「更生保護ボランティア」に関する実態調査ー保護司を中心としてー

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October 24, 22

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「総務省」「広報・報道」「報道資料一覧」「2021年1月29日」
https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/hyouka_030129000146942.html

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「更生保護ボランティア」に関する実態調査 -保護司を中心として- 結 果 報 告 書 令和 3 年 1 月 総務省行政評価局

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前 書 き 我が国では、刑法犯検挙者に占める再犯者の割合が、平成 8 年の 27.7%以降一貫して上昇 し続け、28 年では 49%となっており、安全・安心な社会の実現のためには再犯防止が極め て重要となっている。再犯防止の一翼を担うとされる更生保護(保護観察対象者等の立ち直 りの指導・支援)については、保護観察対象者約 6.6 万人(平成 29 年)に対し、保護観察 官は 1,375 人(28 年度末定員)にとどまり、保護司(29 年 1 月現在約 4.8 万人)を始め、更 生保護女性会(29 年 4 月 1,294 地区会)、BBS会(29 年 4 月現在 472 地区会)、協力雇用 主(29 年 4 月現在約 1.9 万人)といったいわゆる「更生保護ボランティア」や更生保護施設 (29 年 4 月現在 103 施設)等の民間の方々の協力なくして、その実施は困難な状況にある。 とりわけ、保護司は、保護観察対象者である犯罪をした人又は非行のある少年が、実社会 の中でその健全な一員として更生するよう、保護観察官と協働して指導監督及び補導援護を 行うものとされている保護観察等を行うなど、更生保護の中核の役割を果たしている。保護 司制度については、保護観察対象者の抱える問題の複雑・多様化等による処遇活動の困難化 に加え、保護司の自宅が保護観察対象者によって放火される事件の発生や、刑の一部執行猶 予制度の法整備といった動向を踏まえ、法務省と全国保護司連盟が共同で「保護司制度の基 盤整備に関する検討会」を立ち上げ、平成 24 年 3 月に保護司候補者の確保と保護司の育成 等四つの観点で報告書を取りまとめ、今後の基盤整備の方向性について提言として示してい る。その後、法務省は、この提言も踏まえ、保護司の安定的確保の課題に対し、本省、地方 更生保護委員会及び保護観察所と保護司組織が一体的に取り組む必要があるとして、平成 26 年 3 月、当面の対応の方向性を定めた「保護司の安定的確保に関する基本的指針」(以下 「基本的指針」という。)を全国保護司連盟と共同で策定し、基本的指針に基づき様々な取 組を進めてきている。 しかし、近年、保護司の高齢化が進んでおり、再任時上限年齢の到来等によって今後 10 年で約半数の 2.3 万人が退任する見込みとなっている。その上、保護司の担い手確保も年々 困難になっているとの指摘があるなど、その活動の継続が危惧される状況にある。 この実態調査は、以上のような状況を踏まえ、保護司が果たしている役割の重要性を踏ま えつつ、保護司制度が将来にわたって持続可能なものとなるよう、基本的指針に基づき進め られている取組等に関して、保護司活動に対する指導・支援の充実及び保護司の担い手の安 定的な確保を図る観点から、保護司活動の実施状況、国による保護司への指導・支援の実施 状況、保護司活動に関する都道府県・市町村との連携の状況等を調査し、関係行政の改善に 資するために実施したものである。 なお、今回の調査に当たっては、保護司の方々に対し、活動の実態や活動に対して不安・ 負担に感じていることなどをお聴きするため、アンケート調査や実地調査を実施したところ、 非常に多くの方々から御回答を頂いた。この場をお借りして厚く御礼申し上げる。頂いた御 意見等は可能な限り報告書に記載し、現場の声を伝えることに努めた。 この実態調査の結果が、今後の保護司活動に対する指導・支援の充実及び保護司の担い手 の安定的な確保の一助となれば幸いである。

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目 次 第1 実態調査の目的等 ·························································· 1 第2 実態調査結果 ······························································ 2 1 更生保護及び保護司をめぐる状況 ············································· 2 ア 検挙者及び再犯者の動向 ················································· 2 イ 更生保護の概要 ························································· 2 ウ 保護司の概要 ·························································· 12 (ア) 身分、人員、年齢、職業等 ············································· 12 (イ) 活動に対するやりがいの声 ············································· 17 エ 更生保護及び保護司に関する近年の動向 ·································· 20 2 保護司の活動に関するアンケート調査の結果 ·································· 23 3 調査結果及び分析等 ························································ 26 ⑴ 保護司活動に対する指導・支援に関する取組 ································ 26 ア 保護司の育成 ·························································· 26 (ア) 保護観察事件等の担当保護司の指名 ···································· 26 (イ) 担当保護司の複数指名 ················································ 36 (ウ) 保護観察官・先輩保護司等のサポート ·································· 44 イ 保護司の活動環境の整備 ················································ 58 (ア) 保護観察対象者との面接場所の確保支援 ································ 58 (イ) 報告書に係る情報技術の活用 ·········································· 78 (ウ) 地域別定例研修の運営 ················································ 87 (エ) 協力雇用主名簿の取扱い ············································· 100 (オ) 都道府県・市町村との連携 ··········································· 106 ⑵ 担い手確保に関する取組 ················································· 113 ア 保護司候補者の確保のための方策 ······································· 113 (ア) 保護司候補者検討協議会等 ··········································· 114 (イ) 市町村等の協力 ····················································· 128 イ 保護司候補者の年齢制限の運用 ········································· 138 ウ 保護司活動の理解の促進・関心の喚起 ··································· 149 ⑶ (ア) 保護司活動インターンシップ ········································· 149 (イ) 保護司活動の広報 ··················································· 154 まとめと所見 ··························································· 165

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4 資料 ····································································· 171 ⑴ アンケート調査における自由記入欄の意見等 ······························· 174 ⑵ 法令、通知等 ··························································· 181

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第 1 実態調査の目的等 1 目的 この実態調査は、保護司活動に対する指導・支援の充実及び保護司の担い手の安定的な 確保を図る観点から、保護司活動の実施状況、国による保護司への指導・支援の実施状況、 保護司活動に関する都道府県・市町村(特別区を含む。以下同じ。)との連携の状況等を 調査し、関係行政の改善に資するために実施したものである。 対象機関 2 ⑴ 調査対象機関 法務省 ⑵ 関連調査等対象機関 都道府県(16)、市町村(63)、保護司会(68)、保護司(136) 保護司 136 人以外に「保護司の活動に関するアンケート調査」を実施した。 調査の対象:全国の保護司 4,700 人 有効回収数:4,001 人(回収率 85.1%) 調査の時期:平成 31 年 2 月 8 日~2 月 28 日 3 担当部局 行政評価局 管区行政評価局 全局(北海道、東北、関東、中部、近畿、中国四国、九州) 四国行政評価支局 沖縄行政評価事務所 行政評価事務所 1 事務所(東京) 4 実施時期 平成 30 年 12 月~令和 3 年 1 月 1

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第 2 実態調査結果 1 更生保護及び保護司をめぐる状況 ア 検挙者及び再犯者の動向 近年、刑法犯により検挙された者は、図 1-①のとおり、平成 16 年の 38 万 9,027 人をピーク として年々減少し続け、30 年では 20 万 6,094 人となっている。また、刑法犯検挙者数のうち再 犯者数も、18 年の 14 万 9,164 人をピークとして年々減少し、30 年では 10 万 601 人となってい る。しかし、再犯者率(刑法犯検挙者数に占める再犯者数の割合をいう。 )をみると、8 年の 27.7% 以降、約 20 年間一貫して上昇し続けており、30 年では 48.8%となっている。 図 1-① 刑法犯検挙者数中の再犯者数及び再犯者率の推移 50(%) (人)500,000 再犯者率 389,027 48.8 40 400,000 27.7 30 300,000 初犯者 206,094 20 200,000 149,164 100,000 10 100,601 再犯者 -0 0平成 5 8 16 18 30 (注)1 平成 30 年版犯罪白書及び令和元年版再犯防止推進白書による。 2 「再犯者」は、刑法犯により検挙された者のうち、前に道路交通法(昭和 35 年法律第 105 号)違反を除く犯罪 により検挙されたことがあり、再び検挙された者をいう。 3 「再犯者率」は、刑法犯検挙者数に占める再犯者数の割合をいう。 イ 更生保護の概要 (更生保護の役割) 更生保護は、犯罪をした人や非行のある少年を社会の中で適切に処遇することにより、その 再犯を防ぎ、非行をなくし、これらの人たちが自立し改善更生することを助けることで、社会 を保護し、個人と公共の福祉を増進しようとする活動である。我が国における更生保護は、保 護司を始めとするいわゆる「更生保護ボランティア」や、更生保護施設等の民間の方々のほか、 更生保護に対する理解と協力の下、関係機関・団体との幅広い連携によって推進されている。 更生保護の内容には、主として、保護観察、生活環境の調整(以下「生活環境調整」という。) 、 犯罪予防活動などがある。 2

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(更生保護を担う機関) 更生保護を担う国の主な機関には、法務省保護局、地方更生保護委員会、保護観察所、保護 観察官等があり、その概要は次のとおりである。 〔更生保護を担う国の主な機関の概要〕 法務省保護局 仮釈放、保護観察、恩赦、犯罪予防活動等に関する企画・立案などの事務を行って いる。 地方更生保護 委員会 各高等裁判所の管轄区域ごとに全国 8 か所に設置されている。ⅰ)仮釈放及び仮 出場の許可並びに仮釈放の取消し、ⅱ)少年院からの仮退院及び退院の許可、ⅲ)不 定期刑の終了、ⅳ)その他法律に定められた事務に関する権限を有する合議機関で、 3 人以上 15 人以下の委員で構成されている。 保護観察所 各地方裁判所の管轄区域ごとに全国 50 か所に置かれ、更生保護の第一線の実施機 関として、保護観察、生活環境調整、更生緊急保護、恩赦の上申、犯罪予防活動など の事務を行っている。 保護観察官 医学、心理学、教育学、社会学その他の更生保護に関する専門的知識に基づき、保 護観察、調査、生活環境調整その他犯罪をした人や非行のある少年の更生保護並びに 犯罪の予防に関する事務に従事する国家公務員である。 (注)法務省の資料を参考にして、当省が作成した。 (保護観察の概要) 保護観察は、犯罪をした人や非行のある少年が、実社会の中でその健全な一員として更生す るように、保護観察官及び保護司が協働して、指導監督及び補導援護を行うもの(図 1-②参照) であり、その対象となる者は、表 1-①のとおりである。 なお、保護観察は、刑務所等の矯正施設で行われる施設内での処遇に対し、社会の中(施設 外)で処遇を行うものであることから「社会内処遇」と言われている。 また、保護観察までの司法手続の流れは、図 1-③のとおりである。 図 1-② 保護観察の流れ 保 護 観 察 開 始 指導監督 ・ 面接その他の適当な方法により保護観察対象者と接触を保ち、その 行状を把握する。 ・ 保護観察対象者が遵守事項を守り、生活行動指針に即して生活・行 動するよう必要な指示その他の措置を採る。 ・ 特定の犯罪的傾向を改善するための専門的処遇を実施する。 補導援護 ・ 適切な住居等を得たり、同所へ帰住するよう助けたりする。 ・ 医療・療養、職業補導・就職、教養訓練を得るよう助ける。 ・ 生活環境の改善・調整、生活指導等を行う。 改 善 更 生 保 護 観 察 終 了 (注)1 法務省の資料による。 2 指導監督の方法については、更生保護法(平成 19 年法律第 88 号)第 57 条に、補導援護の方法については、同 法第 58 条に規定されている。 3

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表 1-① 保護観察対象者の種別及び保護観察の期間 保護観察処分少年 (1号観察) 少年院仮退院者 (2号観察) 仮釈放者 (3号観察) 保護観察付執行猶予者 (4号観察) 婦人補導院仮退院者 (5号観察) 保護観察対象者 家庭裁判所で保護観察に付された少年 保護観察の期間 20歳まで又は2年間 少年院からの仮退院を許された人 原則として20歳に達するまで 刑務所等からの仮釈放を許された人 残刑期間 裁判所で刑の全部又は一部の執行を猶予 され保護観察に付された人 婦人補導院からの仮退院を許された人 執行猶予の期間 補導処分の残期間 (注)1 法務省の資料を参考にして、当省が作成した。 2 1 号、2 号、3 号及び 4 号観察については、それぞれ更生保護法第 48 条に、5 号観察については、売春防止法 (昭和 31 年法律第 118 号)第 26 条に規定されている。 3 保護観察処分少年の保護観察には、一般の保護観察、短期保護観察、交通事件の保護観察、交通短期保護観察 がある。交通短期保護観察とは、交通事件により保護処分に付された少年のうち、家庭裁判所から短期間の保護 観察を行う旨の処遇勧告がなされたものである。 図 1-③ 刑事司法手続の流れ (注)法務省の資料による。 4

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全国の保護観察所で取り扱った保護観察事件の年間取扱件数の経年推移をみると、図 1-④の とおり、平成 14 年の 14 万 4,740 件をピークとして年々減少し続けており、30 年ではピーク時 の半数以下の 6 万 1,615 件となっている。また、保護観察事件の各年末現在の係属件数の経年 推移をみても、図 1-⑤のとおり、平成 14 年の 6 万 9,601 件をピークとして年々減少し続けてお り、30 年ではピーク時の半数以下の 2 万 9,020 件となっている。 図 1-④ 保護観察事件の年間取扱件数の推移 (件)160,000 143,418 144,740 140,000 120,000 100,000 80,000 65,930 61,615 60,000 40,000 20,000 0 - 平成 11年 14年 20年 25年 30年 (注)1 保護統計に基づき、当省が作成した。 2 各年の件数は、当該年の開始事件の件数と、前年から継続して保護観察中の事件の件数を足し合わせた値であ る。 図 1-⑤ 保護観察事件の年末現在の係属件数の推移 (件)80,000 70,000 67,278 69,601 60,000 50,000 40,000 30,770 29,020 30,000 20,000 10,000 0 - 平成 11年 14年 20年 (注)1 保護統計に基づき、当省が作成した。 2 各年の件数は、各年末現在において保護観察中の事件の件数である。 5 25年 30年

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保護観察事件の年間取扱件数について保護観察対象者の種別の割合をみると、図 1-⑥のとお り、年間取扱件数がピーク時の平成 14 年では保護観察処分少年(1 号観察)が約 6 割を占めて いるのに対し、30 年では約 4 割となり大きく低下している一方で、仮釈放者(3 号観察)や保 護観察付執行猶予者(4 号観察)の割合が上昇傾向にある。 図 1-⑥ 保護観察対象者の種別の割合の推移 0% 10% 20% 30% 平成14年 40% 50% 60% 70% 60.7% 20年 9.1% 51.4% 25年 9.3% 48.6% 30年 41.8% 2号観察 17.3% 17.2% 27.8% 3号観察 100% 14.6% 24.5% 8.8% 90% 15.5% 21.9% 9.6% 1号観察 80% 21.6% 4号観察 (注)1 保護統計に基づき、当省が作成した。 2 保護観察事件の年間取扱件数に占める割合である。 3 5 号観察については、それぞれの当該年においては 0%(0 件)である。 4 割合は、小数点第 2 位を四捨五入しているため、合計が 100 にならない場合がある。 保護観察事件の年間開始件数について保護観察期間別の割合をみると、図 1-⑦のとおり、平 成 20 年では、 「2 年以内」 (17.8%)の割合が最も高く、次いで「6 か月以内」 (16.9%) 、 「3 年 以内」 (14.5%)、 「4 年以内」 (13.5%)の順であり、30 年では、20 年と同様に「2 年以内」 (21.2%) の割合が最も高く、次いで「6 か月以内」 (20.0%) 、 「3 年以内」 (12.7%)の順となっているが、 その次は「1 年以内」 (10.5%)となっている。この 10 年間を比較すると、2 年以内の比較的短 い保護観察期間の占める割合が高くなってきている傾向にある。 図 1-⑦ 保護観察事件の保護観察期間別の割合の推移 0% 平成20年 0.5% 6.6% 10% 20% 7.5% 30% 16.9% 40% 50% 10.4% 60% 17.8% 70% 14.5% 80% 90% 13.5% 9.6% 1.2% 25年 7.5% 3.0% 0.0% 8.3% 18.5% 9.3% 16.4% 13.4% 12.4% 10.1% 1.5% 30年 8.8% 1月以内 3年以内 100% 2.6% 0.0% 1.1% 9.0% 2月以内 4年以内 20.0% 10.5% 3月以内 5年以内 21.2% 6月以内 5年を超える (注)1 保護統計に基づき、当省が作成した。 2 保護観察事件の年間開始件数に占める割合である。 6 12.7% 1年以内 無期 9.7% 2年以内 5.6% 0.0%

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3 4 交通短期保護観察対象者の数は含まない。 割合は、小数点第 2 位を四捨五入しているため、合計が 100 にならない場合がある。 保護観察事件の年間開始件数について保護観察対象者の年齢層別の割合をみると、図 1-⑧の とおり、平成 20 年では、約 5 割を占める「19 歳以下」(49.8%)の割合が最も高く、次いで、 「30~39 歳」 (14.4%)、 「20~29 歳」 (12.8%)の順であり、30 年では、20 年と同様に「19 歳 以下」 (38.3%)が最も高いが、次いで「40~49 歳」 (16.8%)、 「30~39 歳」 (15.0%)となって いる。この 10 年間で 19 歳以下の割合が 10 ポイント以上低下している一方で、40 歳以上の割合 が大幅に上昇しており、保護観察対象者の高齢化が進んでいる。 図 1-⑧ 保護観察対象者の年齢層別の割合の推移 0% 10% 20% 平成20年 30% 40% 50% 49.8% 60% 12.8% 70% 80% 14.4% 90% 3.6% 11.0% 100% 0.8% 7.7% 5.0% 1.7% 25年 46.7% 10.8% 14.3% 13.9% 7.6% 5.3% 2.8% 30年 38.3% 19歳以下 (注)1 2 3 4 20~29歳 11.2% 30~39歳 15.0% 40~49歳 16.8% 50~59歳 10.7% 60~69歳 70歳以上 保護統計に基づき、当省が作成した。 保護観察事件の年間開始件数に占める割合である。 交通短期保護観察対象者の数は含まない。 割合は、小数点第 2 位を四捨五入しているため、合計が 100 にならない場合がある。 保護観察対象者(仮釈放者及び保護観察付執行猶予者)の類型の認定状況(注)について平成 20 年と 30 年とを比較してみると、表 1-②のとおり、いずれにおいても「覚醒剤事犯」及び「無職 等」が高い割合を占めている。また、30 年においては総数が減少しているにもかかわらず、こ れら 2 類型のほか「性犯罪等」 、 「精神障害等」、 「高齢」及び「家庭内暴力」のそれぞれの合計は 増加している。 (注)保護観察対象者の問題性その他の特性について、その犯罪・非行の態様等によって類型化して把握し、類型ごと に共通する問題性等に焦点を当てた効率的な処遇を実施することにより、保護観察の実効性を高めることを目的 として認定している。 7

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表 1-② 保護観察対象者の類型認定状況 (単位:人、%) 平成 20 年 区分 総数 シンナー等乱 用 覚醒剤事犯 問題飲酒 暴力団関係 暴走族 性犯罪等 精神障害等 高齢 無職等 家庭内暴力 児童虐待 配偶者暴力 ギャンブル等 依存 合計 19,593 (100) 221 (1.1) 2,826 (14.4) 1,910 (9.7) 600 (3.1) 105 (0.5) 1,523 (7.8) 1,179 (6.0) 873 (4.5) 2,648 (13.5) 220 (1.1) 64 (0.3) 117 (0.6) 1,244 (6.3) 仮釈放者 6,489 (100) 63 (1.0) 1,490 (23.0) 539 (8.3) 179 (2.8) 21 (0.3) 302 (4.7) 171 (2.6) 353 (5.4) 1,038 (16.0) 23 (0.4) 15 (0.2) 7 (0.1) 554 (8.5) 30 年 保護観察付 執行猶予者 13,104 (100) 158 (1.2) 1,336 (10.2) 1,371 (10.5) 421 (3.2) 84 (0.6) 1,221 (9.3) 1,008 (7.7) 520 (4.0) 1,610 (12.3) 197 (1.5) 49 (0.4) 110 (0.8) 690 (5.3) 合計 14,638 (100) 58 (0.4) 3,734 (25.5) 1,571 (10.7) 181 (1.2) 12 (0.1) 1,549 (10.6) 2,179 (14.9) 1,288 (8.8) 3,465 (23.7) 396 (2.7) 101 (0.7) 187 (1.3) 1,147 (7.8) 仮釈放者 4,731 (100) 18 (0.4) 1,526 (32.3) 547 (11.6) 81 (1.7) 4 (0.1) 288 (6.1) 561 (11.9) 525 (11.1) 1,686 (35.6) 47 (1.0) 17 (0.4) 27 (0.6) 638 (13.5) 保護観察付 執行猶予者 9,907 (100) 40 (0.4) 2,208 (22.3) 1,024 (10.3) 100 (1.0) 8 (0.1) 1,261 (12.7) 1,618 (16.3) 763 (7.7) 1,779 (18.0) 349 (3.5) 84 (0.8) 160 (1.6) 509 (5.1) (注)1 犯罪白書に基づき、当省が作成した。 2 各年 12 月 31 日現在の類型認定状況である。 3 平成 30 年の「保護観察付執行猶予者」については、保護観察付全部執行猶予者及び保護観察付一部執行猶予者 の合計である。 4 複数の類型に認定されている者については、該当する全ての類型について計上している。 5 ( )内は、各年 12 月 31 日現在、保護観察中の仮釈放者及び保護観察付執行猶予者の各「総数」 (類型が認定 されていない者を含む。 )に占める各類型に認定された者の割合である。 (生活環境調整の概要) 生活環境調整は、刑務所等や少年院などの矯正施設に収容されている人の釈放後の住居や就 業先などの帰住環境を調査し、改善更生と社会復帰にふさわしい生活環境を整えることによっ て、仮釈放等の審理の資料等にするとともに円滑な社会復帰を目指すものである。 8

