イラストの部分遮蔽による作画ミス見落とし防止の研究

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February 19, 21

スライド概要

修士論文審査会で使用したスライドです。

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明治大学 総合数理学部 先端メディアサイエンス学科 中村聡史研究室

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各ページのテキスト
1.

修士論文発表(2021/02/12) イラストの部分遮蔽による 作画ミス見落とし防止の研究 髙橋 拓 (学生番号:2722192004)

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本研究の概要 研究のメインテーマ 作画ミス の 見落としを解決する 問題の調査 上級者4名が対象 一般のイラスト制作者 1000名を上限に実施

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本研究の概要 研究のメインテーマ 作画ミス の 見落としを解決する 問題の調査 手法の提案・検証 上級者4名が対象 部分遮蔽手法の 提案と有用性調査 一般のイラスト制作者 1000名を上限に実施

4.

本研究の概要 研究のメインテーマ 作画ミス の 見落としを解決する 問題の調査 手法の提案・検証 上級者4名が対象 部分遮蔽手法の 提案と有用性調査 一般のイラスト制作者 1000名を上限に実施 システム化 以上の分析をもとに 作画ミス発見に有効な システムの実装

5.

本研究の概要 研究のメインテーマ 作画ミス の 見落としを解決する 問題の調査 手法の提案・検証 上級者4名が対象 部分遮蔽手法の 提案と有用性調査 一般のイラスト制作者 1000名を上限に実施 システム化 以上の分析をもとに 作画ミス発見に有効な システムの実装

6.

背景 誰もが気軽にイラストを制作・発信できるように!

7.

作画ミスの見落とし イラスト投稿(作画直後) ミス無し、投稿!

8.

作画ミスの見落とし イラスト投稿(作画直後) ミス無し、投稿! 後日… こんな絵だっけ…?

9.

作画ミスの見落とし イラスト投稿(作画直後) ミス無し、投稿! 後日… こんな絵だっけ…? 「作画ミス」が残ったまま投稿・納品してしまう 作画ミスの見落としを回避したい!

10.

「作画ミス」の定義 模写の場合… ・目が離れている ・手が大きい ・襟の構造が違う …… 描きたいもの(正解) 描いたもの 作画ミス = 実物との差異

11.

「作画ミス」の定義 模写の場合… ・目が離れている ・手が大きい ・襟の構造が違う …… 描きたいもの(正解) 描いたもの 作画ミス = 実物との差異 → 機械的に定義・発見することが可能 [松田, 2008] [山田, 2015]

12.

「作画ミス」の定義 想像から描くイラスト(本研究の対象)の場合… ・違和感はないか? ・リアルに描く? デフォルメする? ・デザインは設定通り? …… 描きたいもの(正解) 描いたもの

13.

「作画ミス」の定義 想像から描くイラスト(本研究の対象)の場合… ・違和感はないか? ・リアルに描く? デフォルメする? ・デザインは設定通り? …… 描きたいもの(正解) 描いたもの 作画ミス = 作者の意図しない表現

14.

「作画ミス」の定義 想像から描くイラスト(本研究の対象)の場合… ・違和感はないか? ・リアルに描く? デフォルメする? ・デザインは設定通り? …… 描きたいもの(正解) 描いたもの 作画ミス = 作者の意図しない表現 → 作者自身が発見する必要がある

15.

「作画ミス」の定義 想像から描くイラスト(本研究の対象)の場合… ・違和感はないか? ・リアルに描く? デフォルメする? ・デザインは設定通り? …… 描きたいもの(正解) 描いたもの 数ヶ月・数年後に気が付けるミス = 作画時点での能力では気が付けない 数日後には気が付けるミス(本研究の対象)= 作画時点での能力で発見可能

16.

見落とされがちな作画ミス ・「デッサン狂い」と「表現のミス」が見落とされがち ・それぞれ全体的なミスと細部のミスがある

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見落とされがちな作画ミス(デッサン狂いの例) ・「デッサン狂い」と「表現のミス」が見落とされがち ・それぞれ全体的なミスと細部のミスがある 顔のバランスが悪い ・左右非対称 ・パーツの配置 人体のバランスが悪い ・手足の長さ ・顔の大きさ 立体感のないパーツ 指の本数 不自然な関節

18.

