BingoFit: 所有する衣服の活用に向けたビンゴ型衣服提示システムの改良と検証

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August 22, 22

スライド概要

ひとは多くの衣服を所有しており,日常的に着用する衣服の選択を行っている.所有する衣服の中には,好んで頻繁に着用するものから,数回の着用のみでクローゼットの奥に眠るものまで様々存在する.このような着用回数の偏りは,着用する衣服や組み合わせのワンパターン化やタンスの肥やしといったように,コーディネートの幅を狭めてしまう可能性がある.これらの問題を解決するために我々はこれまでに所有する衣服を満遍なく着用させ,衣服の活用を促進させるビンゴ型衣服提示システムBingoFitを提案した.実際にシステムの利用実験を行い,新しいコーディネートの発見や着用頻度の少ない衣服の着用を促進させることを明らかにしてきた.しかし,気候や季節の条件がシステムの利用に大きく影響を与えることが示唆された.そこで本稿では,一年中利用可能なシステムの設計を行うために季節ごとに利用実験を行い,衣服選択の比較を行うことで季節による選択の傾向を明らかにした.また実験の結果を踏まえ,BingoFitシステムの改良を行った.

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明治大学 総合数理学部 先端メディアサイエンス学科 中村聡史研究室

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各ページのテキスト
1.

BingoFit: 所有する衣服の活用に向けた ビンゴ型衣服提示システムの改良と検証 青木由樹乃(明治大学) 横山幸大 中村聡史

2.

背景  ひとはいくつもの衣服を所有  日常的に着用する衣服の選択をする 今日は何を着よう、、?

3.

衣服の所持枚数 衣服の実態調査(対象:女子大学生579名) [日本衣料管理協会, 2020] 衣服の平均所持枚数: 99.8枚 /人

4.

所有する衣服 実際に300着以上の衣服を所有  お気に入りで頻繁に着るもの  存在を忘れ、タンスの肥やしになるもの

5.

背景:所有する衣服 ファッションに関するアンケート [佐藤ら 2012] (対象:10~60代の男女54名)  「いつも同じ服になりがち」  「持っている服でもっといい組合せが あるのではないか」 着用の偏り 所有する衣服を活かせていない

6.

研究の大目的 着用のワンパターン化、タンスの肥やし →所有する衣服を満遍なく着用 所有する衣服の活用を促進させる 着用する衣服や組み合わせのバリエーション増加 コーディネートの幅を広げる

7.

衣服の活用に向けて ① 新しい衣服の組み合わせの発見を促進 →過去の着用経験や自身の知識から成る パターン化されたコーディネートを変える ② 着用回数の偏りの解消 →特定の衣服を頻繁に着用することを防ぐ、 着用頻度の少ない衣服を着用させる ③ スケジュールやTPOに適した衣服選択 →日常的に衣服の着用計画を立てる

8.

衣服の活用に向けて ① 新しい衣服の組み合わせの発見を促進 →過去の着用経験や自身の知識から成る パターン化されたコーディネートを変える コーディネートの楽しさを侵害しない ② 着用回数の偏りの解消 ユーザに自発的に衣服の選択させるデザイン →特定の衣服を頻繁に着用することを防ぐ、 着用頻度の少ない衣服を着用させる ③ スケジュールやTPOに適した衣服選択 →日常的に衣服の着用計画を立てる

9.

これまでに提案した手法 ビンゴ型衣服提示システム  毎日、着用する衣服を選ぶ際に利用  ビンゴゲームの要素を取り入れた衣服提示 青木 由樹乃, 横山 幸大, 中村 聡史. BingoFit: 所有する衣服の活用に向けたビンゴゲーム型衣服提示システムの提案 情報処理学会 研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI195)

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手法イメージ リーチ

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これまでの研究成果 2週間の利用実験(9月実施)  久しぶりに着た服  新しい組み合わせ  着用の計画を立てる傾向 衣服の活用の促進させることが示唆

20.

