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January 31, 24

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みんなでまちのミライをデザインする場。UDCKは未来志向で柏の葉のまちづくりを進めるための「公・民・学」の連携拠点です。

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01 Vol.1 UDCK ニュースレター 2009 年 5 月号 はっぱっぱ体操・プロジェクト 脳が喜ぶオリジナル体操で健康・交流の街をつくる 最近ご当地体操が全国各地でつ くられ、密かなブームとなっていま す。そんな中、千葉県柏の葉地域で は「一過性のブームとしては終わら せない」 という情熱をもった運動科 学者、ダンサー、アーティスト、そし て地域住民が連携し、街に独自の体 操文化を根付かせる取り組みが進 行中。健康づくりだけを目的とせず、 都市開発が進むこの街の近隣交流・ 地域コミュニティづくりまでを狙っ た体操プロジェクトとなっています。 脳が喜ぶ から続けられる はっぱっぱ体操は、3 分半の体操を通 じて楽しく脳と体を鍛えられるように開 発されたもの。 柏の葉にある東京大学生 涯スポーツ健康科学センターの小林寛 道名誉教授が監修しました。 小林教授によると、普段使用しない体 の深層部の筋肉を動かすことで、脳が活 性化してくるそう。日常生活の運動とは 異なり、 「誰でもできるけれど、簡単には できない」 ような動きに対して、努力と工 夫をもって取り組むことで、脳が喜ぶ (脳 神経が刺激を受ける) とも。 脳が喜ぶ運動は、体が自然と求め、習 慣になるものです。体操を習慣として続 けることで、姿勢や反射神経が良くなり、 と」と、振付を担当したダンサーの斉藤 美音子さんが、体操を効果的に続ける 秘訣を明かしてくれました。はっぱっぱ 体操は、あくまでも参加者が皆で楽し み、仲良くなるためのコミュニケーショ ンツール。間違えた際は参加者同士が 教え合い、修正を繰り返すことで、コ ミュニケーションが活発になり、楽しさ が増すとのこと。 また、体操に自分のアイディアを取り 入れてアレンジを利かせられるパート が随 所にあるのも特 徴のひとつ。友 達 同士などグループで楽しみながら自分 たちのオリジナル体操を創りあげてい ります。 良くなる相乗効果が期待できます。 「間 違ってもいいので 楽しくやるこ 斉藤美音子 参加者全員でアレンジパートを創り上 げ、その個性をアピールするためにメリハ 間違えを楽しむコミュニケーション 振付 きます。 歩行や昇降運動(階段の上り下り)の強 化、転倒防止、スポーツ上達にもつなが 振り付けを担当した斉藤美音子さん リのある大きな動きをすることで、血行も 「ニコニコしてやって欲しいです」と斉 藤美音子さんも素敵な笑顔でアドバイス をしてくれました。 世界中の舞台やコンサートで 活躍するプロダンサー 音楽 ジム・オルーク 監修 小林寛道 運動科学の第一人者、 東京大学名誉教授 グラミー賞受賞歴のある 現代ミュージシャン 美術 グルーヴィジョンズ グラフィック、ムービー、 プロダクトなどのデザイン を行うアーティスト集団 体操の開発には、各分野で活躍するトップランナーの 力が結集

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Vol.1 はっぱっぱ体操・プロジェクト 「町会でお年寄りにも教えていきたい」 柏 の 葉 アーバ ン デ ザイン センター (UDCK)では、はっぱっぱ体操の講習 会開催や教則映像DVDの配布をしてい ます。 この講習会に参加した若柴町会の皆さ んは、 「町会のお年寄り会で教えるために 参加した」 とのこと。 皆さん、 体操の前半部 分だけで汗びっしょり。右手・右脚を同時 皆で考えたオリジナルのポーズでフィニッシュ に出す 『難波歩き』 など難しい動きに対し 束するのに良い」と、地域交流の広がり 若柴町会のように、市民から市民へと て、 「できない!!」 「スローテンポの曲のは に期待していました。同じ職場の立花孝 教え伝えていくような動きも加速してい ずなのに、 やってみると速い」 など大騒ぎ。 太さんは「頭と体を使うので普通の体操 ます。柏商工会議所に所属するチアリー でも、 1時間みっちり練習してなんとかマス と比べ難しい。日頃運動不足の人には良 ダーが地域イベントで実演、地元の花野 ター。最後に全員でとるオリジナルのポー い刺激になります」と話していました。 井小学校ではレクリエーション授業に採 ズがきまると、 達成感に満ちた笑顔に。 グルーヴィジョンズが制作したCG映像 用、さらに5月3日には、グループ参加で 市民が体操を通じて街づくりに参加 若柴町会からの参加者、平川和江さん 芸術性や技術力などを競う『はっぱっぱ 体操コンテスト』も開催されます。 は「大勢で集まってやったので賑やかにな 『街づくり』と聞くと、専門家が集まっ り楽しかった。体のためにも最高です」と て議論する難しそうなイメージを想像し 市民が体操を通じて街づくりに参加す 話し、 「また来ます」と笑顔で帰宅。 てしまいがち。でも、はっぱっぱ体操に市 る、そんな柏の葉スタイルな生活を皆さ 会場近隣にある京葉銀行が職場の菅野 民が生き生きと取り組み、健康と交流の んも体験してみては。 友博さんは自主的に参加。 「地域を挙げ 先進都市として街のイメージを作り上げ て取り組める体操は他にないと思う。結 ることも、立派な『街づくり』。 教則映像DVDやコンテストについての問い合 せは、電話090-1733-0712(五感の学校事 務局)まで。 ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● キーパーソン・トーク 『住民の健康意識が高く地域交流が活発な街』 の実現に向けて、はっぱっぱ体操を開発しました。 現代人の体の動きは通常、右手を前方に振っ この新しい体操も含め、柏の葉地区では東京 大学や千葉大学が地域と連携した知性ある街づ の武術では、右手・右脚、左手・左脚と同じ側 しいことや面白いことをやっている」という期待 の手脚を同時に動かす『同側型』の動きが多く ありました。柔道の受身などにも見られるこの同 東京大学名誉教授 運動生理学、体力科学、バイオメ カニクス、発育発達学などを基礎 とし、幼児から高齢者、さらにオリ ンピック選手までを対象とした、 適切なトレーニング方法を研究。 なく脳も健康になるのです。 て左脚を出す、左手を振って右脚を出す、 『斜体 側型』の神経を使っています。しかし日本古来 小林 寛道 て考えながらチャレンジすることで、体だけでは 側型の動きは、現代生活で失われつつあり、転 倒によるケガも増加しています。 はっぱっぱ体操では、この同側型の動きを多く 取り入れています。あまり馴染みのない動きなの で、はじめは戸惑うかもしれませんが、頭をつかっ くりが行われています。 「あそこへ行くといつも新 感のある街のイメージができれば、人が集まり、 住民がより生き生きと楽しく暮らす街になってい きます。 そのためには、地域の皆さんの参加が必要で す。100 歳のおばあちゃんもはっぱっぱ体操を やっているということになれば、全国でも有名な 面白い街になると期待しています。 □編集後記□ この 『柏の葉スタイルNews』 では、 つくばエクスプレス 「柏の葉キャンパス」 駅を中心とした柏の葉地区の街づくり動向を、 関係者や参加者の夢や 情熱を交えて毎月伝えていきます。 住民や研究者、 地元組織、 民間企業が交流しながら街づくりが進む 「全員参加の街」 に、 ひとりでも多くの方が興 味を持ち、 街づくりプレーヤーが増えることを期待しています。 (小林) ● このニュースレターに 関するお問い合せ先 柏の葉アーバンデザインセンター(UDCK) 広報担当 小林、蛭川 〒277-8518 千葉県柏市若柴字元堂178-3柏の葉キャンパス駅前148街区3画地 TEL 04-7140-9686 FAX 04-7140-9688 E-MAIL ma-kobayashi@udck.jp WEB http://www.udck.jp

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01 Vol.2 UDCK ニュースレター 2009 年 6 月号 柏の葉エコクラブ エコでつながるコミュニティ、環境都市づくりを住民が牽引 各家庭で消費されているエネル ギーを計測し、省エネできた分だけ ポイントがもらえる 「柏の葉エコク ラブ」。柏の葉オリジナルの電力モ ニター装置を設置してエコ活動に 取り組むメンバーは、すでに90世 帯にも。 ひとりで我慢や無理をする のではなく、住民同士が集まってエ コアイディアを出し合い、仲間をつ くりながら、持続可能な環境都市づ くりを進める、柏の葉独自のエコ活 動となっています。 CO2削減量を家庭で見える化 自分たちの街に「あったらいいな」と思 節約とおしゃべりでエコ推進 家庭から出るCO2 の削減量に応じて、 う、楽しみの場やサービスを、市民が一 買い物などで利用できるエコ・アクショ 緒になって創りあげる「まちのクラブ活 ンポイントがもらえることに魅力を感 動」 。家でも会社でも学校でもない、もう じ入会したというのは、柏の葉キャンパ ひとつのコミュニティづくりとして、柏の ス駅前のマンションに住む瀬川未来さ 葉地域で展開されています。 ん(32) 。 「工夫次第で光熱費も減らせ、 その活動のひとつである「柏の葉エコ ポイントも貯まるので、楽しくやる気が クラブ」には、環境、省エネ・節約、ロハ 出ます。自然と省エネ意識が高くなりま スなどに関心のある市民、 90世帯ほどが した」というとおり、瀬川さんの家庭で 参加しています。メンバーは、各家庭で は、電気代がエコ活動前と比べて月間 消費される電気やガスなどのエネルギー 2,000 円以上も削減できたとか。 消費量を計測し、二酸化炭素(CO2)の 地域にエコ友達ができるのもクラブ 排出量を減らすための取り組みをしてい の大きな魅力。週に 1 回程度メンバーが ます。 集まる勉強会では、それぞれが持ちよっ 次世代環境都市づくりを目指して柏 た自家製パンケーキやリメイク・エコ の葉地区で都市開発を進めている三井 バッグなどがならび、さながらお茶会の 不動産グループも、当クラブの活動に協 雰囲気。 力し、電力使用量と CO2 排出量を測定 「エコ活動だって、楽しくなければ続き する装置「エコリンコ」を新たに開発。メ ません。エコについて気軽に語り合える ンバーに無償で提供することで、全国的 コミュニティをつくることが大切だと考 にも例のない「CO2 削減見える化プロ えました」 と、エコクラブの部長を務める ジェクト」 となっています。 國田かおるさん(29)はいいます。 家中の電球を10 個以上も外したという瀬川さん。 「これでも明るさは十分。 光熱費は大幅に削減できた」 省エネモニター装置 「エコリンコ」 は、家全体の電力 消費量 (左ランプと数字)のほか、個別の家電製品の 電力消費も計測することができる(中央と右)。 デー タはインターネット上に蓄積されるので、詳細な経 過グラフなども確認できる。

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Vol.2 柏の葉エコクラブ 仲間が集い・つながり・続ける 単なるエコ勉強会ではなく、エコを媒介 とした友達づくりと自己実現の場が、柏の 葉エコクラブ。交流を通じて気づきをもた らしてくれる場でもあります。 メンバーの瀬川さんは、 「クラブ活動に 参加することで、家庭にこもっていた毎日 から、外に出て積極的に知り合いを増や X-ingでは、手作り品や押入れに眠っていたモノな どが数多く並ぶ。出品者の思い出コメントも添えら れており、モノを大切に扱う気持ちが表れている。 ストール作りのワークショップ風景。クラブのメン バーが講師役を務めるほか、 「小さなお子さん連れ の方も気軽に参加してほしい」と、 託児も担う。 に、 「今まで地球温暖化やエネルギー問 よる野生動物の減少に心を痛めていたひ を物々交換することで、モノに対する意 題の話をテレビで見ても、難しくてあまり とり。活動に参加し、多くのメンバーと交 識の変化を狙った取り組み。クラブのメ ピンとこなかった。 『それで、どれだけ節 流することで、エコ知識が増え、これまで ンバーが講師になり、各人の特技を生か 約できるのか、楽しくなるのか』といった の生活習慣の中にある無駄に気づかされ したワークショップも開催します。 主婦目線でエコを理解できるのが、この たといいます。エコ知識と同時に、素敵 クラブの楽しさ」とも。 なエコ仲間も増えているようです。 すライフスタイルに変わりました。多様な 人との交流ができるのが楽しい」と。さら 柏市松葉町在住でクラブ活動に参加す (エコ)だから」というメッセージが込 所有から共有へ る板倉利恵さん(42)は、 「炊飯器を使っ められています。これを機に新たにクラ たケーキ作り教室をクラブで開き、講師役 柏の葉エコクラブは、メンバー以外に を務めます。メンバーが好きなことや得意 も広く市民にエコへの関心を高めてもら なことを披露し、分かり合える。楽しくて、 おうと、誰もが気軽に参加できるイベン このクラブの活動にはまっちゃいました」 ト「X-ing(クロッシング)えこものわざ と笑います。 交差点」を6月から約1ヵ月間、柏の葉 クラブ発足当初からのメンバーである アーバンデザインセンターで開催してい 金田由希さん(33)は、温暖化の影響に ます。思い出の詰まった愛着のあるモノ ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● イベントには「自分たちの住んでい る街を快適にしたい、それがきっと笑呼 ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ブ登録する人で、エコの輪はますます拡 大していきそう。 柏の葉エコクラブへの参加やイベント情報の問 い合わせは、 [TEL]04-7137-2221 [E-MAIL]eco@kcvn.net [WEB サイト]http://www.kcvn.net/eco/ ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● キーパーソン・トーク 環境対策は、街づくりとライフスタイル は「ご近所・地域の見える化」、つまり地域 を一体化させて取り組むことが大切です。 コミュニティづくりです。人と人がつなが 柏の葉キャンパス地区は、先進的な技術を り、情報やモノを共有し、活動を継続させ たくさん取り入れた、次世代環境都市づく ていくことのほうが、より効果が大きく持 りが進められています。ハードの環境対策 続可能なエコ活動となるのです。食事も一 だけではなく、住民が生活の中でエコを楽 人で食べるより、皆で食べるほうが、エネ しんで考え、行動できるライフスタイルづく ルギーやコストを削減できます。 りが必要だと考え、柏の葉エコクラブの活 動を始めました。 ここの地域は、3年後に1万人が在住する 街になります。エコクラブのメンバーも現在 省エネ計測装置の導入で、 「CO 2削減の の90世帯から、近いうちに300人、さらに将 見える化」による住民の意識変化が現れて 来的には10,000人の規模にして、人とつな います。ただ、このクラブの本当のポイント がるエコの楽しさを広めていきたいです。 國田かおる 柏の葉エコクラブ部長 京都大学大学院で環境政策を学び、2004 年に 松下政経塾に入塾。 環境カウンセラー、省エネア ドバイザーの資格を有し、現在は株式会社藤崎 事務所で環境コンサルティングを行っている。旅 行で排出したCO2 をオフセット(相殺)するため の情報発信団体「Carbon to Forests」の代表 も務める。 □編集後記□ エコ活動にも色々なものがありますが、 我慢せず無理せず、 楽しく取り組めるものだけが、 続いていくのでしょうね。 このニュースレターも、 無理せ ず毎月発行を続けていきます。 「エコのために、 紙ではなくデータでほしい」 という方は、 お気軽に下記の問い合わせ先に連絡ください。 (小林) ● このニュースレターに 関するお問い合せ先 柏の葉アーバンデザインセンター(UDCK) 広報担当 小林、蛭川 〒277-8518 千葉県柏市若柴字元堂178-3柏の葉キャンパス駅前148街区3画地 TEL 04-7140-9686 FAX 04-7140-9688 E-MAIL ma-kobayashi@udck.jp WEB http://www.udck.jp

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01 Vol.3 UDCK ニュースレター 2009 年 7 月号 千葉大学 柏の葉カレッジリンク・プログラム 大学の知的資産が、市民のライフスタイル充実や地域活性に生きる 柏の葉キャンパスシティには、 その街名を 象徴するように地域全体を学びのフィール ドとする、千葉大学主催の社会人学習プロ グラムがあります。環境、健康、食といった身 近なテーマの下に、大学の研究者と市民が 集まり、 より良い地域環境やライフスタイル を探ります。農作業体験や新たな空間計画 の構想などを通じて、共に学びあう関係が強 まり、血縁や地縁ならぬ“知縁”という新たな コミュニティ形成にもつながっています。 考え、選択し、生活の質を高める 「野菜作りは子育てと同じです。子育 てを手抜きして、病気になる前から大量 の薬を子どもに飲ませる親は良くないで すね。でも、病気になっても薬を一切飲 ませないとなると、それも問題です」 これは、千葉大学環境健康フィールド 「化学農薬は悪」という一般的な先入観 から視野を広げ、リスクとメリットをうま く生活の中に取り入れて暮らしの質を高 める、 という発想転換が生まれます。 プログラムは概論コースや専門コース といった生産・加工・消費のプロセスを 学生など、幅広い年齢層の約30人が受 農場で野菜を収穫し、料理して食べる、 専門家と一緒に体験します。 「美味しく安全なものを安価で」とい 講し、 「健康と予防医学」 「食と農」といっ う消費者の一方的な立場でしか見てい ショップ形式で講師と共に考え、仮説を れ、 苦労して育ててみることで、 新しい視 た暮らしに関わる問題を題材に、ワーク 立て、地域活動を通して検証する、従来 にない学習スタイルとなっています。 たとえば「食と農」について考える際、 化学農薬のリスクとメリットを理解したう えで、 食の安全性や生産コスト、 食料自給 率、食文化、生産や流通過程でのCO2 排 出量など、複雑に絡み合う諸課題をどの ように考えるのか、議論が進みます。講 師の専門的なアドバイスを受けながら、 いく、 ということも必要なのですね。 講義の後にはすぐ実習。先ほどの「食 と農」をテーマとした回でも、受講生は など3つのクラス編成。会社員や主婦、 物を適正価格で購入し、生産者を支えて 学んだことは即、実践 科学センターで行われている柏の葉カ レッジリンク・プログラムのひとコマ。 だけにこだわるのではなく、地域の農産 なかった野菜に対しても、自分で土に触 スモモの収穫体験。長時間見上げる姿勢が続くと、 首や腰が痛みだし、農作業が想像以上に重労働で あることが実感できる。 点が生まれます。 受講生の徳永忠之さん は、 「自分たちが食べているものが、どう いうプロセスを経てできているのかが良 く分かった。気軽に消費している農産物 が、 いかに価値があるのかを実感した」 と 話すように、食卓から地域の農業や環境 を考えるきっかけとなっているようです。 安全で美味しい食環境を持続させて いくためには、消費者として安さや規格 自分たちで採ってきたばかりの野菜を早速調理。普 段料理をしないので戸惑っている男性に対しては、 「キッチンに立つと、食や環境を考えるきっかけにな るばかりか、家庭円満にもつながる」 と講師からのア ドバイスも。

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Vol.3 千葉大学 柏の葉カレッジリンク・プログラム 受講生が地域に羽ばたく 異なる人たちとの交流は、日常生活には 中には、耕作放棄された地域の農地を カレッジリンク・プログラムで学んだこ 新たに耕し、市民のための体験農園を誕 ない貴重な機会。 とを暮らしの中で実践し、生活の質を高 生させようと奮闘する動きも。農業体験 「農業に関する新規ビジネスを検討して める人が増えることは、地域全体の環境 を通じて自然や食を大切にする暮らしを いる。ここで身に付けた知識や人間関係 改善、活性化につながっていきます。さら 学び、地域の魅力を再発見する市民を増 を生かしていければ」という参加者もい に受講生の中からは、街づくりに関わる やしたい、という目的の下に受講生の有 るように、このプログラムから新たなマイ 事業やプロジェクトに自主的に参加し、 志が集まり、野菜作りに挑んでいます。 クロビジネスが立ち上がる可能性も。 地域で活躍する動きが広がっています。 現在専門コースの前期課程では、千葉 新規ビジネス誕生の可能性も 柏 の 葉 アーバ ン デ ザイン センター 大学環境健康フィールド科学センターの (UDCK)で行われている「まちづくりス 「仕事だけの交友関係だと視野が狭くな 敷地内で市民体験型の実証実験スペー クール」のサポートスタッフとして協力す る。このプログラムに参加することで、仕 スを新たに創り上げる構想案を、受講生 る人、まちのクラブ活動を新たに立ち上 事にはない出会いが生まれ、考え方の幅 が検討中。今秋から始まる後期課程で げる人、地域環境を考えるイベントの企 が広がった」と参加者の高橋浩之さんが は、漢方などの東洋医学を柱としたプロ 画・運営に携わる人。 語るように、年齢もバックグラウンドも グラムを展開する予定とのことです。 9月には、前期課程で検討された構想 案の公開発表と、後期課程のプログラム 説明会が開催されます。この機会に、カ レッジリンク・プログラムの雰囲気を体 験してみては。 柏市長が校長を務める「まちづくりスクー ル」では、カレッジリンク受講生の3人が企 画・運営のサポーター&ファシリテーターと して活躍している。 ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● 問い合わせは、千葉大学 柏の葉カレッジリン ク・プログラム運営事務局(柏の葉アーバンデ 市民のための体験農園づくりが始まっている。カレッジリンク受 ザインセンター内)[TEL]04-7140-9686 講生でもある柏たなか農園の松本庸史代表に指導を仰ぎ、荒地 の草刈からはじまった耕作も、 現在は順調に野菜が育っている。 [E-MAIL]c-link@udck.jp ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● キーパーソン・トーク カレッジリンク・プログラムは、大学が中心となっ て地域と連携し、市民と共に学びあい成長していく います。 このような活動は持続性が大切です。一般的な ことが最大の特徴となっています。大学の知的資産 市民活動は、特定の問題解決に向けた取り組みであ 的・文化的な刺激が生まれ、生活の質を高めていく ます。一方このカレッジリンク・プログラムは、 「市民 を地域に開放し、市民と研究者が交流することで知 ことに繋がります。 市民が地域に関心を持ち、主体的にアイディアを 出しながら動いていくことで、新たな交流や活動が 生まれ、街が活性化し魅力あるコミュニティが形成 り、その目的が達成した時点で活動の役割は終了し 生活の質の向上」という永遠の目的に向けて、食と 農、環境とまちづくり、健康と予防医学、スポーツコ ミュニティなど、複合的な課題を考えていきます。 ここでの学習経験を、家庭の暮らしの中で生か されていくのです。また、大学側としても、従来の専 していく人もいれば、マイクロビジネスを立ち上げ 活現場のアイディアを市民交流によって吸い上げ研 受講生のそれぞれの立場や目的にあわせて活動の 門領域に閉じた研究体制の壁を壊し、リアルな生 究に反映させる「市民科学」を確立したいと考えて たり、大学院に入って研究テーマを追求したりと、 幅を広げてほしいです。 上野 武 千葉大学教授 建築設計が専門で、千葉大学 キャンパ ス整 備 企 画 室 長とし て、キャンパス計画や環境マネ ジメントにも取り組んでいる。 柏 の葉で千葉大学のサスティナブ ルキャンパスの実現を目指し、 地域との連携共創の仕組みとし ての柏の葉カレッジリンク・プ ログラム開発に参加。 □編集後記□ 今回、取材のために私もカレッジリンクに参加しましたが、収穫時期や土の状態で味も姿も日々変化する野菜を見ると、 「野菜も生き物である」 という当たり前のことが実感できました。野菜の命を大切にする想いが、 食の安全性や“もったいない”精神を培っていくのでしょうね。 (小林) *「カレッジリンク」は村田アソシエイツ(株)の登録商標です。 ● このニュースレターに 関するお問い合せ先 柏の葉アーバンデザインセンター(UDCK) 広報担当 小林、蛭川 〒277-8518 千葉県柏市若柴字元堂178-3柏の葉キャンパス駅前148街区3画地 TEL 04-7140-9686 FAX 04-7140-9688 E-MAIL ma-kobayashi@udck.jp WEB http://www.udck.jp

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01 Vol.4 UDCK ニュースレター 2009 年 8 月号 ドリームフラワープロジェクト 生ごみが花になる!公民学が連携した資源循環型社会づくり 柏市内の小中学校は日々ごみの削 減に取り組んでいますが、給食の食 べ残しや調理工程で捨てられる野菜 の切れ端など、 どうしても排出されて しまう生ごみがあります。 この生ごみ を学校から回収し、堆肥にリサイクル 処理した上で、 もとの学校に還元。 さ らに、生成された堆肥を使って子ども たちに花を育ててもらう資源循環の 取り組みが始まっています。 生ごみは貴重な資源 柏市立田中北小学校の校庭にある花 壇では、現在、児童が絵柄をデザインし て植栽したパンジーやマーガレットなど 施、モデル校として田中北小学校と柏第 八小学校が参加しています。 花壇が環境学習の最前線 これまで学校の花壇は、主に教頭先 の花々が咲いています。この花壇の肥料 生が花の選定から植栽・管理まで行って を堆肥化したもの。 でした。ドリームフラワープロジェクト は、自分たちの学校給食から出た生ごみ 柏市十余二に事業所を置く廃棄物処 理・リサイクル業者の山本産業が、市内 小中学校から収集運搬業者により搬入 された生ごみを破砕・乾燥など一次処理 し、さらに提携する肥料メーカーに運ん で発酵など二次処理して堆肥化した後、 市内に持ち帰り、園芸農家や学校で使っ てもらう資源循環活用の仕組みをつくっ 場の見学で、生ごみから堆肥が生まれる 現場に遭遇したとき、児童は目の色が変 わり高い関心を示したとか。そこで先生 方が山本産業に協力要請し、プロジェク トが始まりました。 学校では花壇づくりのほか、小松菜や おり、児童にとっては単なる「観賞の場」 水菜も育成。栽培環境が整っている千葉 は、児童が花壇のデザインを行い、生ご の掲示板を使って双方の成長過程を写 み堆肥を使って生き物である花を育てる ことで、花壇が環境問題を考える「学習 の場」となっています。 田中北小では、4年生を対象に総合学 習の時間の中で、 「ごみとリサイクル」を テーマに学習。清掃工場やリサイクル工 大でも同品目を育成し、インターネット 真で比較していくと、野菜の育成状況に は大きな差が。 「なんで僕たちの小松菜 は成長が遅いの!?」という児童の質問 に、千葉大の先生がインターネットを通 じて答えていくなど、活発な意見交換が 行われました。 ています。 一昨年から市内の小中学校3校を対 象に生ごみ処理を始めた堆肥化事業は、 昨年度には46校までに拡 大。同時に、 児童がこの堆肥を使った花壇づくりを 行い、生ごみが単なる「廃棄物」ではなく 「資源」として利用価値があることを学 ぶ「ドリームフラワープロジェクト」を実 同じ日に種をまいた小松菜と水菜を、田中北小(写真左)と千葉大(写真右)とで育成比較。あまりの違いに、 児童には「なぜ?どうして?」といった疑問が生まれ、自然と園芸・環境学習への関心が高まる。

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Vol.4 ドリームフラワープロジェクト は、できあがった肥料の成分分析や専門 花壇がつなぐ地域連携の輪 的指導、植栽用苗の提供などの協力をし てもらい、公民学の協働の輪が広がって このプロジェクトにおいて、市民ボラ います。 ンティアや千葉大学の協力は欠かせませ ん。市民団体の「千緑会」や地域ボラン 花と児童を育てるボランティア ティアの方々は、花壇デザインを作成する 上でのアドバイスや、植替え・定植・手入 柏第八小では、これまで花壇の管理を れの方法について児童をサポート。 「地域 する「栽培委員」は児童に最も人気が少 の方に学校へどんどん入ってもらいたい」 ない委員会だったとか。花壇の水やりや 田中北 小でも、プロジェクト参加を と、田中北小では玄関の隣の教室を開放 草むしりは、児童にとって地味な作業に きっかけに児童の環境に対する関心や自 し自由に使ってもらっています。 思えるもの。それがドリームフラワープロ 主性が高まったようで、笹間ひろみ教頭 市民ボランティアの方々にとっては、子 ジェクトを始めたところ、自分たちのデザ は「千葉大の先生やボランティアの方々 どもとの交流を通じた生きがい創出や、 インに彩られた花壇が注目の的となり、 と児童とが積極的に交流し、パソコン操 園芸作業を通じた心身健康づくりの機会 栽培委員は一躍人気者に。今では栽培 作の理解も深まるなど、生きた学びの機 となっているようです。また、千葉大から 委員への立候補者も増加中とのこと。 会となりました。今年は堆肥を使った野 山本産業の生ごみリサイクルプラント 菜づくりにも力を入れたい」と意気込み ます。 「将来的には、ドリームフラワープロ ジェクトの対象校を市内全校に広げた い」と夢を語る山本産業の大沼隆さん は、続けて「そのためには、今より多くの ボランティアの力が必要になります」と、 市民にプロジェクト参加を呼びかけてい 生ごみからプラスチック類など異物を取り除き、破砕して乾燥。 剪定枝チップや肥料成分をまぜ数ヵ月間、発酵熟成させると良質な有機肥料となる。 ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ます。 ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● キーパーソン・トーク 生ごみはリサイクル処理することで、廃棄物から 資源に変わります。それを地域内で資源循環させる 用した花壇の「景観づくり」に止まらず、環境時代 がります。自分たちが排出したものが地域でリサイ ティの活性化」にも寄与したいと考えています。現 ことで、環境負荷の軽減や新たな事業の創出に繋 大沼 隆 クルされ、それを堆肥として購入し、花を育てる。ま 山本産業株式会社 2006 年に山本産業に入社し、 営業 活動・広報 活動・運行管 理を務める。地域社会に貢献す る廃棄物処理・リサイクル業者 の新たなあり方を模索し、従来 の 堆 肥 化 事 業をドリームフラ ワープロジェクトに進 展。地 域 の大学、小中学校、行政、農家と の連携を進めている。 私たちはこのプロジェクトを、生ごみ堆肥を利 さに資源の「地産地消」の取り組みです。 を迎えた今日の「食の安全保障」や「地域コミュニ 在は生ごみ堆肥化の処理工程において、一部を市 外の提携業者に委託していますが、将来的には同 当初、堆肥化した肥料を市内の農家に持って 地域内での一貫処理を実現することが目標です。 度も農家に足を運び、草むしりなど農作業を手伝 は、一朝にできるものではありません。千葉大学と が構築され、少しずつですが肥料を使ってもらえ 時間がかかっても地域に信頼される、安心・安全・ 行っても警戒され、使ってもらえませんでした。何 い一緒に泥まみれになることで、徐々に信頼関係 るようになりました。 ただ、農家の方々に信頼される良質な肥料づくり の共同研究を進め、実績を積み重ねていくことで、 確実な「モノづくり」として取り組んでいきます。 □編集後記□ 自分が育てた花が枯れてしまうと、 泣き出してしまう児童もいるとか。 このプロジェクトが環境教育の枠を越え、 「命を育てる」 という情操教育の場 にもなっているようです。 ここでは生ごみが、 肥料となって植物を育てるばかりか、 子どもを育てる資源にもなっていると感じます。 (小林) ● このニュースレターに 関するお問い合せ先 柏の葉アーバンデザインセンター(UDCK) 広報担当 小林、蛭川 〒277-8518 千葉県柏市若柴字元堂178-3柏の葉キャンパス駅前148街区3画地 TEL 04-7140-9686 FAX 04-7140-9688 E-MAIL ma-kobayashi@udck.jp WEB http://www.udck.jp

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01 Vol.5 UDCK ニュースレター 2009 年 9 月号 柏の葉ペタンククラブ 柏の葉をペタンクのメッカに!競技を通じて住民交流と健康づくりを促進 国内ではあまり馴染みのないボー ルスポーツ「ペタンク」が、千葉県柏 市柏の葉キャンパス地区で盛り上が りを見せています。市内で初となるペ タンク専用コートが駅前に整備され たほか、来年秋に開催される千葉国 体では柏市がペタンクの開催地に決 定。地元住民が集まるクラブ活動も 発足し、 ペタンク競技を通じて交流と 健康を促す地域づくりが行なわれて います。 フランスの国民的スポーツ ペタンクは、1910年に南フランスで生 まれた球技です。4m 15mのコートを 使い、定位置から野球ボール大の金属球 を目標球(ビュット)に近づくよう投げ得 イナーなスポーツ。柏の葉キャンパス地 すが、よく歩く競技なので健康維持にも 開発が進む新しい街の象徴にしようと、 葉のように、“健康”や“交流”をテーマに 区では、この目新しいスポーツを、都市 今年8月に全国でも数少ないペタンク専 用コートを駅前に開設しました。 ペタンク普及活動の中心を担うのは、 点を競います。もともとは助走をつけて 柏市内で22年前に結成された「柏市ペ 人でも参加できるよう、全員が同じ場所 が指導員の資格を有し、市民にペタンク 投球するゲームでしたが、足の不自由な から投球するようになり、フランス語で 両足を揃えることを意味する「ピエタン ケ」が変化して現在の「ペタンク」と呼ば れるようになったとか。 老若男女を問わず少スペースで気軽に プレーできるほか、たった一球で形勢を 変えたり、大量に得点を取得できる面白 力的なハンディはないため、誰でも気軽 に楽しめる。一方で、集中力や高度な戦 略・技術を必要とするため、奥が深い」と ペタンクの魅力を教えてくれました。 の競技人口は5万人程度と、まだまだマ サークルの中から狙いを定めて投球 当協会には現在、30代から70代まで フランスで開かれた世界大会に出場す 日本でもペタンク人気は徐々に高まり ポーツなのです。 平さん(69)は、 「ルールがシンプルで体 ピュラーなスポーツとなっています。 密かなブームになっていますが、全国で とって、ペタンクは非常に相性の良いス の楽しさを伝えています。会長の藤本新 の幅広い世代の男女が集まり、毎週末、 街づくりにペタンクを活用 街づくりが進む柏の葉キャンパス地区に タンク協会」 。約20人の会員のうち15人 さがあるため、発祥国フランスでは競技 人口が500万人を超え、ヨーロッパのポ つながっています」という藤本さんの言 ともに汗を流しています。その実力は、 るほど。藤本さん自身も、仕事と両立さ せながら年間20以上の大会に出場する ツワモノ。 「全国各地で開催される大会 に出場することで、他県の人と交流でき るのも楽しみ。週末2日間だけの運動で 色のついた目標球に最も近づけたチームが勝者

