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March 11, 26
スライド概要
横浜DeNAベイスターズは世界一のスポーツチームとなるべく、日夜ビジネスを通じた価値のあり方を模索しています。そこで我々は、商品や飲食物を「欲しい時に」「最適な価格で」ユーザに届けることに着目し、それらに磨きをかけるべくアクションを推進しています。廃棄ロスや、受発注量の最適な予測、最適な値付けのあり方などの、我々が直面している課題に対するアプローチについてご紹介します。
DeNA が社会の技術向上に貢献するため、業務で得た知見を積極的に外部に発信する、DeNA 公式のアカウントです。DeNA エンジニアの登壇資料をお届けします。
AI×需要予測 横浜DeNAベイスターズが目指す世界一の購買体験 西脇 功裕/加藤 弘則
西脇 功裕 株式会社横浜DeNAベイスターズ 執行役員 興行事業本部 本部長 PHOTO 2019年、DeNAに新卒入社。 同年より横浜DeNAベイスターズへ出向。 チケット、経営企画、グッズ、ライブビューイングアリーナの立ち上げ、 新規事業、マーケティング戦略、ファンクラブ等の戦略策定に従事。 2026年1月から執行役員 興行事業本部 本部長を務める。
横浜DeNAベイスターズについて
興行事業 概況 ● 2025年も1試合平均観客動員数の過去最多を更新
興行事業 構造 ● 興行 / イベントを「観ていただき」「楽しんでいただく」ことで「好きになっていただ き」、結果として対価(未来への投資原資)をいただく構造
参考:未来への投資① ● 球団の誕生15年目を記念した『横浜DeNAベイスターズ 15th ANNIVERSARY』を スタートし、“こどもたちの未来と野球の未来を創る”ことを目指して、施策を実施中
参考:未来への投資② ● プロ野球だけでなくその他スポーツや音楽、飲食、グッズなどを通じて、関内の街に 熱狂と感動を提供する日本最大級のライブビューイングアリーナを3/19より運営
興行事業 構造 ● 「楽しむ」= 「観戦体験の向上」はムービング・ターゲット
「楽しむ」= 「観戦体験の向上」 ● 「観戦体験の向上」には守りと攻めの両立が必要 体験の伸長 (攻め) 体験の底上げ (守り)
直近の打ち手 ● 2025年はスタジアム体験の守りも攻めも果敢に挑戦 守り:スタジアム体験のベースアップ ❖ 観戦アプリ「STAR GUIDE」をリリース 攻め:スタジアムの熱量アップ ❖ 盛り上がりポイントの可視化をするべくスタジ アムにおける声援量を測定
AIにオールイン
AIの利活用に関する社内公募 ● ● スポーツ関連組織からアイデアを募集。条件は「AIでこんな事ができたらいいなを教え て下さい。AIでできるかわからなくてもOKです」 結果として、合計106件の起案 スクリーニング要件 106件 既存事業に対する案か? ✔ 事業化までの期間・蓋然性の観点から新規事業ではなく、比較的短期に検討推進 が可能である「既存事業の売上向上/価値向上」、「既存事業のコスト削減/業務 効率化」を優先として整理 63件 4件 2件 AI活用する意義があり、自社で新規開発すべき案か? ✔ 既存事業に対する案を4つのカテゴリに分類 ✔ その中から、AI活用の意義、自社開発の意義のある「自社で新規開発すべき、 かつ期待効果が明確」を優先検討対象として整理 残案の中でも、AI活用が早期に実現可能な案か? ✔ うち1つが本日の発表内容
グッズの発注高度化
加藤 弘則 株式会社ディー・エヌ・エー IT本部AI・データ戦略統括部 PHOTO 2016年、DeNA入社。アナリストとしてモバゲー等を掌管するプラッ トフォーム事業へ携わった後、オープンプラットフォーム統括部の副 部長と、IT本部AI・データ戦略統括部を兼任。 生成AI活用の推進活動、全社的なデータ活用戦略の構築などに加え、 現場のデータ活用で培った知見を全社的に展開する施策を推進中。
