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入試問題解説 第 25 回:解の極限と収束の速さ 2015 滋 賀 医 科 大 学 第 3 問

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入試問題解説 問題 aを0<a< ¼ を満たす定数とし,方程式 2 x(1 ¡ cos x) = sin(x + a) を考える。 ¼ の範囲でただ 1 2 (1) n を正の整数とするとき,上の方程式は 2n¼ < x < 2n¼ + つの解をもつことを示せ。 (2) (1) の解を xn とおく。極限 lim (xn ¡ 2n¼) を求めよ。 n!1 sin x = 1 を用いてよい。 x x!0 B (3) 極限 lim n (xn ¡ 2n¼) を求めよ。ただし,lim n!1 (2015 滋賀医科大学 第 3 問) ■ 本問の学習テーマ・目的 本問では方程式の解を具体的に求めることなく極限を調べます。まずは三角関数の周期 性を利用して t = x ¡ 2n¼ と置き換え,解がただ 1 つ存在することを示しましょう。そ の後はさみうちの原理を用いて (2) の極限を導きます。(3) では三角関数の極限の公式 B を用い, n を掛ける理由も確かめます。 指針 / アプローチ ▼ 周期性を用いた置き換え ▼ tn の評価 ▼ 2 乗と極限の公式 t = x¡2n¼ とおくと範囲は 0 < ¼ t< です。sin t で割ると左辺 2 tn = xn ¡ 2n¼ とおいて方程式 から 1 ¡ cos tn を上から抑える B は増加し,右辺は減少します。 n tn の 2 乗は nt2n です。これ t2n を を含む積に直し, 1 ¡ cos tn sin x lim = 1 を利用します。 x x!0 不等式を作ります。不等式を用い て tn ! 0 を示します。 x = 2n¼ + t とおきます。三角関数の周期性と加法定理を y 用いて両辺を sin t で割ると方程式は (2n¼ + t) tan y = F1 (t) t sin a = cos a + 2 tan t y = G(t) となります。左辺は増加し,右辺は減少するので解は高々 1 つです。さらに連続性と両端での極限を調べれば,解がた だ 1 つ存在することを示せます。 以後はその解を tn としてこの式と与えられた方程式を使い 分けます。 O t1 ¼ 2 a= ¼ ,n = 1 の場合 6 t 増加関数と減少関数のグラフ --- 1 --- © ブリザードマン @HhG2cL9UOLRSz4I 無断転載・共有禁止

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入試問題解説 解答 (1) x = 2n¼ + t とおくと 0 < t < ¼ であり,与えられた方程式は 2 ÝÝ ① (2n¼ + t)(1 ¡ cos t) = sin(t + a) となる。sin t > 0 なので両辺を sin t で割ると (2n¼ + t) tan t sin a = cos a + 2 tan t ÝÝ ② となる。ここで Fn (t) = (2n¼ + t) tan とおく。0 < t < t ; 2 G(t) = cos a + sin a tan t ¼ で Fn (t) は連続かつ単調増加,G(t) は連続かつ単調減少である。(*1) 2 また lim Fn (t) = 0; lim G(t) = 1; t!+0 t!+0 2 t! ¼ lim Fn (t) = 2n¼ + ; ¼ 2 t! ¡0 (*1) 2n¼ + t と t tan はともに正で単 2 調増加です。また sin a > 0 なので tan t が増加すると G(t) は 減少します。 lim G(t) = cos a ¼ ¡0 2 ¼ > cos a である。したがって Fn (t) ¡ G(t) の連続性と単調増加性より, 2 ¼ ②は 0 < t < にただ 1 つの解をもつ。よって与えられた方程式も指定された範囲にただ 1 2 であり,2n¼ + つの解をもつ。 (証明終わり) (2) tn = xn ¡ 2n¼ とおく。0 < tn < ¼ ,0 < tn + a < ¼ であるから①より 2 0 < 1 ¡ cos tn = 0<u< sin(tn + a) 1 < 2n¼ + tn 2n¼ ¼ における不等式 u < tan u を用いると (*2) 2 0< F よって 0 < tn < t2n 4 < tan2 (*2) h(u) = tan u ¡ u と おくと h(0) = 0, h0 (u) = tan2 u > 0 tn 1 ¡ cos tn 1 = < 2 1 + cos tn 2n¼ です。したがって ¼ 0<u< では 2 であり,はさみうちの原理から n¼ 2 h(u) > 0 です。 lim (xn ¡ 2n¼) = 0 n!1 (3) (2) より tn ! 0 である。①を用いて nt2n = t2n sin(tn + a) ¢ t 1 ¡ cos tn 2¼ + nn 2 = B sin(tn + a) tn tn (1 + cos tn ) $ sin tn < 2¼ + n ¡! sin a ¼ n tn > 0 なので求める極限は F B lim n (xn ¡ 2n¼) = n!1 --- 2 --- sin a ¼ © ブリザードマン @HhG2cL9UOLRSz4I 無断転載・共有禁止