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図 1-⑨ 生活環境調整の流れ 保護観察所 矯 正 施 設 に 収 容 の保護観察 官・保護司 家族や引受人等 被収容者本 との話合いによ 人との話合 る、被収容者の 家庭、近隣、交友 いによる、 調査・調整の結果に基 づき、被収容者本人が 仮釈放等審理 などへの活用 釈放後に居住する予定 の居住地に帰ることの 現在の状況 可否に関する保護観察 による生活 関係、被害弁償、 環境調整を 釈放後の生計の や将来の希 所長の意見を付して地 開始 見込みなどの調 望などの調 方更生保護委員会・矯 査・調整 査・調整 正施設に通知 矯正処遇など への活用 仮釈放等によ る保護観察へ の活用 (注)法務省の資料による。 全国の保護観察所で取り扱った生活環境調整事件の年間取扱件数の経年推移をみると、図 1⑩のとおり、平成 25 年の 11 万 6,448 件以降は年々減少し続けており、30 年では 8 万 5,781 件 となっている。また、生活環境調整事件の各年末現在の係属件数の経年推移をみても、図 1-⑪ のとおり、平成 24 年の 6 万 1,234 件以降は年々減少し続けており、30 年では 4 万 4,624 件と なっている。 図 1-⑩ 生活環境調整事件の年間取扱件数の推移 (件)140,000 120,000 118,239 116,448 90,926 100,000 85,781 80,000 60,000 40,000 20,000 0 (注)1 保護統計に基づき、当省が作成した。 2 各年の件数は、各年に開始した生活環境調整事件と当該年の前年から継続している生活環境調整事件を足し合 わせた値である。 9

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図 1-⑪ 生活環境調整事件の年末現在の係属件数の推移 (件)70,000 66,148 61,234 60,000 47,270 50,000 44,624 40,000 30,000 20,000 10,000 0 (注)1 保護統計に基づき、当省が作成した。 2 各年の件数は、各年末現在において生活環境調整中の件数である。 (犯罪予防活動の概要) 法務省の資料によると、犯罪予防活動は、犯罪や非行の予防のために、国民の理解促進や犯罪 の原因となる社会環境の改善等に努める活動とされている。更生保護における犯罪予防活動の 特色は、犯罪の発生を未然に防ぐため、地域社会に対しての社会的連帯感や社会的規範に対す る共感を強めるように働き掛け、安全で安心な地域社会の構築を目指す点にある。また、犯罪を した人や非行のある少年の立ち直りについての地域社会の人々の理解や関心を深め、彼らを地 域の一員として受け入れ、また、その立ち直りを見守り、援助することにより、再び犯罪や非行 に陥らないような環境作りを目指している。 法務省が主唱する“社会を明るくする運動”~犯罪や非行を防止し、立ち直りを支える地域の チカラ~(注)(以下「社明運動」という。 )も、こうした犯罪予防活動の一つとされている。 (注)全ての国民が、犯罪や非行の防止と罪を犯した人たちの更生について理解を深め、それぞれの立場において 力を合わせ、犯罪や非行のない安全・安心な地域社会を築くための全国的な運動であり、昭和 26 年から始まっ た。運動の趣旨を分かりやすくするため、平成 22 年に、名称を「“社会を明るくする運動”」から「 “社会を明 るくする運動”~犯罪や非行を防止し、立ち直りを支える地域のチカラ~」に改称している。 10

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(更生保護を支えるボランティア等) 保護観察や生活環境調整、犯罪予防活動等の更生保護諸活動においては、国の機関だけでは なく、以下の保護司を始めとしたいわゆる「更生保護ボランティア」や更生保護施設等の民間の 方々が参加している。 〔更生保護を支えるボランティア等〕 保護司 犯罪をした人や非行のある少年の立ち直りを地域で支えるボランティアであ り、その身分は、法務大臣から委嘱を受けた非常勤の国家公務員である。保護司 は、全国を 886(平成 30 年 4 月 1 日現在)の区域に分けて定められた保護区に配 属され、保護観察や生活環境調整の実施、犯罪予防活動等の更生保護に関する活 動を行っている。 (詳細は後述) 更生保護女性会 地域の犯罪予防や青少年の健全育成、犯罪者・非行少年の改善更生に協力する 女性のボランティア団体である。平成 30 年 4 月 1 日現在、更生保護女性会の地区 会数は 1,292、会員数は 15 万 7,658 人である。 BBS会 非行のある少年や悩みを持つ子供たちに、兄や姉のような立場で接しながら、 その立ち直りや成長を支援する活動等(BBS運動(Big Brothers and Sisters Movement) )を行う青年のボランティア団体である。平成 30 年 4 月 1 日現在、B BS会の地区会数は 464、会員数は 4,459 人である。 協力雇用主 犯罪・非行の前歴等のために定職に就くことが容易でない保護観察又は更生緊 急保護の対象者を、その事情を理解した上で雇用し、改善更生に協力する民間の 事業主である。平成 30 年 4 月 1 日現在、協力雇用主(個人・法人を合わせたもの をいう。 )は 2 万 704 人が登録されており、このうち、保護観察対象者等を雇用し ているのは 887 人(4.3%)である。保護観察対象者又は更生緊急保護対象者を雇 用し、就労継続に必要な技能及び生活習慣等を習得させるための指導及び助言を 行う協力雇用主に対して、就労・職場定着奨励金及び就労継続奨励金を支給する 制度が実施されている。 更生保護施設 更生保護法人(注)等が、主に保護観察所から委託を受けて、頼るべき人がいな いなどの理由で直ちに自立することが難しい保護観察又は更生緊急保護の対象者 を宿泊させ、食事を提供するほか、就職援助、生活指導等を行う施設である。平 成 30 年 6 月 1 日現在、全国に 103 の施設がある。 (注)更生保護法人とは、更生保護事業法(平成 7 年法律第 86 号)に基づき、法務大臣の認可 を受けて更生保護事業を営む民間団体である。 自立準備ホーム あらかじめ保護観察所に登録したNPO法人等の事業者が、保護観察所から委 託を受けて、頼るべき人がいないなどの理由で直ちに自立することが難しい保護 観察又は更生緊急保護の対象者に供与する宿泊場所である。平成 30 年 4 月 1 日 現在、登録事業者数は 395 である。 (注)平成 30 年版犯罪白書を参考にして、当省が作成した。 11

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ウ 保護司の概要 (ア) 身分、人員、年齢、職業等 保護司の身分等については、保護司法(昭和 25 年法律第 204 号。以下、この項(ア)におい て「法」という。 )及び更生保護法において規定されており、その概要は、次のとおりである。 〔保護司の身分等〕 定数 全国で 5 万 2,500 人(法第 2 条第 2 項) 保護区ごとに、その土地の人口、経済、犯罪の状況その他の事情を考慮して定められてい る(法第 2 条第 3 項) 。 委嘱の 条件 次の条件を全て備えていることが必要(法第 3 条第 1 項) ①人格及び行動について、社会的信望を有すること ②職務の遂行に必要な熱意及び時間的余裕を有すること ③生活が安定していること ④健康で活動力を有すること 任期 2 年で、再任がある(法第 7 条) 。 配属 保護区のいずれかに、通常は居住地を基点にして配属され、原則、当該保護区の区域内に おいて職務を行う(法第 2 条第 1 項及び第 8 条) 。 職務 地方更生保護委員会又は保護観察所の所掌に属する事務(保護観察、生活環境調整、犯罪 予防活動等)に従事する。また、保護観察官で十分でないところを補い、地方更生保護委員 会又は保護観察所の長の指揮監督を受ける(法第 8 条の 2 及び更生保護法第 32 条)。 服務 費用 高度なプライバシー情報が提供されるため、守秘義務が課されている(法第 9 条第 2 項)。 給与は支給されず、職務に要した費用の全部又は一部が支給(実費弁償金)される(法第 11 条) 。 (注)法及び更生保護法を参考にして、当省が作成した。 (保護司の組織) 保護司は、それぞれ配属された保護区ごとに保護司会を組織することとされており(法第 13 条)、保護司会は、研修、犯罪予防活動、関係機関との連絡調整、広報活動などの組織的な 活動を行っている。 なお、保護司会によっては、保護司会の下に分区や支部が組織され、分区・支部単位で活動 を行っている。 また、保護司会は、各保護観察所に対応して保護司会連合会(注 1)を組織することとされて いる(法第 14 条)ほか、地方更生保護委員会に対応して地方保護司連盟(注 2)があり、さらに、 全国団体として更生保護法人全国保護司連盟(以下「全国保護司連盟」という。)がある。 (注 1)保護司会連合会は、保護司会の任務に関する連絡及び調整、保護司の職務に関し必要な資料及び情報の収 集などを行うこととされている。 (注 2)各ブロック内の保護司会連合会で組織されている任意の団体である。 12

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(保護司の状況とその背景) 保護司の人員の経年推移をみると、図 1-⑫のとおり、平成 16 年の 4 万 9,389 人をピークと して、その後僅かに増減がみられるが、4 万 8,936 人となっている 21 年以降は減少傾向にあ り、31 年では 4 万 7,245 人となっている。 また、保護司の平均年齢の経年推移をみると、図 1-⑫のとおり、平成 19 年の 62.8 歳以降、 30 年の 65.1 歳(31 年も同じ)まで年々上昇し続けており高齢化が進んでいる。保護司の再 任の上限年齢は 76 歳未満(注)であることから、概算すると、今後 10 年の間に、少なくとも現 人員数の約半数の 2.3 万人が退任する見込みとなる。 (注) 「保護司及び保護司選考会委員の委嘱及び解職等に関する事務の取扱いについて」 (昭和 58 年 12 月 23 日付 け保総第 402 号保護局長通達。以下「委嘱等通達」という。 )において、保護司の再任の上限は 76 歳未満とさ れている。 図 1-⑫ 保護司の人員・平均年齢等の推移 65.1 62.8 49,389 48,815 48,936 26.3 47,245 (注)1 令和元年版犯罪白書による。 2 各年 1 月 1 日現在の数値である。 保護司の年齢層別の割合をみると、図 1-⑬のとおり、平均年齢が上昇し始める直前の平成 19 年では、60 歳代(46.9%)の割合が最も高く、次いで 50 歳代(26.3%) 、70 歳代(21.1%)、 40 歳代(5.2%)の順となっているのに対し、31 年では、同じく 60 歳代(46.6%)の割合が 最も高いが、次いで 70 歳代(33.2%) 、50 歳代(14.6%)、40 歳代(4.9%)の順となってい る。約 10 年間で 70 歳代の割合が高くなっている(12.1 ポイント増)一方、50 歳代(11.7 ポ イント減)や 40 歳代(0.3 ポイント減)の割合が低くなっており、年齢層の構成が変化して いる。 13

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図 1-⑬ 保護司の年齢層別の割合の推移 0% 平成19年 0.5% 10% 20% 30% 40% 50% 26.3% 5.2% 60% 70% 80% 90% 46.9% 100% 21.1% 0.5% 3.8% 16.0% 26年 51.9% 27.7% 0.7% 31年 4.9% 14.6% 46.6% 40歳未満 40~49歳 33.2% 50~59歳 60~69歳 70歳以上 (注)1 令和元年版犯罪白書に基づき、当省が作成した。 2 割合は、小数点第 2 位を四捨五入しているため、合計が 100 にならない場合がある。 保護司の職業別の割合をみると、図 1-⑭のとおり、平成 31 年では、無職(25.8%)の割合 が最も高いものの、 それ以外の 7 割以上の保護司は、 会社員等 (23.4%)、 その他職業 (19.8%)、 宗教家(11.6%)など何らかの職業に就いている。これを平成 19 年と比較しても、無職と有 職の割合に大きな変化はみられないが、農林漁業(9.3%→6.9%)や商業・サービス業(10.6% →8.5%)の割合は低下傾向にあり、会社員等(22.2%→23.4%)やその他職業(土木・建設 業や社会福祉事業を含む。15.6%→19.8%)の割合は上昇傾向にある。 図 1-⑭ 保護司の職業別の割合の推移 0% 10% 9.3% 平成19年 20% 11.0% 30% 40% 22.2% 50% 1.8% 10.6% 1.8% 7.9% 26年 11.1% 22.8% 60% 3.0% 70% 80% 15.6% 90% 100% 26.4% 2.4% 9.5% 17.6% 27.1% 19.8% 25.8% 2.0% 2.0% 31年 6.9% 農林漁業 11.6% 宗教家 23.4% 会社員等 商業・ サービス業 8.5% 教員 製造・ 加工業 その他の 職業 (注)1 令和元年版犯罪白書に基づき、当省が作成した。 2 「その他の職業」には、 「土木・建設業」及び「社会福祉事業」を含む。 3 割合は、小数点第 2 位を四捨五入しているため、合計が 100 にならない場合がある。 14 無職(主婦を含む)

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保護司の退任人員の経年推移をみると、図 1-⑮のとおり、平成 20 年では 2,986 人となって おり、30 年では 3,324 人となっているように、最近の約 10 年間では毎年おおむね 3,000 人前 後で推移している。退任理由をみると、過去 10 年では、約 7 割から約 8 割の保護司が「任期 満了」による退任であり、約 1 割から約 2 割の保護司が任期満了又は死亡以外の理由による 退任(辞任)である。 図 1-⑮ 保護司の退任人員の推移 3,324 (人)3,500 2,986 3,000 2,977 2,695 587 2,500 (19.7%) 267 2,000 (8.9%) 646 599 254 239 3,057 3,052 2,828 2,775 615 570 226 250 587 (21.2%) 212 (7.6%) 479 246 3,029 2,707 516 1,000 2,132 (71.4%) 1,857 2,077 2,008 460 (13.8%) 509 216 512 208 (6.3%) 243 233 1,500 2,211 2,973 2,332 1,976 1,958 2,304 2,656 2,218 (79.9%) 辞任 (71.2%) 死亡 500 任期満了 0 平成 20年 21年 22年 23年 24年 25年 26年 27年 28年 29年 30年 (注)法務年鑑に基づき、当省が作成した。 調査対象とした 17 保護観察所管内の 68 保護区において定年(任期満了)又は死亡以外の 理由で退任した保護司 177 人(注)を抽出し、その退任理由等について調査したところ、表 1③のとおり、退任理由をみると、 「多忙」及び「健康」の割合がいずれも 3 割強を占めている。 年齢階層別にみると、 「多忙」が理由となっている割合が高い年齢層は「50 歳代」(55.0%) や「40 歳代」 (42.9%)の比較的若い世代となっている一方、「健康」が理由となっている割 合が高い年齢層は「70 歳代」 (50.0%)や「60 歳代」 (27.4%)の高齢層となっている。また、 職業の有無の割合をみると、40 歳代では全員が、50 歳代では 9 割が有職者となっている。退 任時の委嘱期間をみると、50 歳代以内の比較的若い世代の 7 割以上は 6 年以内の短い委嘱期 間で退任している。 (注)調査対象保護区ごとに、平成 28 年 4 月以降に定年又は死亡以外の理由で退任した保護司であって、退任し た時期が新しい順に 4 名を抽出した。なお、同理由で退任した保護司が 4 人に満たない保護区がある。 15

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表 1-③ 調査対象保護区における退任保護司の退任理由等 (単位:人、%) 区分 計 退任理由 多忙 30 歳代 1 0 40 歳代 7 50 歳代 健康 0 その他 退任時の委嘱期間 有 無 2 年以内 3~6 年 1 (100) 1 (100) 0 (0) 1 (100) 0 3(42.9) 1(14.3) 3(42.9) 7 (100) 0 (0) 2(28.6) 3(42.9) 2(28.6) 20 11(55.0) 2(10.0) 7(35.0) 18(90.0) 2(10.0) 4(20.0) 10(50.0) 6(30.0) 60 歳代 73 29(39.7) 20(27.4) 24(32.9) 46(63.0) 27(37.0) 14(19.2) 21(28.8) 38(52.1) 70 歳代 76 18(23.7) 38(50.0) 20(26.3) 31(40.8) 45(59.2) (0) 9(11.8) 67(88.2) 177 61(34.5) 61(34.5) 55(31.1) 103(58.2) 74(41.8) 21(11.9) 43(24.3) 113(63.8) 0 (0) 7 年以上 (0) 計 (0) 職業 0 (0) (注)1 保護観察所への実地調査の結果による。 2 「退任理由」の「その他」には、介護など家庭の事情、転居、一身上の都合等が含まれる。 3 ( )内は、年齢階層ごとに「退任理由」、「職業」及び「退任時の委嘱期間」中の分類間で比較した割合であ る。 4 割合は、小数点第 2 位を四捨五入しているため、合計が 100 にならない場合がある。 保護司の新任の委嘱人員をみると、図 1-⑯のとおり、平成 30 年では 2,952 人であり、最近 の約 10 年間では毎年おおむね 3 千人弱で推移している。 図 1-⑯ 保護司の新任の委嘱人員の推移 (人)3,500 3,020 3,001 3,000 2,604 2,794 2,824 2,729 24年 25年 2,995 2,802 2,952 2,661 2,387 2,500 2,000 1,500 1,000 500 0 平成 20年 21年 22年 23年 26年 27年 28年 29年 30年 (注)法務年鑑に基づき、当省が作成した。 これらの保護司の退任人員と新任の委嘱人員の推移を比較してみると、図 1-⑰のとおり、 退任人員の数が多い年には、それに伴う欠員を補充するため、委嘱人員も多くなっている傾 向がみられる。 なお、過去約 10 年間では、平成 20 年及び 27 年の 2 か年を除き、退任人員が委嘱人員を上 回っている状況となっている。 16

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図 1-⑰ 保護司の退任人員と新任の委嘱人員の推移 (人)3,500 2,986 2,695 3,000 2,500 2,977 2,828 2,775 3,057 2,707 3,020 3,001 2,824 2,794 2,604 2,000 3,052 3,029 2,995 2,802 2,729 3,324 2,973 2,952 2,661 2,387 1,500 1,000 500 0 平成 20年 21年 22年 23年 24年 25年 退任人員[上段数字] 26年 27年 28年 29年 30年 委嘱(新任)人員[下段数字] (注)法務年鑑に基づき、当省が作成した。 (イ) 活動に対するやりがいの声 刑務所出所者など保護観察対象者との定期的な面接等を通じて、保護観察対象者の立ち直 り支援を行っている保護司の活動が重要であることは論をまたない。 そこで、実地調査に協力いただいた保護司 136 人から、その活動に対するやりがいについ てお聴きした結果、保護観察を終えた後の元保護観察対象者やその家族との交流などを通し て保護司としてのやりがいを感じているという声が多く聴かれた。これは、保護司の方々の 献身的な活動が、保護観察対象者の立ち直りに寄与している証とも考えられる。 表 1-④ 保護司としてやりがいを感じる活動 (単位:人、%) 区分 保護司 保護観察対象者への処遇活動 106(77.9) 生活環境調整 61(44.9) 犯罪予防活動 61(44.9) 専門部会での活動 34(25.0) 保護司組織の運営 29(21.3) 分からない 12( 8.8) その他 12( 8.8) (注)1 2 3 4 5 保護司への実地調査の結果による。 複数回答である。 「専門部会」とは、保護司会に設置されている機能別の部会のことである。 「保護司組織」とは、保護司会や保護司会連合会等である。 「その他」には、 「地域団体との活動」 、 「勤めていた頃の経験を活かせること」 、 「保護司の 仕事が自分の仕事(教員)に活用できるところが多くあること」などがある。 17

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〔保護司としてやりがいを感じる活動の具体的な内容(主なもの) 〕 ※[ ]内は、回答のあった保護司の経験年数、保護観察事件・生活環境調整事件の担当件数 〔保護観察対象者への処遇活動〕 ・ 初めて担当した保護観察対象者は、暴走族の総隊長で、暴力団から離脱させるときに非常 に苦労したが、先日、自分が不在時に、妻子を連れて挨拶をしに来たと聞き、非常に嬉しか った。[17 年目、30 件・32 件] ・ 保護観察対象者等から感謝の言葉を受け、肩の荷が下りた感覚があった。初めての経験で あったが、とても爽やかな気持ちになった。[3 年目、1 件・1 件] ・ 保護観察が終了した後に元保護観察対象者等が更生した時や、手紙(年賀状)や電話によ る近況報告があったり、街中で声を掛けられたりした時に保護司としてのやりがいを実感し ている。[30 年目、43 件・28 件] ・ 担当した保護観察対象者に偶然会い、一緒に写真を撮ろうと声を掛けられたのが嬉しく、 対象者の更生に少しでも役に立つことができたと思うと嬉しくやりがいを感じている。 [3 年 目、1 件・0 件] ・ 家族全体を対象に処遇活動を実施した結果、保護観察対象者の親も暴力を振るわなくなっ たことから、親の親(対象者からみれば祖父母)から感謝された際に、やりがいを感じた。 [15 年目、11 件・11 件] ・ 保護観察対象者が転居して対象から外れた後も、実家に戻った時に相談に来たり、転居先 での保護観察が終了した後にも挨拶に来てくれたり、また、生活環境調整において、引受け に難色を示していた母親が、何度かの面談によって引き受けてくれることになったときなど 保護司をやっていて良かったと思う。[16 年目、7 件・4 件] ・ 保護観察対象者が再犯者とならず、更生して普通に暮らしていることでやりがいを感じる。 [26 年目、3 件・1 件] ・ 当初は挨拶もできず、面接に応じる姿勢も悪く対応に苦労した。しかしながら、最後の面 接時には姿勢を正し、お礼の言葉を述べたのを聴いたとき、保護司としてやりがいを感じた。 [4 年目、3 件・1 件] ・ 起業した元対象者が、協力雇用主になりたいと相談してくれた。 [16 年目、40 件・10 件] ・ 過去に担当した保護観察対象者が現在も定期的に訪ねて来て、自身の近況等を聞かせてく れる。保護観察が終了した後も、良き相談相手として頼りにしてくれていると感じるので大 変嬉しく思う。 [18 年目、2 件・1 件] ・ 当初、生活環境調整対象者の家庭を訪問した際は、家の中に入れないような状態であった が、最後には、家族全員で迎え入れてくれ、 「機会があれば遊びに来て」といった言葉や、挨 拶を済ませ家を出た後も、対象者が見送りに出てくるなど、言わば、普通の事ではあるが、 それができるようになったことに、自身の活動が少しでも役立ったかなと実感した。[7 年 目、2 件・1 件] 〔生活環境調整〕 ・ 受刑者の家族が、受刑者と手紙のやり取りを始めるなど受刑者を受け入れようと努力する 18