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Vol.5 柏の葉ペタンククラブ 験会が開かれ、約50人もの地域住民が 千葉国体がペタンク普及の追い風に 参加。柏市ペタンク協会の指導を受け ながら、投げ方の練習やゲームを行ない この地でペタンク普及の追い風となって ました。和やかな雰囲気で談笑しながら いるのが、2010年秋に開催される千葉国 も、投げる時の表情は真剣そのもの。 体の存在。この国体でのデモンストレー ション行事としてペタンクの実施が決ま 夫婦や家族がそろって参加 り、さらに競技開催地として柏市が選ばれ このペタンククラブ、夫婦や家族での たのです。大会を機に一気に盛り上げたい と、地域住民はペタンククラブを発足させ 参加も多いのが特徴です。男女間や年 8月15日には、クラブ発足を兼ねた体 のようで、家族間でのコミュニケーショ 体験会の後はビールとおつまみでご近所交流 一見簡単そうに見えますが、実は戦略や 齢によるハンディがないことがポイント ました。 テクニックを磨くことで一層楽しくなる、 奥が深いスポーツなんですよ。 ンを図るツールとしても活用できそう。 次回のペタンククラブの体験会は、9月 都心部では消えかけている「地域の子 どもと高齢者との交流」が、ここでは普 12日に開催。今後も月一回、体験会を実 体 験 会に参 加した野 村 志 津 絵さん ンクで汗を流した後は、ビール片手にご 施する予定とのこと。スポーツの秋にペタ 通に見られました。 近所同士で秋の長夜を楽しむ。そんな姿 (60) は 「女性でも気軽に楽しめ、夫婦で が柏の葉スタイルとして定着しそう。 一緒に取り組めるのがいい」 と虜になっ た様子。今回実際に夫婦で参加した山口 ペタンククラブの詳細は Web サイト 恵美さん(32)は「思ったより簡単で、主 ペタンク競技姿の 「チーバくん」 は、2010年ゆめ半島 千葉国体のマスコットキャラクター ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● http://www.kcvn.net/petanque 人もやる気満々」 と早くもプレーに手ごた 入部や体験会の申し込み・問い合わせは えを掴んだようです。でもこのペタンク、 ● ● ● キーパーソン・トーク ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● 04-7137-2221(まちのクラブハウス)まで。 ● ● ● ● ● ● い駅前に専用コートができ、住民交流が活発なク 員には皆、指導員の資格を取ってもらっています。 市内でのペタンク競技人口は、現在まだ50人程 には競技人口を今の10倍にまで増やしたいと考え 活性化にもつながるという特徴があります。これら のペタンクの魅力を街づくりに活用しようという柏 ● ● ● ● ● クファンは確実に増加していくでしょう。 軽に体験できる企画を実施しています。 楽しめ、また競技を通じて健康増進や地域交流の ● ラブ活動が立ち上がったということで、今後ペタン 度と決して多いとは言えません。ただ、柏の葉キャ ペタンクは、いつでも・どこでも・誰でもプレーを ● り、多くの学生が街に訪れています。居住人口の多 毎年5月に全国大会、9月に市民大会を開催してい るほか、地元のイベントやお祭りの際は、親子で気 ● この地域は、都市開発によって人口増加が続くと ち上げ、現在まで毎週末、柏市内の多目的広場でプ でなく普及活動にも力を入れ、新しく入ってきた会 ● いものです。 聞いています。また周囲には大学のキャンパスがあ レーを楽しんでいます。協会では、技術の向上だけ ● の葉キャンパス地区の取り組みは、非常に興味深 23年前にペタンクと巡り合い、その魅力の取り 付かれてしまいました。翌年には友人らと協会を立 ● ンパス地区での普及活動を重点的に行い、5年後 藤本 新平 柏市ペタンク協会 会長 ています。将来的には、この地をペタンクのメッカ として全国に発信していくことで、多くの来街者が 集まりペタンクを通じた交流が生まれる、活気あ る街になっていくのではないでしょうか。 □編集後記□ 休日のお父さんは、 家でゆっくりしたいもの。 でも、 柏の葉では、 家族そろって外に出て皆と交流してほしい。 そんな想いから企画された今回のペ タンク体験会は、 「ビールでも飲みながら夕涼みに来て」 という誘い文句が絶大な効果を発揮したとか。 かくいう私も、 ビールにつられて取材に行っ たひとりです。 (小林) ● このニュースレターに 関するお問い合せ先 柏の葉アーバンデザインセンター(UDCK) 広報担当 小林、蛭川 〒277-8518 千葉県柏市若柴字元堂178-3柏の葉キャンパス駅前148街区3画地 TEL 04-7140-9686 FAX 04-7140-9688 E-MAIL ma-kobayashi@udck.jp WEB http://www.udck.jp

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01 Vol.6 UDCK ニュースレター LKCC 2009 年 10 月号 〜Leaf of Kashiwa Climbing Club〜 街のクライミングウォールが地域住民の交流拠点に ららぽーと柏の葉の中庭にそびえ立つ 高さ約12mのクライミングウォール。 地 域 住 民にクライミングを通じたコ ミュニケーションを楽しんでもらいたい と、街に提供されたこのウォール。運営 するのは、非営利のボランティア組織 「LKCC」。気軽に参加できる体験会の 参加費は300円という破格の安さ。参 加者とともに、運営に携わるメンバーも 拡大しており、新たな地域コミュニティ のあり方として注目を集めています。 年齢・性別・体力、関係なし! フリークライミングは、自分の手足だ けを頼りに壁をよじ登っていくスポー ツ。腕力のある大 人だけが楽しめるス ポーツと思われがちですが、それは誤 め、初心者にも大人気。これまでに下は で手元が震えるケースも多いとか。それ でが参加しています。 に声援やアドバイスを送る立派なビレイ 4歳の子どもから、上は75歳の高齢者ま 命綱がつなぐ信頼関係 ヤー)とがペアになって楽しむスポーツ。 で、新たなチャレンジの大 切さを実 感 登るか」という戦略が重要となり、頭と お互いが責任をもって安全を確保するた で、自分なりの目標を設定してチャレン ジすることができ、性別・年齢・経 歴を 超えた仲間が広がります。 このフリークライミングを通じて、 地域 コミュニティの形成を図ろうと組織され たのがLKCC。 NPO法人 「健康まちづくり ネットワーク」 (千葉大学環境健康フィー ルド科学センター内)のもとに発足し、ク ライミングウォールの管理とイベントの 実施、技術安全指導を行っています。 毎月第3日曜日に「体験会」、毎週土曜 日に「親子教室」、金曜日に「レディース &シニア講習会」を開催。LKCCのベテ ランクライマーが丁寧に教えてくれるた ただ、LKCCの渡辺敏規さんは「下か ら応援するだけでなく、親も実際に登っ マー)と、命綱を地上で支える人(ビレイ 体全身を使います。子どもから高齢者ま ヤーに成長します。 フリークライミングは、登る人(クライ 解。体力だけでなく、バランス感覚や体 の柔軟性、そして「どのようなルートで でも、何度か練習するにつれて、子ども め、信頼関係の強いコミュニケーション が 生まれます。 「クライ てほしい」と訴えます。登ってみること し、子どもと同じ目線でコミュニケーショ ンが図れるようになると言います。 ミングは決して孤 独な スポーツではありませ ん。クライマーは下から の応援が励みになる。ク ライマーが登頂すれば、 ビレイヤーも一緒になっ て喜びを共感できる」と 語るのは、LKCCの高梨 美奈さん。 親 子 教 室 で は、親 が 子どものビレイヤーとな ります。はじめて子ども の命綱を握る親は、不安 目がすくむような高さに、はじめは誰 命綱を握るビレイヤーは常に真剣 「もう一息だよ、がんばろ もが不安になる。その分だけ、頂上ま そのもの。 とクライマーに声援を送る。 で登りきったときの達成感は格別。 う!」

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Vol.6 LKCC 〜Leaf of Kashiwa Climbing Club〜 クライミングは、動かない岩を相手に、自 教育現場としてのクライミング 分の力だけで課題解決を目指すもの。対 戦型のボールスポーツとは異なり、自らの 最近フリークライミングは、チームビル ペースで楽しめるため、視覚障害者にとっ ディングやコミュニケーション教育にも効 て最適なスポーツなのだとか。 果的と注目されています。LKCCでも、子 今回の体験スクールを共催したNPO法 ども会、サークル活動、企業のイベント、 研修、自治会など、様々な団体の参加を 人モンキーマジックの代表を務める小林 「安全にみんなが楽しめるよう、参加 覚障害者も一般健常者と一緒に同じルー 幸一郎さんも、視覚障害者のひとり。 「視 受け入れています。 者にはルールとマナーを尊重してもらっ いても大切なものですから」と語るのは、 ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● フリークライミングは、一見すると危険なスポー [WEB サイト] ● ● ● http://www.lala-climbingclub.com/ ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● が分担して行っています。ウォールを使用する際は 必ず、LKCCメンバーが2人以上いることを条件と しています。 LKCCは現在20人程度の小さな組織ですので、 ツ。そんな設備をショッピングセンターの中につく 体験会などウォールを使用できる機会も限られて はじめは反対意見もありました。ただ、柏の葉キャ ルを常時使用できる状態にしていきたいと思って り、さらに街に開放するという試みは前例がなく、 ンパス地区は大規模開発が進み、新しい街づくり が積極的に行われている場所であり、地域コミュニ ティを創る重要性は皆さんの共通認識でした。そ LKCCの発起人である千葉大学 の 徳 山 郁 夫 教 授 に 誘 わ れ、 LKCC に加入。 体験会では、ス タッフとして市民にクライミング の楽しさを伝えている。LKCC 以外では、柏市人材育成事業に ファシリテーターとして関わる ほか、健康運動指導士として主 に中高齢者の健康をサポートし ている。 合わせは [E-MAIL] LKCC@hotmail.co.jp 通う伊藤瑛里香さんは、今回がフリークラ キーパーソン・トーク 高梨 美奈 LKCC の体験会などへの参加申し込み、問い ライミングの虜になった様子。同じ大学に た体験スクールが開催されました。フリー ● 翌年2月27日にも開催される予定です。 なります。今後も参加したい」と、フリーク 9月19日には、視覚障害者を対象とし ● 障害者向けの体験スクールは、11月14日、 プで支えてくれる仲間がいるのが励みと 視覚障害者もチャレンジ ● 成の喜びを笑顔で語ってくれました。視覚 錯誤して目標に進むところが面白い。ロー も多いですよ」 ● けしてくれたおかげで登りきれた」と、達 クールに参加した有安諒平さんは、 「試行 の喜びをみんなで共有する。考える要素 ● くて不安だったけど、みんなが下から声が 登りきってしまったツワモノ。 「はじめは怖 筑波技術大学の学生で、今回の体験ス 敗を恐れずにチャレンジし、達成したとき ● れることにチャレンジし達成することは、 る」と小林さんは説明してくれました。 の上で、参加者が自分の目標を設定し、失 ● イミング初体験にもかかわらず、頂上まで 視覚障害者にとって大きな自信につなが LKCC創立メンバーの梶谷昌生さん。 「そ ● ルで楽しむことができるため、双方の交流 や理解促進につながる。一見無理と思わ ています。この心構えは、社会生活にお ● 体験会では、スタッフが丁寧に教えてくれるので初 心者でも安心。 いますが、将来的にはメンバーを増やして、ウォー います。そのためには、地域の方々のさらなる理解 と協力、そして参加が不可欠となります。 体験会ではじめてクライミングに触れ、その楽 のため、私たちの活動を理解し応援してくれる方々 しさの虜となって継続参加していた人が、今では コミュニケーション装置として機能し、この街のシ る、そんな流れが最近増えています。ボランティア も多く、今ではこのクライミングウォールが、市民の ンボルとなっています。 この活動を継続させていくために、日頃から安 全面には特に気をつけています。ウォールの整備、 点検、クライミング時の安全確保、ショッピングの お客様との間の交通整理などを、LKCCのメンバー LKCCのメンバーとして運営にも携わってくれてい と聞くと、なんだか堅苦しく大変なイメージが強い ですが、LKCCは「みんなで一緒に楽しむ」が基本 姿勢です。1人でも多くの方に参加してもらい、クラ イミングを楽しむネットワークを拡大させていき たいと思っています。 □編集後記□ LKCCのメンバーは皆さん、 スラリとしたスタイル。 「クライミングは全身を使うから、 体が引き締まるんだよ」 と、 そのヒミツを教えてくれました。 ま ちづくりのキーワードに“健康・交流”を掲げている柏の葉にとって、 まさにピッタリのスポーツですね。 (小林) ● このニュースレターに 関するお問い合せ先 柏の葉アーバンデザインセンター(UDCK) 広報担当 小林、蛭川 〒277-8518 千葉県柏市若柴字元堂178-3柏の葉キャンパス駅前148街区3画地 TEL 04-7140-9686 FAX 04-7140-9688 E-MAIL ma-kobayashi@udck.jp WEB http://www.udck.jp

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Vol.7 UDCK ニュースレター 千葉大学予防医学センター 2009 年 11 月号 救命AED講習プロジェクト 地域住民1万人に救命教育を!市民同士が命を支えあう 「家族や友人が突然心臓マヒで倒れ てしまったら…」そんな万が一の時に も、市民が適切な応急手当を施してお 互いの命を救いあえる街をつくろうと、 千葉大学予防医学センターが柏の葉 地域で市民参加プロジェクトを開始し ました。心肺蘇生法やAED(自動体外 式除細動器)の使い方を教える講習会 を各所で開催。2012年3月までに1万 人に参加してもらい、柏の葉地域の救 急蘇生率を全国トップレベルに引き上 げることを目指しています。 大切な人の命を救う両手 10月6日、柏市立田中中学校での救 講習は楽しく、実践は真剣に この救命教育プログラムが新しいの 命AED講習の終了時、先生の挨拶で「み は、練習人形だけではありません。講義 手に生まれ変わりました」と話すと、生 寸劇までも披露します。特筆すべきは、 んなの両手は今、大切な人の命を救える 徒は皆、自信と責任感に満ちた大人っぽ い表情で、自分の両手を見つめていまし た。 この日の講習は、田中中学の1年生全 生 徒、約140人 が 体育館に集まって参 加。従来の救命教育は、1体の練習用人 形を複数人で取り囲み、順番に心肺蘇生 法を学ぶもの。それがここでは、140体 もの人形が用意され、各生徒が自分専用 の人形で繰り返し練習。 従来型の練習用人形は、全身型で1体 が50〜60万円もする高 価なものでし や実習だけでなく、救命現場を再現した ユーモアのセンス。寸劇のストーリー設 定や登場人物が工夫されており、思わず 笑ってしまう場面も。 講 習を受けた 壇 裏 萌里さん(12)は 「AEDのことは今まで 知らなかったけ ど、楽しく学べて何度も練習したので、い ざという時にも慌てずに として約20年間の現場経験を有し、現 在は国際医療福祉専門学校で救急救命 学科の学科長を務める、救命教育のプ ロ。これまでの教育経験を生かして、講 習時間もひと工夫しています。消防機関 などが行う救命講習は、短くても3時間。 それをここでは、受講対象に応じて集中 力が続く長さ、学校の1時限の長さなど 考慮し、独自プログラムとしてカスタマイ ズしているのです。 て話してくれました。子ど もたちの心をしっかりと つかんでいたようです。 救命AED講習プロジェ クトの中心人物であり、 なり、今回のような新しい救命教育の実 葉 大 大学院 生の増茂 誠 施が可能となったのです。 いを語ります。実は増茂さん、救急隊員 できると思う」と胸を張っ た。それが、ノルウェーで上半身型の人 形が開発され、1体5千円程度と廉価に は真剣に、でも講習は楽しく」と、その想 講師としても活躍する千 二さん(41)は「救命現場 ノルウェー製の練習用人形。心肺 蘇生法を学ぶために必要な上半身 のみの形にすることで、低価格化 が実現した。 講師が自ら役者となり、救命現場を 再現した寸劇を披露。子どもたちは 真剣な眼差しで見入っていた。

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Vol.7 千葉大学予防医学センター 救命率は1分ごとに約8%低下 救命AED講習プロジェクト AED。突然の心停止など血液を流すポン います。しかし、教育現場では指導者不 を与えて正常なリズムに戻す医療機器で 救命教育は進んでいません。 足や資器材不足などの理由から、十分な プ機能を失った心臓に対し、電気ショック 救命活動は時間との勝負です。心臓が そこで、千葉大学予防医学センターでは す。初めての人でも簡単に使えるように、 止まってから応急手当を行うまでの時間 が1分遅れるごとに、救命率は約8%低下 心電図の自動解析や音声ガイドの機能が 救命に対する市民意識と救急蘇生率の向 館など幅広い場所に設置されており、柏 立ち上げました。今後、柏市の消防局や教 上を目的に、救命AED講習プロジェクトを ついています。現在では、駅や学校、公民 すると言われています。救急車が到着ま での所要時間は全国平均で6分以上。現 育委員会とも連携し、普及活動を広めてい 市内では公共施設だけでも174台が置か 場に居合わせた人の一刻も早い応急手当 く計画です。 れています。 が重要になります。 この対策のひとつとして、2004年より プロジェクトを主導する増茂さんは「学 不安と経験不足が救命の障害 一般市民が使用できるようになったのが 校に限らず、町会など住民組織や地元の 企業・団体でも、喜んで講習に行きます そうはいっても、人命の懸かる救命処 よ」と、地域に呼びかけています。千葉大 置は、やはり勇気がいるもの。東京消防 学予防医学センターがある柏の葉キャン 庁が応急手当実施の阻害因子を調査した パスでも、定期的に講習会を実施してお ところ、 「かえって悪化させてしまわない り、次回は11月28日に開催する予定。皆 か心配」 「何をしたらよいかわからない」 さんの両手は「大切な人の命を救える手」 といった不安の声が上位に並びました。 ですか? 一般市民の不安と経験不足を解消する ためにも、救命教育の必要性は高まって ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● 救命AED講習の依頼・参加などの問い合わせは、 取り扱い、実習を行うもの」と明記されて 学校・増茂さん) 電話 043・208・1600(国際医療福祉専門 も保健体育の授業において「応急手当を ららぽーと柏の葉(左)と柏の葉キャンパス駅(右) に設 置されたA ED。ららぽーと柏の葉には各フロ アーに1台以上、計5台ものAEDが設置されている。 ● います。中学校・高校の学習指導要領で ● ● ● キーパーソン・トーク 救急隊員として活動していた約20年間、人を救 ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● 蘇生法やAEDの利用を普及させる活動を始めまし 生かし、未来の救急救命士を育てるための「命の 教育」に携わっています。 ● ● ● ● 博士課程に入りました。 学校で救命教育をする際、子ども達には「今日学 て、普及率を押し上げたいと考えているのです。い 機感を強く抱きました。救命処置は時間との戦い。 ● つめたいと考え、千葉大学大学院環境生命医学の ど、残念なニュースが後を絶ちません。私も同年代 めていることもあり、これらは身近な問題として危 ● た。同時に、医学研究の視点からも救命活動を見 んだことを、家に帰って親に教えてください」と伝え の子を持つ親であり、また小学校のPTA会長を務 ● 校などの教育現場をはじめ広く一般市民に、心肺 しかし近年に至っても、小学生が給食中にパン をのどにつまらせ、心肺停止状態になり死亡するな ● 2008年には、全国救急救命士教育施設協議会 限界や自分の無力感を悔やみ、眠れぬ夜が続く日 学校の救急救命学科長として、長年の現場経験を ● り、そのためには一般市民の力が必要なのです。 のBLS(一次救命処置)普及啓発委員長として、学 もありました。2006年からは国際医療福祉専門 ● 救急隊員が駆けつける前の適切な処置が重要であ う喜び、やりがいを数多く経験してきました。一方 で、救えなかった命に対して、当時の救急体制の ● ています。親子の活発なコミュニケーションを通じ ざという時に、住民同士が助け合えるコミュニティ を創り上げ、柏の葉地区を全国に発信できる健康 増茂 誠二 国際医療福祉専門学校 救急救 命学科 学科長 全国救急救命士教育施設協議 会 BLS 普及啓発委員長 千葉大学大学院環境生命医学 博士課程 モデルタウンにしていきたいです。 □編集後記□ 私も過去に、 自動車運転免許の教習所で、 心肺蘇生法を教わった記憶があります。 それでも、 いま隣の人が突然倒れたときに実践できるかという と、 自信がありません。 今回の取材を通じて、 一度ではなく何度も練習して自信をつけること、 そして 「いざという時には自分が助ける」 という意識を持 つことが重要なのだと教わりました。 (小林) ● このニュースレターに 関するお問い合せ先 柏の葉アーバンデザインセンター(UDCK) 広報担当 小林、蛭川 〒277-8518 千葉県柏市若柴字元堂178-3柏の葉キャンパス駅前148街区3画地 TEL 04-7140-9686 FAX 04-7140-9688 E-MAIL ma-kobayashi@udck.jp WEB http://www.udck.jp

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Vol.8 UDCK ニュースレター 2009 年 12 月号 かしはなプロジェクト 庭やベランダから飛び出せ!街の景観を創る 駅前ガーデニング 植物や土と触れ合い、減農薬野菜な ど自然食材を自分流に料理する、そん なオーガニックなライフスタイルに憧 れ、ガーデニングや菜園に興味を持つ 人が増えています。 ただ、都市生活では 自宅の庭やベランダのスペースは限ら れているもの。ならば街全体を“自分た ちの庭”と捉え、駅前のロータリーや道 路で草花や野菜を育てて街の景観づく りにも貢献しようと、柏の葉キャンパス エリアで「かしはなプロジェクト」が立 ち上がりました。 無料ガーデニング講座 柏の葉キャンパス駅西口のロータリー 待する声も聞こえてきます。 野菜で魅せるアート ここでの植栽の特徴は、草花だけでな るのが嬉しい」と語るのは、参加者の三 いる点。八百屋やスーパーで見せる姿と クトを通じて知り合った2人は、偶然に から千葉大学柏の葉キャンパスまでの くキャベツやパセリなどの野菜も育てて して市民が花や緑を植栽し、街の玄関口 は異なり、成長の過程で可憐な花を咲 歩道では今、 「かしはなプロジェクト」と を美しく彩っています。 植栽・水遣り・管理といった日々の活 動をサポートするのは、藤崎事務所の鈴 木富樹子さん。鈴木さんは、ららぽーと かせる野菜も多いのです。実はキャベツ も、18世紀に日本に初めて持ち込まれた ときは観賞用だったとか。 駅前の植栽を見学した柏市民の板倉 柏の葉の屋上農園を企画・設計し農園 利恵さんは「野菜と聞くと地味な畑をイ ロ。鈴木さんが草花の特性や管理のポイ なっている。野菜の新たな魅力を感じて 講座の講師も務めるガーデニングのプ ントを説明すると、参加者はガーデニン グ知識を学ぼうと熱心に耳を傾けます。 このプロジェクト、千葉県から「持続 可能な国際都市づくりのための新たな 担い手育成支援事業」として採択され補 助金を受けているので、参加料は無料。 参加者は「ボランティア」というより、さ ながら「無料ガーデニング講座」を楽し んでいるようです。 一方で「育児世帯でなくても参加でき メージしてしまうが、ここではアートに 意識が 変わったと」と話 瓶由紀子さんと清水直美さん。プロジェ も同じマンションの住民。ガーデニング という共通の趣味を通じて、初対面のと きから会話が弾んだとか。 「小さな子ど もがいればママ友達がすぐにできるが、 そうでないと同じマンションでも知り合 う機会は少ない。かしはなの活動を通じ て友達が増えるのが嬉しい」と、喜んで いました。 していました。もちろん、 野菜を見るだけではなく 味わうのも参 加 者 の 楽 しみのひとつ。収穫した 野菜は皆で分け分け合っ て、農的生活を楽しみま す。親子の参加者からは 「食育にもつながる」と期 ガーデニングテクニックを学び取 ろうと、参加者は鈴木さんの説明 に聞き入る。 参加者が集まるミーティングでは 収穫野菜を使った料理が並び、活 動成果を皆で味わう。

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Vol.8 かしはなプロジェクト 癒しをもたらす園芸療法 「かしはなプロジェクト」の活動場所は 公共空間。ゆえに、特定の人だけが楽しむ 場所とならないよう、年齢や障害の有無 に関わらず誰もが園芸作業に参加できる キャベツやパセリなどの野菜が街の景観に潤いを与 える。植栽管理は千葉銀行など地域の企業も協力。 環境づくりが求められます。そこで、千葉 レイズドベッドは年齢や身体的特徴に関わらず誰もが 負担なく園芸を楽しめるユニバーサルデザイン設計。 連携し、レイズドベッド(持ち上げ花壇) ト」の作業前後に参加者のストレスや疲 と義務になってしまう。参加できるときだ 行われています。 ほしい」と呼びかけます。今では地域住 大学環境健康フィールド科学センターと け、自分にできることを、自由に楽しんで 労を測定し、療法効果の科学的な検証が の設置が進められています。 レイズドベッドは、かがまずに園芸作 業が行えるために足腰に負担が掛から 民だけでなく千葉銀行など駅前の企業・ 無理せず自分流に楽しむ ず、車椅子に座ったままでも作業が行え 店舗も、プロジェクトに協力して自主的 に水遣りを実施。地域ぐるみでの景観づ 植栽計画やプロジェクト運営方法につ る優れモノ。 高齢者や身体弱者も気軽に くり活動となっています。 園芸作業を楽しむことができるとあって、 いても、参加者が集まって話し合いで決め の家」 、障害児の作業所 「カモミール」 から ティングでは「花苗を植えるだけでなく種 末まで、定期的に植栽ワークショップを 刺激が得られる場にしたい」と、活発な議 加者を常時募集しています。 ル」を運営する笠井和代さんは「障害をも 論が行われました。 つ人もそうでない人も、一緒になって活動 中には「子どもの送迎や仕事の関係で できる環境が地域には必要」 と訴えます。 さらに千葉大学では、園芸作業を通じ 頻繁には参加できない」という声も。プ 法」の研究として、 「かしはなプロジェク の藤崎健吉さんは「無理をして活動する ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● キーパーソン・トーク 幼少時から植物に興味を持ち、小学校の卒業文 ● ● ● [電話]04-7137-2221 ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● 農や食をテーマとした取り組みができないかと考え ました。 「かしはなプロジェクト」では、昔ながらの町会や 新しいマンションの住人など様々な人が集まり、緩 草花ではなく、野菜に惹かれていました。どのよう 味わう、そんな“シェア・コモンガーデン”を目指して な状況下でも健気に花を咲かせて実をつける姿に 共感したのかもしれません。中学生になると自宅の 2坪程度の庭で野菜づくりを始めました。 その延長で東京農業大学へ進学し、植物を科学 株式会社藤崎事務所 代表取締役 [E メール]info@kcvn.net 集で「誰でもできる家庭菜園」と題した作文を書く ような子どもでした。その頃から、なぜか観賞用の 藤崎 健吉 参加申込や詳細はかしはなプロジェクト事務局まで。 [WEB サイト]http://kashihana.org/ ロジェクトの仕掛け人である藤崎事務所 て心身に癒しの効果などを得る「園芸療 ● 開催するほか、日常の植栽管理を行う参 から育てたい」 「いつも新たな発見があり も、参加者が集まっています。 「カモミー ● 「かしはなプロジェクト」は2010年3月 られます。11月18日に行われたランチミー 近隣の介護施設「ゆかりの家」や「なごみ やかなルールの下で皆が野菜や花を育てて収穫し います。住民が自分たちで公共空間を創りあげ、農 やエコをライフスタイルの中に取り入れていくこと は、次世代都市の新たな豊かさになります。 県の助成を受けての事業ですので、当面のスケ 的に研究。卒業後はフリーのプランナーとして、国 ジュールは2010年3月末までと決まっています。 浜名湖花博の「庭文化創造館」を手掛けました。植 です。このプロジェクトで景観づくりのノウハウを 際花と緑の博覧会(花の万博)の「日本政府苑」や 物は単に見るだけでなく、五感で楽しむことができ るもの。環境や健康に優れた次世代都市づくりが 進む柏の葉キャンパス地区でも、植物の力を使って ただ、期間終了後も市民の力で継続していく予定 学んだ市民が、各自の近辺で植栽活動を行い、将 来的には街全体の道路を彩ってほしいと願ってい ます。 □編集後記□ 自宅の庭やベランダから飛び出し、 街全体がガーデニングのフィールドとなるこのプロジェクト、 自由に使える土地が少ない都市生活者にとっては 最適です。 趣味の活動がそのまま、 街づくり・景観づくりにつながるという点もいいですね。 「無理せず楽しむ」 という点にも共感。 (小林) ● このニュースレターに 関するお問い合せ先 柏の葉アーバンデザインセンター(UDCK) 広報担当 小林、蛭川 〒277-8518 千葉県柏市若柴字元堂178-3柏の葉キャンパス駅前148街区3画地 TEL 04-7140-9686 FAX 04-7140-9688 E-MAIL ma-kobayashi@udck.jp WEB http://www.udck.jp

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Vol.9 UDCK ニュースレター 2010 年 1 月号 小型植物工場「みらい畑」 いつでも、どこでも、だれでも、無農薬野菜を生産できる近未来農場 柏の葉キャンパス駅前の商業施設 「三井ショッピングパーク ららぽー と柏の葉」に設置された広さ約2坪 ほどの小さなユニットハウス。紫色の 光に満ちたハウスの中には、 レタス やサンチュが所狭しと並んでいます。 実はこれ、光・温度・水・養分をコン ピュータ制御して環境に左右されず 野菜を連続生産できる小型植物工 場。 「みらい畑」 と名づけられたこの 植物工場が今、“近未来の農業”とし て、注目を集めています。 南極でも野菜を栽培 「みらい畑」は、植物工場の開発・販売 を手がける株式会社みらい、柏の葉地 区に本社を置く老舗ユニットハウスメー カーの三協フロンテア株式会社、柏の葉 地区で都市開発を進める三井不動産グ ループが連携し、千葉大学の監修のもと 設置・運用されています。 閉鎖型の施設内で人工光源と培養液 のみで水耕栽培されるため、完全無農 薬の野菜が季節を問わずに安定生産で きます。極寒の地である南極の昭和基 地でも、同様のシステムが 稼 動してい て、その信頼性は保障済み。年に1回、新 しく観測隊が到着する時だけしか食料 搬入がなかった南極で、今では毎日の 食卓に新鮮な野菜が並ぶようになって います。 国も将来の農産物供給を担うシステ ムとして期待し、普及促進を図っていま す。 「みらい畑」は2009年10月から 施設費を2〜300万円程度までに圧 ブなど約40種類の野菜を栽培してき 照明を導入して蛍光灯より消費電力を3 運用を開始し、現在までにレタスやハー ました。 0%、運用コストを80%に抑えました。 複数段に重ねた栽培棚で、露地栽培の 安心・安全な野菜 この植物工場、以前は“人工的に作ら れた野菜”というイメージから抵抗感を 抱く消費者もおり、また施設 縮し、光源にはLED (発光ダイオード) 約20倍の生産量が収穫できるにも関 わらず、 農薬がいらない手軽な水耕栽培 なので肥料代は従来の半分程度に。 の建 設 費や運 用コストが 高 かったことから、普及はなか なか進みませんでした。とこ ろが近年、食の安全性や食料 自給率の低下が世間で問題 視されるようになると、植物 工場への注目度は一気に高ま ります。 さらに「みらい畑」では、最 新の技術やノウハウを活用し て、コスト削減にも成功。小型 のユニットハウスを利用して みらい畑の内部は、植物の光合成を促す赤色と細胞分裂を促す青 色を組み合わせたLED照明によって、紫色に光る。収穫体験会の 参加者も、 珍しい光景に興味津々。

