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講義 Note 第 5 回 複素数平面の 超短期習得 厳選 10 題 SEC. 005 // COMPLEX.NUMBERS SYS.LOG : COMPLEX.PLANE // ACTIVE プロモーション用・本文抜粋
数学講義 Note 第 5 回 複素数平面を使いこなすための 10 題 本講義の到達目標 ■ 図形の条件から式を立て, 軌跡や点の位置関係を求める力 ■ 回転と累乗の関係を使い, 方程式の解や三角関数の和を求める力 ほかの分野の問題は解けるのに, 複素数平面だけが苦手。公式は覚えていても, 問題を解 くときに何を使えばよいか分からない。その原因の一つは複素数の計算と図形の動きが結 び付いていないことです。本講義ではこの対応を基本から確かめ, 厳選した 10 題で解法 の選び方を学びます。 例えば二つの定点を表す複素数を a, b, 動く点を表す複素 数を z とします。点 z から 2 定点までの距離はそれぞれ |z-a|, |z-b| なので, 等距離という条件は |z-a|=|z-b| と表せます。距離と絶対値の対応が分かれば, 条件から式を立 てられます。 回転は掛け算で表せます。右図のように点 a を中心に点 z を 反時計回りに π/2 回転させる場合を考えましょう。まず各点を 表す複素数から a を引き, 中心を原点に移します。次に z-a に i を掛け, 最後に a を加えて平行移動を元に戻します。回 転後の点を表す複素数は w=a+i(z-a) です。 「距離は差の絶対値」「点 a の周りの回転は a を引いてから掛 ける」というように, 式の形と図形の意味を常にセットで捉え ていきましょう。 前半の図形編では第 2 章で演算と図形の対応を整理します。続く 5 題では距離・角度・対称性 の条件に合わせて式を立て, 軌跡や三角形の問題を解きます。最後の問題ではそれまでに扱っ た回転・対称移動・逆数を組み合わせます。 後半のド・モアブル編では回転を複素数の掛け算で表すことから始めます。同じ回転の繰り返 しを累乗で表し, 加法定理からド・モアブルの定理を導きます。この定理を二項定理や等比数 列の和と組み合わせて方程式や三角関数の和を扱い, 最後の二つのコラムでは無限級数の和と 図形の面積を求めます。 本講義の構成 章 扱う内容 図形編 第 2~7 章 基本事項と 5 題の演習。 ド・モアブル編 第 8~11 章 基本事項と 3 題の演習。 コラム 第 12・13 章 無限級数の 2 題と面積に関する補足。 各問の「指針」では与えられた条件から解法の方針を立てる過程を示します。「解答」で答案の 書き方を確認し, 「解説」では演算を選ぶ理由と, その演算に対応する図形の動きを確かめて ください。復習では指針を使わず, 最初の式を立てるところから解き直してください。 - 1 - ©ブリザードマン @HhG2cL9UOLRSz4I 無断転載・共有禁止 本文抜粋
数学講義 Note 第 5 回 原点を中心とする回転と拡大・縮小 u=cosθ+isinθ とおきます。u の絶対値は 1 です。z≠0 のとき⑤ より uz の絶対値は |z| に等しく, 偏角は θ だけ増えます。つまり u を掛けることは原点を中心とする角 θ の回転を 表します。(*2-2) また正の実数 k を掛けると向きを変えずに原点からの距離が k 倍になります。二つを組み合 わせた変換 z→k(cosθ+isinθ)z …⑥ は原点を中心とする k 倍の拡大・縮小と角 θ の回転を表します。 特に i=cos π/2 +isin π/2 なので, i を掛けると π/2 回転します。-1 を掛けると π, -i を掛け ると -π/2 の回転です。 (*2-2) 反時計回りを正 とします。θ<0 の場 合は時計回りに |θ| だ け回転します。点 0 は 回転しても点 0 のまま です。 原点以外を中心とする回転 点 a を中心に点 z を角 θ だけ回転した点を w とします。