ウェーブレット変換の基礎と応用事例:連続ウェーブレット変換を中心に

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August 28, 22

スライド概要

むかしむかし、D1の時にやった学内のセミナーのスライドです。ハードディスクを整理してたら出てきたので、何かの役に立つかもしれないと思いシェアしてみました。

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聴覚・音声の行動神経科学が専門。小鳥やヒト、ネズミの音声コミュを研究しています。ヒトの音楽能力についても少し研究しています。

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各ページのテキスト
1.

ウェーブレット変換の基礎と応用事例 ― 連続ウェーブレット変換を中心に ― 橘 亮輔 2007.3.1 1

2.

目次 概要 ◼ ◼ ◼ ウェーブレット変換の基本的なアイディア 時間-周波数解析 2次元(画像)のウェーブレット変換 連続ウェーブレット変換 ◼ ◼ ◼ 歴史 変換と逆変換 具体例 フーリエ変換との比較 ◼ ◼ 畳み込み・相互相関・内積と周波数特性 窓付きフーリエ変換とウェーブレット変換 連続ウェーブレット変換の応用事例 離散ウェーブレット変換の概要 ◼ ◼ 冗長性の排除と直交変換 多重解像度解析 まとめと展望 2

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概要 3

4.

ウェーブレット変換とは ウェーブレット変換は信号の特性を解析する手段のひとつ フーリエ変換(FT) ◼ ◼ ◼ 正弦波の足し合わせ 基本的に無限であることを仮定 定常的な信号を解析するのには有用だが,非定常なものには良 くない 短時間(窓付き)フーリエ変換(STFT) ◼ 逆変換が存在しない ウェーブレット変換(WT) ◼ ◼ ◼ ◼ ウェーブレットの例 ウェーブレット(wavelet; 局在波)の足し合わせ 逆変換が存在する 「時間―周波数」解析 不規則,間欠的,非定常な信号の解析 4

5.

ウェーブレット変換の基本的なアイディア 元信号 ウェーブレット変換 スケール 周波数 フーリエ変換 シフト 5

6.

2つの操作:シフトとスケーリング マザーウェーブレット 元のウェーブレット(マザーウェーブレット) に対して,2種類の操作を行う。 ◼ ◼ 平行移動(shift, translation) 拡大縮小(scaling, dilation) 平行移動(シフト,トランスレーション) 拡大縮小(スケーリング,ダイレーション) 様々な幅,様々な時間位置のウェーブレッ ト群をつくる ◼ ◼ 幅が広いウェーブレットはゆっくりと変化す る成分(低周波数)。 幅が狭いウェーブレットは微細な変動成分 (高周波数)。 6

7.

ウェーブレット変換の計算 スケールa,シフトbのウェーブレットと元 信号の類似をみる 信号 x(t) ◼ t ◼ 相関が高ければ変換係数は高い値に 様々なa, bについて行う 連続ウェーブレット変換(CWT) ◼ a, bが連続値 離散ウェーブレット変換(DWT) ◼ a, bが離散値(主に2のべき乗) フーリエ変換とフーリエ級数の関係と同 じ 逆変換可能 ◼ 変換係数を各ウェーブレットに掛けて足 し合わせる 7

8.

時間ー周波数解析 変換された係数はa,b二次元平面上にマッピングされる スケール(周波数) スカログラム(scalogram = scale + gram) a2 a1 b1 b2 シフト(時間) 8

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時間解像度と周波数解像度 各スケールにおいて時間分解能と周波数分解能の大きさがトレードオフ 高い周波数ほど: 時間分解能↑ / 周波数分解能↓ ◼ 詳細は後ほど,フーリエ変換と比較しながら説明 窓付きフーリエ変換 窓幅:大 (narrowband) 窓幅はスケールに よって異なる 周波数 窓幅:小 (wideband) ウェーブレット変換 時間 9

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スカログラムの例 スケール(周波数) 「あい」 スペクトログラム wideband narrowband シフト(時間) CWT(複素モルレー)の絶対値振幅 10

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2次元ウェーブレット変換(画像) ◼ ◼ ◼ ◼ 2つのシフトパラメタ 1つのスケールパラメタ 「場所-周波数解析」 局所的な空間周波数が分 かる スケール 変換は3次元になる. シフトy シフトx 11

12.

