アジャイルで大事な2つのこと

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October 07, 23

スライド概要

非エンジニア向けにアジャイルの一側面(フィードバックループや経験主義)を取り上げて、心理的安全性などそれを実現するためのポイントを説明した資料

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レッドジャーニー(https://redjourney.jp/) 所属のアジャイルコーチ 元ギルドワークス 所属 様々な規模のSIerでのシステム開発を経て今に至り、約10年で40の組織、80のチームを支援している。 「ええと思うなら、やったらよろしいやん」を口癖に、社内のみならず社外のチームがより良くなるお手伝いなど日々活動中。 ・認定プロフェッショナルスクラムマスター(CSP-SM) ・認定プロダクトオーナー(CSPO) ブログ:サウスポーなエンジニアの独り言

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各ページのテキスト
1.

アジャイルレクチャー 〜アジャイルで大事なこと〜 中村 洋(@yohhatu) https://unsplash.com/photos/D-0kJ-̲GiQE

2.

中村 洋(Yoh Nakamura) ✔ レッドジャーニー ✔ アジャイルコーチ ✔ http://about.me/yohhatu

3.

主な登壇実績/発表資料 ✔ 組織 ア ャイルになっていく道を歩ん 時、「少し けうまくや れたこと」と「うまくやれなかったこと」 (Regional Scrum Gathering Tokyo 2021) ✔ みなさんの ロ クト ックロ アイテムは Outcome を生み出して いますか? (Regional Scrum Gathering Tokyo 2020) ✔ 「仕事なんか楽しいは ないやん」に反発し「ええと思うなら、やっ たらよろしいやん」を胸に歩ん きた話 (Developers Summit 2019) ✔ アジャイルな現場になっていく時の越えなければいけない 3 つの壁 (AgileJapan 2015) ✔ 「成功と失敗の狭間に横たわる 2 つのマネジメント (Developers Summit 2014) だ だ グ で バ ず ダ プ ジ が 他多数( https://www.docswell.com/user/yohhatu )

4.

Agileとの出会い ✔ 2001 年頃:常駐していた現場で XP(エクストリーム・プログラミン グ) と出会う。当時のプロジェクトで実践 ✔ 2008 年頃:受託開発においてクライアントとともにアジャイル開 発を実践 ✔ 2010 年頃:スクラムマスターとして、社内向け開発基盤をスクラム で 2 年間かけて開発 ✔ 2012 年頃:アジャイルコーチとして、社内にアジャイルなチーム、 組織に近づくために活動 ✔ 2014 年以降:アジャイルコーチとして、40 社以上、80 チーム以上 を支援している。開発チームだけでなく、企画含めたプロダクトチー ム、また組織全体の改善、変化の支援を行っている

5.

参考:ドラッカー風エクササイズ ✔ 得意なこと アジャイル開発・プロセス改善・コーチング ✔ 仕事のやり方 朝型・みんなでやる(ペア・モブ)・WIP ✔ 大切にしている価値観 透明性/検査/適応・規律・改善(特にフィードバック) ✔ 期待してもらってよい成果 現場が実験しながら学びを蓄えていくこと

6.

このスライドのゴール https://unsplash.com/photos/BfphcCvhl6E

7.

ゴール ✔ アジャイルのことを少し知ることができる ✔ アジャイルで大切なマインドセットを知るこ とができる ✔ 自分たちの仕事のやり方を考えるヒントが得 られる

9.

“Agile” https://visualhunt.com/photo/127756/

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“アジャイル(Agile)”とは? 「素早い、身軽な、機敏な、頭の回転 が速い」という意味の形容詞 他にも「活発な、いきいきとした」

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アジャイルはなにが”俊敏”なのか? ✔ なにかが起きた時に方向転換が素早くできる ✔ ”変化に素早く対応できるか?”がアジャイルの 熟練さ、度合いを示す

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アジャイル宣言の背後にある原則 http://agilemanifesto.org/iso/ja/principles.html

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アジャイル宣言の 背後にある原則 ・顧客価値の最優先 ・動くソフトウェアが重要 ・変化に対応 ・持続可能なペース ・短い間隔でのリリース ・技術的卓越性 ・全員同席 ・シンプルさが本質 ・モチベーション ・自己組織的なチーム ・顔を合わせての対話 ・ふりかえりと改善

15.

アジャイル宣言の背後にある原則 ・顧客満足を最優先し、価値のあるソフトウェア を早く継続的に提供します。 ・要求の変更はたとえ開発の後期であっても歓迎 します。変化を味方につけることによって、お客 様の競争力を引き上げます。 ・動くソフトウェアを、2-3週間から2-3ヶ月と いうできるだけ短い時間間隔でリリースします。

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アジャイル宣言の背後にある原則 ・ビジネス側の人と開発者は、プロジェクトを通 して日々一緒に働かなければなりません。 ・意欲に満ちた人々を集めてプロジェクトを構成 します。環境と支援を与え仕事が無事終わるまで 彼らを信頼します。 ・情報を伝えるもっとも効率的で効果的な方法は フェイス・トゥ・フェイスで話をすることです。

17.

