Make-up FLOW: 個人差・状況差の大きい化粧工程の構造化と忘れやすさに関する調査

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November 09, 22

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明治大学 総合数理学部 先端メディアサイエンス学科 中村聡史研究室

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1.

Make-up FLOW: 個人差・状況差の大きい化粧工程の構造化と 忘れやすさに関する調査 髙野沙也香 梶田美帆 濱野花莉 中村聡史(明治大学) 1

2.

背景 • 化粧は多くの女性にとって身だしなみの一環 コロナ禍の化粧頻度:「週に4日以上」82.7% [プレミアアンチエイジング株式会社, 2021]*1 • 化粧工程は様々であり,日々使い分けられている 化粧への意識:「メークはTPOに合わせるもの」72.8% [ポーラ文化研究所, 2022]*2 *1 “コロナ禍でどう変わった? みんなの「毎日メイク」を徹底リサーチ!“. https://www.duo.jp/skincare/feature/9984/, (参照 2022-10-17). *2 “化粧・美しさの価値観と未来予想”. https://www.cosmetic-culture.po-holdings.co.jp/report/pdf/220830mirai.pdf, (参照 2022-10-17). 2

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問題 • 一部の工程を忘れて飛ばしてしまう • 化粧のバリエーションが増やせずに固定化してしまう 3

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問題 一部の工程を忘れて飛ばしてしまう ◆化粧には一度飛ばすと戻ってやり直せない工程がある 例:ファンデーションなどのベースメイク ◆化粧崩れが発生 →化粧直しの手間増加 4

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問題 化粧のバリエーションが増やせずに固定化してしまう ◆化粧は自身に似合うものの判別が難しい →自身の魅力を発揮できない化粧を施し続ける恐れ ◆化粧のバリエーション増加 自身の望む姿に近づけられる+化粧を日々新鮮に楽しめる →化粧の種類を増加させる支援も需要あり 5

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原因 • 自身の化粧工程の把握および俯瞰が困難 • 教えてもらう機会が少なく,化粧を我流で行っている ベースメイクの学習法:「自己流」76.8% 2021]*3 [kajitaら, • 他者の化粧方法を知るのが困難 *3 Kajita, M. et al.. Basic Research on How to Apply Foundation Makeup Evenly on Your Own Face. 20th IFIP TC14 International Conference on Entertainment Computing (IFIP ICEC 2021). 2021, p. 402-410. 6

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原因 • 自身の化粧工程の把握および俯瞰が困難 →把握及び俯瞰可能 • 教えてもらう機会が少なく,化粧を我流で行っている ベースメイクの学習法:「自己流」76.8% 2021]*3 [kajitaら, →共有可能 • 他者の化粧方法を知るのが困難 →共通点・相違点を計算可能 化粧工程の構造化 7

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大目的 化粧工程の構造化を行い, それの化粧支援における応用可能性の調査 8

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構造化手法 フローチャート ◆分かりやすい可視化が可能 開始 処理A ◆料理や医療,教育分野の研究にも活用 条件1 No Yes 処理B 終了 9

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化粧工程の特性 • 同じアイテムの使用でも,施す部位が異なれば別工程 例:アイブロウパウダー(眉・鼻筋),チーク(頬・鼻) • 同じアイテムで形状の異なるものを重ねることがある 例:アイブロウ(ペンシル・パウダー・マスカラ) • 工程の分岐条件が個人によって様々である 10

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課題 • 化粧工程の持つ特性 • フローチャートの製作は初心者には困難 既存のフローチャート作成サービスを用いて記述規則を 統制した化粧工程のフローチャート作成は困難 II (化粧フローチャート) 11

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目的 化粧フローチャート作成に特化したシステム Make-up FLOWを実装し,その利便性の検証 12

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本研究の流れ • 化粧工程に関する基礎調査 ◆化粧フローチャートの収集 ◆化粧工程に関するアンケート調査 • 化粧フローチャート作成システムMake-up FLOWの 実装 • Make-up FLOWの利用実験 13

