分岐型プレイリストでの音楽動画共同推薦とその分析

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第115回GN研究会で発表したもの

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Nakamura Laboratory (Meiji University)

@nkmr-lab

作者について:

明治大学 総合数理学部 先端メディアサイエンス学科 中村聡史研究室

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公開日

2022-01-20 09:44:46

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1. 分岐型プレイリストでの 音楽動画共同推薦とその分析 野中 滉介 中村 聡史 明治大学大学院 先端数理科学研究科 2年

2. 概要(1/4) 背景・問題 知名度が十分でないアーティストが埋もれてしまう! 目にしたときにより魅力を感じやすくなる推薦方法を確立するが必要! 人が他者に対話的に推薦する様子を 分岐構造を持ったプレイリストとして表現し,推薦を行う手法を提案してきた [HCI 187] 1曲目 2曲目 … !"# reco.mu https://reco.mu

3. 概要(2/4) 提案手法をウェブシステムreco.muとして実装し, 分岐型プレイリストを用いることでより推薦相手を意識できることを明らかにした [EC59] 1曲目 2曲目 … !"# reco.mu https://reco.mu

4. 概要(3/4) 提案手法をウェブシステムreco.muとして実装し, 分岐型プレイリストを用いることでより推薦相手を意識できることを明らかにした [EC59]

5. 概要(3/4) 提案手法をウェブシステムreco.muとして実装し, 分岐型プレイリストを用いることでより推薦相手を意識できることを明らかにした [EC59]

6. 概要(4/4) 推薦は個人で行わなければならないものではない 共同で推薦をすることで ・モチベーションが維持できる? ・多様な意見が生まれる? 本手法の推薦体験を向上させるとともに, 共同推薦の特性・効果を明らかにする!

7. 背景 ストリーミングサービスなどの台頭により たくさんの音楽を楽しむことが可能に AppleMusic 7000万曲以上! Spotify 5000万曲以上!

8. 背景 知名度が低いコンテンツは 人気・有名なものに埋もれてしまう どんなにいい音楽だとしても, 人目に触れなければ評価すらされることがない ()*+,活動が続けられなくなってしまうかもしれないし, それはファンにとってもとても悲しい出来事 !"#$ %&'

9. 背景 推薦システムやクチコミを通じて その存在を知ること自体はできる ・一般に数が少ないと推薦の精度は落ちてしまう (コールドスタート問題) ・クチコミの数が少ないと, 良質なクチコミに出会える確率は低くなってしまう 好きになれたかもしれないのに, 良さを理解できずに離れてしまうかもしれない!

10. 大目的 人の興味を引きやすく魅力を感じやすい 推薦手法を確立する!

11. 大目的 人の興味を引きやすく魅力を感じやすい 推薦手法を確立する! !"# いいぞ!

12. 提案手法 単発・一方的な推薦では魅力を 理解してもらえない可能性が高い とりあえず これ試して! !"# なーんもわからん

13. 提案手法 単発・一方的な推薦では魅力を 理解してもらえない可能性が高い これどう? lov e !"# こっちは? これも最高 あの感動を 良 全人類聴いて 欲しい なーんもわからん

14. 提案手法 ファンは,自分自身で探索などを 繰り返した結果として知識を蓄えている !"# これどう? $%&'(#! )'*+ !"# いいね! じゃあこれも!

15. 提案手法 相手の知識レベルや好みを考慮した上で 対話的に推薦を行うことができる 推薦内容を相手の反応によって切り替えることで より個人の嗜好にあった推薦が可能になる これどう? !"# いいね! じゃあこれも!

16. 提案手法 対話的なやりとりをフローチャートのように表現し, 分岐構造を持ったプレイリストを作成して推薦を行う 1曲目 好き 好きではない 分岐構造なし !"# 2曲目 …

17. これまでの研究 [HCI187] あるジャンルのファンに作成してもらった 分岐構造のあるプレイリスト 評価によって次の曲が変化 分岐構造のないプレイリスト を そのジャンルに馴染みのないユーザに 聴いて満足度・興味度合いを評価してもらう 評価によらず次の曲が固定 野中 滉介, 中村 聡史. 未知の音楽に誘導することを目的とした分岐型人力音楽推薦手法の提案, 情報処理学会 研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI), Vol.2020-HCI-187, No.15, pp.1-7, 2020.

18. これまでの研究 [HCI187] 分岐型プレイリストの方が 満足度・興味度合いなどが高かった 馴染みやすさ 興味度合い ※青が提案手法 総合満足度 野中 滉介, 中村 聡史. 未知の音楽に誘導することを目的とした分岐型人力音楽推薦手法の提案, 情報処理学会 研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI), Vol.2020-HCI-187, No.15, pp.1-7, 2020.