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姿を見たときにやりがいを感じる。自分が関わったことで、少しでも役に立てたと感じる。 [16 年目、17 件・14 件] ・ 対象者が刑期を終えた後のことについて、対象者の家族に受入れ体制整備や、今後の相談 先などを、保護観察所に確認しつつ説明し、対象者の家族の精神的な負担を軽減できたこと は良かったのではないかと思っている。[7 年目、0 件・1 件] 〔犯罪予防活動〕 ・ 犯罪予防活動に取り組んでおり、地域で保護観察対象者を出さないことでやりがいを感じ ている。[3 年目、0 件・0 件] ・ 地域における犯罪予防活動の効果が出てきており、少年犯罪や非行が減ってきていると感 じる。このような地域での地道な啓発活動の取組にやりがいを感じる。 [26 年目、3 件・1 件] ・ 公開ケース研究会や薬物乱用防止教室等で、小中学生に非行や薬物について理解してもら ったことにやりがいを感じている。 [2 年目、0 件・0 件] 〔専門部会での活動〕 ・ 研修の企画等を担当することを通して、より良い保護司活動に向けた取組ができていると 感じている。 [23 年目、47 件・30 件] 〔保護司組織の運営〕 ・ 保護司会の総務部長を務めているが、以前仕事をしていた時に総務部門を長年経験してお り、その経験が活用できていると思うので、やりがいを感じる。[6 年目、8 件・2 件] 〔その他〕 ・ 保護司となってから、職場である学校で生活指導を担当するようになり、処遇活動、研修 及び社明運動における講演会・シンポジウム等で学んだ知識等を教員の仕事にいかすことが でき、充実感を得ている。 [21 年目、15 件・22 件] (注)保護司への実地調査の結果による。 19

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エ 更生保護及び保護司に関する近年の動向 ○ 保護司制度の基盤整備に関する検討会 法務省は、保護観察対象者の抱える問題の複雑・多様化等による保護司の処遇活動の困難 化に加え、保護司の自宅が保護観察対象者によって放火される事件の発生や刑の一部の執行 猶予制度の法整備(注)といった動向を踏まえ、保護司制度を充実させるための基盤整備の在り 方について検討するため、平成 23 年 3 月、有識者や保護司会長等で構成する「保護司制度の 基盤整備に関する検討会」を全国保護司連盟と共同で立ち上げた。翌 24 年 3 月、同検討会の 検討結果について、主に、保護司候補者の確保と保護司の育成、社会の変化に即した保護司の 活動環境の整備、地域との連携強化、保護司組織の積極的な役割の四つの観点で報告書を取 りまとめた。この報告書において、今後の保護司制度の基盤整備の方向性について提言(以下 「平成 24 年提言」という。 )として示している。 (注)平成 23 年 11 月に、刑法等の一部を改正する法律案等が第 179 回国会に提出され、参議院において可決され たが、衆議院において継続審査となっていた。その後、第 181 回国会において審査未了となり、25 年 3 月に再 度、刑法等の一部を改正する法律案等が第 183 回国会に提出された。 ○ 保護司の安定的確保に関する基本的指針 法務省は、保護司の安定的確保の課題に対し、法務省本省、地方更生保護委員会及び保護観 察所と保護司組織が一体的に取り組む必要があるとして、平成 26 年 3 月、当面の対応の方向 性を定めた「保護司の安定的確保に関する基本的指針」(以下「平成 26 年の基本的指針」と いう。)を全国保護司連盟と共同で策定した。 その後、法務省は、平成 26 年の基本的指針に基づく様々な取組を進めてきたものの、保護 司の減少傾向に歯止めがかからない状況であることを踏まえ、保護司の安定的確保の課題に 対し、一層効果的な取組を講ずる必要があるとして取組内容を見直し、平成 31 年 3 月、平成 26 年の基本的指針の改訂版(以下「平成 31 年の改訂後の基本的指針」という。)を全国保護 司連盟と共同で策定した。また、同時期、平成 31 年の改訂後の基本的指針の着実な実施に向 けて、法務省と保護司組織が重点的に推進する取組として、保護司のなり手を安定的に確保 するための取組、やりがいを感じ、長く、活発に続けられるための取組、保護司活動を効果的 かつ効率的に行うための取組を定めた 「保護司の安定的確保のための 10 のアクションプラン」 を策定している。 ○ 刑の一部執行猶予制度 平成 25 年 6 月に成立した刑法等の一部を改正する法律(平成 25 年法律第 49 号)及び薬物 使用等の罪を犯した者に対する刑の一部の執行猶予に関する法律(平成 25 年法律第 50 号) により、刑の一部執行猶予制度が新設され、28 年 6 月から施行された。この制度では、前に 禁錮以上の刑に処せられたことがないなどの人については裁量的に、薬物使用等の罪を犯し た者で受刑歴がある人については必要的に、執行猶予の期間中、保護観察に付されることと なる。 20

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なお、上記の保護司制度の基盤整備に関する検討会の報告書では、刑の一部執行猶予制度 が導入された場合には、薬物事犯を中心に保護観察事件等が増加することが予想されるとさ れている。 図 1-⑱ 刑の一部執行猶予制度の概要 (注)平成 28 年版犯罪白書による。 ○ 再犯防止推進法及び再犯防止推進計画 平成 28 年 12 月、再犯の防止等に関する施策に関し、基本理念や国及び地方公共団体の責 務、基本的施策等を定めた再犯の防止等の推進に関する法律(平成 28 年法律第 104 号。以下 「再犯防止推進法」という。 )が制定、施行された。再犯防止推進法に基づき、政府は、再犯 の防止等に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、30 年度からの 5 年間に関係府 省庁が取り組む「再犯防止推進計画」(平成 29 年 12 月 15 日閣議決定)(注 1)を策定している。 また、都道府県・市町村においても、同計画を勘案して、地方再犯防止推進計画(注 2)を定め るよう努めなければならないこととされている。さらに、国及び地方公共団体は、再犯防止等 に関する施策が円滑に実施されるよう相互に連携を図るとともに、再犯防止等に関する施策 の実施に当たっては、民間の団体その他の関係者との緊密な連携協力の確保に努めなければ ならないこととされている。 (注 1)再犯の防止等に関する施策の推進に関する基本的な事項のほか、保護観察に関する体制の整備に関する事 項などが定められている。 (注 2)法務省の資料によると、平成 31 年 4 月 1 日現在において、全国で 15 都道府県及び 3 市町村において策定 済み。法務省は、令和元年 8 月に、地方公共団体における地方再犯防止推進計画の策定を推進するため、標 準的な手順や内容をまとめた「地方再犯防止推進計画策定の手引き」を示している。 21

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○ その他 高年齢者雇用に関しては、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(昭和 46 年法律第 68 号。以下「高年齢者雇用安定法」という。 )の平成 16 年、24 年の累次の改正を経て、現在、 企業における希望者全員の 65 歳までの雇用確保措置が整備されている。 さらに、政府は、高齢者の就業機会の確保等を図るために、65 歳から 70 歳までの定年引上 げ、継続雇用制度の導入、定年廃止等の措置を講ずることを企業の努力義務にするなど 70 歳 までの就業を支援するなどのため、高年齢者雇用安定法や雇用保険法(昭和 49 年法律第 116 号)等を改正する「雇用保険法等の一部を改正する法律案」を令和 2 年 2 月、通常国会に提 出し、同年 3 月に可決・成立した。 22

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2 保護司の活動に関するアンケート調査の結果 今回の実態調査においては、保護司の活動実態や、活動に携わるに当たって感じている不安や 負担などを明らかにし、今後における保護司活動への指導・支援の充実等、関係行政の改善に資す るための基礎資料を得ることを目的として、保護司の方々にアンケート調査を実施した。その結 果、次のようなことが明らかとなった。 なお、アンケート調査の結果については、令和元年 12 月 27 日に公表(注)している。 (注)https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01hyoka02_191227.html 参照 【調査の概要】 調査の対象:全国の保護司 4,700 人 有効回収数 4,001 人(回収率 85.1%) 抽出方法 :全国の保護観察所管内(函館、旭川及び釧路保護観察所管内を除く。 )から原則と して、ⅰ)更生保護サポートセンター(注 1)の設置の有無、ⅱ)平成 30 年 3 月 31 日時点の保護司一人当たりの担当件数(保護観察事件数及び生活環境調整事件数 の合計(保護観察官が直接担当しているものを除く)÷保護司現員数)により保護 区を選定し、選定した保護区から、経験年数の区分(6 年以内、6 年超 12 年以内、 12 年超)ごとに一定数の保護司を無作為抽出(注 2)した。 (注 1)保護司会が組織的に処遇活動や犯罪予防活動を行うための地域における活動拠点であり、保 護観察、生活環境調整等の処遇活動に対する支援(面接場所の提供等) 、地域の関係機関・団 体との連携の推進等の機能を有する。 (注 2)無作為抽出については、保護観察所に依頼した。 調査事項 :保護観察対象者への処遇活動に関する事項、更生保護サポートセンターに関する 事項、地域別定例研修(注)に関する事項等 (注)実務上必要な知識・技術の全般的な水準向上を図ることなどを目的として、保護観察所が保護 司全員を対象に原則保護区ごとに実施している。 【主な調査結果】 ○ 約 26%の保護司が、保護観察に関して、一人で面接することに不安・負担を感じている。 図 2-① 一人で面接することに対する不安や負担 無回答 1.6%(64人) とても感じている 6.8%(273人) どちらともいえない 1.2%(49人) n=4,001 感じている 26.1%(1,045 人) ほとんど感じていない 27.5%(1,100人) ある程度感じている 19.3%(772人) 余り感じていない 43.6%(1,743人) 23

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○ 約 34%の保護司が、保護観察に関して、面接の経験が少ないことに不安・負担を感じている。 図 2-② 面接の経験が少ないことに対する不安や負担 無回答 2.1%(83人) とても感じている 10.5%(420人) どちらともいえない 1.6%(64人) n=4,001 感じている 33.9%(1,357 人) ほとんど感じていない 24.1%(964人) ある程度感じている 23.4%(937人) 余り感じていない 38.3%(1,533人) ○ 約 32%の保護司が、保護観察に関して、保護観察対象者との自宅以外の面接場所の確保に不 安・負担を感じている 図 2-③ 保護観察対象者との面接場所(自宅以外)の確保に対する不安や負担 無回答1.7%(69人) とても感じている 9.3%(373人) どちらともいえない 2.2%(87人) n=4,001 感じている 32.2%(1,289 人) ほとんど感じていない 26.7%(1,068人) ある程度感じている 22.9%(916人) 余り感じていない 37.2%(1,488人) 24

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○ 更生保護サポートセンターの設置以降に保護観察事件を担当している保護司の約 73%が、保 護観察対象者との面接場所として同センターを利用していない。 図 2-④ 保護観察対象者との面接での更生保護サポートセンターの利用状況 よく利用している 8.9%(185人) 無回答 3.6%(74人) n=2,082 時々利用している 14.9%(310人) 利用していない 72.7%(1,513人) ○ 約 41%の保護司が、 平成 29 年度及び 30 年度に実施された地域別定例研修に参加していない。 図 2-⑤ 地域別定例研修への参加状況(平成 29 年度及び 30 年度) 無回答 0.7%(27人) n=4,001 全く参加していない 2.9%(118人) 参加していない 40.9%(1,636 人) 全て参加している 58.4%(2,338人) 一部参加していない 37.9%(1,518人) なお、こうしたアンケート調査の結果については、後述する「3 調査結果及び分析等」におい て、実地調査の結果と合わせて分析等に活用したところである。 25

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3 調査結果及び分析等 ⑴ 保護司活動に対する指導・支援に関する取組 ア 保護司の育成 (ア) 保護観察事件等の担当保護司の指名 保護司は、保護司法第 2 条第 1 項において、保護区に置くこととされており、同法第 8 条 において、原則、その置かれた保護区の区域内において職務を行うこととされている。そし て、保護司は、更生保護法第 61 条第 1 項、第 82 条第 1 項、第 83 条及び第 84 条において、 保護観察(指導監督・補導援護)及び生活環境調整を行うこととされている。保護観察及び 生活環境調整を行うに当たっては、犯罪をした者及び非行のある少年に対する社会内にお ける処遇に関する規則(平成 20 年法務省令第 28 号。以下「処遇規則」という。 )第 43 条 第 1 項及び第 2 項並びに第 111 条において、保護観察所の長が、当該保護観察を担当する 保護観察官(注)を指名するとともに、必要があると認めるときは、保護観察官と協働して指 導監督・補導援護又は生活環境調整を行う保護司(以下「担当保護司」という。)を指名す ることとされている。 (注) 「犯罪をした者及び非行のある少年に対する社会内における処遇に関する事務規程」 (平成 20 年 4 月 23 日 付け法務省保観訓第 261 号法務大臣訓令)においては、保護観察を担当する保護観察官のことを「主任官」 というが、本報告書の保護司の意見等の中で使用している「主任官」には、保護区を担当する保護観察官の ことをいう場合もある。 ⅰ 法務省における担当保護司の指名に関連する取組 保護観察事件又は生活環境調整事件(以下「保護観察事件等」という。 )の担当保護司 の指名に関して、平成 24 年提言では、新任保護司の育成には、何より処遇経験を積むこ とが重要であること、また、新任保護司も、保護司を引き受けた以上、保護観察事件等を 担当したいという気持ちを強く持っていることから、新任保護司の育成のため、保護観 察所長は、委嘱後早期に事件担当を依頼することとされている。 これを踏まえ、法務省は、平成 26 年の基本的指針において、ⅰ)保護観察対象者の更 生を直接支援することが多くの保護司のやりがいの源になっていることから、保護観察 所は、経験年数が少ない保護司が、できるだけ早期に保護観察事件等を担当できるよう 努めること、ⅱ)保護司にとって、特に保護観察事件等を担当することがやりがいの源に なっていることから、保護観察所は、個々の保護司の状況や保護観察対象者等とのマッ チングに配慮しつつも、できるだけ多くの保護司が保護観察事件等を担当できるように することとしている。 (最近の動向) 法務省は、平成 31 年の改訂後の基本的指針においても、平成 26 年の基本的指針と同 様の取組を引き続き進めることとしている。 26

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(保護観察所・保護観察官における取組状況) 調査対象とした 17 保護観察所における保護観察事件等の担当保護司の指名方針につい て調査したところ、これらの保護観察所では担当保護司の指名に当たり、保護観察対象 者の居住地又はその近くに住み地域の実情に詳しい保護司であることを基本として、保 護観察対象者の性質、保護司の状態等を総合的に勘案した上で、保護区を担当する保護 観察官が選定するとしている。 また、調査対象とした 68 保護区を担当する保護観察官(注)から、経験年数の少ない保 護司を積極的に指名する考え方を持っているか聴取したところ、表 3-⑴-ア-(ア)-①のと おり、40 保護区の保護観察官(58.8%)は、経験年数の少ない保護司を積極的に指名す る考え方を持っている一方で、28 保護区の保護観察官(41.2%)は、そのような考え方 を持っていないとしていた。積極的に指名する考え方を持っていない理由として、 「保護 観察対象者の居住地の近隣に住んでいることとのマッチング」で決定することが基本で あるためなどとしている。 (注)当該保護観察官の業務を熟知している統括保護観察官等も含む。また、1 保護区を複数の保護観察官が 担当している場合や、1 保護観察官が複数の保護区を担当している場合があるが、今回の調査では、1 保 護区 1 保護観察官として整理している。以下同じ。 表 3-⑴-ア-(ア)-① 調査対象保護区の保護観察官における経験年数の少ない保護司の指名の考え 方 (単位:保護区、%) 区分 保護区 積極的に指名することとしている 40(58.8) 積極的に指名することとしていない 28(41.2) (注)保護観察所(保護観察官)への実地調査の結果による。 〔経験年数の少ない保護司を積極的に指名することとしている保護観察官の考え方(主なもの) 〕 ・ 条件に合う保護司が複数いる場合は、委嘱後一定期間が経過しても事件を担当したことがない保 護司や、新しく委嘱した保護司にできる限り担当させる。(札幌保護観察所保護観察官) ・ 経験の浅い保護司に経験させるため、保護観察対象者宅から保護司の自宅までの距離など他の要 素から担当できると判断できる保護司が複数いる場合には、経験の浅い保護司を指名する。(函館 保護観察所保護観察官) ・ 新任の保護司にはなるべく早期に 1 件目を担当してもらうよう、保護観察対象者の居住地に最寄 りの保護司が複数いる場合、新任の保護司を指名している。 (仙台保護観察所保護観察官、秋田保護 観察所保護観察官) ・ 保護観察所の方針として、可能な限り、新規委嘱の 1 期 2 年以内に保護観察事件を担当させるこ ととしているが、事件数自体が少ないため、1 期目で依頼することができない場合がある。 (和歌山 保護観察所保護観察官) (注)保護観察所(保護観察官)への実地調査の結果による。 27

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〔経験年数の少ない保護司を積極的に指名することとしていない保護観察官の考え方(主なもの) 〕 ・ 担当保護司の指名に当たって、基本は、保護観察対象者の居住地の近隣に住んでいることとのマ ッチングであり、経験の浅い保護司に経験を積ませるために、あえて事件を担当させることはして いない。 (広島保護観察所保護観察官) ・ 原則として、保護観察対象者の居住地や帰住予定地の近くに居住している保護司を選任すること としており、また、新任保護司が初めて保護観察事件を担当する場合には、同時に複数の事件を担 当させないなどの配慮は行っているものの、経験年数のみを理由に選任の可否を決めることはない。 (福岡保護観察所保護観察官) (注)保護観察所(保護観察官)への実地調査の結果による。 ⅱ 委嘱後早期の担当保護司の指名の必要性 (保護観察事件及び生活環境調整事件の件数) 調査対象とした 68 保護区における保護観察事件数及び生活環境調整事件数の平成 28 年度及び 29 年度の年間取扱件数について調査したところ、表 3-⑴-ア-(ア)-②のとおり、 保護観察事件の平成 29 年度の件数は、最も多い保護区では 324 件、最も少ない保護区で は 1 件となっている。また、保護司一人当たりの件数(注 1)は、最も多い保護区では 2.97 件、最も少ない保護区では 0.05 件となっており(注 2)、59 倍の差となっている。 (注 1)事件の件数(直担(担当保護司を指名せず、保護観察官が直接担当して面接等を行っている事件を いう。以下同じ。 )の件数を除く。 )を保護司現員数で割って算出した値である。以下同じ。 (注 2)保護観察事件数の最も多い保護区の保護司会からは、 「保護司定数を充足できていないため、保護司 の担い手確保が急務である」といった意見が、最も少ない保護区の保護司会からは、 「保護司が一人も いない校区が生じると、当該校区で事件が発生した時の対応が困難になるなど支障が生じる」といっ た意見がそれぞれ聴かれ、保護観察事件数を踏まえた保護司定数の見直しには否定的であった。 また、生活環境調整事件の平成 29 年度の件数は、最も多い保護区では 281 件、最も少 ない保護区では 1 件となっており、保護司一人当たりの件数は、最も多い保護区では 2.86 件、最も少ない保護区では 0.03 件となっており、95 倍の差となっている。 表 3-⑴-ア-(ア)-② 調査対象保護区における保護観察事件・生活環境調整事件の年間取扱件数 (単位:件) 区分 平成 28 年度 保護観察事件 うち直担 保護司一人当たり 生活環境調整事件 うち直担 保護司一人当たり 保護司現員数(人) 5,781 201 - 4,908 205 - 4,723 平均 85.0 3.0 1.18 72.2 3.0 1.00 69.5 最多 353 19 2.88 279 50 3.07 224 最少 2 0 0.05 2 0 0.11 19 29 年度 5,165 191 - 4,511 257 - 4,679 平均 76.0 2.8 1.06 66.3 3.8 0.91 68.8 (注)1 調査の結果による。 2 保護司一人当たりの件数を算出するに当たっては、それぞれ直担の件数を除いている。 3 保護司現員数は、各年度末時点の人員数である。 28 最多 324 19 2.97 281 64 2.86 232 最少 1 0 0.05 1 0 0.03 17

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(保護司における保護観察事件の担当状況) 保護司における保護観察事件の累積担当件数について、アンケート調査の結果による と、図 3-⑴-ア-(ア)-①のとおり、最も多かったのは「1 件~10 件」 (53.6%)であり、次 に「11~20 件」 (16.3%)であった。保護司の経験年数の階層別にみると、いずれの階層 においても「1 件~10 件」が最も多いものの、6 年以内の保護司では 4 割弱(37.5%)が 「0 件(これまで担当したことがない)」である。 図 3-⑴-ア-(ア)-① 保護司における保護観察事件の累積担当件数 101件以上 0.9%(37人) 総計 (4,001人) 0件(これまで担当したことがない) 14.8%(592人) 51~100件 3.2%(129人) 21~50件 10.6%(424人) 11~20件 16.3%(651人) 1~10件 53.6%(2,143人) 1.9%(28人) 12年超 (1,440人) 8.6% (124人) 0.5%(6人) 6年超 12年以内 (1,296人) 6.7% (87人) 2.8%(40人) 22.2% (319人) 6年以内 (1,138人) (注)1 2 3 4 27.6% (397人) 0.6%(9人) 36.3% (523人) 0.3%(4人) 0.2%(2人) 16.7% (216人) 0.2%(2人) 0.2%(2人) 無回答 0.6%(25人) 67.5% (875人) 0.2%(2人) 8.2% (106人) 0.2%(2人) 1.9%(22人) 59.8% (681人) 37.5% (427人) 保護司へのアンケート調査の結果による。 初めて保護司に委嘱されてから調査時点(平成 31 年 1 月 1 日)までの累積担当件数である。 経験年数別については、委嘱年月日が無回答であった保護司 127 人を計上していない。 割合は、小数点第 2 位を四捨五入しているため、合計が 100 にならない場合がある。 (面接の経験が少ないことに対する不安) 保護観察対象者との面接経験について、アンケート調査の結果によると、図 3-⑴-ア(ア)-②のとおり、3 割強の保護司が面接の経験が少ないことを不安に「感じている」と回 答している。経験年数の階層別にみると、12 年を超える保護司で不安に「感じている」 と回答しているのは 2 割弱にとどまっている一方、6 年以内の保護司で不安に「感じてい る」と回答しているのは 6 割弱であり、経験年数が少ないほど面接の経験が少ないこと に不安を感じている保護司が多い状況がみられる。 29