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Vol.9 小型植物工場「みらい畑」 美味しく栄養価も高い り2〜3倍含まれる高い栄養価、芯など 実証試験を行い、国際競争力ある価格 スなど、商品価値の高い野菜が生産され 今まで多くを輸入野菜に頼っていた外 で野菜を潤沢に生産する計画です。 の食べられない部分がほとんどないレタ 気になるのは、野菜の品質。12月に ています。 食・中食産業からも、植物工場に熱い視 からは「甘くて美味しい!」との声。泥や 小宮山紀伊さんは、 「ららぽーとにはよ “4つの定”(定時・定量・定価・定質)で 食べられる安全性と手軽さから、評判 前を通るたびに気になっていた。収穫し 行われた収穫体験会は多くの買い物客 線が集まっています。植物工場が野菜を 収穫体験会に参加した柏の葉在住の で賑わい、一口つまんで食べた参加者 安定供給できるからです。 く買い物に来るので、みらい畑はいつも 虫がついていないので、洗わずそのまま は上々です。 小規模、低コスト、環境負荷の軽減な てみたら野菜が瑞々しく色が綺麗なの どこれまで改善が難しかった課題をク わないのがいい。もっと普及するといい まっており、 「国内外の企業から問い合 リアした「みらい畑」に対する期待は高 でびっくり。虫がつかないし、農薬を使 また、栽培技術を工夫することで新野 菜も生み出しており、ビタミンCが通常よ わせが殺到している」 (株式会社みらい です」と買い物袋一杯の野菜を手に嬉し 代表の嶋村さん)とのこと。2010年中 そうに話していました。 には「みらい畑」自体を商品化すること 日本の食と農に明るい未来を も狙い、販売価格は「車1台分くらいに 抑えたい」 (同、嶋村さん)と、さらなる 柏の葉エリアでは今、千葉大学が中心 コストダウンを図る工夫や、簡易な運用 となって、日本を代表する植物工場の最 方法の検証を進めています。 先端研究拠点を整備する計画が進めら 無菌に近い状態に保たれた植物工場の中は、通常は 一般の人が入ることはできない。大勢の参加者で賑 わう「みらい畑」の体験会は、中に入って野菜を収 穫・試食できる貴重な機会。 ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● 「みらい畑」では今後も不定期で収穫 れています。食料の自給率が低く、安全 体験会を開催するとのこと。まずはその 保障上も危惧される日本の現状を少しで 味を確かめてみては。 も改善するために、大規模な植物工場の ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● キーパーソン・トーク 植物工場は、オイルショック後の1980年代に 第1次ブームが起こりました。つくば科学万博に回 転式レタス生産工場が現われ、当時、中学生で自 然科学にのめり込んでいた私は、植物工場を目の 菜の特性を熟知していた上、営業経験で現場の声 も多く聞いていたので、これらの従来課題やその 解決策に応えることができたのです。 「みらい畑」は、日本が抱える様々な食糧・農業 当たりにし「日本の農業問題を解決するにはこれ 問題を食い止め、農業を普及させることが可能な それから大学、大学院で林業や自然科学を学 で、工業団地や商店街の空き店舗、商業施設やレ しかない」と興奮したのを覚えています。 んだ後、大手害虫駆除会社に研究員として就職。 そこで営業をこなしながら、全く新しい植物工場 の研究開発に没頭しました。それまでの植物工場 は、工学系の研究者が開発していたため、技術に 画期的なシステムです。小型の省スペース設計なの ストランの中などでも設置・運用ができます。野菜 を生産・収穫したその場で調理して振舞う、という “究極の地産地消”が実現します。 工業の先端技術を使って、農業を活性化し、商業 こだわりすぎて採算が合わない、生き物である野 と一緒になって市場を作り上げていく。農商工連携 ないなど課題がありました。私は、園芸を学び野 日本の未来に貢献していきたいと考えています。 菜のきめ細かな栽培管理ができず品目を増やせ のこの事業モデルによって、食料自給率の向上など 嶋村 茂治 氏 株式会社みらい 代表取締役 1971年東 京都生まれ 。90 年東 京農業大学に入学し林業 専攻、97年千葉大大学院自然 科学研究科に入学、99年大手 害虫駆除会社に入社し、植物工 場の開発に着手。2004年同 社を退職し、株式会社みらいを 設立。 □編集後記□ すべてコンピュータが自動制御する植物工場は、農園芸の素人でも美味しい野菜が生産できるとのこと。 野菜が害虫や冷害などのストレスなく育 つため、 甘味が多くて食感も良くなるようです。 将来は1家に1台、 家庭用の植物工場が設置される、 そんな未来を予感してしまいました。 従来の農 地で生産される野菜とうまく共存しながら、 新しい農業の未来が拓けていけたらいいですね。 (小林) ● このニュースレターに 関するお問い合せ先 柏の葉アーバンデザインセンター(UDCK) 広報担当 小林、蛭川 〒277-8518 千葉県柏市若柴字元堂178-3柏の葉キャンパス駅前148街区3画地 TEL 04-7140-9686 FAX 04-7140-9688 E-MAIL ma-kobayashi@udck.jp WEB http://www.udck.jp

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Vol.10 UDCK ニュースレター 2010 年 2 月号 東京大学「オンデマンドバス」 ドア to ドアで希望通りの移動をかなえる新時代の乗り合いバス・タクシー 決められた時刻表はなく、必要なときに 予約すれば所定の時間と場所に迎えに来 てくれる。そんな夢のようなバスの実用化 に向けて、東京大学が千葉県柏市・柏の葉 キャンパスエリアで実証実験を重ねていま す。 「オンデマンドバス」 という名のこの仕組 みは、 バスの経済性・環境性・公共性とタク シーの利便性を併せ持つ新しい交通サー ビスとして、地域の活性化やCO2削減効果 も期待されています。 自宅にバスがお迎え 「自宅から出発して商店街のスーパー まで。 4時からのタイムセールに間に合う ように!」 こんなタクシーのような使い勝手で、 利用者の希望する乗降場所と時間にあ わせて運行するのがオンデマンドバス。 路線バスのように停留所まで歩く手間 もなく、乗り合い制だから運 賃はタク から柏の葉地域をはじめ全国各地で実 た高度なITシステムを構築。利用者がイ オンデマンドバスは乗客がいるルー の現在地や他の予約情報などをもとに 証実験を行っています。 トだけを走る効率の良い運行ができる ので、採算性の低い路線バスの代わりに 導入を検討する自治体が増え、全国から の問い合わせは200件を超えています。 高度なITシステムが経路を計算 予約センターには様々な利用場所や シーより安く環境にも優しい、まさに新 希望時間のデマンド(需要・要求)が集 通常の路線バスは、時刻表と経路があ 最適な経路を瞬時に算出して乗り合い 時代の交通手段です。 らかじめ決められているので、乗客がい なくてもバスを走らせなければなりませ ん。この“カラ運行”が無駄なCO2排出 と運行コスト高の原因。近年では不採算 まります。この複雑なデマンドに対して、 運行プランを提示 測 位システム)車 教授を中心とする研究チームは、オンデ マンドバスのシステムを開発し、4年前 す。 コンピュータによる一元管理によって スタッフは最小限に抑えることができる ので、運営コストの削減に寄与。また、 1 ヵ所のサーバに収められたシステムを インターネットを使って各地域で共同利 用する仕組みで、導入時の初期投資を抑 える工夫も行われています。 東 大研 究チー きな問題となっています。 学院新領域創成科学研究科の大和裕幸 画を作成して、バスの車載器に配信しま せん。 ムは、バスに搭 載 この課題解決に向けて、東京大学大 コンピュータが自動的に最適な運行計 しなければなりま 路線の廃止が全国で相次ぎ、マイカー移 動ができない高齢者や子どもにとって大 ンターネットや電話で予約すると、バス したGPS(全地球 載 器、予 約システ ム、経 路 計算シス テム、デ ー タベー スなどを連携させ 使用車両は実験地域の利用特性にあわせて大きさを変える。柏の葉地域のように 目的地や経路が多様で複雑な都市部では、ミニバンやセダンタイプの車両が適し ている。

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Vol.10 東京大学「オンデマンドバス」 いが戻れば」と期待しています。 地や通院・通園にかかる時間に応じて適 柏の葉地域では、今年1月から3ヵ月 「エコクル」というポイントを付与する 会が多い道路はバリアフリー化がなされ に向けて初めての有料運行が行われて 「希望時間に最も近いが、他の予約者状 初の有料運行で商店街と連携 現在路線バスが通っていない大青田・ ビレジ地区の住民による松葉町商店街 への移動に利用を限定。柏ビレジ地区・ 早くなるが3人相乗りの運行便利用」に 手段の確保と様々な街づくり施策。オン つながるバスの運行効率化を促します。 ります。 オンデマンドバスの利用についての問い合 れ以上は2キロごとに200円加算という よると、オンデマンドバス利用によって 行っています。 も。市民生活が活発になれば、地域経 済の活性化にもつながります。 今回の実験で連携する松葉町商店街 さらに、オンデマンドバス運行によっ では、オンデマンドバス利用者に対して、 買い物金額に応じてもらえる商店街独自 て自動的に蓄積される地域住民の移動 文さんは、 「この商店街と柏ビレジを結ぶ 究も進んでいます。 データを生かし、都市計画に役立てる研 のポイントを3倍に。商店会長の斉藤敏 移動交通量が多い道路の整備は十分 路線バスが廃止となり、最近は買い物客 ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● キーパーソン・トーク 人間を取り巻く環境を科学の力で改善できる可 能性に惹かれ、大学で計測工学を専攻し人間工学 ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● 段を確保しなければ、との思いからです。東大柏 キャンパス関係者だけでの小規模実験からスター トし、昨年には柏の葉地域での実験で1日の利用 者が250人以上という規模にまで拡大。 実証実験の過程では、些細なトラブルも多くあり ました。 「入口まで来てくれ」と予約を受けてバス ービスの仕組みを実地で学びたいと思い、鉄道会 2ヵ所あったという単純な話でしたが、利用者が携 社に就職。鉄道の通信システムや予約システムな どを担当した後、母校の東京大学に戻り、IT技術 を活用したセンサシステムの開発や歩行者予防安 全事故防止システムなどの研究に取り組むととも 東京大学大学院新領域創成科 学研究科助教 ● を研究しました。 卒業後は、人間環境に大きく反映される公共サ 杉本 千佳 氏 オンデマンドバスの運行データにより、各施設 にどのような利用者が、どこから、どのような経 路で来ているかが分析できる。 か、病院や保育園などは利用者の居住 も減少傾向。今回の実験で商店街に賑わ ● デマンド交通実験事務局まで。 外出回数が増えたと答える人が42%に 運賃体系で、有料化によるニーズ調査を ● わせは、電話03・3894・3245 ㈱長大・オン 昨年行った実証実験の利用者調査に 船戸山高野地区は2キロ未満200円、そ ● デマンドバスの今後に大きな期待が集ま 地域活性や都市計画にも活用 松葉町商店街間は一律200円、大青田・ ● 誰もが安全・便利に暮らすための交通 は3ポイントなどのように、CO2削減に 船戸山高野地区の住民による利用と、柏 ● “見える化”できます。 用」には0ポイント、 「希望時間より20分 との共存を図ることも目的のひとつ。 ● タによって都市計画上の多様な課題が 況と合わずに乗り合いとならない便の利 います。ここでは、既存の公共交通機関 ● ているか。オンデマンドバスの運行デー 新たな取り組みも始まりました。例えば、 間の第10期実証実験が始まり、実用化 ● 正に設置されているか、高齢者の利用機 環境貢献度の高い乗り合い利用には に、大和研究室ではオンデマンドバスの研究チー が向かうと、利用者がそこにいない。原因は入口が 帯電話を持たない高齢者の場合、現地で連絡確認 もできません。このようなケースをもとに、細かな 施設情報や予約受付時の留意点などを、ひとつひ とつシステムに反映させていきました。 地方では、オンデマンドバスは単なる移動手段 ムに入りました。 ではなく、予約時に乗り合い相手を探して近隣住 周囲が空き地だらけの交通不便地域。オンデマン らに進め、人と人とをつなぐ地域コミュニティの再 研究室がある東大柏キャンパスは、設立当初は ドバス研究の始まりは、まずは自分たちの移動手 民同士が交流する場にもなります。この研究をさ 生・活性化にも貢献していきたいと考えています。 □編集後記□ 「バスよりも便利に、 タクシーよりも手軽に」 というコンセプトは、 既存サービスの“穴”をついてニッチ産業に着目するベンチャー企業のよう。 オンデマ ンドバスは公共サービスとしてだけでなく民間企業でのサービス展開も期待されています。 顧客の送迎サービスとして導入を検討する企業からの問 い合わせも多いとか。 「安全・安心・便利」 は公共・民間を問わずに重要なキーワードですね。 (小林) ● このニュースレターに 関するお問い合せ先 柏の葉アーバンデザインセンター(UDCK) 広報担当 小林、蛭川 〒277-8518 千葉県柏市若柴字元堂178-3柏の葉キャンパス駅前148街区3画地 TEL 04-7140-9686 FAX 04-7140-9688 E-MAIL ma-kobayashi@udck.jp WEB http://www.udck.jp

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Vol.11 UDCK ニュースレター 2010 年 3 月号 ベンチャー支援団体 「TXアントレプレナーパートナーズ(TEP)」 地域の力で、つくばエクスプレス沿線を日本の シリコンバレー に 柏の葉キャンパス駅前にオープンしたおしゃれなカフェ。 ア ジアンフードやお茶、 アルコールドリンクを楽しむ人たちで賑 わっていますが、実はただのカフェではありません。その名も、 「コミュニケーション・インキュベートカフェ AGORA」。 つくば エクスプレス沿線のベンチャー企業を支援・育成する団体「TX アントレプレナーパートナーズ」 の活動拠点として、起業家や研 究者と地域住民のコミュニティスペースになっています。 先端技術を埋没させずに事業化 「地域住民がベンチャー企業に投資 や経営指南」­­国内では前例のない地 域コミュニティ型のベンチャー支援活 動を目指して2009年11月に設 立され たのが、TXアントレプレナーパートナー ズ(TEP)です。 つくばエクスプレス(TX)沿 線には、 東 京 大 学、千 葉 大 学、筑 波 大 学 な ど の学 術 機 関、宇 宙 航 空 研 究 開 発 機 構 (JAXA)や産業技術総合研究所などの 研究施設が多数立地し、世界に誇る先 進技術が次々と誕生しています。日本は にとって価値あるものになります。TEP で結びつけるのが、TEPの活動です。 デルの事業化を支援する団体です。 支援者との交流促進を狙って、秋葉原と は、このような優れた技術やビジネスモ お金だけではベンチャーは育たない これまで日本でベンチャー支援活動 中心。一方、 「お金だけの支援では事業 は成功しない」と語るTEP代 表の村井 勝さんは、事業化のノウハウを提供する “個人”の支援活動が最重要だと考えて います。 TX沿線をはじめ近隣の常磐線沿線 を支える“屋台骨”となっているのです。 が多数暮らしています。また、財務や法 の予算がなくなると、あっさり終了して しまい、せっかくの技術が埋没してしま うことも多いとか。新たな技術は、事業 化することで初めて、私たちの市民生活 パス」駅前に誕生しました。 に“組織”として投資を行う資金援助が や千 代田区には、既に起 業して大きな ただ、研究活動は国や支援団体から つくばの中間に位置する「柏の葉キャン といえば、ベンチャーキャピタルのよう EU全体より多くの特許技術を保有して おり、TX沿線はそんな日本の技術開発 カフェ AGORAは、沿線の起業家と 成功を上げた人、いわば“先輩起業家” 律など専門知識を持つ住民や、豊富な 海外経験で国際的な視点や人脈を持つ 住民が多いのも特 徴。このような地 域 住民やビジネスパーソンと、優れた技術 を持つ研究者や起業家をネットワーク TX沿線には学術研究機関やベンチャー企業支援施 設が多数立地しており、日本でも有数の起業ポテン シャルが高いエリア。ITばかりが集中するシリコンバ レーとは異なり、農業やバイオなど様々な技術が集 約するこのエリアを、TEPでは「TXアントレプレナー ズ・ベルト」と呼んでいる。

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Vol.11 ベンチャー支援団体 「TXアントレプレナーパートナーズ(TEP)」 九州や近 畿などから参 加する会員も。 もらえる」 と、TEP のネットワークを活用 会員はすでに100者以上 「TEP の価値が伝われば、多くのベン した販路拡大に期待を寄せています。 チャー企業が TX 沿線に移転してくるの 筑波大学に通う山城牧人さんは、将来 TEP の活動が始まってから 3 ヵ月、早 くも 100 者を超える会員が集まってい 起業を考えている会員のひとり。 「学生だ では」と TEP の村井代表が語るように、 発展がない。事業成功者や起業経験者 つながります。 デルをブラッシュアップしていきたい」と 的な活動参加を呼びかけています。財務 ます。大手企業から独立し、次世代スク けでビジネスモデルを話し合っていても (柏市柏の葉)を立ち上げた山内直史社 が多く集まる TEP で、自分のビジネスモ リーンの開発を行う株式会社 ALBEDO 長も会員のひとり。 「これまで複数のベ 企業支援活動は地域経済の活性化にも そのため、TEP では地域住民の積極 や法律などの実務家で、自分が持つ専門 意気込んでいます。 ンチャー育成施設に入居してきたが、技 術・設備面の支援が中心だった。TEP 知識を生かしてベンチャー企業にアドバ 企業支援で地域経済を活性化 では、事業経験が豊富な会員から、具体 イスする、いわゆる “ 知識の投資 ” を行 う会員も多く集まっています。 ベンチャー TEP の評判は TX 沿線を飛び越え、 的な営業先候補となる “ 人 ” を紹介して 企業が将来成功を収めれば、彼らにとっ ても大きなビジネスチャンスになります。 会員の紹介や活動内容のレポートは、 TEP の WEB サイトに公開されています。 地域にどのような技術を持った企業があ るのか、WEB をチェックするだけでも新 たな発見がありそう。 TEP ついての詳細情報はこちらまで 2月24日に行われたAGORAのオープニングパーティー AGORAはTEP会員以外でも一般のカフェやバー には、柏市長をはじめ、東大や千葉大の研究者、TEPの として気 軽に利用できる。隣で食事している人 が、将来日本を代表する起業家となるかも。 会員などが集まり賑わった。 ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● キーパーソン・トーク アメリカの大学院を卒業して就職した私です が、中学時代は英語が苦手でした。そこで高校入 ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● [WEB サイト]http://www.tepweb.jp/ [E メール]contact@tepweb.jp ● ● ● ● ● 切な要素です。 起業家は、資金以上に人的支援を必要として よび起業家予備軍をアントレプレナー会員、投資 や経営指南を行う人をエンジェル会員、技術・知 識支援を行う人をサポート会員として、ベンチャ ー支援ネットワークを構築しています。 幅広い分野の研究者が活動するTX沿線は、 とんどで、支援先企業の業界分野における業務 する多くのベンチャー企業が誕生する、知的で ンチャー支援を行っているのが現状です。組織と ● ● ● ● ● ● しっかりサポートする仕組みづくりを目指して立 1970年代のシリコンバレーに似ています。10〜 経験や人脈をもたず、起業の経験もない人が、ベ ● TEPは、様々な業界の実務経験者が個人レベ いるケースが多くあります。しかし、現在日本の ベンチャーキャピタルは金融業界の出身者がほ ● 下位に低迷しています。 ち上げた団体です。TX沿線のベンチャー企業お とのつながり」は、起業や会社経営においても大 ● 家率は過去10年もの間、経済先進24カ国中、最 ください」と片っ端から往復はがきを出し、返事 ような好奇心と行動力から生み出される「人と人 ● 的に行われます。このような状況で、日本の起業 ルで投資・支援先の企業とつきあい、資金以外も をくれた牧師のもとで英語を覚えたのです。この ● して動いているので、担当者の異動・交代も定期 学時に、電話帳(ハローページ)を調べてカタカ ナの名前の人に「仕事を手伝うので英語を教えて ● 20年後には柏の葉が中心となって、日本を代表 センスの良い独特の文化を持った地域になってい くはずです。 村井 勝 氏 TXアントレプレナーパートナーズ 代表 1937年大阪府生まれ。62年、カ リフォル ニア 大 学 大 学 院 に て M B Aを取 得 後、米 国 I B M に入 社。IBM後は、コンパック株式会 社の初代社長に就任し、日本の新 たな パソコン市 場を開 拓 。コン パック退職後よりベンチャー支援 に携わり、国内外のベンチャー企 業10数社の設立に関わる。アン トレプレナー・オブ・ザ・イヤー・ ジャパンの初代審査委員長。 □編集後記□ AGORAに人が集まって、 交流の中から発想が生み出されている光景は、 まるでパリのカフェに集まるアーティストたちのよう。 でも、 隣の席から聞こ えてくる言葉は 「超小型衛星」 「次世代半導体」 など超最先端。 “日本の頭脳”と呼ばれる人たちの会話を盗み聞きするだけでも、 知的好奇心が刺激さ れます。 (小林) ● このニュースレターに 関するお問い合せ先 柏の葉アーバンデザインセンター(UDCK) 広報担当 小林、蛭川 〒277-8518 千葉県柏市若柴字元堂178-3柏の葉キャンパス駅前148街区3画地 TEL 04-7140-9686 FAX 04-7140-9688 E-MAIL ma-kobayashi@udck.jp WEB http://www.udck.jp

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Vol.12 UDCK ニュースレター 2010 年 4 月号 NPO法人 こんぶくろ池自然の森 湧水の恵みを市民が守り育てる 100年の森 柏の葉キャンパス駅から徒歩20分 ほどの市街地に残された東京ドーム 3個分に及ぶ森。 オオタカや野ウサギ が生息し、湧水池から清流が流れる この森が今、 「こんぶくろ池自然博物 公園」 として生まれ変わろうとしてい ます。 ヒートアイランド現象を緩和す る豊かな自然を保全し、市民の憩い・ 教育の場に生かそうと、行政・市民が 連携し森の整備を進めてきたボラン ティア活動は、 この4月にNPO法人と なり活動展開が本格化しています。 オオタカが棲む貴重な自然 地表近くにたまった地下水がしみだ して湧水池となった「こんぶくろ池」と 「弁天池」。手賀沼の源流ともなるこの 池の周りには、緑豊かな湿地が約20ヘ あることの証」なのだと、NPOこんぶく ろ池自然の森 副会長の八代 英二さん (69)は説明します。 荒廃した自然を取り戻す このこんぶくろ池、実は数年前までは クタールも広がっています。 ゴミの不法投棄が氾濫し、森の中には ンなど「千葉県レッドデータブック」で いる悲惨な状況で、市民は誰も寄り付 多様な植物が生育し、ズミやキンラ 指定された絶滅危惧種の植物が30 種 類近く群生。オオタカやカワセミなども トラック数台分に及ぶゴミが山積して その翌年、公園を維持管理する市民ボ ランティア団体として、整備を担当する 「里山 隊」と生 態 系の調 査を担当する 「調査隊」が発足し、市民による公園づ くりがスタートしました。 こうした状況を見かねた近隣住民が 立ち上がり、柏市とともに整 備方針の ても活用されています。 ぶくろ池自然博 物公 園」と名付け、“市 不思議な民話もたくさん残されてい に整備の基 本計画を2005年に策定。 かない場所となっていました。 生息しているこの生態系は、近隣の東 京大学、千葉大学の研究フィールドとし 民で育 てる100 年の 森”をコンセプト 検討を開始しました。この一帯を「こん 活動開始当時、家庭ゴミはもちろん、自動車まで不 法投棄されていた。 ます。例えば、 「池に浮かんでいるきれ いな小 袋 が、取ろうとする度に沈んで しまう」といった話や、 「 池の主は大 蛇 である」といった話。こうした言い伝え は、 「むやみに人を立ち入らせずに水源 や自然を保護するために作られたもの で、古くから脈々と守られてきた場所で 春の桜に秋の紅葉と、四季折々の風景が楽しめる。 絶滅が危惧されるズミ(左)やキンラン(右)など、貴重 種も力強く息づいている。

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Vol.12 NPO法人 こんぶくろ池自然の森 み期間中の毎週土・日に実施する予定 市民の手で里山が再生 です。 里山隊はまず、密生していた樹木を適 NPO法人として活動開始 度に伐採して森の再生を進めました。 お これまで 里 山 隊・調 査 隊と役 割 分 かげで、今では太陽光が射し照らす明る 担してきた活動を一本化し、4 月からは い森に。 発芽できずに休眠していた埋土種子 「NPO 法人こんぶくろ池自然の森」とし 認定されているノジトラノオなどの群落 NPO 法人としての活動を選択したの て再スタートします。 も芽生え、ツネフリソウや要保護生物に は、公園の整備が進み知名度が上がる が再生。 ツリフネソウの蜜を求め、マルハ ナバチやヒメクロホウジャクなどの珍し にしたがって、公園内の貴重な植物を盗 「自然の森」というとまったく人の手を しまった悩みから。 自然を守りながら多 掘してしまうなどの心無い行為が増えて い昆虫類も集まるようになりました。 入れないほうがよいと思いがち。 でも、多 くの人が公園を楽しめるよう、NPO 法人 原則的に月2回(第2・第4土曜日)活動を行う。散 策路やベンチづくりなど、公園の整備も進める。 管理が必要なのです。 りやパトロールなどの監視強化を進めて です。 また、柏の葉アーバンデザインセン にして活動を本格化し、散策のルール作 様な生態系を維持するためには適切な また、豊かな自然を教育にも生かそう いきます。 ターで 4 月 18 日〜5 月 6 日に開催さ は “ 安全に・無理せず・楽しく ” がモッ 加予定。 これまでの活動風景やこんぶく 開催。会員の古橋勲さん(64)が講師と なり、ナイフやキリなど工具の使い方を トー。 ボランティアによる自主参加だから いました。古橋さんは、「手を入れること 多くの市民の方に参加してもらい活動を を語ってくれました。 地域の若い人にも自然の魅力を知って 同会では、現在会員を募集中。活動紹 もらう機会をつくっていきたい」 と気合が 介のセミナーを 4 月下旬から実施予定 入っています。工作教室は、今年も夏休 ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● 問い合わせは、NPO 法人こんぶくろ池自然の 森 副会長 八代英二さん [TEL]04-7169-4089 [E メール]info@konbukuroike.com [WEB サイト] http://www.konbukuroike.com/ (4 月下旬 OPEN) さらに発展させていきたい」と意気込み で森が綺麗に変わっていくのが楽しみ。 ● ろ池の美しい写真が展示されます。 こそ、自由な活動が広がっている。今後も 指導し、竹とんぼやゴム鉄砲づくりを行 ● れる市民活動グループの展示会にも参 副会長の八代さんは、「私たちの活動 と、伐採した竹を使った親子工作教室を ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● キーパーソン・トーク 柏市の中心部に住んでいましたが、目の前に自 然が広がる場所に住みたいと考え、9年前にこん NPO法人こんぶくろ池自然の森 会長 1970年生まれ。青山学院大学経 営学部を卒業後、株式会社ビジネ スコンサルタント入社。アクセン チュア株式会社でディレクターを 務めた後、2 0 0 5 年に株 式会 社 アールギア・グループを設 立し、 代表取締役に就任。 経営コンサルタントを生業としていますが、活 ぶくろ池公園の近接地に引越してきました。 動から学ぶことは多いです。会員の皆さんはそれ 匹も集まる豊かな森。自然の生態系に触れること 査など自主的な活動が生まれています。私も興味 ここは、カブトムシが1本の木に一晩で30〜40 森 和成 氏 ため、里山隊の活動へ参加しました。 が少ない子どもにとっては良質な教育現場にもな ります。しかし、引っ越してきた当初はゴミの投棄 が酷く、森もうっそうとしていたため、なんとかし ようと市に相談を持ちかけました。ちょうど市や市 民委員が公園整備へ向けた基本計画を策定し、 市民ボランティアが立ち上がることになっていた ぞれの関心や特技を生かし、工作やきのこの調 が湧いたところから、森林ガイドや自然活動体験 リーダーの資格を取得しました。今後は、その知 識も生かして体験見学会やセミナーを定期的に 開催し、啓発活動を通して「私たちの森」という 意識を持った人が集まり楽しめる公園にしていき たいです。 □編集後記□ 取材当日、 幸運にも天高く飛ぶオオタカを目撃し、 一同大興奮。 この街では、 開発によって新しい住民が増えるとともに、 森の再生によって草花や動 物も引っ越してきたようです。 100年後も、 人もオオタカも住みやすい街でありつづけたいですね。 (蛭川) ● このニュースレターに 関するお問い合せ先 柏の葉アーバンデザインセンター(UDCK) 広報担当 小林、蛭川 〒277-8518 千葉県柏市若柴字元堂178-3柏の葉キャンパス駅前148街区3画地 TEL 04-7140-9686 FAX 04-7140-9688 E-MAIL ma-kobayashi@udck.jp WEB http://www.udck.jp

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Vol.13 UDCK ニュースレター 2010 年 5 月号 まちのクラブ活動「マチノ先生シリーズ」 趣味や特技を生かして活躍!誰もが街の先生に 住民参加型の街づくりが進む柏の葉キャンパ スシティで今、 「まちのクラブ活動」 が盛り上が りを見せています。2008年から活動を始め、 今では21のクラブに集まる総勢700人以上 のメンバーが街づくりの原動力になっていま す。新たな展開として、住民同士が趣味や特技 を使って習い事教室を開く動きも。得意分野 を持つ住民が“マチノ先生”として活躍してい ます。 地域で楽しむクラブ活動 「まちのクラブ活動」は、家でも学校 でも会 社でもない 柏の葉 独自の 住 民 サークル。東京大学と千葉大学が近接 するキャンパスシティであることにち なみ、まちのクラブ活動と名付けられま した。 活動内容は自由。住民主体の街づく り、つまり自分たちの街に「あったらい いな」と思うものを実現するための装 置です。クラブの立ち上げも提案制で、 メンバーさえ 集まればすぐにスタート を提供し、スタッフがクラブメンバーの この教 室に入って知り合いが増えた」 告知や参加者の募集が必要な場合は、 野村さんがマチノ先生になったのも 問い合わせや相談に対応。イベントの メールマガジンの発行やリーフレット作 成などで協力します。 特技を生かして先生に クラブ 活 動 の 中 で、今 最 も 盛 り上 がっているのが「マチノ先生シリーズ」。 ています。 もちろん、最初からすべてを住 民だ けで 進めることは難しいもの。そこで 柏の葉では、活動サポートを行う「まち のクラブ活動事務局」を設置。イベント や会議に使える「まちのクラブハウス」 きるリズム体操を使って交流の場を作 ろうと企画しました。 マチノ先 生 第一 号は、柏の葉キャン てリズミカルに体を動かす「リズム体 画や運営も、メンバーである住民が行っ なかったため、幅広い年齢層が参加で です。 養蜂を行う「柏の葉はちみつクラブ」な ブが活動中。各クラブの活動方針の企 れまで同年代の人と交流する機会が少 特技を教える習い事教室プロジェクト パス駅前のマンションに住む野村志津 ど、現在は21のバラエティ豊かなクラ 「街にあったらいいな」を作るため。そ 住民が先生となり、それぞれの趣味や できます。生活の中でエコな工夫を楽 しむ「柏の葉エコクラブ」や、街の中で と笑顔です。 江さん(61)。教えるのは音楽に合わせ 操」で、その道30年の大ベテランです。 まちのクラブハウスには、キッチン付きの会議室も。 お料理教室だって開けます。 毎週金曜日に行われる教室は、いつ も活気が充満。 「 右手を横に伸ばして。 ハイ、つぎ左!」と指導する大きな声に 導かれ、20人ほどの参加者が音楽に合 わせて元気よく体を動かしています。 柏の葉に引っ越してきてすぐに教室 に参 加したという佐 藤 亜子さん(70) は、 「 年を取ると出会いが少なくなるが、 リズム体操を楽しく踊るコツは、 気分に合わせて音楽 を変えることだとか。ちなみにこの日はサザンの 「TSUNAMI」 。

