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March 17, 21
スライド概要
EC59の発表で使用した資料です
明治大学 総合数理学部 先端メディアサイエンス学科 中村聡史研究室
れ こ み ゅ ー reco.mu:分岐構造による 音楽推薦促進システムの実装とその分析 野中 滉介 中村 聡史 (明治大学)
背景:ネットで交わされる情報 ストリーミングサービスなどの台頭により たくさんの⾳楽を楽しむことが可能に たくさん聴ける AppleMusic Spotify 7000万曲以上! 5000万曲以上!
背景:ネットで交わされる情報 〇〇最高〜〜〜!! 知名度が低いコンテンツは ⼈気・有名なものに埋もれてしまう △△だっていいのに!! OTAKU
問題:知名度が低くて人目に触れない 知名度が低い どんなに良いものであっても ⼈⽬に触れなければ評価されない 売れぬ OTAKU 解散も視野に? 悲しむファン • 経済的に厳しい状況に • バンドの解散? • ライブや新曲を楽しめなくなる?
大目的 埋もれたコンテンツを⼈⽬につくようにし, より多くの⼈に魅⼒を理解してもらう! OTAKU
大目的 埋もれたコンテンツを⼈⽬につくようにし, より多くの⼈に魅⼒を理解してもらう! いいぞ! OTAKU
提案手法:対話的な推薦 これは絶対に初⼼者でも 楽しめる映画 OTAKU 沼 え,好き 同じ監督の似た 雰囲気のやつも観て! あんま好き じゃないなぁ じゃあ違う雰囲気の こっちを観てみて!
提案手法:対話的な推薦 好み スタート 2番⽬ 3番⽬ 3番⽬ 好みで ない OTAKU 2番⽬ 3番⽬ 3番⽬
提案手法:分岐構造を持つプレイリスト 推薦⾏為を元にした,ユーザの反応に応じて 推薦内容を切り替えられるプレイリスト OTAKU
これまでの研究(HCI187) あるジャンルに詳しいユーザに 作成してもらった 分岐構造ありプレイリスト VS 分岐構造のないプレイリスト (通常と同形式のプレイリスト) OTAKU をそのジャンルに馴染みのないユーザに 聴いて満⾜度・興味度合いを評価してもらう
これまでの研究(HCI187) 分岐プレイリストの⽅が 満⾜度・興味度合いなどが⾼かった 馴染みやすさ 興味度合い ※⻘が提案⼿法 総合満⾜度 野中 滉介, 中村 聡史. 未知の⾳楽に誘導することを⽬的とした分岐型⼈⼒⾳楽推薦⼿法の提案, 情報処理学会 研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI), Vol.2020-HCI-187, No.15, pp.1-7, 2020.
これまでの研究(HCI187) 残った課題 • 分岐型プレイリストの作成の負担が⼤きい • 実システムとして実装していなかった • 作り慣れていなかった OTAKU • 作成されたプレイリストが 少なかったため,分析が限定的であった
今回の研究 提案⼿法をウェブシステムとして実装し, 実運⽤をすることで詳細な分析を⾏う 分岐構造を持たないプレイリストと⽐較して, • 推薦者がどのように分岐型プレイリストを作成するのか? • 分岐型プレイリストはどのように再⽣されるのか? より良い推薦の仕⽅を確⽴することにつながる
reco.mu reco.mu https://reco.mu ⼀部のページで ⾳声が流れます デモをお⾒せします
reco.mu : 確認 ※ 灰色は分岐構造を持たない部分 • ユーザがどのような分岐を辿ったのかの 総量を矢印の太さによって可視化してる • この例だと,楽曲を好きと評価した ユーザが多いということ
reco.mu : 確認 ※ 灰色は分岐構造を持たない部分 • ユーザがどのような分岐を辿ったのかの 総量を矢印の太さによって可視化してる • この例だと,楽曲を好きと評価した ユーザが多いということ プレイリスト作成時の戦略や意図によって, 再⽣を⾏うユーザの⾏動が変化する
運用結果 2020年7⽉19⽇~2021年1⽉13⽇までのおよそ6ヶ⽉を分析対象とする プレイリスト 件数 プレイリスト内の 楽曲の総再⽣数 分岐あり 52件 5407回 分岐なし 32件 2967回
運用結果 2020年7⽉19⽇~2021年1⽉13⽇までのおよそ6ヶ⽉を分析対象とする バグなどを除外 した残り件数 プレイリスト内の 楽曲の総再⽣数 分岐あり 30件 5407回 分岐なし 17件 2967回
運用結果:再生率 再生回数 126 • プレイリストのある時点まで再生を行った ユーザの割合を計算 • 分岐あり/なし • 再生率 = 116 105 94 87 78 126 116 105 94 87 78 126 126 126 126 126 126 のそれぞれについて算出 n曲目の再生数 1曲目の再生数 と定義する 再生率
再生率 運用結果:再生率 • 分岐ありプレイリストでは, 約40%の人が • 分岐なしプレイリストでは, 約20%の人が プレイリストを最後まで再生した プレイリスト内の位置
運用結果:再生率 再生率 分岐型プレイリストと同じ6曲目に着目すると 分岐型の方が分岐なしよりも再生率が高い プレイリスト内の位置
運用結果:再生率 再生率 分岐型プレイリストと同じ6曲目に着目すると 分岐型の方が分岐なしよりも再生率が高い プレイリスト内の位置 分岐型プレイリストの⽅が 再⽣時に興味を持てている
