生活世界ベースのデザイン活動における物-語り論

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June 07, 21

スライド概要

2020年 札幌市立大学 デザイン学部 人間情報デザインコース 卒業研究 公開審査会 提示資料

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札幌で生まれ、札幌で育ち、今も札幌に住んでいるという、生粋の札幌っ子。 イベント企画からグラフィックデザイン、エディトリアルにインタラクティブアート、ワークショップやフィールドワーク、最近はEarthist Inc. CXOとして、Webページ・ネイティブアプリ・UI/UX・グラフィックデザイン・海外企業との連携などを横断的にクリエイティブするデザイナーとしても活動中。 そして、人びとが暮らす現場を大切にしながら、デザイン実践にある生きた「物-語り〈ナラティブ〉」を得ることでどのようなデザイン実践や、表現活動、道具づくりができたのか、その中にどのようなデザイナーの知のはたらきがあったのかを知ろうと、日々研究している。

関連スライド

各ページのテキスト
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2020 札幌市立大学 卒業研究 公開審査会 生活世界ベースのデザイン活動における 物 - 語り論 他 人 以 上 共 同 体 未 満 の 関 係 をかたちづくるナ ラ ティブの は たらき 札幌市立大学 デ ザイン 学 部 17 11074 人 間 情 報 デ ザインコ ース 三河 侑矢 2020/ 12 / 2 3/ WED y u y a @ k n ea d e si g n .co m

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00 2020 札幌市立大学 卒業研究 公開審査会 生 活 世 界 ベ ー ス の デ ザ イン 活 動 に お け る 物 - 語 り 論 目次 01 背 景と目 的 実 践 で の そもそも 02 研究方法 研 究 と実 践 のアプ ロー チ 03 基本構造 研 究を支 える考え方 04 気づき① ナ ラ ティブと対 話 の 構 造 05 実践の省察 場 をつくるオン ライン の 試 み 06 気づき② ナ ラ ティブをどう活 か すか 2020/ 12 / 2 3/ WED y u y a @ k n ea d e si g n .co m

3.

01 2020 札幌市立大学 卒業研究 公開審査会 生 活 世 界 ベ ー ス の デ ザ イン 活 動 に お け る 物 - 語 り 論 研 究 の 背 景と目 的 生 き た 物 - 語 りを 得 る Fig.01 石へのいしき展での O さんの語り 語 り に 呼 応 し ようと す る Fig.02 語らいを 皆 で 味 わう プレゼミ報告会での筆者と参加者との語らい Fig.03 むだのデザインの語らいの場に集まった人びと 個 々人の 実 践 の 物 - 語りを 解 釈しあうと 、 人びとはどん な 関 係 性 を持 てたのだろうか? 2020/ 12 / 2 3/ WED y u y a @ k n ea d e si g n .co m

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02 2020 札幌市立大学 卒業研究 公開審査会 生 活 世 界 ベ ー ス の デ ザ イン 活 動 に お け る 物 - 語 り 論 研 究 方 法 : や っ て み て 、 わ か ろうと す る 。 生活世界に 根差した活動 実践 や って み る 二人称的 アプローチを用いる 仮説 わ か ろうと す る 省察 意 味 連 関を探る 結論 気 づ きを 得 る 人びとのありのままの生き方を捉えるために、 人びとと同じ場に立って知ろうとする、デザイン活動を実践した。 2020/ 12 / 2 3/ WED y u y a @ k n ea d e si g n .co m

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02 2020 札幌市立大学 卒業研究 公開審査会 生 活 世 界 ベ ー ス の デ ザ イン 活 動 に お け る 物 - 語 り 論 研 究 方 法 : 二 人 称 的アプローチ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 三人称的 アプローチ 傍からの観察 二人称的 アプローチ 同じ場に立つ Fig.04 二人称的アプローチと三人称的アプローチの視点の違い 〈三人称的アプローチ〉 〈二人称的アプローチ〉 対象を自分と切り離し 、 対象を自分と切り離さず 、 個人的関係のないものとしてみなす。 親密に関わる存在としてみなす。 2020/ 12 / 2 3/ WED y u y a @ k n ea d e si g n .co m

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03 2020 札幌市立大学 卒業研究 公開審査会 生 活 世 界 ベ ー ス の デ ザ イン 活 動 に お け る 物 - 語 り 論 基 本 構 造 : 文 学 的 な ナ ラ ティブの 整 理 作者 語る人 [ナレーター] … 物語を紡ぐ本人 登場人物 物語 [ナラティブ] 読者 語られる人 [ナラティ] … … 物語上に紡がれる人物像 物語を読む人 想定される読者 Fig.05 … 作者が物語を紡ぐ上で 「こういう人にこう伝わってほしい」 という想定をしている存在のこと 物語論で見る語る人と語られる人の関係 物語は、紡がれた文章に作者の意図が含まれ、 それらは立場や役割によって、4つの要素に分解できる。 2020/ 12 / 2 3/ WED y u y a @ k n ea d e si g n .co m