グッズの発注における課題 ● ● 現状は対戦カード、曜日、チケット販売状況、直近の売上から担当者が発注 複雑な判断が求められるため、担当者への属人化と欠品が場合によっては発生
グッズの発注における課題 ● ● 現状は対戦カード、曜日、チケット販売状況、直近の売上から担当者が発注 複雑な判断が求められるため、担当者への属人化と欠品が場合によっては発生 需要予測モデルの開発 による解決 ダイナミックオペレーション による解決
グッズの発注における課題 ● ● 現状は対戦カード、曜日、チケット販売状況、直近の売上から担当者が発注 複雑な判断が求められるため、担当者への属人化と欠品が場合によっては発生 需要予測モデルの開発 による解決 ダイナミックオペレーション による解決
取組みの全体概要 グッズの発注最適化を通じ、機会損失を防ぎ、データインフォームドを加速させる Before 個人のノウハウに寄った 発注と売切れ/余剰在庫の発生 PoC実施 理想状態 (本日の発表内容) ◻発注ノウハウのブラックボックス化 ◻受発注データが点在 ◻欠品機会損失のポテンシャルが不明 ◻余剰在庫の蓄積等 〜 〜
取組みの全体概要 グッズの発注最適化を通じ、機会損失を防ぎ、データインフォームドを加速させる Before 個人のノウハウに寄った 発注と売切れ/余剰在庫の発生 PoC実施 理想状態 需要予測モデルの開発 ◻発注ノウハウのブラックボックス化 ◻発注ノウハウの見える化 ◻受発注データが点在 ◻欠品機会損失のポテンシャルの集計 ◻欠品機会損失のポテンシャルが不明 ◻受発注データのクラウド化 ◻余剰在庫の蓄積等 ◻需要予測モデルの開発(PoC) 〜 〜
取組みの全体概要 グッズの発注最適化を通じ、機会損失を防ぎ、データインフォームドを加速させる Before 個人のノウハウに寄った 発注と売切れ/余剰在庫の発生 PoC実施 理想状態 個人のノウハウに閉じた 需要予測モデルの開発 ◻発注ノウハウのブラックボックス化 ◻発注ノウハウの見える化 ◻受発注データが点在 ◻欠品機会損失のポテンシャルの集計 ◻欠品機会損失のポテンシャルが不明 ◻受発注データのクラウド化 ◻余剰在庫の蓄積等 ◻需要予測モデルの開発(PoC) 発注業務の解消 ◻発注ノウハウの民主化を実現して、誰で も最適な数量を発注できる状態 〜 〜 ◻受発注データが整理されデータイン フォームドな意思決定が実現し、さらな る付加価値が生み出されている状態
まずは需要予測 プロジェクトの進行イメージ 優先度の確定に向けて グッズ ❖ グッズ業務フロー、データの持ち 方などを調査し優先度を決定 需要予測 1 ❖ ダイナミック オペレーション 2 ダイナミックオペレーション (プライシング等) ➢ 価格弾力性を把握するため の施策を実施したのち ※需要予測を先に実施することで得た示唆を ダイナミックオペレーションモデル開発へ生かす
PoC対象(グッズ)について 定番商品に絞った理由 定番商品 タオル、キャップ、ユニフォーム グッズ全体 季節/企画商品 ❖ PoCの対象は定番商品 ❖ 販売数量が大きく、発注数量の 確定に関するパラメータが小さ い
グッズ発注の具体的な業務フロー ● 発注業務は職人技 ❖ 過去の売上を確認 ➢ 商品ごとにデータ が点在 ❖ 向こうn日間の売上を予 測 ❖ 発注用スプレッドシートへ 発注量を記載
PoCの開発に向けた具体的なアクション ● 発注業務の民主化 ❖ 過去の売上を確認 ➢ 商品ごとにデータ が点在 売上データをBigQueryへ集約 ❖ 向こうn日間の売上を予 測 担当者へヒアリングし(複数回) 予測のためのパラメータを特定 ❖ 発注用スプレッドシートへ 発注量を記載 予測結果を既存業務フローへ 組み込む方法の検討
アプローチ
