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December 06, 25

スライド概要

本研究では,デジタルペンを用いた手書きを補助するものとして,筆圧変動を利用して筆記対象物を識別可能とする手法を実現し,それを用いた支援システムを実装した.具体的には,一定間隔で溝を設けた透明な筆記対象物をディスプレイ上に配置し,筆記時の筆圧変化をもとに筆記対象物の識別を行う,既存のディスプレイとデジタルペンのみで実現可能な新しい筆記対象物識別手法を用いる.評価実験では,溝の幅が異なる4種類のシートを作成し,筆圧のピークに基づき判定する手法の精度検証を行った.実験の結果,識別精度0.78で推定可能であることがわかった.さらに,本手法の有用性を検証するため,物理カラーパレットや学習支援教材などのアプリケーション例を実装し,実用性を検証することで,分野にとらわれない様々な場所での応用可能性を示した.

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明治大学 総合数理学部 先端メディアサイエンス学科 中村聡史研究室

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各ページのテキスト
1.

溝間隔の違いによる筆圧変化を活用した シート埋め込み型ID認識手法 瀬崎 夕陽, 関口 祐豊, 中村 聡史

2.

関連研究~様々な入力方法がある~ 2 AcousticBarcodes TUIC SLAP Widgets [Harrison+ 2012] [Neng-Hao+ 2011] [Malte+ 2009] 音入力 マルチタッチ入力 2次元ラベル入力 C. Harrison. et al.: Acoustic barcodes: passive, durable and inexpensive notched identification tags. UIST’12. Yu, Neng-Hao. et al.: TUIC: enabling tangible interaction on capacitive multi-touch displays. CHI '11. Weiss, Malte. et al.: SLAP widgets: bridging the gap between virtual and physical controls on tabletops. CHI '09.

3.

提案手法~筆圧入力~ 3 筆圧を用いたID認識手法 筆記対象物の表面特性による筆圧変化に着目 筆記対象物の表面に凹凸がある場合、 ペン入力時に筆圧の変化が生じる -ツルツルした滑らかな表面では変化は少ない -ザラザラした粗い表面では小刻みに変化 ツルツル ザラザラ

4.

提案手法 4 筆圧を用いたID認識手法 筆圧変化の頻度を信号源として利用 溝をもつシートを用いた際に生じる筆圧の変化パターンに着目 ※peak:特徴的な筆圧変化 1.0mm間隔の溝 2.0mm間隔の溝 1.0mm間隔に 筆圧のpeak が生じる と考えられる peakの規則性 によって シートの特徴 を捉える

5.

精度推定 データ収集と機械学習を用いた推定 -4種類の異なる溝間隔を持つシートで筆記 -既存のペンおよびタブレットを用いる -計500ストローク(各種100ストロークずつ)取得 5 溝無し 1.0mm 1.5mm 2.0mm 2.5mm 5つの特徴量で機械学習を用いて推定 ・ストローク内のピーク総数 ・4つの幅それぞれに相当するピーク数 (1.0mm, 1.5mm, 2.0mm, 2.5mm) を用いて、5種類(溝無し含む)の識別をRandomForestにて行った

6.

結果 組み合わせによる検討 溝領域の組み合わせ次第で、 正解率を改善できる可能性がある 推定溝間隔(mm) 1.5 2.0 None 1.0 2.5 None 0.93 0.00 0.00 0.00 0.06 1.0 1.5 2.0 2.5 0.00 0.83 0.11 0.03 0.01 0.00 0.11 0.65 0.19 0.03 0.04 0.00 0.18 0.66 0.10 0.06 0.00 0.00 0.09 0.82 推定溝間隔(mm) 正解 (mm) 正解(mm) 全体の平均正解率は0.78 特に溝無し(None)が0.93 という結果より、 提案手法で識別可能である ことが明らかになった 6 None 1.0 1.5 None 0.98 0.00 0.02 1.0 0.00 1.00 0.00 1.5 0.00 0.20 0.80

7.

応用 筆圧を用いたID認識を用いたアプリケーション例 物理カラーパレット 各溝領域を色に対応させ、視覚で直感的に操作が分かる 7

8.

応用 筆圧を用いたID認識を用いたアプリケーション例 物理カラーパレット 各溝領域を色に対応させ、視覚で直感的に操作が分かる 8

9.

応用 筆圧を用いたID認識を用いたアプリケーション例 学習支援シート 特定の形状のシートの該当箇所をなぞると説明が表示される 9

10.

応用 筆圧を用いたID認識を用いたアプリケーション例 UI格納型シート 溝領域を呼び出しタグとして、自由に再配置する 10

11.

応用 筆圧を用いたID認識を用いたアプリケーション例 視覚支援シート ディスプレイ上のGUIが提示できない情報を物理形状で伝達する 11

12.

展望 12 溝構造の多様化による認識精度向上 溝間隔を広くする、最適な組み合わせを検討する 今回 6mm (1.0mm~2.5mm) 応用の幅は無限大 配列に規則性を持たせる アクリル板以外の多様な素材への展開 [AcousticBarcodeより]

13.

展望 13 本手法の発展可能性 ・筆記が一軸方向のみになってしまっている ・筆圧には個人差があり、人によって精度が大きく変わる可能性 縦軸方向 筆圧が強い 横軸方向 筆圧が弱い

14.

+α その他応用先 筆圧を用いたID認識手法 14

15.

まとめ 背景 TUIシステムには様々な入力方法がある 15 目的 既存のデバイスのみを用いた筆圧変化による入力手法の提案 手法 筆圧を用いたID認識手法 検証 5つの特徴量で、精度平均0.78 考察 一定水準の識別精度を既存のペン入力環境で実現できる 応用 形による視認性と筆記行為による入力を活用 展望 認識精度向上による幅広い応用への期待