見落とされがちな作画ミス(表現のミスの例) ・「デッサン狂い」と「表現のミス」が見落とされがち ・それぞれ全体的なミスと細部のミスがある イラストの構図 キャラクタのポーズ 全体的な雰囲気 表情が硬い 装飾のデザイン ・設定に沿っていない ・好みでない

19.

見落とされがちな作画ミス(表現のミスの例) ・「デッサン狂い」と「表現のミス」が見落とされがち ・それぞれ全体的なミスと細部のミスがある イラストの構図 表情が硬い 何故見落としてしまう? キャラクタのポーズ 全体的な雰囲気 装飾のデザイン ・設定に沿っていない ・好みでない

20.

見落としの原因として想定されること ・「長時間の作画によって客観的に見ることができなくなる」 といった目や脳の「慣れ」の感覚を問題視する回答が 多く見られた ・「慣れ」を構成する感覚の中でも、 「意識の一点集中」と「思い込み」は後日自覚しやすい

21.

見落としの原因として想定されること ・「長時間の作画によって客観的に見ることができなくなる」 といった目や脳の「慣れ」の感覚を問題視する回答が 多く見られた ・「慣れ」を構成する感覚の中でも、 「意識の一点集中」と「思い込み」は後日自覚しやすい ・一点に意識が向いてしまい、全体 or 他の箇所を見ていない

22.

見落としの原因として想定されること ・「長時間の作画によって客観的に見ることができなくなる」 といった目や脳の「慣れ」の感覚を問題視する回答が 多く見られた ・「慣れ」を構成する感覚の中でも、 「意識の一点集中」と「思い込み」は後日自覚しやすい ・一点に意識が向いてしまい、全体 or 他の箇所を見ていない ・知識を参照に描いた結果、記号的な作画になる認知バイアス → 線に持たせた意味を自覚しているために客観視できない [Carmichael, 1932] [Gombrich, 1960] [Roseielle, 2009]

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見落としの原因として想定されること ・「長時間の作画によって客観的に見ることができなくなる」 といった目や脳の「慣れ」の感覚を問題視する回答が 多く見られた 慣れの状況下では、 ・「慣れ」を構成する感覚の中でも、 自身の単純な観察での作画ミス発見は困難 「意識の一点集中」と「思い込み」は後日自覚しやすい 既存の解決手法とその効果は? ・一点に意識が向いてしまい、全体 or 他の箇所を見ていない ・知識を参照に描いた結果、記号的な作画になる認知バイアス → 線に持たせた意味を自覚しているために客観視できない [Carmichael, 1932] [Gombrich, 1960] [Roseielle, 2009]

24.

既存手法と見落とし頻度 ・主に「時間経過」「他者に見せる」「縮尺変更」「左右反転」 ・経験者ほど見落としを意識し、上記の工夫を取り入れている ・何らかの工夫を回答したユーザ全体の58%が見落とし頻度を 「よくある」「たまにある」と回答

25.

既存手法と見落とし頻度 ・主に「時間経過」「他者に見せる」「縮尺変更」「左右反転」 ・経験者ほど見落としを意識し、上記の工夫を取り入れている ・何らかの工夫を回答したユーザ全体の58%が見落とし頻度を 「よくある」「たまにある」と回答

26.

既存手法と見落とし頻度 ・主に「時間経過」「他者に見せる」「縮尺変更」「左右反転」 ・経験者ほど見落としを意識し、上記の工夫を取り入れている ・何らかの工夫を回答したユーザ全体の58%が見落とし頻度を 「よくある」「たまにある」と回答 ・作画直後に自身で適用可能、慣れの状況下の効果で知られる 左右反転については美術系の大学生を対象に効果検証 → 左右バランスなどの発見に特化、網羅的な発見は未達成

27.

調査結果まとめと研究の目的 注意深いイラスト制作者にとっても、 作画ミス見落としは日常的な問題である 既存手法は効果的ではあるが、不十分 研究の目的 作画直後 の イラスト制作者自身での 作画ミス発見を促す新たな手法 の実現 既存手法と比較・対立するものではなく 併用可能な手法の実現を目指す

28.

部分遮蔽手法 [髙橋, 2020] ・イラストを部分的に隠すことで、作画直後に自分自身での 作画ミス発見を促す部分遮蔽手法を提案 ・実験によって手法の有用性を調査する 髙橋 拓, 中村 聡史: イラスト客観視のための部分遮蔽手法の検討, 情報処理学会 研究報告デジタルコンテンツクリエーション(DCC), 2019-DCC-21 (54), 1-8 (2019-01-17), 2188-8868 (2019/01/25). https://dl.nkmr-lab.org/papers/135 髙橋 拓, 中村 聡史. 作画ミス発見のためのイラストの部分遮蔽手法の検証, 情報処理学会 研究会報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI), Vol.2020-HCI-186, No.11, pp.1-8, 2020/01/14. https://dl.nkmr-lab.org/papers/220

29.

