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March 23, 26
スライド概要
青山学院大学理工学部情報テクノロジー学科/青山学院大学大学院理工学研究科理工学専攻知能情報コース 伊藤研究室です。学会の参加報告やイベントの宣伝などを投稿します! HP: https://x-lab.team/
2025年3月2日 第29回一般社団法人情報処理学会シンポジウム INTERACTION2025 Fizzraw: 炭酸飲料への超音波振動提示による 飲料体験及び味覚の変化の実現 〇土屋彩音,上堀まい ,伊藤雄一 青山学院大学 理工学部 情報テクノロジー学科 3年
研究背景 食事は幸福感をもたらす楽しい体験であるが 食事の乱れは生活習慣病につながる[1,2] 生活習慣病の治療や予防には食生活の改善が必要 → 食生活の改善は我慢することが多い 食品を変化させることなく飲料体験や味覚を変える 様々な味覚提示手法の研究がなされている [1] M. Macht, J. Meininger and J. Roth: “The pleasures of eating: A qualitative analysis”, Journal of Happiness Studies, 6, pp. 137–160 (2005). [2] 文部科学省, 厚生労働省, 農林水産省:“食生活指針の解 説要領 1. 食生活指針改定の趣旨”, https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000Kenkoukyoku/0000132167.pdf. 1
関連研究 2 (1/3) クロスモーダル技術 Cross-modal tactile–taste interactions in food evaluations Meta Cookie [T.Narumi et al.,2011] [B.Slocombe et al., 2016] プレーンクッキーの見た目と匂いを 変化させ異なる味覚を知覚 食品自体の表面の滑らかさについて 表面が粗い食品は酸味を強く評価 クロスモーダル技術により味覚を変化させることが可能
関連研究 3 (2/3) 音波処理による変化 High-Intensity Ultrasound in Cheese Processing [H.Scudino et al., 2023] The Effect of Sonication on Bubble Size and Sensory Perception of Carbonated Water to Improve Quality and Consumer Acceptability [Viejo C.G et al., 2019] チーズに超音波処理をすることで 炭酸飲料に可聴音波を照射することで 外観や色,食感,風味の評価が向上 気泡サイズやユーザの好感度が変化 超音波処理を飲用の直前に行った研究はない
関連研究 4 (3/3) ストロー型デバイス Straw-like User Interface [Hashimoto.Y et al., 2006] 飲用時の感覚を疑似的に体験できる 新しいストロー型インタフェースシステム 吸い込み時の圧力,振動,音を提示 Jellyfish party [Okuno.Y et al., 2003] 息を吸ったり吐いたりすることで コンピュータシステムを動かす機能 実際の飲料体験や味覚に影響を与える ストロー型デバイスの開発は進んでいない
5 研究目的 ストローは飲用直前に飲料が通る部分 吸い込み時に超音波振動処理をすることで 飲料体験や味覚が変化する可能性 • ストロー内部で超音波振動処理をするFizzrawを実装 飲用直前に超音波処理をすることによる 飲料体験と味覚の変化を調査
6 提案手法:Fizzraw システム構成 ・ストロー部 ・超音波提示部 Fizzrawの種類 ① ストローの太さ(口径6 mm/口径12 mm) ② 超音波振動子の位置 ① ② 6mm 12mm 52.5mm 105mm 210mm 157.5mm
Fizzrawの性能調査 7 (1/3) 実験条件 ⚫ 飲料:無糖炭酸水(10 g) ⚫ 飲料の温度:16 ℃(冷却条件),22 ℃(常温条件) 水温は16 ℃で高い快適度,22 ℃で感覚的にも快適度的にも中立的[3] [3] Sandick, B., Engell, D. and Maller, O.: Perception of drinking water temperature and effects for humans after exercise, Physiology & Behavior, Vol. 32, No. 5, pp.851–855 (online), DOI: https://doi.org/10.1016/0031-9384(84)90205-1 (1984).
