは言えシームレスにライティングシナリオの切り替えはで きない。

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ライティングシナリオの切り替え • 具体例1 最初のステージの前半の鉱山と後半の沼地 色味の違いがわかりやすいように、Volumetric Lightmapを可 視化して、白いスフィアを置きました。 © & ™ Cartoon Network, Adult Swim 2021 © & ™ Cartoon Network, Adult Swim 2021

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ライティングシナリオの切り替え • 具体例2 砂漠と宇宙船の中 © & ™ Cartoon Network, Adult Swim 2021 © & ™ Cartoon Network, Adult Swim 2021

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ライティングシナリオの切り替え ライトビルドの手順 • ライティングシナリオとそのシナリオでライティングされる サブレベルだけ表示状態にする。 • その状態でライトビルドを実行する • Volumetric Lightmapがライティングシナリオレベルに作成 される。 • そのレベルのライティングシナリオの数だけ上記を実行。 • 実際には表示レベルを切り替えるヘルパーアクターを用意し た。

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ライティングシナリオの切り替え 注意点 • 切り替えは一瞬で行われるわけではないので、切り替え中は フェードしておく • レベルの読み込み順番によってはうまく切り替わらなかった りクラッシュすることがあった • フェードアウト→現在のライティングシナリオ関連サブレベ ルをUnload→新しいライティングシナリオ関連サブレベルを Load→表示状態になったらフェードイン

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ライティングシナリオのライトビルド

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サブレベルの表示管理 • チェックポイント式のゲームなので、チェックポイントごと に必要なサブレベルのリストを持ち、チェックポイント通過 で前後のチェックポイントに必要なサブレベルをロード、不 要なサブレベルをアンロード • ライティングシナリオの切り替えやプリロードはトリガーで • Level Streaming Volumeは使用せずにすべて手動コントロ ール • あまり前に戻ったりせず分岐が少ないゲームなので手動の方 が細かいコントロールができてよかった。

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UIについて UIの方針 • アウトゲームUIはアニメのイメージをスタイリュッシュに • インゲームUIは最低限、なるべく表示しない。 という方針でした。当初はジャックのHPゲージも無く、だんだ ん服が破れて髪が乱れることでHP減少を表現していました。 しかし、やはりHPの残りがわかりにくいという意見が多く、HP ゲージを表示することに。 敵のHPもターゲットした対象だけ表示することに。

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UIについて 最近の海外ゲームはUIがシンプルな傾向にあります。 これは描画負荷から見ても、開発工数から見ても有利なので UIは極力少なくし、どうしても必要なものを足す方針でした HPゲージ以外にも、レーダーを実装しなかったので、目的地 がわかりにくいという指摘がありました。 そこでレーダーは表示しないが、ボタンを押すとカメラが目 的地の方を向くという機能を入れました。単純に、各エリアご とに目的地マーカーを設定しておき、その方向を向くだけです が、迷わなくなりました。

43.

ローカライズ ローカライズに関してはUE4のローカリゼーションダッシュ ボードを使用した正攻法でチャレンジしました。 これに関してはLocalization Deep Diveで弊社郷津が講演し た内容を御覧ください。この時点では未発表のタイトルだった ので、具体的なタイトル名には言及していませんが、サムライ ジャックのローカライズに関しての内容でした。 UE4:Localization Deep Dive 最新UE4タイトルでのローカライズ事例

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ローカライズ 実のところ、ローカリゼーションダッシュボードはUE4エデ ィタのローカライズ用に作られたものかなと思うので、ゲーム クライアントのローカライズはアセットローカリゼーションで 切り替える方が良かったかなと思っています。 ソースコード内のテキストもローカライズしたい場合にはロ ーカリゼーションダッシュボードが便利だとは思います。 どちらかだけでなく組み合わせての運用もありかもしれない ですね。