部分遮蔽手法の概要 仮説: 非遮蔽範囲内の観察と 遮蔽範囲内の想像で 作画ミス発見を促せる?

30.

部分遮蔽手法の概要 仮説: 非遮蔽範囲内の観察と 遮蔽範囲内の想像で 作画ミス発見を促せる? ・実験協力者全員が作画直後に新たな作画ミスを発見 ・主にデッサン狂いの発見が多い ・見落としてしまったミスもある(2日後に初めて発見) ・単純な注視点変化では気付かなかったミスを発見できた ・手法による感覚の変化が生じていたことがわかった

31.

部分遮蔽手法の分析 分断されたパーツ内のミスに特に有効 線をまとまりとして認識できなくなり、 バイアスの低減につながった?

32.

部分遮蔽手法の分析 「意識の一点集中」を考慮した遮蔽が重要 → 上記画像では顔に意識が集中している 顔と常に同範囲にあった腕に関するミスに気付けなかった

33.

未解決の問題点 実際に修正可能か明らかになっていない → 入力されたイラストの内容に応じて 作画ミス発見に効果的な遮蔽パターンを自動生成する 自動遮蔽システムを実装する

34.

未解決の問題点 実際に修正可能か明らかになっていない → 入力されたイラストの内容に応じて 作画ミス発見に効果的な遮蔽パターンを自動生成する 自動遮蔽システムを実装する → 実験協力者の普段のイラスト制作環境において、 実際に満足な作画ミス修正が可能であるかを指標に 本システムの効果を検証し、より効果的なシステム設計と その応用を考察する

35.

自動遮蔽システムの実装 [髙橋, 2021] ・オブジェクトのパーツ内を分割するような遮蔽 ・意識されている箇所とその周囲を分離する遮蔽 ・部分遮蔽手法の有用性調査には視線計測を用いた →パーツや意識されている箇所の推定に応用可能? ・しかし、視線計測機器は現時点では普及していない →システムの恩恵を受けられるユーザが限られる →画像内情報のみであれば誰でも利用できる(対面実験も可) 髙橋 拓, 中村 聡史. 作画ミス見落としに関する基礎調査とその防止のためのイラストの自動遮蔽システムの実現, 情報処理学会 ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI), Vol.2021-HCI-191, No.9, pp.1-8, 2021. https://dl.nkmr-lab.org/papers/290

36.

線画の閉領域 ・線で囲まれた領域(閉領域)はパーツ輪郭線の可能性が高い [Forrester, 2008] ・線画内の閉領域をパーツとして推定、これを分断する ・ランダム性を高め、特定のパーツが同範囲になる確率を減らす ・ユーザが満足するまで遮蔽を生成・提示可能

37.

遮蔽パターンの生成

38.

自動遮蔽システム ・ドラッグ&ドロップでシステムにイラストを入力 ・SHIFTで遮蔽の表示/非表示切り替え・ENTERで遮蔽再生成 ・作画ミスの発見が満足にできたと感じるまで続ける

39.

自動遮蔽システム ・ドラッグ&ドロップでシステムにイラストを入力 ・SHIFTで遮蔽の表示/非表示切り替え・ENTERで遮蔽再生成 ・作画ミスの発見が満足にできたと感じるまで続ける

40.

自動遮蔽システム ・ドラッグ&ドロップでシステムにイラストを入力 ・SHIFTで遮蔽の表示/非表示切り替え・ENTERで遮蔽再生成 ・作画ミスの発見が満足にできたと感じるまで続ける

41.

システム使用実験手順 作画タスク 単純な観察 修正タスク ・普段のイラスト制作環境 ・修正したい箇所の記入 ・この結果を元画像とする 自動遮蔽システム適用 修正タスク 2日後 ・修正したい箇所の記入 ・修正の満足度 ・最低10回は遮蔽生成 ・自動遮蔽システムの フィードバック

42.