Fizzrawの性能調査 超音波振動処理なし 8 (2/3) 超音波振動処理あり
Fizzrawの性能調査 9 (3/3) 二値化しImageJを用いて画像処理 Mann-Whithey U検定により有意差を調査 気泡サイズ(p = 1.9E−34) *:p < 0.05, **:p < 0.01 気泡量(p = 0.0286) * ** 超音波なし 超音波あり 超音波なし Fizzrawを使用すると 気泡が細かくなり,その量が増加 超音波あり
炭酸飲料への超音波振動提示による 味覚及び飲料体験の変化の実現 (1/10) 実験参加者:20 名(男性10 名,女性10 名,平均年齢 20.9 ± 1.0 歳) 実験条件 • 飲料の種類 無糖炭酸水, 乳性炭酸飲料,レモン風味の炭酸飲料 (細いFizzraw:30 g / 太いFizzraw: 50 g) • 評価項目(マグニチュード推定法(ME法)) ➢ 飲料体験: のど越し,炭酸の強さ,なめらかさ,爽快感,後味 味の濃さ,おいしさ,口中香,心地よさ ➢ 味覚(基本五味):甘味,塩味, 酸味,苦味,うま味 ➢ 自由回答 「この試行についての感想や意見があれば教えてください」 10
炭酸飲料への超音波振動提示による 味覚及び飲料体験の変化の実現 11 (2/10) 実験手順 1. 水を1口飲んでから実験を実施 2. 3で提示するFizzrawと同じ太さかつ超音波振動子がついていないストロー(基準)で試飲 3. Fizzrawで試飲 (Fizzrawと飲料の条件はランダムに提示) 4.各評価項目の強さを基準を1として対比 (何倍強く感じたかを0より大きい値)で 回答(ME法) 炭酸の強さが変わらなかった場合 参加者:「炭酸の強さ:1」 なめらかさが1.5倍に感じた場合 参加者:「なめらかさ:1.5」 実験の注意事項 • 試飲は何度でも可能 • 紙コップに入っている飲料はすべて飲む必要はない • 指示をしたら早めに口に運ぶ • 黒いテープ部分(ストローの上端から 75 mm)を持つ • 実験開始前と違う飲料の提示前に水を1口飲む 実験の様子
炭酸の強さに関する結果・考察 (3/10) 12 Q. 基準(超音波振動処理なし)と比べて,飲料の炭酸の強さをどのくらい強く感じましたか? 標準化した評価データの中央値・Friedmanの検定を行い,Bonferroni法で多重比較(基準と比較して有意差を検出) 常温レモン風味の炭酸飲料 細いFizzraw †: p < 0.1, *:p < 0.05, **:p < 0.01
炭酸の強さに関する結果・考察 (3/10) 13 Q. 基準(超音波振動処理なし)と比べて,飲料の炭酸の強さをどのくらい強く感じましたか? 標準化した評価データの中央値・Friedmanの検定を行い,Bonferroni法で多重比較(基準と比較して有意差を検出) 常温レモン風味の炭酸飲料 細いFizzraw 冷却乳性炭酸飲料において 「炭酸の強さ」が弱くなる → 炭酸の気泡が細かく,その数が増えたことが作用し 飲料のテクスチャが変化 乳性品の乳化が関係している可能性 [4] [4] Application of ultrasound in processing of liquid foods[L.Paniwnyk et al.,2016] †: p < 0.1, *:p < 0.05, **:p < 0.01
なめらかさに関する結果・考察 (5/10) 14 Q. 基準(超音波振動処理なし)と比べて,飲料のなめらかさをどのくらい強く感じましたか? 標準化した評価データの中央値・Friedmanの検定を行い,Bonferroni法で多重比較(基準と比較して有意差を検出) 常温レモン風味の炭酸飲料 細いFizzraw †: p < 0.1, *:p < 0.05, **:p < 0.01
なめらかさに関する結果・考察 (6/10) 15 Q. 基準(超音波振動処理なし)と比べて,飲料のなめらかさをどのくらい強く感じましたか? 標準化した評価データの中央値・Friedmanの検定を行い,Bonferroni法で多重比較(基準と比較して有意差を検出) 冷却炭酸水以外の すべての飲料において 「なめらかさ」が強くなる → 炭酸の気泡が細かく,その 数が増えたことが作用し,飲料 のテクスチャが変化 †: p < 0.1, *:p < 0.05, **:p < 0.01