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03 2020 札幌市立大学 卒業研究 公開審査会 生 活 世 界 ベ ー ス の デ ザ イン 活 動 に お け る 物 - 語 り 論 基 本 構 造 : ア ー ツ ・ ア ン ド ・ ク ラ フ ツ に お け る ナ ラ テ ィブ つくる人 [語る人] 作品 [物語] デザイナー … 作品のかたちを考える本人 生活と芸術(デザイン)の一致 触れる人 [語られる人] Fig.06 現実の人 … 実際に作品に触れる生活世界の人 アーツ・アンド・クラフツ運動における語る人と語られる人の関係 デザインは、作り手と受け手が密接な関係にあった。 デザイナーは、触れる人に直接語りかけるようなデザインをしようとしていた。 2020/ 12 / 2 3/ WED y u y a @ k n ea d e si g n .co m

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03 2020 札幌市立大学 卒業研究 公開審査会 生 活 世 界 ベ ー ス の デ ザ イン 活 動 に お け る 物 - 語 り 論 基 本 構 造 : 生 活 世 界 ベ ー ス の デ ザ イ ン に お け る ナ ラ テ ィブ デザイナー つくる人 [語る人] … 作品のかたちを考える本人 インターフェース 作品 [物語] 触れる人 [語られる人] Fig.07 … 作品の表徴 現実の人 … 生活世界にいる人のことで、 その作品に実際に触れることができる。 ペルソナ … 想定するユーザー像 デザインにおける語る人と語られる人の関係 触れる人が市場にいるユーザー=ペルソナになってから、 作品において、デザイナーとインターフェースは乖離を始めた。 2020/ 12 / 2 3/ WED y u y a @ k n ea d e si g n .co m

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03 2020 札幌市立大学 卒業研究 公開審査会 生 活 世 界 ベ ー ス の デ ザ イン 活 動 に お け る 物 - 語 り 論 基 本 構 造 : 生 活 世 界 ベ ー ス の デ ザ イ ン に お け る ナ ラ テ ィブ デザイナー つくる人 [語る人] … 作品のかたちを考える本人 インターフェース 作品 [物語] 触れる人 [語られる人] Fig.07 … 作品の表徴 現実の人 … 生活世界にいる人のことで、 その作品に実際に触れることができる。 ペルソナ … 想定するユーザー像 デザインにおける語る人と語られる人の関係 ペルソナに伝わるインターフェースデザインに取り組むようになり、 作品からデザイナーが見えなくなった。 2020/ 12 / 2 3/ WED y u y a @ k n ea d e si g n .co m

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03 2020 札幌市立大学 卒業研究 公開審査会 生 活 世 界 ベ ー ス の デ ザ イン 活 動 に お け る 物 - 語 り 論 基 本 構 造 : デ ザ イン で 、 ナ ラ ティブ をどう 使 うか 。 つくる人 [語る人] 作品 [物語] デザイナー … 作品のかたちを考える本人 生活と芸術(デザイン)の一致 触れる人 [語られる人] Fig.06 現実の人 … 実際に作品に触れる生活世界の人 アーツ・アンド・クラフツ運動における語る人と語られる人の関係 ナラティブを得た今なら、 生活世界の人びとの暮らしにデザインを戻せるかもしれない。 2020/ 12 / 2 3/ WED y u y a @ k n ea d e si g n .co m

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04 2020 札幌市立大学 卒業研究 公開審査会 生 活 世 界 ベ ー ス の デ ザ イン 活 動 に お け る 物 - 語 り 論 気 づ き : ナ ラ ティブ と 対 話 の 関 係 性 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 視覚化表現 発話 記述・造形 解釈・回想 視覚化表現 解釈・回想 記述・造形 発話 ナラティブ デザインにおける 互いに発話や記述・造形を解釈し合い、応えようとする営み 対話 人と人とが話し合うという構造 2020/ 12 / 2 3/ WED y u y a @ k n ea d e si g n .co m

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04 気 づ き : 直 接 的 ナ ラ ティブ と 間 接 的 ナ ラ ティブ 直接的ナラティブ つくる人 2020 札幌市立大学 卒業研究 公開審査会 生 活 世 界 ベ ー ス の デ ザ イン 活 動 に お け る 物 - 語 り 論 間接的ナラティブ 触れる人 デザイナー 現実の人 語りを得る 触れる人 解釈を返す Fig.08 現実の人 直接的ナラティブと間接的ナラティブの構図 2020/ 12 / 2 3/ WED y u y a @ k n ea d e si g n .co m

