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February 20, 26
スライド概要
2026年2月26日(金)に浜名湖湖畔で開催されたPSIC2026冬でのLT資料です.
地方の中小企業で働くエンジニアは、情報がテレビ中心で偏りがち、書籍や図書館が少なく知識に触れる機会が限られ、技術者コミュニティや勉強会がほとんどないという3つの格差に直面しています。そこで情報の蛇口をオンラインメディアに変える、社内図書館や書籍購入で知のインフラを整える、オンライン参加を評価基準に入れるなど、情報・知の基盤を作り場所にとらわれない繋がりを促進する施策を提案しています。最終的には自ら変化を受け入れ、勇気を持って挑戦し続けることが重要です。
個人事業主「クオリティアーツ(Quality Arts)」代表。ソフトウェアやシステム開発の伴走支援を主とし、スタートアップから大手メーカー、公共まで幅広く活動。組織・チーム・個人を対象に、技術導入、エンジニア教育、プロセス改善、経営層やCxOの支援している。近年はDX/AI文脈の組織整備やリスキリング、品質経営や経営戦略まで、立場や課題に応じて支援。
会社内に小東京? 〜 地方中小企業エン ジニアのスキルアッ プを阻む格差 〜 池田 暁 クオリティアーツ 2026/2/20 代表 (金)
どんなひと? • 名前:池田暁(いけだあきら) • 主な所属: – クオリティアーツ(個人事業主) – https://quality 代表 -arts.com/ • 出身: – 長崎県長崎市出身 • 信念: – 「ソフトウェアエンジニアリング技術 の力で世の中を 幸せに」 – 「利他,自責,有言実行」 – 「なければ作ればいいじゃ 2026/2/20 ない」 © Quality Arts , Akira Ikeda 2
これまで • 日立グループ時代 – 日立情報通信エンジニアリング ※情報通信 – 日立ハイテク ※医用 – 日立Astemo ※自動車 • 卒業してから – ビズリーチ ※SaaS – マネーフォワード ※SaaS – CQO と CTO などやってます 2026/2/20 © Quality Arts , Akira Ikeda 3
今日話すこと 2026/2/20 © Quality Arts , Akira Ikeda 4
いま • クオリティアーツという個人事業主で, 伴走支援活動 – 三菱電機様のソフトウェア・エンジ ニアリング改善活動 – 某組込み系ベンダーのソフトウェ ア・エンジニアリング改善活動 – 某スタートアップ企業の CxO 伴走 – 地方中小企業の経営支援(技術面) – 様々な企業でのエンジニア育成 ・ ・ ・ その他,たくさん 2026/2/20 © Quality Arts , Akira Ikeda 5
地方中小企業の中の人になって,より実感したこと 地方,とくに地方の中 小企業の社員にエンジ ニアとしてスキルアッ プしていただくのは, なかなかしんどい 2026/2/20 © Quality Arts , Akira Ikeda 6
ということで本 LT のねらい 地方中小企業の支援を始め数年がたち , 都市と地方での異なり が見えてきました 本LT では地方中小企業にお務めのエンジニア にどうしたらスキル アップを していただきや すくなるだろうかと考えたことを 言語化 してみます この LT で解を求めるわけではなく, ひとつの議論ネタ として皆様 からいろんな観点やご示唆をいただければと思います (小さい事 例ですみません) 2026/2/20 © Quality Arts , Akira Ikeda 7
地方エンジニアが 抱える格差 そもそも地方は不利だ! 2026/2/20 © Quality Arts , Akira Ikeda 8
地方エンジニアにおける3つの格差 情報の格差 知の格差 つながりの格差 2026/2/20 © Quality Arts , Akira Ikeda 9
①情報の格差:視線が「地域内」に閉じる構造 • 地方での情報入手ソースは「 TV が支配的」 – 実家から会社に通っている人がほとんど,親御さんはネットではなく • TV のチャンネル数ベースで, TV 主体 入ってくる情報が 1.5 倍違う – わたしの東京の自宅( 9 局) • NHK 総合・ Eテレ,日テレ,テレ朝, – 地方(長崎市)の作業場所( TBS ,テレ東,フジテレビ, MX , TVK 6 局) • NHK 総合・ Eテレ, NBC 長崎放送,長崎国際テレビ, NCC 長崎文化放送,テレビ長崎 • 一週間二週間遅れの放送...(これは昔からあるね...) • ニュース番組において ローカル ニュースが半分程度を占め,地域内に視線が誘導される – 外を見なくなることを促進してしまう 入ってくる情報量や多様性も少ないが, それ以上に内向きになるような情報にしか触れられない! 2026/2/20 © Quality Arts , Akira Ikeda 10
②知の格差:技術知に触れる機会の喪失 • 本屋がない – 東京だと,有隣堂,書泉,丸善,紀伊國屋,ジュンク堂等,数え切れない • 各店,数十万作から百万冊以上,合計するととんでもない量 – 長崎だと, TUTAYA 書店1 店舗, 20 万冊程度... • 図書館がない 項目 東京都 長崎県 公立図書館数 395 館( 2.92 館) 38 館( 2.76 館) 49,412,510 5,671,811 蔵書数 大学の図書館数(大学数) 蔵書数 冊 冊 143 校 8校 東大( 1000 万冊超)、早稲田(約 560 万冊)、慶應(約 420 万冊)等 長崎大(約 99 万冊) 流通している知の量が 1/10 程度と圧倒的に少なく,アクセスもしにくい! しかもカジュアルにアクセスはできない! 2026/2/20 © Quality Arts , Akira Ikeda 11