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最適化ポイント

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最適化ポイント • なるべく60fps出したかった。一部プラットフォームは30fps • Dynamic Resolutionは使用しているが、なるべく高めの解像 度を保ちたかった。 • 敵が大量に出るゲームでは無いし、樹木、草が大量に出るゲ ームでは無いのでそこまで苦労しない・・・と思ったことも ありました。 • ステージによっては草や樹木が多く出てきて結局苦労した。

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最適化ポイント 割と当たり前のことをやりました。 • ProfileGPU,ProfileCPUでざっと計測 • あたりをつけて修正して再計測 • 気になるところはプラットフォームのプロファイラで計測 とにかく計測すること。勘で「ここが重いんだろうな」と思っ たところに手を入れてもムダに終わることが多い。先入観は危 険。 プラットフォームのプロファイラは優秀。ボトルネックを分析 しやすい。

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最適化ポイント グラフィックスで問題になったもの • Foliage • ライトの数 • シャドウ • アクター数 • Volumetric Fog わりとあたりまえのことをやってます。

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最適化ポイント(Foliage) Foliageが重たい理由は • 数を出したい • マテリアルがMaskedになる場合が多い • 遠くまで表示されると頂点が密集しがち など。 特にMaskedなマテリアルを大量に描画するのはけっこうな負荷 になる。なるべく遠くまでは表示しない、数を出さなくても見 栄えがするように工夫する。

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最適化ポイント(ライト) ライトのポイントは • なるべくStaticにする。キャラクタを照らすもの、動的な影を つくりたいものだけStationary • オーバーラップに注意。なるべく2つまで。特にシャドウを 生成するライトのオーバーラップには注意する • 距離設定をきちんとして距離で無効化。画角内に遠方のライ トがたくさん入っていたりすると負荷が高い。 • ポイントライト、スポットライトの範囲を極力切り詰める • エフェクトのライトには注意

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最適化ポイント(シャドウ) • 動的なシャドウを極力減らす。とはいえ、キャラに落ちる影 は作りたい。動的シャドウを作るメッシュを厳選 • ポイントライトでシャドウをつくらない • Landscapeの動的シャドウを切った。地形で影を作る必要が ある場合はStatic Meshで作る。 • Inset Shadowsの設定に注意。

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最適化ポイント(アクター数) 一度に描画するアクターを減らすと当然負荷は下がる • サブレベルを細かくわけて必要なレベルだけ表示する • CullDistanceVolumeを細かく設定 • マージである程度まとめる(まとめすぎに注意) 遠くの方まで見えすぎないようにレベルデザインにも配慮。

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最適化ポイント(Volumetric Fog) Volumetric Fogはかなり多用したが、やはり重い。特にコンソ ールゲーム機。 3Dテクスチャの解像度で軽減可能。コンソールごと、ステージ ごとに細かく設定。 r.VolumetricFog.GridSizeZ r.VolumetricFog.GridPixelSize などがパフォーマンスへの影響が大きい。 荒くするとマッハバンドが目立ったりするので注意深く設定。

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最適化ポイント(エフェクト) • エフェクトでライトを発生させる場合は慎重に • 複数発生しないように注意。BPで制御した方が良い場合も • ポイントライトの範囲が大きくならないように注意 • Cast Shadowは極力禁止 • メッシュパーティクルは頂点数少なめに。できればLODも作 る。細かくて頂点数が多いものがたくさんでると激重になり やすい。 実際、エフェクトのライトが負荷になるケースが多かった。エ フェクトは常時出てるわけではないので追っかけにくい。

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最適化ポイント(ポストプロセスマテリアル) ポストプロセスマテリアルは仕様が固まったらカスタムノード でコードで書き直すと速くなることがあります。 Dynamic Brunchで必要なピクセルだけ重い処理を行う、変数 スコープの最適化、計算の最適化など。 シノビストライカーでは倍くらい速くなった。

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最適化設定アクター サブレベルに最適化パラメーター設定用のアクターを配置して、 BeginPlayで設定を実行するようにしていました。 各種のお決まりパラメーター以外はコンソールコマンドを設定 しておく仕様。 ターゲットのプラットフォームごとに違うパラメーターを設定 できるようにしていました。