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04 気 づ き : 現 実 の 人 び ととの 直 接 的 ナ ラ ティブ 2020 札幌市立大学 卒業研究 公開審査会 生 活 世 界 ベ ー ス の デ ザ イン 活 動 に お け る 物 - 語 り 論 作品を通じた語りの 投げかけ つくる人 個々人の受け取り方 ・ 間合いなど デザイナー 触れる人 現実の人 Fig.09 デザイナーが生活世界でナラティブをやり取りする構図 2020/ 12 / 2 3/ WED y u y a @ k n ea d e si g n .co m

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04 2020 札幌市立大学 卒業研究 公開審査会 生 活 世 界 ベ ー ス の デ ザ イン 活 動 に お け る 物 - 語 り 論 気 づ き : 現 実 の 人 び ととの 直 接 的 ナ ラ ティブ 自らの解釈と 語りを投げ返す 作品を通じた語りの 投げかけ つくる人 触れる人 個々人の受け取り方 ・ 間合いなど デザイナー 現実の人 その場への 解釈 Fig.09 デザイナーが生活世界でナラティブをやり取りする構図 2020/ 12 / 2 3/ WED y u y a @ k n ea d e si g n .co m

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04 2020 札幌市立大学 卒業研究 公開審査会 生 活 世 界 ベ ー ス の デ ザ イン 活 動 に お け る 物 - 語 り 論 気 づ き : 現 実 の 人 び ととの 直 接 的 ナ ラ ティブ 自らの解釈と 語りを投げ返す 作品を通じた語りの 投げかけ つくる人 触れる人 個々人の受け取り方 ・ 間合いなど デザイナー 現実の人 その場への 解釈 その場への 解釈 他人以上共同体未満 の関係性が生まれる 程よく互いに繋がることのできる雰囲気で満たされる Fig.09 デザイナーが生活世界でナラティブをやり取りする構図 2020/ 12 / 2 3/ WED y u y a @ k n ea d e si g n .co m

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04 石 山 で の 実 践 で は 、 他 人 以 上 共 同 体 未 満 に な って い た 。 作品を通じた 語りの投げかけ 2020 札幌市立大学 卒業研究 公開審査会 生 活 世 界 ベ ー ス の デ ザ イン 活 動 に お け る 物 - 語 り 論 自らの解釈と 語りを投げ返す デザイナーがつくった 石山で得た価値を構造化した 視覚資料 デザイナーから受け取った語りを 自らの経験との重なりなどで解釈し 物 - 語られた言葉 個々人の受け取り方 ・ 間合いなど Fig.10 石へのいしき展で設えた筆者らの作品、視覚的資料 他人以上 共同体未満の関係 Fig.01 石へのいしき展での O さんの語り Fig.12 Fig.11 石へのいしき展での S さんの語り 石へのいしき展のあとの、O さんと S さんとの会話の様子 2020/ 12 / 2 3/ WED y u y a @ k n ea d e si g n .co m

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04 2020 札幌市立大学 卒業研究 公開審査会 生 活 世 界 ベ ー ス の デ ザ イン 活 動 に お け る 物 - 語 り 論 気 づ き : 間 接 的 ナ ラ テ ィ ブ に よって 語 り が 投 げ 返 さ れ る デザイナーが 見せ、語った作品 Fig.10 作品が物 - 語るように、解釈をする スタイル 様式 同時代の 嗜好性 コンセプト 書いてある言葉や、 その言葉の色合い、 目の前にあるかたち、 設えなどの印象から、 意味を探ろうとする。 現実の人自身が 置かれている環境や、 これまでの実践での 経験などを踏まえて 解釈しようとする。 言葉やかたち、 自身の解釈の連なり などを考え、 作品に含まれた 意図を感じようとする。 石へのいしき展で設えた筆者らの作品、視覚的資料 個々人の受け取り方 ・ 間合いなど 他人以上 共同体未満の関係 自らの解釈と 語りを投げ返す Fig.11 石へのいしき展での S さんの語り 触れる人 現実の人 = 石山の人びと 2020/ 12 / 2 3/ WED y u y a @ k n ea d e si g n .co m

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05 オ ン ラ イ ン で 同 じ よう な こ と が で き る の か ? 2020 札幌市立大学 卒業研究 公開審査会 生 活 世 界 ベ ー ス の デ ザ イン 活 動 に お け る 物 - 語 り 論 一方的になりがちな 発話 個々人の受け取り方 ・ 間合いなど つくる人 実践の物語を 語ろうとする人 触れる人 実践の現場に いる人びと オンラインでは 同じ場に立てない 一方的な発表の傍観になってしまいがち 相手の実践のフィールドにあったデザイン知をわかろうとできるのか? Fig.13 オンラインでナラティブをやり取りしようとする構図 2020/ 12 / 2 3/ WED y u y a @ k n ea d e si g n .co m

