356 Views
October 19, 23
スライド概要
大崎 華苗(赤穂中央病院 西3階病棟)
赤穂中央病院 学術委員会
はじめに 当病棟では病院全体の内服管理方法の判断状態及び判断項目に ついての先行研究を行った結果、自信が欠けた状態で判断を行 っている現状が見えた。 先行研究内容を踏まえて内服管理の判断基準を導入することで 患者自身の内服管理能力の向上に向けた関わりができるのでは ないかと考える 看護師による内服管理判断の実際 90 80 79.3 73.3 70 60 50 40 30 26.7 20.7 20 10 0 判断に自信なし 自己管理 詰所管理 自己管理 判断に自信あり 自信なし 自信あり 詰所管理
研究目的 内服管理の判断基準の統一化を図り、病棟全体で評価基準を持つ ことで患者の内服管理に関する能力の問題点を明確にする。 根拠を持った判断を行うことで患者の内服管理能力に応じた管理 方法を検討する 倫理的配慮 研究対象の病棟、対象者が特定されないように配慮した。
研究方法 当病棟に入院している65歳以上の患者を対象とし、入院前の内 服管理方法について確認。 入院前の内服管理者・内服管理への意欲を基に、薬剤師と協力の もと服薬理解能力評価スケール(RCS)を用いて患者の内服管 理能力を評価し、結果から内服管理方法を検討する。
服薬理解能力評価スケール(RCS) 質問内容 回答 1 朝ご飯を食べた後に飲む薬の 入っている袋を全部教えてください 2 昼ご飯を食べた後に飲む薬の 入っている袋を全部教えてください 3 夕ご飯を食べた後に飲む薬の 入っている袋を全部教えてください 4 寝る前に飲む薬の入っている 袋を全部教えてください 5 昼ご飯を食べる前に飲む薬の 入っている袋を全部教えてください *合計得点 10点:正常 配点 □朝昼食後(1) □毎食後(1) □朝食後と寝る前(1) □朝昼食前(-1) □朝昼食後(1) □毎食後(1) □朝食後と寝る前(-1)□朝昼食前(-1) □朝昼食後(-1) □毎食後(1) □朝食後と寝る前(-1)□朝昼食前(-1) □朝昼食後(−1) □毎食後(-1) □朝食後と寝る前(1) □朝昼食前(-1) □朝昼食後(-1) □毎食後(-1) □朝食後と寝る前(-1)□朝昼食前(1) 9〜8点:要注意 7〜6点:要訓練 □朝夕食後(1) □該当なし(-4) □朝夕食後(1) □該当なし(-2) □朝夕食後(1) □該当なし(-2) □朝夕食後(−1) □該当なし(-1) □朝夕食後(-1) □該当なし(-1) 5点以下:要介助
研究結果 介入前は詰所管理59%、内服確認5%、自己管理36% 介入後は詰所管理45%、内服確認7%、自己管理48% 内服管理別割合 介入前 36% 介入後 5% 48% 0% 59% 7% 20% 40% 自己管理 45% 60% 内服確認 詰所管理 80% 100% 12
年齢別での内服管理方法の割合 介入前 介入後 25 20 18 20 16 14 15 12 10 10 8 6 5 4 2 0 65〜69歳 70〜74歳 75〜79歳 自己管理 80〜84歳 内服確認 85〜89歳 詰所管理 90歳〜 0 65〜69歳 70〜74歳 75〜79歳 自己管理 80〜84歳 内服管理 85〜89歳 詰所管理 90歳〜
研究考察 看護者の判断基準 身体状況 精神状況 病状 年齢 患者の自己管理困難要因 内服方法の複雑化 薬に対する知識不足 病識の欠如 認知機能の低下 ADL低下 特に75歳以上の年齢群では詰所管理を上げる看護師が多い
介入前 介入後 入院時に薬剤管理方法に ついて確認 入院時に薬剤管理方法に ついて確認 入院時の情報と合わせて管理 方法を検討 薬剤師が入院翌日に患者へ 薬剤指導 入院時の情報と合わせて 管理方法を検討 薬剤師が入院翌日あるいは 内服再会時に患者へ薬剤 指導およびRCSを評価 薬剤師から看護師へ情報 提供し管理方法を再検討
持参された薬剤について、身体状態を踏まえて説明 新規処方となった薬剤について説明 RCSを用いた内服理解能力の評価 2職種が連携し内服管理方法について 検討することで患者の状態に合った 内服管理方法を検討 入院前の内服管理状態 患者の普段の様子 患者の入院中の身体状況、ADL せん妄や認知機能の程度
慢性疾患の自己管理 ↓ 在宅復帰率の向上 QOL改善 慢性疾患の管理不足 ↓ 病状悪化リスク ADLの低下 当院の介入後の実際例: 入院を契機にせん妄を発症した患者に対して 詰所管理→カレンダー管理(内服確認)→自己管理 の段階を経て、 管理方法を変更することで、退院許可よりスムーズに独居の自宅へ 退院することができた。
結語 看護師の主観的な判断ではなく明確な判断基準を用いた評価 により、実際の患者の能力に応じた内服管理方法を選択する ことで自己管理、内服確認群の患者数を増やすことができる ことがわかった。