地理情報システムを用いた山間部における食料品アクセス困難地域の地理的特徴の検討

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August 01, 23

スライド概要

2018年 第29回在宅医療学会学術集会にて口頭発表したスライドです

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行政保健師の仕事と子育てを両立しながら博士号(保健学)を取得。保健医療福祉分野の皆さんのお役に立てるよう、GIS(地理情報システム)で街と人の健康を地理空間的に見える化したり統計解析しています。奨励賞(日本公衆衛生学会)、ノミネート賞(内閣官房主催イチbizアワード)を受賞。大阪医科薬科大学 公衆衛生看護学分野 助教。

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各ページのテキスト
1.

地理情報システムを用いた山間部 における食料品アクセス困難地域 の地理的特徴の検討 堀池 諒 1)、板谷 智也 2)、中井 寿雄 3)、白井 文恵 4) 1)高知県 健康政策部 医療政策課 2)金沢大学 医薬保健研究域 保健学系 3)金沢医科大学 看護学部、 4)大阪大学大学院医学系研究科

2.

目的 農林水産省より食料品アクセス困難マップが公開されている。 困難の定義は高齢者が車以外で店舗まで500m以上かかると されている。 ただし、山間部は都市部と異なり500m以内に店舗がない場 合も多く車利用が前提の地域もある。また人口減少も進行し ている。 そのため、山間部におけるある自治体の高齢者人口と店舗の 地理的特徴や消費者たる高齢者の将来推計人口の変化を地理 情報システム(GIS)で把握することで、山間部での食料品 アクセス困難の特徴を明らかにする。

3.

方法① 標高データおよび将来推計人口データ 国土地理院基盤地図情報ダウンロードサービスより、 対象地域の数値標高モデル5mメッシュを取得。 国土交通省国土政策局国土情報課の国土数値情報ダウ ンロードサービスより500mメッシュ別将来推計人口 (H29国政局推計)(shape形式版)を取得。 65歳以 上人口を利用。 GISソフトであるQGIS(version 2.18.3 Las Palmas, Windows版)を用いてマッピング実施。

4.

500mメッシュ人口 (65歳以上)

5.

方法② メッシュ標高及び小売り店マッピング 数値標高モデルに将来推計人口を重ねた後、将来推計 人口メッシュの中心点を算出。 中心点が位置する標高を抽出し、メッシュにおける標 高とした。 日用品等を購入可能な小売店は2軒であり、緯度経度 情報を取得しマッピングした

8.

方法③ アクセス距離 将来推計人口メッシュの 中心点から最も近い 小売り店との直線距離を 描画し距離を測定した

9.

結果 • メッシュ中心点における平均標高:393.2m(179.8m~816.8m) 2020年メッシュ分布 2050年メッシュ分布 • メッシュにおける2020年将来推計人口 平均9.4人(0.3人~61.2人) 人口10人以下メッシュ:128個(約70%) • メッシュにおける2050年将来推計人口 平均3.7人(0.09人~79.2人) 人口が10人以下メッシュ:161個(約90%)

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結果 • 小売り店の標高:標高217.0m及び246.6m 居住メッシュ平均標高の方が約150m高い。

11.

結果 • メッシュ人口において人の居住していないメッシュは、2020年に おいて17箇所、2050年において124箇所と約7倍に増加していた。 2020年 2050年 2020年 平均標高 SD 居住なし 569.1 141.4 居住あり 436.7 150.6 p <.01 2050年 平均標高 SD 居住なし 517.3 134.1 居住あり 393.2 144.8 p <.01

12.

結果 • 小売り店1が最も近いメッシュ中心点:107個 • 小売店とメッシュ中心点の平均距離:3.2km(0.18km~7.4km) • 小売店と中心点が500m以上の割合:約97% • 3つのメッシュのみ500m以内に位置していた。 500m

13.

結果 • 小売店2が最も近い中心点:71個 • 小売店とメッシュ中心点の平均距離:3.7km(0.18km~10.0km) • 小売店と中心点が500m以上の割合:約95% • 同様に3つのメッシュのみ500m以内に位置していた 500m

14.

結論 小売り店から500m以上離れている地域が95%。標高800mを超えるエリア もあり、将来的に人口の減少と特定地域への集中が起きる。 山間部における食料品アクセスは車と将来人口分布を勘案する必要がある。