アジャイル宣言の背後にある原則 ・動くソフトウェアこそが進捗の最も重要な尺度 です。 ・アジャイル・プロセスは持続可能な開発を促進 します。一定のペースを継続的に維持できるよう にしなければなりません。 ・技術的卓越性と優れた設計に対する不断の注意 が機敏さを高めます。

18.

アジャイル宣言の背後にある原則 ・シンプルさ(ムダなく作れる量を最大限にする こと)が本質です。 ・最良のアーキテクチャ・要求・設計は、自己組 織的なチームから生み出されます。 ・チームがもっと効率を高めることができるかを 定期的に振り返り、それに基づいて自分たちのや り方を最適に調整します。

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Don't just do agile. Be agile. fl https://www. ickr.com/photos/kacey/14903219403

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Agileで大切な2つのこと https://unsplash.com/photos/DtDe2ZTfAcM

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Agileで大事な2つのこと ✔ フィードバックループ ✔ 経験主義

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フィードバックループ https://unsplash.com/photos/H9t723yPjYI

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フィードバックループとは? ✔ なにかをやった反応が返ってくること ✔ フィードバックループの 1 周する早さ、そこか ら得られる学びの質が大切になる

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フィードバックループの質が良いと嬉しいこと ✔ 自分たちの予測や推測、仮説の確からしさを 検証することができる ✔ 進む方向に自信を持ったり、素早く別の方向 に方向転換することができる (ムダを生まない) ✔ 自分たちの”わかっていること”(=学び) が増え ることで次はよりうまくできる確率が高くなる

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経験主義 https://unsplash.com/photos/qC2n6RQU4Vw

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経験主義とは? ✔ 自分たちが実際に取り組み、そこで観察でき たことを活かす ✔ 観察できたことを増やすことで次に行うこと の予測可能性を高めたりすることができる ✔ 観察できたことをどのように受け取るかはチー ムの中で異なることもある

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参考:Scrumにおける経験主義とは? ✔ 経験主義では、知識は経験から生まれ、意思 決定は観察に基づく (ScrumGuide2020)

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参考:一般に言われる経験主義とは? ✔ 経験論における「経験」という語は、「私的 ないし個人的な経験や体験」というよりもむし ろ、「客観的で公的な実験、観察」といった風な 意味合いが強い。したがって、「個人的な経験や 体験に基づいて物事を判断する」という態度が経 験論的と言われることがあるが、それは誤解であ る。(Wikipedia)

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経験主義の質が良いと嬉しいこと ✔ わかったことを次に質良く活かせる ✔ チームにわかったことが時間とともに貯まり 共有知が育っていく ✔ 未来に対する複雑性が減少し、予測可能性が 高まる

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スクラムとは? https://unsplash.com/photos/qSv1gwYEfa8

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補足:スクラムとは? ✔ アジャイルな開発手法の 1 つ ✔ フレームワークなので、実装は現場で異なる ✔ 他にもXP(エクストリーム・プログラミング)、 カンバンなどがある ✔ スクラムと XP などを組み合わせて使うこと もある

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https://www.scrum.org/resources/scrum-framework-poster

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スクラムの三本柱 https://unsplash.com/photos/kASM8UeUK9M

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スクラムの三本柱 ✔ 透明性 ✔ 検査 ✔ 適応

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透明性 ✔ プロセスや作業は、作業を実行する人とその作 業を受け取る人に見れる必要がある ✔ 重要な意思決定は、作成物を認知する状態に基 づいている ✔ 透明性で検査が可能になる。透明性のない検査 は、誤解を招き、ムダなものである

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検査 ✔ 作成物と合意されたゴールに向けた進捗状況 は、頻繁かつ熱心に検査されなければならない ✔ 検査により、望ましくない変化や問題を検知す ることができる ✔ 検査によって適応が可能になる。適応のない検 査は意味がないとされる

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適応 ✔ 検査の結果、プロセスがうまくいっていなかっ たり、作成物が受け入れられない時は適応する必 要がある ✔ 検査によって新しいことを学んだ瞬間に適応す ることが期待されている

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アジャイルが向いている領域 https://visualhunt.com/f2/photo/5479509973/32f90194ca/

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アジャイルが向いている領域 変化の早い、正解がない不確実な環境で 素早く確認しながら動く必要のある領域 https://www.servantworks.co.jp/posts/ consider-ooda-loop-with-cyne nfi framework/

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経験主義とフィードバックループを 活かすために必要なこと https://unsplash.com/photos/̲AdUs32i0jc

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再掲:フィードバックループとは? ✔ なにかをやった反応が返ってくること ✔ フィードバックループの 1 周する早さ、そこか ら得られる学びの質が大切になる

43.

再掲:経験主義とは? ✔ 自分たちが実際に取り組み、そこで観察でき たことを活かす ✔ 観察できたことを増やすことで次に行うこと の予測可能性を高めたりすることができる ✔ 観察できたことをどのように受け取るかはチー ムの中で異なることもある

44.

経験主義とフィードバックループを 活かすために必要なこと ✔ わかっていないことがある前提に立つ ✔ 素早い実験を繰り返しできる環境

45.