ここまでのまとめ ウェーブレット(局在波)の足し合わせに分解する ◼ スケーリング(拡大縮小)とシフト(平行移動) パラメタが連続的なものをCWT,離散的なものをDWT ◼ フーリエ変換とフーリエ級数の関係と同じ 時間-周波数解析 ◼ ◼ ◼ 時間と周波数の両方に「無理なく」分解.スカログラム スケールによって時間-周波数分解能が異なる 高い周波数ほど,時間Good,周波数Bad 画像の場合は「場所-周波数解析」 ◼ 3次元の変換 12

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本発表のゴール 道具として利用するための,はじめの一歩 ◼ ◼ ◼ ◼ 数学的基礎の紹介 利点と制約 勘を掴む 応用事例の紹介 数学的・工学的な視点を広げる ◼ ◼ ◼ フーリエ変換とは異なる視点を持つこと 時間―周波数解析の展望 生体モデルとしての可能性 13

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参考文献 図説 ウェーブレット変換ハンドブック/朝倉書店/新他訳/2005,Addison, 2002  広く浅く偏りなく。CWTについてもしっかり取り上げている。前半を理論,後半を応用事例を大量に 集めてきて紹介。 ウェーブレット入門―数学的道具の物語―/BBハバード著  物語としてのウェーブレット。本文は読み物として進むが,補足は数学的に充実させている。 Introduction to Wavelets and Wavelet Transforms / Prentice-Hall / Burrus, 1998  DWTの数学の基本を体系的に説明。2次元はあまり扱わない。DWTの理論は主にMallatと Doubeciesの体系による。 ウェーブレットによる信号処理と画像処理/共立出版/中野他/1999  理論は浅く。Cプログラム掲載。比較的新しい応用も。意味不明な比喩が気になる。 最新ウェーブレット実践講座 入門と応用/ソフトバンク/戸田/2005  Cプログラムリストを中心に進めていく。ほとんどがプログラム 14

15.

連続ウェーブレット変換 15

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目次 概要 ◼ ◼ ◼ ウェーブレット変換の基本的なアイディア 時間-周波数解析 2次元(画像)のウェーブレット変換 連続ウェーブレット変換 ◼ ◼ ◼ 歴史 変換と逆変換 具体例 フーリエ変換との比較 ◼ ◼ 畳み込み・相互相関・内積と周波数特性 窓付きフーリエ変換とウェーブレット変換 連続ウェーブレット変換の応用事例 離散ウェーブレット変換の概要 ◼ ◼ 冗長性の排除と直交変換 多重解像度解析 まとめと展望 16

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歴史 ウェーブレット変換に似たアイディアはもともと数多くあった。 1980年代中ごろ,現在の手法。ただし広まらず。 1990年代初頭から,理論体系と実践。 様々なルーツが考えうるが,ジャン・モルレーMorletはよく引き合いに出される。 ◼ ◼ 仏大手石油会社勤務の地球物理学者。地中の石油を見つける探査業務のために 独自にウェーブレットを作り出した。 はじめは窓付きフーリエを使っていたが,窓幅決定が手間であった。そこで,周波 数に応じて窓幅を変えるというWTを提唱した。CWT。1981年ごろ. その後,理論的に整備。ステファン・マラーMallatが画像処理や信号処理の分 野と結び付け,2進DWTに理論的な体系を与えた。1986年ごろ ◼ 現在ではDWTが良い体系を持っている。数学的に強固な体系が構築された。 ◼ 画像圧縮(JPEG2000), 数学的に体系だっているのはDWT。圧縮,通信。解説書はDWTが多い。 実環境の信号解析ではCWTのほうが有効である場合が多い。実践的。 17

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マザーウェーブレットのscalingとshift マザーウェーブレット: 大 スケールa,シフトbのウェーブレット: a スケーリングに対してエネルギー を一定にするための補正 小 • aを大きくすればマザーウェーブレットは引き伸ばされる。したがってより大まか変 動を解析するのに適したウェーブレットとなる • bを大きくすれば,時間が正の方向に平行移動する(遅延する)。 18

19.

