コミュニケーションチャネルへのライバル可視化によるタスク推進手法の提案

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April 10, 18

スライド概要

第104回グループウェアとネットワークサービス研究発表会で使用したスライド(樋川一幸)

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明治大学 総合数理学部 先端メディアサイエンス学科 中村聡史研究室

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各ページのテキスト
1.

コミュニケーションチャネルへの ライバル可視化によるタスク推進手法の提案 明治大学 総合数理学部 樋川 一幸 松田 滉平 中村 聡史

2.

タスク管理の問題点 タスク管理を行っている人は多い → 手帳やスマホアプリなど しかし

3.

モチベーションの問題点 アプリを使うモチベーションが続かない アプリの存在を忘れてしまう アプリの起動が面倒である モチベーションの維持 継続的な利用が課題

4.

通知の問題点 • 読書感想文を書く • レポート課題をやる • 論文を執筆する 自分の行動や選択を自分で決めたいという欲求がある → タスクへのモチベーションにならない

5.

ライバル 同じ目標に向かって競い合っている人たち • Igniteplay: Encouraging and sustaining healthy living through social games [Seif El-Nasr 2011] ライバルの進捗をユーザに提示する - ライバルの記録が見られるダイエットアプリの研究 タスク管理 • 見えないライバルとリアルタイムに競争できる一人一台端末を活 用した学習システムの算数教育における学習効果 [金森 2014]

6.

タスク管理の起動の問題 ライバルを提示することでタスクへのモチベーション向上 しかし ユーザの能動的なアクセスが必要

7.

コミュニケーションチャネルの特徴 コミュニケーションチャネル ユーザがよく利用する コミュニケーションチャネル上でタスク管理 利用頻度が高く、様々な場面で目に触れる機会がある → 存在を忘れない、起動までのハードルが低い

8.

目的 コミュニケーションチャネル上で ライバルを意識させることで タスク管理を円滑にする

9.

提案手法 タスクごとにライバルの進捗をユーザに提示 モチベーションに繋がる通知 → ライバルの進捗を通知する

10.

提案手法: 過去のライバル リアルタイムなライバルだけでは数が少ない 都合よくタスクをこなしている人がいるとは限らない → 過去のユーザもライバルとして利用する タスク登録から締め切りまでの時間を同一に扱う → 登録を0、締め切りを1として扱う(タイムレート) A 0 7日間 0 14日間 B 1 1

11.

提案手法: ライバルデザイン • 知人である → 馴れ合いや同調を起こしてしまう • ライバルが早すぎる → 諦めてしまう 適切なライバル = 早すぎず、遅すぎない見知らぬ他人 • ライバルが遅すぎる → 安堵して手を抜いてしまう

12.

提案手法: ライバルデザイン ライバルをただ提示するだけではやる気につながらない → ライバル群の中でユーザに近いライバルに絞り込む また、タスクの種類は様々なので一括で扱えない ユーザと似たようなタスクのライバルに絞り提示する

13.

提案手法: ライバル提示 膨大なライバルをユーザにどのように提示するか? → 色によって膨大な人の感情を可視化 [青島 2010]

14.

提案手法: まとめ • コミュニケーションチャネル上で行うタスク管理 • ユーザのタスクごとに似たようなタスクを持つ ライバルの進捗を可視化 • ライバルの進捗を利用した通知

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プロトタイプシステム BOT コミュニケーションチャネル上でユーザと対話し ユーザの行動を促すことが可能

16.

プロトタイプシステム: デモ 日本人利用者数の多いコミュニケーションチャネルである LINE上で利用可能なLINE BOTとして実装 はこちらから! ID @khe3990d

17.

プロトタイプシステム: タスク名 タスク登録 締め切り日 タグ タグ:事前調査で実験対象群に多いジャンルをピックアップ ID @khe3990d → 今回は「研究室」「授業」「個人」

18.

プロトタイプシステム: ライバル選定の流れ 1. 進捗入力時に進捗度とタイムレートをデータベースに記録 2. データベースの中から適切なデータの進捗度を ライバルとして提示 タイムレート0.3のタスクAの例 ID @khe3990d

19.

