内発的動機付けが運転に及ぼす影響の調査:クリック選択と音声選択の比較

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January 16, 23

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明治大学 総合数理学部 先端メディアサイエンス学科 中村聡史研究室

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1.

内発的動機付けが 運転に及ぼす影響の調査: クリック選択と音声選択の比較 明治大学 B3 大石 琉翔 中川由貴 渡邉健斗 松田さゆり 中村聡史 (明治大学) 鳥居武史 澄川瑠一 高尾英行 ( 株式会社SUBARU)

2.

背景 自動車運転において 初心者ドライバ や ペーパードライバ が多い 新規免許交付件数 運転頻度 25,000,000 数ヶ月に1回以下 20,000,000 20,000,000 20% 15,000,000 10,000,000 5,000,000 0 平成30年 令和元年 令和2年 [中川ら HCI196] 2

3.

背景 自動車運転に関するアンケート調査 Q.あなたは運転が得意ですか?苦手ですか? 初心者ドライバ ペーパードライバ その他のドライバ 67% 13% とても苦手 苦手 49% [中川ら HCI196] 3

4.

背景 初心者ドライバやペーパドライバの 苦手を克服するために 運転の練習をする必要がある いかに 効率良く練習 ができるかが重要である 4

5.

背景 初心者ドライバやペーパドライバの 苦手を克服するために 練習効果を高める手法として 運転の練習をする必要がある 動機付けに着目 いかに 効率良く練習 ができるかが重要である 5

6.

背景|動機付け 内発的動機付け 外発的動機付け ¥ > 行動自体が目的となっている 外的報酬や強制により行動している [Ryanら 2000] 6

7.

背景|動機付け 内発的動機付け 外発的動機付け 運転に対して内発的動機付けを誘発すれば 運転技能が向上できる > 行動自体が目的となっている ¥ 外的報酬や強制により行動している 7

8.

先行研究|提案手法 運転前に運転技能に関するタスクを選択する 左右の幅 スピード一定 修正舵 自己決定感から 運転に対する内発的動機付けを行う 8

9.

先行研究|実験 運転前に動機付けを行う 内発的動機付け条件 vs 外発的動機付け条件 9

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先行研究|結果 ハンドル操作の技能 内発的動機付け>外発的動機付け 道路の中央を維持する技能 差がなかった 速度維持の技能 差がなかった 10

11.

先行研究|問題 道路の中央を維持する技能 で差がなかった 速度維持の技能 で差がなかった • タスクが不適切であった • 動機付けが弱かった可能性 さらなる タスクへの意識付け が必要 11

12.

背景|意識付け 声を出す方法が挙げられる 指差し呼称 発声 や手,腕の筋肉運動が刺激になり 脳の認知機能を活性化するといわれている [飯山ら 1980] 声を出すことによって タスクへの意識付け 12

13.

目的 ドライバに対して内発的動機付けを誘発し 声を出してタスクへの意識付けを行い 運転技能を向上させる 13

14.

仮説 内発的動機付けが 音声選択 > クリック選択 運転に注力し運転技能も向上する 14

15.

提案手法 内発的動機付けを誘発するとともに 音声選択 で声による意識付けを行う 左右の幅 スピード一定 修正舵 15

16.

タスクの選択肢 タスクを再設計した 前回 左右の幅に気をつける 今回 できるだけ白線を はみ出さないように走行する ※タスクの意図が通じなかった スピードを一定にする できるだけ時速40kmを 維持して走行する ※速度の基準がなかった 不必要なハンドルの 切り足しや戻しをしない ハンドルの切り足しや戻しを できるだけしない 16

17.

コース コースが単調であったため 運転難易度が高くなるように設計 前回 今回 17

18.

コース ガードレール 道路の中央を維持する基準として 白線を配置 前回 今回 18

19.

実験 実験は以下の3条件で行う 条件名 内容 音声選択条件 内発的動機付け+音声選択 クリック選択条件 内発的動機付け+クリック選択 外発的動機付け条件 外発的動機付け 19

20.

実験 音声選択条件 20

21.