中心が点 a なので, まず各点を表 す複素数から a を引いて中心を原点に重ねます。 平行移動後の 2 点を表す複素数は z-a と w-a です。 この 2 点は原点を中心とする回転で重なるので w-a=(cosθ+isinθ)(z-a) となります。最後に a を加えて元の位置に戻せば w=a+(cosθ+isinθ)(z-a) …⑦ です。原点以外を中心に回転するときは, その中心から 見た位置を表す差 z-a に回転の公式を使います。 例えば点 a を中心に π/2 回転するなら, 回転を表す複素数 は i なので w=a+i(z-a) です。a=1+i, z=3+2i の場合は z-a=2+i, i(z-a)=-1+2i となり, w=3i です。 右の二つの図では平行移動の前後で 2 本の線分の長さと その間の角が変わらないことを示しています。回転後の 点を求めるときも, 中心を表す複素数との差をとれば, 原点を中心とする回転として計算できます。 点 a を中心とする k 倍の拡大・縮小を伴う場合は, w=a+k(cosθ+isinθ)(z-a) としま す。ただし k>0 です。 相似と複素数の商 異なる 2 点 a, b をそれぞれ原点と点 1 に移して考えるときは, 各点を表す複素数から a を引 き, b-a で割ります。b-a=ρ(cosφ+isinφ) とすると, b-a で割ることは原点を中心に -φ 回転し, 原点からの距離を 1/ρ 倍することです。 この変換で 3 点を表す複素数は a, b, z ↦ 0, 1, z-a/b-a …⑧ - 5 - ©ブリザードマン @HhG2cL9UOLRSz4I 無断転載・共有禁止 本文抜粋
数学講義 Note 第 5 回 相似と鋭角三角形 前章では対称軸を実軸に重ねるために回転を使いました。本章では三角形の一辺を実軸上 に重ね, 長さを 1 にします。平行移動・回転・拡大・縮小では角の大きさが変わらないの で, 移動後の三角形について各角が鋭角となる条件を求められます。 テーマ 3: 鋭角三角形となる条件 問 題 z を複素数とする。複素数平面上の 3 点 A(1), B(z), C(z²) が鋭角三角形をなすよ うな z の範囲を求め, 図示せよ。 (2016 東京大・理系 第 4 問) 指針 / アプローチ ▼平行移動と相似 ▼鋭角となる条件 ▼点 z の存在範囲 z が実数なら 3 点は実軸上にあり, 三角形にはなりません。そこで z は実数でないとします。 平行移動・回転・拡大・縮小を使い, 三角形の形状を保ったまま 3 点 1, z, z² のうち 2 点を 0, 1 に重ねれば, 一辺が実軸上に固定されます。その状態で残る頂点の位置を考えましょう。 各頂点を表す複素数を同じ複素数で割ると, 三角形全体が同じ角度だけ回転し, 同じ倍率で拡 大・縮小されます。したがって三つの角の大きさは変わりません。 - 13 - ©ブリザードマン @HhG2cL9UOLRSz4I 無断転載・共有禁止 本文抜粋
数学講義 Note 第 5 回 答案記載上の注意点 ▼ポイント 1: 三角形の成立条件 ▼ポイント 2: 求める点の範囲 解説 相似な三角形の利用 三つの角の条件を求めるとき, 一辺の両端が 0, 1 に固定されていれば, 残る頂点だけを 調べ済みます。相異なる 2 点 a, b をこの位置に重ねるには, 各点を表す複素数 ζ を ζ-a/b-a に置き換えます。a を引いて一端を原点へ移し, b-a で割って他端を 1 に重ねます。 b-a=r(cosθ+isinθ) (r>0) とすると, この割り算は -θ の回転と 1/r 倍の拡大・縮小を 表します。したがって移動前後の三角形は相似です。本問で必要な三つの角の大きさが変わら ないため, 移動後の三角形で鋭角となる条件を調べられます。(*5-1) 一辺の両端を 0, 1 に移すには, どの 2 点を選べばよいでしょうか。 円周角の定理と円の内外 線分 A'B' を直径とする円 C とし, γ=∠A'C'B' と します。円周角の定理とその逆から, γ が直角となるの は点 C' が円 C 上にあるときです。 底辺の両端の角が鋭角である場合に, 円の内外で角を比 べましょう。半直線 A'C' と円 C の交点のうち, A' で ない方を D とすると, ∠A'DB' = π/2 です。 (*5-1) 割る複素数の絶 対値が 1 でない場合 は, 回転だけでなく辺 の長さも変わります。 本問で求めるのは角度 の条件なので, 辺の長 さが変わっても差し支 えありません。 - 15 - ©ブリザードマン @HhG2cL9UOLRSz4I 無断転載・共有禁止 本文抜粋
