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入試問題解説 第 20 回:通 過 範 囲 と 体 積 2016 東 大 理 系 第 6 問
入試問題解説 問題 座標空間内を,長さ 2 の線分 AB が次の 2 条件 (a),(b) をみたしながら動く。 (a) 点 A は平面 z = 0 上にある。 (b) 点 C (0; 0; 1) が線分 AB 上にある。 このとき,線分 AB が通過することのできる範囲を K とする。K と不等式 z ≧ 1 の 表す領域との共通部分の体積を求めよ。 (2016 東大 理系第 6 問) ■ 本問の学習テーマ・目的 線分が動いてできる立体は,形を思い描きにくいことがあります。本問では高さを 1 つ 固定し,線分がその高さまで届く条件から断面を求めます。 学習の中心は線分がある点を通過できる条件を不等式で表すことと,断面の外周だけで なく内部もすべて含まれる理由を説明することです。断面が決まれば体積は通常の定積 分で計算できます。 指針 / アプローチ ▼ 回転の対称性を利用する ▼ 高さを固定して条件を立てる ▼ 円板の面積を積分する z 軸の周りに回転しても条件は変 わりません。まず z 軸と線分を z = t 上の点 P を通るには AP ≦ 2 が必要です。この条件か 含む平面で考えます。 ら断面の広がりを求めます。 軸からの距離が 0 から最大値まで 動くことを確かめます。断面積を 高さ t の式にして積分します。 点 A を原点から遠ざけるほど AC は長くなり,残りの CB z 2 は短くなります。線分が横に傾くほど端点 B の高さが下が B るため,その動きだけから立体の形を判断するのは簡単で z=t はありません。 C そこで高さ t を先に決めます。右図のようにその高さに届 く線分に限れば,平面 z = t との交点が動く範囲を求めら れます。相似を使えば,原点から点 A までの距離を用いて A O 交点から z 軸までの距離を表せます。 解答 原点を O とする。線分 AB は長さ 2 で,点 A の z 座標は 0 であるから,K に含まれる点の (*1) 回転しても点 C, z 座標は 2 以下である。また平面 z = 1 との共通部分は点 C のみである。 1 < t ≦ 2 とし,平面 z = t による断面を求める。条件は z 軸の周りの回転で変わらない ため,A が x 軸の負の部分または原点にある場合を考えればよい。(*1) --- 1 --- © ブリザードマン @HhG2cL9UOLRSz4I 無断転載・共有禁止 平面 z = 0,線分の長 さはすべて保たれます。
入試問題解説 OA = a ≧ 0 とおき,半直線 AC と平面 C z = t の交点 を P とし,点 H(0; 0; t) C をとる。AC = り,相似比より AP = t z 2 1 + a であ 1 + a2 ,HP = (t ¡ 1)a であ H る。a = 0 の場合にもこの 2 式は成り立つ。 C C t 1 + a2 ≦ 2 () 0 ≦ a ≦ 4 ¡ t2 t P t¡1 C 点 P が線分 AB 上にある条件は AP ≦ 2 であるから, B HP z=t 1 Ý① となる。 A a O 逆に ① を満たす a に対して点 A(¡a; 0; 0) をとり,半直 線 AC 上に AB = 2 となる点 B をとれば, C; P はともに線分 AB 上にある。したがって HP は 0 から C (t ¡ 1) 4 ¡ t2 までのすべての値をとる。(*2) t z 軸の周りに回転することにより,断面は中心 H,半径 R(t) の円板となる。よって断面 R(t) = (*2) 不等式を満たす位 積は 置に線分を置けること を確認します。1 < t なので AP ≦ 2 なら AC < 2 も成り立ち ます。 S(t) = ¼R(t)2 = ¼ (t ¡ 1)2 (4 ¡ t2 ) t2 (1 ≦ t ≦ 2) ÝÝ ② である。ただし t = 1; 2 では断面は 1 点である。求める体積を V とすると, V= Z2 1 S(t) dt = ¼ Z2 1 #¡t2 + 2t + 3 ¡ 2 = ¼ ¡ 4 8 + 2 ; dt t t t3 17 4 ¡ 8 log 2; ¼ + t2 + 3t ¡ 8 log t ¡ ˜ = # 3 t 1 3 答案記載上の注意点 断面積を計算する前に次の 3 点を答案に明記しましょう。 ▼ ポイント 1:直線上にあることと線分上にあることを区別する 点 A; C; P が一直線上にあるだけでは線分が点 P を通過できるとは限りません。P が端点 B より先にあれば条件を満たさないため,AP ≦ 2 が必要です。等号のときは P = B となり ます。 ▼ ポイント 2:円周だけでなく内部も含まれることを示す 回転の対称性だけでは断面が円板であるとはいえません。円環になる可能性もあるからです。 本問では a が 0 から上限まで自由に動くため,HP = (t ¡ 1)a も 0 から最大値までのすべて の値をとります。このことを答案に記せば,円板の内部もすべて含まれると説明できます。 ▼ ポイント 3:文字の範囲と上下端の断面を確認する t > 1 として相似と不等式を使い,最後に t = 1; 2 の断面を確認します。特に t = 1 では t ¡ 1 で割れません。積分では 1 ≦ t ≦ 2 とし,② の t2 が分母に残ることに注意して展開し ましょう。 --- 2 --- © ブリザードマン @HhG2cL9UOLRSz4I 無断転載・共有禁止