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Vol.13 まちのクラブ活動「マチノ先生シリーズ」 す。 固く考えず、 どんどん挑戦してほしい」 と 広がる先生の輪 宮奈さんは、 「今は街づくりの一環とし 呼びかけます。 マチノ先生は、地域での交流が目的な マチノ先生から派生し、地元商店の店 て事務局の活動資金があるが、 これは永 始まりました。 ここでは、店長もあくまで バーのネットワークを生かし、企業のモ 続的ではない。700人以上になったメン ので無報酬のボランティア。 そのため、教 長が先生となる“マチノ店長シリーズ”も 住民という気軽さもあってか、各教室は 住民のひとり。教室で営業活動はせず、 ニター事業などを受託できれば」 と資金 ます。熟練の技を持つ店長のファンにな は、趣味や年齢など属性が明確。 その特 いとか。 ストするために料理好きの主婦を集めて 室の参加料は低価な実費のみ。先生が 調達を検討中です。各クラブのメンバー 仕事で培った知識やテクニックを伝授し 毎回ほぼ満員になります。 「あの人は和 菓子が得意だから、お願いしてみるわ」 徴を生かし、例えば「新しいキッチンをテ り、教室後に店舗に足を運ぶ受講者も多 と、 メンバー同士の紹介で新たな先生も 続々と誕 生。古 着のリメイクやタンゴ・ ウォーキングなど、多彩な教室が開かれ ほしい」 という企業から仕事を請け負う 課題は持続性 ています。 計画です。 クラブメンバーにとっても自分 の特性を生かした楽しいアルバイトにな 今後の課題は、活動を持続していくこ まちのクラブ活動事務局の宮奈由貴 子さん (31) は、 「はじめは 『私に先生なん と。 クラブ活動の運営には、 スタッフの人 り、企業、事務局すべてにWin­Winの関 いざ始めると見事に先生を務めている。 最低限の資金がどうしても必要になりま 地域のコミュニティ活動で、資金がな 係ができるはず。 件費、告知用のリーフレット作成費など、 てできるかしら』 と不安を口にする人も、 くなり活動がストップしてしまうのはよく ある話。 でもこうした活動が持続すれば とても素晴らしいことです。 マチノ先生をはじめとするクラブ活動 は毎週のように開催されていますので、 まずは一度体験してみては。 地元花屋の店長が寄せ植え教室を開催。ハーブを 使った寄せ植えは、 「見ても食べても楽しめる」と大 好評です。 野村さんの紹介で開かれた和菓子教室。人と人と のつながりが活動を広げています。 ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● まちのクラブ活動の詳細情報、 お問い合わせは こちらまで [WEBサイト]http://www.kcvn.net/ [Eメール]info@kcvn.net ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ィビジネスを起こす住民のサポート。起業サロン 柏の葉アーバンデザインセンター (UDCK) の市 必要かどうかを住民が投票する仕組みを考えて 心に住民交流のきっかけ作りを進めています。初 めは事務局が中心になって仕掛けるイベントが多 かったですが、最近ではマチノ先生のように住民 ● ● ● ● ● ● ● ます。 最終的な目標は、何か困った課題が見つかった えば高齢化によって一人暮らしのお年寄りが増え ります。 ● ずなので、資金調達などで協力し事業化を支援し 動を始めたいです。これから街の人口が増えてい 加し、それらを解消するケアサービスが必要にな ● います。そこで選ばれたサービスは需要があるは 時に、地域で自律的に解決できるようなコミュニ く中で、託児や高齢化に伴う介護などの問題も増 ● のような場を設けて、そのサービスが街にとって 発案で進む企画も多く、 手ごたえを感じています。 今後は、地域に必要なサービスを事業化する活 ● 今検討しているのは、地域に役立つコミュニテ キーパーソン・トーク 民活動担当として、まちのクラブ活動事務局を中 ● ティづくりです。今からこうした交流があれば、例 たとき、 「見守り訪問を始めようか」と自発的な連 携が生まれてくるのでは。そんな、 「地域力」をこの 街で育てていきたいです。 宮奈 由貴子 氏 NPO 支援センターちば 事務局長 柏の葉アーバンデザインセンター (UDCK) 市民 活 動 担 当ディレ クター □編集後記□ リズミング体操に参加して印象的だったのは、 終了後の出来事。 教室の感想を聞こうと参加者に話しかけると、 「みんなで片付けるので、 その後にし てください」 と掃除を優先。 自分の間の悪さを反省しながらも、 こうした責任感が自由なクラブ活動を成功させる秘訣かな、 と思いました。 (蛭川) ● このニュースレターに 関するお問い合せ先 柏の葉アーバンデザインセンター(UDCK) 広報担当 小林、蛭川 〒277-8518 千葉県柏市若柴字元堂178-3柏の葉キャンパス駅前148街区3画地 TEL 04-7140-9686 FAX 04-7140-9688 E-MAIL ma-kobayashi@udck.jp WEB http://www.udck.jp

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Vol.14 UDCK ニュースレター 2010 年 6 月号 かしわスマートサイクル 自転車を街で共有し、新たな公共交通に 人にも地球にも優しい乗り物として注目される 自転車。 これまでは個人所有が中心でしたが、 最近では街で自転車を共同利用するコミュニ ティサイクルの取り組みが広がっています。柏 の葉では、国内で初めて自転車の台数調整に トラック輸送を行わない独自のシステムを開 発。 「かしわスマートサイクル」 として社会実験 を開始し、将来の事業化へ向けた検証を進め ています。 携帯片手に簡単操作 かしわスマートサイクルで利用できる 駐輪ポートは、現在5カ所。柏の葉アー バンデザインセンター、東京大学、柏の 葉公園、柏たなか駅、北柏駅で約30台 の自転車が稼働し、どのポートでも自由 に貸出・返却が可能です。ICT技術を活 年間に大幅延長して社会実験を始めま 用者同士が助け合うことで、トラックを のか検証し、利用を重ねる中で生まれ なシステムです。 した。システムが長期運用に耐えうるも てくるニーズや問題点を吸い上げること で将来の事業化を検討していきます。 国内初の「お助けボーナスポイント」 自転車は、移動によるCO 2 排出がな 用した無人貸出システムで運用すること いため環 境に優しく、健 康にも良い優 でいます。 方針「柏の葉国際キャンパスタウン構 から、スマート(=賢い)サイクルと呼ん 利用方法はとても簡単。初回の利用 登録時に専用のICカードが発行され、 電車で使うICカードなどと同様に必要 な金額を事前にチャージしておきます。 自転車を借りるときは、ポートに設置さ れている専用端末にICカードをかざす れた乗り物。柏の葉地区では、街づくり 想」の中で、交 通 利 用に占める自転 車 の分担率を10%向上させる目標を設定 し、利用促進を図っています。そのため ルです。 ただ、従来の自転車共同利用システム には大きな問題がありました。どのポー ます。料 金 は30 分ごとに50円(30 分 各ポート間の自転車台数に偏りが生じ 未 満は無 料)。自動で利用時間を計算 し、チャージ金額から差し引かれます。 柏の葉地区でのコミュニティサイクル の社会実験は、2009年6月に初めて実 施。2009年11月には無人管理システム に発 展し、2010年 4月からは期 間を1 ICカードをかざす場所は、かしわスマートサイクルの ロゴマークが目印。数十秒の手続きで、誰でも簡単 に利用できる。 の重要施策の一つがこのスマートサイク だけ。鍵の暗証番号など必要な情報が 携帯電話に送信され、すぐに利用でき 使わずに台数の偏りを解消する画期的 トにも自由に返却できるので、利用中に てしまいます。このため、トラックで自 転車を輸送して台数調整を行っており、 せっかくのCO 2 削減効果が半減してい たのです。 そこで、柏独自に開発されたのが「お 助けボーナスポイント」制度(右図)。利 各ポートの自転車台数が不足すると、 返却を促すメー ルが登録者に送信される。 指定時間内に返却した場 合、 200円分のボーナスポイントを付与。 利用者にメ リットを与えることで、 ポート間の偏りを人の手で解 消する。

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Vol.14 かしわスマートサイクル ペースでのポート設置が可能なスマート 環境の整備を進めています。 スマートサイクルは、個人利用が中心 た場所へ交通網を広げる可能性も。車 ニーズや需要に応じてポートの増設や自 やバスなど従来の公共交通を補完する 通の乗り継ぎで行けるようになると期待 社会実験の後、事業化していくためにも 新しい公共交通へ かしわスマートサイクルは、今後利用 サイクルは、 これまではカバーできなかっ 転車の増車を検討しています。1年間の 以外の交通手段がない場所へも公共交 だった自転車を街ぐるみで活用し、電車 新しい交通システムの構築を目指して されます。 スマートサイクルの普及による より多くの利用者の声が必要ですので、 とで、移動距離や天候、その日の気分に 区の目指す 「サスティナブルな移動交通 柏の葉アーバンデザインセンターで10: なライフスタイルに。 「普段はバスを使う 普及の決め手は安全性 距離だけど、天気がいいから運動も兼ね クルのように自転車を便利に使える仕組 みとともに、安全に走行できる環境の整 自転車で」など、無理なく生活に自転車 備が重要。柏市が2009年に市民に行っ を取り入れることができます。 東京大学柏キャンパスに通う大学院 たアンケートでも、10年先を見通し必要 ンパス駅の移動にバスとスマートサイク 位に挙げた人が最も多かったのが自転 だと思う交通環境整備の取り組みで1 生の小島良輝さんは、大学と柏の葉キャ 車専用レーンの整備など走行環境を整 ルを使い分けることが多いそう。 「バスは 出発時間まで待たなければならないが、 えることでした。 移動できる」 と、選択肢が広がり便利に 省から 「自転車通行環境整備のモデル地 柏の葉 地 区は、2008年に国 土 交 通 自転車なら自分の好きなタイミングで 区」に指定され、専用レーンの設置や道 なったと喜んでいます。 ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● 東京大学柏キャンパスの西側道路に設置された自 転車専用レーン。車両や歩行者から分離され快適に 走行できる。 路上の自転車走行位置の明示など走行 また、無人管理により低コスト・省ス ● かしわスマートサイクルに関するお問い合わせ は柏市都市振興公社まで [電話] 04-7164-4141 [Eメール] info@kashiwa-toshishinkou.or.jp 自転車の利用促進には、 スマートサイ て自転車で」、 「荷物が多い日は車で移動 しているけど、手ぶらだから環境にいい ● 00〜19:00の間に受け付けています。 システム」 の一つの姿かもしれません。 よっても自由に移動手段を選べる快適 ● 積極的に利用してみましょう。登録は、 柔軟な交通システムの実現は、柏の葉地 います。スマートサイクルが定着するこ ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● キーパーソン・トーク 交通政策に関わり4年目になります。公共交通 の施策は市民の生活にダイレクトに関わるため、 責任とともにやりがいを感じています。 柏市では、2010年3月に今後10年間の交通政 柏市役所 都市計画部 交通政策課 主査 ていますが、登録者数、利用回数ともに順調に伸 びていて十分手ごたえを感じています。 自転車は、 環境によいことはもちろんですが、 健 策の方針をまとめた「柏市総合交通計画」を策定 康にもよく利用しただけ自分に跳ね返ってくるも 共交通へ転換し、 特に自転車にも注力しています。 賀沼沿いのサイクリングロードなど自然豊かなコ しました。これまでの車中心だった考え方から公 佐々木 政秀 氏 た。 システムの不具合など多少のトラブルは発生し この交通計画では、これまで柏の葉で取り組んで きた社会実験も先進事例として紹介しています。 かしわスマートサイクルは開始1カ月を過ぎまし の。私も通勤に利用していて、休日は大堀川や手 ースへ出かけています。柏は平坦な道が多く自転 車には適した街です。くれぐれも安全には注意し ながら、 風を切って楽しんで走ってほしいです。 □編集後記□ 環境に優しく、健康増進に役立つ自転車のもう一つの魅力は、移動時にいろいろな発見があること。車での高速移動では見過ごしがちな風景も、 自転車であればゆっくりと眺めることができます。大通りを抜けて路地に入れば、 これまで知らなかったお店を発見できるかも。 移動を目的地まで の手段にするのではなく、 それ自体を楽しむゆとりを持ちたいですね。 (蛭川) ● このニュースレターに 関するお問い合せ先 柏の葉アーバンデザインセンター(UDCK) 広報担当 小林、蛭川 〒277-8518 千葉県柏市若柴字元堂178-3柏の葉キャンパス駅前148街区3画地 TEL 04-7140-9686 FAX 04-7140-9688 E-MAIL ma-kobayashi@udck.jp WEB http://www.udck.jp

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Vol.15 UDCK ニュースレター 2010 年 7 月号 農業を生かした街づくり 土いじりから本格的な農業体験まで!街に広がる「農ある生活」 安全で新鮮な野菜を食べたい、緑に囲ま れて癒しを得たい、子どもに土いじりの 機会を与えたい。昨今、生活に農業を取 り入れた潤いあるライフスタイルが注目 されています。柏の葉周辺地域では、 マン ションや商業施設などの都市開発と同時 に、豊かな田園風景を大切にして農業と 共生する街づくりが進行中。様々な農業 体験のプログラムが展開し、都市の中で の 「農ある生活」 が広がっています。 気軽に農体験 新たな農業ビジネス 街の中で、気軽に農業を体験したい-- そんな平川さんが、 「もう少し本格的 「まちのクラブ活動 “KFVはじめての、土 に農業に挑戦したい人にお勧め」だと言 ル活動です。柏の葉キャンパス駅から徒 2006年から柏市花野井に開園した体 いじり”」は、そんな住民が集まるサーク 歩5分「まちのクラブハウス」に併設され た小さな畑を共有して、野菜作りを体験 うのが、 「農業体験 農園」です。自身も、 験農園「野菜畑」 で指導を行っています。 農業体験 農園では、単に土地だけを します。 貸し出す「市民農園」とは異なり、農家が 10名が参加しています。柏の葉キャンパ 農具・肥料など必要な道具の準備から、 活動は隔週で、1回1〜2時間程。現在 ス駅前のマンションに住む主婦の田淵 香奈美さんは、友人からの誘いで参加。 「野菜が嫌いだった子どもが、ここで採 れたものはおいしそうに食べる。 『また 採ってきてね』と言われるので、やりがい がある」と、お手製野菜の効果に驚いて います。 土いじりクラブで野菜作りの指導にあ たるのは、農作業支援を行うNPO野良 るビジネスが可能。運営主体は農家なの で、土地は税優遇のある農地として認め られます。さらに、作業は参加者である 一般市民が担うので、 農家の負担軽減に もつながります。 作付から収穫まで一連の農作業を体験 することができます。入園料は年間3〜 4万円程度で、一人当たりおよそ30平米 の区画が割り当てられ、夏作・秋作を通 じて1年で20〜30種の野菜を栽培しま す。もちろん、収穫した野菜はすべて持 土いじりクラブ、この日の作業はナスの誘引(茎や枝 を支柱にひもで結び付け、目的の位置まで導くこと) と芽かき(不必要な芽を取り除くこと)。どれが不必 要な芽なのか、平川さんの指導に聞き入ります。 ち帰ることができます。 体験農園は、耕作放棄地の対策や農 は、採れたて野菜でランチをしながら、 す。現在、多くの農家は収入不足や高齢 問に応じます。 ハウを生かして、安定した所得の得られ 野菜作りの指導まで行うので、参加者は 家の収入確保につながる、新たな都市 参加者からの園芸や料理法に関する質 る土地とこれまで培った野菜作りのノウ 参加者の作業を全面サポート。種・苗・ 坊の平川善仁さん。年間の野菜作り計画 を立て、毎回の作業をサポート。作業後 しかし、農業体験農園であれば、所有す 型農業のあり方としても注目されていま 化、後継者不足など様々な問題に直面 し、農業の継続が難しくなっています。 採れたて野菜を使った料理ワークショップも随時開 催。 写真は夕顔を使ったかんぴょう作りにチャレンジ。

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Vol.15 農業を生かした街づくり 農園で生まれる交流 そんな農業体験農園が、2010年3月 から柏たなか駅近くの農園でも始まりま した。 そのひとつ 「ジョイファーム岡田」 で 柏たなか駅高架下には、農ある街づくりを進めるた めの活動拠点「環境コンビニステーション」がオープ ン。写真手前は見本農園、奥の施設には体験農園の 参加者が使えるロッカーや更衣室、手足の泥汚れを 落とす洗い場、キッチン付きスタジオなどを備える。 は、現在19の区画で約40人が参加して います。各人が都合のよい時に農作業を するほか、 月2回は園主の岡田長一さん が直接指導。 長男である必要はない。一般市民が後 市民が創る農ある生活 夫婦で参加している益田さんは共に農 たなか農園 心して取り組める」 と順調な出だしに満 タートしました。農家との共同出資で農 を安く買いたい”という消費者の一方的 放棄地を地元地権者から借り受け、荒廃 な視点も変わった」 と、生活意識の変化 した土地を耕すところから始めた手作り それぞれが自分の区画で野菜を育て 葉大学の市民講座「柏の葉カレッジリン ながらも、作業中は参加者同士の会話が ク・プログラム」 の受講生仲間と一緒に、 スをしたり、道具の貸し借りをしたりと助 りを実践し病害や害虫など土地の特徴を 栗田裕子さんは、 コミュニケーションを活 20区画で開園しました。 田通信」 を自発的に発行。料理教室や親 の現状を知り、解決には一般の人が農 たコミュニティが形成されています。 考えました。 「農家の後継ぎは必ずしも ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● キーパーソン・トーク つくばエクスプレス沿線開発に関わった際に農 家の現状を知り、 打開するためには農業体験農園 が重要だと感じていました。 農家は、 農地と野菜作 りの技術を持つプロフェッショナルです。そして、 都会には 「土いじり」 をしたい多くの人がいます。 つ 平川 善仁 氏 ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● を体験する場所です。農業とは、園芸技術はもち ろん、食文化や経済活動、また作業中の人々の助 け合いなどすべてを含む概念です。 新鮮な野菜が 食べられる、緑に触れて癒しが得られる、農業理 解が深まる、 食育につながる、 地域交流が広がる、 ご近所での互助関係が生まれるなど、参加メリッ トはひとつではありません。 農業を生活に取り入れることは素晴らしいこと くばエクスプレスはまさに、 これらの人々の想いが ですが、 人それぞれ興味の度合いや時間の制約は ずなので、 大きなチャンスだと思うのです。 ら、農業体験農園のような本格的なものまで、農 つながる路線。そこでは需要と共有が成り立つは NPO 野良坊 理事長 2006 年より柏市花野井の農業体 験農園 「野菜畑」 を支援。 各プログラムの問い合わせ先。 KFVはじめての、土いじり [TEL]04-7137-2221 (まちのクラブ活動事務局) 農業体験農園 「野菜畑」 [TEL] 070-6643-7046(平川さん) 「農あるまちづくり」農業体験農園 [TEL]04-7157-2861 (環境コンビニステーション) 柏たなか農園 土の学校 [TEL]080-5656-3704(松本さん) 業と接する機会を増やすことが重要だと 睦会も行われ、農家と住民が一緒になっ ● 定です。 通じて、食料自給率の低下や厳しい農業 せやイベント情報をまとめた情報紙「岡 ● の参加者募集はもちろん、誰でも参加 できる一日限定イベントも随時実施予 松本さんは、元新聞記者。取材経験を 発にしたいとの想いから、農園のお知ら ● 紹介した各プログラムでは、来期以降 把握。今年3月から一般参加者を募り、 け合いながら作業は進みます。参加者の ● が今後さらに開園する計画。 また、今回 2009年から約1年間、試験的に野菜作 盛んに。農業経験者が初心者にアドバイ ● 柏の葉周辺地域では、農業体験農園 の農園です。松本さん自身も参加した千 も生まれているようです。 ● 指しています。 業会社を設立した松本庸史さんが、耕作 農業の大変さも痛感した。“無農薬野菜 ● 校から農業従事者を輩出することを目 土の学校」 も、今年からス 足そう。 「作る楽しさとともに、重労働な ● 継者となってもいいのでは」 と、土の学 市民の手で作り上げた体験農園「柏 業初体験。 「丁寧に教えてもらえるので安 ● 土の学校では、現在ナスやキュウリ、トマト、ジャガ イモ、キャベツを栽培中。あっという間に成長する 作物の生育スピードに、参加者は「ご近所におすそ 分けしても食べきれないくらい」と嬉しい悲鳴。 農業体験農園は、 「野菜作り教室」 ではないとこ ろがポイント。単なる野菜作りではなくて、 「農業」 異なります。 土いじりクラブのような気軽なものか 業と触れ合うきっかけが今後も増えることを期待 しています。 □編集後記□ 取材中に受けた質問に回答。 当レターのバックナンバーは、 柏の葉アーバンデザイセンターのWEBサイトで公開しています。 今月からは、 最新号が 環境コンビニステーションでも布置されるようになります。 (蛭川) ● このニュースレターに 関するお問い合せ先 柏の葉アーバンデザインセンター(UDCK) 広報担当 小林、蛭川 〒277-8518 千葉県柏市若柴字元堂178-3柏の葉キャンパス駅前148街区3画地 TEL 04-7140-9686 FAX 04-7140-9688 E-MAIL ma-kobayashi@udck.jp WEB http://www.udck.jp

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Vol.16 UDCK ニュースレター 2010 年 8 月号 柏の葉セグウェイクラブ 街にコミュニケーションを生む近未来のモビリティ 近未来的なデザインと、環境負荷が低いことで注 目の電動立ち乗り二輪車「セグウェイ」。近距離 交通としての活用はもちろん、街に交流を生み出 すコミュニケーションツールとしての可能性も 持ったすぐれものです。柏の葉地域は、 日本で初 めて公道走行を行うなど、 これまで数々の取り組 みを進めてきたセグウェイゆかりの地。2010年 5月には住民が主体となったクラブ組織が発足 し、本格的な街づくりへの導入が始まりました。 搭乗型移動ロボット セグウェイは2001年にアメリカで誕 生。2005年の日米首脳会談の際、当時 年に、CO2を排出しない乗り物を集めた 生かそうと、モビリティ・フォーラム以降 の中で初めて試乗会を実施しました。 ントを継続的に実施。今年5月には、今 「UDCK柏の葉モビリティ・フォーラム」 この時、セグウェイには単なる移動手 のブッシュ大統領から小泉総理大臣へ 段にはとどまらない大きな魅力があるこ 年から日本でも法人向け販売が始まり つことに気が付きました。 贈られたことで一躍有名になり、2006 ました。 とを発見。街づくりに生かせる特徴を持 行にとても適していること。セグウェイ 作が特徴で、ハンドルにはブレーキもア が、通常利用時は人が足早に歩く程度の クセルもありません。前進後退・加速減 速は前後への重心移動で、方向転換は ハンドルを傾けることで行います。 数十分程度の講習を受ければ、誰で を楽しみながら、長い距離でも疲れずに 楽しく移動することができます。 二つ目は、コミュニケーションが活性 大さん(38)は、 「セグウェイは乗り物と また、乗車中は誰もが社交的な気分に と言います。慣れてくると自分の体の一 部になり、 ロボットスーツのように自在に 操れるようになるのだとか。 街づくりに生きるセグウェイ 柏の葉地域では、当初環境に優しいモ ビリティとしてセグウェイに着目。2008 ブ」 が発足しました。 6〜7km/hが中心です。ゆったりと景色 化すること。セグウェイに乗っていると、 いうよりは搭乗型移動ロボット」である のサークル組織「柏の葉セグウェイクラ は最高20km/hまでスピードが出ます も簡単に乗れるのが人気の秘密。日本で の販売を行うセグウェイジャパンの秋元 後の本格的な普及活動を担う住民主体 特徴の一つ目は、景色を見ながらの走 乗車条 件は、16歳 以 上で体重48kg 以上118kg未満であること。直感的な操 も地域の見どころを回るツアーなどイベ 柏の葉地域では、2008年の「UDCK柏の葉モビリ ティ・フォーラム」にて、国内初となる公道を使った 試験走行を実施。 道行く人から必ず 声を掛けられます。 なり、普段はあいさつをしないような人 でも思わず手を振りあいさつをするよう に。実際、警察のパトロールにセグウェイ を導入したアメリカのシカゴでは、警察 官と市民の会話が盛んになり、窃盗など の軽犯罪が大幅に減少したという実績 もあります。 こうしたセグウェイの力を街づくりに 「走るノートパソコン」 と言われるほど、 精密なテクノ ロジーが駆使された本体部分。 7つのセンサーで重心 移動をコントロールし、 乗車中のバランスを保つ。

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Vol.16 柏の葉セグウェイクラブ 初めは緊張で固かった参加者も、表情 初めての試乗会 が和らぐにつれ技術も上達。試乗した取 手市在住の大坂渉さん (42) は、 「自分が セグウェイクラブの活動は、 セグウェイ 思うように動くので面白い。 インストラク を街に広め、 活用すること。最初の対外活 動は、7月24日に行われた柏まつりでの ターが付いてくれるので、安心して体験で メンバーは、 セグウェイジャパンの公式講 い体験でも十分にセグウェイの楽しさを きた。機会があればまた乗りたい」 と、短 セグウェイ試乗会。開催に向けてクラブ 実感した様子です。 習を受講し、公認インストラクターの資 初めてのインストラクターを無事に務 格を取得しました。 めたクラブメンバーも、参加者との会話 試乗会には、噂を聞きつけた希望者が が弾み充実した表情。 メンバーのひとり 殺到。18名の定員枠はあっという間に埋 インストラクター講習は、講義と実技の2本立てで 3〜4時間にも。セグウェイの操作技術から、 「い かに人に話を聞いてもらうか」といった指導術ま で学ぶ。 池 部比佐 代さん(30)は、 「予 想 以 上に まってしまいました。一回30分で、一度 多くの人から声をかけられ、 コミュニケー に3人の参加者が試乗。 クラブメンバー りと、 街中で活用されることが目標です。 ションに役立つことを実感した」 とセグ がそれぞれマンツーマンで指導します。 まずは、今後も試乗会やツアーなどを ウェイの力を再認識したそうです。 開催し、市民がセグウェイと触れ合う機 セグウェイのある街を目指して 会を増やしていく予 定。 「セグウェイを 使ってこんなことをしてみたい」 というア 柏の葉セグウェイクラブの活動は、 まだ イデアがあれば、 ぜひセグウェイクラブに 始まったばかり。 「次はもっと長距離で、 参加を。 森林など空気のきれいなところでやりた い」 と、 メンバーは次なるイベント実施に ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● お問い合わせは、 まちのクラブ活動事務局まで [TEL]04-7137-2221 [MAIL]info@kcvn.net 意欲的です。将来的には公園管理者が利 柏まつりでの試乗会。初めて乗るときは緊張の一 瞬。前方でセグウェイを支えることで、恐怖心を取 り除く。 用したり、 自転車のように街でシェアした ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● キーパーソン・トーク の構築」。それは柏の葉の街づくりにおいても、大 セグウェイに乗ると誰でも自然と笑顔になり、 人の関係性を結ぶこと。セグウェイクラブのメンバ 「こんにちは」とあいさつが生まれます。この現象 は世界共通で、私たちは「セグウェイスマイル」と 呼んでいます。 れよりも街並みを楽しむツアーなど、移動自体を 楽しむ使い方に適しているので、使用はあくまで 限られたシチュエーションが中心になります。 セグウェイの持つ力は、一言でいえば「関係性 ● ● ● ● ● ● ● ● また、住民と住民をつなぐ役割も期待できま がお互いに関心を持ち合えば、地域の防犯・防災 動手段としてはあまり向いていないからです。そ ● きっとその人は柏の葉を好きになってくれます。 問されますが、私たちはセグウェイがそのような ることができないなど不便な点も多く、単なる移 ● ーが、街をセグウェイで案内するツアーを組めば、 す。例えば、セグウェイを使ってPTAなどが自警 使われ方をするとは考えていません。走行中に座 ● いに活用できます。例えば、街と街に興味がある 「セグウェイがバイクのように普及して珍しくな くなれば、 そんな現象は起きないのでは」 とよく質 ● 団となり街を巡回してはどうでしょう。住民同士 につながります。昔からよく「声かけ運動」などの 活動がありますが、セグウェイを使うことでそれ を楽しく実践できます。 日本では法令上まだ公道走行ができないので 利用方法は限られますが、柏の葉公園を回るだけ でも十分に街の魅力は伝えられるはず。ぜひ、セ グウェイをうまく街で活用してください。 秋元 大 氏 セグウェイジャパン株式会社 取締役 インストラクターを認定する 「アド バンスド・インストラクター」とし て、これまで国内で1000人以 上 のインストラクターを育成。 □編集後記□ セグウェイの講習中、 道行く多くの人が立ち止り、 声をかけてくださいました。 UDCKでは様々なイベントを行っていますが、 これだけ注目されることは 珍しく、 セグウェイの力を実感。 セグウェイを通じて、 街づくり活動に参加する人が増えることにも期待しています。 (蛭川) ● このニュースレターに 関するお問い合せ先 柏の葉アーバンデザインセンター(UDCK) 広報担当 小林、蛭川 〒277-8518 千葉県柏市若柴字元堂178-3柏の葉キャンパス駅前148街区3画地 TEL 04-7140-9686 FAX 04-7140-9688 E-MAIL ma-kobayashi@udck.jp WEB http://www.udck.jp

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Vol.17 UDCK ニュースレター 2010 年 9 月号 新生 柏の葉アーバンデザインセンター 新機能満載の新しい拠点から、街づくりは次のステージへ 2006年11月20日の開設から約4年、柏 の葉キャンパス駅前西口を拠点に活動を 続けてきた柏の葉アーバンデザインセン ター(UDCK) は、2010年9月に同駅東口 に移転しました。従来の施設の外観や規模 を引き継ぎながら、情報発信の強化や実 験的な新技術の導入により、 これまで以上 に柏の葉の魅力を伝える施設にリニューア ル。移転とともに、柏の葉アーバンデザイン センターの活動も第二期に突入します。 UDCKの歩み UDCKは、柏の葉 周辺 地 域の街づく り推 進 拠 点。創設 者である故・北沢猛 (東京大学大学院教授)の提唱により、 日本 で 初めて「公(行 政) ・民(企 業/市 民) ・学(大学)」が協働する街づくりセン ターとして設立されました。 東京大学・千葉大学・柏市・三井不動 産・柏商工会議所・田中地域ふるさと協 議や大学の講義、フォーラム、市民活動 街の姿がイメージできるように。また、つ 回に及んでいます。 要な施設をLED照明にてライトアップ。 などを合わせ、施設利用は年間約500 旧施設は駅前街区の開発に伴って利 用できなくなりましたが、その実績と必 要性が認められ活動が継続、新施設へ の移転が決まりました。 移 転を機に、施 設もバージョンアッ プ。まずは、館内の情報発信機能を強化 を持つ複数の協力団体が活動をサポー ト案内のリーフレットやパネル掲示など トしています。 UDCKの役割は大きく三つ。一つは、 会議等を通じて、多様な街づくりの関係 者をつなぐプラットフォームとしての機 能。二つ目は、街づくりの専門家として構 想・計画・推進を行うシンクタンクとして の機能。そして最後が、柏の葉の取り組 しました。これまでも、UDCKではイベン を通じて情報発信を行ってきましたが、 個別の取り組みが中心で街の魅力が総 合的に伝わっていないこ できるようになりました。 の展示。大学の研究事業から市民の交 流活動まで、柏の葉を代表する15のプ ロジェクトをピックアップし、それぞれ1 〜2分程度の映像にまとめました。館内 の大型モニターで常時鑑賞可能で、簡 単操作で見たい映像を自由に選択でき ます。 した。 一つは、1/1000スケー 提案・各種フォーラムの開催・市民活動 地 区 画 整 理 事 業 の範 囲 した。 2009年度の実績では、街づくり会 うな施設があるのか分かりやすく確認 の情報ツールを刷新しま ルの都市模型のリニュー の推進など、様々な活動を展開してきま 施設を点灯させることで、どこにどのよ とが課題に。そこで、二つ みを広く伝える情報発信機能です。 2006年の発足以来、空間デザインの それぞれの解説パネルを見ながら該当 二つ目は、街づくり活動の紹介映 像 街の魅力を発信 議会・首都圏新都市鉄道が構成団体と なり、その他、関連公共団体や専門技術 くばエクスプレスや柏の葉公園などの主 アル。今後開発が進む土 は、これからできる道 路 や建物を追加して未来の 1/1000模型 (左) と映像モニター (右) 。 来館者が直接操作できる仕組み で、 能動的に楽しめるように設計。