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本研究の流れ • 化粧工程に関する基礎調査 ◆化粧フローチャートの収集 ◆化粧工程に関するアンケート調査 • 化粧フローチャート作成システムMake-up FLOWの 実装 • Make-up FLOWの利用実験 14

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本研究の流れ • 化粧工程に関する基礎調査 ◆化粧フローチャートの収集 ◆化粧工程に関するアンケート調査 • 化粧フローチャート作成システムMake-up FLOWの 実装 • Make-up FLOWの利用実験 15

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本研究の流れ • 化粧工程に関する基礎調査 ◆化粧フローチャートの収集 ◆化粧工程に関するアンケート調査 • 化粧フローチャート作成システムMake-up FLOWの 実装 • Make-up FLOWの利用実験 16

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本研究の流れ • 化粧工程に関する基礎調査 ◆化粧フローチャートの収集 ◆化粧工程に関するアンケート調査 • 化粧フローチャート作成システムMake-up FLOWの 実装 • Make-up FLOWの利用実験 17

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化粧フローチャート収集 • 内容 draw.ioを用いて,依頼時(2022年6月頃)の 化粧工程に関するフローチャートを作成してもらった • 対象 情報系の女子大学生・大学院生(著者らを含む)10名 18

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化粧フローチャート収集 ノード名 図形 意味 開始・終了ノード メイクの開始・ メイクの終了 化粧ノード どんな状況でも 必ずやる工程 化粧分岐ノード やらない時がある工程 気合い分岐ノード 気合いの有無による分岐 19

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化粧フローチャート収集 記述規則 ◆使用するアイテム名が変わる場合にそれぞれを1工程 として記載する 例:アイブロウペンシル→アイブロウマスカラ ◆アイテムの形状によって工程の順番が変わる場合は, 形状の違いを分岐条件としてノード間を繋ぐ 例:ファンデーション(リキッド,パウダー) ◆忘れやすい工程のノードの背景色をピンク色にする 20

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化粧フローチャート収集 結果:工程 ◆最大工程数:24工程 ◆最小工程数:1工程 ◆個人の最大工程数の平均:16.6工程 21

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化粧フローチャート収集 結果:分岐 ◆最大分岐数:16個 ◆最大パターン数:1,296通り 22

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化粧フローチャート収集 結果:忘れやすい工程 ◆1人あたり平均 4.5工程 常に行われている工程:11工程 やらない時がある工程:34工程 →協力者ごとでも,やらない時がある工程の方が多い ◆忘れやすい工程の分類 ベースメイク(フェイスパウダー,コンシーラー)や 立体感を出す工程(チーク,ハイライト)が多かった 23

24.

アンケート調査 • 内容 GoogleFormを使用して,化粧工程に関する アンケートに回答してもらった • 対象 女子大学生・大学院生25名 24

25.

アンケート調査 結果 ◆化粧時に忘れてしまう工程の有無 76%があると回答 ◆忘れやすい工程の種類 化粧フローチャートと施術部位 ごとの分布が類似していた 施術部位 工程名 数 ベース 日焼け止め 1 コンシーラー 4 フェイスパウダー 5 アイブロウ 3 アイブロウマスカラ 2 アイブロウのぼかし 1 アイシャドウ下地 3 アイライナー 4 涙袋のメイク 1 ビューラー 2 マスカラ下地 1 マスカラ 2 チーク 3 ハイライト 6 シェーディング 1 眉 目 まつ毛 立体感 口 リップ 25 1

26.