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図 3-⑴-ア-(ア)-② 保護観察対象者との面接の経験が少ないことに対する不安 どちらともいえない 1.6%(64人) とても感じている 10.5%(420人) ある程度感じている 23.4%(937人) 総計 全体 (4,001人) 余り感じていない 38.3%(1,533人) ほとんど感じていない 24.1%(964人) 2.6%(38人) 12年超 (1,440人) 14.7% (212人) 43.8% (630人) 1.8%(26人) 3.5%(50人) 1.2%(15人) 1.4%(18人) 33.6% (484人) 6.7%(87人) 6年超 12年以内 (1,296人) 24.8% (321人) 41.0% (531人) 25.0% (324人) 1.8%(20人) 6年以内 (1,138人) 24.0% (273人) 無回答 2.1%(83人) 33.1% (377人) 28.0% (319人) 1.1%(12人) 12.0% (137人) (注)1 保護司へのアンケート調査の結果による。 2 経験年数別については、委嘱年月日が無回答であった保護司 127 人を計上していない。 3 割合は、小数点第 2 位を四捨五入しているため、合計が 100 にならない場合がある。 また、実地調査の対象とした保護司のうち保護観察対象者との面接の経験が少ないこ とについて不安に感じているとしている 17 人から、その具体的な内容を聴取したところ、 「面接の経験が少ないため、対象者に適切な面接が行えているのか分からない」、「処遇 活動の経験がなく、具体的なイメージが湧かない」、 「思うように経験を積めないため、保 護司としてスキルアップできないことが不安」といった意見が聴かれた。 〔保護観察対象者との面接の経験が少ないことについて保護司が不安を感じている内容(主なも の)〕 ・ これまで担当する中で、対象者に対して適切な面接や指導ができているのかについて不安 ・ 面接の経験が少ないため、対象者に適切な面接が行えているのか分からない。 ・ 面接の経験が少ないため、対象者やその家族と会うことに不安を感じる。 ・ 処遇活動の経験がなく、具体的なイメージが湧かない。 ・ 保護司に委嘱されてから保護観察事件を 2 件しか担当しておらず、思うように経験を積めないた め、保護司としてスキルアップできないことが不安 ・ 担当した件数が少ないため、自分なりの処遇方法が確立しておらず、担当が割り振られて、各種 書類が届いてから対応方法を考え始めており、不安を感じる。 (注)保護司への実地調査の結果による。 保護司が一人で保護観察対象者と面接することについて、アンケート調査の結果によ ると、図 3-⑴-ア-(ア)-③のとおり、3 割弱の保護司が不安に「感じている」と回答して いる。経験年数の階層別にみると、12 年を越える保護司で不安に「感じている」と回答 30

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しているのは約 15%となっている一方、6 年以内の保護司では 4 割強が不安に「感じて いる」と回答しており、経験年数が少ないほど一人で面接することに不安を感じている 保護司が多い状況がみられる。 図 3-⑴-ア-(ア)-③ 保護観察対象者と一人で面接することに対する不安 とても感じている 6.8%(273人) どちらともいえない 1.2%(49人) ある程度感じている 19.3%(772人) 総計 全数 (4,001人) 余り感じていない 43.6%(1,743人) ほとんど感じていない 27.5%(1,100人) 2.5%(36人) 12年超 (1,440人) 1.1%(16人) 13.0% (187人) 46.9% (676人) 0.8%(10人) 18.4% (239人) 46.4% (601人) 14.1% (160人) 28.2% (321人) 0.8%(11人) 28.6% (371人) 1.9%(22人) 6年以内 (1,138人) 2.4%(35人) 34.0% (490人) 4.9%(64人) 6年超 12年以内 (1,296人) 無回答 1.6%(64人) 35.4% (403人) 1.1%(13人) 19.2% (219人) (注)1 保護司へのアンケート調査の結果による。 2 経験年数別については、委嘱年月日が無回答であった保護司 127 人を計上していない。 3 割合は、小数点第 2 位を四捨五入しているため、合計が 100 にならない場合がある。 また、実地調査の結果によると、一人で面接することについて不安に感じているとし ている保護司 21 人から、その具体的な内容を聴取したところ、「保護司としての経験が 浅く、面接での対象者への対応に不安を感じる」、「異性の対象者と一人で面接する場合 に不安や負担を感じる」といった意見が複数聴かれた。 〔保護観察対象者と一人で面接することについての不安の具体的な内容(主なもの) 〕 ・ 保護司としての経験が浅く、面接での対象者への対応に不安を感じる。また、自分の身の安全に も不安を感じることがある。 ・ 異性の対象者と一人で面接する場合に不安や負担を感じる。 ・ 一人での面接に、身の安全を確保できるか不安がある。 ・ 自宅に一人住まいなので、自宅において対象者と一対一で面接することに不安がある。 ・ 薬物事犯など対応が難しい事案については、対象者と一対一で対応することに不安を感じる。 調査対象とした 17 保護観察所管内の 68 保護区を担当する保護観察官及び 68 保護司会 から、保護観察事件等の担当を経験できなかった保護司の状況を幅広く聴取したところ、 委嘱後早期に保護観察事件等の担当を経験できなかった保護司が、保護司活動に対する 31

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モチベーションの低下などを理由に 1 期(2 年)で退任した例(1 事例)がみられたほか、 担当地区内に対象者がいなかったため、保護観察を担当できず、活動を続ける自信をな くし、保護観察事件を担当することなく 1 期(2 年)で退任した保護司がいるとする保護 司会(1 保護司会)がみられた。一方で、保護観察事件等の担当を経験できずモチベーシ ョンが低下し退任の意向を示した保護司に対し、担当地区外の保護観察を担当させたこ とで退任を防ぐことができた例(1 事例)もみられた。 〔保護観察事件等を早期に担当できなかった保護司の例〕 1 ○保護司活動に対するモチベーションの低下などを理由に 1 期(2 年)で退任した例 保護観察所の企画調整課長が、保護司に再任の可否について聴取したところ、当該保護司は、 ⅰ)保護司になれば保護観察等の処遇活動を行うことができると考えていたものの、委嘱後早い 時期に保護観察事件等の担当に指名されなかったことでモチベーションが低下したこと、ⅱ)職 場が遠方(県外)にあり多忙であることを理由として再任を拒み 1 期 2 年で退任した。(平成 29 年度) 2 ○活動を続ける自信をなくし、保護観察事件を担当することなく 1 期(2 年)で退任した例 委嘱後、保護観察事件を担当することなく 2 年で退任した保護司がおり、その退任理由は「民 生委員活動及び子供の受験等で多忙」としていた。しかし、実際には、担当校区内に対象者がお らず保護観察を実施できなかったことから、保護司活動を続ける自信を失くしたためであった。 3 ○モチベーションが低下し退任の意向を示した保護司に対し、担当地区外の保護観察を担当させ たことで退任を防ぐことができた例 委嘱後、保護観察事件等の担当がなかったことによるモチベーションの低下を理由に退任の意 向を示した保護司について、保護司会長が主任官に相談した結果、当該保護司の担当地区(小学 校区)外の保護観察事件の担当に指名することで退任を防いだ。 (平成 30 年度) (注)保護観察所及び保護司会への実地調査の結果による。 ⅲ 保護司における保護観察事件の担当状況 調査対象とした 17 保護観察所管内の 68 保護区において抽出した保護司(以下「抽出 保護司」という。 )544 人(保護区ごとに平成 29 年度における担当件数が最も多い保護司 から順に 4 人、最も少ない保護司から順に 4 人、それぞれ計 272 人ずつ合計 544 人を抽 出。)について、平成 29 年度の年間の保護観察事件の担当状況と保護司の経験年数との 関係を調査したところ、図 3-⑴-ア-(ア)-④のとおり、経験年数 6 年以内の保護司が、担 当件数の多い保護司のグループに占める割合は 2 割弱(53 人)程度である一方、担当件 数の少ない保護司のグループに占める割合は約 6 割(164 人)であった。 なお、このような状況に関して、調査対象とした保護区を担当する保護観察官からは 「保護区内の人口集中地域とそれ以外の地域では担当件数に偏りが生じる」とする意見 が聴かれた。この因果関係について明らかではないが、経験年数が少ない保護司は経験 年数が多い保護司よりも保護観察事件の担当に指名される機会が少ない可能性は排除さ れないと考えられる。 32

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図 3-⑴-ア-(ア)-④ 担当事件数の 多い保護司 (272人) 保護司の保護観察事件の担当件数と保護司の経験年数との関係 1~6年 19.5%(53人) 担当事件数の 少ない保護司 (272人) 7~12年 32.7%(89人) 13年~ 47.8%(130人) 60.3%(164人) 23.9%(65人) 15.8%(43人) (注)1 保護観察所への実地調査の結果による。 2 調査対象保護区ごとに平成 29 年度における保護観察事件の担当件数が多い保護司から順に 4 人を選定した。 3 調査対象保護区ごとに平成 29 年度における保護観察事件の担当件数が少ない保護司から順に 4 人を選定した。 (同時期に複数の保護観察事件を担当することに対する不安・負担) 同時期に複数の保護観察事件を担当することについて、アンケート調査の結果による と、図 3-⑴-ア-(ア)-⑤のとおり、約 7 割の保護司が不安や負担に「感じている」と回答 している。保護観察事件の累積の担当件数の階層別にみると、担当件数の少ない保護司 ほど不安や負担に「感じている」傾向がみられる。 なお、 「101 件以上」や「51 件~100 件」の比較的担当経験が豊富な保護司でも 5 割弱 が不安や負担に「感じている」と回答している。 図 3-⑴-ア-(ア)-⑤ 同時期に複数の保護観察事件を担当することに対する不安・負担 余り感じていない 17.1%(686人) 総計 保護司全体 (4,001人) とても感じている 24.5%(981人) どちらともいえない 3.5%(140人) ほとんど感じていない 7.5%(301人) ある程度感じている 45.5%(1,821人) 5.4%(2人) 2.7%(1人) 40.5% (15人) 101件以上 (37人) 無回答 1.8%(72人) 29.7% (11人) 21.6% (8人) 6.2%(8人) 1.6%(2人) 41.1% (53人) 51~100件 (129人) 31.8% (41人) 17.1% (22人) 1.2%(5人) 21~50件 (424人) 8.3% (35人) 47.4% (201人) 27.1% (115人) 11.5% (75人) 51.2% (333人) 25.2% (164人) 26.7% (573人) 47.5% (1,017人) 4.0%(86人) 48.3% (286人) 31.9% (189人) (注)1 保護司へのアンケート調査の結果による。 33 1.7% (11人) 1.8% (39人) 14.3% (306人) 4.6%(27人) 0件 (これまで担当なし) (592人) 2.1% (9人) 9.2% (60人) 5.7%(122人) 1~10件 (2,143人) 2.3% (3人) 13.9% (59人) 1.2%(8人) 11~20件 (651人) 0.0% (0人) 7.4% (44人) 6.3%(37人) 1.5% (9人)

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2 3 担当件数別については、担当件数が無回答であった保護司 25 人を計上していない。 割合は、小数点第 2 位を四捨五入しているため、合計が 100 にならない場合がある。 また、実地調査において、同時期に複数の保護観察事件を担当することについて不安 や負担に感じているとしている保護司 82 人から、その具体的な内容を聴取したところ、 「面接数をこなさなければならず、保護観察対象者と深く関われなかったことを後悔し ている」 、 「日程調整が難しくなるため負担に感じる」といった意見が聴かれた。 〔同時期に複数の保護観察事件を担当することについて保護司が不安・負担を感じている内容(主 なもの)〕 ・ 退任した保護司が担当していた事件を引き継いだため、同時期に 7、8 件を担当したことがあり、 既定の面接数をこなさなければならず、保護観察対象者と深く関われなかったことを後悔してい る。 ・ 同時期に保護観察事件を 3 件担当したことがあり、毎月の面接件数が多くなる中、保護観察対象 者が予定の日時に自宅に来られない事情が多く発生し、面接日の変更等で家族に負担を掛けること があった。 ・ 現在、代表取締役として週 5 日以上 8 時から 17 時まで働いており多忙であること、また、担当 している保護観察事件の対象者も働いていることから、面接の日程調整をすることが難しい状況と なっている。このため、同時期に複数の事件を担当することは今以上に日程調整が難しくなるため 負担に感じる。 ・ 同時期に複数の保護観察対象者を担当した経験はないものの、このような状況があったと仮定す ると、面接前の準備、報告書の作成も 2 倍になることから、それぞれの対象者に保護司自身の能力 を 100%注ぐことができなくなるのではないかと考える。 ・ 保護司の委嘱を受けて以来、保護観察事件を 1 件も担当したことがないので、研修等により保護 観察対象者の処遇、対処方法等について指導を受けているものの、実際に体験してみないと、どう 対応してよいのか分からないので不安である。まして事件を複数担当することになれば、とても不 安・負担を感じると思う。 (注)保護司への実地調査の結果による。 調査対象とした 17 保護観察所管内の 68 保護区における担当件数が多い 272 人の抽出 保護司の平成 29 年度の担当件数をみると、表 3-⑴-ア-(ア)-③のとおり、担当件数が最も 多い保護司では年間 11 件を担当しており、当該保護司は同時に 7 件を担当していた。同 時期に 7 件を担当している保護司は 2 人、6 件を担当している保護司は 2 人、5 件を担当 している保護司が 4 人みられた。 34

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表 3-⑴-ア-(ア)-③ 調査対象保護区の抽出保護司における保護観察事件の担当状況(平成 29 年度) (単位:件) 保護観 察所 保護観察 担当件数 最も多い月の担 当件数 (参考) 生活環境調整の 担当件数 福岡 東京 那覇 那覇 那覇 福岡 福岡 福岡 11 9 9 9 9 8 8 8 7 5 6 7 6 5 5 5 10 5 5 2 1 9 4 2 保護司が所属す る保護区の保護 司一人当たりの 担当件数 2.97 2.72 2.39 0.49 2.39 2.37 2.97 2.23 (注)1 調査の結果による。 2 平成 29 年度に担当した保護観察事件数が 8 件以上の保護司を多い順に掲載している。 3 「保護司一人当たりの担当件数」は、平成 29 年度の保護観察事件の年間取扱件数である。 35

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(イ) 担当保護司の複数指名 保護観察事件等の担当保護司の指名については、処遇規則第 43 条第 3 項(処遇規則第 111 条において準用する場合を含む。)において、保護観察所の長は、特に必要があると認 めるときは、複数の保護司を指名することができる(以下、保護観察事件等において複数 の担当保護司を指名することを「複数指名」という。)こととされている。 ⅰ 法務省の担当保護司の複数指名に関連する取組 複数指名に関して、平成 24 年提言では、新任保護司の育成を目的として先輩保護司 との複数指名を実施することや、近年、保護観察対象者本人が複数の問題を抱えるケー スや、知的障害を有する保護観察対象者と要介護状態の高齢者が同居するケースなど複 合的な問題を抱えたケースが増加する傾向があるため、こうしたケースでの複数指名も 考慮していくこととされている。 法務省は、保護観察事件等における担当保護司の複数指名の積極的な活用を進めるた め、 「保護観察等における担当保護司の複数指名について(通知) 」 (平成 25 年 4 月 26 日 付け法務省保観第 42 号法務省保護局観察課長通知。以下「複数指名通知」という。 )に より、保護観察所長に対し、薬物事犯など複数指名を積極的に検討する事案や、 「複数指 名をする場合においては、指名する保護司の希望やニーズ等を十分考慮すること。保護 司が希望する場合には、複数指名を不適当とする特段の事情がない限り、複数指名を積 極的に検討すること」 、 「保護観察等の対象者及びその関係人に対し、複数指名における 各担当保護司の役割等について、主任官及び担当保護司に説明させるなどして、その理 解を得るよう努めること」などの留意点を示している。 〔複数指名を積極的に検討する際の留意点〕 ⅰ)比較的問題が少ない事案であっても、経験年数の短い又は保護観察等の担当経験の少ない保護 司と、保護観察等の担当経験が豊富な保護司との複数指名をすることにより、経験の少ない保護 司が、一定の経験を有する保護司から、保護観察や生活環境調整の具体的な進め方や処遇技術等 について学ぶ機会を作る。 ⅱ)保護観察対象者とその家族等との関係の調整が必要な事案において、保護観察対象者とその家 族等に対する面接等をそれぞれ主に行う役割を分担し、情報を共有しながら処遇を行う。 ⅲ)学校や福祉機関等の関係機関との連絡調整が必要な事案において、保護観察対象者やその家族 又は生活環境調整対象者に係る引受人等に対する面接を主に担当する保護司と、関係機関との連 絡調整を主に担当する保護司という役割分担をし、情報を共有しながら処遇を行う。 ⅳ)性別の異なる保護司を複数指名し、保護観察対象者やその家族等の心情に配慮しながら、各担当 保護司が適宜役割分担をして接触を図る。 ⅴ)保護観察対象者又はその家族等から頻繁に相談が寄せられるなど対応の負担が大きい事案にお いて、複数指名をすることにより保護司の負担の軽減を図る。 ⅵ)保護観察期間が長期間に及ぶなど、保護観察期間中に担当変更が見込まれる事案において、一定 期間、複数指名をすることによって円滑な担当変更を図る。 (注)複数指名通知に基づき、当省が作成した。 36

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また、法務省は、平成 26 年の基本的指針において、複数指名について、経験年数の少 ない保護司ができるだけ早期に保護観察事件等を担当できるよう努めるための方策と して、保護観察所は、 「保護司の希望やニーズ及び事件の内容等を検討して、必要に応じ て複数担当制(注)も活用すること」としている。 (注)保護観察事件等について、複数の保護司で一件の事件を担当する方法であって、複数指名と同義で ある。以下同じ。 (最近の動向) 法務省は、平成 31 年の改訂後の基本的指針において、 「複数担当制を積極的に活用し、 特に、経験年数の少ない保護司が初めて事件を担当する際は、原則として複数担当を検 討すること」としている。 ⅱ 複数指名の活用状況 調査対象とした保護司 136 人における保護観察事件等の複数指名による担当状況につ いて調査したところ、表 3-⑴-ア-(イ)-①のとおり、複数指名での担当実績がある保護司 は 23 人(16.9%)、実績がない保護司は 113 人(83.1%)であり、複数指名を経験した ことのある保護司は全体の 2 割弱であった。 表 3-⑴-ア-(イ)-① 調査対象保護司における保護観察事件等の複数指名による担当実績 の有無 (単位:人、%) 区分 保護司 (注) 実績あり 23(16.9) 実績なし 113(83.1) 保護司への実地調査の結果による。 複数指名による担当経験がある保護司から、複数指名の効果に関する意見を聴取した ところ、「経験豊富な保護司と共に事件を担当できて心強かった」、「経験の浅い保護司 にとっては、経験豊富な保護司からノウハウを学ぶ場として有効である」など肯定的な 意見が聴かれた。他方、複数指名のため「日程調整に苦労した」との意見が聴かれた。 〔複数指名による担当経験がある保護司の意見(主なもの) 〕 ・ 保護観察事件の担当経験が浅く不安がある中で、経験豊富な保護司と共に事件を担当できて心 強かった。新任保護司が慣れるまでは必要な制度であると思う。(5 年目) ・ 最初の担当でもあったことから、どのように面接を進めればよいのか手探り状態であったが、 ベテラン保護司のそばで、具体的な面接の進め方を見ることができたので、3 回目から単独で面接 したがスムーズに進めることができた。ベテラン保護司と組んで実地にやり方を学べることは、 新任保護司にとって有効であると思う。(3 年目) 37

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・ 負担感は単独で担当する場合と大きく変わらないものの、相方の保護司からは「とても勉強に なった」との意見が聞かれたことから、経験の浅い保護司にとっては、経験豊富な保護司からノウ ハウを学ぶ場として有効であると感じた。(26 年目) ・ 生活環境調整対象者の家族には、女性しかいないため、主担当の男性保護司が家族との面談等 を行う際に同行し、面談を一緒に行っている。初めて複数担当制を経験しているが、今回は、補助 的な役割であり負担等は感じておらず、処遇方針等について同事件を担当している保護司と意見 交換ができるため、より対象者のためになるような措置を講ずることができ有効であると感じて いる。(18 年目) ・ 日程調整に苦労した。(20 年目) 、(9 年目)、(23 年目) ・ 報告書作成を 2 人で行うことが手間を要する。(23 年目) (注)1 2 保護司への実地調査の結果による。 各意見の文末の( )は、保護司の経験年数である。 また、複数指名による担当経験がない保護司から、複数指名についての意見を聴取し たところ、「新任保護司に複数担当制により経験を積ませることは有効」、「新人保護司 の育成だけではなく、ベテラン保護司にとっても勉強になり、対象者に対して異なるア プローチも可能」など肯定的な意見が聴かれた。中には、 「複数の保護司で意見やアイデ ィアを出し合うことで、対象者に対する処遇の質の向上につながると思う。今後、複数 担当制による事件を経験してみたい」とする意見も聴かれた。一方で、 「複数担当制とす ると、保護司 2 人、対象者 1 人の計 3 人の日程調整が必要となり、さらに負担感が増 す」、「2 人での面接は対象者を圧迫する側面があるのではないかと感じている」などデ メリットがあるとする意見も聴かれた。 〔複数指名による担当経験がない保護司の意見(主なもの) 〕 ・ 保護司になって初めて保護観察事件等を担当して面接する際には、不安を感じることがあった ため、新任保護司に複数担当制により経験を積ませることは有効であると感じる。(6 年目) ・ 初めて事件を担当する場合は、ベテランの保護司に面接に同行してもらったり、いつでも相談 ができたりするなど、担当保護司を複数指名した方が新任保護司の不安や負担が少なくなるので はないか。 (4 年目) ・ 処遇活動に関する研修を受けているものの、具体的にどのように対処していくのか想像がつか ないため、最初に担当する保護観察事件が複数担当制であれば、経験が豊富な保護司と一緒なの で心強い。 (3 年目) ・ 複数の保護司で意見やアイディアを出し合うことで、対象者に対する処遇の質の向上につなが ると思う。今後、複数担当制による事件を経験してみたい。 (6 年目) ・ メリットとして、ⅰ)保護司間の連携による処遇活動の質の向上、ⅱ)長期間に及ぶ事件におけ る円滑な担当変更(引継ぎ)などが考えられる。(5 年目) ・ 複数担当制とすると、保護司 2 人、対象者 1 人の計 3 人の日程調整が必要となり、さらに負担 感が増すように思う。(5 年目) ・ 複数担当制は知らなかったが、もし複数の保護司で対象者を担当することになれば、責任の所 38