システム使用実験手順 作画タスク 単純な観察 修正タスク ・普段のイラスト制作環境 ・修正したい箇所の記入 ・この結果を元画像とする 自動遮蔽システム適用 修正タスク 2日後 ・修正したい箇所の記入 ・修正の満足度 ・最低10回は遮蔽生成 ・自動遮蔽システムの フィードバック

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実験設計 ・イラスト初心者~中級者 9名 ・タスク→多くのパーツで構成され、正確な立体感の 描画が難しいもの ・線が閉じている必要がある 車 (車タスク) ヘッドフォンを装着したキャラクタの 胸部まで (ヘッドフォンタスク)

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実験結果(制作物の例)

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実験結果(制作物の例)

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実験結果(作画ミス回答の例) ・右側の頬をもう少しキリッとさせたい ・首が長すぎる? ・右側の肩も撫で肩にする ・首に対して、顔がもっと前 ・遮蔽してる時の方がスッキリして見えるので、 右側の頭の輪郭をもう少し小さくしてもいいかもしれない 時間経過 (見落としたミス) ・パーカーの右側が肌が見えすぎてて不自然 ・前髪ももっとふわっとしたい

47.

実験結果(作画ミス回答の例) ・右側の頬をもう少しキリッとさせたい ・首が長すぎる? ・右側の肩も撫で肩にする ・首に対して、顔がもっと前 ・遮蔽してる時の方がスッキリして見えるので、 右側の頭の輪郭をもう少し小さくしてもいいかもしれない 時間経過 (見落としたミス) ・パーカーの右側が肌が見えすぎてて不自然 ・前髪ももっとふわっとしたい

48.

実験結果(修正満足度とフィードバック) ・実験協力者全員がシステム適用で新たに作画ミスの発見 をしている ・2日後に修正の満足度を5段階で回答した ・実験協力者全員が修正に満足感を抱いている(平均4.0) ・「システムは見落とし防止に有効か?」 ・「描いている時とは違う視点で見ることができ、 ・「絵のバランスの悪さに気付くことができると感じた」 ・「システムを普段のイラスト制作でも使いたいか? ・「見落としやすい細かいミスに気付くことが出来る」 ・「専用のシステムを介するのは面倒」

49.

実験結果(修正満足度とフィードバック) ・実験協力者全員がシステム適用で新たに作画ミスの発見 をしている ・2日後に修正の満足度を5段階で回答した ・実験協力者全員が修正に満足感を抱いている(平均4.0) ・「システムは見落とし防止に有効か?」 ・「描いている時とは違う視点で見ることができた」 ・「なんとなくの違和感が具体化された」 ・「システムを普段のイラスト制作でも使いたいか?」 ・「見落としやすい細かいミスに気付くことが出来る」 ・「専用のシステムを介するのは面倒」

50.

実験結果(修正満足度とフィードバック) ・実験協力者全員がシステム適用で新たに作画ミスの発見 をしている ・2日後に修正の満足度を5段階で回答した 自動遮蔽システムによって満足なイラスト修正が可能だった ・実験協力者全員が修正に満足感を抱いている(平均4.0) 9人中6人は左右反転等の既存手法を作画中に取り入れていた ・「システムは見落とし防止に有効か?」 ・「描いている時とは違う視点で見ることができ、 本研究の目的は達成された ・「絵のバランスの悪さに気付くことができると感じた」 ・「システムを普段のイラスト制作でも使いたいか?」 ・「見落としやすい細かいミスに気付くことが出来る」 ・「専用のシステムを介するのは面倒」

51.

課題 ・バランスに関するミスが発見できず、細部のミスにのみ有効 だと感じた実験協力者がいた ・より想像を促すようなインタフェースが必要? ・似た遮蔽パターンが連続して提示されてしまった ・新鮮な視覚刺激提示のため改善が必要 ・線が繋がってないといけない ・モルフォロジー演算やスプライン補間をアルゴリズムに 取り入れることでより多くの線画に対応する必要がある

52.

今後の展望と本研究の貢献 ・既存のペイントツールのプラグインとしての 実装が求められている(Photoshop, Clip Studioなど) 本研究の貢献 ・大規模アンケートから「作画ミス見落とし」の現状や 問題点を明らかにした ・イラストの部分遮蔽手法を提案し、実験からその有用性を 明らかにした ・効果的な遮蔽を生成する自動遮蔽システムを実装し、 既存手法で見落とされた作画ミスの修正を可能にした

53.