16 爽快感に関する結果・考察(7/10) Q. 基準(超音波振動処理なし)と比べて,飲料の爽快感をどのくらい強く感じましたか? 標準化した評価データの中央値・Friedmanの検定を行い,Bonferroni法で多重比較(基準と比較して有意差を検出) 常温レモン風味の炭酸飲料 細いFizzraw †: p < 0.1, *:p < 0.05, **:p < 0.01
17 爽快感に関する結果・考察(7/10) Q. 基準(超音波振動処理なし)と比べて,飲料の爽快感をどのくらい強く感じましたか? 標準化した評価データの中央値・Friedmanの検定を行い,Bonferroni法で多重比較(基準と比較して有意差を検出) 常温レモン風味の炭酸飲料 細いFizzraw 乳性炭酸飲料で「爽快感」が弱まる傾向(基準-上・下) →「炭酸の強さ」が弱まり 「なめらかさ」が強まったことが影響した可能性 †: p < 0.1, *:p < 0.05, **:p < 0.01
甘味の感じ方に関する結果・考察(9/10) 18 Q. 基準(超音波振動処理なし)と比べて,飲料の甘味をどのくらい強く感じましたか? 標準化した評価データの中央値・Friedmanの検定を行い,Bonferroni法で多重比較(基準と比較して有意差を検出) 常温レモン風味の炭酸飲料 細いFizzraw †: p < 0.1, *:p < 0.05, **:p < 0.01
甘味の感じ方に関する結果・考察(10/10) 19 Q. 基準(超音波振動処理なし)と比べて,飲料の甘味をどのくらい強く感じましたか? 標準化した評価データの中央値・Friedmanの検定を行い,Bonferroni法で多重比較(基準と比較して有意差を検出) 常温レモン風味の炭酸飲料 細いFizzraw 常温炭酸水で「甘味」が強くなる可能性(基準-中心) → 常温炭酸水には 甘味成分が含まれていないことが影響した可能性 †: p < 0.1, *:p < 0.05, **:p < 0.01
考察 ~飲料体験~ 冷却炭酸水以外のすべての飲料において 「なめらかさ」が強くなり 特に冷却乳性炭酸飲料では 「炭酸の強さ」「爽快感」が弱くなる傾向がある → 気泡が細かくなりその量が増加したことが作用し テクスチャが変化 ①気泡が細かくなりその量が増加 ②飲料の「なめらかさ」が増す (③飲料の「炭酸の強さ」が減少する) (④飲料の「爽快感」が減少する) ~味覚~ 常温無糖炭酸水では「甘味」が強まる可能性がある → 甘味成分が含まれていない飲料では わずかな「甘味」の変化を感じる 20 *:p < 0.05, **:p < 0.01
結論 飲料への超音波振動処理によって 炭酸の強さ ➢ 冷却乳性炭酸飲料では「炭酸の強さ」が有意に減少 なめらかさ ➢ 冷却炭酸水以外の飲料では「なめらかさ」が増す 爽快感 ➢ 乳性炭酸飲料では「爽快感」が弱まる可能性 → 炭酸が苦手な人でも炭酸飲料を楽しむことができる可能性 口中香・後味・味の濃さ・のど越し・おいしさ・心地よさ ➢ 変化なし 味覚 ➢ 飲料が持つ「甘味」を強調できる可能性 → 飲料に含まれる甘味成分を減らし 肥満防止等に貢献できる可能性 21
まとめ 22 背景 食事の乱れは生活習慣病の原因 関連研究 クロスモーダル技術や音波処理による飲料体験と味覚に関する研究 提案手法 ストロー内部で飲料に超音波振動処理をすることで 評価 飲料の超音波処理による飲料体験と味覚変化の調査 飲料体験や味覚に影響を与えるFizzrawを実装 ストロー内部の超音波振動処理は飲料体験に影響を与え 結果 味覚に影響を与える可能性 飲料体験や味覚変化は飲料の種類によって異なる 課題 より広範囲な温度を使用し,飲料の温度と超音波処理による影響を検証 超音波振動提示ストロー以外の食器の実装・様々な食品での評価実験
のど越しの感じ方に関する結果・考察(3/18) 23 Q. 基準(超音波振動処理なし)と比べて,飲料ののど越しをどのくらい強く感じましたか? 標準化した評価データの中央値・Friedmanの検定を行い,Bonferroni法で多重比較(基準と比較して有意差を検出) 常温レモン風味の炭酸飲料 細いFizzraw †: p < 0.1, *:p < 0.05, **:p < 0.01
