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November 30, 23
スライド概要
令和5年度の日本船舶海洋工学会秋季講演会における発表資料です
大阪大学 工学研究科 地球総合工学専攻 船舶海洋工学部門 船舶知能化領域です. 研究室の発表スライドなどを共有します. We are Ship Intelligentization Subarea, Dept. of Naval Architecture & Ocean Engineering, Div. of Global Architecture, Graduate School of Engineering, Osaka University.
令和5年 ⽇本船舶海洋⼯学会 秋季講演会 2023/11/27 ⻑波頂不規則縦波中 パラメトリック横揺れの 理論計算法の実験的検証 及び極値の計算について 勝村佳司1, Leo Dostal2, 河野⼤雅1, 丸⼭湧⽣3, 酒井政宏1, 牧敦⽣1 1⼤阪⼤学, 2Hamburg University of Technology, 3⼤阪⼤学(研究当時)
2 研究背景 不規則波中パラメトリック横揺れについて 概説 パラメトリック横揺れは 波浪中の復原⼒の変動に より起因する現象. コンテナ流出事故などが 発⽣し,問題となってい る. 例)C11級コンテナ船の 事故(1998年)[1] 理論推定法の先⾏研究 課題 1. 確率論的平均化法 (Robertsら[2][3][4], Dostalら[5]) 2. モーメント⽅程式を ⽤いる⽅法 (丸⼭ら[6]) これらの理論推定法につ いて,実験的検証をした 研究は⽐較的不⾜. ↓ 模型船動揺実験を⾏い, その結果を理論計算法 (モーメント法), シミュレーション結果と ⽐較する.
研究背景 横揺れ振幅の最⼤値の分布の推定 リスク評価の観点から, パラメトリック横揺れの 横揺れ振幅のPDF (確率密度関数)を, 理論計算法(モーメント法) 最⼤値の分布の推定が の結果を実験結果,シミュ ⼤振幅部(テール部)まで 必要. レーション結果と⽐較. 正確に推定する必要が 推定精度を検証. ある. 横揺れ振幅の最⼤値の分布 を推定. 3
4 模型船動揺実験 実験条件 対象船:C11級ポストパナマックス船 波条件: 乱数を変えて,5分×24回計測 Fig.1 Schematic view of the experiment
5 模型船動揺実験 Fig.2 The situation of the experiment
模型船動揺実験 6
7 模型船動揺実験 ⽐較する計算⼿法 ① 実験結果 横揺れ⾓の時系列データを次の ⼿法で解析し,振幅の確率密度関数 (以下,PDF)を算出する. 1)ゼロクロス間の極⼤・極⼩値 を⽤いる⽅法. 2)ヒルベルト変換を⾏い,包絡 線をとる⽅法. ② 理論計算法 モーメント⽅程式を⽤いる⽅法[6](以下, モーメント法)を⽤いて,横揺れ振幅の PDFを推定する.テール部に注⽬. ③ シミュレーション Monte Carlo Simulation(以下,MCS)に より横揺れ振幅のPDFを算出する. (丸⼭のコードを使⽤)
8 実験結果 実験結果と理論計算法・シミュレーションの⽐較 ⿊丸:実験値 ⾚丸:実験値(包絡線) 緑点:シミュレーション 紫線:理論計算法 横軸は横揺れ振幅[deg.], 縦軸は確率密度関数の値. Fig.3 PDF of roll amplitude (logarithmic scale)
9 実験結果 実験結果と理論計算法・シミュレーションの⽐較 実験値のPDF:先⾏研究の 理論推定法の結果[7][8]と 異なる. →実験中におけるYaw⾓の 変化が原因であると現時点 では考えている. 実験⽅法・理論推定法のさ らなる改良が必要. Fig.3 PDF of roll amplitude (logarithmic scale)
10 実験結果 理論計算法とシミュレーションの⽐較 PDFのテール部(⼤振幅部) において,理論推定法の結 果はシミュレーションの結 果とよく⼀致した. →横揺れ振幅の最⼤値の推 定に⽤いるのに適している. Fig.3 PDF of roll amplitude (logarithmic scale)
横揺れ振幅の最⼤値の分布 横揺れ振幅の最⼤値の分布の推定 リスク評価の観点から,横揺れ振幅の最⼤値の分布の推定法を 提案する. 横揺れ振幅の最⼤値の推定の際には,横揺れ振幅の確率密度関数 の精度が重要である. Fig.3より,⼤振幅部でMCSといい⼀致を⾒せたモーメント法に より推定する 11
12 横揺れ振幅の最⼤値の分布 理論式の導⼊ 横揺れ⾓の⺟集団から その中の最⼤値 ここで, 個の振幅を抽出. の確率密度関数 は振幅 が値 は次のように表せる[9]. をとる際のPDFの値. モーメント法により得たPDFを⽤いて,(1)より を計算し,シミュレーションと⽐較する.