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最適化ポイント(CPU) 敵が同時に多数Spawnするとヒッチの原因になりがち。時間差 でSpawnさせ1フレームで多数Spawnしないように。 コリジョン判定は問題になりがち。ステージギミックで回転し ているものなどは近くに行くまで止めておく。あるいはコリジ ョンを無効にしておく。複数のコリジョンで構成されたものが 回転していたりすると無視できない負荷になる。

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その他小ネタ集

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オクルージョンカリング ダンジョン内でカメラが大きく動くと気になるアーティファク トが出る。 オクルージョンカリングが間に合わず、描画が抜けて一番外側 の明るい天球が一瞬見えてしまうのが原因でした。

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© & ™ Cartoon Network, Adult Swim 2021

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オクルージョンカリング 一瞬とは言え、けっこう気になります。 対処法として有効だったのは、外を暗くするでした。 外が暗ければほとんど気になりません。 メッシュのバウンドを調整したり、オクルージョンカリングの パラメーターを調整したりという正攻法もあるのですが、非常 に手間がかかるのと、パフォーマンス低下につながるので。 ということでダンジョンに入ったところで天球を非表示にして 外を真っ暗にすることで対応しました。

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Destructible Mesh 壊れ物はDestructible Meshで作成。しかし細かく分割すると描 画がとても重いので、壊れるまではStatic Meshで配置して壊れ た瞬間置き換える。 とにかく頂点数の多いメッシュが遠くに描画されると頂点が密 集して負荷が激増します。 ワイヤフレーム描画で真っ白にならないように注意。

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ワープポータル ワープ先にSceneCaptureComponentを配置して RenderTargetに描画。メインのカメラ位置でCapture側のカメ ラ位置を動かして覗き込んでいるように見せた。 当然描画が重くなるので戦闘中は出ないようにレベルデザイン で対応。

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ワープポータル © & ™ Cartoon Network, Adult Swim 2021

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画面分割演出 原作アニメで多用されている演出なのでどこかに使いたかった。 ゲーム画面をキャプチャしたものを演出用のポストプロセスで 画面に重ねることで実現しています。 実際の様子は講演動画を御覧ください

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画面分割演出 タイミングはシーケンサーで行っています。 • 専用ポストプロセスで画面全体をマスク • 上部のマスクを解除しながらシーン再生 • 画面をキャプチャして上部のマスク部分に貼り付け • カメラを変更して、下部のマスク解除しながらシーン再生 という流れ。 この数秒がまあまあな手間でした。

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ポストプロセスマテリアル エフェクト系、アウトラインのポストプロセスマテリアルをい くつか使用していますが、ポストプロセスボリュームではなく、 プレイヤーBPにPostprocessComponentで持たせています。 レベルにいちいちPostprocessVolumeを配置する必要が無く、 BPから制御もしやすくて便利。 レベルに紐づくマテリアルなのか、プレイヤーに紐づくマテリ アルなのかで切り分けるのが良さそうです。

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マルチプラットフォーム PC(Epic Game Store/Steam),PS4,XBOX ONE,Switch,iOS プラットフォームごとに特殊な対応はあまり必要なかった(iOS 除く) iOS移植はスペインのデベロッパーが行った。 基本的にはUE4の機能でプラットフォームごとの設定で調整。 Dynamic Resolutionの解像度設定、テクスチャサイズ、 minLodなど。Iniファイルでの設定とゲーム中にBPから随時設 定。

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資料チラみせ © & ™ Cartoon Network, Adult Swim 2021 © & ™ Cartoon Network, Adult Swim 2021

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まとめ

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まとめ ありがたいことに、SAMURAI JACK: BATTLE THROUGH TIMEは高評価を頂いています。2年弱の比較的短めの開発期間 で結果は出せたと感じています。 UE4はマルチプラットフォームでのゲーム制作に適してると改 めて思いました。 iOS版ももちろんUE4です。コンソールと遜色のない素晴らしい 移植です。

72.