入試問題解説 解説 1. 条件に現れる平面から断面の向きを決める 問題文には点 A がある平面 z = 0 と,体積を求める範囲を区切る平面 z = 1 が示されてい ます。この 2 つに平行な平面 z = t で切れば,問題文の高さの条件をそのまま使えます。さ らに点 C は z 軸上にあるため,線分を z 軸の周りに回転させても条件は変わりません。 まず高さを固定し,その高さにある点を線分が通過できる条件を求めます。解答では回転の対 称性を利用して点 A(¡a; 0; 0) をとりました。これにより空間内の問題を xz 平面内の位置 関係で扱えます。 2. 指定した高さまで届く条件を不等式で表す 右図では高さを固定して線分の傾きを変えています。青の線 z B1 分は平面より上まで届き,ピンクの線分は端点がちょうど平 B2 = P2 z=t B3 面上にあります。灰色の線分は直線として延長すれば平面と 交わりますが,線分自体はそこまで届きません。 C 半直線 AC と平面 z = t の交点を通過できる条件は,点 A から交点までの距離が 2 以下であることです。したがって AP ≦ 2 と書けます。 A3 A2 A1 O 線分の長さが 2 だからといって,常に AP = 2 と置くわけではありません。 また高さの比から AP = t AC です。固定した t に対して AC が大きくなりすぎると,交点 C まで届かなくなります。この制限を表す不等式が t 1 + a2 ≦ 2 です。 相似を使う箇所も確認しましょう。a > 0 のとき直角三角形 AOC と CHP の高さ の比は 1 : (t ¡ 1) です。したがって CP = (t ¡ 1)AC,HP = (t ¡ 1)OA となり, AP = AC + CP = t AC と書けます。 端点 B の座標を求める代わりに,指定した点 P まで届く条件を直接立てています。(*3) のは直線ではなく線分 です。A; C; P; B の 順序から距離の不等式 が決まります。 3. 断面の内部もすべて通過できることを示す 高さ t を 1 < t < 2 の範囲で固定すると,t ¡ 1 は正の定 数です。したがって HP = (t ¡ 1)a は a に比例し,a を 0 R(t) から上限まで動かすと HP も途中の値を飛ばさずに増加しま す。 H C (t ¡ 1) 4 ¡ t2 で その最大値を R(t) と書けば,R(t) = t す。中心からの距離がこの半径以下の点はすべて通過範囲に z=t 含まれます。 xz 平面内で P が動く線分を z 軸の周りに 1 回転させると,半径 R(t) の円板ができます。 例えば HP = 1 R(t) とするには a を上限の半分にすればよいのです。中心は a = 0,すな 2 わち線分を z 軸上に置いた場合に対応します。 最大半径を求めるだけでなく,内部のすべての点も通過できることまで説明しましょう。 --- 3 --- (*3) 固定点 C を含む © ブリザードマン @HhG2cL9UOLRSz4I 無断転載・共有禁止
入試問題解説 4. 端点の軌跡が立体の側面になる理由 断面の外周では a が上限に達するので,AP = 2 となり, P = B です。したがって 1 < z < 2 における立体の側面は z 2 端点 B の軌跡に一致します。これは断面の条件から導いた結 論です。 R(t) C 一方で断面の内部に対応するのは AP < 2 の場合です。端点 B はその平面より上にあり, 線分の途中の点が平面を通過しています。端点だけを考えてよいのか迷ったときは,外周と内 部を区別しましょう。 右図は体積を求める部分を z 軸を含む平面で切った断面です。上下の端では幅が 0 ですが,そ の間では横に広がっています。上下の端を結ぶだけではこの広がりを表せません。 5. 積分に使う高さを先に固定する OA = a を先に固定すると,端点の高さは C 2 z となり 2 1+a 2 ます。ところが体積を求めるには高さごとの断面積を積分す る必要があります。高さ t に届く線分に対応する a の範囲を 改めて求めなければなりません。 右図の各断面の半径はそれぞれの高さに届く条件から決まり z= 7 4 z= 3 2 z= 5 4 C ます。 解答では初めから t を固定しました。交点の位置を変えるには a を動かせばよく, C 0≦a≦ 4 ¡ t2 という 1 つの範囲で断面を確定できます。その後は S(t) = ¼R(t)2 を積 t 分すればよく,半径が最大になる高さを求める必要はありません。 4 t 積分では (t ¡ 1)2 # 2 ¡ 1; を展開して各項を積分します。半径を 2 乗すると根号が消えるた め,置換積分などを使う必要はありません。 ■ 復習のポイント 本問では,下記のポイントを重点的に復習しましょう。 ★★★★★ 断面の設定:条件に現れる平面と回転の対称性から切る向きを決める ★★★★★ 通過条件:線分が指定の点まで届くことを距離の不等式で表す ★★★★★ 範囲の確定:必要条件を求めた後,その範囲の点をすべて通過できること を示す ★★★★★ 円板となる根拠:軸からの距離が 0 から最大値まで動くことを示す ★★★★☆ 文字の役割:積分に使う高さを固定し,その断面内で動く量の範囲を求 める --- 4 --- © ブリザードマン @HhG2cL9UOLRSz4I 無断転載・共有禁止