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October 03, 26

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1.

入試問題解説 第 18 回:必 要 条 件 と 十 分 条 件 1990 東 工 大 前 期 大 問 1

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入試問題解説 問題 x; y; z; w を正数とする。任意の正の整数 m; n に対して 1 1 1 1 n 1 1 n n n n n n n #x m + y m ; + #z m + w m ; = U#x m + z m ; + #y m + w m ; m が成り立つための必要十分条件を求めよ。 n (1990 東工大前期 大問 1) ■ 本問の学習テーマ・目的 本問では「任意の正の整数 m; n に対して成り立つ」という条件を利用して,特殊な場 合から必要条件を求めます。その条件を仮定し,一般の m; n に対しても等式が成り立 つことを確かめ,必要十分条件を決定します。 複雑な式を最初から文字のまま計算する必要はありません。どの文字に値を代入できる のか,その代入から何が証明できるのかを確認しましょう。補充問題では成立する場合 が先に思い浮かぶときに,他の場合が成り立たないことをどう示すかを扱います。 指針 / アプローチ ▼ 簡単な場合を選ぶ ▼ 必要条件を求める ▼ 一般の場合に戻る m; n は自由に選べます。n = 1 で条件が得られなければ,m = 1; n = 2 として式を整理します。 展開して共通の項を消し,根号を 含む等式を 2 乗します。平方の形 に因数分解すると xw = yz が 得られます。 x = ty; z = tw と表し,元の 式の両辺を計算します。任意の m; n について両辺が一致すれば 十分性も示せます。 求めるのは x; y; z; w の条件です。一方,m; n は「任意の正の整数」なので,式が簡単にな 1 1 1 1 るように選べます。まず n = 1 とすると両辺とも x m + y m + z m + w m となり,条件は 得られません。そこで m = 1 として指数に分数が現れる箇所を減らし,次に簡単な n = 2 を 試します。 この場合は展開後に x2 + y2 + z2 + w2 が消え,根号を含む等式が残ります。さらに 2 乗す ると xw = yz が得られます。ただし,ここまでで使ったのは m = 1; n = 2 の場合だけ です。最後にこの条件を仮定し,一般の m; n に対して元の等式が成り立つかを確認します。 xw = yz を比の等式に直すと,文字の数を減らして計算できます。 解答 与えられた等式が任意の正の整数 m; n に対して成り立つとする。m = 1; n = 2 とすると, C C 2 (x + y)2 + (z + w)2 = # x2 + z2 + y2 + w2 ; (*1) 両辺を展開して整理すると,xy + zw = C (*1) すべての m; n で (x2 + z2 )(y2 + w2 ) となる。両辺を 2 乗して移 項すると, 0 = (x2 + z2 )(y2 + w2 ) ¡ (xy + zw)2 = (xw ¡ yz)2 よって xw = yz が必要である。 --- 1 --- © ブリザードマン @HhG2cL9UOLRSz4I 無断転載・共有禁止 成り立つなら,この組 でも成り立ちます。こ こでは必要条件を求め ています。

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入試問題解説 逆に xw = yz とする。y; w > 0 より x z = = t (> 0) とおくと,x = ty; z = tw y w である。任意の正の整数 m; n に対して,左辺は (*2) n n n 1 n 1 #t m + 1; y m + #t m + 1; w m (*2) 正数なので比をと れます。また,積の分 数乗は各因子の分数乗 の積として計算でき ます。 n 1 n n = #t m + 1; #y m + w m ; 右辺は 1 1 n n n n n n n n n U#t m y m + t m w m ; + #y m + w m ; m 1 n n n n n n 1 1 n = U#t m + 1; #y m + w m ; m = #t m + 1; #y m + w m ; となり,両辺は一致する。したがって求める必要十分条件は xw = yz である。 答案記載上の注意点 必要条件を求める部分と十分性を確かめる部分を明確に分けます。試した値をすべて書く必要 はなく,解答では条件が得られる代入から始めて構いません。 ▼ ポイント 1:特殊な場合だけで結論を出さない m = 1; n = 2 から xw = yz が得られても,それだけでは一般の m; n について等式が成 り立つことは示せていません。 「よって必要である」と区切り, 「逆に xw = yz とする」と続 ければ,それぞれの部分で何を証明しているかが明確になります。 ▼ ポイント 2:2 乗による変形の向きを意識する 必要性の証明では,成り立っている等式の両辺を 2 乗して条件を導けばよいので,逆向きの変 形まで示す必要はありません。なお,今回は xy + zw > 0 であり,根号で表された値も正な ので,2 乗前後の等式は同値です。十分性を別に確かめれば,この同値性を説明しなくても論 証は完結します。 ▼ ポイント 3:十分性は任意の m; n について示す 十分性の証明で m = 1; n = 2 を再び代入しても,その組で等式が成り立つことしか確認で きません。x = ty; z = tw を元の式に代入し,m; n は文字のまま計算して両辺の一致を示 しましょう。 「同様に成り立つ」と省略せず,共通因子を取り出す計算を記します。 --- 2 --- © ブリザードマン @HhG2cL9UOLRSz4I 無断転載・共有禁止