ご清聴 or 閲覧ありがとうございました! 以下、発表時間の都合上 割愛した内容の補足スライドです

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補足(アンケート除外条件) ・無意味な文字列・支離滅裂な回答 ・明らかにイラスト制作者ではない参加者 ・「絵は描きません」など ・全ての記述に対して「特に無し」

55.

補足(アンケート参加者の属性) ・初心者~上級者まで幅広い回答者が参加 ・主に趣味でイラスト制作をしているアマチュア層 ・作画時間、投稿先、制作目的などから判断

56.

補足(KHCoderでのテキストマイニング) (出現回数10以上 Jaccard係数0.15以上) 「左右反転」「時間経過」 「他者に見せる」「縮尺変更」

57.

「工夫」と「作画ミス見落とし」の自覚 ・「工夫」と「経験年数」の対応分析 ・経験年数の少ない回答者ほど「工夫」がない ・「工夫」と「見落としの頻度」の対応分析 ・頻度は4段階で回答 ・よくある、たまにある、あまりない、全くない ・「工夫」がない人ほど「あまりない」以下を回答 「作画ミスの見落とし」を問題視するには ある程度の経験が必要 「工夫」を回答した535名を対象に分析している

58.

工夫ごとの作画ミス見落とし頻度 ・「工夫」ごとの作画ミス見落とし頻度の割合(人数) ・すべての工夫における半数以上、および全体の58%が 「よくある」「たまにある」を回答している

59.

左右反転(既存手法) 作画中や直後に自分自身で 絵の違和感に気が付ける? 古くから認知されている、 既存ペイントツールにも実装されている手法

60.

左右反転に関する事前調査 ・美術系の大学生4名に実際に絵を描いてもらった ・作画直後に左右反転することで左右のバランスの狂いを発見 ・数日後に再度確認したところ、作画ミスの見落としが発覚 網羅的な作画ミス発見はできない

61.

補足(縮尺変更) いわゆる拡大縮小ツールのこと 作画中/直後に適用可能かつ、 細部の確認と全体の俯瞰ができる 部分遮蔽手法と同じ? ・絵の情報量の削減といった観点で異なる ・一部が見えないことで 感覚の変化が起こる 記号的でない想像ができる ・デジタル作画であればそもそも拡大縮小は必須 → 効果を比較する必要はないと考える

62.

基礎調査結果まとめ ・「作画ミス見落とし」は初心者上級者を問わず、 イラスト制作者の多くに関係する問題 ・ 見落とされやすい作画ミスは、 「デッサン狂い」と「表現のミス」 ・ 効果的な既存手法が広まっているが、不十分 ・ 見落としの原因は目や脳の「慣れ」 具体的には「意識の一点集中」と「思い込み」

63.

部分遮蔽手法(仮説) ひと通り形になったのでミスを見つけたいが、 この絵がいいのか悪いのか分からない…

64.

部分遮蔽手法(仮説) ここで、イラストの一部分を遮蔽する

65.

部分遮蔽手法(仮説) このとき、遮蔽の向こう側を想像することで、 作者の理想のバランスを再認識させる

66.

部分遮蔽手法(仮説) 遮蔽されていた範囲を再度確認することで、 本来描きたかったバランスとの相違に気付ける?

67.

部分遮蔽手法(仮説) 遮蔽されていた範囲を再度確認することで、 本来描きたかったバランスとの相違に気付ける?

68.

部分遮蔽手法(仮説) 遮蔽されていた範囲を再度確認することで、 本来描きたかったバランスとの相違に気付ける?

69.

部分遮蔽手法(仮説) またこのとき、全体を見ていると気付けなかった 提示された範囲の細部のミスにも意識が向く?

70.

部分遮蔽手法の有用性調査実験 仮説: 非遮蔽範囲内の観察と 遮蔽範囲内の想像で 作画ミス発見を促せる? 3種類の作画タスク ミスに関するアンケート (修正したい箇所の記入)

71.

部分遮蔽手法の有用性調査実験 仮説: 非遮蔽範囲内の観察と 遮蔽範囲内の想像で 作画ミス発見を促せる? ・作画直後(慣れあり) ・部分遮蔽手法適用後 ・作画の2日後(慣れなし) それぞれのタイミングで回答し、 新たに発見したミスを集計 作画タスク ・手法による感覚変化 ・観察時の視線計測 ミスに関するアンケート (修正したい箇所の記入)

72.

補足(アルゴリズムの詳細)

73.