19. これまでの研究 [EC59] reco.mu https://reco.mu 提案手法をウェブシステムreco.muとして実装 約6ヶ月運用を行った結果 84件のプレイリストが作成され, (分岐あり52, なし32) 9300回ほどの再生がなされた (分岐あり約5400回,なし約2900回) 野中 滉介, 中村 聡史. reco.mu: 分岐構造による音楽推薦促進システムの実装とその分析, 情報処理学会 研究報告エンタテインメントコンピューティング(EC), Vol.2021-EC-59, No.29, pp.1-8, 2021.

20. これまでの研究 [EC59] 推薦相手を考慮 こだわりを強調 分岐あり 20件 / 36件 8件 / 36件 より興味を惹ける 分岐なし 6件 / 24件 14件 / 24件 離脱者が多い ※ 不具合などを除外した件数 分岐型プレイリストを用いて推薦することで, より相手を意識することができ より興味を惹ける推薦が可能になる

21. これまでの研究 [EC59] Q. プレイリスト作成の負担は? 分岐型プレイリストは作成の負担がやや大きい 事前作成をするので, すぐに相手の反応を得ることができない 人とやりとりをする楽しさが欠落している 個人で推薦をしたことで生じた問題?

22. さまざまな推薦のやり方 個人で推薦 • 推薦の戦略が明確にある人なら向いている? • ネタ切れになってしまうかも? 複数人で推薦 • 推薦のモチベーションを保ちやすい?

23. さまざまな推薦のやり方 ファン同士で推薦 • 同じものについて話す楽しみがある? • 自分だけでは思いつかなかったことが思いつく? ファンとファンでない人で推薦 • 詳しくない人の反応を見ながら推薦を考えることで それに馴染みがない人でもより興味を持てる?

24. さまざまな推薦のやり方 推薦は人によってさまざまなやり方があるだけでなく, 人数や知識量・熱量の違いでもやり方が変わると考えられる

25. さまざまな推薦のやり方 推薦は人によってさまざまなやり方があるだけでなく, 人数や知識量・熱量の違いでもやり方が変わると考えられる 推薦体験を向上させることができるだけでなく, コミュニケーションの一つとして確立できる可能性がある

26. 研究目的 分岐型プレイリストの共同推薦において,知識量の差によって 作成のされ方がどのように変化するのかを明らかにする

27. 研究目的 ファン同士 ファン・初心者 個人 3つの条件で分岐型プレイリストの作成をする実験を実施し, アンケートと作成の様子を比較することで分析を行っていく

28. 実験手順 reco.mu https://reco.mu 事前アンケート プレイリストの作成 事後アンケート

29. 実験手順 アンケート項目(抜粋) これから作成するテーマについての Q4. 興味度合い Q5. 知識量 事前アンケート Q6. 他の人に推薦する自信 -2 全くない +2 とてもある

30. 実験手順 reco.mu https://reco.mu プレイリストの作成 「 そのコンテンツに詳しくない人に それをお薦めすることを想定して プレイリストの作成を行ってください」

31. 実験手順 作成時はZoomで画面の録画をしてもらった reco.mu https://reco.mu 共同推薦の場合はZoomで画面・音声の共有をし, ・操作・作成 ・発言のみ の二手に分かれて作成をしてもらった プレイリストの作成 発言のみ (意見を出す) 操作・作成

32. 実験手順 reco.mu https://reco.mu プレイリストの作成 通話機能・同時編集機能などあることが望ましいが, 安定したインターネット接続がないと 想定したデータの収集ができず問題が発生する可能性 今回はZoomの利用 & 片方のみの操作とした

33. 実験手順 reco.muにおける操作ログの収集 reco.mu https://reco.mu プレイリストの作成 • 楽曲の検索 • 楽曲を一時的にストック • プレイリストに追加 • 追加した曲の編集 (再生区間の設定) • 楽曲の試聴 • プレイリスト内の 曲を入れ替える • プレイリストの 形状を変更する • プレイリストの タイトルなどを変更 の8種類を収集

34. 実験手順 アンケート項目(抜粋) Q4. 疲労 Q7. 出来栄えの満足度 Q10. 並び順熟考 Q5. 作成の大変さ Q8. 聴いてもらいたさ Q11. 選曲熟考 Q6. 作成の楽しさ Q9. 推薦の自信 事後アンケート -2 +2 全くない 全くそうしなかった とてもある とてもそうした 自由記述 Q14. 作成の工夫 Q12.再生区間熟考 Q15. 作成の感想