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入試問題解説 解説 1. 代入する文字と条件を求める文字を区別する 本問では x; y; z; w のどのような組が条件を満たすかを求めます。この 4 文字に数値を代入 しても,その組が条件を満たすかどうかを調べるだけになります。一方,m; n にはどの正の 整数を選んでもよいので,求める組はその場合の等式も必ず満たさなければなりません。(*3) 右の表のように n = 1 では等式が自動的に成り立 ちます。この代入では条件が得られないと分かれ ば,次の値を試せばよいのです。m = 1; n = 2 は,指数に分数が現れる箇所を減らし,平方の展開 で計算できるようにする自然な選択です。最初から 代入 得られること n=1 条件は得られない m = 1; n = 2 xw = yz が必要 一般の m; n 十分性を確認する (*3) 同じ「代入」で も,成立例を作る操作 と,すべての解が満た す条件を導く操作では 役割が異なります。 xw = yz を予想しておく必要はありません。 2. 実験が予想にとどまらず,証明の一部になる 数列の初めの数項を計算して規則を予想した場合,その規則が以後も続くことは別に証明する 必要があります。しかし,本問で m = 1; n = 2 を代入して求めた xw = yz は単なる予想 ではありません。すべての場合に等式が成り立つと仮定しているので,この代入から求めた条 件は必ず満たされます。 ただし, 「必ず xw = yz となる」ことと「xw = yz であれば必ず元の条件を満たす」ことは 別です。前者によって xw Ë yz の組はすべて除かれます。残った xw = yz の組がすべて 解になるかどうかは,後者を確認して初めて分かります。特殊な場合を選ぶこと自体は問題あ りません。大切なのは,そこから何を結論してよいかを区別することです。 3. 必要条件を十分性の計算に使いやすい形に直す xw = yz という形のままでは,元の複雑な式がどう簡単になるかは分かりにくいかもしれま x z せん。そこで積の等式を = と直します。共通の比を t とおけば,x と z をそれぞれ y w ty と tw に置き換えられます。 1 1 n n 1 1 左辺では x m + y m = (t m + 1)y m となり,もう一方の項からも同じ因子が取り出せます。 n n n 右辺では x m + z m = t m (y m + w m ) となります。両辺でくくり方は異なりますが,最後 には同じ式になります。(*4) (*4) 比を用いると文字 2 2 なお,必要性の計算に現れた等式は,コーシー・シュワルツの不等式 (xy + zw) ≦ (x + z2 )(y2 + w2 ) の等号成立条件に対応します。この等号成立条件を知っていれば xw = yz を すぐ導けますが,その知識がなくても右辺から左辺を引いて展開すれば (xw ¡ yz)2 となり ます。本問のために新たな不等式を覚える必要はありません。 --- 3 --- © ブリザードマン @HhG2cL9UOLRSz4I 無断転載・共有禁止 の数を 4 つから 3 つに 減らせるだけでなく, 両辺に共通する因子も 明示できます。

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入試問題解説 補充問題 a; b を非負の整数とする。任意の正の整数 n に対して n 2 + an + b が整数の平方とな るための必要十分条件を求めよ。 指針 / アプローチ ▼ 成立する場合を考える 2 ▼ 平方の差に直す ▼ 大きな n を選ぶ 2 a = 2k; b = k なら (n + k) n + an + b = r とおき,4 倍 になります。これは十分条件なの で,他の場合は成り立たないこと も示す必要があります。 して平方完成します。整数の積が 4b ¡ a2 に等しい形に直せます。 2 2 右辺は n によらない定数です。 一方の因子を十分大きくすると, 他方は 0 であると分かります。 本問と異なり,補充問題では成立する形が先に思い浮かびます。しかし,式全体が (n + k)2 の形でなくても,正の整数を代入するたびに平方数となる可能性が残っています。それ以外の 形では成り立たないことを示すのが必要性の証明です。 n 2 + an + b = r2 とおいて n について平方完成すると,4r2 ¡ (2n + a)2 = 4b ¡ a2 となり ます。左辺を因数分解すれば,整数の積と定数を比較できます。n をいくらでも大きく選べる ことと,0 でない整数の絶対値が 1 以上であることを合わせて使いましょう。 解答 任意の正の整数 n に対して n 2 + an + b が整数の平方となるとする。d = 4b ¡ a2 とおき, n > jdj となる正の整数 n を 1 つ選ぶ。仮定より (*5) n 2 + an + b = r2 を満たす正の整数 r が存在する。よって, (2r ¡ 2n ¡ a)(2r + 2n + a) = 4b ¡ a2 = d ÝÝ ① (*5) a; b は固定され ています。これらから 定まる jdj より大きい n を選んでも,問題の 条件を使えます。 ここで 2r + 2n + a > jdj である。もし 2r ¡ 2n ¡ a Ë 0 なら,これは整数であるから j2r ¡ 2n ¡ aj ≧ 1 となり,(*6) (*6) 第 1 因子は負の 場合もあるため,積の 絶対値で比較します。 第 2 因子は正です。 j(2r ¡ 2n ¡ a)(2r + 2n + a)j ≧ 2r + 2n + a > jdj となって①に矛盾する。したがって 2r ¡ 2n ¡ a = 0 であり,①より d = 0,すなわち a2 = 4b である。a2 は 4 の倍数なので a は偶数であり,a = 2k とおくと b = k2 となる。 ただし k は非負の整数である。 逆に非負の整数 k を用いて a = 2k; b = k2 と表されるなら,任意の正の整数 n に対して n 2 + an + b = (n + k)2 は整数の平方となる。したがって求める必要十分条件は a = 2k; b = k2 (k は非負の整数) --- 4 --- © ブリザードマン @HhG2cL9UOLRSz4I 無断転載・共有禁止