まとめ SAMURAI JACKの完成には多くの会社の協力がありました。 関係各社のみなさまに、改めて感謝の意を伝えたいと思います。 ありがとうございました。 できれば実際にプレイしてスタッフロールでどんな会社が関わ ったのか確認していただければ幸いです。 ざっと数えてみましたが、25社、350名くらいの方の協力があ りました。

73.

ブラストエッジゲームズ パート 後半はブラストエッジゲームズより、組行動、敵の実装について ご紹介させていただきます。

74.

会社紹介・ブラストエッジゲームズ • コンソール開発経験が豊富なメンバーで構成され、ハイクオ リティなタイトルを制作することを目的に設立されたゲーム スタジオです • 新宿御苑前のオフィスでスタッフは38名 • UE4は本タイトルで初経験 • 現在もUE4での開発をしており、今後もUE4を軸とした開発 を進めていく予定となります • UE4でのゲーム開発をしたいスタッフを鋭意募集中です! https://www.blastedge-games.co.jp/

75.

自己紹介・上野能弘 • • • • • ブラストエッジゲームズCTO ゲーム業界歴20年 主にコンソールのネイティブ開発を経験してきました 最近は進行管理的な役回りが多めです SAMURAI JACKでもエンジニアの進行管理と、細かい部分の 実装やサポートがメインでした

76.

SAMURAI JACKでの組行動の 実装

77.

はじめに SAMURAI JACK BATTLE THROUGH TIME(以降SJと表記)で 組行動をレベルシーケンスで実装したのでその事例を紹介しま す。

78.

目次 • • • • 組行動とは レベルシーケンスで組行動 やってみた感想 おまけ:トランスフォームの取り込み

79.

組行動とは • 所謂「投げ」と言われているもの全般です。SJでは組行動と 呼んでいました。 • 一般的に組行動への要求として、「演出したい、見せたい」 と、「極めてシーケンシャルである」があるので、レベルシ ーケンスとの相性が良いと判断し、SJではレベルシーケンス で実装しました。 ゲームによって多少それが指す範囲は変わると思います。

80.

レベルシーケンスで組行動 レベルシーケンスには様々場面で使えますが、組行動を表現す るのにも適しています。ネット上にもいくつか例が存在してい ると思います。

81.

レベルシーケンスで組行動 非常にありがたいスライド https://www.slideshare.net/EpicGamesJapan/gcc2019ue4 sequencer の p153~ が組行動の説明になっています。 こちらのスライドは他の部分も非常に参考になるのでおすすめ です。

82.

レベルシーケンスで組行動 先程のスライドとだいぶ内容は重複していますが、SJでレベル シーケンスを使って実装した内容を紹介します。

83.

レベルシーケンスで組行動 • レベルシーケンスを任意の場所で再生できるようにする • レベルシーケンスにそのレベルにいるアクターをバインドす る • トランスフォームトラックの制御 • プロジェクトに合わせた細かいこと

84.

レベルシーケンスで組行動 レベルシーケンスを任意の場所で再生できるようにする LevelSequenceActorのInstanceDataを変更し、基準となるア クターにアタッチする必要がありましたが、レベル上に配置し て変更するか、C++で頑張るかしかなく、BPでは変更できませ んでした。 ※4.23で変更可能になる予定だったようですが、SJは4.22での リリースでしたので把握しておりません。

85.
[beta]
レベルシーケンスで組行動
レベルシーケンスを任意の場所で再生できるようにする
• SJではC++で書き換えできるようにしました。
• LevelSequencrActorを継承したアクターにオリジン用アクタ
ーを設定する以下のような関数を追加しました。
void ASJ_LevelSequenceActor::SetTransformOriginActor(AActor* Actor)
{
UDefaultLevelSequenceInstanceData*
p = Cast<UDefaultLevelSequenceInstanceData>(DefaultInstanceData);
if(p)
{
bOverrideInstanceData = Actor != nullptr;
p->TransformOriginActor = Actor;
}
}

86.