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05 2020 札幌市立大学 卒業研究 公開審査会 生 活 世 界 ベ ー ス の デ ザ イン 活 動 に お け る 物 - 語 り 論 オ ン ラ イ ン で 同 じ よう な こ と が で き る の か ? ナラティブを支援する ツール 個々人の受け取り方 ・ リアクションなど つくる人 実践の物語を 語ろうとする人 その場への 解釈 触れる人 その場への 解釈 実践の現場に いる人びと 他人以上共同体未満 の関係性が生まれるのでは? 発表に対するリアクションができるツールで場を形成できないか 明確な対話と、曖昧な返答のナラティブの支援ツールの制作 Fig.13 オンラインでナラティブをやり取りしようとする構図 2020/ 12 / 2 3/ WED y u y a @ k n ea d e si g n .co m

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05 2020 札幌市立大学 卒業研究 公開審査会 生 活 世 界 ベ ー ス の デ ザ イン 活 動 に お け る 物 - 語 り 論 ナ ラ テ ィ ブ の た め の ツ ー ル づ くり 間接的ナラティブの支援ツール Conf-QR HTML5 & CSS3 / Javascript Google Firebase / Google Cloud Shell - コメントは各セッションに紐付け - コメントには「いいね」と「知りたい」 でリアクション - セッションごとにコメントの絞り込みが 可能 - コメントの表示は投稿時間でソート - Googleアカウントでログイン後、表示名 を自由に変更可能 Fig.14 Conf-QR の実際の動作画面のスクリーンショット 2020/ 12 / 2 3/ WED y u y a @ k n ea d e si g n .co m

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05 C o n f - Q R で 生 ま れ た コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョン 2020 札幌市立大学 卒業研究 公開審査会 生 活 世 界 ベ ー ス の デ ザ イン 活 動 に お け る 物 - 語 り 論 Fig.14 Conf-QR の実際の動作画面のスクリーンショット 2020/ 12 / 2 3/ WED y u y a @ k n ea d e si g n .co m

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05 C o n f - Q R で 生 ま れ た コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョン 「むだのデザイン」記録 VTR 2020 札幌市立大学 卒業研究 公開審査会 生 活 世 界 ベ ー ス の デ ザ イン 活 動 に お け る 物 - 語 り 論 https://web.microsoftstream.com /video/ef 3598d7-2f 90-4059-98f 7-f10 0cfa377 ba 発表に対するリアクション、他のセッションとの関連付け 語り尽くせなかった、実践にあった物 - 語り Fig.14 Conf-QR の実際の動作画面のスクリーンショット 2020/ 12 / 2 3/ WED y u y a @ k n ea d e si g n .co m

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2020 札幌市立大学 卒業研究 公開審査会 生 活 世 界 ベ ー ス の デ ザ イン 活 動 に お け る 物 - 語 り 論 05 「 む だ の デ ザ イ ン 」 で 、 ツ ー ル に よって 起 き た こ と Fig.03 むだのデザインの語らいの場に集まった人びと Fig.14 Conf-QR の実際の動作画面のスクリーンショット ナラティブを支援する ツール 個々人の受け取り方 ・ リアクションなど 作品や提示資料 それに伴った言葉 オンラインの 場 実践の現場にいる 人びとのリアクション 実践の物 - 語りから、コメントが生まれ、コメントへのリアクションよって、 物 - 語りへの解釈を深めようとする対話が生まれた。 2020/ 12 / 2 3/ WED y u y a @ k n ea d e si g n .co m

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06 2020 札幌市立大学 卒業研究 公開審査会 生 活 世 界 ベ ー ス の デ ザ イン 活 動 に お け る 物 - 語 り 論 気 づ き : ナ ラ ティブ を デ ザ イン で 活 か す 理 論 的 枠 組 み デザイナーの作品 経験など自らを 内在化した言葉・作品 目の前にいる現実の人に 対しての言葉・作品 解釈 ナラティブ 解釈 デザイナー ナラティブ 互いに 傾聴し合う姿勢 デザイナーによって語られた 言葉と届けられた作品 現実の人自らの文化的背景や 置かれている環境 現実の人 互いの語りによって相互的に語る人/語られる人になる=他人以上共同体未満の関係性 Fig.15 ナラティブをデザインで活かす理論的枠組み 2020/ 12 / 2 3/ WED y u y a @ k n ea d e si g n .co m