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Vol.17 新生 柏の葉アーバンデザインセンター こうした新設備に加えて、 自転車を街 実験の発信基地 で共有する 「かしわスマートサイクル」 、公 共の場で電源サービスを提供する 「公衆 さらに新施設には、実証実験都市を標 電源espot」 の実験は旧施設より継続。 榜する柏の葉のショーケースとなるよう、 UDCKでは、 これらを実際に利用しなが 複数の実験的な新技術を導入しました。 ら効果を検証していきます。 建物は、 「ツーバイフォー工法」 という 建築技術によって、国内で初めて、防火地 パーゴラから出るクールミストは、見た目にも涼を 感じる。 第二期のスタート 域での大空間木造建築に挑戦。鉄筋コン 2010年9月8日、完 成した新 施 設の クリート造に比べて建築時のCO2 排出 お披露目を兼ね、柏の葉アーバンデザイ を削減しました。 ンセンターの第二期オープニング式典を 建物の周囲には、国産ヒノキを使った 開催。台風による雨の中でも、約100名 700平方㍍以上のウッドデッキを設置。 クールミスト (散霧) システムを装備した が出席し盛況に行われました。 るヒートアイランド対策への効果を検証 りプログラムを立ち上げました。 ここから また、 オフィスにも実験を導入。室内の を検証し、定着させながら目に見える成 UDCKの第一期では、数多くの街づく パーゴラ (日陰棚) も設置し、国産材によ します。 明るさを人間の脳内リズムに合わせ自動 始まる第二期では、 それぞれの取り組み 式典に参加した柏市の秋山浩保市長は、 「新しい取 り組みも、前例にとらわれることなく進めていきた い」とコメント。 果を出していくことが目標になります。 ベントやフォーラムの募集などが載って 新 施 設 と な っ たUDCKは、午 前10 で調節し、仕事の効率向上や身体機能の バランス調整を図る次世代の照明システ 時〜午 後7時まで 入 場自由ですので、 よる化学物質の発生を極力抑えた建材 施 設 に 合 わ せ てWEBサイト(http:// www.udck.jp) もリニューアル。最新のイ を利用しています。 ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● 2006年の発足から施設移転までを活動の第 のイベントは本来こうあるべきではないか、もっ ログラムが展開しているのは、UDCKに素晴らし いメンバーが集まり、積極的に取り組んでくれた ことの成果です。 当初UDCKは、主にハード面の都市設計を中 柏の葉アーバンデザインセンター (UDCK) 副 セ ン タ ー 長/セ ン ター長代理 東京大学大学院 新領域創成科 学研究科 准教授 ● することであり、重要な「アーバンデザイン」の要 を立ち上げた時期でした。現在これだけ多くのプ 剛氏 ● キーパーソン・トーク 一期とすると、それは様々な街づくりプロジェクト 清家 お問い合わせは、柏の葉アーバンデザインセン ター(UDCK) まで [TEL]04-7140-9686 [MAIL]info@udck.jp 気 軽 に 見 学 にお 越しください。また、 ムを採用し、壁と床には千葉大学監修に ● いますので、 ぜひアクセスを。 心に議論・推進する組織として設立されました。 しかし第一期の活動を振り返ると、それ以上に市 民交流や文化・アートなど、ソフト面の取り組み が非常に活発に行われています。 第二期では、これまで通り都市設計を進めると 同時に、こうしたソフト面の取り組みにも積極的 に関わっていきます。街づくり全体を俯瞰しなが らこうした活動をまとめることはまさにデザイン 素です。例えば何かイベントを行う場合でも、そ とこういう目的のイベントも必要ではないか、など と提案することでより街づくりが広がり、深みを 持つようになります。 UDCKは、市民に開放した街づくり拠点。開放 していて最も意義を感じることは、市民の声がダ イレクトに街づくり関係者に届くことです。イベン トやフォーラム開催時をはじめ、日常的に市民と 街づくり関係者が一つ屋根の下に接点を持つこと で、市民からの様々な意見や要望はもちろん、ふ としたつぶやきや素朴な疑問まで関係者の耳に 入ります。その効果はじわじわと、しかし確実に 街づくりに影響を与えています。これから始まる 第二期でも、ぜひ積極的に足を運んでいただき、 街づくりへの声を聞かせてください。 □編集後記□ 本ニュースレター、17号目にしてようやく自らの組織を紹介しました。 まだまだUDCKに来たことがないという人も多いと思いますが、 これを機会 にぜひ一度お越しください。 (蛭川) ● このニュースレターに 関するお問い合せ先 柏の葉アーバンデザインセンター(UDCK) 広報担当 小林、蛭川 〒277-0871 千葉県柏市若柴184-1柏の葉キャンパス149街区13 TEL 04-7140-9686 FAX 04-7140-9688 E-MAIL ma-kobayashi@udck.jp WEB http://www.udck.jp

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Vol.18 UDCK ニュースレター 2010 年 10 月号 ピノキオプロジェクト 子どもが街と市場をつくり、社会を学ぶ体験学習 「子どもは街で育てよう」 をスローガン に、子どもたちが実社会の中で職業体 験やワークショップなどの体験学習に 参加する 「ピノキオプロジェクト」。企業 や学校など地域の様々な団体が協力す る取り組みで、普段子どもと一緒に活 動することの少ない大人にとっても貴 重な交流の場となっています。 プロジェ クト開始から4年目となる今年は10月 10・11日に開催します。 試行錯誤で成長 意思を持った木の人形が何度も失敗 を繰り返し、試行錯誤しながら人間へと 成長する童話『ピノキオ』。そんなピノキ オをモチーフに生まれたこのプロジェク トは、失敗や試行錯誤する体験を通じて 子どもの創造性や社会性を養う学習プ ログラムです。 2007年に始まった第一回は、花屋や 八百屋、カフェなど様々な職業を体験す る「ピノキオマルシェ(市場)」として始ま りました。実際の仕事と同じように、働け ば報酬としてイベント限定で使用できる 通貨「Pi(ピ) 」を支給。働く大変さはもち ろん、報酬をもらう嬉しさやその使い道 を考えることまで、可能な限り実社会に 即した体験を行っています。 3年目となる2009年からは「ピノキオ マルシェ」 とあわせて、子どもたちが理想 の街を段ボール等を使って建設する「ピ ノキオシティ」を開始。企画から当日運 営までを地域の子どもたちが行う企画と して成長してきました。 毎年 複 数のアーティストによるワー クショップも実施して、日常ではなかな か体験できない多彩なプログラムが展 開。子どもたちと社会とのコミュニケー ションをデザインする取り組みとして、 2008年度グッドデザイン賞をはじめ複 数の賞に輝く高い評価を得ています。 街の「寛容さ」 そんなピノキオプロジェクトには、子 どもの教育に加えてもう一つの狙いが。 プロジェクトを統括する松田朋春さん は、その狙いを「街の寛容さを広げる」と 表現します。寛容さとは、失敗するかも しれないことを受け入れ、むしろ楽しむ 姿勢のこと。子どもの職業体験が軸とな 巨大なピノキオバルーンを中心に作られるピノキオ シティ。 建設作業はもちろん、 そこでの遊びや来街者 のもてなしまで、 すべて子どもが考え創り上げる。 るピノキオプロジェクトですが、現実的 な大人社会の職場で失敗は歓迎されま せん。しかし、日々の生活の場である地 域コミュニティでは、多少の失敗が許さ れなければ息苦しく暮らしにくいもの。 失敗の象徴たるピノキオの輪が広がっ ていくことは、街に寛容さが広がってい くことの表れとして、プロジェクトを通じ た周囲の大人たちの意識変化に期待し ているのです。 イラストレーターの高橋信雅さんと一緒に、 街中の店 舗やピノキオシティの壁を彩る 「落書きワークショッ プ」 。 普段は禁止されている落書きも、 プロのテクニッ クと皆の協力作業で立派なアートに。

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Vol.18 ピノキオプロジェクト きました。 ジェクトでも、新たな展開が。柏の葉キャ や商店など大人たちの意識は大きく変化 しました。 当初は、子どもを職場に迎える ンパス駅周辺の飲食店が協力し、過去 協力をためらう企業が大半でした。 しか リジナルメニューの数々がプロの手で復 いるだけで大人も笑顔になる」 「失敗を繰 ことになりました。 また、2010年の新メ 喜ぶ姿は、 自分たちが忘れていたものを んで子どものアイデアを具体化したホッ にピノキオマルシェ限定で販売されたオ ことがどの程度負担になるのか分からず、 活。実際に営業する店舗で販売される し、回を重ねるごとに、 「子どもが職場に ニューとして、精肉店と農家がタッグを組 り返しながらも、仕事を達成して純粋に 気付かされる」 「単純なモノの売り買いだ トドッグ「ピノキオ柏の葉ドッグ」 や、地域 まれる」 など子どもとともに働く大人から スイーツが誕生。 こちらも、今年のピノキ る企業も多くなりました。 地域での継続販売が検 オマルシェでの販売のほか、 イベント後の 高評価。今では自発的に参加を申し入れ 討されています。 広がるピノキオの輪 職 業 体 験やピノキオ ピノキオプロジェクトをより広げていく シティへの参 加は小 学 ています。 これまでも、 マルシェのカフェで シェへのお客さんとして 学校と協力して開発したり、江戸川大学 10月10・11日、柏 の 葉 生以下限定ですが、 マル ため、企業以外の団体との連携も重視し 大人も参加可能。今年は 販売するオリジナルメニューを地元の小 ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● 20 07年開発の「秋の実りカレー」と20 0 9年開発の「ピノキオパ フェ」。その他合計5種類のオリジナルメニューが、イベントに先駆け 10月5日より復活販売される。 キャンパス駅周辺とらら の研究室と共同で地域の環境調査を行 ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ピノキオプロジェクトと他の子ども向けイベン 人は注目します。 普段見慣れないものは、 どんなこ しながらも、職業体験であればそのお店で働く職 人、ワークショップやピノキオシティであればアー ティストが一緒に活動して子どもをサポートしま す。大人と一緒に働くことで、仕事に取り組む姿勢 スパイラル/株式会社ワコールアー トセンター チーフプランナー ピノキオプロジェクト・五感の学 校をはじめ、アートを通じた柏の 葉 地 域 の 街 づくり 企 画 をプ ロ デュース。その他、2005年愛・地 球博公式アートプログラムでプラ ンニングを担当するなど、地域開 発やイベント、 商品開発、 広告企画 に携わる。 ● ートプロジェクトであることです。 アートには、 「風 る点にあります。子どもの自主性を最大限に生か 朋春 氏 ● キーパーソン・トーク トの大きな違いは、意識的に大人を介在させてい 松田 募集を通じて集まったメンバーによるピノキオシ ティでの遊びづくりワークショップ。 「風に反応して 色を変えるLED照明」と「空気砲」というツールが 与えられ 、それを使ってどのような遊び 方がある か、実践しながら開発していく。 住民が養蜂しているハチミツをつかった けでないコミュニケーションが顧客と生 ● お問い合わせは、 ピノキオプロジェクト実行委 員会まで [TEL]090-1733-0712(受付10:00-18:00) [MAIL]info@gokan - gakkou.jp 4年目を迎える今 年のピノキオプロ 実際に、過去3回の開催で地域の企業 ● ぽーと柏の葉を会場に開催します。 うなど、教育機関を中心に連携を進めて 大人も子どもに学ぶ やプロフェッショナルな行動・技術を見習うこと ができ、大人への敬意が生まれ成長の糧となるか らです。とにかく子どもの自由にやらせて結果は どうなってもいいというプロジェクトではなく、し っかりとした成果を作り上げる過程を体験させる ように心がけています。 もう一つ重要な点は、 ピノキオプロジェクトはア 景を変える力」 があります。 風景が変わると、 そこに とをしているんだろう、と気になるものです。だか らこそ、 ピノキオではただ職業体験をするのではな く独自の衣装を身にまとい、 巨大なピノキオバルー ンを掲げて子どもたちだけのオリジナルの街を建 設しています。 周囲の注目が集まることで、 参加者 が増えてプロジェクトが大きくなっていきます。 柏の葉ではピノキオ以外にも数多くのアートプ ロジェクトを展開していますが、最終的な目標は 市民が「どんなことをしているのだろう」と思う機 会を増やし、 「この街では色々なことを楽しめるの だ、やっていいのだ」と認識してくれるようになる ことです。そうなれば、街で何かを仕掛けようとす る人が増え、きっと面白い街になると思います。 □編集後記□ 子どもたちが一生懸命遊びを考えるワークショップを取材中、 その真剣さや段取りの良さにびっくり。 とはいえ、 休憩になればすぐさま全員がお菓子 を食べだす姿は、 「やっぱり子どもだなあ」 と安心 (?) しました。 (蛭川) ● このニュースレターに 関するお問い合せ先 柏の葉アーバンデザインセンター(UDCK) 広報担当 小林、蛭川 〒277-0871 千葉県柏市若柴184-1柏の葉キャンパス149街区13 TEL 04-7140-9686 FAX 04-7140-9688 E-MAIL ma-kobayashi@udck.jp WEB http://www.udck.jp

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Vol.19 UDCK ニュースレター 2010 年 11 月号 柏の葉サイエンス・エデュケーション・ラボ 学生が科学の魅力を発信!地域が連携する 柏の葉モデル の科学教育 子どもの理科離れが深刻化するなか、 科学の魅力を伝える“サイエンス・コ ミュニケーター”という存在に注目が集 まっています。柏の葉地域では、現状を 危惧した東京大学大学院生の呼びか けをきっかけに、科学の楽しさや奥深 さを発信する団体「柏の葉サイエンス・ エデュケーション・ラボ(KSEL)」が発 足。地域の学校・教育機関と連携し、街 にサイエンスコミュニケーションの輪 を広げる活動が動き出しました。 科学は面白い 「自分たちが日々研究している科学は こんなにも楽しいものだということを、 もっと多くの人に知って欲しい」-KSEL は、そん な 想 い を 持 った 東 京 大 学 柏 キャンパスの学生の提案をきっかけに、 2010年6月に設 立しました。メンバー 会 場に「サイエンスカフェ」を行いまし 高校生にとって一般の人を相手に発表す 手に科学と触れあうカフェスタイルの科 する企画のテーマを決めた後は、数回 た。サイエンスカフェとは、飲み物を片 学教室のこと。参加者と講師の距離が近 く、疑問点はすぐに質問しながら学べる ため、普段科学との接点が少ない人にも 参加しやすい教室です。 サイエンスカフェの実 施にあたり、 は、大学院生を中心に13名。柏の葉地域 KSELの掲げる「地域の学校間連携」の ンデザインセンター(UDCK)のスタッフ 校との協力が実現し、高校 を拠点に街づくりを進める柏の葉アーバ も、アドバイザーとして参加しています。 KSELの活動軸は大きく三つ。一つは、 「街と学校のつながりによる地域・教育 の活性化」。二つ目は、 「大学・大学院と 小・中・高の連携による新しい学びの場 づくり」。そして最後は、 「科学の魅力発 信」です。科学の普及とともに、科学を通 じて地域教育全体を盛り上げることが 狙いです。 高校との連携 活動第一弾として、10月にUDCKを 先駆けとして県立柏の葉高 る機会は未知なもの。それぞれが実施 にわたり大学院生と高校生が打ち合わ せを行いました。 「難しい理論を先に説 明するよりも、まず体験させたほうがい い」など、大学院生が発表方法のアドバ イスを行いながら、協力して内容を作り 上げていきます。 生と大学院生がそれぞれ講 師を務めることに。柏の葉 高校には 理 数 系教 育に特 化した「情報理数科」がある ため、もともと科学に対して 関心の高い学生が集まって いることもあり、KSELの呼 びかけにすぐに参加者が集 まりました。 研 究 発 表 会 や市民向け 科 学教 室などで経 験 豊富 な大学院生に比べ、多くの 高校生が作成したプレゼンテーション資料に、 大学院生がアドバイス。 ど うすれば分かりやすく伝わり、 内容を面白いと思ってもらえるのか、 一緒 に考えていく。

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Vol.19 柏の葉サイエンス・エデュケーション・ラボ 今後の活動予定 共に学び、成長する 活動第二弾では、 柏の葉高校情報理数 10月30日のサイエンスカフェ当日は、 科で行われる 「情報実習」 の授業をサポー 台風によるあいにくの天候にもかかわら ず、約40名の参加者で大盛況。 テーマご トすることになりました。 情報実習とは、 生 実験や体験を取り入れ工夫されたもの 数だけテーマが存在し、高校の先生だけ 徒各自が自由に研究を行う授業。生徒の とに用意された5つのブースはそれぞれ で、 どれも好評でした。 では対応が困難になってきていたため、 大 ことは、講師となった大学生と高校生の スを行います。今期の秋学期より参加し、 の藤家咲さんが「発表内容のアドバイス さらに、今後は小中学校とも連携でき 学院生がその専門性を生かしてアドバイ 当日の内容以上に手ごたえをつかんだ 来年度は1年間を通じて実施します。 連携による効果。講師を務めた高校2年 はもちろん、準備での役割分担の仕方な るよう協議中。小中学校に出向いて科学 方、大学院修士課程の羽村太雅さんは 新しい科学教育の授業を開発することな どあらゆる点が勉強になった」 と喜ぶ一 「熱心に取り組む姿勢や市民とのコミュ ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● 現在の学校教育だけでは、残念ながら科学の 実践していくことが重要だと考えています。最初 問題。受験勉強に対応するためには知識の暗記を 重視せざるを得ず、結果として時間のかかる実験 や科学のおもしろさを伝える雑学的な話などが 省略されてしまっています。 進吾 氏 お問い合わせは、柏の葉サイエンス・エデュケー ション・ラボまで [WEB]http://udcx.k.u-tokyo.ac.jp/KSEL/ index.html [MAIL]ksel.sci@gmail.com キャンパス”と呼べる環境。だからこそできる教育 先生の個別の問題ではなく、教育システム全体の KSELでは、学校教育とは違った角度から科学 柏の葉サイエンス・エデュケーショ ン・ラボ代表 東京大学大学院新領域創成科学 研究科 社会文化環境学専攻 空間計画研空室 博士課程3年 随時募集しています。 キーパーソン・トーク 楽しさは十分に伝わっていません。それは学校や 関谷 したい店舗・団体・市民からの提案も、 どで科学教室を行いたいという場合に は、 早くも現れています。 ● 募集中。 また、連携して科学教育を実施 カフェ (仮) 」 や、市民サークル、町内会な み。KSELだからこそできる教育の成果 ● どを検討しています。 KSELでは、 趣旨に賛同するメンバーを 関する書籍を置く 「セレクションブック の学校教育ではなかなかできない取り組 ● イデアを議論しています。 と提携し、KSELメンバー推薦の科学に 場の違う者同士が学び合うことは、通常 ● 授業を行うことや、学校の先生と共同で だ構想段階ですが、地域の飲食店など ちらかが一方的に教えるのではなく、立 ● のような働きができないか、 など様々なア 向けた科学教育も継続していく予定。 ま 学ぶことが多かった」 と振り返ります。 ど ● KSELのメンバーを派遣する人材バンク また、学校間だけでなく、地域全体へ ニケーションのとり方は、 むしろ高校生に ● 難しい理論は図を使って説明するなど、科学の前 提知識のない子どもにも分かりやすく伝えるために 工夫を凝らす。 教育に貢献することを目指しています。教科書の 内容を覚えることはもちろん必要な勉強ですが、 教科書には載っていない知識に触れることで、科 学に対する関心や純粋な好奇心が生まれてくるこ とを期待しています。 柏の葉地域は「柏の葉キャンパス」と駅が名づ けられるように、東京大学や千葉大学をはじめと した学術研究機関が密集する、まさに“街全体が プログラムを、地域の教育機関が連携して開発・ の活動となったサイエンスカフェで早くも多くの 連携ができたことは収穫でした。 大学と高校、 さら には街づくりセンターが一緒になって開催した今 回の展開は、 まさに柏の葉ならではの活動です。 理科離れ、と言われていますが、そもそも「理 系と文系」を明確に区分することにも問題がある と思っています。例えば、古くは「砂漠で迷わない ように星座を作った」ように、本来科学とは人々 の生活や文化と密接に結びついているもので、だ からこそ重要で面白い。KSELでの活動では、文 化も含めた広い意味での科学教育を実践してい きたい。私たちが一方的に何かを教えるのではな く、一緒に考え、時に助言を与えられるような兄 貴的存在として、頼られるようになることが理想 ですね。 □編集後記□ “科学技術創造立国”を目指す日本において、 理系離れは深刻な問題。 学生自らがその解決に動き出したことは、 頼もしい限りです。 いつかKSELを きっかけに科学に目覚め、 ノーベル賞を受賞する科学者が生まれて欲しい・ ・というのは、 少し気が早い期待でしょうか。 (蛭川) ● このニュースレターに 関するお問い合せ先 柏の葉アーバンデザインセンター(UDCK) 広報担当 小林、蛭川 〒277-0871 千葉県柏市若柴184-1柏の葉キャンパス149街区13 TEL 04-7140-9686 FAX 04-7140-9688 E-MAIL ma-kobayashi@udck.jp WEB http://www.udck.jp

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Vol.20 UDCK ニュースレター 2010 年 12 月号 公衆電源プロジェクト 電源のユビキタス化がもたらす、新たなライフスタイル 秋 晴れの空の下 、友 達同 士でホットプ レートを使ってバーベキューパーティー。 その隣では、 ママ友達が集まって電気ケ トルを使ってティータイム。子ども達は電 気わたあめ機で大はしゃぎ。 オートキャン プ場のようなこの光景、実は柏の葉キャ ンパス駅前ロータリー脇での休日の一 幕。柏の葉地域では、電源をいつでもどこ でも利用できるようにする「ユビキタス 化」 を目指し、社会実験が進行中です。 公衆電源「espot」 ノートパソコンやスマートフォン、電動 アシスト自転車など、日々進化する様々 な電化 機器によって、屋外で電気を使 用する機会が急速に増加しています。一 方、電気を供給する電源網の整備は屋 する予定でしたが、好評につき2011年 その目標に沿って新しい電源のあり方と に続いて東京・日比谷でも実験を行うな グリーン電力によって環境との共生も図 3月まで延長することに。さらに、柏の葉 ど、広がりを見せています。 グリーン電力 生活が便利になる期待の一方で自然環 そんな電気利用のあり方を変えるべ espotでは「グリーン電力」を使用する く、電 源の公 衆化を目指して取り組 ん でいる今回の社会実験は、柏の葉アー ことでその問題を解消しています。 グリーン電力は、風力や太陽光などで CO2を排出せずに発電した、環境に優し 2010年3月から開始。登録すれば誰で 引で用いられてきましたが、espotでは も利用できるコンセントを「espot(エス ポット) 」と名付け、ららぽーと柏の葉や UDCKの屋外デッキ、柏の葉公園などに 設置しています。 一 般 市民からモニターを募り、無料 いエネルギー。これまでは主に企業間取 一般個人の利用を実現しました。今回の 実験では、公衆電源の仕組みと共に、こ 狙いもあります。 公・民・学が連携して次世代環境都市 づくりを進める柏の葉地域は、 「柏の葉 要な技術、運用のオペレーションなどを つとして、最先端の技術や文化を世界に 検証するこの試み、登録者は現在およそ 700人。当初、実験は2010年8月で終了 UDCKの屋外デッキに設置されたespot。 事前登録で 発行される認証用ICカードをかざせば、 1回につき30 分間利用できる。 の環境配慮型電力の利用を推し進める で体験してもらいながら、屋外での電気 利用ニーズの把握やサービス提供に必 立させています。 境への影響を懸念する声もありますが、 バンデザインセンター(UDCK)が東京 電力と協働して実行委員会を組織し、 り、生活の利便性と資源の継続性を両 自由に使える電源を増やすことには、 内を中心に進められてきたため、屋外で の電源の確保はいつも悩みの種。 いうイノベーションを模索しながらも、 国際キャンパスタウン構想」の目標の一 発信していく「イノベーション・フィール ド都 市」を掲げ ています。espotでは、 espotで使用している電力は100%グリーン電力。 日 本自然エネルギー株式会社のグリーン電力証書を通 じた仕組みで、 利用者の手間はかからない。

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Vol.20 公衆電源プロジェクト 換会、利用者を集めてのアイデア会議や 葉地域の定期市「マルシェコロール」 にて 利用方法の模索 ワークショップなどを複数回開催してきま ホットプレートを使ったバーベキューや 柏の葉地域に設置されたespotは、合 わたあめ機を使った楽しみ方を実演しま した。 地域住民が自ら機器を持ち込んでたこ焼 を使いたい」 などの新しい利用方法の提 発的なアイデアによる利用が広がってい 電してみては」 といった新たな電力供給の 計で週平均40回程度利用されています。 した。 これらの取り組みから、最近では、 数は想定よりやや少ない」 と冷静に見て きパーティーを楽しむなど、利用者の自 ジが湧かないからではないか」 と分析し ます。 ただ、実行委員の冨山晶大さんは 「利用 おり、 その理由の一つを 「使い方のイメー ます。 「公園でのピクニックでワインクーラー 案や、 「駅の床が踏まれる力を活用して発 仕組み、 さらには 「急速充電や電源の無線 化」 など未来の電源のあり方まで、 様々な 未来の電源 そこで、実行委員会では積極的に利用 角度からのアイデアが飛び出しています。 こうした将来の展望も含め、継続的に espotは、 始まったばかりの新しいサー シーンを見せる活動を展開してきました。 サービスを続ける上で課題となるのは有 ビス。今回の実験は、新しい利用方法や 具体的な使い方がイメージできるよう、 UDCKではホットプレートや電気ケトル より使いやすい電源のあり方を探ること 験開始直後の4月から7月までは、柏の 係者や地域住民が集まる場での意見交 料化の問題です。 実験期間中は利用促進 のため無料としていますが、今後は、 どの が大きな目的です。 そのため、街づくり関 など電化製品の無料レンタルを実施。実 ような料金体系、 サービス内容ならば有 料でも利用者が集まるのか、検討を進め ていきます。 2011年3月20日まで続く社会実験で は、 まだまだ多くの利用者を募集中。 登録 は随時UDCKで受け付けています。 積 極 的 に意 見 交 換 が 行 わ れるワー クショップ。 espot登録者はアンケート回答率が高く、地域で サービスを育てる機運が生まれている。 espotを使ったわたあめ作りの実演。これまで家で しか楽しめなかった遊びも、公衆電源があれば外で 楽しめる。 ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● お問い合わせは、柏の葉公衆電源プロジェクト 実行委員会まで [TEL]080­3097­8365 [MAIL]espot@udck.jp ● ● ● キーパーソン・トーク 公衆電源に期待していることは、大きく二つあ ります。一つは、新たなインフラが整備されること で、そこを舞台にした新しいサービスが生み出さ せることです。例えば、これまで多くの電化製品は 家で使うことが前提だったので“家電”と呼ばれ、 そのための開発が行われてきました。しかし、電 源が外でも使えるとなれば、“外電”という新たな ジャンルが生まれ、これまでにない斬新な電化製 品の開発が期待できます。 もう一つは、公衆電源がコミュニティ作りに役 立つことです。現在、屋外で電源が必要になる理 由の多くは携帯電話やノートパソコンの充電であ り、ビジネス的な視点で考えれば公衆電源の整 備はその需要に特化して進めることが効率的か ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● もしれません。しかし、それだけでは面白くない。 むしろその他の利用創出を狙っています。 昔、街頭テレビに人が集まったように、公衆電 源があることで「人が外で集まるきっかけ」がで きると思っています。例えば、公衆電源があれば 寒い日でも外でポットを使ってお茶を飲みながら 会話をすることができますし、電気毛布を持ち込 めばベンチもすぐに快適な憩いの場とすることが できます。ちょっとした井戸端会議にも活用して、 生活に密着した身近な存在として役立てて欲し いです。 将来的にいつでもどこでも電源が使えるように なれば、新しいライフスタイルが生まれ、日々の生 冨山 晶大 氏 柏の葉公衆電源プロジェクト実行 委員 活がもっと豊かになります。電気がもたらす様々 な恩恵を、無駄遣いすることなく適切に活用して 欲しいですね。 □編集後記□ 早いもので2010年最後の発行となるニュースレター、 1年間ご愛読ありがとうございました。 2011年も、 引き続きよろしくお願いいたします。 (蛭川) ● このニュースレターに 関するお問い合せ先 柏の葉アーバンデザインセンター(UDCK) 広報担当 小林、蛭川 〒277-0871 千葉県柏市若柴184-1柏の葉キャンパス149街区13 TEL 04-7140-9686 FAX 04-7140-9688 E-MAIL ma-kobayashi@udck.jp WEB http://www.udck.jp

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Vol.21 UDCK ニュースレター 2011 年 1 月号 マルシェコロール ご当地グルメも誕生!地域を彩る柏の葉の 見本市 「いらっしゃい!今日の朝採れたばかりの 野菜だよ」−威勢の良い掛け声が響くの は、柏の葉地域の定期市「マルシェコロー ル」。 「みんなでつくる、 みんなのマルシェ」 をキャッチフレーズに、市民が協力して作 り上げる手作りの市場です。生産者とお 客さんが直接交流するこの場では、地域 の商店、住民、 アーティストが一緒になっ てご当地グルメを開発するなど、地域連 携の場としての活用が広がっています。 新しい都市型市場 毎月第一土曜日、柏の葉キャンパス駅 周辺に突如出現する市場。地域の農家 が朝摘み野菜を並べ、パン屋さんや惣菜 店、雑貨店なども自慢の品々を販売し、 さらに住民によるフリーマーケットが賑 わいを盛り上げます。テーマカラーのオ 通常の市場と異なる特徴として、ここ の夜間開催となる「ナイトマルシェ」を実 や体験ワークショップが満載。地元で活 には、柏の葉地域に初めて来た人も。 「マ ではアーティストによるパフォーマンス 躍するアーティストはもちろん、東京・原 宿を拠点に活動するアーティスト集団 「ウラハラ藝大」とも連携し、毎月多彩な プログラムを展開しています。 もうひとつの特 徴は、住民参加型で レンジを基調として色とりどりに街が彩 あること。誰でも参加できる「マチビト・ (市 場)」と「コロール(色)」を組み合わ キッズダンスグループなどの住民グルー られるこの日は、フランス語の「マルシェ せて名付けられたオリジナル市場「マル シェコロール」の開催日です。 マルシェコロールは2008年5月に第 一回を開催。都市開発が進む柏の葉地 多くの参加者が集まるマルシェコロー となっています。 毎年秋には、 職業体験を 第一回目は約20店舗だった出店数 は、現在ではマルシェ屋台が約50店、フ リーマーケットが約150区画にまで拡 大。来場者も平均5000人を超えるイベ ントに成長しました。 民気質が伝わってきた」と、まさに地域 の見本市として機能しているようです。 地域をつなげるプラットフォーム 行委員会が運営しています。数回の不定 回の定期開催に。 野菜や名物グルメ、そして人懐っこい住 プが元気な発表を披露しています。 ルは、買い物だけを目的とした場所では 期開催を経て、2009年5月から毎月一 ルシェを歩いただけで、この地域の特産 オン・ステージ」では、ママさんバンドや 域の住民交流のきっかけとして考案さ れ、街づくりに関わる団体で組織する実 施しました。5万人を超えた参加者の中 可愛らしい童謡を披露するママさんバンド 「マミーモ ンキーズ」 。 マチビト・オン・ステージでは、 ご近所さん の意外な特技を発見できるかも。 なく、地域の人と人とを結び付ける舞台 中心とした子育てプログラム 「ピノキオプ ロジェクト」と連携。 「ピノキオマルシェ」 として、子どもたちにシェフやウェイター の職業体験の機会を提供しています。 2010年の秋には、地 域のお祭り「ふ るさと田中みこし祭り」と共同開催。夜 まで行われるお祭りに合わせて、初めて 「ナイトマルシェ」 ではお祭りの花火に一同、 大歓声。 市 民による手作りイベントだからこそ、 開催時間や形態 も柔軟に対応できるのが魅力。

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Vol.21 マルシェコロール を月2回実施し、 マルシェの魅力を高め 奈子さんに呼びかけ、 メニュー開発が始 誕生!柏の葉ドッグ るための様々なアイデアを出し合ってい まりました。 ます。 地域住民に愛される名物にしようと、 2008年5月の第一回から約2年半が その実 現 第 一 弾として、12月のマル メニュー開発は住民も参加してのワーク 経過したマルシェで、地域連携の象徴的 な成果として誕生したのが、 マルシェ名 ショップで実施。 ホットドッグの要となる シェで 「ひげサンタ企画」 が実施されまし 材の特徴を知り尽くしている地域住民、 選券でくじ引きを行うクリスマスならでは た。事前配布したチラシに付いている抽 ソース作りは、 日々の家庭料理で地元食 物・柏の葉ドッグ。 マルシェでしか食べる ことのできない特製ホットドックです。 マルシェの初期から出店し続けている 和田富美子さんと飯島寛子さんが担当 の企画に、 さらにアイデアをプラス。顔に 活躍する手芸アーティストのよつもとみ くれた人は、 もう一度くじが引けるダブル マルシェだからこそ実現した 「地元商 段仕事で忙しい社会人サポーターも集 精肉店「セキグチ肉店」 の店長、関口久也 しました。販売に向けては、柏市を中心に みんなで一緒にマルシェや地域を盛り上 ちよさんがポスターを制作。 トドッグを考案。同じくマルシェに出店す 店 住民 アーティスト」 によるコラボレー さんが「自分の商品を売るだけではなく、 げたい」 と思い、屋外でも食べやすいホッ 小麦粉を付けて“白ひげサンタ”になって チャンスを行いました。 当日運営では、普 結。 ひげサンタは子どもたちを中心に大好 評で、 12月の寒空の中、 マルシェのにぎわ ション商品。2010年秋に誕生した柏の るパン屋「あおぞらベーカリー」 の藤原美 いに一役買っていました。 葉ドッグは、毎回販売するやいなや、数時 マルシェコロールは、 2011年も毎月第 間で完売する人気商品になっています。 一土曜日に開催予定。 次回開催は、 2月5 広がるサポートネットワーク 日です。 地域の協力は、運営面でも力になって います。2010年5月より募集を始めたマ お問い合わせは、 マルシェコロール実行委員会 まで 人以上が参加。 当初は短時間のサポート [TEL]04-7168-8600 [MAIL]info@kcvn.net [URL]www.kcvn.net/marche (1月20日よりリニューアル www.kashiwanoha-marche.com) ルシェのサポーターは、 これまで述べ30 が中心でしたが、今では街づくりに関心 パンは柏の葉の形をイメージし、生地には柏市が全 国6位の生産量を誇るホウレンソウ等を練り込む。 旬の野菜を使うソースによって、柏の葉の季節も一 緒に味わえる逸品「柏の葉ドッグ」。 ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● のある学生サポーターを中心に企画段 階から参画するように。 「学生企画会議」 ● ● ● キーパーソン・トーク マルシェコロールは、買い物だけを目的とした 市場ではありません。それを明確にするため、実 行委員会では「5つの心得」を作り、出店者やサポ ーターには必ず読んでもらっています。 5つの心得とは、クリエイティブな発想を重視す る「創造性」、失敗を恐れずにチャレンジする「新 規性」 、 地域の色を大切にする「地域性」 、 作り手も 参加者も交流を意識する「社交性」、参加者全員 が表現する「参加性」 です。 この心得に理解・賛同する人たちが集まり、マ ルシェは成長してきました。どのような市場になる かまったく分からなかった初期から出店してくれ た店舗には、とても感謝しています。出店者は皆、 ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● 自分の店がマルシェでいかに売れるかということ だけではなく、マルシェにとっていいこと、地域に とっていいことを真剣に考えくれています。そうし た人たちが集い、出会うきっかけを作れただけで も、マルシェを開催してきた価値はあったと思って います。 これまでマルシェは、不定期開催を定期開催 にし、地域への定着と規模の拡大を進めてきまし た。今後は、マンネリ化しないようによりテーマ性 を持たせるなど、一層の工夫が必要になってきま す。例えば、柏地域の「B級グルメグランプリ」を実 施することや、秋には周辺農家の「収穫祭」などを 小溝 敏央 氏 マルシェコロール 実行委員 構想しています。 マルシェは、街のみんなの「あったらいいな」を 実現する場所。まずは一度足を運んで、どんどん 企画や運営に参加してください。 □編集後記□ 柏の葉ドッグの取材では、 平日にも関わらず開発メンバーが勢ぞろい。 “チーム柏の葉ドッグ”の素晴らしい連帯感が伝わってきました。 他にも、 ワイ ンショップと洋菓子店が協力して 「ワインとキッシュのセット」 を販売するなどマルシェでの連携は増えているそう。 今後も、 マルシェならではの魅力 あるコラボレーションに期待したいですね。 (蛭川) ● このニュースレターに 関するお問い合せ先 柏の葉アーバンデザインセンター(UDCK) 広報担当 小林、蛭川 〒277-0871 千葉県柏市若柴184-1柏の葉キャンパス149街区13 TEL 04-7140-9686 FAX 04-7140-9688 E-MAIL ma-kobayashi@udck.jp WEB http://www.udck.jp