アプローチ詳細 商品毎の需要トレンドを捉える特徴量エンジニアリング 時系列を考慮したモデル学習・検証設計 商品の属性、残り試合数、直近販売数など、多角的な視点で 商品毎の需要トレンドを予測することで予測性能改善を実現 モデル運用時に未来のデータへ適合できるようにするため、 モデルの学習にテスト期間を使用しない検証設計を実施 2025/3/1 学習用データセット: 2023/01 ~ 2024/05 入力: 予測値利用日時点で 取得可能な特徴量(xxx種) 直近売上数に関する特徴量 ・該当商品の7, 14, ... 90日間のEC販売数 ・該当商品の7, 14, ... 90日間の店舗販売数 : 試合 / チケット販売実績に関する特徴量 ・過去の試合数 ・将来のチケット販売数 : 商品に関する特徴量 ・商品カテゴリ : 2025/5/31 23/01/01 23/03/31 23/01/01, キャップ(1) : 出力: 90日間の販売数 24/05/31 24/08/29 24/05/31, ユニフォーム(3) 従来法 予測: 226個 誤差 (SMAPE): 1.259 実績: 100個 Light GBM 予測: 192個 誤差 (SMAPE): 0.921 検証用データセット: 2024/06 ~ 2024/09 24/06/01, キャップ(1) : 24/09/30, ユニフォーム(3) 24/06/01 24/08/30 24/09/30 24/12/29 テスト用データセット: 2025/01 ~ 2025/04 25/01/01, キャップ(1) : 25/4/30, ユニフォーム(3) 25/01/01 24/08/30 24/05/31 23/8/29
アプローチ詳細 欠品による異常値影響を軽減した目的変数 予測の不確実性(分位点)の出力 欠品を考慮せず目的変数(=90日販売数)を計算すると 過小予測に繋がるため、もっともらしい値で補完を実施 上振れ/下振れの範囲を提供できるように、 分位点推定予測の結果を提供 欠品 90日間の 売上額 .... キ ャ ッ プ (1 ) ユ ユ キ ャ ッ プ .... (2 ) ニ ニ フ フ ォ ォ ー ー ム ム (3 ) (4 )
結果
アプローチの結果 発注精度が20%程度向上する可能性を見込む(※) ※これにより、お客様の観戦体験がより良いものになる
PoCのサマリ
PoCのサマリ 既存のグッズ発注業務フローを参考にPoCを実施 Before ◻発注ノウハウのブラックボックス化 ◻受発注データが点在 ◻欠品機会損失のポテンシャルが不明 ◻余剰在庫の蓄積等
PoCのサマリ 既存のグッズ発注業務フローを参考にPoCを実施 Before PoCの結果 ◻発注ノウハウのブラックボックス化 ◻受発注データが点在 ◻欠品機会損失のポテンシャルが不明 ◻余剰在庫の蓄積等 ◻発注ノウハウを言語化 ◻データのクラウド化 ◻欠品機会損失のポテンシャルを把握 ◻発注数量の予測初期モデルの構築(キャップ、ユニフォーム、タオル) ◻結果: 発注精度が20%程度向上する可能性
今後について
今後のロードマップ 目指す世界 3rd Step 2nd Step ダイナミック オペレーション PoC/MVP ◻ユーザごとに最適な購買体験が設計されて いる状態 MVP/ 本開発 ◻ユーザが「欲しい」と思える価格と商品 価格が釣り合った状態 需要予測 本開発 MVP ◻実運用を前提とした 開発/実装 1st Step ◻対象商品の拡張 ◻MVPのフィード バックを反映 需要予測 PoC FY25 3Q〜 4Q〜 FY26〜 発注業務に関するPoC開発によって、 目指す世界を実現する打ち手の1つである ダイナミックオペレーションモデル(※) 開発に向けた見通しが一定得られた。 ※ダイナミックプライシングなど 状況に応じた柔軟なサービス展開 FY27〜