レベルシーケンスで組行動 レベルシーケンスを任意の場所で再生できるようにする BPだけで対処するなら、煩雑ですが、各レベルに OverrideInstanceDataにチェックを入れた LevelSequenceActorと、それのTransformOriginActorが指す アクターを置いておくのが良いと思います

87.

レベルシーケンスで組行動 レベルシーケンスにそのレベルにいるアクターをバインドする • 特定のレベルの特定のアクターを操作しているシーケンスで 任意のアクターを操作するための処理です。 • AddBindingノードを使ってゲーム中のアクターをシーケンス の操作対象とバインドしてました。

88.

レベルシーケンスで組行動 レベルシーケンスにそのレベルにいるアクターをバインドする このノードに渡すための、シーケンス内のバインド先を取得す るノードGetSequenceBindingの引数が入力ピンでなかったた め、組行動の数だけ組行動起動処理を書いてました。今はタグ で指定できるみたいですね。 ワニロボットがジャックに 投げられるシーケンスの起 動部分。折りたたまれたノ ードの中に武器ごとの組行 動の起動がある。

89.

トランスフォームトラックの制御 必須というわけでは無いのですが非常に助けられたのでご紹介

90.

トランスフォームトラックの制御 • トランスフォームトラックとルートモーションを使い分ける • 細かな有効化設定

91.

トランスフォームトラックの制御 トランスフォームトラックとルートモーションを使い分ける トランスフォームトラックとルートモーションでの移動の特徴 は • トランスフォームトラックは 強力にキャラの位置を固定してくれる(環境を無視する)。 • ルートモーションは 地形などにぶつかって動いてくれる(環境に依存する)

92.

トランスフォームトラックの制御 トランスフォームトラックとルートモーションを使い分ける これらの特性からシーケンスの最初の方はトランスフォームで 制御し、後半はルートモーションで動かすと多少地形変化に対 応できるようになる。 そのためトランスフォームで動かす範囲とルートモーションで 動かす範囲は自由に調整したい。

93.

トランスフォームトラックの制御 トランスフォームトラックとルートモーションを使い分ける ということでデータを作るときは • アニメーションはルートモーション付きで作ってもらう • トランスフォームトラックにもすべて座標を入れてもらう としてもらえば • トランスフォームトラックの長さを変えることで自由にトラ ンスフォームの影響範囲を調整できる。 • トランスフォームトラックが有効なところでは、トランスフ ォームによる座標指定が強いのでルートモーションは無視さ れる。

94.

トランスフォームトラックの制御 トランスフォームトラックとルートモーションを使い分ける 実際のデータはこんな感じです

95.

トランスフォームトラックの制御 細かな有効化設定 • シーケンサはトラックごとに有効/無効ができます が、トランスフォームトラックはさらにチャンネル ごとに有効/無効ができます。 • 打撃系の組行動など縦方向に制御する必要がない場 合は、位置のZのチェックを外せば高さが固定され なくなります。 トランスフォームトラックのセ クションの中のキーに触らない 場所で右クリック(注意:トラン スフォームトラックが短すぎる とクリックできません)

96.

プロジェクトに合わせた細かいこと • • • • • • • • 関連キャラを止めてシーケンスに身を任せる OnStopディスパッチャで終了通知 ダメージを与えたり与えなかったりする仕組み 移動に補間を入れる 移動にSweepを入れる イベントでアニメーション再生 イベントで条件分岐 カメラの選択 etc...

97.

やってみた感想 良かったところ • レベルシーケンスは非常に自由度が高かった • アーティストにおまかせでできる部分が多い • ある程度はシーケンスエディタで確認できる • 組行動に関して、エンジニアリングコストがだいぶ省けたと 思います。

98.

やってみた感想 苦労したところ • プロジェクト中のシーケンサーの仕様変更が辛かったです • イベントがBP必須になったため、組行動用シーケンスを組め るアーティストが極端に減ったことです • そもそもアーティストがレベルシーケンスを使えないとこの 方法を取るメリットが減ります

99.