数学講義 Note 第 5 回 逆数の軌跡 前章では三角形の一辺を固定するために複素数で割りました。本章では w=1/z としたと きの点 w の軌跡を求めます。点 z の動く範囲を距離の式で表し, そこへ z=1/w を代入 します。円の方程式を求めた後も, 除外する点や円弧の範囲まで確かめましょう。 テーマ 4: 直線・線分と逆数の軌跡 問 題 複素数平面上の原点以外の点 z に対して, w=1/z とする。 (1) α を 0 でない複素数とし, 点 α と原点 O を結ぶ線分の垂直二等分線を L とす る。点 z が直線 L 上を動くとき, 点 w の軌跡は円から 1 点を除いたものになる。 この円の中心と半径を求めよ。 (2) 1 の 3 乗根のうち, 虚部が正であるものを β とする。点 β と点 β² を結ぶ線分上 を点 z が動くときの点 w の軌跡を求め, 複素数平面上に図示せよ。 (2017 東京大・理系 第 3 問) 指針 / アプローチ ▼垂直二等分線の条件 |z|=|z-α| ▼z の消去 ▼線分上の条件 線分の垂直二等分線はその両端から等距離にある点の集合です。(1) の直線 L は |z|=|z-α| と表せます。求めたいのは点 w の軌跡なので, この式の z を 1/w に置き換えましょう。 右の二つの図は α=1+i の場合です。 点 z が直線全体を動いても, 点 w の軌 跡は円全体にはなりません。w=0 となる z が存在しないことにも注意し ます。 - 17 - ©ブリザードマン @HhG2cL9UOLRSz4I 無断転載・共有禁止 本文抜粋
数学講義 Note 第 5 回 接線に関する対称移動と放物線 図形編の最後は接線に関する対称移動と逆数を組み合わせる問題です。第 4 章と同じよう に, 対称軸を一定の位置に移してから共役を使います。続く軌跡の問題では絶対値の式を 距離の関係に直すと, 第 4 回で扱った放物線の定義が現れます。 テーマ 5: 接線に関する対称移動と軌跡 問 題 複素数平面上の原点を中心とする半径 1 の円を C とする。点 P(z) は C 上にあり, 点 A(1) とは異なるとする。点 P における円 C の接線に関して, 点 A と対称な点を Q(u) とする。w=1/1-u とおき, w と共役な複素数を w̅ で表す。 (1) u と z̅ を z についての整式として表し, 絶対値の商 |w+w̅-1| / |w| を求めよ。 (2) C のうち実部が 1/2 以下の複素数で表される部分を C' とする。点 P(z) が C' 上 を動くときの点 R(w) の軌跡を求めよ。 (2018 東京大・理系 第 5 問) 指針 / アプローチ ▼回転による接点の移動 ▼単位円上の点と共役複素数 z̅ = 1/z (|z|=1) ▼距離の条件と軌跡 接線は点 P の移動に伴って変化します。 点 A, P, Q を回転して得られる点をそ れぞれ A', P', Q' とします。 右図は z=1/2 + √3/2 i の場合です。点だ けでなく円と接線も一緒に回転してい ます。二つの図の縮尺は同じです。 - 20 - ©ブリザードマン @HhG2cL9UOLRSz4I 無断転載・共有禁止 本文抜粋