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06 2020 札幌市立大学 卒業研究 公開審査会 生 活 世 界 ベ ー ス の デ ザ イン 活 動 に お け る 物 - 語 り 論 気 づ き : ナ ラ ティブ を デ ザ イン で 活 か す 理 論 的 枠 組 み 産業社会ベースの作品 ペルソナを志向した 作品づくり 解釈 受け取っても 物語らない ナラティブ デザイナー 現実の人 そもそも 傾聴しようとしていない 互いの語りによって相互的に語る人/語られる人になる=他人以上共同体未満の関係性 Fig.15 ナラティブをデザインで活かす理論的枠組み 2020/ 12 / 2 3/ WED y u y a @ k n ea d e si g n .co m

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06 Fig.16 2020 札幌市立大学 卒業研究 公開審査会 生 活 世 界 ベ ー ス の デ ザ イン 活 動 に お け る 物 - 語 り 論 気 づ き : ナ ラ ティブ を デ ザ イン で 活 か す 理 論 的 枠 組 み 語らう道具をつくり出す筆者ら デザイナーの作品 解釈 ナラティブ 解釈 デザイナー ナラティブ 互いに 傾聴し合う姿勢 現実の人 互いの語りによって相互的に語る人/語られる人になる =他人以上共同体未満の関係性 Fig.10 石へのいしき展で設えた筆者らの作品、視覚的資料 Fig.15 ナラティブをデザインで活かす理論的枠組み Fig.17 むだのデザインでの発表の様子・提示資料 2020/ 12 / 2 3/ WED y u y a @ k n ea d e si g n .co m

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06 Fig.11 2020 札幌市立大学 卒業研究 公開審査会 生 活 世 界 ベ ー ス の デ ザ イン 活 動 に お け る 物 - 語 り 論 気 づ き : ナ ラ ティブ を デ ザ イン で 活 か す 理 論 的 枠 組 み 石へのいしき展での S さんの語り デザイナーの作品 ナラティブ 解釈 解釈 デザイナー ナラティブ 互いに 傾聴し合う姿勢 現実の人 互いの語りによって相互的に語る人/語られる人になる =他人以上共同体未満の関係性 Fig.01 石へのいしき展での S さんの語り Fig.15 ナラティブをデザインで活かす理論的枠組み Fig.18 むだのデザインでの Conf-QR による交流 2020/ 12 / 2 3/ WED y u y a @ k n ea d e si g n .co m

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06 2020 札幌市立大学 卒業研究 公開審査会 生 活 世 界 ベ ー ス の デ ザ イン 活 動 に お け る 物 - 語 り 論 気 づ き : ナ ラ ティブ を デ ザ イン で 活 か す 理 論 的 枠 組 み デザイナーの作品 ナラティブ 解釈 解釈 デザイナー ナラティブ 互いに 傾聴し合う姿勢 現実の人 互いの語りによって相互的に語る人/語られる人になる =他人以上共同体未満の関係性 Fig.12 石へのいしき展のあとの、O さんと S さんとの会話の様子 Fig.15 ナラティブをデザインで活かす理論的枠組み Fig.19 むだのデザインでの Conf-QR による交流 2 2020/ 12 / 2 3/ WED y u y a @ k n ea d e si g n .co m

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06 2020 札幌市立大学 卒業研究 公開審査会 生 活 世 界 ベ ー ス の デ ザ イン 活 動 に お け る 物 - 語 り 論 気 づ き : ナ ラ ティブ を デ ザ イン で 活 か す 理 論 的 枠 組 み デザイナーの作品 経験など自らを 内在化した言葉・作品 目の前にいる現実の人に 対しての言葉・作品 解釈 ナラティブ 解釈 デザイナー ナラティブ 互いに 傾聴し合う姿勢 デザイナーによって語られた 言葉と届けられた作品 現実の人自らの文化的背景や 置かれている環境 現実の人 互いの語りによって相互的に語る人/語られる人になる =他人以上共同体未満の関係性 Fig.15 ナラティブをデザインで活かす理論的枠組み 2020/ 12 / 2 3/ WED y u y a @ k n ea d e si g n .co m

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06 Fig.19 実 践 の そ の あ と : ツ ー ル か ら 飛 び 出 して 研 究 交 流 が 生 ま れ た むだのデザインでの Conf-QR による交流 2 2020 札幌市立大学 卒業研究 公開審査会 生 活 世 界 ベ ー ス の デ ザ イン 活 動 に お け る 物 - 語 り 論 Fig.20 H さんの研究の様子 人びとの生きる物 - 語りを含んだデザイナーの作品を 互いに解釈し、語らい、傾聴し合うことで、他人以上の関係性を持てた。 2020/ 12 / 2 3/ WED y u y a @ k n ea d e si g n .co m