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Vol.22 UDCK ニュースレター 2011 年 2 月号 UDCKまちづくりスクール 街づくりのリーダーを育成!市民・学生・行政が共に学ぶ学校 「市民参加の街づくり」­多くの地域で掲げ られる理念ですが、一方で市民にとって街づ くりに参加する意義や価値が伝わらずに、実 践が伴わないケースも少なくありません。原 因の一つは、街づくりに関する市民の理解や 教育機会の不足。 このため、千葉県柏の葉地 区では市民に自らの手で街づくりに参加で きる知識やノウハウを身に付けてもらうため の「UDCKまちづくりスクール」を開校して います。2007年から始まったこのスクール は、今年で4年目に突入。150名を超えた修 了生は、街づくりの現場で活躍しています。 自分の街は自分の手でつくる 「UDCKまちづくりスクール」は、柏市 都市振興公社が主催、UDCKが共催し、 柏市長が校長を務める市民講座です。 柏市民に限らず誰でも受講可能で、市民 運営にも市民が参加 スクールの運営には、修了生や都市工 ンティアとして参加しています。 今 年で69歳を迎える鴫浜 祥之さん も、スクールを支えるボランティアスタッ 2007年5月に第一期がスタート。全 資料にまとめる役割を担っています。参 5回程度を1期として年2期開催してい ます。 「街を市民がデザインする」 「ワー クショップの進め方」など、毎回設定す るテーマに応じて大学教授や実務家と いったその分野のプロフェッショナルを 講師として招聘します。受講生は市民・ 大学生・行政職員がおよそ3分の1ずつ で、スクール自体が公・民・学連携の街 づくりの縮図となっています。 フのひとり。記録係として毎回の講座を 加のきっかけは、同じく柏の葉地区で千 葉大学が展開している市民講座「千葉大 学 柏の葉カレッジリンク・プログラム」 に参加したこと。そこで街づくりの面白 授から「UDCKまちづくりスクール」の紹 介を受け、自らの経験を役立てたいとス タッフとしての参加を決めました。 「以前は街づくりというと、どこか手 の届かないところで進んでいるものだと 者が主体的に参加できるよう工夫され タッフとしての仕事を通じて自身も街づ ています。 講義を聞くだけではなく、 ワークショップも重要な要 素。 内容はもちろん、 多様な人との意見交換も重要な 街づくりの勉強。 さに触れた鴫浜さんは、千葉大学の教 講座のスタイルは、話を聞く講義だけ でなく、体験やワークショップなど受講 手」だと思うようになったそうです。 学を学ぶ大学生など、多くの市民がボラ の中から「街づくりのリーダー」を生み出 すことを目標にしています。 では「市民の参加こそが街づくりの決め 思っていた」という鴫浜さんですが、ス くりの中で役割を担えることを実感。今 講座の最後には、 グループに分かれてテーマ発表を行 うことも。 市民が市長に向けて意見をプレゼンする、 貴 重な経験に。

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Vol.22 UDCKまちづくりスクール 街で活躍する市民 今期のテーマは「住宅」 今期のスクールは、 「住宅の未来を考え スクールで学んだ多くの修了生は、街 る」 をテーマに全4回のコースで行われて づくりの現場でリーダー的な役割を担い います。環境配慮型の住宅を評価する柏 始めています。 そのひとりが、2008年の 市独自の制度 「CASEBEE柏」 が本年1月 コースに参加した会社員の豊田美奈子 から運用開始となったこともあり、 今回の さん。 スクールでは未来の住宅のあるべき姿を 豊田さんがスクールで学んだテーマ 環境・デザイン・安全など様々な角度か は、環境に配慮した街づくりをプランニン グする 「エコデザイン」。講座の最終日に ら検討します。 の乗りやすい街」 について発表しました。 たが、2月27日には今期のスクールを締 自転車クラブには毎回10名程度が参加。街でたま たま出会った人と、新しい縁が生まれている。 本コースは残すところ後1回となりまし は、課題であったグループ研究で 「自転車 「せっかく提案したのだから、 自ら自転車 めくくる特別企画として、 「安心を分かち 受講生の仲間同士で 「柏の葉自転車クラ するフォーラムを、東京大学公共政策大 合える住まいとは?」 と題した住まいに関 の魅力発信と利用促進をしていこう」 と、 学院I2TAプロジェクトと共催で開きます。 ブ」 を立ち上げ、代表を務めています。 このフォーラムでは、 人々の健やかな生 「環境に関する知識を学べたことはも ちろん、 ワークショップなどで多様な年齢 活の基盤となる 「安心」 に着目し、 その実 スクールでは参加者と講師が活発に対話。街づくり に唯一の正解はなく、様々な意見が飛び出す。 験ができた。 自転車クラブでも、新しい人 がら、 今後の街づくりのあり方を参加者同 お問い合わせは、柏の葉アーバンデザインセン ター(UDCK) まで [TEL]04-7140-9686 [MAIL]school@udck.jp [URL]http://www.udck.jp 現に役立つ先進テクノロジーを紹介しな 層の人と意見をぶつけ合い、調整する経 士で考えていきます。 フォーラム単体で参 が参加するときの対応などで役立ってい 加しても十分に楽しめる内容なので、 街づ る」 と、 スクールの成果に手応えを感じて くりの第一歩として参加してみては。 いるようです。 ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● キーパーソン・トーク 「UDCKまちづくりスクール」では、コーディネ イターとしてテーマの選定や講師候補者との交渉 などを担当しています。 運営面では、できるだけ多様な人に参加して欲 しいと思う一方で、全員に満足してもらう講座内 容を考えることに難しさを感じます。専門的にな りすぎず、かといって物足りなくないように。受講 丹羽 由佳理 氏 生へのアンケートを取るといつも評価が分かれる 柏の葉アーバンデザインセンター アドバイザー /早稲田大学助手 ので、今後も試行錯誤が必要です。 まちづくりスクールは今年で4 年目を迎ます が、継 続してきたことで大きな手応えを感じて います。まず、地域には街づくりで活躍できるポ テンシャルを持つ市民が大勢いることが実感で きました。そうした人がスムーズに街づくりに参 加できるよう、スクールが橋渡し役となり、今後 も実践的に役立つ知識やノウハウを提供したい です。 もう一つの手応えは、行政との連携です。これ までも、街づくり現場で活動している多くの行政 担当者に講師として出てもらいました。その結果、 最近では行政の方から市民と一緒に考えたいテ ーマや内容を提案されるようになりました。市民 と行政職員の距離が近くなり、一緒に学び合える ことはとても素晴らしいことです。 今はようやく修了生が150人を突破したところ ですが、今後も街の様々な場面で頼りになる「街 づくりのリーダー」を輩出し続けるスクールにして いきたいです。市民が自分たちの街の問題を主体 的に解決できる、そんな自律的で素敵な街にして いくことが目標です。 □編集後記□ 今期の第一回講座を取材した際、 最初に紹介された 「屋根の家」 。 住んでいる人が 「屋根でご飯を食べることが好き」 だったため、 それを前提に設計 されたそうです。 家は、 そこに住んでいる人がどのような生活をしているのかを映すもの。 「住宅」 という視点から自分の街を見直すと、 新たな発見が あるかもしれません。 (蛭川) ● このニュースレターに 関するお問い合せ先 柏の葉アーバンデザインセンター(UDCK) 広報担当 小林、蛭川 〒277-0871 千葉県柏市若柴184-1柏の葉キャンパス149街区13 TEL 04-7140-9686 FAX 04-7140-9688 E-MAIL ma-kobayashi@udck.jp WEB http://www.udck.jp

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Vol.23 UDCK ニュースレター 2011 年 3 月号 柏ITS推進協議会 次世代交通システムで柏の葉地域をスマートシティに ジェットコースターの原理で街中を走るエコ な公共交通、 タクシーのように希望した場所 に迎えに来てくれる乗合バス、走りながらワイ ヤレスで給電できる電気自動車・・・。 そんな未 来の交通システムを実現させるために、千葉 県柏市・柏の葉地域を舞台に活動を始めたの が 「柏ITS推進協議会」。渋滞、事故、大気汚染 など、現在の交通システムが抱える様々な問 「エコライド」のイメージ図(画像提供:東京大学須田研究室・泉陽興業株式会社) 交通問題に応えるITS 市民の足となり生活の基盤を支える地 域の交通システム。 ただ、 急速な高齢化や 題を、最先端技術で解決する取り組みです。 用する 「かしわスマートサイクル」 、 バスの 研究開発を進めていこうと、公・民・学が せ持つ予約制乗合バス 「オンデマンド交 ITS推進協議会」 です。 経済性・環境性とタクシーの利便性を併 通」など、これまでも次世代交通に関す 連携して2010年2月に発足したのが 「柏 協議会の構成団体には、 発起人である る様々な社会実験を展開してきました。 柏市、東京大学、沖電気工業、日立製作 ちろん、 柏市も例外ではありません。 目の「ITS実証実 験モデル都市」として ンデザインセンターなどのほか、国土交 渋滞、高齢者に優しい乗り物の不足、偏 通システムに関する取り組みをさらに加 人口集中などに対応しきれず、全国各地 で交通に関する問題が現れています。も 幹線道路を中心とした慢性的な交通 在する駐車場、郊外地域でのバス路線 廃止、観光スポットを周遊できない公共 交通網、等々。 これらの交通課題を最先端の情報通 信技術で解決する、安全・快適で環境に 優しい次世代の交通システムがITS(高 2009年6月には、柏市が全国で4番 内閣府より指定。これを機に、次世代交 速させ、柏の葉地域において世界をリー ドする先進的な交通車両やシステムの 所、富士通、三井 不動産、柏の葉アーバ 通省、経済産業省、科学警察研究所、千 葉県、自動車・鉄道など交通関係の様々 な民間企業や研究機関など、既に50以 上の団体が名を連ねています。 【表1】柏ITS推進協議会の活動分野 部会(部会長) 研究テーマ 第1部会 (東京大学・牧野准教授) 次世代カーナビ等のICT技術を活用した道路交通・ 駐車・観光等の情報提供システム 第2部会 (東京大学・堀教授) モーション制御・キャパシタを用いた電気自動車・ ワイヤレス充電システム 柏の葉地区では、柏の葉国際キャンパ スタウン構想の中で「環境と共生する田 第3部会 (東京大学・大和教授) オンデマンド交通、電気自動車・バイク、自転車等を 統合した次世代公共交通システム 園都市づくり」 「サスティナブルな移動交 通システムの整備」などの将来目標を掲 第4部会 (東京大学・須田教授) 安全・快適な1人乗り車両、省エネ型のエコライド・ LRT等の次世代モビリティ げ、次世代環境都市を目指した街づくり が進んでいます。 第5部会 (東北大学・桑原教授) 移動情報の収集・解析、道路交通予測等のITS基盤 情報システム 環境に優しい三輪自転車タクシー「ベ ロタクシー」や、自転車を地域で共同利 第6部会 (東京大学・池内教授) ITSによって柏の葉地域の魅力ある街づくりを実現 する将来都市像の設計 度道路交通システム) です。 公民学での研究開発

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Vol.23 柏ITS推進協議会 た 「ITSスポット」 から道路情報を集め、 県 「人と地域と地球に優しい交通システ 世界初の研究開発 境を越える広範囲の渋滞情報を瞬時に ムの開発は街づくりそのもの」 (東京大 分析した賢いルートガイダンス、SAにお 学・牧野准教授) という言葉のとおり、第 柏ITS推進協議会は6つの部会に分 ける駐車場の各ブロック混雑状況、ETC 6部会では各部会の研究をまとめ、若者・ かれて活動しています (表1)。急速充電 が可能な 「キャパシタ」 という蓄電装置を ファミリー・シニアの3世代が住んでみ 動車にワイヤレスで給電するシステム開 市像の設計を進めています。 サービスなどを、ITSスポット対応のカー ナビで提供するものです。 たくなる、柏の葉地域の魅力ある将来都 用いた電気自動車の開発と、 この電気自 発を目指す第2部会。 ジェットコースター 通常は高速道路上でのサービスです が、柏市では 「道の駅しょうなん」 と 「らら ITSスポットサービスがスタート の原理を応用して車体には動力装置を ぽーと柏の葉」 の2 ヵ所にもITSスポット を設置し、一般道でもサービスを展開し 2011年3月下 旬からは、第1部 会の 付けずに高低差を利用して走る究極の 省エネ型都市交通システム 「エコライド」 活動分野のひとつでもある 「ITSスポット ます。 ここではインターネット接続も可能。 す。 このサービスは、国土交通省による社 で入手できます。 地域の観光情報や施設情報もカーナビ サービス」 が柏の葉地区でも開始されま をはじめ、次世代モビリティの実用化を 目指す第4部会など、各部会ともに世界 柏ITS推進協議会では今後も、柏の葉 会実験として全国1600 ヵ所に設置され 初の取り組みが目白押し。 地域で市民参加の社会実験を複数展開 していくとともに、 その成果を2013年に 東京で開催される 「第20回ITS世界会 議」 で披露し、新たな都市づくりのモデル ケースとして世界に発信する予定です。 2011年2月には、活動内容を一般に公開する「柏 ITSセミナー」を開催。斬新なPMV(1人乗り車両) など次世代モビリティも披露 ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● お問い合わせは、 柏ITS推進協議会事務局まで [TEL]03-6705-6015 [MAIL]koibuchi@mri.co.jp 近未来の電気自動車の姿に、参加者も興味津津 ● ● ● キーパーソン・トーク ITSは時空間を超えて情報を伝達できる優れも のです。例えば、国土交通省によって全国に整備 された「ITSスポット」では、大幅に広域化された 交通情報を提供し、 高精度な渋滞情報によって最 適なルート検索をリアルタイムに行い、トンネル 先の降雪やカーブ先の事故など注意すべき情報 を画像と音声で知らせ、空いている駐車場の場所 を案内する、こんなことが対応カーナビひとつで 実現できるようになりました。 早く正確な情報伝達は、 市民の行動に変化を起 こす力があります。 渋滞予測があれば、 別のルート を使う人や電車など別の移動手段を使う人が増え るでしょう。 これにより、 過度な渋滞発生や大気汚 染を防ぐことができます。 また、 時間に余裕のある ドライバーに近くの観光情報を届ければ、少し寄 って行こうという気を喚起させることもできます。 ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● 私たちの研究では、交通手段によって、人々の 行動が大きく変わることが分かっています。例え ば、柏市の中心市街地に自家用車で来た人は、1 時間半程度しか滞在しません。しかし公共交通機 関を使って来た人は3時間程度滞在しています。 この2倍の時間差は、地域経済に大きな影響を 与えます。1時間半では自分の買い物が終わった らすぐに帰ってしまう。しかし、3時間であれば街 でランチをする時間がありますし、隣町まで足を 伸ばす余裕が生まれます。 このように、安全・快適な移動、環境配慮の移 動、消費行動を生む移動などを支える、人と地域 と地球に優しい交通システムの開発は、まさに街 づくりそのものといっても過言ではありません。 柏ITS推進協議会は、 2010年度はキックオフの 年でした。今後は2013年に東京で行われるITS 世界会議に向けて、 各部会で社会実験が次々と始 まります。市民の皆さんに見て、体験してもらう機 会が出てきますので、 楽しみにしていてください。 牧野 浩志 氏 柏ITS推進協議会 第1部会長・第 6部会副会長 東京大学 生産技術研究所 先進モ ビリティ研究センター 准教授 □編集後記□ 柏の葉スタイルNewsでは、 交通に関して過去にオンデマンド交通 (Vol.10) 、 かしわスマートサイクル (Vol.14) 、 柏の葉セグウェイクラブ (Vol.16) も紹介しています。 バックナンバーはUDCKのWEBサイト (http://www.udck.jp/knews/) でご覧いただけます。 (蛭川) ● このニュースレターに 関するお問い合せ先 柏の葉アーバンデザインセンター(UDCK) 広報担当 小林、蛭川 〒277-0871 千葉県柏市若柴184-1柏の葉キャンパス149街区13 TEL 04-7140-9686 FAX 04-7140-9688 E-MAIL ma-kobayashi@udck.jp WEB http://www.udck.jp

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Vol.24 UDCK ニュースレター 2011 年 4 月号 いろはカルタ養生訓 大学の知と市民の力で完成!健康な生活に導く現代版養生訓 「薬より 食事に優る ものはなし」─ これは、 「いろはカルタ養生訓」の冊子に 収められた一句。薬と食事は同じ効果を 持つという、東洋医学の 「薬食同源」 の考 え方を表しています。 この冊子を制作して いるのは、千葉大学環境健康フィールド 科学センターで「食」や「健康」をテーマ に学んだ市民有志。大学の 「知」 を市民が 学び地域に還元するという、柏の葉キャ ンパスエリアを象徴するこのプロジェク ト。冊子は完成間近です。 学びの成果を地域へ 2010年1月23日。千葉大学が開講し 市民と大学の混合チーム 制作委員会のメンバーは、中川さんの は通常19時〜21時に設定。毎月2回ほ どの会議では、議 論が白熱して気付け ば23時を回ることもしばしばだったと か。 ている市民学習プログラム「千葉 大学 提案に賛同して集まったカレッジリンク 2009年度後期コースの最終日を迎えま ネーターを務める野田勝二・千葉大学 散しすぎて全体の趣旨がぼやけてしまう まず始めたのは、読み句の作成。これ 思ったら何度も仕切り直して考える柔軟 柏の葉カレッジリンク・プログラム」は、 した。テーマは「健康と食に関するライフ スタイルを考える」。鍼灸や漢方、薬膳、 予防医科学などについて全6回の講義 で学んできました。 最終回となるこの日、受講生の中川恵 一さんが「これまでの講義の内容を養生 訓カルタにして、地域に広く伝えよう」と 修了生5名に、カレッジリンクのコーディ 助教が加わった6名。 までの講義内容を思い出しながら、 「い」 から「す」までいろは歌に合わせて句の アイデアを出していきます。 会社勤めの人も参加できるよう会議 会議を進める中では、句の内容が分 ことも。 「一度決まった句でも、駄目だと さがよかった」とメンバーの岡安みね子 さんが振り返るように、皆が納得いくま で何度も検討を続け、半年以上かけて 44の読み句が完成しました。 提案。ここから、1年以上に及ぶ「いろは カルタ養生訓」の制作が始まりました。 養生訓とは、江戸時代の儒学者・貝原 益軒によって著された、健康的な暮らし 方についての解説書のこと。 「いろはカル タ養生訓」は、その現代版として市民の 実生活の中で健康に役立つ内容を目指 しました。 カレッジリンク・プログラムで、いろはカルタ養生訓 の制作を提案する中川さん(左)。この提案に賛同し た人々によって、翌月には6名の中心メンバーからな る制作委員会が立ち上がった。 500以上のアイデアから44句に厳選した読み句に 合わせ、絵札の制作も始まった。鴫浜祥之さん、河 合都志子さんが中心となり、納得行くまでイラスト レーターと調整を重ねた。

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Vol.24 いろはカルタ養生訓 読み応えのあるものに仕上がっています。 専門家の力も活用 資金の壁を乗り越え、完成 読み句が完成した8月以降、実際に市 最後に待ち構えていた壁は、資金集め 民に配布する方法の検討が行われまし た。 当初は文字通りカルタの制作を予定 でした。 目標の2000部発行にかかる費 すさを考慮して、 冊子での発行に変更。 の企業や個人からの協賛金でまかないま 用は、 およそ50万円。 そのすべてを、地域 していましたが、印刷費のコストと使いや した。 それでも親しみやすいカルタのスタイル に。 イラストは、Twitterなどインターネッ 中、 メンバーのひとり、市役所勤めで地元 制作メンバーの皆さん。富沢裕一さん(左後)、河 合都志子さん(中後)、鴫浜祥之さん(右後)、岡安 みね子さん(左前)、野田勝二先生(中前)、中川恵 一さん(右前)。 ン科の学生など7人のイラストレーター 心に、全員が街に出てお願いに奔走。 カ プログラムも、2011年度コースが5月よ 資金集めなどの経験はなく苦戦する は残し、絵札としてイラストを付けること 企業とつながりの深い富沢裕一さんを中 トを駆使して一般公募。千葉大学デザイ が名乗り出ました。 イラストによって読み レッジリンクを修了した他の仲間など個 りスタートします。 こちらも、 テーマや応募 またそれぞれ絵のタッチが異なるイラスト にはなんとか目標金額に到達しました。 ます。 なく読み進められるように工夫しました。 訓」 は、2011年4月下旬に発行予定。一 しい」 というのが、千葉大学による解説コ 公共機関には閲覧用に布置されます。販 こうして完成した 「いろはカルタ養生 レーターを参加させることで、飽きること 売方法などの詳細は、決まり次第カレッ メント。前学長である古在豊樹・名誉教 授をはじめ総勢11名の千葉大学の研究 ジリンクのWEBサイトで報告されます。 な解説文を寄せました。読み句にイラス タ大会を開催することも検討中。 養生訓を生みだしたカレッジリンク・ ト、解説が加わることで、一冊の本として ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● キーパーソン・トーク カレッジリンクで学んだことをカルタにまとめよ うと提案したのは、 まずは自分たちが学んだことを しっかりと理解したいという思いからでした。全6 回の講義はとても面白かったのですが、ただ参加 しているだけではなかなか身に付きません。学ん だことをもう一度全部おさらいしながら、 さらに形 中川 恵一 氏 いるはカルタ養生訓冊子制作 委員会 代表 千葉大学 柏の葉カレッジリ ンク・プログラム2009年度 後期専門コース 修了生 「千葉大学柏の葉カレッジリンク・プログラム」 に関するお問い合わせ先 [TEL]04-7140-9686(柏の葉アーバンデザ インセンター) [MAIL]c-link@udck.jp また今後は、本物のカルタを作ってカル 者が、一句一句にその背景となる学術的 ● 「いろはカルタ養生訓」 に関するお問い合わせ先 [MAIL]clink̲yojyo@yahoo.co.jp [WEB]http://www.h.chiba-u.jp/ hortfarm/noda/karuta.html 部300円で販売するほか、病院や薬局、 さらにメンバーが口をそろえて 「素晴ら ● 方法など、詳細はWEBサイトに掲載され 人からの寄付も集まり、2010年の年末 句の意味を直観的に理解できるようにし、 に残るものにまとめて他の人にも広めていければ よいと思ったのです。 養生訓の作成では、 日常に役立つことを意識しま した。 せっかくの知識も、 実践に結びつかなければ 意味がありません。 例えば私自身、 もともとは塩っ辛 い食事が好みだったのですが、 皆で作った 「うまいぞ しっかり 出汁をとれ」 という句を覚えて以来、 出 ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● 汁をとって塩分を控えた食事を続けています。 このプロジェクトを通じて一番嬉しかったこと は、制作メンバーによいチームワークができたこ と。 それぞれの得意分野で貢献しあうことで、 互い によい刺激を与えることができました。 カレッジリ ンクに参加するまでは見ず知らずの人でしたが、 今 ではとてもよいコミュニティになっています。 養生訓の中に 「よりよい暮らしに 知の刺激」 と いう句があります。街には様々な娯楽があります が、 私にとって最も刺激的な娯楽は、 カレッジリン クのように知的好奇心を満たしてくれるものです。 千葉大学、 東京大学が近接する柏の葉キャンパス エリアは、 その意味でとても恵まれた環境にありま す。 「いろはカルタ養生訓」 を読んだ多くの人が、 こ れをきっかけとしてカレッジリンクにも参加し、 一 緒に学びあえる仲間になってくれたら嬉しいです。 □編集後記□ 「カレッジリンクで市民科学という言葉を教わったが、市民科学を実践するとはこういうことかなと思った」 とは、 制作メンバーのひとり鴫浜さんの 言葉。今回の取材では、 まさしく 「市民の力」 を実感しました。今後も第2第3のプロジェクトが生まれてくることを、 期待しています。 (蛭川) ● このニュースレターに 関するお問い合せ先 柏の葉アーバンデザインセンター(UDCK) 広報担当 小林、蛭川 〒277-0871 千葉県柏市若柴184-1柏の葉キャンパス149街区13 TEL 04-7140-9686 FAX 04-7140-9688 E-MAIL ma-kobayashi@udck.jp WEB http://www.udck.jp

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Vol.25 UDCK ニュースレター 2011 年 5 月号 NPO法人ほのぼの研究所 認知症対策の新手法「ふれあい共想法」で、健康と福祉の街づくり 世界で最も早く高齢化が進む日本。2030 年には人口の約3分の1が65歳以上にな ると予測されています。高齢化は様々な社 会問題を引き起こしますが、特に大きいの は医療の問題。NPO法人ほのぼの研究所 は、東京大学が開発した新たな手法「ふれ あい共想法」を通じて、認知症の予防と回 復に取り組む団体です。高齢化問題を解決 し、全世代にとって暮らしやすく生きがいの ある“ほのぼの”とした社会の実現を目指し ています。 平均年齢70歳以上の研究員 ほのぼの研究所は、市民、企業、柏市、 東京大学による“民産官学”連携の研究 創設したほのぼの研究所と共同で開発 らぽーと柏の葉」や千葉県生涯学習セ 新手法。 山市民活動推進センターなど、千葉県 された、認知症の予防と回復を支援する 実施方法は簡単で、参加者が「好きな 拠点です。2007年に開設し、翌年には もの」や「食べ物」などテーマに沿った写 り組みを通じて、加齢による認知機能や えや思いを楽しく語り合います。介護が NPO法人となりました。認知症対策の取 運動機能の変化など高齢者の諸問題を 研究しています。 活動の中心は、 平均年齢73歳、 最高齢 87歳の市民メンバー。現在12名の市民 研究員は、 大学教授や福祉機器メーカー 真を持ち寄り、 それに対していろいろな考 必要な人や軽度の記憶障害をもつ人でも 参加でき、 初対面でも実施可能であるこ する様々な要素、例えば複数のことに注 会話で認知症対策 ふれあい共想法は、大武美保子・東京 大学人工物工学研究センター准教授が 考案し、東京大学柏キャンパスを起点に 介護施設や公共施設などで展開。既に 参加者は約600名、講演会聴講者は約 4000名に上ります。 もちろん、ただ集まって雑談をすれば 研究や普及活動を進めています。2008 を毎年行うなど、 本格的な活動です。 でに郡山、長崎など全国10 ヵ所以上の 法としての有効性が認められています。 よいというわけではありません。会話に 年からは人工知能学会で研究成果発表 東葛地域から普及活動が進み、現在ま とから、 不特定多数を対象とした支援手 の技術者、医師などの専門家のサポート を受けながら、日常的に認知症対策の ンター「さわやかちば県 民プラザ」 、流 一定のルールを決めることで、認知に関 意を向ける「注意分割」 、出来事を覚え思 い出す「体験記憶」 、考えをまとめて伝え る「計画力」などを、総合的に高めること ができるのです。 ふれあい共想法は、柏市介護予防セ ンター「ほのぼのプラザますお」 、柏の 葉キャンパス駅前の大型商業 施設「ら ふれあい共想法の実施イメージ。話題提供者は、テー マに合わせて持参した写真をスクリーンに投影し、写 真にまつわるエピソードを語る。話題提供者以外は質 問や感想を考えながら集中して話を聞く。その後、写 真と話題について参加者から質問や感想を受け付け、 質疑応答をする(ぐるケアVol.16,p.23,図1より)。

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Vol.25 NPO法人ほのぼの研究所 地域の団体と連携 2010年には東京大学大学院オンデ マンド交通研究チームと連携し、 「乗り合 いタクシー共想法」 を実施しました。 オン デマンド交通とは、 バスのように乗り合い で、 タクシーのように好きな場所に呼び出 せる新しい交通サービスのことです。 弱く外出が困難な高齢者に対して、 自宅 ある日の共想法で使用した一枚。見た目はそっくりな のに、片方は価格の安いジャンプ傘、片方は持ち手に 革巻き付きの高級傘。偶然似た傘を見つけた発見の 喜びと、 「あなたならどっちを買う?」という問いかけ が生まれ、会話が弾む。 デマンド交通を使ってもらい、参加障壁 ていくことは、研究を進める上で重要な 車中の会話が弾み、移動時間からも共想 なので、 より多くの経験知を集め、改良し 乗り合いタクシー共想法では、足腰が から共想法の実施会場までの移動にオン 法が始まります。 たい。共想法を実施して頂ける団体と協 開する 「NPO法人きらりびとみやしろ」 と 究のプラットフォームの役割を担いたい」 結びました。市民研究員から講習を受け ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● キーパーソン・トーク 認知症に関心を持ったきっかけは、 今年95歳に なる認知症になった祖母との会話です。祖母と話 をしていると、 会話をきっかけにいろいろなことを 思い出している様子に気が付きました。思い出す ことは脳が働いている証拠なので、会話を上手に 活用することで認知症対策ができるのではないか 大武 美保子 氏 NPO法 人ほのぼの研究 所 代表理事・所長 東 京大学 人工物工学研究セ ンター サービス工学研究部門 准教授 NPO法人ほのぼの研究所に関するお問い合わ せ先 [MAIL] frioffice@fonobono.org [WEB] http://www.fonobono.org/ 特に認知症予防を通じた仲間作りや社 共想法のプログラムを他団体にも広め ● 催予定です。 る仕組みを構築すること。 地域の高齢者、 深めています。 ● 図書館メディアホールにて、講演会を開 民同士で認知症予防サービスを提供す 課題をほのぼの研究所と共有し、研究を ● 適宜開催中。7月12日には、東京大学柏 ほのぼの研究所の将来的な目標は、 市 護施設で共想法を実施。 ここでの成果や ● ています。 また、 初心者向けの入門講座も 認知症にならない街 た 「きらりびとみやしろ」 のスタッフが、介 ● その第一歩として、新たな市民研究員 を育成するための研修講座を毎週開講し と話します。 は、共想法の研究、実施について協定を ● 法が実践される状態を目指しています。 力しながら、 ほのぼの研究所は共想法研 また、埼玉県を中心に介護事業を展 ● 会貢献活動に意欲的な高齢者をネット ワークすることで、 街の様々な場所で共想 戦略。大武准教授は 「共想法は発展途上 を下げる取り組みです。乗り合いなので ● 乗り合いタクシーで共想法に参加。街にある複数の サービスが連携することで、不足点を補完しながら総 合的に高齢者支援サービスを提供できる。 と、 考えついたのが共想法です。 共想法と似た認知症対策に、 回想法というもの があります。両者の大きな違いは、回想法が昔の ことを話のテーマにするのに対し、共想法は現在 のことをテーマにすること。 話の題材を見つけるた めに、日常のちょっとした面白い出来事や興味深 いことに目を向けるようになり、 日々の生活で脳を ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● 柔軟に活用するのです。 ほのぼの研究所の特徴は、 実社会の中で市民と 共に研究を行いながら、 研究成果をリアルタイムに 還元していく点です。 これまで、 研究はあくまで研 究として行い、 得られた成果を後に社会に還元する ことが通例でした。 しかし、 高齢社会における新た な知見は、 当事者である高齢者を抜きに研究する ことは不可能だと考え、 共に研究を進めています。 元気な高齢者には、 地域に貢献する存在になっ てくれることを期待しています。 これまでの高齢者 は自分たちが元気で自立しているだけでもよかっ たのですが、これからの超高齢社会では、それに 留まらずもっと社会に貢献することが求められま す。 科学研究への参加を通じて社会貢献する楽し みを市民に提供することも、ほのぼの研究所の重 要な役割だと思っています。 □編集後記□ 共想法に参加すると、 日常生活でカメラを持ち歩くようになる人が多いそう。 日々の生活からアンテナを張り、 色々なことに興味を持つことが認知 症予防になるそうです。 カメラを持って街を歩けば、住みなれた街の新たな面も発見できるかもしれません。 (蛭川) ● このニュースレターに 関するお問い合せ先 柏の葉アーバンデザインセンター(UDCK) 広報担当 小林、蛭川 〒277-0871 千葉県柏市若柴184-1柏の葉キャンパス149街区13 TEL 04-7140-9686 FAX 04-7140-9688 E-MAIL ma-kobayashi@udck.jp WEB http://www.udck.jp