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入試問題解説 答案記載上の注意点 ▼ ポイント 1:解がただ 1 つ存在することの証明 増加関数と減少関数のグラフの共有点は高々 1 つですが,それだけでは共有点の存在を示した ことにはなりません。連続性と両端での極限を調べ,両端に近いところで 2 つの関数の大小関 係が逆になることを確かめます。 ▼ ポイント 2:極限の公式を用いるための条件 sin tn ! 1 を用いるには先に tn ! 0 を示す必要があります。方程式から 1 ¡ cos tn を上か tn F 2 ら抑える不等式を作り,0 < tn < を導き,はさみうちの原理を用います。 n¼ ▼ ポイント 3:nt2n の極限と符号の確認 tn ! 0 でも B n tn ! 0 とは限りません。nt2n を積の形に直し,それぞれの部分の極限を求め ます。最後に平方根を取る際は tn > 0 も明記します。 解説 1. 加法定理と半角の公式による変形 x = 2n¼ + t とおいた方程式では,左辺 (2n¼ + t)(1 ¡ cos t) は t の増加に伴って単調に増 加しますが,右辺 sin(t + a) は増加した後で減少します。そのため両辺の増減を調べるだけ では解がただ 1 つであることを示せません。 ここで右辺に加法定理を用いると (2n¼ + t)(1 ¡ cos t) = sin t cos a + cos t sin a となります。両辺を sin t で割ると右辺の第 1 項は定数となり,第 2 項は t が増すと減少しま す。一方,左辺の三角関数の部分は半角の公式で t 2 sin2 2 1 ¡ cos t t = tan = t t sin t 2 2 sin 2 cos 2 と表せます。こうして Fn (t) = G(t) と変形すると,左辺は単調に増加し,右辺は単調に減少 します。 Fn (t) = G(t) を用いると n を増やしたときの tn の変化 y F5 も調べられます。t を固定すると F2 t Fn+1 (t) ¡ Fn (t) = 2¼ tan >0 2 なので y = Fn (t) のグラフは n が大きいほど上にありま F1 す。一方,y = G(t) のグラフは変わりません。共有点の t G 座標は小さくなり,tn+1 < tn となります。 ただし tn > 0 で単調に減少することだけでは極限が 0 と は限りません。(2) では方程式①を用いて tn を上から抑え る不等式を作り,はさみうちの原理で極限を求めています。 --- 3 --- O t5 t2 a= t t1 ¼ の場合 6 n の増加に伴う共有点の移動 © ブリザードマン @HhG2cL9UOLRSz4I 無断転載・共有禁止

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入試問題解説 2. 不等式による tn の評価 方程式①より 0 < 1 ¡ cos tn < 1 です。半角の公式と u < tan u を用いると,次の不等 2n¼ 式が成り立ちます。 t2n tn 1 ¡ cos tn 1 < tan2 = < 1 ¡ cos tn < 4 2 1 + cos tn 2n¼ 1 + cos tnF> 1 なので分母を 1 に置き換えると値が大きくなります。この不等式から 2 0 < tn < となり,右端が 0 に収束するのではさみうちの原理より tn ! 0 です。ただ n¼ しこの不等式だけでは tn が 0 に近づく速さまでは正確に分かりません。 B 3. n tn の極限と収束の速さ まず lim x!0 sin x = 1 を利用すると x 1 ¡ cos t sin t 2 1 1 # ; = = lim t 2 t2 t!0 t!0 1 + cos t lim です。つまり t が 0 に十分近いとき,1 ¡ cos t ≒ t2 と近似できます。この関係をうまく利 2 用するため,解答 (3) では先に nt2n の極限を計算しています。 方程式 y (2n¼ + tn )(1 ¡ cos tn ) = sin(tn + a) の左辺を 2n¼ ¢ y= t2 2 t2n ,右辺を sin a で近似すると,nt2n の極 2 sin a と予想できます。 ¼ 解答 (3) では nt2n を積の形に直し,それぞれの部分の極限 限は を求めてこの予想を証明しています。 y = 1 ¡ cos t t O 原点付近の y = 1 ¡ cos t と y = t2 2 F B 1 sin a (3) より xn ¡ 2n¼ と B の比は正の定数 に近づきます。xn ¡ 2n¼ に n を掛 ¼ n 1 けるのは B との比によって 0 に近づく速さを調べるためです。 n ■ 復習のポイント ★★★★★ 置き換え:周期に合わせて tn = xn ¡ 2n¼ とおきます ★★★★★ 解がただ 1 つ存在することの証明:連続性,単調性,両端での極限を調べ ます sin x = 1 を利用する前に不等式で tn ! 0 を示します x x!0 1 ¡ cos t 1 を用いて nt2n の極限を求めます ★★★★★ 三角関数の極限の公式: ! 2 2 tB ★★★★☆ 近づく速さ:nt2n の極限から n tn の極限を求めます ★★★★★ 証明の順序:lim --- 4 --- © ブリザードマン @HhG2cL9UOLRSz4I 無断転載・共有禁止