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在が曖昧になりよくないのではないか。(5 年目) ・ 初めて対象者と面接を行う際に不安を感じたので、精神的負担の軽減に役立つのではないか。 対応が難しい状況等においても、担当保護司間で連携してチームとして対応できるほか、新任の 保護司が経験を積む上でも有用な制度だと思う。(18 年目) ・ 近年、事件数が減少し、新任保護司が処遇活動の経験を積む機会が減っているため、ベテラン保 護司と新人保護司の組合せ等による複数指名を積極的に活用すべき。新人保護司の育成だけでは なく、ベテラン保護司にとっても勉強になり、対象者に対して異なるアプローチも可能となる。 (16 年目) ・ 以前、主任官と 2 人で対象者と面接したところ、対象者はその場では模範的な回答をしていた が、後に「実は、あの時はあのように答えたが、本当は・・・」という出来事があったことから、 2 人での面接は対象者を圧迫する側面があるのではないかと感じている。本来、保護司の目的は対 象者の更生であり、そのためには対象者側に立って考える必要があると思うが、複数担当制は保 護司側に立った考え方であり、本末転倒ではないかと感じる。(16 年目) (注)1 2 保護司への実地調査の結果による。 各意見の文末の( )は、保護司の経験年数である。 上記のとおり、保護司からは、複数指名のデメリットとして日程調整が負担であると する意見が聴かれたことから、サポート役になる保護司に負担がかかっていることがう かがわれた。 また、調査した保護司や保護司会からは、 「3 回目の面接から単独で対応できるように なり、短期間で独り立ちできるようになる」や、 「新任保護司の独り立ちを阻害すること も懸念されるため、最初の数回のみを複数担当制で対応させるようにすべき」とする意 見が聴かれた。 これらの意見を踏まえると、状況に応じて最初の数回までを複数指名とするなど運用 の工夫によって保護司の負担軽減を図る余地があると考えられる。 〔複数指名の活用に関する保護司・保護司会の意見(主なもの)〕 分類 意見 回数・期 間 ・ 新任保護司をベテラン保護司と組ませて経験を積ませることで、対象者やその家族と の接し方等への不安を解消し、一担当事件の 3 回目の面接から単独で対応できるように なり、短期間で独り立ちできるようになるので、新任保護司に対しては積極的に複数担 当制を実施すべき。 (保護司会) ・ 新任保護司がベテラン保護司と組んで行う担当経験は、実務を経験でき、新任保護司 が早期に独り立ちする手段として有効である。ただし、ベテラン保護司に依存し過ぎて しまい、新任保護司の独り立ちを阻害することも懸念されるため、最初の数回のみを複 数担当制で対応させるようにすべきである。(3 年目) ・ 保護司として委嘱されてから、3 か月が経過した頃に、ベテラン保護司と組んだ 1 件 のみ経験がある。最初の 2 回の面接で、ベテラン保護司の具体的な面接の仕方や処遇技 術をそばで見せてもらい、3 回目からは単独で対応した。 (3 年目) ・ 自身が新任保護司のときに、約 4 年間保護観察事件等の担当経験がなく、処遇実績が 39

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ないことに不安を感じた経験から、新任保護司に経験を積ませるための複数担当制につ いては、有効であると考える。しかし、ベテラン保護司の立場で複数担当制を経験して みて、面接する際に保護司同士の日程を調整すること、報告書作成を 2 人で行うことが 手間であると感じた。 なお、複数担当制により事件を担当した 3 か月後に、新任保護司から 1 人で対応でき そうだとの意見があった。これを受けて、自身及び新任保護司が主任官に対し、新任保 護司専任で担当するよう申し出て、一定期間経過後、主任官の判断で複数担当制が解消 された。 (23 年目) ・ ベテラン保護司として、複数担当制により新任保護司を指導したことが何件かある。 新任保護司の多くが、初回の面接時に対象者とどのように接したらよいのか、対象者の 家庭にどのように入っていけば良いのか等の不安を抱えているので、ベテラン保護司と して 2、3 回接し方を示すことで、以降は、新任保護司が単独で面接できるようになり 有効であると考える。 なお、新任保護司と同行するのは最初の 2、3 回までが限度であり、いつまでも同行 すると新任保護司に甘えが生じること、保護観察対象者やその家族が、新任保護司とベ テラン保護司のどちらが主担当なのか混乱することが懸念されるため好ましくない。 (24 年目) 日程調 整 ・ 複数担当制で支障と考えられる日程調整については、①面接は必ず保護司が 2 人そろ って対応しなければならないということではなく、どちらか一方と日程が合えば可能で あり、不在の際の面接時の情報については後日情報共有すれば足りること、②実際に担 当した保護観察事件の対象者が真面目で時間を守ってくれたため面接日時の再調整な どの必要がなかったことから、支障はなかった。 (24 年目) ・ 複数担当制については、対象者の月 2 回の面接を 2 人で分けることができるのであれ ば、負担軽減に資すると思う。(17 年目) ・ 複数担当制により実際に行う面接回数が少なくなるのであれば、日程調整も含めた負 担軽減につながると思う。ただし、複数担当制を実施する場合には、担当する保護司間 での面接時のやり取りに関する情報を適切に共有することが重要であると思う。(3 年 目) 報告書 の作成 ・ 保護司になってから初めて担当する生活環境調整事件の際、対象者を前回担当した保 護司と複数担当制により担当した。対象者との面接は 2 人で対応し、報告書は面接等の 後に情報共有を行い、一人が代表して作成し、連名にて提出した。(5 年目) ・ 生活環境調整事件において、複数担当制を経験した。対象者の家族が全員女性であっ たため、保護観察所から女性保護司との複数担当制の打診があった。対象者の家へ訪問 する際、女性保護司が同行し、報告書は私が代表して作成し、連名にて提出した。 (7 年 目) ・ 新任保護司への指導のため、現在 2 件を複数担当制で行っている。面接の主導及び報 告書の作成は私が行い、新任保護司はそばで見ることで、面接の仕方や報告書の作成方 法を勉強している。 (21 年目) 主副の 決定 (注)1 2 ・ 複数担当制については、新任保護司に慣れてもらうためであれば、事件を一緒に担当 することは有効だと考える。保護司としての経験にさほど差がない場合は、主任官に主 担当、副担当を決めてもらいたい。 (7 年目) 保護司及び保護司会への実地調査の結果による。 各意見の文末の( )は、保護司の経験年数である。 40

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調査対象とした 17 保護観察所管内の 68 保護区における複数指名の実施状況を調査し たところ、表 3-⑴-ア-(イ)-②のとおり、保護観察については、平成 28 年度は 59 件であ ったところ、29 年度は 62 件にとどまり、複数指名の実績に顕著な伸びはみられない。 なお、平成 30 年度は 10 月までをみたところ、56 件の実績がみられた。 表 3-⑴-ア-(イ)-② 調査対象保護区における担当保護司の複数指名の実績 (単位:件) 区分 保護観察 生活環境調整 平成 28 年度 59 34 29 年度 62 32 93 94 合計 (注)保護観察所への実地調査の結果による。 調査対象とした 17 保護観察所管内の 68 保護区のうち複数指名の実績がある保護区を 担当する保護観察官から、複数指名の効果に関する意見を聴取したところ、ⅰ)経験年 数の少ない保護司の求めに応じ相談相手の保護司を指名したことが、結果として対象者 に対する良好措置(注)につながった、ⅱ)経験年数の大差ない保護司の負担感を軽減し つつ担当経験を積ませることができた、ⅲ)保護司の関わった事件の種類(少年事件、 薬物事件等)ごとの経験の不足等による不安や負担感を補うことができた、などの効果 のみられた事例に関する意見が聴かれた。 (注)保護観察処分少年(1 号観察対象者)の保護観察の解除、少年院仮退院者(2 号観察対象者)の退院 の申出等であり、保護観察所の長がその適否を判断する。 〔複数指名の実績がある保護区を担当する保護観察官の複数指名の効果に関する意見〕 ・ 対象者が少年である保護観察について、対象者宅の近くに住む、経験年数の少ない女性の保護 司を指名した。しかし、その対象者の状態等から、当該保護司は対応に苦慮し、先輩の男性の保護 司に相談していた。その後、担当保護司である女性の保護司から主任官に対し、男性保護司との複 数担当制にしてほしいと申出があり、複数担当制を実施することにした。保護司 2 人で一緒に面 接等を行った結果、対象者は再非行をすることなく、面接での態度も良好であったため、良好措置 を採ることにつながった。保護司からは、複数担当制で良かったと言われ、また、対象者も感謝し ていると聞いている。(1 件) ・ 生活環境調整事件から引き続き保護観察事件も複数担当制で担当しているケースについては、 当該保護区における事件数が少ない中、より多くの保護司に事件を担当させることで、不安や負 担感の軽減を図ることを意図したものであり、経験年数の大差のない 2 人の保護司が相談しなが ら処遇活動を進めることができた。 (6 件) ・ 経験年数の少ない保護司は、少年事件の担当経験はあったが、薬物事件は初めての経験であっ たため、同じ地区の経験年数の多い保護司との複数担当制とした。経験年数の少ない保護司にと っては、経験年数の多い保護司からの助言等を受けながら経験を積むことができるため、心理的 な負担の軽減につながっている。 (1 件) 41

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・ 対象者が暴走族等不良グループとの交友がある点、異性との交際遍歴が多い点を考慮すると、 新任保護司による処遇が困難なことが想定されたことから、その負担軽減を目的とした複数担当 制を実施した。複数担当制を実施したことにより、新任保護司は、複数担当制でなければ対応が追 いつかなかったため、助かったとしている。(6 件) ・ 管内の保護観察事件が減少し、事件を割り振ることのできない保護司が増加したことから、複 数担当制を実施している。事件を複数の保護司で担当することにより、保護司一人当たりの精神 的な負担は軽減される。 (14 件) ・ 観察所管内は、全体的に保護司の担当件数が他都道府県と比較して多く、現状でも保護司は多 忙な状況のため、あえて複数担当制にして、保護司をさらに多忙にさせることについては疑問が ある。現状の原則単独担当制でも特に支障は生じていない。(3 件) ・ 保護司が 2 人で一つの報告書を作成するために、方針を合わせる必要があり、保護司同士のマ ッチングに課題がある。 (6 件) (注)1 2 保護観察所(保護観察官)への実地調査の結果による。 ( )内の件数は、各担当保護区における複数指名の実績(平成 28 年 4 月~30 年 10 月) 複数指名の近年実績がない保護区を担当する保護観察官からは、「もともと事件数が 少ない」とする意見が聴かれたほか、 「保護観察対象者からみたときに、どちらの保護司 が主担当なのか混乱する」、「保護司同士の指導方針が異なり円滑な処遇活動を行うこと が困難となる場合が想定される」ため実施していないとする意見が聴かれた。この「混 乱」については、調査した保護司からも、複数指名について、 「保護観察対象者やその家 族が、新任保護司とベテラン保護司のどちらが主担当なのか混乱する」などと指摘する 意見が聴かれた(上記〔複数指名の活用に関する保護司・保護司会の意見〕参照)。 〔複数指名の実績がない保護区を担当する保護観察官から聴取した意見(主なもの) 〕 分類 事件数が少 ない等 内容 ・ もともと事件数が少ないので、複数担当とする状況にない。(仙台保護観察所保 護観察官) ・ 複数担当制を活用することに適当と思われる事件がなかった。(函館保護観察所 保護観察官) 対象者が混 乱する等 ・ 広範な保護区に保護司が散在している。(甲府保護観察所保護観察官) ・ 希望する保護司がいなかった。 (名古屋保護観察所保護観察官) ・ 飽くまで「保護観察対象者中心」に処遇を考えるため、一人の保護観察対象者に 対して複数の保護司が担当すると、保護観察対象者からみたときに、どちらの保護 司が主担当なのか混乱する可能性がある。(大阪保護観察所保護観察官) ・ 保護司間の役割(主と従)をはっきりさせ、相互の連携をしっかり行わないと対 象者やその家族に都合の良いように利用され、処遇上悪影響が出るおそれもある。 また、複数担当制を持ち掛けても担当保護司が希望しないケースもある。(広島保 護観察所保護観察官) ・ 犯罪歴を知る関係者をなるべく少なくしてほしいとの保護観察対象者本人や家 42

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族の希望があること、保護司が複数になることにより、調整すべき事項(面接場所 の設定、対象者と保護司との相性等)が増加するため、これらの課題をクリアする ことが必要であること、一人の保護司がじっくりと対象者と向き合って対応した方 がよい場合など複数担当制になじまない事件がある。(和歌山保護観察所保護観察 官) ・ 保護司同士の指導方針が異なり円滑な処遇活動を行うことが困難となる場合が 想定されることや、保護司同士の日程調整が困難である。(徳島保護観察所保護観 察官) (注)保護観察所(保護観察官)への実地調査の結果による。 以上を踏まえると、複数指名制については、法務省が複数指名通知において、 「保護観 察等の対象者及びその関係人に対し、複数指名における各担当保護司の役割等について、 主任官及び担当保護司に説明させるなどして、その理解を得るよう努める」こととされ ており、これは「混乱」の回避を目的としていると考えられるが、現場に十分に浸透し ていないように見て取れる。 43

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(ウ) 保護観察官・先輩保護司等のサポート ⅰ 法務省における保護司による相談に関する取組 保護司による相談に対する支援に関して、平成 24 年提言では、ⅰ)新任保護司の育 成のため、保護観察所長は、保護司が保護観察事件等を担当しているときは、きめ細か な指導、助言を行うよう配慮する、ⅱ)保護司会においては、新任保護司の処遇能力向 上のため、保護司同士による処遇会議や情報交換会を積極的に開催することが必要であ るなどとされている。 これを踏まえ、法務省は、平成 26 年の基本的指針において、経験年数の少ない保護 司、特に新任保護司に対する相談支援体制の充実や保護司の組織的活動の効率化を図る ため、次のとおり定めて取組を進めている。 ⅰ)保護観察所は、経験年数の少ない保護司の不安や悩みを速やかに解消するため、そ の活動状況や心情の把握に努めるとともに、当該保護司の活動に係る不安等について 気軽に相談するよう積極的に促すこと。具体的には、定期駐在や定例研修等の機会に、 経験年数の少ない保護司の相談に応じる場を積極的に設けることや、保護観察事件等 を担当している保護司から報告書が提出された機会等を利用して、きめ細かな助言等 を行うことなどが考えられる。 ⅱ)保護司会においても、例えば、相談に応じる保護司をあらかじめ指定するなどして、 経験年数の少ない保護司を組織的に支える体制を構築すること。 ⅲ)保護司会は、個々の保護司が持つ悩みや情報を共有できるよう、例えば、年齢別、 性別、委嘱年別等の横断的な交流の場を設けるなど、保護司同士の交流の活発化に努 めること。 (最近の動向) 法務省は、平成 31 年の改訂後の基本的指針において、次のとおり定めて取組の一層 の強化を図っている。 ⅰ)保護司会においても、例えば、相談に応じる保護司をあらかじめ指定するほか、更 生保護サポートセンターを有効に活用したり、保護司を退任した人から助言を得られ る機会を設定するなどして、経験年数の少ない保護司を組織的に支える体制を構築す ること。 ⅱ)保護司会は更生保護サポートセンターを積極的に活用し、その機能の一つである経 験年数の少ない保護司に対する相談支援等に努めること。 また、保護観察対象者が拒否しているなどの理由で保護司と面接できていない保護観 察事件があることから、保護観察対象者の来訪を確保するための措置として、法務省は、 「保護観察対象者の来訪の確保について(通知)」 (令和元年 7 月 9 日付け法務省保観第 26 号法務省保護局観察課長通知)において、保護観察所長に対して「更生保護サポート センター等における定期駐在や、地域別定例研修等の機会に保護司が気軽に保護観察官 44

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に相談できる場を積極的に設けるなど、保護司に対する相談支援体制の充実に一層努め ること」を求めている。 (保護観察所における保護司からの相談対応の取組) 調査対象とした 17 保護観察所管内の 68 保護区を担当する保護観察官(注)における保 護司からの相談対応の取組状況について調査したところ、表 3-⑴-ア-(ウ)-①のとおり、 42 保護区の保護観察官(61.8%)は、地域別定例研修や、更生保護サポートセンターへ の定期駐在、報告書の受領等の際に、保護司から相談を受ける場を設けているとしてい る。中には、保護司活動全般を質問の対象とする「なんでも質問用紙」を地域別定例研 修の際に保護司に配布し、相談したい時にいつでも提出して相談できるよう配慮してい る例がみられた。 (注)調査対象とした 68 保護区を担当している保護観察官等を選定している。一つの保護区について複数 の 保護観察官が担当している場合や、一人の保護観察官が複数の保護区を担当している場合がある が、これらの場合でもそれぞれ一保護区一保護観察官として扱っている。また、保護観察官の代わりに 当該保護区の状況を熟知している統括保護観察官等に聴取している場合もある。 表 3-⑴-ア-(ウ)-① 調査対象保護区を担当する保護観察官における保護司からの相談対応の 取組状況 (単位:保護観察官、%) 区分 保護観察官 相談を受ける場を設けている 42(61.8) 相談を受ける場を設けていない 26(38.2) (注)保護観察所(保護観察官)への実地調査の結果による。 〔相談したい時にいつでも相談できるよう配慮した取組を行っている例〕 自分から進んで主任官に相談することが苦手な保護司や、地域別定例研修等の場で主任官が時間 の制約から相談対応ができない保護司、対面で相談することが苦手な保護司を考慮した上で、保護 司が主任官に対して相談しやすい環境を作るための取組を行っている。 具体的には、地域別定例研修や保護司会総会等において、主任官から保護司に対して積極的にコ ミュニケーションを取ることで、自分から進んで主任官に相談することが苦手な保護司に対しても 相談の機会を提供している。また、地域別定例研修等の場で主任官が時間の制約から相談対応がで きない保護司に対しては、地域別定例研修の際、保護司活動全般に関する相談を受け付けるための 「なんでも質問用紙」を配布することにより、広く相談の機会を提供している。また、同質問用紙の 配布は、書面での相談を可能にすることにより、対面で相談することが苦手な保護司が主任官に相 談しやすい環境作りも兼ねて行っている。 なお、この主任官は、新任保護観察官を指導する際に、上記取組の内容を情報共有しており、その 情報共有を受けた保護観察官の中には、上記取組と同様の取組を始めている者もいる。 (仙台保護観 察所保護観察官) (注)保護観察所(保護観察官)への実地調査の結果による。 一方、残りの 26 保護区の保護観察官(38.2%)は、相談を受ける場を設けていないと している。こうした保護観察官の中には、その理由として、 「できるだけ保護観察所にい 45

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るようにして、相談があれば対応できるようにしている」 、 「相談がある場合は保護司が 個別に主任官に連絡してくる」などが挙げられた。 〔保護観察官において保護司から相談を受ける場を設けていない理由(主なもの)〕 ・ 相談がある場合は保護司が個別に主任官に連絡してくることから、特段の支障は生じていない。 (名古屋保護観察所保護観察官) ・ 保護司が報告書の提出に併せて主任官に相談することが多いことから、毎月 1 日から 10 日頃ま ではできるだけ保護観察所にいるようにして、相談があれば対応できるようにしている。 (鳥取保 護観察所保護観察官) ・ 保護区の管内に保護観察所があるため、相談を受けることを目的とした更生保護サポートセン ターへの定期駐在は行っていない。 (和歌山保護観察所保護観察官) ・ 保護司からの随時の電話や保護司の来所の際に相談を受けている。 (福岡保護観察所保護観察官) (注)保護観察所(保護観察官)への実地調査の結果による。 ⅱ 保護司会における保護司の悩み等を解消するための取組 調査対象とした 68 保護司会における保護司の悩み等を解消するための取組の状況に ついて調査したところ、表 3-⑴-ア-(ウ)-②のとおり、24 保護司会(35.3%)において、 保護司が相談できる場を定期的に設けるなどの取組を行っているとしている。具体的に は、経験年数の少ない保護司の悩み等に先輩保護司が応じる座談会を開催している例や、 委嘱年次別に保護司を集めて保護観察官等を交えて保護司の悩み等に応じる情報交換会 を開催している例などがみられた。 表 3-⑴-ア-(ウ)-② 調査対象保護司会における保護司の悩み等を解消するための取組状況 (単位:保護司会、%) 区分 保護司会 取組を行っている 24(35.3) 取組を行っていない 44(64.7) (注)保護司会への実地調査の結果による。 〔保護司会における保護司の悩み等を解消するための取組の例(主なもの) 〕 ・ 平成 26 年度以降、毎年 8 月、 「保護司活動で困っていること」等をテーマとして、委嘱期間 5 年 あゆ 以下(28 年度までは委嘱期間 10 年未満)の保護司を対象に意見交換等の場「若 鮎 の会」を開催 している。この会では、参加者をグループに分けて意見交換を行ったり、全員で交流会を行ったり している。30 年度には、3 日間に分けて開催し、対象保護司 75 人中 49 人(約 65%)が参加した。 ・ 平成 26 年度以降、毎年 2 月、女性保護司特有の悩みの共有や解消等を目的として、女性の保護 司であれば誰でも参加できる語らいの場「ひな祭り女子会」を開催している。この会は、事務局長 (女性保護司)が発案し自らが中心となって開催している。保護司会は、 「毎年、女性保護司のほ とんどが出席しており、好評である。」としている。 ・ 平成 29 年度以降、保護司のサポート及び保護司間の交流を目的として、委嘱年次別に保護司を 集めて情報交換会を開催している。情報交換会には、ⅰ)新任保護司を対象として、先輩保護司や 46