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Vol.26 UDCK ニュースレター 2011 年 6 月号 コミュニティルーム「はなみずき」 商店街の空き店舗で住民がカフェ営業 千葉県柏市北部に位置する「柏ビレジ」。 63.7ヘクタールの広大な敷地に、約1580 世帯5500人が居住する戸建分譲住宅地で す。1982年の入居開始から約30年、独自 の建築協定や緑地協定によって美しい景観 と緑豊かな住環境が保たれている一方、住 民の高齢化など様々な問題も現れてきまし た。その解決に向けて誕生したのが、 コミュ ニティルーム 「はなみずき」。住民自らが設立 し運営する、地域交流の拠点です。 地域の象徴 コミュニティルーム「はなみずき」は、 住民交流と商店街の活性化を目的に、 2006年3月に設 立しました。柏ビレジ 商店街の空き店舗を利用し、通常はカ み、空き店舗が出るように。そこで、柏ビ レジ自治会長の呼びかけで地域活性化 在の年間利用者は8,000人以上。毎月1 「地域活性化のための準備委員会」が発 賞会、絵画展などの文化イベントを実施 について議論が始まり、住民有志による 足しました。 委員会では、全住居を対象に「地域に フェとして営業。会議室やイベントスペー 必要なこと」についてアンケート調査を ています。 軽に集まれるサロン」と「文化的な楽し スとしても活用できる多機能施設となっ 週5日、11:00〜16:00のカフェ営業 を支えるスタッフは、全員無給のボラン ティア。 コーヒー150円にアイスクリーム 200円など低価格でメニューを提供し、 施設維持費を賄っています。 軸に様々な文化イベントを実施する施設 として、はなみずきの設立構想が固まり ました。 具体化に向け、豊四季団地など近隣 それぞれイチョウや桜などのシンボルと ベントを開催しながら、運営ノウハウを ある 「はなみずき」が採用されました。 必要なものは自ら作る 設立のきっかけは、2004年。当時、住 民交流の中心だった商店街の衰退が進 しています。 みの場」の二つでした。そこで、カフェを 住宅地の類似施設を視察。その後、自治 なる木が植えられており、そのひとつで 〜2回のペースで、コンサートや映画鑑 実施。住民から多くあがった意見は、 「気 名前の由来は、各家庭に植えられたシ ンボルツリー。柏ビレジには、区画ごとに 開設後は順調に利用者が拡大し、現 地域のアーティストを招いて開催するコンサート。人 気のイベントは、前売り券で売り切れてしまうことも。 会館などを利用して毎月一回のお試しイ 習得しました。 もっとも難航したことは、 施設と資金の 確保。 空き店舗を利用するための不動産 会社との折衝や、 補助金の調達に向けた 行政との折衝など、 なれない交渉事も住 民同士で協力しながら乗り越えました。 カフェ営業時も、絵画や陶芸品を展示。日常的に芸術 に触れることができ、住民に好評。

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Vol.26 コミュニティルーム「はなみずき」 はなみずき代表の谷川真理さんは、 広域地域との連携 「柏ビレジだけでなく、 周辺地域と共に活 性化することが重要。 そのために、 こうし はなみずきは、 周辺地域の連携拠点に た連携はとても意義のあるチャレンジ」 だ もなっています。2010年からは、東京大 と、 学生とのコラボレーションに期待を寄 学大学院の演習 「都市環境デザインスタ せます。 ジオ」 で柏ビレジがテーマとして取り上げ られたことをきっかけに、東京大学柏キャ 地域で課題解決 ンパスの学生が主体の団体「Balloon」 と 学生団体Balloonが持ち込んだトラックで、住宅街に 突如出現したカフェ。道行く人が集まり、井戸端会議 が始まる。 柏ビレジで今後最大の課題となるの の連携活動を始めています。 が、住民の高齢化問題です。谷川さんは、 Balloonは、地域の活性化に向けて、 「地域で必要なものは地域で作っていく トラックで作ったカフェや図書館など 「移 気持ちが重要」 だとして、住民同士ででき 動できる施設」を街なかに展開する方 る対策を考えています。 法を研究中。 これまで、はなみずきでは 例えば、草むしりや大掃除など、 日常 Balloonのメンバーと住民が柏ビレジの 生活に必要な作業を助けあう相互扶助 将来について議論する意見交換会を行っ の関係構築。 高齢者だけでは体力的に難 てきました。 そしてついに、 2011年5月に移動型カ しい作業を、元気な人がサポートする地 はなみずきがムードのあるバーに変身。地域や世代 を超えた交流が広がる。 カフェを開き、夜ははなみずきで地域住 シェアすることも検討中。 車を運転できな 記念イベントも実施予定なので、 まずは 域づくりです。 また、住民同士で自動車を フェの試験営業が実現。 日中は街なかで 民が集うバーを営業しました。Balloon くなった人が、 買い物などで近所の人と 増加する高齢者は移動に不便が多いた 話し合いを進めています。 一緒に車に乗っていくことはできないか、 代表の鈴木亮平さんは、 「今後ますます たはなみずきは、 今年で設立5周年。 今後 生み出せれば」 と狙いを話します。 ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● キーパーソン・トーク 地域のコミュニティづくりで大切なことは、拠点 となる「場所」の存在です。はなみずきは、 「行きた い時に自由に行ける」がコンセプト。そのため、あ えて集会所にはせず、カフェとして営業すること にしました。集会所には用件がないと行けません が、カフェならふらっと立ち寄ることができる。最 近は男性ひとりで来る人や、柏ビレジの外から来 る人も増え、私もずいぶん知り合いが増えました。 谷川 真理 氏 はなみずき 代表 柏ビレジ自治会 相談役 コミュニティルーム 「はなみずき」 に関するお問 い合わせ先 [TEL]04­7149­8734 [WEB]http://www.hanamizuki­kv.com/ 多彩な活動の拠点として活用されてき め、 トラックで住宅街の中に交流空間を ● WEBサイトの確認を。 今後期待することは、男性の積極的な地域参 加です。女性に比べて男性は地域コミュニティへ の参加に消極的なことが多いのですが、今後は定 年を迎える男性が急増してきます。はなみずきで は、地域参加のきっかけづくりとしてパソコン教 室など男性を含む高齢者が参加しやすいイベント ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● を計画しています。 近年、地域の縁が希薄になってきたと言われて いますが、私は改善の兆しを感じています。3月11 日に発生した東日本大震災も、改めて地域のつな がりを確認する機会となりました。震災直後、は なみずきの利用者がいつもより大幅に増え、通常 は休業の日曜日も初めて営業するほどでした。不 安な時は外に出て人と話すだけでも安心できるも ので、はなみずきがその受け入れ場所となれたこ とは、5年間続けてきた大きな成果です。 場所という意味では、柏の葉キャンパス駅前の 柏の葉アーバンデザインセンターにもとても期待 しています。 私も何度か訪れていますが、 やはり拠 点となる場所があると、交流のきっかけが生まれ ますね。今後、はなみずきとも連携を深めて、地域 が一体となって盛り上がることを期待しています。 □編集後記□ 取材時、 最近カフェのメニューに加わったというカレーをいただきました。 特徴は、 高齢者でも食べやすいように、 お肉はあえてほぐしていれているこ と。 このような他者を思いやる気持ちが、 はなみずきの居心地の良さの秘密なのかもしれません。 (蛭川) ● このニュースレターに 関するお問い合せ先 柏の葉アーバンデザインセンター(UDCK) 広報担当 小林、蛭川 〒277-0871 千葉県柏市若柴184-1柏の葉キャンパス149街区13 TEL 04-7140-9686 FAX 04-7140-9688 E-MAIL ma-kobayashi@udck.jp WEB http://www.udck.jp

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Vol.27 UDCK ニュースレター 2011 年 7 月号 We Love Todai Pips !! 留学生との交流を通じて、地域の国際化を促進 ブラジル、 フィンランド、イタリア、中国、 マ レーシア、カナダ、インド・・・東京大学柏 キャンパスには、様々な国から来た留学生 が在籍し、研究活動を行っています。キャ ンパスがある千葉県柏の葉地区は、2008 年に策定された 「柏の葉国際キャンパスタ ウン構想」に基づき、国際的な街づくりが 進む場所。その象徴として、日本人学生、 留学生、地域住民の3者の交流が広がっ ています。 留学生と地域を結ぶ 笹 の 葉 に吊り下げられた 短 冊 を見 な が ら、浴 衣 姿 で 談 笑 する日 本 人と フィン ランド人とインド人─こ れ は、 2011年7月に柏の 葉 地 区で行 われた 「TANABATA&Candle Night Party」 のひとコマ。東京大学柏キャンパスの学 生 団 体「We Love Todai Pips !!」が 主 催する、地域の交流パーティーです。 We Love Todai Pips !! は、 日本人学 住みなれない異国で暮らす留学生の 支援に向け、大学では「国際センター柏 オフィス」を設立し、奨学金などの手続 きから生活情報の提供まで様々な支援 を行っています。 Todai Pipsは、学生レベルでも留学 生との交 流を活 性化させようと、日本 人学生から留学生に参加を呼び掛けて 2008年7月に発足しました。 活動の特徴は、学内に留まらず、地域 を巻き込んだ展開をしていること。柏の 葉地区の住民サークルが集まる「まちの クラブ活動」のネットワークに参加し、 留学生と地域住民の橋渡し役を担って います。地域内の認知は高く、開催する パーティーでは、学生と地域住民を合わ せて毎回100人程度が参加しています。 その功績は高く評価され、2010年に は東京大学新領域研究科長賞の地域貢 献部門を受賞しました。 生と留学生、さらには地域住民との交流 活性化を目的に活動しています。活動の 中心は、年4回のパーティー開催。夏には 七夕、秋にはハロウィン、冬にはクリスマ ス、 春には歓送迎会を実施しています。 地域貢献で受賞 東 京 大 学 柏 キ ャンパ ス に は、現 在 約220名の留学生が 在 籍しています。 2009年には留学生や研究者が居住す るインターナショナルロッジも完成し、 約140戸の住宅が整備されました。 まちのクラブ 活 動のひ とつである「柏の葉ピク ニッククラブ」と連携し て開催したピクニック。 どちらかが「お客さん」 になるのではなく、留学 生と地域住民が一緒に なって食卓を囲む。

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Vol.27 We Love Todai Pips !! パーティーに参加したフィンランド出 言葉の壁を超える工夫 身の留学生JUHO SIIVOLAさんは、 「普 段大学では、研究室の人との交流がほと 冒頭で紹介した七夕&キャンドルナイ んど。Pipsでは、 それ以外の人と出会うこ トパーティーも、 まちのクラブ活動の 「柏 とができて楽しい」 と笑顔です。 の葉エコクラブ」 と共催しました。 エコク ラブは、住民同士で楽しみながらエコな パーティーには、年齢も国籍も関係なく約140人が 参加。留学生には浴衣のレンタルを行い、織姫と彦 星の七夕伝説は英語で紹介した。 課題は規模の拡大 生活を実践するためのクラブ。今回は、廃 活動の課題は、 留学生の参加が伸び悩 油を使ってキャンドルを手作りし、会場の 装飾として用いました。 んでいること。現在参加する留学生は20 がスムーズに交流できるような仕掛けを います。 中心メンバーとして企画運営を行 人程度で、 まだまだ増やしたいと考えて パーティーでは、毎回日本人と留学生 用意します。例えば、会話のきっかけ作り う岸真代さんは、 「海外の人は社交的で 物料理を持ち寄ります。食事にはその国 実際はそうとは限りません。 いきなり知ら 同じくまちのクラブ活動の「柏の葉フラダンスクラ ブ」も参加し、演技を披露。見て楽しめるダンスは、 日本語の分からない留学生にも好評。 じように不安だったり怖かったりします。 の回数を増やし、気軽に参加しやすい状 しでもサポートしたい」 と話します。 なパーティーを数多く開催して、交流の パーティー好きという印象がありますが、 として、料理の得意な留学生は母国の名 ないパーティーに行くことは、 日本人と同 の文化がよく表れるため、国際交流には 最適な話のテーマとなります。 また、 でき るだけ言葉の壁が交流の妨げとならない こちらから積極的に話しかけることで、少 います。少しでも意思疎通が図れると、言 日本語を話せる留学生は少ないことも よう、言葉を使わない簡単なゲームも行 葉が通じなくてもその場の楽しさを共有 あり、興味はあっても参加には二の足を 活発になってくるのだとか。 ために必要なことは、 コミュニケーション ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● 機会を増やしていく計画です。 We Love Todai Pips !! へのお問い合わせ先 [MAIL]todai̲pips@yahoo.co.jp [WEB]http://www.machino­club.com/ 踏むことが多いそう。安心して来てもらう できるようになり、 コミュニケーションが ● 況にすること。今後は誕生会などの小さ ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● キーパーソン・トーク 留学生と接していると、様々な気付きがあり、 自分の世界が広がる楽しみがあります。例えば、 私はこれまであまり気にせず「We」という主語を 使っていたのですが、ある時イタリア人の留学生 に「あなたの言うWeとは誰なの?」と指摘されま した。日本にいると、基本的に同じ文化、同じ価値 観の人たちで生活しているので、つい「私たち」と いう言い方をしてしまうのですが、海外では簡単 に「私たち」とくくれないことも多いのです。様々 な国籍の留学生との交流は、頭では理解している 中村 尚志 氏 We Love Todai Pips !! 代表 「人はそれぞれ違う」 ということを、リアルな経験 東京大学大学院新領域創成科 学研究科 社会文化環境学専攻 として実感させてくれます。 国際化をしていく上で重要だと思うことは、違 いを認め合うことです。留学生との対話でも、お 互いに「理解しよう」と歩み寄る気持ちがなけれ ば、上手くいきません。 ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● 例えば、日本ではパーティーの場で不機嫌にな ってもあまり表には出さないものですが、ある国 では当たり前のようにいら立ちを表現する場合が あります。それはどちらが良い悪いということで はなく、そういう文化だとお互いに理解し合うこ とでしか関係は作れません。 また、交流のきっかけを作りだすことも重要で す。きっかけがないと、どうしても居心地の良いコ ミュニティだけで完結しがちになってしまい、交流 は広がっていきません。幅広い団体の取り組みと 連携して、地域と留学生が交流するきっかけを増 やしていきたいです。 今後は、地域住民の自宅で、ホームパーティー を開催するなどより地域に根付いた活動を行って いきたいと考えています。柏の葉の住民は社交的 な方がとても多いので、名乗り出てくれる方がい らっしゃると期待しています。 □編集後記□ 柏の葉地区では、今後駅前に東京大学の研究施設やホテルができ、 ますます居住者・来街者の国際化が加速します。 日本だけではなく世界中の 人にとって住みやすい街、過ごしやすい街を目指したいですね。私はまず、英語の勉強から。 (蛭川) ● このニュースレターに 関するお問い合せ先 柏の葉アーバンデザインセンター(UDCK) 広報担当 小林、蛭川 〒277-0871 千葉県柏市若柴184-1柏の葉キャンパス149街区13 TEL 04-7140-9686 FAX 04-7140-9688 E-MAIL ma-kobayashi@udck.jp WEB http://www.udck.jp

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Vol.28 UDCK ニュースレター 2011 年 8 月号 柏の葉コミュニティホウソウ局 「K−Stream」 人の輪をつなぎ街に和を生みだす、市民のための放送局 地域に必要な情報を、地域住民自らが発信 するコミュニティ放送局。新聞やテレビなど のマスメディアでは報じられない地域情報 の提供や、災害時の細やかな情報発信など で注目され、全国各地に約250局が設立さ れています。一般的なコミュニティ放送では 超短波(FM)電波を使ったラジオ放送が行 われますが、柏の葉キャンパスシティのコ ミュニティ放送「K­Stream」は、インター ネットを使った新しい形態。2011年7月に 設立した、生まれたての放送局です。 柏の葉放送局、始動 「笑って、笑って!子育 てスマイル」­ 2011年7月12日、 「K­Stream」の 初 回 放送は、元気なママたちによる子育て番 組から始まりました。 K­Streamは、インターネットの動画 配信サービス「USTREAM」を使用して 生放送を行う放送局。録画番組も後日 配信されるため、見逃しても後で見るこ とができます。近年普及が進むスマート フォンでも視聴でき、コミュニティ放送 ではありながら、世界中どこでも視聴す ることができます。 コロール」の開催時には特別放送を行う ンタメ班」と、地域で活動する人や団体、 います。 班」 、そして子育ての情報を紹介する「子 など、イベントと連携した放送も行って 放送で広がる「わ」 K­Streamの理念は、放送を通じて人 住民自らが発信者になることの意義を 住む人の思い。住民自らが思いを伝え、 それを別の住民が受け止める。その連続 います。また、地域の定期市場「マルシェ によって、顔の見える地域ができる」と、 説明します。 によって、人と街に『わ』を広げる」こと が、放送局の目標だと言います。 参加メンバーは、現在33名。高校生か 術」 「広報・渉外」など役割を分担しなが を行う娯楽番組など、多彩な放送をして 神田さんは、 「番組は、住民自らが出演 伝えるものは単なる情報ではなく、街に 代表を務める神田玲子さんは、 「放送で から、毎週火曜日の13時に定期放送を みをレポートする取材番組や、本の朗読 います。 することに意味がある。顔の見える放送 ら仕事をリタイアした高齢者まで、老若 実施。子育て番組のほか、地域の取り組 育て班」の3班に分かれて制作を行って の輪をつなぎ、街に和を生みだすこと。 街づくりセンター「柏の葉アーバンデ ザインセンター」に設置されたスタジオ スポットに焦点をあてる「柏ヒト・モノ 男女が幅広く集まり、 「企画・編成」 「技 ら、ボランティアで運営を行っています。 番組内容は、地域に役立つものであ れば自由。現在は、イベント情報など地 域のエンターテイメントを紹介する「エ インターネット放送の画面。高齢者など 「USTREAM」 になじみのない人に向け、視聴方法の講習会も検討し ている。

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Vol.28 柏の葉コミュニティホウソウ局 「K−Stream」 放送の心得 不特定多数が視聴する放送を行うた めには、一定の技術や倫理が必要です。 立ち上げメンバーはカメラの使い方や効 果的な取材の方法、放送禁止用語、著作 権などの基礎を約一カ月間かけて集中的 に学びました。 放送局体験では、カメラの操作にも挑戦。ズームも駆 使して、気分はプロのカメラマン。 また、視聴エリアが限定されず、録画 や複製の簡単なインターネット配信であ 限定の体験イベントを実施しました。 る必要があります。地域に根差した顔の ス番組の放送にチャレンジ。発声練習や スを取る方法として、番組出演者は本名 るルールを設定しました。 「うそつきかも 機材の使い方講習を行った後、 カメラマ ラクターのデザインも募集中とのこと。過 送も体験しました。参加した小学4年生 可能です。 今度は、見ている人から何かを募集する 設立から約一カ月、 当面の活動目標は ような番組をやってみたい」 と、早くも放 向け、8月には 「子ども放送局」 として一日 代表の神田さんは、 「番組を見て参加し 送の持つ魅力に取りつかれた様子です。 参加者と視聴者の増加です。認知拡大に ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● キーパーソン・トーク 2011年3月まで勤めた柏市の生涯学習推進員 の仕事をはじめ、10年以上街づくりに関わってき ました。生涯学習推進員は、近隣センター(公民 館)で「子育て講座」や「高齢者講座」などコミュニ ティ講座を企画運営する仕事で、そこから多くの 自主活動グループが誕生しています。 その仕事を通じて、ある特定の目的を持ったコ 神田 玲子 氏 柏の葉コミュニティホウソウ 局 「K-Stream」代表 柏の葉コミュニティホウソウ局 「K­Stream」 の 視聴は [WEB]http://www.ustream.tv/channel/ kstreamudck 柏の葉コミュニティホウソウ局 「K­Stream」 に 関するお問い合わせは [MAIL]kcvn.info@gmail.com [ブログ]http://ameblo.jp/k-stream-udck/ の人に見てもらえるかもとワクワクした。 目指せ!地域DJ100人 ● 去の放送は、下記のWEBサイトで視聴 ると聞くとプレッシャーもあったけど、 多く な呼び名は、 親しみやすさを生む効果も。 ● 者はもちろん、 ロゴマークやイメージキャ の大野風太君は、 「世界中に配信されてい め」 「PaPo」 など出演者が名乗る個性的 ● できたばかりのK­Streamでは、参加 ンとアナウンサーに分かれて実際に生放 ではなく、 パーソナリティネームで出演す ● DJ100人が目標です」 と意気込みます。 早口言葉でアナウンスを練習し、 カメラや 見える放送とプライバシー保護のバラン ● たいと連絡をくれる人もいる。 まずは地域 6名の小学生と保護者が参加し、 ニュー るため、 プライバシーの問題にも気を配 ● 放送には番組出演だけではなく、機材を操作する楽 しみも。技術やカメラに関心がある人も参加を。 ミュニティを作ることは比較的簡単だけれど、世 ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● 放送の持つ利点は、大きく二点あります。一つ は、放送という枠組みの中で何をやってもよいた め、 老若男女だれでも参加できること。 趣味を生か した娯楽番組でもいいし、 地域情報を伝える番組 でも、自分たちのサークル活動を紹介する番組で もかまいません。 二つ目は、 交流が生まれることで す。 番組制作者と視聴者はもちろん、 制作者同士、 または制作者と取材対象者など、 放送局を拠点と して様々な交流が生まれます。 K­Streamはスタジオを駅前ロータリーの道路 代や性別を超えて地域全体に広げることは、とて から見える場所に設置していますので、放送中の 男性など同じ世代であったり、 悩みを持っていたり 生まれやすいという特徴を生かせば、 世代や性別 も難しいと感じました。 子育て中のママ、 定年後の する人は繋がりやすいですが、それだけでは交流 の幅は広がりません。 飛び入り参加も大歓迎。誰でも参加でき、交流が を超えたコミュニティ作りに貢献できるはずです。 私たちは、 放送局をあえて 「ホウソウ局」 とカタカ その解決策として、 コミュニティ放送に注目して ナで表記しています。 これは、 従来の放送という枠 「三角山放送局」 を立ち上げた木原くみこさんと出 放送には無限の可能性があるので、 具体的に何か いました。きっかけは、札幌市のコミュニティ放送 会い、 街づくりにおいて放送がいかに役に立つか、 体験談を聞いたことでした。 に捉われない、 自由な放送局を目指しているため。 伝えたいことがある人はもちろん、 漠然と 「何かし たい」 という人にも、 積極的に参加して欲しいです。 □編集後記□ 参加メンバーのひとり 「みかげ」 さんは、 学生時代放送部員でアナウンサー志望だったそう。 K­Streamの合言葉は、 「夢はいつでも叶う」 。 今後どの ような夢を持った人が集まり、 面白番組が出てくるのか。 楽しみに視聴しています。 (蛭川) ● このニュースレターに 関するお問い合せ先 柏の葉アーバンデザインセンター(UDCK) 広報担当 小林、蛭川 〒277-0871 千葉県柏市若柴184-1柏の葉キャンパス149街区13 TEL 04-7140-9686 FAX 04-7140-9688 E-MAIL ma-kobayashi@udck.jp WEB http://www.udck.jp

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Vol.29 UDCK ニュースレター 2011 年 9 月号 柏の葉キャンパス駅前まちづくり協議会 自分たちの街を自らの手で運営するエリアマネジメント 行政や開発事業者に街づくりを委ねる のではなく、市民の力でより良い街をめ ざす「まちづくり協議会」の活動が、全 国各地で始まっています。防災、治安、 美化・緑化、 コミュニティ活性化など地 域固有の課題解決を目指し、 この夏、 柏の葉キャンパスシティに誕生した 「柏 の葉キャンパス駅前まちづくり協議会」 は、住民組織と立地企業が一緒になっ て活動する国内有数の大規模エリアマ ネジメント組織です。 地域を束ねて大きな力に 高層階のご近所同士が協力してお年 寄りの避難を手伝う、駅前商業施設が 帰宅困難者を受け入れる、コンビニが避 難者に差し入れをする・・・ これは2011年3月11日、大震災直後 の柏の葉キャンパス駅前の光景です。 「独りで不安だったため本当に助かっ 協議会の特徴は、住民と企業がフラッ トな立場で結束していること。ひとりの 声や力では対処できない地域課題を、 多くの人々が結束して大きな声と力に変 え、より快適な街にしていこうと活動が できた人々が大半。まずは市民がこの街 以前から協議が重ねられていましたが、 大震災を機にその動きは加速しました。 が多くあります。住民も新たに移り住ん を知ることから始めようと、協議会では 設立総会終了後に第一弾イベントとして 「駅前地域施設見学会」 を行いました。 は2グループに分かれ約1時間半、駅前 のは、住民組織2団体(柏の葉キャンパ た。日常生活では目に触れる機会の少な ス一番街町会、パークシティ柏の葉キャ ンパス二番街管理組合)と、立地機関6 団体(京葉銀行、辻仲病院柏の葉、らら ぽーと柏の葉、柏の葉アーバンデザイン センター、三井不動産、三井不動産レジ デンシャル) 。 この街で生活していても、意外と知らないことが多い。 駅前エリアの模型を見ながら、現在何があり、 これから 何ができるのか、改めて点検してみると新たな発見も。 当日集まった60人の協議会メンバー 7月9日、 「柏の葉キャンパス駅前まち づくり協議 会」の設 立 総会に集まった 声があちらこちらから聞こえてきました。 大規模開発が進行中の柏の葉キャン む60代の女性。 柏の葉キャンパスシティ くエリアマネジメントの実現に向けて、 したい」 「柏の葉がより好きになった」 との 意外と知らない街のコト パスシティには、新たに建設された施設 では、市民の手で街を運営・管理してい いもあったそう。 「一緒に街づくりに参加 始まっています。 た。街が 結束する必要性を痛感しまし た」と振り返るのは、 駅前マンションに住 や、 今まで交流のなかった住民との出会 各施設の防災設備を中心に見学しまし い豊富な防災資源の存在に、一同驚き の表情。参加した40代の男性は「発見の 連続だった。 もしもの時に備えるために、 街の情報共有や連携を続ける大切さを 実感した」 と感想を寄せます。 この見学会では新しく住み始めた人 ららぽーと柏の葉は、館内で使用する水の約9割をまか なうほどの豊富な地下水利用システムが整っており、災 害時も水ライフラインが確保されている。

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Vol.29 柏の葉キャンパス駅前まちづくり協議会 流や組織を越えた協力関係」 と吉川さん ご近所のソフトパワー は話します。 熱気に満ちたシンポジウムの会場から 「ハードも大切だが、 それを動かすソフ は 「自分はどうすれば関わっていけるか」 トの力が必要。例えば災害時に備蓄され 「日中働いている身でも協力できるのか」 た水があっても、配る人やルールがなけ など積極的な声が相次ぎました。 れば、使うことはできません」 と語るのは、 協議会会長の近藤さんは 「助け合いが まちづくり協議会の会長を務める近藤文 必要な時は必ずやってくる。誰かがやって 雄さん。3・11を経て、 目に見えない信頼 や助け合いの必要性が実感された今、協 くれるのを待つのではなく自分から動き、 まちづくりシンポジウムでは、3月11日の柏の葉キャ ンパス駅前の様子をスクリーンで映し出し、当時の 検証と今後の課題を話し合った。 なくありません。 でいきたい」 と、今後の協議会活動の抱 を目指す。郵便局は市としても、候補物件 隣人とつながり、 ソフトの力を大きく育ん 議会に求められている事、 できる事は少 の紹介など誘致を働きかけ続ける」 と前 負を語ります。 「16年前の阪神大震災、神戸真野地 区が被害を最小限に抑えられた理由は、 向きな回答。協議会のメンバーは 「ひとり 街の声 を届ける 普段から結束していた地元まちづくり組 の声ではなく、街の声として、今後も市や 関係機関と協議を続けていきたい」 と意 より良い街にしていくために、 まちづく 織の存在にある」 。防災都市計画研究所 気込みます。 の吉川忠寛さんは、9月3日に柏の葉で り協議会の活動は防災以外にも多岐に 結束する重要性を解説しました。 見や要望も寄せられるようになりました。 犯パトロール、 イベントの開催など活動の 局がほしい」 という声は、以前から特に多 づくり意見交換会」 を実施し、協議会活 直後からバケツリレーや炊き出しとなっ く聞かれる要望です。 段から災害対策をやっていたわけではな 整備に向けて柏市との協議に臨みまし ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● キーパーソン・トーク 出身は群馬県の大泉町。2年半前に柏の葉キャ ンパスシティに引っ越してきました。交通アクセス は便利ですが、現在はまだ開発中の街であり不足 している部分があることも確かです。 「足りなければ自分達で作ればいい」と考え、自 ら街づくりに関わろうと町内会や地域のクラブ活 動に参加し、一番街町会の会長にも就きました。 近藤 文雄 氏 柏の葉キャンパス駅前まちづ くり協議会 会長 いて、 自由に話し合う場をもうけるとのこ と。柏の葉キャンパスシティの玄関口がど のように変わっていくのか、 注目です。 た。市からは「交番は2012年秋の開設 い。最大の対策になったのは、 日頃の交 ● 動の方向性やまちづくりのアイデアにつ 8月12日、協議会は交番や郵便局の て発揮され、多くの命を救ったとか。 「普 ● 幅を広げていく予定。10月1日には 「まち その中のひとつ、 「駅周辺に交番や郵便 真野地区では、 お祭りや緑化運動など を通じて育んだ地域のつながりが、震災 ● 今後協議会では、 駅前の美化活動や防 わたります。設立から2 ヵ月、具体的な意 開催したシンポジウム (写真) で、地域が ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ワーがあると思っています。 3月11日、柏の葉キャンパス駅前は不安そうな 顔で溢れていました。人は忘れる生き物ですが、 あの経験は絶対に忘れず今後に生かしていかな ければなりません。新しい人も積極的に参加して ほしい。住んだ年数は関係ありません。知らなくて も大丈夫。街に関わる全ての人が輪になって、そ れからお互いに知っていけばいい。 まちづくり協議会は、複数の組織がつながり、 柏の葉は積極性のある街、 「次は何が始まるのだ 顔が見えるようになってきた今が出発点です。同 すのは誰でもない自分かもしれない、誰もが作り 何をする人ぞ」ではなく、オープンでありたい。柏 ろう!」と期待が持てる街、そして、何かを生み出 手となる街。 そんなワクワク感の絶えない街です。 以前住んでいた群馬ではユースホステルの支 部をゼロからつくりました。老若男女や国籍を問 わず、多くの人と交流し活動の幅を広げていくこ じ地域やマンションに住んでいるのだから「隣は の葉をもっと住みよい街にしたいと考えている方 はイベントやボランティアからでもぜひ参加してく ださい。 映画「北の零年」のように、今は住民の一人とし とがとても楽しかった。このときの経験が、私の街 て「柏の葉零年」に立ち会っている気持ちです。楽 い、人任せにせず自分が担う。柏の葉にもそのパ たいですね。 づくり活動の原点です。待っていても前に進まな しく住みやすい街を次世代に引き継げるようにし □編集後記□ シンポジウムでは 「“防災バカ”がいる街はコミュニティの結束力が強い」 というお話も。 工夫された面白い防災訓練がどんどん開発されるそうです。 前向きにいざという時に備えたいものです。 (丸浜) ● このニュースレターに 関するお問い合せ先 柏の葉アーバンデザインセンター(UDCK) 広報担当 小林、蛭川、丸浜 〒277-0871 千葉県柏市若柴184-1柏の葉キャンパス149街区13 TEL 04-7140-9686 FAX 04-7140-9688 E-MAIL ma-kobayashi@udck.jp WEB http://www.udck.jp