35. 実験手順 ファン同士 7組14名 ファン・初心者 7組14名 個人 7名

36. 実験手順 ファン同士群 7組14名 6組12名 ファン初心者群 7組14名 個人作成群 7名 7組13名 事後アンケートでネットワークの不具合を 回答していた2名(3データ)を除外

37. 実験結果:作成時のデータ 作成時間 操作数 平均:1時間26分 ファン同士 :1時間19分 ファン初心者:1時間27分 個人作成 作成時間(秒) :1時間34分 操作数と作成時間に 相関があった (約0.64)

38. 実験結果:作成時のデータ 各操作の平均数 条件によって差はなかった 分岐型プレイリストの作成に必要な 操作回数は人数や知識量の違いに 大きくは依存しない

39. 実験結果:作成時のデータ 操作タイミングの可視化 作成時間をプレイリストごとに 0~1の範囲で正規化し, 条件ごとにまとめて可視化をした 作成開始 作成終了

40. 実験結果:作成時のデータ 個人作成 ストックの追加 検索 ファン同士 ファン・初心者

41. 実験結果:事前アンケート Q4. 興味度合い Q5. 知識量 Q6. 推薦する自信

42. 実験結果:事前アンケート Q4. 興味度合い Q5. 知識量 Q6. 推薦する自信

43. 実験結果:事後アンケート Q4 .疲 Q5 労 .作 Q6 成 の 大 変 .作 さ 成 Q7 の 楽 し .出 さ Q8 来 栄 え の .聴 満 Q9 い 足 て 度 も ら .推 い 薦 た Q1 0. 並 の さ 自 信 び Q1 1. 選 順熟 考 曲熟 考 Q1 2.再 生区 間熟 考

44. 実験結果:事後アンケート このアーティストのこういうとこが 好きなんだよな, というのが 再確認できてとても楽しかった (個人作成群) この曲いいね,ここが 好きと話し合いながら プレイリストを作るのは楽しかった (ファン同士群) この曲知っていたけどこのアーティストの曲だったんだ! と知ることがで きて楽しかった (ファン初心者群) Q4 .疲 Q5 労 .作 Q6 成 の 大 変 .作 さ 成 Q7 の 楽 し .出 さ Q8 来 栄 え の .聴 満 Q9 い 足 て 度 も ら .推 い 薦 た Q1 0. 並 の さ 自 信 び Q1 1. 選 順熟 考 曲熟 考 Q1 2.再 生区 間熟 考

45. 実験結果:事後アンケート Q4 .疲 労 Q5 .作 Q6 成 の 成 の 大 変 さ Q8 Q7 .出 .作 楽 しさ 来栄 .聴 えの 満足 度 Q9 いて もら 薦 の いた さ Q1 0. 並 .推 自信 び Q1 1. 選 順熟 考 曲熟 考 Q1 2.再 生区 間熟 考

46. 実験結果:事後アンケート 「一人で やると決め手に困ったときにかなり悩みました」 「満足感とかそこらへんで一人の時は劣るなと感じた」 など 「作成が難しかった・悩んだ」といった回答 ファン同士群 :2名 / 12名 ファン初心者群: 1名 / 13名 個人作成群 Q4 .疲 Q5 労 .作 Q6 成 の 大 変 .作 さ 成 Q7 の 楽 し .出 さ : 4名 / 7名 Q8 来 栄 え の .聴 満 Q9 い 足 て 度 も ら .推 い 薦 た Q1 0. 並 の さ 自 信 び Q1 1. 選 順熟 考 曲熟 考 Q1 2.再 生区 間熟 考

47. 実験結果:まとめ 条件によって,作成の楽しさ・満足度や 作成時間,ログ数は大きく変わらない 操作のされ方には違いがある → 作成中のやりとりや行動に着目して分析

48. 分析:作成中のやりとり ファン同士群 例. 好みやこだわりを強調しているユーザ … 7名 / 12名 相手に相談するやりとり … 7組全てで確認された 「メンバーがなるべく全員映る区間を選びました」 (アイドルについてのプレイリスト) 「この系統じゃないやつでどんなのがあると思う?」 「あとどんな曲入れればいいと思う?」 • こだわりが強く反映された作成がなされている可能性がある • 一方で,お互いに知識を補完されているため, より多くのユーザが対象となる推薦が可能になっている可能性もある

49. 分析:作成中のやりとり ファン初心者群 例. 初心者側の知識量を確認するやりとり … 7組全てで確認された 「新しい曲に出会えた」という回答 (初心者側) … 4名 / 6名 「このアーティストどれくらい知ってる?」 「この曲どう思う?」(一度聴かせたあとに) 「**を全く知らなかったが, プレイリスト作成を通じていい曲に出会えてよかった」 「知らないジャンルを教えてもらえて嬉しかった」 作成に対するポジティブな回答 (ファン側) … 6名 / 7名 「(相手)に**を知ってもらういい機会で楽しかった」 「人と一緒に作ることで、人に魅力を伝えたい部分を 頭で考えるようになったため、自分も**の魅力を 再確認できました」