経験主義とフィードバックループを 活かすために必要なこと ✔ わかっていないことがある前提に立つ ✔ 過去の成功事例がそのままでは使えない ✔ 正解を誰も(利用者も含めて)持っていない

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経験主義とフィードバックループを 活かすために必要なこと ✔ 素早い実験を繰り返しできる環境 ✔ やったことないことを不安なく取り組める ✔ 予想と違うことを失敗ではなく”発見”として 受け止める

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再掲:経験主義とフィードバックループを 活かすために必要なこと ✔ わかっていないことがある前提に立つ ✔ 素早い実験を繰り返しできる環境

48.

心理的安全性の存在 https://unsplash.com/photos/Y9mWkERHYCU

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心理的安全性とは? ✔ 対人関係においてリスクのある行動をしてもこ のチームでは安全であるという、チームメンバー によって共有された考え ✔ 関連のある考えや感情について人々が気兼ねな く発言できる雰囲気 ff https://rework.withgoogle.com/jp/guides/understanding-team-e ectiveness/#fosterpsychological-safety

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職場での対人リスク 1. 2. 3. 4. 無知だと思われる不安 無能だと思われる不安 ネガティブだと思われる不安 邪魔をする人だと思われる不安

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心理的安全があることのメリット 1. 率直に話すことが推奨される 2. 考えが明晰になる 3. 意義ある対立が後押しされる 4. 失敗が緩和される 5. イノベーションが促される 6. 成功という目標を追求する上での障害が取り除 かれる 7. 責任が向上する

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心理的安全でないもの ✔ メンバーがただ仲良くいるような居心地のよい 状況 ✔ プレッシャーや問題がないこと ✔ 意見が一致していること

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心理的安全のポイント “心理的安全性は生ぬるい基準や自由奔放によって 生み出されるものではなく、どんな職場にも困難 と制約があり、進歩のためにはそれらについて率 直に話す必要があると認識することによって生み 出されるもの” https://q.livesense.co.jp/2023/09/26/2287.html

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フィードバックループと経験主義を 支えるプラクティス https://unsplash.com/photos/DX3̲dXuHVl8

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朝会 https://bliki-ja.github.io/ItsNotJustStandingUp/

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朝会の目的 ✔ 自分たちの前回の朝会からの変化を同期する ✔ 自分たちの直近のゴールに到達できるか検査す る ✔ ゴールへの到達を阻むものが見つかったら適応 し再計画をする

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望ましい朝会の状態 ✔ 実際に共に活動しているチームで主体的に検査 をしている ✔ メンバーお互いの状況、状態に関心を持つ ✔ 場の関心事がゴールへの到達に向いている ✔ 起きたり見つかった出来事に対して目をそらさ ない

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タスクボード https://unsplash.com/photos/v89zhr0iBFY

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タスクボードの目的 ✔ 透明性を実現する ✔ チームが自分たちの状況・状態を検査する ✔ 検査した内容から次になにをすればいいか、今 後どうしていくか適応する

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参考:タスクボードの概念 https://www.slideshare.net/hiranabe/dx-agile-and-scrum-by-nonaka

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望ましいタスクボードの状態 ✔ チームの”情報ラジエーター” ✔ 最新の正しい情報が一カ所にまとまっていて必 要な人がすぐに見ることができる ✔ 毎日の動きがわかる程度の詳細さがある ✔ このままいけばどうなるか?がわかる

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参考:タスクボードの実例

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ふりかえり https://unsplash.com/photos/ZQO9̲XIC35Q

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ふりかえりの目的 ✔ 自分たちのやったこと、結果を確認し、何が予 想通りだったか、予想と違ったことはなにかを特 性する ✔ 予想との差異などからわかったことや学びを見 つける ✔ 学びを活かして次はどうすればうまく行きそう かを話し合い、次のカイゼンに取り組んでいく

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望ましいふりかえりの状態 ✔ チームで内省 (メタ認知) ができている ✔ 心理的安全性が場にある状態で経験主義を活か すことができている ✔ 自分たちが前向きに次に取り組むことができて いる

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これから学んでいく時に 参考にするとよさそうな書籍 https://unsplash.com/photos/2JIvboGLeho

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これから学んでいく時に 参考にするとよさそうな書籍 ✔ カイゼン・ジャーニー たった 1 人からはじめて、「越境」す るチームをつくるまで ✔ これまでの仕事 これからの仕事 〜たった 1 人から現実を変 えていくアジャイルという方法 ✔ Team Geek ―Google のギークたちはいかにしてチームを作 るのか

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これから学んでいく時に 参考にするとよさそうな書籍 ✔ チームが機能するとはどういうことか──「学習力」と「実 行力」を高める実践アプローチ ✔ ハーバードで学ぶ「デキるチーム」5 つの条件―チームリー ダーの「常識」 ✔ Fearless Change アジャイルに効く アイデアを組織に広める ための 48 のパターン

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質問をどうぞ https://unsplash.com/photos/cYRMl1HeuVo

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アジャイルに取り組んでみる きっかけになれば幸いです https://unsplash.com/photos/3y7fe̲I--WU