アンケート調査 結果 ◆化粧時に忘れてしまう工程の有無 76%があると回答 ◆忘れやすい工程の種類 化粧フローチャートと施術部位 ごとの分布が類似していた 施術部位 工程名 数 ベース 日焼け止め 1 コンシーラー 4 フェイスパウダー 5 アイブロウ 3 アイブロウマスカラ 2 アイブロウのぼかし 1 アイシャドウ下地 3 アイライナー 4 涙袋のメイク 1 ビューラー 2 マスカラ下地 1 マスカラ 2 チーク 3 ハイライト 6 シェーディング 1 眉 目 まつ毛 立体感 口 リップ 26 1

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アンケート調査 結果 ◆化粧工程・使用する商品を変えるきっかけ 上位3条件 ①行き先の違い ②会う相手の違い ③化粧にかけられる時間の長さ 27

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Make-up FLOWの実装 システムの必要要件とデザイン ◆化粧フローチャート上で工程名の表記ブレがあった →実験者側で化粧工程(全29工程)を設定 ◆同じアイテムを別の部位に塗布,同じアイテムで形状が 異なるものを重ねて塗布していた →化粧工程を表すノードにアイテム名,施術部位, アイテムの形状を表示 28

29.

Make-up FLOWの実装 システムの必要要件とデザイン ◆化粧工程の分岐理由8条件 →行き先の違い,会う相手の違い,外出時間の長さ, 化粧にかけられる時間の長さ,季節の違いを選出 →行き先の違いと会う相手の違いの複合条件 =気合いの有無 ◆化粧フローチャート作成時に入れ忘れた工程を後に追加 →追加工程に応じて化粧が施される顔のイラストを提示 29

30.

Make-up FLOWの実装 ノード名 図形 開始・終了ノード 化粧ノード 分岐ノード 30

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Make-up FLOWの利用実験 • 内容 ◆システムを用いてコロナ禍以前の化粧に関する 化粧フローチャートを作成 ◆実験後にはシステムに関するアンケートに回答 • 対象 女子大学生・大学院生8名 35

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Make-up FLOWの利用実験 結果 ◆システムの操作の分かりやすさ 全員が分かりやすかったと回答 ◆システムを利用した化粧フローチャート作成の難易度 過半数が簡単だったと回答,難しかったという回答も存在 36

37.

Make-up FLOWの利用実験 結果 ◆システムを使用してのポジティブな感想 「前回作った時と工程が変わっていることに気づけた」 「フローチャートを作ることでもっと良い化粧方法が あるのでは?と思った」 「自分の化粧を見直すことができる良い機会だった」 37

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Make-up FLOWの利用実験 結果 ◆システムを使用してのポジティブな感想 「前回作った時と工程が変わっていることに気づけた」 「フローチャートを作ることでもっと良い化粧方法が あるのでは?と思った」 「自分の化粧を見直すことができる良い機会だった」 自身の化粧工程の把握および俯瞰 自身の化粧工程の改善点や以前の化粧工程との変化の発見 38

39.

Make-up FLOWの利用実験 結果 ◆システムで改善してほしいところ 「説明の言葉が多くて読み解くのに時間がかかった」 「一度設定したノードの変更をしたかった」 「undo・redo機能がほしかった」 39

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考察 忘れやすい工程について ◆フェイスパウダーやコンシーラーなどのベースメイク →肌なじみの良い色が使用されており, 塗布前後の変化が見分けにくい ◆チークやハイライトなどの立体感を出す工程 →化粧の仕上げで多く行われており, 状況によって省略されやすい →コロナ禍におけるマスク着用により省略されやすい 40

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考察 Make-up FLOWについて ◆システム操作は分かりやすかったが,システムを使用した フローチャート作成は難しかった →システムの説明を体験型チュートリアルで行う 41

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考察 Make-up FLOWについて ◆ノードの誤配置の発生 →システム側でフローチャートの規則に 合わせて制御する →より容易に作成できる仕組みを実現 例:ドラッグ&ドロップのみで作成 他者の化粧フローチャートを参照して一部変更 42

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展望 • 改善したシステムを用いて化粧フローチャート収集 →化粧の工程忘れ支援システムを実装,有用性を検証 • 収集した数多の化粧フローチャートを分析し, ユーザの望む化粧に最適な化粧工程の提案にも応用 43

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まとめ • 背景 複雑な化粧における工程忘れや固定化の問題 • 目的 化粧工程の構造化による化粧支援への応用可能性の検証 • 提案手法 化粧フローチャート作成に特化したシステムの実装 • 結果 化粧工程の構造化の効果と,システムの改善点の発見 44