連続ウェーブレット変換(CWT) 連続ウェーブレット変換の式 ◼ x(t) : 元信号 Wψ[ . ]:ウェーブレットψに基づいたウェーブレット変換 ◼ T(a, b) : ウェーブレット変換係数 ◼ a : スケールパラメータ ◼ b : シフトパラメータ ◼ ψa,b : スケールa, シフトbのウェーブレット ◼ * は複素共役を表す ◼ a, bが連続的な実数 19

20.

逆連続ウェーブレット変換(ICWT) CWTの結果 ウェーブレット ◼ aとbについての二重積分 ◼ T(a, b) : 変換係数 ◼ Cψ : マザーウェーブレットの種類によって変わる定数(後で説明) ウェーブレット変換逆変換 20

21.

具体的に… マザーウェーブレットの種類は色々ある ◼ ◼ ◼ ◼ メキシカンハット(mexican hat) 複素モルレー(complex Morlet) ハール(Haar) メイエ-ルマリエ ・・・ 21

22.

例) メキシカンハットウェーブレット マザーウェーブレットψ(t)がメキシカンハット ◼ ◼ ガウス関数の二階微分 実数関数なので複素共役は考えない。 マザーウェーブレット ウェーブレット ウェーブレット変換 22

23.

スケール a メキシカンハットCWT シフト b 23

24.

メキシカンハットICWTとフィルタリング T(a, b) ICWT x(t) 24

25.

例) 複素モルレーウェーブレット 包絡がガウス曲線で,キャリアが複素サイン 包 絡 ガウス曲線 複素サイン 実 部 虚部 ◼ σ : 包絡線の幅(1がよく使われる) ◼ ω0 : 複素サインの角周波数(5, 6, πなどが使われる) 25

26.

複素モルレーCWT 元信号 実部 虚部 絶対値 (振幅) 位相 complex Morlet (σ =1, ω0=π) 26

27.

複素モルレー,Matlab GUI demo 27

28.

ウェーブレットの条件 元信号は自乗可積分 アドミッシブル条件: 逆変換が存在する条件 マザーウェーブレッ トのフーリエ変換 マザーウェーブレットは不連続点を持っていてもよい 28

29.

CWTのまとめ ウェーブレット変換の体系が明確になったのは80年代以降である CWT,ICWTに必要な数学的表記 マザーウェーブレットは色々提案されている ◼ ◼ メキシカンハットと複素モルレーの例 目的に応じて使えばよい ウェーブレット変換が可能な条件 29

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フーリエ変換との比較 理論背景 30

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目次 概要 ◼ ◼ ◼ ウェーブレット変換の基本的なアイディア 時間-周波数解析 2次元(画像)のウェーブレット変換 連続ウェーブレット変換 ◼ ◼ ◼ 歴史 変換と逆変換 具体例 フーリエ変換との比較 ◼ ◼ 畳み込み・相互相関・内積と周波数特性 窓付きフーリエ変換とウェーブレット変換 連続ウェーブレット変換の応用事例 離散ウェーブレット変換の概要 ◼ ◼ 冗長性の排除と直交変換 多重解像度解析 まとめと展望 31

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フーリエ変換とウェーブレット変換 ウェーブレット フーリエ 内積 どちらも積分変換=変換核を軸にパラメタを変換する ◼ ウェーブレット変換: ψa,b ウェーブレット ◼ フーリエ変換: eiwt (= coswt + isinwt) 複素サイン波 元信号と「変換核」との内積 32

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相互相関,畳込み ウェーブレット変換を相互相関や畳込みとしても考えることができる 相互相関関数 畳込み積分 33

34.

CWTを畳み込みで考える スケールaのウェーブレット をψaとする (相互相関) (畳み込み) →元信号とスケールaのウェーブレットψaとの相互相関関数 →ψaの複素共役の左右反転したものを畳み込んでいる. 34

35.

インパルス応答としてのウェーブレット ウェーブレットをFIRフィルタのインパル ス応答としてみる。 ◼ ウェーブレットが偶関数(左右対称)の 場合は,畳込み積分とまったく同じ。 constant-Qバンドパスフィルタバンクで ある。 ◼ スケールaが連続値=中心周波数が 連続的に変化する。 35

36.