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06 お わ りに : 社 会 実 践 の デ ザ イン をな ぜ 、 いまやる の か 。 2020 札幌市立大学 卒業研究 公開審査会 生 活 世 界 ベ ー ス の デ ザ イン 活 動 に お け る 物 - 語 り 論 デザインの領域は、 社会をかたちづくる「実 践」まで 広がってきた。 そこにいるのは、ユーザーではなく、 「個別の人びと」である。 人びととの対話・活動によって、 共生のデザインが生まれる。 そのデザインでは、 二人称的他者として相手と関わるような、 生活世界ベースの活動が 大切なのではないか。 2020/ 12 / 2 3/ WED y u y a @ k n ea d e si g n .co m

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生 活 世 界 ベ ース の デ ザ イン 活 動 に お ける 物 - 語 り 論 2020 札幌市立大学 卒業研究 公開審査会 他 人 以 上 共 同 体 未 満 の 関 係 を か た ち づ くる ナ ラ ティブ の は たら き ご静聴、ありがとうございました。 [引用・参考文献 一覧] Robin Morris, Geoff Ward: The Cognitive Psychology of Planning, Psychology Press, pp.35-36, pp.53-56, 2004 竹田青嗣:現象学入門、NHK 出版、pp.138-149, 218-222、2015 伊藤亜紗:手の倫理、講談社、2020 日本デザイン学会第一支部:2020 年度日本デザイン学会第 1 支部大会、https://jssd-branch1-2020.studio.site/、2020 年 12 月 4 日最終閲覧 イヴァン・イリイチ、渡辺京二訳、渡辺梨佐訳:コンヴィヴィアリティのための道具、ちくま学芸文庫、pp.97-98、2015 メル・バイヤーズ、アーレット・B. デスポンド、森屋利夫訳、成澤恒人訳:100 designs/100 years:20 世紀を創ったモノたち、アクシス、 内田樹:寝ながら学べる構造主義、文藝春秋、pp.113-139、2002 2000 小方孝:物語生成の物語論あるいはポストナラトロジー、認知科学 25 巻 2 号、日本認知科学会、pp.200-217、2018 Pinterest:無題、https://www.pinterest.jp/pin/794603927978983977/、2020 年 12 月 9 日採録 小田博志:エスノグラフィー入門<現場>を質的研究する、春秋社、2010 藤田結子、北村文:現代エスノグラフィー:新しいフィールドワークの理論と実践、新曜社、2013 かみのたね:須永剛司 × 港千尋「社会的デザインの風景〜これからの情報デザインを考える」『デザインの知恵』発売記念イベントレポート、 ジェラルド・プリンス、遠藤健一訳:物語論の位相:物語の形式と機能、松柏社、pp.9-29, 149-165、1996 http://www.kaminotane.com/2019/10/08/6384/、2020 年 12

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03 基 本 構 造 : フッ サ ール の 生 活 世 界 2020 札幌市立大学 卒業研究 公開審査会 生 活 世 界 ベ ー ス の デ ザ イン 活 動 に お け る 物 - 語 り 論 人間の世界像を〈主観〉へと〈還元〉する。 すると生活 世界というものは様々な要素を もった志向的な意味統一の束、さまざまな 意味連関の形成体として示される。 ――― E. フッサール Fig.21 生活世界を構成していく意味連関[横溝、2009] ひとは世界を自分のやりかたで見ていて、 目のまえの事象に多様な意味の連なりを見出している。 2020/ 12 / 17/ TH U y u y a @ k n ea d e si g n .co m

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03 基本構造 : 本研究での生活世界 2020 札幌市立大学 卒業研究 公開審査会 生 活 世 界 ベ ー ス の デ ザ イン 活 動 に お け る 物 - 語 り 論 他者と同じ場に立ったという 経験と記憶のある対象世界のこと。 その場における 連続した経験の中で現れる事象間の関係性。 見出した事象と人びとの営みとの相関。 それらを洞察することから見えてくる 人と人ならざるものの息遣いで構成された Fig.22 見慣れた「場」を「現場」に変容させる経験の流れ[横溝、2009] 世界のことを指す。 [横溝、2009] 生活世界は、人びとの経験や関心によって構成され、 個別具体的なものから、人と人ならざるものの生きる物 - 語りを探す。 2020/ 12 / 17/ TH U y u y a @ k n ea d e si g n .co m

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03 基 本 構 造 : 文 学 的 な ナ ラ テ ィブ の 整 理 Fig.23 2020 札幌市立大学 卒業研究 公開審査会 生 活 世 界 ベ ー ス の デ ザ イン 活 動 に お け る 物 - 語 り 論 テクスト理論における作者と読者の関係 物語は、伝えたい文章に文化的背景や、作者の書き癖が付加されることで、 読者は自らで物語に対する解釈を考えることができる。 2020/ 12 / 17/ TH U y u y a @ k n ea d e si g n .co m