運用結果:アンケート • • 作成について詳細な分析を 行うためにアンケートを実施 作成されたプレイリストのうち, 分岐あり 分岐なし 36件 24件 から回答が得られた Q. プレイリストの作成は どれくらい負担がありましたか? ( -2 ~ 2 ) -2:全く負担がなかった 0:少し負担があった 2:とても負担があった -1:ほとんど負担がなかった 1:やや負担があった Q. この構造を選んだ理由を教えてください Q. 楽曲の選定理由を教えてください Q. 楽曲の配置理由を教えてください Q. その他大変だった点・難しかった点などが あれば教えてください ( 自由記述 )
運用結果:アンケート(作成の負担) 1.08 0.38 5:とても負担があった 4:やや負担があった 3:少し負担があった 2:ほとんど負担がなかった 1:全く負担がなかった
運用結果:アンケート(自由記述) 分岐あり • 推薦相⼿のことを考慮した記述が⽬⽴った • 戦略性があって作るのが楽しいという意⾒も • 作成の負担について書かれたものも散⾒された 分岐なし • ⼯夫を凝らして作成をしているものもあった • 順序を意識せずに作成を⾏っているものも多かった 回答例 • 最初に有名な曲をおいて, 好きな場合はそこから徐々にマニアックになるように, 嫌いだったらできるだけ異なる雰囲気の曲になるようにした • 前後のテンポ感を合わせるように配置をしていきました • 検索で出てきた順 • 分岐を考えるのが難しいけどめちゃくちゃ楽しかったです • ⾃分の好きな順,思いついた順 • ⾃分の膨⼤なおすすめから分岐を考慮して選ぶのが⼤変だった
運用結果:まとめ 分岐あり 分岐なし 推薦相⼿のことを 考慮した記述が⽬⽴った ⼯夫しているものもあるが, 戦略性に⽋けるものも多い 再⽣率 再生率 作成についてのアンケート プレイリスト内の位置 作成・再⽣どちらにおいても 分岐の有無で差が⾒られた
分析:アンケート内容ごと 他者に推薦を⾏う際・・・ ⾃分の好みを中⼼にする 相⼿の好みなどを考慮する よりも ことが⼤切だと考えられる 記述アンケートに • 「推薦相⼿を考慮した記述」 • 「⾃⾝のこだわりなどを強調している記述」 があるかに着⽬して分析を⾏う
分析:アンケート内容ごと 「推薦相⼿を考慮した記述があるか」 分岐あり 20件 / 36件 • 最初に有名な曲をおいて,好きな場合はそこから 徐々にマニアックになるように,嫌いだったら できるだけ異なるジャンルや雰囲気の曲に遷移するようにした • 2つの系統を決めて,それの好みによって分かれるようにした • 前半は親しみやすい曲,後半はニッチな曲になるようにした 分岐なし 6件 / 24件 • 最初に万⼈受けする曲を選び, 徐々にマイナーな楽曲を選んでいった (6件全てがこのような回答であった)
分析:アンケート内容ごと 「⾃⾝のこだわりを強調した記述があるか」 分岐あり 8件 / 36件 ⾃分の好みに⾔及し,並び順などに関する 記述が少ないものが複数⾒られた 例.最近の楽曲で⾃分の好きな楽曲を順番に選びました 分岐なし 14件 / 24件 • ⾃分の好きな楽曲を中⼼に選定した • アーティストのライブを意識して作成した • アニメなどの時系列順に楽曲を配置した
分析:アンケート内容ごと 推薦相⼿を考慮 こだわりを強調 分岐あり 20件 / 36件 8件 / 36件 分岐なし 6件 / 24件 14件 / 24件 プレイリストに分岐構造があることで 推薦相⼿を意識するようになり,作成の幅が広がる
分析:アンケート内容ごとの再生率 分岐あり 再生率 推薦相⼿ を考慮 プレイリスト内の位置 > こだわり を強調
分析:アンケート内容ごとの再生率 分岐あり 再生率 推薦相⼿ を考慮 > こだわり を強調 プレイリストを⽤いた推薦においても, 推薦相⼿を意識することが重要 プレイリスト内の位置
分析:アンケート内容ごとの再生率 分岐なし 再生率 推薦相⼿ を考慮 プレイリスト内の位置 < こだわり を強調
分析:アンケート内容ごとの再生率 分岐なし < こだわり を強調 再生率 推薦相⼿ を考慮 プレイリスト内の位置 再⽣のされ⽅に柔軟性がないため, ⼯夫を凝らすことが逆に相⼿の 興味を損なってしまうことにつながる
分析:アンケート内容ごとの再生率 分岐あり 再⽣率 推薦相⼿ を考慮 該当件数 20件 /36件 > 分岐なし こだわり を強調 推薦相⼿ を考慮 8件 /36件 6件 /24件 分岐型プレイリストを利⽤することで, • より相⼿を意識できるようになる • 聴いたユーザもより興味を持ちやすくなる < こだわり を強調 14件 /24件
残った課題 Q. プレイリストの作成は どれくらい負担がありましたか? プレイリスト作成の 負担が⼤きい 工夫できる部分が大きい,が それ故に負担が増加してしまう ある程度はUIや機能の工夫で 軽減が可能と考えられる
今後の展望 複数⼈で話し合いながらプレイリストを 共同作成できる機能を実装する予定 OTAKU reco.mu https://reco.mu • 作成のモチベーションを保つことができ, ⼼理的な負担の軽減につながる? • 他者の意⾒を取り⼊れることで, より多⾯的に分岐構造を考えることができる?
まとめ • 知名度の低いコンテンツが埋もれてしまう • 対話的に推薦可能な分岐型プレイリストを使って推薦する! • プレイリストの作成・共有システム reco.muを実装し運⽤ • 分岐型プレイリストを⽤いることでより相⼿を意識でき, 被推薦者の興味を惹きやすくなる可能性が⽰された • 作成の負担をどう軽減していくかが今後の課題