おまけ:トランスフォームトラックの設 定 • SJではトランスフォームトラックは外部のDCCツールで得た ものを取り込んでいました。 • ここではUE4.26で 「アニメーションルートからイン ポート」を使って、アニメーショ ンのルートノードのアニメーショ ンをトランスフォームに設定する 際に気がついた注意点を書こうと 思います。 これ

100.

おまけ:トランスフォームトラックの設 定 • モデルの基本姿勢は可能な限りルートノードの位置も回転も0 にする。 • 取り込んだトランスフォームトラックのブレンドモードはそ のままだと「Additive」です。 • シーケンス中、1キャラ1本のアニメーションで最初から最後 までまかなえていると楽。

101.

おまけ:トランスフォームトラックの設 定 モデルの基本姿勢は可能な限りルートノードの位置も回転も 0にする。 • 4.26の「アニメーションルートからインポート」は位 置も回転も0からの相対位置しかサポートしていません。 • このためアニメーションビュアーのルートモーションの 設定の「Root Motion Root Lock」を「Zero」に設定 して正常な姿勢にならないモーションは「アニメーショ ンルートからインポート」では現在は素直に取り込むこ とはできません。 • どうしても基本姿勢が直せない場合はエンジニアに対応 してもらうしか無いと思います。

102.

おまけ:トランスフォームトラックの設 定 取り込んだトランスフォームトラックのブレンドモードはその ままだと「Additive」です。 • 以前のUEではインポートしたセクションは「Absolute」でし た。そのうえで「ウェイト」のチャンネルが隠れていたので 罠になっていたと思います。 • 4.26では「Additive」なので見た目は解りやすいと思います。 • 「Additive」は他にトラックが無いと、シーケンス外での位 置に足す動作をするようです。 • 煩わしければ他のトラックを消して「Absolute」にしてしま うのが良いと思います。

103.

おまけ:トランスフォームトラックの設 定 シーケンス中、1キャラ1本のアニメーションで最初から最後ま でまかなえていると楽。 取り込んだトランスフォームは、必ず0フレーム目からになっ ているので、移動するのが煩わしい(ミスも出る)というだけです。 外部ツールでモーションを専用に作ってもらえる環境なら1本で 作った方が無難だと思います。

104.

敵の実装 松田理孝 株式会社ブラストエッジゲームズ リードエンジニア

105.

アジェンダ • • • • • 自己紹介 敵の実装方針について BehaviorTreeを中心にした敵単体の実装 敵のグループ行動の実装 まとめ

106.

自己紹介 • 松田理孝(マツダヨシタカ) • 株式会社ブラストエッジゲームズ リードエンジニア • 業界10年目 • ブラウザ、スマフォのゲーム開発を経てコンシューマへ • • RPGメインだったため、今回アクションを初めて担当 サーバ、クライアントの両刀 • 現在はUE4でモバイル案件のリードプログラマ • UE4でモバイル案件は初めて

107.

敵の実装方針について

108.

敵のコンセプト • アニメ原作のIPであり、ソレイユさんの新作である • ゲームの苦手な一部のアニメファンの方 • ソレイユさんのアクションゲームファンの方 • 両者に良さを届けなければいけない • 原作に近いチャンバラ感 • プレイヤーの動きが気持ちいいので、それに応えるようなAI • 時代劇の殺陣

109.

「チャンバラ感」の表現 距離の遠いやつは 素振りしたりして にぎやかし行動をする 一定数以上、 同時にプレイヤーを 攻撃しない 近くの敵は プレイヤーに 攻撃する プレイヤー © & ™ Cartoon Network, Adult Swim 2021

110.

「チャンバラ感」の表現 ボス扱いの敵 遠くから嫌がらせ 空中から嫌がらせ プレイヤー © & ™ Cartoon Network, Adult Swim 2021

111.

理不尽にならないように 嫌がらせの場合は まともに狙わない 遠距離でも 同時に撃たない プレイヤー © & ™ Cartoon Network, Adult Swim 2021

112.

戦闘が単調にならないように 地面に潜って 飛び出し攻撃する敵 デカールで 地面もぐりの表現 プレイヤー © & ™ Cartoon Network, Adult Swim 2021

113.