数学講義 Note 第 5 回 7 倍角の公式と 3 次方程式 前章では極形式で累乗を計算し, 方程式の解を求めました。本章では複素数の累乗を二項 定理でも展開します。二つの式の虚部を比較して 7 倍角の式を導き, その係数を手掛かり に 3 次方程式を解きましょう。最後は解と係数の関係を使って三角関数の和を求めます。 テーマ 7: 7 倍角の公式と解の和 問 題 以下の問いに答えよ。 (1) ド・モアブルの定理を用いて sin(7θ) を sinθ, cosθ およびそれらの累乗で表せ。 (2) 3 次方程式 7x³-35x²+21x-1=0 を解け。 (3) 和 1/tan²(π/7) + 1/tan²(2π/7) + 1/tan²(3π/7) を求めよ。 (2016 横浜市立大・医学部 第 4 問) 指針 / アプローチ ▼虚部と 7 倍角の公式 ド・モアブルの定理・二項定理 ▼ 7 倍角から 3 次方程式 ▼解と係数の関係 (1) では (cosθ+isinθ)⁷ を二通りに表します。二項定理で展開した式のうち, 虚部の計算に 使うのは i の指数が奇数の項です。i, i³, i⁵, i⁷ の値に注意して計算しましょう。 (2) の係数 7, -35, 21, -1 は (1) の式にも現れます。 - 31 - ©ブリザードマン @HhG2cL9UOLRSz4I 無断転載・共有禁止 本文抜粋
数学講義 Note 第 5 回 等比数列の和と絶対値の評価 本章では 1+z+…+zⁿ という和を扱います。等比数列の和を求め, 累乗の部分にド・ モアブルの定理を使うと, 和の絶対値を計算できます。点 z が円の内部にあるという条件 から不等式を導き, すべての自然数 n に対して和の絶対値が 1 より小さいことを示しま しょう。 テーマ 8: 円の内部にある条件と絶対値の評価 問 題 (1) 極座標表示された複素数 z=r(cosθ+isinθ) (r>0) が |z+1/2|<1/2 をみたす ための必要十分条件を r と θ を用いて表せ。 (2) n を自然数とするとき, |1+z+…+zⁿ|² を r, θ, n を用いて表せ。 (3) 複素数 z が |z+1/2|<1/2 をみたすならば, すべての自然数 n に対し, |1+z+…+zⁿ|<1 が成り立つことを示せ。 (2000 東京工業大・前期 第 2 問) 指針 / アプローチ ▼円の内部にある条件 |z|²=z z̅ ▼等比数列の和 z=1 と z≠1 の場合分け ▼分子と分母の比較 (1) の絶対値は点 z と点 -1/2 の距離です。条件を満たす点 z は中心が点 -1/2, 半径が 1/2 の円 C の内部にあります。 |z|²=z z̅ と z+z̅=2r cosθ を使い, この条件を r, θ の不等 式で表します。(*11-1) (2) では初項 1, 公比 z の等比数列の和を求めます。絶対値 の 2 乗を計算するときも, 共役複素数との積を使います。 (*11-1) 問題文の「極 座標表示」は現在の課 程の「極形式」のこと です。 - 34 - ©ブリザードマン @HhG2cL9UOLRSz4I 無断転載・共有禁止 本文抜粋
数学講義 Note 第 5 回 部分和の収束と 2 点間の距離 原点から点 w₀, w₁, w₂, … を順に結びます。w_{N+1}-w_N=q^{N+1} なので, 線分の向きは π/6 ずつ反時計回りに変わり, 長さは半分になります。右図では w₈ までを結んでいます。 最初は原点から点 w₀ (w₀=1) まで, 実軸 に沿って長さ 1 だけ進みます。続く各線分に 沿った移動は q, q², … を順に足すことに対応 します。複素数を足すたびに, その複素数が 表す向きへ, その絶対値に等しい距離だけ端 点が移ります。 実部の差の絶対値 |SN-a| は 2 点 w_N, v の横方向の隔たりです。これは 2 点間の距離 |w_N-v| 以下なので, 距離が 0 に近づけば実部の差も 0 に近づきます。解答の②はこの関係を式にし たものです。 次章では角を π/6 を θ に置き換え, cosnθ を含む級数と sinnθ を含む級数の和を同時に求めま す。その結果を図形編の逆数の式と結び付けていきましょう。 - 39 - ©ブリザードマン @HhG2cL9UOLRSz4I 無断転載・共有禁止 本文抜粋