これまでの研究成果 週によって埋めたマス数やビンゴ結果に違い アンケートより、ビンゴを 進められなかった理由として”気候の都合”

21.

これまでの研究成果 週によって埋めたマス数やビンゴ結果に違い アンケートより、ビンゴを 進められなかった理由として”気候の都合” 天候や気温条件の変化がシステムの利用に 大きく影響を与える可能性

22.

今回の研究の目的 BingoFitでのコーディネートにおいて、 季節による衣服選択の変化を明らかにする →BingoFitが一年中利用可能か検討、 適切なシステム設計を再考

23.

実験  複数の季節で実施  2021年 9/10(金)~9/16(木)  2021年 9/20(月)~9/26(日)  2022年 3/5(土)~3/11(金)  2022年 3/12(土)~3/18(金)  2022年 5/2(月)~5/8(日)  各季節の衣服を40着以上持っているひと

24.

BingoFitシステム  事前に衣服の写真を登録  所有する衣服から 無作為に25枚抽出  ランダムな順番で配置  同じ配置で1週間提示  着用した衣服の記録

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BingoFitシステム  選択した画像は黒い枠線  送信すると画像が暗くなり 左上に何日目か提示  リーチは赤枠  ビンゴは青枠

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BingoFitシステム  選択した画像は黒い枠線  送信すると画像が暗くなり 左上に何日目か提示  リーチは赤枠  ビンゴは青枠

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BingoFitシステム  選択した画像は黒い枠線  送信すると画像が暗くなり 左上に何日目か提示  リーチは赤枠  ビンゴは青枠

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BingoFitシステム  選択した画像は黒い枠線  送信すると画像が暗くなり 左上に何日目か提示  リーチは赤枠  ビンゴは青枠

29.

実験  “着用する衣服でビンゴを行う”  1週間毎日BingoFitを見て衣服を決定  実験後、着用したコーディネートや 着用計画についてアンケート調査を実施

30.

各季節の実験協力者 A B C D E F G H I 参加人数 9月 3月 5月 1週目 2週目 1週目 2週目 1週目 ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ ○ 8 9 5 5 6

31.

結果:季節ごとのビンゴカード 全ての季節に参加した実験協力者A〜E 9月 3月 5月 1週間に埋めたマスの数 7.3 6.8 5.8 リーチ達成率(%) 50.0 40.0 40.0 ビンゴ達成率(%) 20.0 30.0 40.0 リーチ達成者が ビンゴ達成する確率(%) 40.0 75.0 100.0

32.

結果:季節ごとのビンゴカード 9月が最も多くマスを埋めていた 9月 3月 5月 1週間に埋めたマスの数 7.3 6.8 5.8 リーチ達成率(%) 50.0 40.0 40.0 ビンゴ達成率(%) 20.0 30.0 40.0 リーチ達成者が ビンゴ達成する確率(%) 40.0 75.0 100.0

33.

結果:季節ごとのビンゴカード 9月が最も高い確率でリーチをしている 9月 3月 5月 1週間に埋めたマスの数 7.3 6.8 5.8 リーチ達成率(%) 50.0 40.0 40.0 ビンゴ達成率(%) 20.0 30.0 40.0 リーチ達成者が ビンゴ達成する確率(%) 40.0 75.0 100.0

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結果:季節ごとのビンゴカード 5月が最も高い確率でビンゴをしている 9月 3月 5月 1週間に埋めたマスの数 7.3 6.8 5.8 リーチ達成率(%) 50.0 40.0 40.0 ビンゴ達成率(%) 20.0 30.0 40.0 リーチ達成者が ビンゴ達成する確率(%) 40.0 75.0 100.0

35.

結果:季節ごとのビンゴカード 5月はリーチをすると必ずビンゴをしている 9月 3月 5月 1週間に埋めたマスの数 7.3 6.8 5.8 リーチ達成率(%) 50.0 40.0 40.0 ビンゴ達成率(%) 20.0 30.0 40.0 リーチ達成者が ビンゴ達成する確率(%) 40.0 75.0 100.0

36.