後味の感じ方に関する結果・考察(10/18) 24 Q. 基準(超音波振動処理なし)と比べて,飲料の後味をどのくらい強く感じましたか? 標準化した評価データの中央値・Friedmanの検定を行い,Bonferroni法で多重比較(基準と比較して有意差を検出) 常温レモン風味の炭酸飲料 細いFizzraw †: p < 0.1, *:p < 0.05, **:p < 0.01
味の濃さの感じ方に関する結果・考察(11/18) 25 Q. 基準(超音波振動処理なし)と比べて,飲料の味の濃さをどのくらい強く感じましたか? 標準化した評価データの中央値・Friedmanの検定を行い,Bonferroni法で多重比較(基準と比較して有意差を検出) 常温レモン風味の炭酸飲料 細いFizzraw †: p < 0.1, *:p < 0.05, **:p < 0.01
おいしさの感じ方に関する結果・考察(12/18) 26 Q. 基準(超音波振動処理なし)と比べて,飲料のおいしさをどのくらい強く感じましたか? 標準化した評価データの中央値・Friedmanの検定を行い,Bonferroni法で多重比較(基準と比較して有意差を検出) 常温レモン風味の炭酸飲料 細いFizzraw †: p < 0.1, *:p < 0.05, **:p < 0.01
口中香の感じ方に関する結果・考察(13/18) 27 Q. 基準(超音波振動処理なし)と比べて,飲料の口中香をどのくらい強く感じましたか? 標準化した評価データの中央値・Friedmanの検定を行い,Bonferroni法で多重比較(基準と比較して有意差を検出) 常温レモン風味の炭酸飲料 細いFizzraw †: p < 0.1, *:p < 0.05, **:p < 0.01
心地よさの感じ方に関する結果・考察(14/18) 28 Q. 基準(超音波振動処理なし)と比べて,飲料の心地よさをどのくらい強く感じましたか? 標準化した評価データの中央値・Friedmanの検定を行い,Bonferroni法で多重比較(基準と比較して有意差を検出) 常温レモン風味の炭酸飲料 細いFizzraw †: p < 0.1, *:p < 0.05, **:p < 0.01
塩味の感じ方に関する結果・考察(17/18) 29 Q. 基準(超音波振動処理なし)と比べて,飲料の塩味をどのくらい強く感じましたか? 標準化した評価データの中央値・Friedmanの検定を行い,Bonferroni法で多重比較(基準と比較して有意差を検出) 常温レモン風味の炭酸飲料 細いFizzraw †: p < 0.1, *:p < 0.05, **:p < 0.01
酸味の感じ方に関する結果・考察(18/18) 30 Q. 基準(超音波振動処理なし)と比べて,飲料の酸味をどのくらい強く感じましたか? 標準化した評価データの中央値・Friedmanの検定を行い,Bonferroni法で多重比較(基準と比較して有意差を検出) 常温レモン風味の炭酸飲料 細いFizzraw †: p < 0.1, *:p < 0.05, **:p < 0.01
苦味の感じ方に関する結果・考察(17/18) 31 Q. 基準(超音波振動処理なし)と比べて,飲料の苦味をどのくらい強く感じましたか? 標準化した評価データの中央値・Friedmanの検定を行い,Bonferroni法で多重比較(基準と比較して有意差を検出) 常温レモン風味の炭酸飲料 細いFizzraw †: p < 0.1, *:p < 0.05, **:p < 0.01
うま味の感じ方に関する結果・考察(18/18) 32 Q. 基準(超音波振動処理なし)と比べて,飲料のうま味をどのくらい強く感じましたか? 標準化した評価データの中央値・Friedmanの検定を行い,Bonferroni法で多重比較(基準と比較して有意差を検出) 常温レモン風味の炭酸飲料 細いFizzraw †: p < 0.1, *:p < 0.05, **:p < 0.01
超音波処理を飲料に与える製品 神泡サーバ 33 BEER FOAMER 超音波処理を飲用の直前に行っている製品ではない