プロトタイプシステム: ライバル表示 ライバルは色で表現される ヤバい! ID @khe3990d

20.

プロトタイプシステム: ランキング、ランク表示 • ランキング表示 → 自身の順位を表示 • ランク表示 → ライバルたちとのペースの 比較をランクとして表現 →S ID @khe3990d (S/A/B/Cランクの4段階)

21.

プロトタイプシステム: 通知手法 ランクダウン通知 ライバルの動向を利用した通知手法 → ランクダウンが近いと通知 ライバルたちとのペースの遅れを通知 ID @khe3990d

22.

実験 ライバル動向の通知によるタスク達成への影響調査 通知手法の異なるシステム2種類を実験に使用 • ランクダウン通知 … 7人 • タスクの存在を示すリマインド通知 … 7人 2週間と11日間の2セットに分けて実験を実施 セット1:11月22日から12月6日 セット2:1月12日から1月23日

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実験 用意したタスク タスク 期限 1 印象評価実験協力A 7日間 2 自身の研究の関連研究3件を読む 7日間 3 英単語の学習1日50語 7日間 4 情報処理技術者試験の学習1日50問 7日間 5 タグ付け作業30件 7日間 6 印象評価実験協力B 3日間 7 印象評価実験協力C 7日間 各セット終了時にアンケートを実施

24.

実験結果(タスク達成率) 期限内タスク達成率 セット1 セット2 平均 提案手法 0.698 0.409 0.553 比較手法 0.544 0.375 0.459 • ランクダウン通知手法 → 期限内タスク達成率が高かった • 見られたタスク → 研究室内のタスクがほとんどであった (論文を読む、実験の協力等)

25.

実験結果(アンケート) 意識した項目 項目 ライバル ランク 自身の進捗度 締め切り日 通知 提案手法 セット1 セット2 -1.00 -0.85 -0.85 -0.42 -0.57 0.14 1.71 0.42 0.71* 0.71 比較手法 セット1 セット2 -0.57 -1.00 -0.85 -0.57 0.71 0.28 1.42 1.00 -0.85* 0.28 (* p<.05) • ライバルとランクは両手法とも低評価であった • セット1では通知が項目内で2番目に意識されていた • セット2では通知が項目内で最も意識されていた

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実験結果(アンケート) A. 通知がタスクを思い出すことに役立った B. 通知がタスクを行うきっかけとなった C. ランク表示がタスクを行う励みとなったか 2 1.5 1.28 0.85 1 0.56 0.42 0.5 0.00 0 -0.5 -0.35 -1 -1.5 -2 B A 提案手法 C 比較手法

27.

実験結果(自由記述) • 通知によって焦りを感じた → ランクダウン通知による効果あり • 通知のタイミングがタスクができる時間でなかったため ストレスを感じた → ランクダウン通知が直接的な通知と捉えられた可能性

28.

実験結果(自由記述) • LINE上でタスクを登録でき、通知が来るので良かった → コミュニケーションチャネルに入り込むことによる効果 • 通知が機械的に感じた → BOTにシステム感が出てしまった

29.

実験結果(通知と進捗の推移) 通知をしても進捗をしないユーザがいた 通知のタイミングが悪かった → 他に優先すべきタスクがあった → 休暇中であった

30.

実験結果(まとめ) ランクダウン通知 • 期限内タスク達成率の上昇が示唆 LINE上で使えたことによる肯定的な意見 → LINE BOTが有用 → コミュニケーションチャネルに入り込むことが有用

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今後の課題 • 長期的な実験によるシステムの有用性の調査 • タスクの自動分類による、より適切なライバル群の提示 • ライバルを意識させやすいライバルの見せ方の検討

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まとめ 背景 モチベーションの維持と継続的な利用がタスク管理の課題 目的 コミュニケーションチャネル上でライバルを意識させるタスク管理 提案 ライバル進捗の可視化とそれを意識させる通知 実験 ライバル動向の通知によるタスク達成への影響調査 結果 ライバル動向のランクダウン通知によりタスク達成率の向上が示唆