結果:季節ごとのビンゴカード 実験を重ねるごとに 少ないマスで効率的にビンゴをしている 9月 3月 5月 1週間に埋めたマスの数 7.3 6.8 5.8 リーチ達成率(%) 50.0 40.0 40.0 ビンゴ達成率(%) 20.0 30.0 40.0 リーチ達成者が ビンゴ達成する確率(%) 40.0 75.0 100.0

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考察:埋められたマスの数 9月に埋められるマスの数が最も多い ➢ アイテム選択の自由度の違い 気温の低い時期はジャケットなど、 他のアイテムとの組み合わせの考慮が複雑 気温の高い時期は、比較的に ビンゴカードから衣服を選択しやすい

38.

考察:マスの埋め方 実験を重ね、より少ないマスでより多くビンゴ ➢ BingoFitを利用するうちにビンゴに向けた 効率的なマスの埋め方・コーディネートを学習 長期でビンゴを基にしたコーディネートより  新しい衣服の組み合わせ  着用頻度の偏り解消 が期待できる

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達成する確率 それぞれを達成した際に埋めたマスの数の平均 3マス揃:4.9マス リーチ:7.4マス ビンゴ:10.0マス ランダムにマスを埋めた際に達成する確率

40.

達成する確率 それぞれを達成した際に埋めたマスの数の平均 3マス揃:4.9マス ➢ 40% リーチ:7.4マス ビンゴ:10.0マス ランダムにマスを埋めた際に達成する確率

41.

達成する確率 それぞれを達成した際に埋めたマスの数の平均 3マス揃:4.9マス ➢ 40% リーチ:7.4マス ➢ 20% ビンゴ:10.0マス ランダムにマスを埋めた際に達成する確率

42.

達成する確率 それぞれを達成した際に埋めたマスの数の平均 3マス揃:4.9マス ➢ 40% リーチ:7.4マス ➢ 20% ビンゴ:10.0マス ➢ 6% ランダムにマスを埋めた際に達成する確率

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達成する確率 それぞれを達成した際に埋めたマスの数の平均 3マス揃:4.9マス ランダムにマスを埋めた際に達成する確率 ➢ 40% リーチ:7.4マス ➢ 20% ビンゴ:10.0マス ➢ 6% ビンゴを狙い、より戦略的にマスを埋めている

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実験後アンケート どの季節においても  気温的に着られない服があった  気温の差があるので服を決めるのが難しい →提示される衣服と実際の天候のずれ カード上からの衣服選択や着用計画が困難に

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システムの理想 長期的な利用の中でも 列やマスの選択の幅を狭めない設計が理想

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システムの理想 長期的な利用の中でも 列やマスの選択の幅を狭めない設計が理想 しかし、細やかな気候条件やイベントに 合わせた衣服の抽出・提示は困難

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システム改良  チェンジ機能 条件に適さない衣服は ユーザが任意で選択 ランダムに衣服を変更

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システム改良  クローゼット機能  衣服拡大機能

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発展  活用のために必要な衣服の整理・把握ができ 衣服の断捨離や購買決定の支援  着用履歴と気候情報から コーディネート考慮の負担軽減

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今後の調査 過去の着用回数や組み合わせを利用  着用頻度の小さい服を中央のマスに配置  組み合わせたことのない服同士を近くに配置 着用の偏り解消や新しい組み合わせの発見を さらに支援するビンゴカードを自動生成

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まとめ 背景:ワンパターン化、タンスの肥やし 目的: BingoFitが一年中利用可能であるか調査 実験:9,3,5月にBingoFitでコーディネート 結果:季節により選択が変化 考察:季節によって選択の自由度が異なる 利用を重ねるごとに効率的にビンゴ 改良:システムに衣服チェンジ機能などの追加