Logics of Blue
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奥村 泰之
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グループごとの日中活動による 利用者と職員の変化 社会福祉法人 広島県同胞援護財団 障害者支援施設 西志和農園 どうえん大手町児童デイサービス 吉岡 衆 (臨床心理士・公認心理師) 行動分析学会 自主シンポジウム 2026.8.28
1.自己紹介 (臨床経験) ・障害者支援施設(倉敷)に 3年 ・現職(社会福祉法人 広島県同胞援護財団) に 現在7年目 ※障害者支援施設 西志和農園 及び どうえん大手町児童デイサービス に勤務 ・ご利用者様の行動アセスメント(主にASDの方) ・直接支援(排泄支援、入浴支援など) ・職員へのコンサルテーション 障害者支援施設 西志和農園 ・職員へのコンサルテーション ・保護者支援(発達相談など) ・保育所等訪問支援 訪問員 どうえん大手町児童デイサービス 徳山壮磨 広報担当
2.本発表の目的について 〇障害者支援施設 西志和農園は、もともと高齢化の課題を抱えていた が、近年急速に若い自閉スペクトラム症の利用者(以下、ASD者)の 入所が続いていた。 職員は、介護度の高い他利用者の支援に手を取られASD者へ十分な 支援ができず、少しずつ他害といった不適応行動が確認され始めた。 〇そこで本施設は、ニーズごとに利用者をグループに分けて日中活動を 実施した。 〇本発表では、本施設での取り組みとそれに伴うASD者・職員の変化を 通して、QOLの向上に資する支援を考えて行きたい。
3.障害者支援施設 西志和農園について ・知的障害が主。ASD者は、 2022年頃まで1~2名のみ。 ●2025年 グループ分け(介入) 本発表 ●2022年 ASD者の増加 ・特別支援学校を卒業して入所するASD者が増加(平均年齢が 10下回る)。次第に、他害といった不適応行動を確認。 ・少しずつ日中活動提供再開するが、週に数回不定期で実施。 ●2020年 コロナ禍 ・コロナ禍をきっかけに、日中活動の提供は縮小。 ・高齢化に伴う介護ニーズの高い利用者が急増。 ●2000年 建物改修 ・高齢化から農作業ができない方が数名いたが、室内での作業を整備し日中活動を継続。 ●1955年 設立 ・農業を中心に畜産や園芸などが主な日中活動
4.介入前の日中活動について デイルーム 定員60名 二人部屋
4.介入前の日中活動について 地域交流広場 定員60名 二人部屋
4.介入前の日中活動について 主な活動内容 1日の流れ 5:00 起床 7:30 朝食 10:00 日中活動※ 11:30 昼食 13:00 日中活動※ 15:00 入浴 17:30 夕食 20:00 就寝 ※明確に決まっている予定は、 赤字のみ。 折り鶴解体作業 洗濯整理の手伝い カラオケ 動画鑑賞 ※新しい活動をやろうにも、当日まで参加する利用者が分からないため、 今までしたことがある上記の活動にかたまっていた。 提供頻度 実質的には週2~3回程度。職員の状況によって、 中止となることが多かった。 活動への参加方法 ・デイルームで職員から声をかけられる ・自発的に“やりたい”と意思表示をする ・放送での呼びかけを聞いて、ホールへ移動する
5.施設内での不適応行動について 突如 窓ガラスを叩く Ipadを充電してほしい 走ってきて他利用者の 首をひっかく 少し前に聞いたその他利用者の声が嫌だった ことを思い出した 強引に職員の 持っているものを盗る 菓子袋の裏面のキラキラが欲しいけど、 もらえない 食堂前で 他利用者の髪を 引っ張る いつご飯を食べられるのかわからない 理由のわからない不適応行動から、 突然隣の うるさい今の環境から離れたい 他利用者を押す 職員は不安を抱き、相互に コミュニケーションが減っていた。
5.施設内での不適応行動について (目標) ASD者が適応行動をしやすい環境を整え、 職員がポジティブな反応を示すことで、適応的な行動を増やす 交代勤務で 同一の支援が できない 他利用者の支援に 手を取られて 支援ができない ASD者の変化を認識で きず、職員のモチベー ションが上がらない そもそも“適応的な行動をしやすい環境”が、 現日中活動の構造ではできない
6. グループ活動の実施(介入方法) 約半年をかけてニーズを整理し、活動場所の整理や利用者、職員の グループ分けをおこなった。 活動は“午前中に”2025年10月から週3回、2026年4月から週5回、 と段階的にスタートした。 ①グループ ② 机上作業を主におこなうグループ ④ ②グループ 農作業を主におこなうグループ ① ③グループ 介護ニーズが高いグループ ④グループ ASDを中心としたグループ 利用者:7名(男性4名、女性3名) 職員1~2名 ③