短時間フーリエ変換との比較 複素モルレーウェーブレット変換 ◼ ω0を固定して,全体のスケールを変える 包絡 キャリア ガウス窓付き短時間フーリエ変換 ◼ 時間窓長を固定して,周波数ωを変える 窓 変換核 36

37.

CWTの冗長性 CWTは冗長な表現である ◼ 隣り合ったスケールに同じ情報が入る=通過帯域が重なっている そもそも変換後に次元数が増える 真実 サイン波の線 スペクトル 周波数 CWT 周波数 ◼ 時間 中心周波数が連続 的に変化するBPF 見え方 冗長な表現 37

38.

CWTの冗長性と隆線抽出法 CWTはスケールとシフトの両面で冗長で ある。 ◼ ◼ 1つのウェーブレットで符号化された情報の 大部分が隣のウェーブレットによってまた 符号化される,という風に互いに部分的に 重なり合っている。 本質的な情報のみを残して単純化しても再 構成可能であることが多い。 冗長な表現 隆線抽出 隆線(ridge)抽出法 ◼ スケルトン化とも言う。 ICWT 38

39.

隆線抽出の例-Matlab Demo 39

40.

フーリエ変換との比較のまとめ WTは積分変換である ◼ ◼ ◼ 元信号と変換核との内積 フーリエ変換は複素サイン波を変換核 ウェーブレット変換はウェーブレットを変換核 WTは相互相関,あるいは畳み込みと見なすことも可能 ◼ ◼ ウェーブレットをインパルス応答としてみる Q値一定の中心周波数が異なるバンドパスフィルタ ガウス窓付き短時間フーリエ変換との比較 ◼ ◼ STFTは窓長固定 WTは相似性を固定 CWTは冗長な表現である ◼ 隆線抽出法 40

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連続ウェーブレット変換の応用事例 41

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目次 概要 ◼ ◼ ◼ ウェーブレット変換の基本的なアイディア 時間-周波数解析 2次元(画像)のウェーブレット変換 連続ウェーブレット変換 ◼ ◼ ◼ 歴史 変換と逆変換 具体例 フーリエ変換との比較 ◼ ◼ 畳み込み・相互相関・内積と周波数特性 窓付きフーリエ変換とウェーブレット変換 連続ウェーブレット変換の応用事例 離散ウェーブレット変換の概要 ◼ ◼ 冗長性の排除と直交変換 多重解像度解析 まとめと展望 42

43.

応用事例(1) ー 心電 43

44.

応用事例(2) ー 建材の共振特性 44

45.

応用事例(3) ー 耳音響放射 Cochlear maturation and otoacoustic emissions in preterm infants: a time-frequency approach Tognola G et al. (2005). Hearing Res. 199: 71-80 45

46.

応用事例(4) ー 聴覚末梢モデル 初期聴覚はフーリエ分析器とみなすよりも,ウェーブレット分析器と見 なしたほうが自然である ◼ ◼ PattersonのGammatoneモデル IrinoのGammachirpモデル 46

47.

離散ウェーブレット変換の概要 47

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目次 概要 ◼ ◼ ◼ ウェーブレット変換の基本的なアイディア 時間-周波数解析 2次元(画像)のウェーブレット変換 連続ウェーブレット変換 ◼ ◼ ◼ 歴史 変換と逆変換 具体例 フーリエ変換との比較 ◼ ◼ 畳み込み・相互相関・内積と周波数特性 窓付きフーリエ変換とウェーブレット変換 連続ウェーブレット変換の応用事例 離散ウェーブレット変換の概要 ◼ ◼ 冗長性の排除とウェーブレットの離散化 直交変換 まとめと展望 48

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冗長性の排除とDWT CWTは冗長であった ◼ ◼ ◼ 変換パラメタ(スケールとシフト)が連続値 スケールおよびシフトの両面でウェーブレットの特性が重なり合っていた。 変換パラメタが離散値,対象の信号は連続時間(≒フーリエ級数展開) 離散ウェーブレット変換(DWT)へ ◼ ◼ 冗長性が低く(あるいは無く)効率的な符号化が可能 伝送,圧縮,画像処理などに頻出 実用的なDWTを実現する三つのトピック ◼ ◼ 重なりを減らすには? → 2進離散ウェーブレット パラメタを離散化しつつ,情報を完全に保存するには? → 直交変換 49

50.