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03 基 本 構 造 : 生 活 世 界 ベ ー ス の デ ザ イ ン に お け る ナ ラ テ ィブ Fig.24 2020 札幌市立大学 卒業研究 公開審査会 生 活 世 界 ベ ー ス の デ ザ イン 活 動 に お け る 物 - 語 り 論 生活世界ベースのデザインにおけるデザイナーと現実の人の関係 作品も、デザイナーの文化的背景が含まれて、現実の人に届く。 その根本にあるのが、生活世界に根差した経験で生起した情感。 2020/ 12 / 17/ TH U y u y a @ k n ea d e si g n .co m

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03 2020 札幌市立大学 卒業研究 公開審査会 生 活 世 界 ベ ー ス の デ ザ イン 活 動 に お け る 物 - 語 り 論 基 本 構 造 : 生 活 世 界 ベ ー ス の デ ザ イ ン に お け る ナ ラ テ ィブ Fig.25 ジューシー・サリフ(フィリップ・スタルク) Fig.26 デザイン体操 model01(デザインの溝ラジオ) スタルクはこのジューシー・サリフを 1)鋭利に折れ曲がる脚のラインの表現に気を配る。 家族とのバカンスで訪れたイタリアのアプライア島の 2)レモンを絞る部分の膨らみは胸を張って背筋を レストランで閃いたという。 伸ばして構えて表現する。 3)レモンが滴り落ちる部分は上腕を横にゆったりと それは、イカにレモンを絞っていたときである。 広げながら、おにぎりをひとつ手の先で丁寧に スタルクはそのインスピレーションをナプキンに描き、 抱える気持ちでまっすぐ下にむかって重ね合わせる。 そのまま封筒にいれてアレッシィ社に送ったのだ。 4)コマネチに見えないように細心の注意を払う。 2020/ 12 / 17/ TH U y u y a @ k n ea d e si g n .co m

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04 2020 札幌市立大学 卒業研究 公開審査会 生 活 世 界 ベ ー ス の デ ザ イン 活 動 に お け る 物 - 語 り 論 気 づ き : 直 接 的 ナ ラ ティブ と 間 接 的 ナ ラ ティブ ① デザイナーと生活世界との対話の中でのナラティブ 物 - 語ることであり、この解釈は文学的アプローチと 同様にできる。 本研究ではこれを「直接的ナラティブ」と定義する。 Fig.27 ぶらついて- 見る、石山ランブリングの様子 ② 作品を通して生活世界と関わるナラティブ 文学的アプローチを応用し、作品によって生活世界へ 語りと解釈を届けようとしている。 本研究ではこれを「間接的ナラティブ」と定義する。 Fig.28 省察ノートから広がった EV ホールの様子(共同空間としての道具) 2020/ 12 / 2 3/ WED y u y a @ k n ea d e si g n .co m

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05 2020 札幌市立大学 卒業研究 公開審査会 生 活 世 界 ベ ー ス の デ ザ イン 活 動 に お け る 物 - 語 り 論 実 践 ①: 石 山 ラン ブ リン グ アクション❶ アクション❷ アクション❸ 目的を定めずにフィールドワークに赴き気楽な 様々な道具をつくるという表現活動と対話の繰 O さんが「ぜひ今度一緒に何かやりたいです 態度でその場に足を運ぶことが、産業社会ベー り返しをしていたが、その中で対話から生まれ ね〜」と言ってくれた。ここで、筆者らは O さ スのデザイン活動とは違った、ゴールを見据え た作品を呈示することで生まれる対話があるこ んにとって他者ではない、けれども共同体のよ ないデザインアプローチのはじまりとなる。 とに気づき、語らう道具を更新し続けようとし うな関係ではない、そんなふわりとした感覚に ていた。 陥った。 石山ランブリング 語らう道具のデザイン 石へのいしき展 全てのアクションを通して語らう関係性、互いに傾聴し合う姿勢を持てていた。 2020/ 12 / 2 3/ WED y u y a @ k n ea d e si g n .co m

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05 実 践 ①: 石 山 ラン ブ リン グ 2020 札幌市立大学 卒業研究 公開審査会 生 活 世 界 ベ ー ス の デ ザ イン 活 動 に お け る 物 - 語 り 論 ランブリングでの互いの見えを解釈し合い、 石山でどのような価値をどのようにして得たのかを再考する。 2020/ 12 / 2 3/ WED y u y a @ k n ea d e si g n .co m