補足(アルゴリズムの詳細) ・領域Aに完全に包括された領域BはAと合体 ・例:服に対するポケットや顔に対する目・口 ・複雑な絵になった時、微細な領域はノイズになる ・Aに対するBの配置や大きさのバランスが意識できる

74.

補足(線画時に適用する理由と着色後の適用可能性) ・主なデジタルイラスト制作フロー(この限りではない): ラフ → 下書き → 線画 → 着色 → 加工 ・「作画ミス見落とし」の更なる問題点として、 「着色後や加工後に気付き修正が大変」がある ・線画は作画対象物の構造を十分に認識できる最初の タイミング → この時点でミスを修正したい ・輪郭抽出を取り入れることで着色後や主線のない絵 にも対応可能だと考える

75.

遮蔽生成回数とミス発見個数 A 車 ヘッドフォン B C D E F G H I システム適用 3 4 3 6 7 3 4 2 1 2日後 1 1 1 4 1 1 0 2 1 生成回数 12 15 16 13 13 10 14 38 25 システム適用 5 5 3 3 6 5 3 ー ー 2日後 1 2 2 3 1 2 2 ー ー 生成回数 14 24 18 13 12 11 13 ー ー ・回数と発見個数に傾向は見られない(詳細な分析ではない) ・H,Iは実験手順に誤解があった可能性がある ・遮蔽範囲の想像を促せなかった ・観察時間やその仕方を元に分析する必要がある

76.

補足(システムは見落とし防止に有効か?) 平均:4.3

77.

補足(システムを普段のイラスト制作でも使いたいか?) 平均:4.0

78.

補足(実際に見られた作画ミス発見の流れ) 初回修正前 ・こだわった点:表情・髪型 元画像 ・気に入っている点:目・眉 ・難しかった点:髪型・パーカー ・初回の修正:パーカーと身体の左右バランス・口と鼻の距離

79.

補足(実際に見られた作画ミス発見の流れ) 初回修正前 元画像 システム適用前は 主に顔とパーカー部分を 意識していると推測できる

80.

補足(実際に見られた作画ミス発見の流れ) 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24

81.

補足(実際に見られた作画ミス発見の流れ) 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 パーカーが完全に隠れ、頭部が分断 19 18 → 遮蔽範囲内の顔の想像 17 顔より下の人体バランスを意識できるように 21 22 23 20 24

82.

補足(実際に見られた作画ミス発見の流れ) 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 はじめて頭部が完全に隠れた 17 19 18 → 胴体のバランスのみを意識できるように 21 22 23 20 24

83.

補足(実際に見られた作画ミス発見の流れ) 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 19 18 #4に似ているが、遮蔽される範囲が異なる → わずかな差で気付きが変化することがわかる 21 22 23 20 24

84.

補足(実際に見られた作画ミス発見の流れ) 頭部が完全に隠れている点で#9同様だが、 3 4 1 2 首が一部見えている点で異なる → 表示されている首を基準にした想像が促され、 7 8 5 6 はじめて頭の位置のミスに気が付けた 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24

85.

補足(実際に見られた作画ミス発見の流れ) ・システム適用によって先に右肩に意識が向いた → ほぼ同位置に存在する右側パーカーに着目できず 3 1 2 4 ・肩とパーカーを分離するようなパターンが無かった 5 ・前髪に関しては#17で気付けた可能性 6 7 8 → 「ふわっとしたい」といった表現のミスの発見は不向き? 9 11 12 10 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24

86.

発見できた・できなかった作画ミス ・発見できた作画ミス ・大まかなバランスや細かなミス ・特に分断されたパーツ内のミスが多い ・表現のミスの見落としは多かった ・部分遮蔽手法が有効ではない? ・上級者が対象の実験なら得られる可能性がある ・修正したことによって増えてしまったミスが2件ある ・修正後、再度システムに入力して観察することで 発見できた可能性がある

87.

有用性を向上させるための展開 ・手法・システムの調査どちらも「表現のミス」発見が少ない → 協力者が全員初心者~中級者だったことが一因? → 上級者を対象とした実験から、発見の傾向を調査したい ・遮蔽の形状に関する議論がなされていない → 透明度の変化、境界線のぼかし、曲線の遮蔽など考える → ミス発見までの時間などの客観指標での比較を行う? ・システムに「遮蔽される」という受動性が重要? → すでに本手法・システムを経験した人を対象に、 自身で遮蔽を生成する条件と比較することで調査する