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保護観察所職員との交流を図るもの、ⅱ)委嘱後 5 年、10 年を経過したベテラン保護司を集めて 委嘱年次別に開催するものがあり、処遇活動に当たって保護司が日頃抱えている悩みや不安のほ か、保護観察対象者との面接等を行う際の工夫などについて情報交換を行っている。この情報交 換会では、保護観察官等が同席して、保護司の処遇活動の悩みや相談に対するアドバイスを行っ ており、保護司だけでは対応することが困難な悩み等についても解決できている。また、保護司の 委嘱年次別に情報交換会を開催することで、経験年数が同程度の他の保護司が抱える悩みや解決 方法等を共有することができるほか、保護司間の親睦を深める機会となっている。 ・ 平成 28 年度以降、新任保護司(委嘱 2 期目・3 期目)と企画調整保護司(注)との座談会形式によ る研修会「新任さんいらっしゃい」を開催している。保護司会では、 「近年、事件数の減少に伴い 事件を持たない保護司がみられるようになり、保護司を務めていることに意味があるのかなどの 疑問がある、委嘱前にイメージしていた保護司活動と異なるなどとして、途中退任する保護司が 出てくるようになった。この状況が継続した場合、今後、保護司の担い手確保も懸念されることか ら、途中退任を食い止めるため、新任保護司の悩みを聞くとともに、先輩保護司から、保護司とし てのやりがいなどの経験談を紹介し、新任保護司に対して保護司としてのモチベーションを持続 させることを目的に開催することにした。」と説明している。30 年度は、27 年度に委嘱を受けた 14 人の保護司を対象に開催した。2 期目・3 期目の保護司を対象としている理由は、ⅰ)1 期目は、 保護観察所が開催する新任保護司研修の機会もある、ⅱ)1 期目で直ちに退任しようと考える保護 司は少なく、保護司としての活動に疑問等を感じ始めるのは 2 期目以降であるためとしている。 (注)企画調整保護司は、経験等を勘案して、新任保護司を始めとする保護司の処遇活動に関する相談への対応な どの役割を十分担うことができる保護司の中から保護観察所の長により指名され、更生保護サポートセンタ ーに駐在している保護司である。 (注)保護司会への実地調査の結果による。 また、困ったことがあれば相談するよう保護司に対する周知を徹底していた保護司会 の中には、 「モチベーションが低下し退任の意向を示した保護司に対し、担当地区外の保 護観察を担当させたことで退任を防ぐことができた例」のとおり、保護司の悩みが解消 されて退任を防ぐことにつながった例がみられた(再掲)。 〔保護司の退任を防ぐことのできた例〕 委嘱後、保護観察事件等の担当がなかったことによるモチベーションの低下を理由に退任の意向 を示した保護司について、保護司会長が主任官に相談した結果、当該保護司の担当地区(小学校区) 外の保護観察事件を担当に指名することで退任を防いだ。[再掲] 当該保護司が所属する保護司会では、所属する保護司の処遇活動等における不安・悩みを解消す るため、総会等の場で、保護司会長から、何か困ったことがあれば、まずは地域の理事に相談するよ う徹底していた経緯がある。このため、モチベーションが低下した保護司は、同じ中学校区内の理事 に退任を申し出て、この理事が保護司会長に伝え、同会長が主任官に相談した結果、本来は当該保護 司の担当ではない近隣の保護観察事件を割り振って担当させたことによって当該保護司の退任を防 ぐことができた。 (注)保護司会への実地調査の結果による。 一方、残りの 44 保護司会(64.7%)は、特段の取組は行っていないとしている。その 理由は、 「地域別定例研修や保護司会の活動を通じて保護司間の情報交換を行っている」、 「処遇に係る個別具体的な話はできない」、「保護司一人当たりの事件数が少ないので、 47

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特別な取組を実施するほどの必要性を感じていない」などが挙げられた。 〔保護司会において保護司の悩み等を解消する取組を行っていない理由(主なもの)〕 ・ 地域別定例研修や保護司会の活動を通じて保護司間の情報交換を行っている。 ・ 中学校区 1~4 校区をまとめて「中学校区自主研修」を実施しており、少数で密な意見交換等を 実施することで、保護司同士の顔が見える関係を築くことができている。 ・ 更生保護サポートセンターの開設により、企画調整保護司が常駐することから、保護司の処遇活 動等に関する相談に随時対応可能である。 ・ 保護司同士といえども、守秘義務のため処遇に係る個別具体的な話はできないので、処遇に係る 個別具体的な話は主任官に相談するよう会員の保護司に伝えている。 ・ 保護司一人当たりの事件数が少ないので、特別な取組を実施するほどの必要性を感じていない。 (注)保護司会への実地調査の結果による。 ⅲ 保護司における保護観察官又は他の保護司への相談の状況 保護観察事件を担当したことのある保護司における保護観察官や他の保護司に対す る相談状況について、アンケート調査の結果によると、表 3-⑴-ア-(ウ)-③のとおり、保 護観察官に「相談している」と回答した保護司は 73.1%、他の保護司に「相談している」 と回答した保護司は 49.6%、どちらにも「相談している」と回答した保護司は 43.1%で ある一方、保護観察官と他の保護司とのどちらにも「相談していない」と回答した保護 司は 15.3%であった。 表 3-⑴-ア-(ウ)-③ 保護観察官や他の保護司に対する相談状況 (単位:%) 他の保護司への相談 区分 保護観察官への相談 している していない これまで困った ことや悩んだ ことがない 無回答 計 している 43.1 27.0 0.9 2.1 73.1 していない 5.8 15.3 0.8 0.1 22.0 これまで困った ことや悩んだ ことがない 0.1 0.4 2.7 0.0 3.2 無回答 0.6 0.4 0.1 0.6 1.7 計 49.6 43.1 4.5 2.8 100 (注)1 2 3 保護司へのアンケート調査の結果による。 調査の対象は、保護観察事件を 1 件以上担当したことがある保護司 3,384 人である。 「している」の割合は、 「いつもしている」又は「時々している」と回答した保護司の全体に占める割合であ る。 4 「していない」の割合は、 「余りしていない」又は「全くしていない」と回答した保護司の全体に占める割合 である。 48

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(保護司の保護観察官や他の保護司との交流・相談の機会に対する不安・負担) 保護観察官や他の保護司との交流・相談の機会について、アンケート調査の結果によ ると、図 3-⑴-ア-(ウ)-①のとおり、16.8%の保護司は、少ないことに不安や負担を「感 じている」と回答している。経験年数別にみると、12 年超の保護司では 13.2%が不安 や負担を「感じている」と回答しているのに対し、6 年以内の保護司では 21.5%が不安 や負担を「感じている」と回答しており、経験年数が少ないほど不安や負担を感じてい る割合が高い。 図 3-⑴-ア-(ウ)-① 保護観察官や他の保護司との交流・相談の機会の少なさに対する不安や負担 とても感じている 2.5%(99人) 総計 全数 (4,001人) ある程度感じている 14.3%(571人) どちらともいえない 2.0%(82人) 余り感じていない 51.2%(2,049人) 12年超 (1,440人) 11.9% (172人) 48.9% (704人) 13.7% (178人) 1.5%(20人) 53.9% (698人) (注)1 2 3 17.8% (202人) 51.4% (585人) 0.8%(11人) 27.9% (362人) 2.5%(29人) 3.7%(42人) 6年以内 (1,138人) 2.4%(34人) 33.3% (479人) 2.1%(27人) 6年超 12年以内 (1,296人) ほとんど感じていない 28.5%(1,139人) 2.2%(32人) 1.3%(19人) 無回答 1.5%(61人) 1.1%(13人) 23.5% (267人) 保護司へのアンケート調査の結果による。 経験年数別については、委嘱年月日が無回答であった保護司 127 人を計上していない。 割合は、小数点第 2 位を四捨五入しているため、合計が 100 にならない場合がある。 また、実地調査において、保護観察官や他の保護司との交流・相談の機会が少ないこ とについて不安や負担に感じているとしている保護司 17 人から、その具体的な内容を 聴取したところ、保護観察官との交流・相談については、 「主任官と会えるのは地域別定 例研修等に限られている」、 「主任官と話をする機会が余りなく、主任官がどのような人 か分からない」といった意見が聴かれた。また、他の保護司との交流・相談については、 「個人情報保護の観点から、自分が担当する事件の具体的内容を伝えてはいけないため、事 、 「保護司同士の交流が少ない」と 件の対応に関して困ったときでも気軽に相談できない」 いった意見が聴かれた。中には、保護観察官や他の保護司との交流・相談に関して、 「主 任官への相談や意見交換等の機会を充実させてほしい」 、 「主任官から保護司に対して気 軽に相談できる旨の呼び掛けを行ってくれれば、新任保護司等も主任官に対する相談を 行いやすくなる」、 「各保護司間の個人的なつながりを強化し信頼関係を築くことで、個 人的な悩みや不安について相談しやすい環境を作る必要がある」など相談しやすい環境 の整備を望む意見や要望が聴かれた。 49

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〔保護観察官や他の保護司との交流・相談の機会が少ないことについての不安や負担の具体的な 内容(主なもの)〕 区分 保護観 察官 内容 ・ 主任官と会えるのは地域別定例研修等に限られているため、保護司が考える問題点 等に関して主任官と意見交換をする場がないことが少し不満である。主任官その他、 企画調整課長等の職員も一緒に話し合う機会を設けてほしい。 ・ 主任官と話をする機会が余りなく、主任官がどのような人か分からないため、頼っ たことがほとんどない。 ・ 保護観察所の保護観察官についても、地域別定例研修とその後の交流会くらいしか接 する機会がなく、思うような交流が持てないことが残念である。他の保護司や保護観察 官と交流が持てるようになれば、処遇方法等で悩むことがあっても、気軽に相談や情報 交換ができると思うが、そのような関係を構築できておらず、相談する相手がいないの で不安である。保護観察所に対しては、保護司と保護観察官が交流を持てる機会を設け てもらいたい。これらの機会を通じて、処遇方法等で悩んだときに気軽に相談できるよ うなつながりを持てるようになる。 他の保 護司 ・ 主任官と接触する機会が少ないと感じており、主任官にはもっと市に来てもらいた いとの思いはある。しかし、主任官は他の地域も担当するなど多忙であり、また、自 分が配属されている保護区は、事件数が少ない地域であることから、遠く離れた当地 まで来ることを求めるのも気の毒と思うので、仕方ないと思っている。 ・ 不安や負担に感じている理由は、対象者についてはまだしも、その家族一人一人の ことまで主任官がその全てを把握できるわけではないことから、自分で考え、判断す べきことが多く、他人に相談できることが限られるため。主任官が事件について様々 な情報を得てその全てに関与するには無理があり、当然限度があると理解しているの で、相談等の機会が少ないことはやむを得ないと思っている。 ・ 同じ保護区内の他の保護司に対しては、対象者の個人情報保護の観点から、自分が 担当する事件の具体的内容を伝えてはいけないため、事件の対応に関して困ったとき でも気軽に相談できない。今後、事件を担当する上で不安である。ただし、これまで 担当した事件では、対象者が素直であったため、特に困ったことはなかった。 ・ 保護司同士の交流が少ない。総会等の会合に出てこない保護司がいる。研修会等の 機会を利用し、保護司は保護司会の集まりに出席するよう理事が声掛けしている。 ・ 薬物(覚醒剤)事犯を担当する保護司が少なく、そのような保護司から話を聞けな いため、保護観察の類似事例を知る機会が少ないと感じている。 ・ 特に共犯者がいる少年事件においては、保護観察中の少年は、仲間の少年同士で情 報交換をしていることから、保護司の側も、共犯者を担当する保護司との情報交換が 必要と考えるが、個人情報保護の観点から、保護司間の連携が十分に行われていない ような気がする。 ・ 保護司活動に関する情報交換等を行う機会が少ないので、不安に感じることがあ る。対策は、保護司の研修会や総会等の場において、他の保護司との交流・相談の機 会を増やすことと考える。 ・ 自身は、研修や会議によく出席している方だが、他の保護司は欠席することが多 く、他の保護司と交流する機会が少ない。自身が所属する支部には保護司が 40 人いる が、その中でも連絡先を知っているのは 5 人程度である。他の保護司や保護観察官と 50

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交流が持てるようになれば、処遇方法等で悩むことがあっても、気軽に相談や情報交 換ができると思うが、そのような関係を構築できておらず、相談する相手がいないの で不安である。保護司会に対しては、支部や校区単位の保護司同士が交流を持てる機 会を設けてもらいたい。 (注)保護司への実地調査の結果による。 〔保護観察官や他の保護司との交流・相談の機会についての意見(主なもの)〕 区分 内容 保護観 察官 ・ 自分が保護司に委嘱された当時、保護区には、主任官が常駐しており、その場ですぐ に相談できた。今は月一度程度の来訪なので、その点では少し物足りなく感じるが、相 談に対応してくれることには有り難いと思っている。 ・ 地域別定例研修や公開ケース研究会等のイベントのほかにも、主任官への相談や意見 交換等の機会を充実させてほしい。 ・ 主任官はおおむね 2 年ごとに交代しているが、相談しやすさや対応の良さは主任官に よりばらつきがある。主任官から保護司に対して気軽に相談できる旨の呼び掛けを行っ てくれれば、新任保護司等も主任官に対する相談を行いやすくなるのではないか。 他の保 護司 ・ 研修会の後等に主任官と個別に話す機会があればよい。 ・ 同じ地域の保護司と情報交換を行う場所や機会があれば有り難い。 ・ 各支部の少人数の保護司で集まり、相談会等を開催し、各保護司間の個人的なつなが りを強化し信頼関係を築くことで、個人的な悩みや不安について相談しやすい環境を作 る必要があると考えている。 ・ 保護司会別又は地区別の情報交換会があるが、地域が狭く、保護司は地域の婦人会等 他の団体と兼任していることが多いことから、地域の実情に詳しい者が多く、僅かな情 報でも、各保護司が受け持っている保護観察対象者を割り出すことができてしまう。こ のため、個別のケースに踏み込んだ相談をすることには忌避感があり、地区別の情報交 換会では、個別に踏み込んだケースの相談や処理の仕方の情報共有が難しいように考え る。 両方 ・ 少年事犯の場合、保護観察対象者同士がグループ化しており、自身が担当している保 護観察対象者についても、面接している中で、別の保護観察対象者の素行が話題に上が ることがある。このため、担当保護司と主任官を交えてケース会議を開催し、各保護司 が担当する保護観察対象者から得られた情報等を共有することができれば、保護観察対 象者の環境の把握や、更生保護に資すると考える。 ・ 同僚保護司や主任官に相談できる場がもっとたくさんあると有用であると思うので、 そのような場を設けてほしい。 ・ 処遇については担当の保護観察官、地域の人間関係については地域の保護司など、保 護司として分からないことがあったときに聞けるよう、連絡先が分かっていればよいと 思う。 (注)保護司への実地調査の結果による。 51

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(保護司の保護観察官や他の保護司に対する相談の状況) 調査対象とした保護司 136 人から、保護観察等において困ったときや悩んだときの相 談の状況について聴取したところ、保護観察官については、 「保護観察対象者(ぐ犯少年) との距離の取り方に迷った」、「保護観察対象者とうまくコミュニケーションが取れず、 状況をうまく聴取できなかった」など保護観察対象者への対応方法等に困ったり悩んだ りしたことについて相談した結果、「主任官が親身に話を聞いてくれていることもあっ て、相談することにより悩みや不安の解決につながっている」、 「保護観察対象者とのコ ミュニケーションが円滑になった」などの意見が聴かれた。 〔保護観察官への相談内容と相談後の状況(主なもの) 〕 ・ 保護観察事件及び生活環境調整事件の両方について、保護観察対象者(ぐ犯少年)との距離の取 り方に迷った際に、対象者との面接後、経過報告書を保護観察所に送付する際等の処遇活動の区 切りごとに電話連絡等により主任官に相談している。主任官が親身に話を聞いてくれていること もあって、相談することにより悩みや不安の解決につながっている。 ・ 以前、保護観察対象者とうまくコミュニケーションが取れず、状況をうまく聴取できなかった際 に、主任官が、対象者を保護観察所に呼び出し、主任官が同席の上で面接を行う事があった。この ほか、今後の保護観察対象者との面接の方法を打ち合わせる等のサポートを受け、保護観察対象 者とのコミュニケーションが円滑になった。 ・ 保護観察対象者(ぐ犯少年)の生活面で指導したい点があったが、大人の押し付けがましい態度 が気に入らない様子であったため、強く指導すると保護観察対象者との関係が崩れてしまうおそ れがあった状況において、主任官に対応方針を相談した。この相談に対し、主任官から保護司と対 象者との良好な関係を崩さないことを優先するよう助言してもらうとともに、主任官が生活面の 指導役を買って出てくれたことで、対象者と良好な関係を維持しつつ処遇活動を行えた。 ・ アルコール依存症の保護観察対象者を担当したとき、会話が成り立たず困って主任官に相談し たところ、そのような場合の接し方や使ってはいけない言葉などを具体的にアドバイスしてもら ったことが役立った。 ・ 以前、保護観察対象者が面接の際に面接時間等の約束を度々破ったことから対応に苦慮し、主任 官に相談した。主任官は、対象者を保護観察所に呼び出し、改めて保護観察の意義等を説明してく れた。 ・ 保護観察対象者の特別遵守事項に「就職すること」と定められていたことから、保護司として は、協力雇用主へ就職させたいと考えていたものの、対象者は地元では働きたくないとしていた ことから、主任官に電話で相談した。主任官からは、少々時間を掛けてもよいので本人の希望に沿 うようにとのアドバイスをもらい、最終的に対象者は県外で就職することができた。 ・ 委嘱後初めて保護観察事件の担当となり、対象者との面接方法や保護観察経過報告書の記載方 法、交通事件の対象者が行う運転態度に関する検査結果の見方が分からないなど、何か困ったと きはその都度主任官に電話で相談し、教えてもらった。 ・ 最初に担当した保護観察事件の対象者が交通違反事案を起こしたため、主任官に電話で対応方 法を相談した。主任官から、事故報告書等、各種の書類提出手続について教示してもらった。 ・ 初めて担当した保護観察事件で、対象者を暴力団から離脱させるときに、主任官に相談した。主 任官は、警察の窓口との橋渡しをしてくれて、非常に助かった。 ・ 主任官からは、 「困ったことがあればいつでも相談してください。」との言葉を常に頂いている。 52

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この声掛けは、心強く感じており、安心して活動できる。 (注)保護司への実地調査の結果による。 また、経験豊富な先輩保護司等については、 「これまで少年の保護観察対象者を担当し たことがない」、 「保護観察対象者から金銭を貸してほしいと要望された場合にどうした らよいか分からない」など保護観察対象者への対応方法等に困ったり悩んだりしたこと について相談した結果、「あらかじめ対応方法を学ぶことができ、少年の対象者を担当 する心構えができた」、 「その後の対応で判断に迷うことがなくなった」などの意見が聴 かれた。 〔他の保護司への相談内容と相談後の状況(主なもの) 〕 ・ これまで少年の保護観察対象者を担当したことがないため、少年を扱った経験のある先輩保護 司にその接し方等を教示してもらった。これにより、あらかじめ対応方法を学ぶことができ、少年 の対象者を担当する心構えができた。 ・ 面接の際に、保護観察対象者から金銭を貸してほしいと要望された場合にどうしたらよいか分 からないため相談し、アドバイスが役に立った。先輩保護司からは、例え少額であっても金銭を貸 すことは絶対にしてはならないとアドバイスを受けたため、その後の対応で判断に迷うことがな くなった。 ・ 担当した保護観察対象者の行動に疑問を感じたときに、今後の対応方法について、先輩保護司 (この保護司を推薦した地区の元支部長)から助言を受けたくて相談した。先輩保護司からは、疑 問に思った内容を対象者に直接確認するよう助言があり、その後、疑問は解決した。 ・ 保護観察対象者との面接方法で悩んだときなど、何かあれば先輩保護司や更生保護女性会で一 緒に活動している保護司OBに、研修会議等の場における取組を通して相談し、先輩保護司の経 験談を参考にしている。 ・ 委嘱当初に複数指名で一緒に担当した警察出身の保護司に、主に保護観察事件において、様々な 対象者に応じた対応の方法についてアドバイスをもらっている。 ・ 対象者との意思疎通がうまくいかず、本音を聞くことができないことに悩んでいたときに、経験 が豊富な保護司に相談をしたところ、その保護司から、よくあることだから悩む必要はないと助 言され、気が軽くなり助かった経験がある。 ・ 処遇活動で悩んだ場合などに、先輩保護司であればどのように対応するか、意見や経験談を話し てもらう。先輩保護司から、すぐにうまくいくとは考えず、粘り強く相手の本音を引き出すようア ドバイスを受け、精神的な負担が軽減された。 ・ お金の問題で苦しむ保護観察対象者がいて、生活保護のシステムや、自己破産したらどのような 制限を受けるのかを知りたいと思い、民生委員を兼務している保護司に相談するなど、必要に応 じて、知りたいことに詳しいと思われる保護司に相談している。 ・ 2 か月に 1 回開かれる分区の定例会において、経験豊富な他の保護司を含め、事例を共有し、意 見交換をしている。困りごとで多いのは保護観察対象者が時間を守らないということであり、繰 り返し連絡する、それでも駄目なら保護観察所に相談したらよいなどと助言し合っている。 ・ 委嘱後 2、3 年目の頃に、対象者が面接の時間に遅れてくることが度々あったので、ブロック内 で月 1 回行われる処遇会議の際に先輩保護司に対処方法を相談したことがある。 53