13 横揺れ振幅の最⼤値の分布 の影響 が⼤きい ⼤きい横揺れに遭遇する確率が ⾼まる 横揺れ振幅の最⼤値のPDFの 形状が右よりになってゆく Fig. 4 PDF of the maximum of roll amplitudes obtained by MCS, 𝐻1/3 = 7.0 m, 𝑇01 = 10.0 s
14 横揺れ振幅の最⼤値の分布 計算結果および考察 ⿊点:シミュレーション 紫線:理論計算法 横揺れ振幅のPDFのテール 部を精度良く推定できる, モーメント法を⽤いること で,振幅の最⼤値のPDFを 定性的に説明できる. Fig. 5 Comparison of PDF of the maximum of roll amplitudes obtained theoretical method and MCS, 𝐻1/3 = 7.0 m, 𝑇01 = 10.0 s, 𝑁0 = 102
15 結⾔ 横揺れ振幅の推定:実験結果と理論計算法の⽐較 ⻑波頂不規則縦波中のパラメトリック横揺れについて,実験結果 と理論計算・シミュレーション結果を⽐較し,横揺れ振幅のPDF の推定精度の検証を⾏なった. 実験結果: 理論計算結果より全体的に⼩さい値をとった. ハンプとホローのある形状. →実験中のYaw⾓の変化が原因? さらなる考察や実験⽅法の改良が必要.
結⾔ モーメント法を⽤いた振幅の最⼤値の分布の推定 また,理論計算法(モーメント法)による推定結果は,特にPDFの テール部でMCSの結果とよく⼀致した. モーメント法を⽤いて横揺れ振幅の最⼤値の分布を定性的に推定 できた. →さらなる推定精度向上のため,パラメトリック横揺れ振幅の理論 計算法の発展が望まれる. 16
今後の展望 現在⾏っている研究 パラメトリック横揺れの舵減揺 パラメトリック横揺れを舵制御により積極的に防ぐ. ポート・ハミルトン系を導⼊し,Yaw-Rollの連成やアクチュエータ の遅れを考慮した制御⼿法を検討中. 阪⼤⻑⽔槽での⾃由航⾛模型試験も予定している. 17
参考⽂献 [1]W. N. France et al.: An investigation of head-sea parametric rolling and its influence on container lashing systems, Marine technology and SNAME news, Vol. 40, No. 1, pp. 1–19, 2003. [2] J. B. Roberts: Effect of parametric excitation on ship rolling motion in random waves, Journal of Ship Research, Vol. 26, No. 4, pp. 246–253, 1982. [3]J.B. Roberts, P. Spanos: Stochastic averaging: An approximate method of solving random vibration problems, International Journal of Non-Linear Mechanics, Vol. 21, No. 2, pp. 111–134, 1986. [4] J.B.Roberts, M.Vasta: Markov modelling and stochastic identification for nonlinear ship rolling in random waves, Philosophical Transaction of Royal Society of London A, Vol. 358, pp. 1917–1941, 2000. [5]L. Dostal, E. Kreuzer: Probabilistic approach to large amplitude ship rolling in random seas, Proceedings of the Institution of Mechanical Engineers, Part C: Journal of Mechanical Engineering Science, Vol. 225, No. 10, pp. 2464–2476, 2011. [6]Y. Maruyama et al.: Application of linear filter and moment equation for parametric rolling in irregular longitudinal waves, Journal of Marine Science and Technology, Vol. 27, pp. 1252–1267, 2022. [7] Y. Maruyama et al.: Improved stochastic averaging method using hamiltonian for parametric rolling in irregular longitudinal waves., Journal of Marine Science and Technology, Vol. 27, No. 1, pp. 186–202, 2022. 18
参考⽂献 [8] A. Maki et al.: A perspective on theoretical estimation of stochastic nonlinear rolling, Proceedings of the 17th International Ship Stability Workshop, Helsinki, Finland, pp. 39–46, 2019. [9]合⽥良寛: 耐波⼯学 港湾・海岸構造物の耐波設計, ⿅島出版会, pp.217-223, 2008. 19