③繋がりの格差: 0.1% の世界 • 技術者コミュニティがほぼなく,勉強会もほとんど開催されていない • 東京:件数 54,135 件,割合 63.6% 長崎県: 114 件, 0.1% エンジニアが 社外に知を求 めることが極 めて困難! ベンチマーク の意識も生ま れない! 2026/2/20 © Quality Arts , Akira Ikeda 12
解決戦略 …? と手をつけ始めていること 格差(不利)にどう対応しようか? 2026/2/20 © Quality Arts , Akira Ikeda 13
2つの観点 情報・知の 基本インフラ の構築 場所にとらわれない繋が りの誘導 2026/2/20 © Quality Arts , Akira Ikeda 14
知のインフラを構築する( 1/2 ) • ①情報の格差への対応:「 情報の蛇口を付け替え 」 – オンラインメディア( NewsPicks , Udemy 等)や専門チャンネルの法人契約 • 利用率を図り,積極利用者は評価されるようにする – エレベータ広告やトイレ広告のように流しておくのも良いかもしれない – 休憩スペースのモニタで垂れ流しするものよいだろう – 新聞だとわざわざ読みに行かねばならない 常に,ビジネスや開発等会社に必要な雑多な情報が流れている状況にすることが大切. • 余談:手を付けたこと – 毎朝AI くんに昨日の IT 分野のニュースを 10 分程度のポッドキャストにしてもらい, 朝の集中タイムのときにラジオ間隔で流しておく – まだ効果はわからないが,タバコ場所で会話のネタに出てくるようになり始めた 2026/2/20 © Quality Arts , Akira Ikeda 15
知のインフラを構築する( 2/2 ) • ②知の格差への対応:「 知の流通と蓄積 」 – 技術書・ビジネス書の無制限購入や社内図書館の整備 • 出社してから自席に至るまでの導線に,嫌がおうにでも目に留まる場所に本棚を置く • 書籍貸し出しは利用率を測り,積極利用者は評価されるようにする – 社内知の蔵書化 • 技術レポートを印刷製本し.書棚や図書館に置く • 出版(レポートを出す)は知の流通に貢献した行為であると評価する(制度必要) • 多く貸し出されたものはベストセラーとしてインセンティブ ←よい作家を作る 普段の行動導線に「知」が見えることが重要 また,知の利用や蓄積にインセンティブを与える • 余談:手を付けたこと – オフィスレイアウトの問題で有効な導線には設置できていないが,書架を設置 – 貸し出し記録もつけ始めた 2026/2/20 © Quality Arts , Akira Ikeda 16
場所にとらわれない繋がりの誘導 • ③繋がりの格差への対応: オンラインで場所を超える – 地方中小企業は“出社してなんぼ”“極度の対面重視”文化! – 社外コミュニティへの オンライン 参加や登壇を業務として明確に評価 • イベントに参加しないと評価が下がっていく • 会社の方針として,外との繋がりに意識をもたせる – 自発的な社内勉強会やイベントは奨励するが,義務化はしない • 義務化すると盛り上がらないし続かない • エンジニア気質を持たない上長によっては「遊んでいる」と思われる 地方ではイベントが開催されず,開催されても参加するまでに移動のハードル オンラインでかまわないとすることで,まずまずの間口を広げる • 余談:まだ手を付けられていない – まずは情報・知のインフラを整えてから 2026/2/20 © Quality Arts , Akira Ikeda 17
まとめ これまでのおはなし 2026/2/20 © Quality Arts , Akira Ikeda 18
まとめ 地方中小企業のエンジニアにスキルアップしていただくの はしんどい なぜなら3つの格差がある 情報の格差,知の格差,繋がりの格差 解決戦略・・・? 情報・知の基本インフラ,場所にとらわれない繋がり 要するに 2026/2/20 © Quality Arts , Akira Ikeda 19
要するに 地域を変えられず,外に出ていくマインドが薄いなら,社内に小さくても東京 をつくればよい! そして,他の都市とオンラインで接続する 2026/2/20 © Quality Arts , Akira Ikeda 20
メッセージ わたしが伝えたいシンプルなこと 2026/2/20 © Quality Arts , Akira Ikeda 21
メッセージ 周りを変えられないならば,自分を変え ることが大切 これは,企業にとっても同じこと! 現状をあきらめず ,自ら全てを変え続け ていきましょう ! 2026/2/20 © Quality Arts , Akira Ikeda 22
Be brave and keep challeng ing change ! 勇気を持って 変化に 挑戦し続けよう! 2026/2/20 © Quality Arts , Akira Ikeda 23
Thank You!
アドバイスお待ちしています! 2026/2/20 © Quality Arts , Akira Ikeda 25
課題 …? とはいえ課題はある 2026/2/20 © Quality Arts , Akira Ikeda 26
とはいえ 先程の生存戦略は,社内に小東京を作ろうという発想. ただ,それをできるかは次のような問題課題がある.(もちろん他にもたくさん) 経営層のコミットメント 社員のマインドチェンジ 地域の変革事例のなさ 多くの場合 , 役員層はエンジニア 数十年の受託作業型に慣れた社員 世間様でそんなことやってる所あ ではない ため,技術投資の重要さ がわからず関心も無い. が考え方を変えるのは雷に打たれ ない限りは 難しいだろう. るんですか?という声に 答える事 例がないので恐れがある. オーナー企業だと … 部課長レベルも担当意識 ⋯ 閉鎖的なムラ文化も ⋯ 地方中小企業は “閉鎖的かつ家族経営” 的な雰囲気 だから,いっきには変えられない,変えられない 彼らにとって,無理せず・地道に・意識させずというのが大切 2026/2/20 © Quality Arts , Akira Ikeda 27