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Vol.30 UDCK ニュースレター 2011 年 10 月号 十坪ジム 脳と体を鍛える最新トレーニングで、健康長寿都市づくり 世界一位の長寿を誇る日本。 しかし、高 齢化とともに「寝たきり」人口も急増し、 医療費の増加は社会問題となっていま す。そこで求められることは、自らの力で 生活を続けられる 「健康寿命」を延ばす こと。十坪(とつぼ) ジムは、東京大学が研 究する最先端の運動科学の成果が詰め 込まれた小さなスポーツジム。 「認知動作 型トレーニング」 という新しい手法を通じ て、全世代の健康増進をサポートします。 運動できない人 もできる 十坪ジムの創設者は、東京大学の小 林寛道名誉教授。日本体育学会会長な ど要職を歴任する、運 動科学の第一人 者です。小林教授の提唱する運動法が、 「認 知 動 作 型トレーニング」。十 坪ジム は、このトレー二ングを手軽に実践でき るように開発されたマシンが並ぶ、わず か10坪(33㎡)程度の小さなジムです。 認 知 動 作 型トレーニングとは、イン 血圧や心疾患、膝の怪我などを抱えて 高齢はなんと84歳です。 すが、十坪ジムは医師から運 動を禁じ がその効果を実感。3年間通っていると をかくような激しい運動ではないため、 半年くらいで、ずっと続いていた腰痛が いると多くのジムでは入会を断られま られない限り入会可能。びっしょりと汗 それぞれの体力に合わせて運動のやり 方を調整すれば、無理なく継 続するこ とができます。 市内10店舗を展開 2006年に経済産業省と千葉県から ナーマッスルと呼ばれる「体幹深部筋」 助成を受けスタートし、現在 柏市内で のではなく、一つ一つの動きを確かめな 3,500円からで、週1〜2回のコースを を鍛える運動のこと。体を激しく動かす がら正確に行うため、 「認知動作型」と名 付けています。 体幹深部筋を鍛えるメリットは、大き く二点。一つは、足腰が強くなること。転 10店舗を展開しています。会費は月額 選択。高齢者だけではなく小学校5年生 以上なら誰でも利用可能で、会員は約 う一つは、認知症予防。日常生活では動 しいことと、利用者に高齢者や体が弱い が活性化することが実証されています。 また、認 知 動 作 型の最 大の特 長は、 通常のスポーツジムには入会できない 低体力者でも実 践できることです。高 なくなった」と喜びます。 また、病気をきっかけに入会して半年 ほどという渡部万里子さん(73歳)は、 「みんなで話しながら運動するから、三 日坊主にならない」と教室形式のメリッ トを教えてくれました。利用者は徒歩10 分圏内の「ご近 所さん」が大半なので、 「カラオケの会」や「ウォーキングの会」 を結成するなど、ジム以外での交流も広 がっているのだとか。 ジムの利用は、毎週決まった時間に行 う教室形式。日常とは違う動作のためマ かさない体幹深部筋を動かすことで、脳 いう米倉清さん(66歳)は、 「通い始めて 1,500名に上ります。 倒・寝たきり防止の効果はもちろん、歩 く・走るなど運動能力も向上します。も 利用者へのアンケートでは、多くの人 シンの使い方に慣れるまでは扱いが難 人が多いため、トレーナーの目が行き届 くように少人数で行うためです。トレー ナーは、運動科学とマシンの使用法につ いて、小林教授の指導者養成講習会を 受講したスタッフが担当しています。最 脳内血流の測定状況。徒歩や通常の筋肉トレーニング に比べ、認知動作型トレーニングマシン利用時が最も 脳に多くの酸素が運ばれ、活発化している。 (小林教授 提供)

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Vol.30 十坪ジム 地域活性化の核 地域が一体となった健康支援に向け て、十坪ジムと医療機関との協力も進ん でいます。9店舗目にオープンした光ヶ丘 店は、 その先駆けとして診療所との連携 を実現しました。1957年竣工の団地を 中心に高齢化が進むこの地域には 「運動 新たな展開バリエ を行うことで症状が改善されるはず」 と 用者は20〜30代の若い夫婦や学生も 店舗の活用による商店街の活性化も狙 にこれまでの店舗になかったロッカーを 15坪程度で、十坪ジムの運営に最適。 ト イクも配置するなど、 認知動作型トレーニ ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● キーパーソン・トーク 大学卒業後、都内のスポーツクラブで長く仕事 をしてきました。フィットネスインストラクターの ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● 考えたのです。5年目を迎え、少しずつ小中学生の 会員も増え、世代を超えた会話が生まれているこ とを実感しています。 今年オープンした「十坪ジム バリエ柏の葉」が 資格講習で小林教授の講義を受講したことがき マンションの共有部にできたことも画期的です。 になりました。 の人が入れるのは珍しいこと。十坪ジムを通じて っかけで、縁あって十坪ジムの運営に携わること 十坪ジムの優れた点は、週に一回一時間のトレ ーニングでも十分に効果があることです。トレー 高橋 誠子 氏 NPO法人 東 大スポーツ健 康 マネジメント研究会 事務局長 十坪ジムに関するお問い合わせ [十坪ジム]04­7132­4171 (平日10:00〜17:00) [十坪ジム バリエ柏の葉]04­7170­2221 (平日9:30〜21:30/土9:30〜19:30) また、現在は入会資格が小学校5年 と期待されています。 ● けています。 う人も満足できるように工夫しています。 促進にもなり、地域経済の振興に役立つ ● 一日体験や見学も予約制で随時受け付 ングだけでなく運動で汗を流したいとい レーナーを地域の住民が担うことで雇用 ● 十坪ジムでは、現在会員を大募集中。 設置し、有酸素運動を楽しめるエアロバ いのひとつです。空き店舗の多くは、10〜 ● 代が来るかもしれません。 多くなると想定。通勤通学利用者のため 十坪ジムと商店街は相性がよく、空き ● 来、柏市の小学生は足が速い、 なんて時 地が柏の葉キャンパス駅近くのため、利 通うついでに、商店街で買い物をする人 ● に特化した十坪ジムの展開も検討中。将 した。 バリエとは、 バリエーションの略。立 も増えたそう。 ● ので、子どもにも効果的。今後は、小学生 「十坪ジム バリエ柏の葉」 がオープンしま 運動メニューを組み立てています。 ジムに ● グは正しい歩き方を覚え姿勢が良くなる 2011年8月には、その第一弾となる 診療所は運動が必要な患者をジムに 紹介し、 ジムでは診療所に相談しながら ● が理由。 しかし、認知動作型トレーニン 増やす計画です。 十坪ジムを誘致しました。 ● では体に対してマシンが大きすぎること こと。今後は、 目的特化型の新しい店舗を に取り組んできた診療所と地元商店街が ● 生以上となっていますが、 これは低学年 目下の課題は、利用者の裾野を広げる いう患者が多く、長年にわたり地域医療 ● 十坪ジムバリエ柏の葉は、柏の葉キャンパス駅近くの マンション群「パークシティ柏の葉キャンパス二番 街」の敷地内にあるが、マンション住民以外の利用も 可能。運営方法やマシンの種類が他の店舗とは異な り、料金も独自体系となっている。 一般的なジムでは見かけない、ユニークなトレーニ ングマシンが並ぶ。 (十坪ジムグランデ新柏) ニングすること自体を目的にするのではなく、効 率的に体を鍛えて、趣味のスポーツや旅行など日 マンションという一つのコミュニティの中に、外部 人が動き、人が動けば交流が生まれます。マンシ ョンの内外関係なく、ここで新たなコミュニティ ができるはずです。 十坪ジムは、一般的なスポーツジムのような大 常生活を楽しんでほしいと思います。 人数対応の大型店舗展開は考えていません。安 場にする」という目標を掲げました。今の子ども し、自宅から30 分以内で通える気軽さが運動を 運営開始当初、十坪ジムを「3世代が交流する は、よそのおじいちゃん、おばあちゃんと話す機会 がほとんどない。十坪ジムは、どの世代でも一緒 に運動できるし、少人数でしかもご近所が集まる 場所。そこで小さなコミュニティを生みだしたいと 全で快適に運動するには現状の規模が適当です 習慣にする鍵になると思います。 愛する柏市を元気な高齢者がいっぱいの「健 康長寿都市」にするため、今後も十坪ジムの拡大 を進めていきます。 □編集後記□ 今回で30号を迎えた柏の葉スタイルNews。 実は1号で取り上げた 「はっぱっぱ体操」 は、 「認知動作型トレー二ニング」 の動きを取り入れたご当地 体操です。 外では十坪ジム、 家でははっぱっぱ体操。 運動不足の皆さま、 ぜひチャレンジを。 (蛭川) ● このニュースレターに 関するお問い合せ先 柏の葉アーバンデザインセンター(UDCK) 広報担当 小林、蛭川、丸浜 〒277-0871 千葉県柏市若柴184-1柏の葉キャンパス149街区13 TEL 04-7140-9686 FAX 04-7140-9688 E-MAIL ma-kobayashi@udck.jp WEB http://www.udck.jp

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Vol.31 UDCK ニュースレター 2011 年 11 月号 都市環境デザインスタジオ 4つの大学院から学生が集結、若き知と才が街の未来を描きだす 柏 の 葉 ア ー バ ン デ ザ イン セン タ ー (UDCK) に大学院生が集まり、 〝柏の葉〟 という実際の街を研究対象として、未来 を見据えた街づくりプランを考える「都 市環境デザインスタジオ」。東京大学、千 葉大学、東京理科大学、筑波大学の4つ の大学院が連携して行う、ユニークな合 同演習です。大学院生が街を歩き、周辺 住民と意見交換し、若い斬新なアイデア を実現可能なプランに変えていく、そん な実践の場となっています。 実際の街が研究フィールド 「30年後の柏の葉に求められる都市 デザインとは?」 10月下旬、都市環境デザインスタジオ の会場となっているUDCKでは、約20人 の大学院生が夜遅くまで熱心に議論を 交わしました。 柏の葉キャンパスシティのスタジオでは、 街が実際に抱えている具体的な課題に 学生は、街が抱える今と未来の課題と 向き合い、徹底的な実地リサーチを行い 挑み、 その解決に向けた都市計画を作り ます。当初、楽観的で空想に近いと言わ 例えば「都市環境の再構築」 がテーマ アリングを通じて、地域に求められる現 駅前や既存住宅地のリノベーションが検 関谷さんは 「住民と学生の間で情熱や 上げます。 となった2010年度は、柏の葉キャンパス 討されました。 そこから生まれた提案の れたアイデアも、現地調査や住民へのヒ 実的なプランへと姿を変えるそうです。 問題意識がマッチした時に、課題解決の ひとつは、将来予想される人口減少の課 プランが生まれる。何が生まれるかは、 そ な講 師 陣。受 講 生には、 フランス、ベル わせて建物を減らしていき、空き家の増 の魅力を説きます。 も多く、講義や発表は英語が基本となる スペースを活用して、歩行者 5名程度のグループ編成で約4 ヵ月か 作り、豊かな住環境の創出 指導にあたるのは、建築学、社会学、 都市計画などの第一線で活躍する多彩 ギー、 中国、 ポルトガルなどからの留学生 グローバル色豊かなもの。 けてプランを練り上げ、最後には模型な どを用いて周辺住民に提案。2006年、 UDCKの初代センター長である故北沢 猛教授が中心となって開講しました。 建築系大学には 「スタジオ」 という名の 題に対応した 「街の減築」 。人口減少に合 加を防ぐプランです。空いた 専用道路や交流スペースを を狙ったものでした。 空想から現実へ 「ここは課題解決モデルの 発生装置」 と語るのは、 スタ 演習を設けるところがいくつかあります ジオのアシスタントを務めた 築の設計などを行うのが一般的。一方、 の関谷進吾さん。 が、 そこでは建築技法の習得や、仮想建 の時にならないと分からない」 とスタジオ 東京大学大学院博士課程 UDCKで行われた学生と住民によるディスカッション。活発なやりとりか ら柏の葉の課題解決モデルが生まれる。

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Vol.31 都市環境デザインスタジオ どもの遊び場づくりなどを展開しています。 スタジオを飛び出したアイデア 現在は千葉県香取市や東京都浅草へ も事業を拡大中。今後はNPO法人化も 「提案で終わらせたくなかった」 見据えているとのこと。鈴木さんは 「持続 東京大学大学院博士課程の鈴木亮平 を語ります。 オで生み出したプランを実現しようと、 街 を奔走しました。 学生が周辺住民に提案 小型トラックを活用して移動型の診療 今年度のスタジオのテーマは 「成長から 所、図書館、 レストラン、商店を展開する 成熟へのシナリオと郊外都市デザイン」 。 「たなカー」 というプラン。 高齢化が進む集 自然に恵まれた郊外都市。 しかし同時 落や交通の不便なエリアにも、機動的に に高齢化や空洞化など、多くの課題も抱 生活サービスを提供する狙いです。 発展を遂げるべきか、 柏の葉キャンパスシ の受講生、石黒達也さん。 「地域に向けた スタジオ最終回では、各グループが提 うになった。 住民の方と話していると、 常に しないか」 と声をかけられたのがキッカケ。 ティを舞台に考察します。 からず戸惑いもあったが、 支えてくれる地 案を発表して住民とディスカッションする 鈴木さんは 「何から手をつけていいのか分 域の方々の熱意に助けられ、 なんとか軌 「地域意見交換会」 が開催されます。昨年 鈴木さんは現在、 この移動サービスを運 きに集まりました。 その顔触れは、住民の ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● キーパーソン・トーク 生まれも育ちも東京の渋谷区。少年期は代々木 体育館の前で毎日遊んでいました。建築界の巨 匠、丹下健三先生の設計。 「あのような建築を創っ てみたい」 と思ったことが都市デザインを志したき っかけです。 18年間、九州大学で教鞭をとりながら、大学の キャンパス移転計画や周辺都市の賑わいづくりな 出口 敦 氏 東 京大学大学院 新 領域 創生 科学研究科教授 柏の葉アーバンデザインセン ター センター長 意見交換会の会場はUDCK、 開催日は 2012年1月28日 (土) 、時 間 未定。今後 の予定はUDCKのホームページでお知ら せ予定 (http://www.udck.jp/) 。 「緊張するけど楽しみ」 と語るのは今年 カー」 によるカフェ、 駄菓子屋、 雑貨屋、 子 ● りへの意識が高いのは、 柏の葉ならでは」 と、 スタジオの面白さを実感しているそう。 ど、 実に多彩。 計画、 情報学を学ぶ学生が集まり、 「たな ● 意見やアイデアを求められている。 街づく みならず、 行政や企業、 他大学の専門家な 営する団体 「balloon」 の代表。 建築や都市 ● 提案を意識することで、 実現性を考えるよ 度は周辺地域から20人以上が提案を聞 道に乗せることができた」 と振り返ります。 ● 2010年度の地域意見交換会のもよう。会場である UDCKは熱気に包まれていた。 えます。30年後、郊外都市はどのような スタジオで提案した際、柏たなか地区 の住宅地 「柏ビレジ」 の自治会より、 「実現 ● 柏ビレジで実施された「たなカー」。協力住民のガ レージを利用し、移動型のカフェを営業。 可能な事業化を進めていきたい」 と展望 さんらのグループは、2009年度、 スタジ ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● スタジオの会場であるUDCKは、街づくりの最 前線拠点。日々、柏の葉の街づくりに関わる行政、 企業、 住民、 研究者が集まり、 議論が交わされてい ます。 このような生の声に触れることで、 現在の街 の課題や解決のヒントが見えてきます。 スタジオで学生に求められる事は、 「今の街」 にじ っくり向き合うこと。 そして、 長い目で見た解決手段 を探り 「未来のあるべき姿」 を提案することです。 柏の葉は年齢や立場に関わらず、自分のアイデ どに携わりました。 そのひとつ、 福岡県の天神地区 アが提案・実現できる街です。 大規模な都市開発 した街づくり組織「We Love 天神協議会」を作り という強い連帯意識があります。学生の声にも耳 では、 地域活性化に向けて地元企業や大学が連携 ました。多様な意見をまとめ上げ、街に落とし込ん でいくやりがいを感じたものです。 2011年の4月からは東京大学に移り、 教授を務め ながらUDCKのセンター長も務めています。 スタジ オでは、 この2つの立場から指導にあたっています。 都市デザインを志す学生にとって、 スタジオはと ても恵まれた環境です。 が進むこの街には、 「いい街を皆で創っていこう」 を傾け、 活動を支え、 後押ししてくれる住民の方が たくさんいます。 柏の葉で学んでいる学生が、 この 街の未来にどのように関われるか、 そして変えてい くことができるか、 とても楽しみです。 そんな都市デザイナーの卵をお披露目する地 域意見交換会。街の皆さんの叱咤激励が学生を 鍛えます。 ぜひいらしてください。 □編集後記□ 地域放送として人気を博しているコミュニティホウソウ 「K-Stream」。 その放送局としても利用されるUDCK前のPLS(Public Life Space) も、 スタジオから生まれました。街のあちこちにスタジオ発のアイデアが広がったら、 ますます面白い街になるかもしれません。 (丸浜) ● このニュースレターに 関するお問い合せ先 柏の葉アーバンデザインセンター(UDCK) 広報担当 小林、蛭川、丸浜 〒277-0871 千葉県柏市若柴184-1柏の葉キャンパス149街区13 TEL 04-7140-9686 FAX 04-7140-9688 E-MAIL ma-kobayashi@udck.jp WEB http://www.udck.jp

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Vol.32 UDCK ニュースレター 2011 年 12 月号 まちのクラブ活動「ベビママ応援プロジェクト」 ママをひとりにしない!地域の先輩が子育てをサポート 2012年4月に小学校が新設される予定の 柏の葉キャンパスシティは、 少子化が進む 日本では珍しく子育て世代が増加中の街。 初めての子どもを出産する夫婦も多く、 た だでさえ不安な子育てを住みなれない場 所で行うのは大変です。 そこで生まれたの が、 地域の住民が協力し、 子育てママを応 援する 「べビママ応援プロジェクト」 「 。ママ はひとりじゃない」 を合言葉に、 活動は2年 目に突入しました。 ママは不安でいっぱい 活 動 開 始は、2010年の7月。柏の葉 キャンパス駅周辺でマンション開発が進 です。 かのサポートが必要だと考えていたまち 介と近況報告を行います。 ひとりのママ 「うちの子はまだハイハイしないけれ み、子育て世代が増加しているため、何ら ぜ」 ­初めての子育てに挑戦するママは、 のクラブ活動事務局に、 ちょうど市民か ど大丈夫かしら」 「夜泣きがひどいのはな いつも不安だらけ。祖父母のいない核家 らの提案が重なりました。 がいない人も増加しています。 した福祉に関する公開講座がきっかけで 主に3歳未満の子どもを持つママを、地 かした地域貢献の一つとして、乳幼児と 族が一般的になり、 身近に頼れる相談役 ベビママ応援プロジェクトは、そんな 域ぐるみで支援する様々な活動の総称。 会員登録は不要で、開催されるプログラ ムの中から必要なものだけ参加する緩や かな集まりです。柏の葉キャンパスシティ で約1000人が参加する住民サークル 「まちのクラブ活動」 の事務局により運営 されています。 プログラムを提供するのは、主に地域 今ではキャンセル待ちが出るほどの人気 提案したのは、柏市と千葉大学が共催 結成した市民グループ。講座の成果を生 ママを対象に 「絵本の読み聞かせと手遊 びの広場」 を行うことになりました。 内容は、絵本や紙芝居の朗読、童謡を 歌いながらの手遊びなど、約1時間のプ ログラム。最初は1組だった参加者も、 会の終わりには、必ず参加者の自己紹 が「ようやくプールに入れるようになりま した」 と報告すると、他の参加者全員から 拍手。 「子育てはひとりでしているのでは ない」 と感じられる瞬間として、特に大切 にしている時間です。 立ち上げ当初から参加しているという 谷口寛子さんは、 「新しい街なので知り合 いが少なかったが、 ここに参加して交流 が広がった。幼稚園の情報など、実用的 な情報交換も役立ちます」 と、魅力を話し てくれました。 【表 1】過去のプログラム例 タイトル 内容 のボランティア。子育てを終えた先輩ママ クリスマスミニコンサート 柏市の老舗合唱団「かざぐるま」 による、 乳幼児とママに向けたクリスマスコンサート 貢献に意欲のあるシニアなど、多くの市 ベビー&ママのためのヨガ教室 柏市のヨガ団体「Yoga Do」 が教える、 赤ちゃんとママが一緒にできるヨガ教室 乳幼児のためのパパママ安全教室 日本赤十字社千葉県支部の協力で、 救急車が来るまでの応急処置などを学ぶ や、幼稚園で働いた経験を持つ人、地域 民が参加しています。 市民からの提案で始動

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Vol.32 まちのクラブ活動「ベビママ応援プロジェクト」 サポートする側も楽しく アは次々にそのやりがいを口にします。 べビママ応援プロジェクトに参加する 言いますが、高齢社会の活性化にとって 「兄弟間の愛情の振り分けが難しい」 など の質問に、 花澤先生が一つ一つ丁寧に回 昔から夫婦にとって 「子はかすがい」 と 答。 ひとりで悩んでいた不安が解消されて いきます。 も、 子どもは欠かせない存在なのかもしれ 市民ボランティアは、現在約20名。 その 専門家講座は、 今後 「歯の発達」 などの ません。 中心は、 60歳以上のシニア世代です。 これまで一年以上無償ボランティアに 身体的な内容も加えながら、毎月開催を 専門講座に注力 よる運営が成り立っているのは、 サポート 目標に拡充していく方針です。 ベビママ応援プロジェクトでは、 「絵本 事務局が今年から力を入れているのが、 する人も楽しんでいるから。 「絵本の読み 聞かせと手遊びの広場」 で紙芝居を担当 子育てや発育に関する専門家を招待して の読み聞かせと手遊びの広場」 を毎月第 応できない専門的な知識も必要だと考 期でイベントを実施しています。 する柴野さんは、若いころから定年退職 の講座開催です。 ボランティアだけでは対 ていたそう。 「紙芝居をすることが生活の え、2011年6月に 「助産師による子育て ど、 夢がかなった」 と笑います。 ながらテーマに応じた専門家を招いて講 後は“紙芝居おじさん”になりたいと思っ 二・第四月曜日に定期開催するほか、 不定 ベビママ応援プロジェクトの詳細、問い 合わせはこちら まちのクラブ活動事務局 [WEB] http://www.machino-club.com/ 講座」 を実施。 好評を受け、 その後不定期 楽しみになっている。 まだまだ下手だけ 座を開催しています。 その他にも、 「子どもを見ているだけで 11月下旬には、今年最後の講座「イヤ 元気をもらえる」 「子どものために図書館 イヤ期の乗り越え方」 を開催しました。 臨 で多くの絵本を見るようになり、 自分の世 [TEL] 04-7137-2221 床心理士である花澤佳子さんを講師に迎 界も広がった」 など、参加するボランティ え、 約40組の親子が参加。 1〜2歳で迎え る初めての反抗期 「イヤイヤ期」 の子どもの 心理と、 「バテない子育ての秘訣」 に関する 講演に、 参加者は熱心に聞き入りました。 子育ての悩みはそれぞれ違うため、講 演後は質疑応答が活発に。 「子供が頭を 壁にガンガンぶつけるのはなぜ?」 「つい 紙芝居担当の柴野さん。最近、市販品では飽き足ら ず、自身で絵を描いてしまうこともあるそう。 ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ついヒステリックになってしまうのですが」 ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● キーパーソン・トーク ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● 門とするNPOなど、 外部団体との連携です。 連携の一番の目的は、プロジェクトに対して企 ベビママ応援プロジェクトの活動理念は、 ママを 業や地域の商店などバックアップしてくれるスポ 持つ人生の先輩が大勢います。 その人たちとママた 講座は大好評なのですが、 開催には費用がかかり 寂しくさせないこと。 地域には様々な経験や知識を ちを結びつけることで、 「ひとりじゃない」 と感じて もらうことが大切です。 “ベビママ応援”と銘打って いますが、 もちろんパパの参加も歓迎しています。 齋藤 香代子 氏 まちのクラブ活動事務局 NPO支援センターちば イヤイヤ期は、子どもに自我が芽生えだした合図。 気づかなければ困惑してしまうことも、専門家から 話を聞くことで安心できる。 ンサーを集めることです。今年から始めた専門家 ます。 スポンサーが集まれば、 費用の心配が減り、 講座の回数も質も拡充することができます。 また、ママにとって子育て以外に不安なのは、 一年間続けてきた大きな成果は、ボランティア 「実社会から離れてしまう」という意識。ママであ はあくまで裏方で、主役は市民です。今後も「こん 無理のない範囲で社会との接点を保つサポートも スタッフだけで運営が回り出していること。 事務局 な講座が欲しい、 やりたい」 という市民からの提案 や、ボランティアで参加してくれる人を大募集して る事を生かした仕事やボランティアの紹介など、 していきたいと考えています。 子育てでは、子どもに対して親以外にも複数の います。 大人が関わることが大切だと言われています。こ を作ることに注力しています。 2012年に向けて検 全体で子どもを育む雰囲気のある街にしていきた 事務局では、プロジェクトの持続的な運営体制 討しているのは、子育て中のママのサポートを専 の活動を通じて、柏の葉キャンパスシティを地域 いです。 □編集後記□ 早いもので、2011年は今号で最後の発行となります。 日本にとって本当に大きな変化があった2011年。 このベビーたちが元気に成長するために も、 柏の葉スタイルNewsでは2012年も明るく活発な取り組みを紹介していきます! (蛭川) ● このニュースレターに 関するお問い合せ先 柏の葉アーバンデザインセンター(UDCK) 広報担当 小林、蛭川、丸浜 〒277-0871 千葉県柏市若柴184-1柏の葉キャンパス149街区13 TEL 04-7140-9686 FAX 04-7140-9688 E-MAIL ma-kobayashi@udck.jp WEB http://www.udck.jp

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Vol.33 UDCK ニュースレター 2012 年 1 月号 五感の学校 アーティストと住民の共同作業で地域交流を活性化 先生はアーティスト、 教室は街そのもの。 住民がアーティストと一緒になって、 アートを作り、 体験し、 交流する、 柏の葉 キャンパスシティ独自のアートプロジェ クトが 「五感の学校」 です。 街全体が五 感を刺激する学びの場となるこのプロ ジェクト。 街のあちこちで行われるアー トイベントやワークショップが、 活気あ ふれる地域コミュニティを生み出して います。 地域交流の仕掛け ニュータウンになってしまう危険性も。 そこで五感の学校が提示した仕掛けは イラストレーターの高橋信雅さんとと もに描く落書きは、 もはや彩り鮮やかな 石膏で作られた大小様々な 「手」が無 「公共空間を活用した目に見えるアート アート作品。普段見慣れない街の光景 キャンパス駅近くのマンション 「パークシ が活動していると 「何をやっているのだろ たま通りかかり思わず写真を撮ったとい 数に埋め込まれた壁。 これ、実は柏の葉 コミュニケーション」 。 街中でアーティスト に、回りの人は興味津々となります。 たま ティ柏の葉キャンパス二番街」 の公共ス う?」 と足を止めてしまうもの。 誰でも参加 う30代の女性は、 「子どもの個性をこれ ル。五感の学校に参加した住民が手型を 開することで、 地域住民を次々と巻き込み、 いのでは」 と驚いていました。 ペースに設置されたクライミングウォー とり、 アーティスト・大巻伸嗣さんと一緒 にクライミングホールドを作りました。 こ のクライミングウォールを登ると、住民同 士が「握手」 することになる、なんともユ ニークなアート作品です。 できる場で周りの目を引くアート活動を展 活気のある交流を生み出してきました。 子どもが街に落書き 五 感の学校がはじまったのは2006 年。 「街のにおいを嗅ぎながら散歩しよ 五感の学校では、大人から子どもまで う」 「ペットボトルでクリスマスイルミネー プログラムとして提供されています。柏の 性いっぱいのプログラムは6年間で20種 一緒に楽しめる様々なアート体験企画が 葉アーバンデザインセンター(UDCK) の ディレクターで五感の学校事務局の小山 ションを作ろう」 。 アーティストが考える個 類以上にのぼりました。 は駅前施設の窓ガラスや壁に落書きして 都 市 開 発が 進 行中で新しい住 民が す。子どもたちに普段は禁止されているこ 楽しもうという、なんとも大胆な企画で 次々と増えていく柏の葉。 マンションや道 とをあえてやらせることで、常識にとらわ 民交流やコミュニティ作りなどソフトの街 使用するのは水性ペン、 ワークショップ後 路など着々とハードの建設が進む中、住 づくりを疎かにすると、 「隣人知らず」の 住民の 「手」 から作ったクライミングホールド。 (撮影 山本真人) そのひとつ、 「らくがきワークショップ」 田裕彦は、 その役割を 「地域住民が交流 する仕掛け」 であると説きます。 ほど尊重してくれるイベントは他の街にな れない自由な創造力を養います。 もちろん はきれいに洗い落します。 車にも落書き。あえてルールを破る体験に恐々なが ら夢中に。

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Vol.33 五感の学校 参加者から企画者へ 日本最大級のアートネットワーク 「住民の発案による新しい企画が次々 アートの力で街に交流と活気を生み出 生まれている」 (UDCK・小山田ディレク してきた五感の学校。 この魅力を全国に発 け身ではなく主体的にアートと関わる参 り組みが進んでいます。 信し各地から人を呼び込むために、 ある取 ター) というように、 五感の学校では今、 受 それが、2011年11月に発足した 「Art 加住民が増えています。 Round East(ARE) 」 。五 感 の 学 校 のほ 駅前マンションに住む和田富美子さん もその一人。 柏の葉に住んで10年。 2007 か、 つくばエクスプレスや常磐線沿線で活 子で企画や運営に加わっています。 アートネットワークです。 る、 柏の葉キャンパス駅前のアートな定期 それぞれ特徴的なものばかりですが、 規模 売されるご当地グルメの開発に、 和田さん 沿線一帯でまとめ上げることで、 国内有数 動する26のアート団体が手を結んだ広域 年から五感の学校に参加し、現在では親 地域に根付いた各団体の取り組みは、 五感の学校のプログラムのひとつであ は決して大きくありません。 それを束ねて 市 「マルシェコロール」 。 この市場限定で販 のアート先進エリアにしていこうという狙 は関わりました。完成したものは、地元食 材をふんだんに使ったホットドッグ 「柏の いです。 沿線界隈を周遊して各地域の展覧 の仲間たちと知恵を出しあい、 レシピを考 どの企画があがっています。 街の発展とともに生まれる新しい出会 アーティストにとって絶好の活動拠点」 。 そ く引っ越してきた人とコミュニケーション こ数ヵ月で、 複数のアーティストが柏の葉 を味わってもらうために、 何か力になれれ クター) というように、 住民として定住する いや交流が楽しみという和田さん。 「新し が広がった。 もっと多くの人にこの楽しさ ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● 街へ。 アートを活用した街づくりの可能性 んな評判が徐々に広まっているようで、 「こ は広がります。 に移り住んできた」 (UDCK・小山田ディレ などで確認を。 ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● キーパーソン・トーク 従来のパブリックアートといえば、アーティスト 五感の学校の詳しいプログラムはHP ■五感の学校 〈http://gokan-gakkou.jp/forum/〉 ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● ● を実感し、嬉しくもあり、また頑張らねばと気持ち が引き締まった瞬間でした。 第1回からすべてのプログラムに参加している 子もいます。当時は小学生だったけれども現在は 終わり」でした。残念ながら、住民から見向きもさ れるそうです。 れず寂れていくパブリックアートが全国各地に溢 中学生。今後はOBとして企画や運営に参加してく この街に関わる人は、挑戦を受け入れる寛容性 れています。 に満ちています。五感の学校を続けられた最大の て作品を作り上げます。制作過程からアートは始 める場合、失敗を恐れて「面倒なことにならない 柏の葉では、アーティストと住民が一緒になっ まっているのです。アーティストの一方的な作品 ではなく住民参加のアートだからこそ、地域生活 に溶け込み、街に潤いと豊かな交流を生み出し ます。 震災の影響もあり五感の学校を開催できなか った時期、 「何でやらないの?」と子どもから落胆 の声が出ました。プロジェクトが街に定着したこと 理由がここにあります。一般的に新しいことを始 か」と不安の声があがるもの。でも、 「常に失敗が 許されない」という街では、生活に潤いが失われ 肩が凝ってしまいます。 新しい取り組み、ワクワクする挑戦、そんな活 動に積極的に住民が参加してくるこの街の文化 を、今後も大切に育てていきたいです。それが、街 の豊かさになると信じています。 □編集後記□ インタビューにご協力いただいた和田さんの息子さんは来年から中学生。受験では、五感の学校での活動を紹介し、見事合格されたそう! 今後の活躍に期待です。 (丸浜) ● このニュースレターに 関するお問い合せ先 ● が制作した彫刻やモニュメントが道端に置かれて いるだけ。アーティストと街との関わりは「作って 小山田 裕彦 氏 柏の葉アーバンデザインセン ター ディレクター り前のように生まれる、 知的でオシャレな アーティストも増えています。 ば」 とはりきります。 ● アーティストとのご近所づきあいが当た 「ここに来れば何か新しいことができる、 案しました。 ● 映像クリエイター集団「トーチカ」は住民と一緒に 太陽の反射光で空中に絵を描くアート作品を制作。 会やイベントを楽しめる 「合同芸術祭」 な 葉ドッグ」 。地元食材を知り尽くした近所 ● 名物「柏の葉ドッグ」。パンには柏名産のほうれんそ うを練り込んだオリジナリティ溢れるご当地グルメ。 柏の葉アーバンデザインセンター(UDCK) 広報担当 小林、蛭川、丸浜 〒277-0871 千葉県柏市若柴184-1柏の葉キャンパス149街区13 TEL 04-7140-9686 FAX 04-7140-9688 E-MAIL ma-kobayashi@udck.jp WEB http://www.udck.jp