50. 分析:作成中のやりとり ファン初心者群 例. 初心者側の知識量を確認するやりとり … 7組全てで確認された 「新しい曲に出会えた」という回答 (初心者側) … 4名 / 6名 「このアーティストどれくらい知ってる?」 「この曲どう思う?」(一度聴かせたあとに) 「**を全く知らなかったが, プレイリスト作成を通じていい曲に出会えてよかった」 「知らないジャンルを教えてもらえて嬉しかった」 作成に対するポジティブな回答 (ファン側) 「(相手)に**を知ってもらういい機会で楽しかった」 • 必ずしも詳しいユーザ同士で推薦を行う必要はなく, … 6名 / 7名 「人と一緒に作ることで、人に魅力を伝えたい部分を 知識量に差があってもスムーズなプレイリストの作成が行える 頭で考えるようになったため、自分も**の魅力を • 再確認できました」 このやりとり自体が推薦として機能している

51. 分析:作成中の行動 個人作成群 共同作成(ファン同士,ファン初心者)

52. 分析:作成中の行動 個人作成群 共同作成(ファン同士,ファン初心者) 楽曲情報の更新 プレイリストに楽曲追加 ※ 楽曲情報の更新 … 曲のどの部分を聴かせるかの設定

53. 分析:作成中の行動 Q4 .疲 Q5 労 Q6 .作 成の 大変 さ 成 の Q8 Q7 .出 .作 楽 しさ 来栄 .聴 えの 満足 度 Q9 いて もら 薦 の いた さ Q1 .推 自信 0. 並 Q1 び 順 熟 1. 考 選 Q1 曲 熟 考 2.再 生 区 間 熟 考

54. 分析:作成中の行動 個人作成群 共同作成(ファン同士,ファン初心者) 楽曲情報の更新 Q1 プレイリストに楽曲追加 0. Q1 1. 選 曲 び 順 熟 熟 考 考 並 • 個人作成群では,作成の終盤まで楽曲の追加をしており, 「何の曲を」聴かせるかをより試行錯誤している • 共同作成では,選曲や並び順はより円滑に決まっており, 「どの部分を」聴かせるかにより時間をかけている Q1 2.再 生 区 間 熟 考

55. 分析:作成中の行動 個人作成群 共同作成(ファン同士,ファン初心者) 楽曲情報の更新 プレイリストに楽曲追加 今回は全員同じ機能・UIで作成をしてもらったが, 人数やユーザの知識量などの違いによって工夫を凝らすことで, より推薦体験を向上させられる可能性がある

56. 応用可能性 ファン同士 … 好みを語り合う,知識を補完し合う ファン初心者 … これ自体が推薦になる reco.mu https://reco.mu

57. 応用可能性 共同推薦によって, 多様なコミュニケーションが生じている reco.mu https://reco.mu

58. 応用可能性 共同推薦によって, 多様なコミュニケーションが生じている 事後アンケート(記述)から, 22件 / 32件 で「楽しかった」「よかった」の回答 reco.mu https://reco.mu 事後アンケート(Q6)で高い評価 特にファン初心者群(ファン)は 全員が+2と回答していた Q6. 作成の楽しさ

59. 応用可能性 共同推薦によって, 多様なコミュニケーションが生じている reco.mu https://reco.mu 好みについて語り合うやりとり自体を 楽しむプラットフォームとして機能する可能性

60. 応用可能性 共同推薦によって, 多様なコミュニケーションが生じている reco.mu 好みについて語り合うやりとり自体を 楽しむプラットフォームとして機能する可能性 https://reco.mu 推薦システム これがオススメ これの次は メタデータとして利用

61. 今後の展望 • 通話機能や同時編集機能を実装し, 本提案システムのみで共同推薦に必要な要件を満たすことを目指す • 3人以上での共同推薦においてどのような特徴が表れるかについて明らかにする

62. まとめ これまでの研究 • 分岐構造を持ったプレイリストを利用して魅力を感じやすくさせる • ウェブシステムとして実装・運用し,作成・再生の様子を分析 研究目的 分岐型プレイリストの共同推薦において, 知識量の差によって作成のされ方がどのように変化するのか明らかにする 実験 個人,ファン同士,ファン・初心者の3条件で分岐型プレイリストを作成してもらう 結果 • 共同作成によって多彩な作成がなされる • 知識量に差がある場合でも苦労なく共同推薦が可能 • このコミュニケーション自体が推薦として機能する可能性