一方的にならないように プレイヤーがダウン中は 賢く待つ プレイヤー © & ™ Cartoon Network, Adult Swim 2021

114.

敵の実装方針について • プレイヤーと違い、AIで動く • AIController、BehaviorTreeを使用 • 難易度に応じた差別化が必要 • 敵の種類、数、AIなど… • 外からアクションプランナーが調整できるように • UE4を頼る、UE4にないものはしない • オーソドックスに作る

115.

BehaviorTreeを中心にした 敵単体の実装

116.

BehaviorTreeの使い方 • 共通のものは共通BehaviorTreeとする • • • • 移動、プレイヤーのほうを向く、間合いを取る 防御、回避行動 被ダメージ中 待ち行動 • カットシーン、プレイヤーの必殺技演出中など • 敵の固有の行動はサブツリーとする • ほぼ攻撃行動のため、攻撃中以外は共通行動が多い

117.

共通BehaviorTree

118.

共通BehaviorTree バトル中では ない部分 バトル中の部分

119.

共通BehaviorTree 敵ごとの個々の行動のほとんどは バトル中の攻撃行動の違いなので、 この下にサブツリーで繋げている

120.

敵の状態 • AI行動中の状態 • バトル中以外(パトロール中) • バトル中 • 上記の2つの切り替え中 • • 発見行動 撤退行動 • ライフサイクルの状態 • 登場前、登場、AI行動、倒された後

121.

AI行動中の状態 • パトロール中 • 登場してからはこの状態 • バトル中 • プレイヤーとエンカウントすると、この状態に移行 • 上記の2つの切り替え中 • 発見行動 • • 1人が発見したことを仲間に伝え、グループで攻撃状態に移る 撤退行動

122.

AI行動中のBehaviorTreeの管理 • キャラクターはBehaviorTreeに従う • TaskNodeの指示した通りに動く • BehaviorTreeはAIControllerに従う • AIControllerからBehaviorTreeを完全に制御する • AIControllerはBehaviorTreeの状態を完全に把握する

123.

AIControllerに従うことのメリット • 他部分のイベントの処理を一括で担うことができる • リアクティブにTaskNodeを切り替えることができる • BehaviorTreeのフロー制御と併用できる • TaskNodeが終わったら次のTaskNodeに入る部分はBehaviorTree • 特定のイベントが来た際に特定のTaskNodeに移動させる • BehaviorTreeに介入することを可能にする一つの方法

124.

AI行動中のイベント処理 普段は BehaviorTreeに沿った AI行動をする Player AnimNotify/ AnimNotifyState AIController SpawnPoint そのほか BehaviorTree

125.

AI行動中のイベント処理 Player AnimNotify/ AnimNotifyState AIController イベント発生 SpawnPoint そのほか BehaviorTree

126.

AI行動中のイベント処理 Player 実行中の TaskNodeを 取得 AnimNotify/ AnimNotifyState AIController イベント SpawnPoint そのほか BehaviorTree

127.

AI行動中のイベント処理 Player 実行中の TaskNodeを 取得 AnimNotify/ AnimNotifyState AIController イベント SpawnPoint そのほか 結果としてDecoratorを経て 狙ったTaskNodeに入る BehaviorTree パラメータを 設定して BehaviorTreeを Restart

128.

AI行動中のイベント処理 Player 実行中の TaskNodeを 取得 AnimNotify/ AnimNotifyState AIController イベント SpawnPoint そのほか 結果としてDecoratorを経て 狙ったTaskNodeに入る BehaviorTree パラメータを 設定して BehaviorTreeを Restart AEnemyCharactar

129.

実行中のTaskNodeの取得 UTaskNode* AMyAIController::GetCurrentTaskNode() { UBTNode* activeNode = behaviorTreeComponent->GetActiveNode(); FBehaviorTreeSearchData searchedData = FBehaviorTreeSearchData(*behaviorTreeComponent); UTaskNode* instancedNode = activeNode->GetNodeInstance(searchedData); return instancedNode; }

130.