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・ 対象者と連絡がつかない時の対応、受入家族を訪問する時の対応等、細かいことも含めて、気に なった事は全て更生保護サポートセンターの企画調整保護司(特に事務局長)に相談しており、適 時適切なアドバイスを受けている。 ・ 同じ分区の先輩保護司や得意分野を持っている保護司に、自宅への訪問や電話により相談して いる。相談内容は、保護観察経過報告書等の報告書類の書き方、保護観察対象者との面接時の不安 な点等の具体的かつ細かい点が多く、非常に助かっている。主任官にも相談できるかもしれない が、主任官は多忙であり、相談するには自身も準備をしなければならないと思い敷居が高いと感 じている。 ・ 保護観察対象者が暴れているからどうにかほしいと対象者の家族から連絡を受け、対応に苦慮 していた際に他の保護司に相談したところ、処遇活動とは別に個人として対応すべきではないと 助言を受け、心理的な負担が軽減された。 ・ 保護観察対象者との面接は更生保護サポートセンターで行っており、相談したいことがあれば、 面接終了後に常駐の企画調整保護司等に相談している。 ・ 年に一度、 「女性保護司の会」の研修会があり、そのときには包み隠さず周りに相談できて良い 機会となっている。他の女性保護司からも、成功談だけではなく、失敗談を聞くこともできて、勉 強になる。 ・ 主任官に相談するほど具体的な内容でないものについて、自身が所属している支部や校区内の 保護司に対し、保護観察対象者が面接に来ないことが続く場合にどのように対応しているか情報 交換等をしている。 (注)保護司への実地調査の結果による。 (保護観察官への相談状況) 保護観察官への相談状況について、アンケート調査の結果によると、図 3-⑴-ア-(ウ)②のとおり、保護観察事件を担当したことのある保護司の約 7 割は相談を「している」 (注) と回答している一方、約 2 割は相談を「していない」 と回答している。保護観察事件 の担当件数階層別にみると、相談を「していない」と回答しているのは、担当件数が 101 件以上では 18.9%の保護司、1 件以上 10 件以内の保護司では 22.7%の保護司となって おり、担当件数により大きな差はなく、多くの事件を担当していても保護観察官に相談 していない保護司は一定程度みられる。 (注)「余りしていない」と「全くしていない」とを合わせたもの 54

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図 3-⑴-ア-(ウ)-② 保護司が処遇活動で困ったときや悩んだときの保護観察官への相談状況 全くしていない 2.8%(94人) 総計 全体 (3,384人) いつもしている 19.1%(645人) これまで困ったことや悩んだことがない 3.2%(107人) 時々している 54.0%(1,827人) 余りしていない 19.2%(650人) 5.4%(2人) 101件以上 (37人) 21.6% (8人) 54.1% (20人) 20.9% (27人) 3.1%(4人) 58.9% (76人) 19.8% (84人) 1.2%(5人) 59.9% (254人) 18.9% (123人) 2.0%(13人) 55.0% (358人) (注)1 2 3 18.8% (403人) 52.2% (1,119人) 0.9%(6人) 21.2% (138人) 3.3%(71人) 1~10件 (2,143人) 0.7%(3人) 16.7% (71人) 2.0%(13人) 11~20件 (651人) 0.8%(1人) 15.5% (20人) 1.7%(7人) 21~50件 (424人) 5.4%(2人) 13.5% (5人) 0.8%(1人) 51~100件 (129人) 無回答 1.8%(61人) 4.0%(85人) 2.3%(49人) 19.4% (416人) 保護司へのアンケート調査の結果による。 調査の対象は、保護観察事件を 1 件以上担当したことがある保護司 3,384 人である。 割合は、小数点第 2 位を四捨五入しているため、合計が 100 にならない場合がある。 保護観察官に相談していない理由について、アンケート調査の結果によると、図 3-⑴ -ア-(ウ)-③のとおり、最も多いのは「ささいな悩みだと思い、相談することをためらっ てしまうから」 (38.0%)であり、次に「企画調整保護司や経験が豊富な保護司に相談で きるから」 (29.3%)となっている。 図 3-⑴-ア-(ウ)-③ 保護観察官に相談していない理由 n=744 人 ささいな悩みだと思い、相談する ことをためらってしまうから 38.0% 企画調整保護司や経験が豊富な 保護司に相談できるから 29.3% 保護観察官に相談しても 解決しないと思うから 6.9% 保護観察官となかなか連絡が 取れないから 2.3% 保護観察官の経験が浅いから 2.2% その他 無回答 24.3% 6.5% (注)1 保護司へのアンケート調査の結果による。 2 調査の対象は、図 3-⑴-ア-(ウ)-②のうち「余りしていない」又は「全くしていない」と回答し た保護司 744 人である。 3 複数回答である。 55

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(他の保護司への相談状況) 他の保護司への相談状況について、アンケート調査の結果では、図 3-⑴-ア-(ウ)-④の とおり、約 5 割の保護司は相談を「している」と回答している一方、4 割強の保護司は 相談を「していない」と回答している。保護観察の担当件数階層別にみると、相談を「し ていない」と回答しているのは、101 件以上では 51.3%の保護司であるのに対し、1 件 以上 10 件以内では 40.2%の保護司となっており、保護観察事件の担当経験が多いほど 他の保護司に相談していない保護司の割合が高くなる傾向がみられる。 図 3-⑴-ア-(ウ)-④ 保護司が処遇活動で困ったときや悩んだときの他の保護司への相談状況 いつもしている 6.9%(233人) 全くしていない 12.8%(432人) 総計 全体 (3,384人) これまで困ったことや悩んだことがない 4.5%(152人) 余りしていない 30.3%(1,026人) 時々している 42.7%(1,445人) 10.8%(4人) 101件以上 (37人) 2.7%(1人) 29.7%(11人) 37.8%(14人) 3.9%(5人) 51~100件 (129人) 33.3%(43人) 5.2%(22人) 36.3%(154人) 3.8%(25人) 42.5%(277人) 1~10件 (2,143人) (注)1 2 3 5.2%(112人) 43.5%(932人) 27.7%(593人) 2.2%(14人) 13.5% (88人) 34.1%(222人) 8.3%(177人) 3.8%(16人) 11.6% (49人) 3.8%(25人) 11~20件 (651人) 1.6%(2人) 17.8% (23人) 2.1%(9人) 41.0%(174人) 5.4%(2人) 13.5% (5人) 3.9%(5人) 39.5%(51人) 21~50件 (424人) 無回答 2.8%(96人) 2.9%(62人) 12.5% (267人) 保護司へのアンケート調査の結果による。 調査の対象は、保護観察事件を 1 件以上担当したことがある保護司 3,384 人である。 割合は、小数点第 2 位を四捨五入しているため、合計が 100 にならない場合がある。 また、実地調査において、他の保護司に相談を「していない」としている保護司 55 人 (「余りしていない」39 人、 「全くしていない」16 人)から、他の保護司に相談していな い理由を聴取したところ、 「主任官に相談することで、問題が解決している」 、 「各保護司 によって、処遇の方法や方向性等、多様な考え方があるため、保護司には余り相談せず、 主任官に相談するようにしている」など、他の保護司よりも優先して保護観察官に相談 しているといった理由が挙げられた。また、 「保護司には守秘義務(注)が課せられており、 他の保護司に対してどこまで話してよいのかが分からない」、 「守秘義務の関係で、担当 している対象者の個人情報を他の保護司に話すことは差し控えなければならないと思 っている」など、守秘義務があるため相談しにくいといった理由が挙げられた。 (注)保護司法第 9 条第 2 項において、 「保護司は、その職務を行うに当つて知り得た関係者の身上に関す る秘密を尊重し、その名誉保持に努めなければならない」とされている。 56

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〔他の保護司に相談していない理由(主なもの)〕 分類 理由の内容 主任官に相 談している ・ 主任官に相談することで、問題が解決しているため。 (4 年目、1 件) ・ 各保護司によって、処遇の方法や方向性等、多様な考え方があるため、保護司に は余り相談せず、主任官に相談するようにしているため。 (5 年目、3 件) ・ 現在は、悩みや不安があった場合には主任官に相談し、助言を得ることで解決し ており、主任官ではなく他の保護司に相談したい悩みや不安もないことから、他の 保護司に相談は余りしていない。 (2 年目、2 件) 守秘義務等 があるため ・ 保護司には守秘義務が課せられており、他の保護司に対してどこまで話してよい のかが分からないため、担当している事件の内容を話しても、きちんと理解しても らうのは難しいと思う。また、相談する保護司によって答え方が異なるため、経験 豊富な保護司への相談は非合理的であると思う。したがって、更生保護のプロフェ ッショナルである保護観察官に相談するようにしている。 (4 年目、3 件) ・ 守秘義務の関係で、担当している対象者の個人情報を他の保護司に話すことは差 し控えなければならないと思っているので、個別案件について先輩保護司に相談す ることには消極的であった。(5 年目、1 件) ・ プライバシーの問題もあり、どの程度まで他の保護司に相談してよいか分からな いからである。 (3 年目、1 件) 一人で解決 できている ・ 困ったことや悩みごとができても、ほとんどが自分一人で解決できているため。 (6 年目、7 件) その他 ・ 自分自身が他の保護司から相談を受ける立場にあるため。(30 年目、60 件) ・ 自身が保護司会事務局長及び企画調整保護司を兼任しており、保護司の経験年数 も長いことから、他の保護司に相談する機会は余りない。また、処遇活動に当たっ て、保護観察対象者との心理的な距離感に悩むことがあったが、具体的な内容は保 護観察対象者の家族関係等の機微に触れるものであるため、他の保護司に相談する ことに抵抗があった。(20 年目、60 件) (注)1 2 保護司への実地調査の結果による ( )内は、保護司の経験年数とこれまでの保護観察事件の累積担当件数である。 なお、法務省から、他の保護司への相談における守秘義務の考え方について聴取した ところ、 「保護司間のやり取りは、互いに守秘義務が課せられているため、特に制限して いない」としている。 57

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イ 保護司の活動環境の整備 (ア) 保護観察対象者との面接場所の確保支援 保護司は、保護観察(注)の手法である指導監督(行状を把握し、遵守事項や生活行動指針 を守るよう必要な指示や措置を採ること。 )を行うに当たって、更生保護法第 57 条第 1 項 において、 「面接その他の適当な方法により保護観察対象者と接触を保ち、その行状を把握 すること」とされている。そして、面接に当たっては、保護司において、自宅又は自宅以外 の場所の確保が必要となる。 (注)保護観察を担当したときは、保護司法等に基づき、担当事件 1 件につき 1 か月 7,660 円以内の費用(特 別(対象者等との接触回数が 3 回以上等) :7,660 円、一般(特別以外) :4,460 円)が保護司実費弁償金と して支給される。 また、保護観察所長は、処遇規則第 43 条第 4 項において、「保護司を指名したときは、 指導監督及び補導援護を行うことに関し、保護司に過重な負担とならないよう、保護司に 対して十分に指導及び助言を行う」こととされている。 ⅰ 法務省における面接場所の確保に関する取組 (更生保護サポートセンター) 法務省は、保護司や保護司会の活動を支援するため、平成 20 年度以降、保護司会が組 織的に処遇活動や犯罪予防活動を行うための地域における活動拠点となる更生保護サポ ートセンター(以下「サポートセンター」という。)の保護司会による設置を推進してい る。サポートセンターの設置に当たり、その設置場所について、法務省は、 「更生保護サ ポートセンターを活用した更生保護活動の促進について(通達)」 (平成 23 年 3 月 25 日 付け法務省保更第 108 号法務省保護局長通達。 以下「平成 23 年のサポートセンター通達」 という。 )において、 「地域における関係機関・団体及び地域住民との連携の促進に資する 場所」であって、 「原則として、公的な建物等に常時専有できる事務室を確保」すること としている。 平成 24 年提言では、「保護司の処遇活動は、保護観察対象者との面接等を主に自宅で 行うことで成り立っているが、薬物やアルコール依存、精神疾患や発達障害など、複雑・ 多様な問題を抱えた保護観察対象者等を自宅に招き入れることについて家族の理解が得 られないケース(場面)が増加している。また、保護司候補者の中には、マンションなど 居宅の構造上自宅での面接が困難な者が増加しており、これが保護司確保を困難にして いる大きな要因のひとつになっている」ことから、保護司が自宅以外に面接できる環境 を整備するため、サポートセンターの拡充や、公民館等の身近な場所を借用できるよう にすることが必要であるとされている。また、再犯防止推進計画でも、保護観察対象者等 との面接場所や保護司組織の活動拠点を確保するとともに、更生保護ボランティアと地 域の関係機関等との連携を促進するため、サポートセンターの設置を着実に推進するこ ととされている。 以上を踏まえ、法務省は、サポートセンターの設置を更に進めていくため、 「保護司活 動に対する御理解・御協力について(依頼)」 (平成 26 年 6 月 30 日付け総行政第 107 号・ 58

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法務省保更第 72 号総務省地域力創造審議官・法務省保護局長通知。以下「平成 26 年の 依頼通知」という。 )において総務省との連名で、都道府県知事及び市区町村長に対し、 保護司会がサポートセンターを設置する際に、地方公共団体が所管する施設・設備の貸 与等の便宜が図られるよう依頼している。 サポートセンターの機能については、平成 23 年のサポートセンター通達において、以 下のとおり、保護観察、生活環境調整等の処遇活動に対する支援(面接場所の提供等)、 地域の関係機関・団体との連携の推進などが挙げられている。 なお、 「更生保護サポートセンター運営の手引(平成 30 年 3 月版) 」によると、サポー トセンターがこれらの全ての機能を有する必要があるわけではなく、保護司会のニーズ に合ったサポートセンターを設置することが重要であるとしている。 〔サポートセンターの概要〕 区分 内容 趣旨 サポートセンターは、公的な建物等に専有の場所を確保し、企画調整保護司(注 2)を配 置して、保護司会が組織的に保護司の処遇活動に対する支援や犯罪予防活動を行う拠点 として、また地域における更生保護の拠点として機能させることにより、保護司会の任 務を一層推進し、更生保護活動の充実強化を図ることを目的として設置するものであ る。 機能 サポートセンターの機能は、次のとおり。なお、サポートセンターの設置に当たって は、当該全ての機能を有する必要はなく、保護司会のニーズにあったものとする。 ① 保護観察、生活環境調整等の処遇活動に対する支援 ・ 面接場所の提供 ・ 新任保護司を始めとする保護司の処遇活動に関する相談への対応 等 ② 地域の関係機関・団体との連携の推進 ③ 地域に根ざした犯罪・非行予防活動の推進 ④ 更生保護関係団体との連携の推進 ⑤ 地域への更生保護活動に関する情報提供 ⑥ 保護司会の運営 ⑦ その他更生保護に関する活動の実施 設置場所等 サポートセンターは、地方公共団体の協力を得るなどして、地域における関係機関・ 団体及び地域住民との連携の促進に資する場所に設置する。 また、サポートセンターは、原則として、公的な建物等に常時専有できる事務室を確 保し、保護観察対象者等との面接室及び会議室等を備えるものとする。 (注)1 法務省の資料に基づき当省が作成した。 2 企画調整保護司は、経験等を勘案して、新任保護司を始めとする保護司の処遇活動に関する相談への対応など の役割を十分担うことができる保護司の中から保護観察所の長により指名され、サポートセンターに駐在してい る保護司。保護観察所の長より、事務の従事日数に応じた特殊事務処理費(日額 4,900 円)を支給される。 サポートセンターの運営に係る経費について、保護観察所の長は、保護司実費弁償金 支給規則(昭和 29 年法務省令第 47 号)等に基づき、保護司会に対して、サポートセン ターを運営するための光熱水料や維持管理費、事務所借料等の事務所附帯経費等を対象 とする更生保護サポートセンター運営経費を保護司実費弁償金として支給している。 59

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〔更生保護サポートセンター運営経費の概要〕 [支給対象項目] ①事務所光熱水料等 ②事務所維持管理費 ③執務用品費 ④通信運搬費(電話料に限る。 ) ⑤雑役務費 ⑥事務所借料 ※以下の項目のサポートセンター分については、 保護司会運営経費から支給 ①資料作成費 ②消耗品費 ③通信運搬費(郵送料に限る。 ) [年間支給限度額] ・ 一サポートセンター(注 2)当たり 30 万円(事務所借料分を除く。) ・ サポートセンターの運営に著しい支障が生じる場合に限り、上記の支給限度額 30 万円に加え、 30 万円を上限に、保護司会の運営に支障の生じない範囲において保護司会活動費(注 3)から支給 することができる。 (注)1 「保護司実費弁償金支給規則の運用について」 (平成 27 年 4 月 9 日付け法務省保総第 141 号大臣官房会計課長・ 保護局長通達。以下「実費弁償金運用通達」という。)及び「保護司実費弁償金支給規則の運用細則について(通 知)」 (平成 27 年 4 月 9 日付け法務省保総第 142 号法務省保護局総務課長通知)に基づき、当省が作成した。 2 年間支給限度額については、一サポートセンター当たりとされているが、実際の運用では、一保護司会が複数 のサポートセンターを設置している場合は、当該保護司会における限度額とされている。 3 保護司会活動費は、保護司会が、保護司組織活動を実施したときに支給されるものである。内訳には、更生保 護サポートセンター運営経費のほか、保護司会運営経費(保護司会運営費、保護司名簿・保護司会機関誌作成費 等) 、保護司会が主体となって実施した会議・研修及び地域活動(犯罪予防活動)における行事の実施経費、保 護司活動インターンシップ実施経費がある。 サポートセンターの設置を推進するに当たって、法務省は、サポートセンターの設置 に向けた課題(設置の必要性、設置場所の難航、事務局業務の負担増、企画調整保護司の 配置)について事例を取りまとめた「更生保護サポートセンターの設置に向けた事例集」 (平成 30 年 10 月法務省保護局)を作成し、保護観察所を通じてサポートセンターを未 設置の保護司会に配布している。 (最近の動向) 法務省は、サポートセンターの活用に関して、平成 31 年の改訂後の基本的指針にお いて、 「国は、経験年数の少ない保護司に対する組織的な支援を更に促進するため、更 生保護サポートセンターを拡充すること。また、保護司会は更生保護サポートセンター を積極的に活用し、その機能の 1 つである経験年数の少ない保護司に対する相談支援等 に努めること」などとしている。 また、法務省は、 「再犯防止対策の推進に向けた保護司活動に対する一層の御理解・ 御協力について(依頼) 」 (令和元年 5 月 8 日付け総行政第 4 号・法務省保更第 1 号総務 省地域力創造審議官・法務省保護局長通知。以下「令和元年の依頼通知」という。)に おいて総務省との連名で、都道府県知事及び市区町村長に対し、保護司会がサポートセ ンターを設置する際に、地方公共団体が所管する施設・設備の貸与等の便宜が図られる よう依頼している。 60

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法務省によると、令和元年度末までに、全国の 886 保護司会全てがサポートセンター を設置することを目指して推進していたところ、同年度末現在において、全ての保護司 会がサポートセンターを設置したとしている。 (自宅以外の面接場所の確保の必要) 平成 24 年提言においては、 「薬物やアルコール依存、精神疾患や発達障害など、複雑・ 多様な問題を抱えた保護観察対象者等を自宅に招き入れることについて家族の理解が得 られないケース(場合)が増加している」とされている。これに関し、保護観察対象者 (仮釈放者及び保護観察付執行猶予者)の類型の認定状況をみると、表 3-⑴-イ-(ア)-① のとおり、 「覚醒剤事犯」については、平成 20 年では 14.4%、30 年では 25.5%となって おりいずれも高い割合を占めている。また、「精神障害等」については、平成 20 年では 6.0%、30 年では 14.9%となっており増加傾向にある。 表 3-⑴-イ-(ア)-① 保護観察対象者の類型認定状況〔再掲〕 (単位:人、%) 平成 20 年 区分 合計 総数 覚醒剤事犯 精神障害等 仮釈放者 19,593 (100) 2,826 (14.4) 1,179 (6.0) 6,489 (100) 1,490 (23.0) 171 (2.6) 30 年 保護観察付 執行猶予者 13,104 (100) 1,336 (10.2) 1,008 (7.7) 合計 14,638 (100) 3,734 (25.5) 2,179 (14.9) 仮釈放者 4,731 (100) 1,526 (32.3) 561 (11.9) 保護観察付 執行猶予者 9,907 (100) 2,208 (22.3) 1,618 (16.3) (注)1 犯罪白書に基づき、当省が作成した。 2 各年 12 月 31 日現在の類型認定状況である。 3 平成 30 年の「保護観察付執行猶予者」については、保護観察付全部執行猶予者及び保護観察付一部執行猶予者 の合計である。 4 複数の類型に認定されている者については、該当する全ての類型について計上している。 5 ( )内は、各年 12 月 31 日現在、保護観察中の仮釈放者及び保護観察付執行猶予者の各「総数」 (類型が認定 されていない者を含む。 )に占める各類型に認定された者の割合である。 アンケート調査の結果によると、薬物事犯など対応が難しい保護観察対象者を担当す ることについて、図 3-⑴-イ-(ア)-①のとおり、自宅以外の場所で保護観察対象者との面 接を行うことがある保護司(図 3-⑴-イ-(ア)-⑥参照)の約 8 割が不安や負担に「感じて いる」と回答している。 61