6. グループ活動の実施(介入方法) ① 流れのルーティン化 ② 座席や物品の場所の固定 ③ 余暇グッズの増加と 手に取りやすい環境 活動の開始と終わりには、音楽 をかけて、行動開始のきっかけ (キュー)となるようにした。 一つだけ職員が考えた活動を提示 週一回はASD者にニーズの高い ドライブを設定
7. 結果(ASD者の変化について) (Bさん) 参加率の上昇とともに、不適 応行動(ごみを集める、外に出 ようとする)が減り、自ら職員と コミュニケーションをとるように なった。 ベースライン 週3回 週5回 グループ活動
7. 結果(ASD者の変化について) グループ活動の前後で不適応行動の明確な減少はなかった… 不適応行動:壁、窓を叩く 入所前からあり、散歩などしたいことが できない時や、余暇のタブレットができな い時に不適応行動があることが分かった。 2026年1月 ① 散歩を毎日の予定に組込み、 イラストのスケジュールで提示した。 ② タブレットをカードなどで要求できる よう練習をおこなった 結果:表の通り減少 ① 活動への参加率は増え、次第に不適 応行動も減少した。 ② カードでの要求はムラがあるが、本人 の訴えを理解できる職員が増え、不適応 行動が起きる前に防げることが増えた。 7:00~9:00 2 9:00~11:00 10 Sat. Sun. 7 5 3 2 16 11:00~13:00 7 10 10 27 13:00~15:00 10 10 1 21 不適応行動 15:00~17:00 1 2 (壁・窓を叩く) 17:00~19:00 3週目 介入:グループの職員で協議 Mon. Tues. Wed. Thus. Fri. 活動開始から 3か月後 total 支援開始から 6か月後 8 7 18 3 10 4 24 1 2 23 10 31 32 18 Mon. Tues. Wed. Thus. Fri. 16 19 149 Sat. Sun. 0 1 1 2026年7月 11:00~13:00 3週目 13:00~15:00 0 1 1 15:00~17:00 0 不適応行動 17:00~19:00 (壁・窓を叩く) total 18 2 7:00~9:00 9:00~11:00 57 1 0 1 1 1 1 2 1 0 0 4
7. 結果(職員の変化について) ※過去10年間でおこなったない活動 且つ1~6年目の若手職員が考案した活動 新しい活動※の 割合 17% 67% 活動の種類 12種類 21種類 ネギ作業 ボッチャ 風船バレー ボーリング 映画鑑賞 フライングディスク カラオケ 手形アート 洗濯整理 折り鶴解体 足浴 アロマ 2025年1月~9月で集計 清掃活動 絵カルタ 手形アート 買い物 バドミントン フライングディスク 習字 短冊の製作 栞づくり ハサミ作業 シュレッター作業 花の種やり・世話 パズル 漢字プリント 散歩 ドライブ 折り紙工作 絵具アート ダンス サッカー ドッチボール 2025年10月~翌年7月で集計
8. 考察 (ASD者の変化について) ・日中活動への参加率は増加、自発的な行動も増えた。 ルーティン化された流れが見通しにつながり、提供される活動が個別化され、 「やりたい・できる」活動であり、参加意欲につながったのではないか。 ・グループごとの活動がASD者全員の不適応行動を減少させたわけではない。 日中活動以外の時間では見通しがつきにくく、個別化された環境ではない (今後の課題)。 1日数時間ではあるが、個別的に関われる時間が増え、適応行動を学習し てもらう、もしくは本人の要求に答えられる時間が確保できたことが、不適応 行動の予防につながったとのではないか。
8. 考察 (職員の変化について) ・提供する日中活動のレパートリーが増え、職員からASD者へポジティブな コミュニケーションを取ることが増えた。 グループ活動によって職員はASD者を個別に観察できることが増え、個々 の特性や不適応行動の理由や、嗜好、個々が持っているスキルを理解しや すくなったのではないか。そのため、「これならできるかもしれない」と新しい 日中活動提供に意欲的になったと予想される。 また足立・榊原(2016)は、障害者支援施設において「相互理解の困難さ」 が職員の主要なストレッサーになることを示唆しており、相互理解が深まった ことで職員からのポジティブなコミュニケーションが増えたと推察された。 足立匡基・榊原久直(2016)障害者施設支援員の支援困難場面に対する認知的評価と職業性ストレス反応の関連. 特殊教育学研究, 53(5),313-322.
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