TaskNodeの拡張 • TaskNodeから得たい情報 • 敵が今何をしているのか • • TaskにAttributeをいう「属性」を持たせる 攻撃中、ガード中、被ダメ中、遠くから嫌がらせ中… • 徹底してすべての状態をBehaviorTreeに持っていくことに • AIContollerは「自分がどういう状態か」という変数を持たない • BehaviorTreeが被ダメージ行動中なら被ダメージ状態 • • という形を他でも徹底する 共通BehaviorTreeがこのあたりの多くを吸収する

131.

独自CompositeNodeの作成 連続して同じ子ノードを選ばない。 間合いを 取り続けることはない

132.

独自CompositeNodeの作成 子を確率抽選 敵の行動が単調にならないかつ、 動きが読みやすくならないように。

133.

敵のグループ行動の実装

134.

敵の状態(再掲) • AI行動中の状態 • バトル中以外(パトロール中) • バトル中 • 上記の2つの切り替え中 • • 発見行動 撤退行動 • ライフサイクルの状態 • 登場前、登場、AI行動、倒された後

135.

ライフサイクルの状態 • EnemySpawnPoint • 敵の登場地点を示すActor • 難易度に応じてスポーンする敵情報を持つ • イベントを受け、敵をスポーン • TriggerBoxにプレイヤーが入った • 別のSpawnPointの敵が倒された • 後で解説します • スポーンした敵が倒された時の処理

136.

SpawnPointの配置

137.

Spawnの例 © & ™ Cartoon Network, Adult Swim 2021 プレイヤーが近づいたら 水の中から飛び出す 補充された子 © & ™ Cartoon Network, Adult Swim 2021 敵が倒されたらその分 後ろで補充する

138.

グループ行動 • SpawnPoint同士の紐づけ • 1ウェーブの敵を1グループとする • 前のウェーブが終われば起動する • 同時に出てくる敵の数 • 難易度ごとに変えられる • 攻撃権限の数 • プレイヤーに攻撃可能 • プレイヤーの近くでにぎやかし • より遠くでにぎやかし

139.

「チャンバラ感」の表現(再掲) 距離の遠いやつは 素振りしたりして にぎやかし行動をする 高難易度だと この子も攻撃をする 近くの敵は プレイヤーに 攻撃する プレイヤー © & ™ Cartoon Network, Adult Swim 2021

140.

「チャンバラ感」の実装 • フィールドに出ている敵に個々に行動権を与える • プレイヤーに攻撃していい敵は制限(1匹か2匹) • プレイヤーに近い敵から順に権利を付与 • 周りは当たらない攻撃や回避、防御をしてにぎやかしをする • 上記の行動権が変わったことをAIControllerに通知 • すべての敵が倒されたらイベントを発火 • ギミックが動く、宝箱が出る、カットシーンの再生…

141.

「チャンバラ感」の制御 敵固有の行動を サブツリーで設定

142.

「チャンバラ感」の制御 EnemyGroupManager 自分の管理する敵の行動権限を制御 AIController EnemyGroupManagerから言われたことと、 自身の状態を合わせてBehaviorTreeに伝える BehaviorTree AIControllerに指示された行動権限で思考する AEnemyCharacter フィールド上で動き回る

143.

まとめ

144.

良かった点 • チャンバラ感は良いレベルで達成できた • カジュアル層~ハードコア層まで • BehaviorTreeが素直に動いてくれた • Restart頻繁にして大丈夫かなとか思ったけど… • 後からきた追加要件にも共通部分で対応できた • カットシーン中に敵を止める、など • イベントを送って待つだけなので工数も安かった

145.

反省点 • 完全にBehaviorTreeのポテンシャルを引き出せなかった • 自分に完全なBehaviorTreeのノウハウがなかった • 特にServiceとBlackboardを活かしきれなかった • アニメIP特有の特殊な行動の敵は結局固有に • 倒したら分裂して増えるとか • 敵を生む敵とか

146.

BehaviorTreeは楽しい

147.

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