2進離散ウェーブレットの導入 パラメタを離散化 2のべき乗でスケールが変わ るウェーブレット ◼ ◼ ◼ ◼ ◼ ◼  j ,k (t ) = 2 j / 2 (2 j t − k ) マザーウェーブレットψ(t) スケールパラメタ: j シフトパラメタ: k 共に整数 jが大→縮まる kが大→遅延する  a ,b(t ) = a=2 −j 1 t −b    a  a  b= k = 2jk a 50

51.

離散ウェーブレット変換 変換パラメタは離散だが,扱う信号は連続である. ◼ あえて「連続時間ウェーブレット級数展開」というべきかも知れない 51

52.

直交変換 パラメタを離散化しつつ,情報を完全に保存するには,どんなウェーブ レットがよいのか?→直交変換(展開)を導入 直交変換とは… ◼ ◼ ◼ ◼ 変換の過程での冗長性を排除し,また完全な再構成を可能にする。 すなわち,信号の情報全体は繰り返されず一回ずつ符号化される。 変換する基底(basis)が直交している(orthogonal)。 さらに基底のノルムが1だと正規直交基底(orthonomal basis) y (2, 3) (1, 2) q p eq ey ey ex x ep ex 52

53.

直交ウェーブレットである条件 正規直交であるための条件   j ,k , l ,m 1 =  0 ( j = l , k = m) ( j  l , k  m) L2(R)上の任意の関数f(t)に対して展開するdj,kが存在する そんなウェーブレットはあるのか? ◼ ◼ ◼ ◼ ハールウェーブレットは直交ウェーブレットであるになる 直交でかつ滑らかウェーブレットは「奇跡的に偶然的に」発見された(Mayer) 後に多重解像度解析理論によって,数学的に整備され,任意に作れるように なった。 実践的には誰かが考えたものを利用すればいい。 53

54.

例)直交ハールウェーブレット 直交符号(Walsh code) ウォルシュ・アダマール変換 54

55.

直交ハールウェーブレットによるDWT 55

56.

JPEGとウェーブレット 現行のJPEGは離散コサイ ン変換(DCT) 現行JPEG JPEG-2000 JPEG-2000では離散ウェー ブレット変換(DWT) 現行のJPEGは圧縮率を高 めた際にブロック歪が発生し やすい。これは,画像を複数 のブロック(現行JPEGは 8×8ピクセル)に分けて DCTを行うため ウェーブレット変換はブロッ ク単位ではなく画面全体に 対して処理.ブロック歪は生 じない。 56

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DWTのまとめ CWTは冗長性が高いため離散化 ◼ ◼ パラメタの離散化 直交変換の導入 直交ウェーブレット ◼ ◼ 構成方法は本発表では明らかにしていない ハールウェーブレットは直交ウェーブレットであった DWTは通常,2進離散直交ウェーブレット変換のことを指す 紹介していないが非常に重要な事柄 ◼ ◼ ◼ ◼ ◼ スケーリング関数 多重解像度解析と サブバンド符号化とマラーの高速アルゴリズム シフト不変性とマッチング追跡 画像の圧縮 57

58.

まとめと展望 58

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まとめと展望 CWTを中心に,WTを紹介した WTは自然な表現である ◼ ◼ ◼ ◼ 周波数とは繰り返しを記述する尺度である 繰り返すためには長さが必要=周期.「瞬時周波数」は矛盾する言葉 高い周波数では周期が短くてすむし,低い周波数は長くなる WTは周波数によって時間窓長が変わる→自然 WTは柔軟な表現である ◼ ◼ 解析対象とする信号の形状に合わせてマザーウェーブレットを選択 局在波なので,一部を変えると他が変わる,といったことはない CWTは信号を「観察する」道具である ◼ 冗長な分,少しの違いにロバストな表現.観察に適している. DWTは信号を「簡潔にする」道具である 59