6.

入試問題解説 答案記載上の注意点 成立する形を示しただけでは必要十分条件を求めたことにはなりません。それ以外の形では成 り立たない理由を,整数性と不等式によって示します。 ▼ ポイント 1:式が平方式であると最初から仮定しない 初めから n 2 + an + b = (n + k)2 とおいて係数を比較すると,これから示すべき形を仮定し たことになります。問題文からいえるのは,各 n に対して,2 乗すると式の値になる整数 r が 存在することです。この r は n に応じて変わり得ます。 ▼ ポイント 2:n を選んでから対応する r をとる 解答ではまず a; b から d を定め,次に n > jdj を満たす n を選び,その n に対応する r を とっています。r を固定したまま n だけを大きくしているわけではありません。また,「一方 の因子が大きくなる」と述べるだけでは不十分です。他方が 0 でなければ絶対値が 1 以上とな ることも明記します。 解説 1. 成立例の発見と必要条件の証明を区別する a = 2k; b = k2 という形を見つければ,解となる組を無限に作れます。しかし,それ以外に 解がないことはまだ分かりません。ここでは「この形なら成立する」という十分条件が先に得 られています。 一方,n = 1 を代入すると「1 + a + b が整数の平方」という必要条件が得られます。ただし, 例えば a = 7; b = 1 では n = 1 のとき 9 ですが,n = 2 のとき 19 となります。この必要 条件を満たすだけでは元の条件を満たすとは限りません。(*7) (*7) 「成立する組を作 2 補充問題では,十分条件から予想した a = 4b が必要条件でもあることを示します。解答は 必要性と十分性のどちらから書き始めても構いませんが,初めに得られた条件がどちらなのか は区別しておきましょう。 2. 平方完成で n によらない定数を取り出す 平方数であることを式で表すと,n 2 + an + b = r2 となります。ここで n について平方完成 a2 a 2 ; =b¡ となります。整数の式として扱うために 4 倍すると,解 2 4 答の 4r2 ¡ (2n + a)2 = 4b ¡ a2 が得られます。 すると,r2 ¡ #n + 平方完成は,十分条件として思い浮かんだ平方式との差を表す操作でもあります。右辺が 0 な ら予想どおりの形です。0 でない場合が成り立たないことを示すために,左辺を平方の差とし て因数分解します。すると n を大きくすれば第 2 因子 2r + 2n + a は必ず大きくなる一方で, 積は一定でなければならないことが分かります。 --- 5 --- © ブリザードマン @HhG2cL9UOLRSz4I 無断転載・共有禁止 る」ことで十分条件が, 「どの解も満たす条件を 導く」ことで必要条件 が得られます。

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入試問題解説 3. 整数性が積の大きさを制限する 実数の積なら一方を大きくしても,他方を 0 に近づければ積を一定に保てます。例えば n¢ 1 = 1 です。しかし,0 でない整数の絶対値は 1 以上です。この違いが補充問題の決め手 n です。 2r ¡ 2n ¡ a が 0 でなければ,積の絶対値は少なくとも 2r + 2n + a です。そこで第 2 因子が j4b ¡ a2 j より大きくなるように n を選べば矛盾します。n > j4b ¡ a2 j を満たすものを選べ ば十分であり,最小の n を求める必要はありません。 本問では式を簡単にするために小さい値を選びましたが,補充問題では他の場合が成り立たな いことを示すために大きい値を選びました。どちらも条件がすべての値で成り立つことを利用 しています。ただし,本問では初めに必要条件を求め,補充問題では初めに十分条件を見つけ たという違いがあります。 ■ 復習のポイント 本問では,下記のポイントを重点的に復習しましょう。 ★★★★★ 特殊化の対象:条件を求める文字と自由に値を選べる文字を区別する ★★★★★ 必要条件の導出:すべての場合に成り立つ条件を扱いやすい場合に適用 する ★★★★★ 十分性の確認:得られた条件を仮定し,一般の場合に戻って成立を示す ★★★★☆ 十分条件からの予想:成立する形を見つけることと,それ以外の場合は成 り立たないと示すことを分ける ★★★★☆ 整数性の利用:0 でない整数の絶対値は 1 以上であることを大小の比較に 使う --- 6 --- © ブリザードマン @HhG2cL9UOLRSz4I 無断転載・共有禁止