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05 実 践 ①: 石 山 ラン ブ リン グ 「 石 へ の い し き 展 」 2020 札幌市立大学 卒業研究 公開審査会 生 活 世 界 ベ ー ス の デ ザ イン 活 動 に お け る 物 - 語 り 論 生活世界ベースのデザインによって生まれた作品に対して、 自らで指差し、私 - たちの道具を使いながら語らってくれた。 2020/ 12 / 2 3/ WED y u y a @ k n ea d e si g n .co m

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05 実 践 ②: 京 都 M T G と プ レ ゼ ミ 報 告 会 2020 札幌市立大学 卒業研究 公開審査会 生 活 世 界 ベ ー ス の デ ザ イン 活 動 に お け る 物 - 語 り 論 アクション❶ アクション❷ アクション❸ デザイン実践を研究としてまとめてきた人びと 他者の実践の物 - 語りを間接的なナラティブか 報告会に参加した後輩たちの中から 2 人が原 が、社会の変化を読み取りながら直感的に活 らデザイン知を紡ぐために、筆者は自らのノー 初的デザインラボのゼミ生として筆者と共に活 動してきたことをデザイン学の対象とするのか トを描き改め、表現をナラティブによって更新 動をしている。今では互いに実践し合う関係に を中心に、人びとの実践の語りを聴くことがで し続けようとしていた。 なっているのはとても感慨深い出来事である。 京都 MTG 一覧性大判ノートの制作 プレゼミ公開報告会 きた。 筆者が聴いた「他者の実践の物 - 語り」をナラティブに解釈し、 筆者がそのまた他者に語ることでも、他人以上共同体未満の関係性が生まれた。 2020/ 12 / 17/ TH U y u y a @ k n ea d e si g n .co m

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05 「 む だ の デ ザ イ ン 」 で 、 ツ ー ル に よって 起 き た こ と 2020 札幌市立大学 卒業研究 公開審査会 生 活 世 界 ベ ー ス の デ ザ イン 活 動 に お け る 物 - 語 り 論 アクション❶ アクション❷ アクション❸ オンライン学会の参加者らが語りを解釈して生 コメントを見た他者が善き対話にすべくリアク コメントが起点で、対話をした H さんと M さ まれた疑問や感情による善きコミュニケーショ ションで返し、発話につながるという相互性を んは現在、研究を見てもらう関係にあるらしい。 ンを図れるような、参加者の間接的なナラティ 持った対話が生まれた。互いの実践の現場を 語らう支援ツールによって、筆者の及ばぬとこ ブを支援するツールを制作した。 知ろうとするやり取りが自然にできていた。 ろで共創に近しい研究交流が生まれていたので 他者の語りへの傾聴 Conf-QR へのコメント コメントが起点の対話 ある。 実践の物 - 語りから、コメントが生まれ、コメントへのリアクションよって、 物 - 語りへの解釈を深めようとする対話が生まれた。 2020/ 12 / 2 3/ WED y u y a @ k n ea d e si g n .co m

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06 気 づ き :「 他 人 以 上 共 同 体 未 満 」 と い う 関 係 性 Tab.01 2020 札幌市立大学 卒業研究 公開審査会 生 活 世 界 ベ ー ス の デ ザ イン 活 動 に お け る 物 - 語 り 論 他人以上共同体未満の関係性をかたちづくる3つのアクション 互いに関係は曖昧だけれども、 活動を強いることのない、共創へとつながる一歩手前の関係性。 2020/ 12 / 2 3/ WED y u y a @ k n ea d e si g n .co m

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06 気 づ き :「 他 人 以 上 共 同 体 未 満 」 と い う 関 係 性 2020 札幌市立大学 卒業研究 公開審査会 生 活 世 界 ベ ー ス の デ ザ イン 活 動 に お け る 物 - 語 り 論 物 - 語りのあとには、「一緒に何かやりたいね」という 他人ではない、共同体のような関係でもない、境界が曖昧な関係性が生まれた。 2020/ 12 / 2 3/ WED y u y a @ k n ea d e si g n .co m

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06 お わ りに : 社 会 実 践 の デ ザ イン をな ぜ 、 いまやる の か 。 2020 札幌市立大学 卒業研究 公開審査会 生 活 世 界 ベ ー ス の デ ザ イン 活 動 に お け る 物 - 語 り 論 デザインの領域は、 社会をかたちづくる「実践」まで 広がってきた。 そこにいるのは、ユーザーではなく、 「個別の人びと」である。 人びととの対話・活動によって、 自立共生のデザインが生まれる。 Fig.32 デザインを考えるためのひとつのビュー[須永、2019] そのデザインでは、 二人称的他者として相手と関わるような、 生活世界ベースの活動が 大切なのではないか。 2020/ 12 / 17/ TH U y u y a @ k n ea d e si g n .co m