実験 クリック選択条件 21

22.

実験 外発的動機付け条件 22

23.

実験 動機付けした後に ドライビングシュミレータで運転してもらう 実験協力者 大学生・大学院生 31 名 (分析対象者は30名) 音声選択 クリック選択 外発的動機付け 10名 10名 10名 23

24.

実験|シュミレータの動画 24

25.

実験手順 練習運転 10本 動機付け 本番運転 10本×3セット アンケート 主観評価 25

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結果 速度維持のタスク 「できるだけ時速40kmを維持して走行する」 良 分析方法 時速35〜45kmを 維持した距離の割合 結果 音声選択条件が 維持した割合が多い 音声選択 クリック選択 外発的動機付け 悪 26

27.

結果 ハンドル操作のタスク 「ハンドルの切り足しや戻しをできるだけしない」 悪 分析方法 修正舵回数 結果 音声選択条件が 有意に修正舵が少ない * *:p<0.01 音声選択 クリック選択 外発的動機付け 良 27

28.

結果 道路の中央を維持するタスク 「できるだけ白線をはみ出さないで走行する」 悪 分析方法 白線からはみ出した面積 結果 やや音声選択条件が はみ出した面積が多い 音声選択 クリック選択 外発的動機付け 良 28

29.

考察 速度を維持する & ハンドルを操作する 技能で 音声選択 が良い結果だった 速度維持とハンドル操作の技能で 声を出すこと でタスクへの意識付けができ 運転技能が向上した 29

30.

考察 道路の中央を維持する技能 だけ 音声選択 が仮説に反した結果だった タスク設計に問題があった可能性 タスク行う順番に偏りがあった可能性 30

31.

考察|タスク設計 白線をはみ出したまま運転し続ける者がいた サイドミラーがないため 目視ではみ出しているかを 判断するのが困難だった 31

32.

考察|順番の偏り 音声選択のタスク選択画面 32

33.

考察|順番の偏り 1回目のタスク選択 ランダムで表示したものの偏ってしまった 1人 7人 2人 33

34.

考察|順番の偏り 発声しやすいものから選ばれ 順番が偏った 結果に影響が出てしまった 34

35.

考察 クリック選択の内発的動機付けと外発的動機付けで 目立った差がなかった クリック選択は 間接的な操作 であったため 内発的動機付けの効果が薄かった 35

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考察|カーブの左右差 は じ め の 右 カ ー ブ カ ー ブ 後 左 カ ー ブ は じ め の 左 カ ー ブ カ ー ブ 後 右 カ ー ブ は じ め の 右 カ ー ブ カ ー ブ 後 左 カ ー ブ は じ め の 左 カ ー ブ カ ー ブ 後 右 カ ー ブ は じ め の 右 カ ー ブ カ ー ブ 後 左 カ ー ブ は じ め の 左 カ ー ブ カ ー ブ 後 右 カ ー ブ 36

37.

考察|カーブの左右差 左カーブ の方が はみ出した面積の量や分散が多い 左カーブの方が難易度が高い可能性 37

38.

考察|カーブの左右差 運転手は右に座っているため 右に曲がる時に線を確認しやすい 左に曲がる時は線が見づらいため 感覚頼りになってしまう 38

39.

考察|カーブの左右差 運転手は右に座っているため 右に曲がる時に線を確認しやすい 左カーブ の方が 今後の研究で左カーブに注目することが重要である はみ出した面積や分散が多い 左に曲がる時は線が見づらいため 感覚頼りになってしまう 39

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今後の課題 タスクの順番の偏りをなくす 文字数や見え方などで選択に偏りが出てしまった可能性 偏らないような タスクの設計 サイドミラーの実装 白線からはみ出ているかどうかを わかりやすくする必要がある 実車での検証 実車で本当に効果があるのかを検証する必要がある 40

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まとめ 背景|初心者ドライバやペーパードライバは多い 目的|音声選択による運転技能向上 手法|声を出すことによる意識づけ 結果|音声選択により速度維持や修正舵が減少する傾向 展望|タスクの順番の統制やサイドミラーの実装