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図 3-⑴-イ-(ア)-① 薬物事犯など対応が難しい保護観察対象者を担当することに対する不安や負 担(自宅以外の場所で保護観察対象者との面接を行うことがある保護司) ほとんど感じていない, 5.0%(121人) 余り感じていない, 15.0%(359人) 保護司(2,400人) とても感じている, 33.6%(807人) ある程度感じている, 43.4%(1,041人) どちらともいえない, 1.7%(40人) 無回答, 1.3%(32人) 感じている 77.0%(1,848 人) (注)1 保護司へのアンケート調査の結果による。 2 調査の対象は、自宅以外の場所で保護観察対象者との面接を行うことがある保護司 2,400 人である。 平成 24 年提言においては、 「保護司候補者の中には、マンションなど居宅の構造上自 宅での面接が困難な者が増加しており、これが保護司確保を困難にしている大きな要因 のひとつになっている」とされている。 これに関し、法務総合研究所による平成 17 年の「研究部報告 26-保護司の活動実態と (注) 意識に関する調査」 によると、保護司の居住形態については、図 3-⑴-イ-(ア)-②のと おり、一戸建て住宅が 82.7%で、マンション・アパートなどの集合住宅が 3.3%となっ ている。また、集合住宅に住む保護司は少ないものの、図 3-⑴-イ-(ア)-③のとおり、自 宅に適当な面接場所がないことについて「そう思う」と回答した比率でみると、一戸建て 住宅に住む保護司が 5.5%であるのに対し、集合住宅に住む保護司は 16.4%と高くなっ ている。 (注)法務総合研究所が平成 16 年 4 月下旬から同年 5 月 10 日までの間に全国の保護司 3,000 人を対象に実 施した書面調査であり、回答者 2,260 人(回答率 75.3%) 。なお、この調査以降には保護司の居住形態 等に関する調査は行われていない。 図 3-⑴-イ-(ア)-② 保護司の住居形態 集合住宅 3.3%(74人) 保護司 (2,252人) 寺院・教会・宗教施設等 その他 2.7%(61人) 1.2%(28人) 一戸建て住宅 82.7%(1,863人) 住宅と店舗等が一体となった建物 9.9%(223人) 二戸建て住宅 0.1%(3人) (注)1 「研究部報告 26-保護司の活動実態と意識に関する調査」 (平成 17 年法務総合研究所)に基づき、当省が作成 した。 2 無回答を除く。 3 割合は、小数点第 2 位を四捨五入しているため、合計が 100 にならない場合がある。 62

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図 3-⑴-イ-(ア)-③ 自宅(保護司宅)に適当な面接場所がない(住居形態別) どちらでもない 11.9% そう思う 5.5% 一戸建て住 宅など (2,089人) そう思わない 82.7% 集合住宅 (74人) そう思う 16.4% どちらでもない 16.4% そう思わない 67.2% (注)1 「研究部報告 26-保護司の活動実態と意識に関する調査」に基づき、当省が作成した。 2 「一戸建て住宅など」は、独立性の高い建物(「一戸建て住宅」 、 「住宅と店舗等が一体となった建物」及び「二 戸建て住宅」 )に住んでいる保護司(図 3-⑴-イ-(ア)-②参照)である。 また、 全国保護司連盟による平成 17 年の「保護司制度に関するアンケート結果報告書」 (注) によると、保護司宅以外に保護司が面接できる専用スペースについて、図 3-⑴-イ- (ア)-④のとおり、約半数の保護司会長が「必要」と回答している。その理由については、 図 3-⑴-イ-(ア)-⑤のとおり、最も多かったのが「対象者のプライバシーが確保できる」 であり、次いで「家族の負担がなくなる」となっていた。 (注)全国保護司連盟が全国の 906 保護区(当時)の保護司会長を対象に実施した書面調査であり、回答者 818 人(回答率 90.3%) 。 図 3-⑴-イ-(ア)-④ 総数 (803件) 保護司宅以外に保護司が面接のできる専用スペースの必要性 専用スペースが必要 46.7%(375件) 専用スペースは不要 53.3%(428件) (注)1 「保護司制度に関するアンケート結果報告書」 (平成 17 年全国保護司連盟)に基づき、当省が作成した。 2 一部複数回答があり、それぞれ 1 件として計上している。 図 3-⑴-イ-(ア)-⑤ 保護司宅以外に保護司が面接できる専用スペースを必要と思う理由 対象者のプライバシーが確保できる 269件 家族の負担がなくなる 239件 面接に集中できる 185件 保護司の確保が容易になる その他 141件 12件 (注)1 「保護司制度に関するアンケート結果報告書」に基づき、当省が作成した。 2 複数回答である。 63

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(保護観察所の支援) サポートセンターに対する保護観察所等の支援について、法務省は、 「更生保護サポー トセンターの設置・運営に係る留意点について(通知)」(平成 24 年 4 月 6 日付け法務省 保更第 37 号法務省保護局更生保護振興課長通知)において、保護観察所の長等は、サポ ートセンターを設置する保護司会等に対し、保護司会同士の情報交換、視察等の相互交 流の促進等に配慮することとしている。 調査対象とした 17 保護観察所におけるサポートセンターに関する保護司会への支援の 状況を調査したところ、サポートセンターの運営についての情報交換等を行う会議を開 催している例や、保護司会と共に市町村にサポートセンターの設置に関する協力の働き 掛けを行っている例などがみられた。 なお、情報交換等を行う会議の中では、面接場所の確保が課題となっていることが保 護司会から報告されている例がみられた。 〔調査対象保護観察所におけるサポートセンターに関する保護司会への支援の例〕 分類 保護司会 間での情 報共有 内容 ・ 毎年 2 月に管内全保護司会から構成されるサポートセンター運営協議会を開催し、 サポートセンターを設置している保護司会による意見の発表等を行い、設置していな い保護司会に対して設置に当たっての課題を共有している。(札幌保護観察所) ・ サポートセンターを設置している保護司会の会長を集めてサポートセンター連絡協 議会を開催しており、サポートセンターの運営等について情報交換等を行っている。 (名古屋保護観察所) ・ 保護司代表者等協議会とは別途、管内の各保護司会長及び企画調整保護司間でサポー トセンターの運営に係る取組や課題について情報共有を行うサポートセンター運営協 議会を開催している。(那覇保護観察所) ・ サポートセンター運営協議会の場において、ⅰ)保護区が複数の市にまたがっている ことから、面接での利用者は限られるため面接場所としての利用が減ってきている、 ⅱ)サポートセンターが狭く保護観察対象者との面接ではその都度別会場を借りてい るなどの課題が共有されている。具体的には、支所などを設けるとこれらの課題を解消 できるが、支所維持費等の問題が残るといったことが議論されている。 (和歌山保護観 察所) 地方公共 団体への 協力依頼 ・ サポートセンターの設置に関し、個別の保護司会からの要請や関係市町の対応状況を 見ながら必要に応じて保護司会と共に市町村に協力の働き掛けをしている。(広島保護 観察所) ・ サポートセンターを設置していない保護司会の役員が地方公共団体に公的施設の貸 与要請に赴く際などに保護観察所の幹部職員が同行している。(仙台保護観察所) (注)保護観察所への実地調査の結果による。 64

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ⅱ 保護司による自宅以外の面接場所の確保 保護司が保護観察対象者との面接を行う場所について、アンケート調査の結果による と、図 3-⑴-イ-(ア)-⑥のとおり、 ・面接を最も多く行う場所については、約 7 割(2,483 人)の保護司は「自宅」と回答 しているが、約 2 割(601 人)の保護司は、自宅以外(保護観察対象者の自宅、サポ ートセンター、公的施設など)を回答しており、 ・「自宅」を最も多く行う場所としている保護司のうち約 7 割(1,799 人)は、自宅以 外の場所でも面接を行うことがある としており、約 7 割の保護司(2,400 人)は、自宅以外の場所で面接を行うことがあると している。 なお、面接を最も多く行う場所について、保護司の経験年数別にみると、図 3-⑴-イ(ア)-⑦のとおり、経験年数が少ない保護司ほど自宅以外の場所で面接を行う割合が高く なっている。 図 3-⑴-イ-(ア)-⑥ 保護観察対象者との面接を行う場所 〔最も多く行う場所〕 無回答 8.9%(300人) 保護司 (3,384人) 自宅 73.4%(2,483人) 自宅以外 17.8%(601人) 〔自宅で最も多く行っている保護司のうち、自宅以外でも行っている保護司〕 保護司 (2,483人) 自宅以外 72.5%(1,799人) (注)1 保護司へのアンケート調査の結果による。 2 調査の対象は、保護観察事件を 1 件以上担当したことがある保護司 3,384 人である。 3 割合は、小数点第 2 位を四捨五入しているため、合計が 100 にならない場合がある。 表 3-⑴-イ-(ア)-② 保護観察対象者との面接を行う場所 (単位:人、%) 区分 保護司 合計 3,384 (100) 自宅で最も多 く行っている 2,483 (73.4) 自宅以外でも 行っている 1,799 (72.5) 自宅以外で最 も多く行って いる 601 (17.8) 無回答 300 (8.9) 2,400(70.9) (注)1 保護司へのアンケート調査の結果による。 2 調査の対象は、保護観察事件を 1 件以上担当したことがある保護司 3,384 人である。 3 ( )内は「合計」に占める割合である。ただし、 「自宅以外でも行っている」の割合は、「自宅で最も多く行 っている」保護司 2,483 人に対する割合である。 4 割合は、小数点第 2 位を四捨五入しているため、合計が 100 にならない場合がある。 65

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図 3-⑴-イ-(ア)-⑦ 保護観察対象者との面接場所(最も多く行う場所) (経験年数別) 保護観察対象者の自宅等 8.5%(286人) 保総数 護司 (3,384人) 公的施設 2.1%(71人) サポートセンター 3.5%(117人) 自宅73.4%(2,483人) 喫茶店等 0.9%(31人) 5.8%(80人) 12年超 (1,391人) その他 2.8%(96人) 無回答 8.9%(300人) 0.8%(11人) 1.6%(22人) 8.3% (116人) 80.9%(1,125人) 0.4%(6人) 3.5%(41人) 8.9%(105人) 6年超 12年以内 (1,186人) 2.2%(31人) 1.6%(19人) 7.8% (92人) 74.0%(878人) 1.0%(12人) 13.1%(93人) 6年以内 (709人) 7.2%(51人) 3.3%(39人) 4.9%(35人) 11.6% (82人) 58.4%(414人) 1.6%(11人) 3.2%(23人) (注)1 保護司へのアンケート調査の結果による。 2 調査の対象は、保護観察事件を 1 件以上担当したことがある保護司 3,384 人である。 3 「保護観察対象者の自宅等」は、保護観察対象者の自宅、勤務先又は学校である。 「公的施設」は、都道府県庁、 市町村役場の庁舎、公民館又はコミュニティーセンターなどである。 「喫茶店等」は、喫茶店や飲食店等又は公園 等の野外である。 「その他」は、保護司の勤務先又は更生保護施設などである。 4 経験年数別については、経験年数が不明の保護司 98 人を除いている。 5 割合は、小数点第 2 位を四捨五入しているため、合計が 100 にならない場合がある。 自宅以外の場所で保護観察対象者との面接を行うことがある保護司における自宅以外 の面接場所を確保することについて、アンケート調査の結果によると、図 3-⑴-イ-(ア)⑧のとおり、約 3 割の保護司が不安や負担を「感じている」と回答している。 図 3-⑴-イ-(ア)-⑧ 自宅以外の場所で面接を行うことがある保護司における自宅以外の面接場所 の確保に対する不安や負担 とても感じる 7.6%(182人) ある程度感じている 22.3%(535人) どちらともいえない 1.9%(45人) 余り感じていない 38.0%(912人) n=2,400 ほとんど感じていない 29.0%(696人) 無回答 1.3%(30人) 感じている 29.9%(717 人) (注)1 保護司へのアンケート調査の結果による。 2 調査対象は、自宅以外の場所で保護観察対象者との面接を行うことがある保護司 2,400 人である。 3 割合は、小数点第 2 位を四捨五入しているため、合計が 100 にならない場合がある。 66

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実地調査において、自宅以外の面接場所を確保することに不安や負担を感じていると している保護司 22 人からは、自宅以外の場所で面接を行う理由について、「少年の保護 観察対象者を担当したとき、自分の孫と間違えられるのではないかと近隣住民の目が気 になったため、ファミリーレストラン等で面接していた」などの経験を語る保護司がみ られており、自宅を面接場所にする際に感じる不安や負担感を挙げる者が少なくない。 また、不安や負担の具体的な内容について、保護観察対象者の事情に応じ、 「公民館の 一室の借用又はファーストフード店の利用等により対応しなければならず、公民館の借 用申請事務やファーストフード店利用時の経費負担が生じる」など、面接場所の利用時 の申請手続や経費の発生に負担を感じているとする意見が聴かれており、面接場所の確 保が重荷になっていることがうかがわれる。 〔自宅以外の場所で面接を行う理由(主なもの) 〕 ・ 各種疾患を抱えていた保護観察対象者を担当した際は、同居の家族の理解を得られず、近所のコ ンビニの駐車場や公園のベンチで面接を行った。 (5 年目) ・ 薬物事犯や暴力団関係の保護観察対象者の場合、自宅で面接することを家族が嫌がる。 (32 年目) ・ 少年の保護観察対象者を担当したとき、自分の孫と間違えられるのではないかと近隣住民の目が 気になったため、当時はファミリーレストラン等で面接していた。 (8 年目) ・ 地域性もあり、保護観察対象者が面接の際に私の家に出入りしているところを近隣住民に目撃さ れると、保護観察対象者が元犯罪者であることが判明してしまうおそれがある。 (6 年目) ・ 保護観察対象者から「保護司宅での面接は保護司の家族に迷惑をかけてしまうため避けてほし い」と言われることがある。 (4 年目) ・ 女性で一人暮らしをしており、男性の保護観察対象者と面接をする際は、自宅に入れることに (2 年目) 抵抗があるため、車中など、自宅以外の場所で面接を行っている。 (注)1 保護司への実地調査の結果による。 2 各理由の文末の( )は、保護司の経験年数である。 〔自宅以外の面接場所を確保することに対して感じている不安や負担の具体的な内容(主なもの) 〕 ・ 自宅近くの市町村有施設の会議室を面接場所として利用することもあるが、事前の電話による空 き状況の確認及び訪問しての利用申請書の提出が負担であり、利用時間も平日 17 時までと短い。 このため、保護観察対象者との面接会場の確保や事前の手続が負担になっている。(5 年目) ・ 少年の保護観察対象者を担当したとき、自分の孫と間違えられるのではないかと近隣住民の目が 気になったため、ファミリーレストラン等で面接していたが、無料で使用できるところがないため、 面接場所の確保に毎回困っていた。 (8 年目) 〔一部再掲〕 ・ 保護観察対象者の中には、保護司宅を来訪したくない、面接しているところを他人に見られたく ない、運転免許を持っておらず交通手段がなく来訪できない等の事情があり、それぞれの事情に応 じて対応しなければならないため、対応に苦慮している。自宅以外の場所で面接する必要がある場 合、公民館の一室の借用又はファーストフード店の利用等により対応しなければならず、公民館の 借用申請事務やファーストフード店利用時の経費負担が生じる。 (5 年目) ・ 対象者が自宅に来訪できない又は来訪したくない場合には、対象者宅へ往訪して面接するが、往 67

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訪も難しい場合は、喫茶店を利用しなければならず、経費面でも負担が発生する。 (24 年目) ・ 夜間に自宅のマンションで対象者と面接することは、近所への気遣いから困難であると考えるた め、自身が経営している会社で面接を行っている。また、対象者の仕事の都合から、面接は日曜日 に行っているが、結果、日曜日に会社で面接を行うこととなり、負担だと感じている。(5 年目) ・ 対象者との面接を第三者に見られることがない場所を確保するため、普段は、家族がいない時間 帯に自宅で面接を行っているが、家族との時間の調整ができない場合は、車中などで面接を行って いる。自宅付近には、第三者に見られないような面接に適した施設はないため、自宅以外で面接を 行わなければいけない場合に、面接場所の確保に苦慮している。 (4 年目) (注)1 保護司への実地調査の結果による。 2 各内容の文末の( )は、保護司の経験年数である。 (保護観察対象者との面接を行う時間帯) 保護司が保護観察対象者との面接を行う時間帯について、アンケート調査の結果によ ると、図 3-⑴-イ-(ア)-⑨のとおり、最も多く行う時間帯として、約 4 割の保護司は「平 日の夜(午後 6 時以降) 」と回答している。次いで、約 3 割弱の保護司は「平日の昼(午 前 10 時台~午後 5 時台) 」と回答しているが、約 2 割の保護司は「土日祝日」のいずれ かの時間帯で行っていると回答している。 図 3-⑴-イ-(ア)-⑨ 保護観察対象者との面接を最も多く行う時間帯 n=3,384 平日の朝(早朝~午前9時台) 3.0%(103人) 平日の昼(午前10時台~午後5時台) 26.8%(907人) 平日の夜(午後6時以降) 土日祝日の朝(早朝~午前9時台) 37.8%(1,280人) 4.4%(148人) 土日祝日の昼(午前10時台~午後5時台) 13.9%(472人) 土日祝日の夜(午後6時以降) 5.2%(177人) 無回答 土日祝日 23.5%(797 人) 8.8%(297人) (注)1 保護司へのアンケート調査の結果による。 2 調査対象は、保護観察事件を 1 件以上担当したことがあると回答した保護司(3,384 人)である。 3 割合は、小数点第 2 位を四捨五入しているため、合計が 100 にならない場合がある。 ⅲ 面接場所としてのサポートセンターの利用状況 アンケート調査の結果によると、保護観察対象者との面接場所としてのサポートセン ターの利用については、図 3-⑴-イ-(ア)-⑩のとおり、約 7 割(1,513 人)の保護司が「利 用していない」と回答し、 「利用している」と回答している保護司は 2 割余りにとどまり 低調となっている。 68

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図 3-⑴-イ-(ア)-⑩ よく利用している 8.9%(185人) 保護観察対象者との面接でのサポートセンターの利用状況 無回答 3.6%(74人) 時々利用している 14.9%(310人) n=2,082 利用していない 72.7%(1,513人) 利用している23.8%(495人) (注)1 保護司へのアンケート調査の結果による。 2 調査対象は、所属している保護区にサポートセンターが設置されていて、設置以降に保護観察事件を担当した 保護司 2,082 人である。 3 割合は、小数点第 2 位を四捨五入しているため、合計が 100 にならない場合がある。 面接にサポートセンターを利用していない理由については、図 3-⑴-イ-(ア)-⑪のとお り、 「自宅や保護観察対象者宅から遠いから」 (67.3%)や「サポートセンターまでの交通 の便が良くないから」 (26.6%)といった設置場所のほか、 「夜間や土日祝日に利用できな いから」 (30.7%)といった開所時間に関して回答した保護司の割合が比較的高い。 なお、 「サポートセンター以外で面接することに慣れているから」との回答も約 3 割み られた。 図 3-⑴-イ-(ア)-⑪ 保護観察対象者との面接にサポートセンターを利用していない理由 自宅や保護観察対象者宅から遠いから 67.3%(1,018人) サポートセンター以外で面接することに慣れているから 30.9%(467人) 夜間や土日祝日に利用できないから 30.7%(465人) サポートセンターまでの交通の便が良くないから n=1,513 26.6%(403人) 保護観察対象者が約束どおりの時間に来ないから 14.5%(220人) 12.6%(190人) サポートセンターに個室がなく面接には使いにくいから 面接で利用したい時に、他の面接や会議等で利用されて いるから 2.6%(39人) その他 12.4%(188人) 2.4%(37人) 無回答 (注)1 保護司へのアンケート調査の結果による。 2 調査対象は、図 3-⑴-イ-(ア)-⑩のうち「利用していない」と回答した保護司 1,513 人である。 3 複数回答である。 実地調査において、面接にサポートセンターを利用していないとしている保護司 78 人 から、その具体的な理由を聴取したところ、 「相当距離が離れている。また、駐車場もな い」、 「保護観察対象者は自動車を持っていないことが多いので、面接場所が対象者宅か 69

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ら近いことが非常に重要であるが、住んでいる地域がサポートセンターからかなり遠い」、 「平日は 16 時まで働いており、保護観察対象者等との面接は、18 時以降が多いため、最 寄りのサポートセンターが開所している時間帯(10 時から 16 時まで)での利用は難し い」などが挙げられた。 〔保護観察対象者との面接にサポートセンターを利用していない保護司の意見(主なもの) 〕 ・ 現在のサポートセンターは地区内の東寄りの位置にあるが、自分の住所は逆に西寄りの位置にあ るため相当距離が離れている。また、駐車場もない。サポートセンターの場所を移すか、せめて駐 車場が欲しい。 ・ 保護観察対象者は自動車を持っていないことが多いので、面接場所が対象者宅から近いことが非 常に重要であるが、住んでいる地域がサポートセンターからかなり遠いため面接で利用しにくい。 ・ 保護観察対象者は自宅から面接の場所まで離れていると来なくなる傾向があるため、対象者宅か らサポートセンターが離れていると利用が難しいと思う。 ・ 私は、平日は 16 時まで働いており、保護観察対象者等との面接は、18 時以降が多いため、最寄 りのサポートセンターが開所している時間帯(10 時から 16 時まで)での利用は難しい。 ・ 保護観察対象者と面接するのは平日の夜間が多いこと、対象者は刑務所や少年院出所者であるこ とを隠したがり、サポートセンターのようなオープンな雰囲気の場所での面接を嫌うことから、サ ポートセンターでの面接は難しいと考えている。 (注)保護司への実地調査の結果による。 以上のような状況がみられたものの、法務省本省や保護観察所においては、保護司や 保護観察対象者の就労等の状況に応じた面接の実態の把握・分析を行っていなかった。 また、サポートセンターについて、面接での利用実績を把握していたものの、自宅での面 接が困難な保護司における面接場所としての利用の実態を把握・分析するなどの支援は みられなかった。 なお、サポートセンターは、保護観察対象者との面接場所としての機能のほか、地域の 関係機関・団体との連携や、地域に根ざした犯罪・非行予防活動の推進を行うなどの機能 を有しているところ、アンケート調査の結果によると図 3-⑴-イ-(ア)-⑫のとおり、7 割 弱の保護司が、面接以外の目的でサポートセンターを利用していると回答している。そ の利用目的をみると、図 3-⑴-イ-(ア)-⑬のとおり、「会議」(76.4%)のほか、「研修」 (54.6%)、 「保護司会運営に関連した事務作業」(51.0%)、「他の保護司との情報交換」 (51.0%)などで利用している保護司が多かった。 70

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図 3-⑴-イ-(ア)-⑫ 面接以外の保護司活動に関連した目的でのサポートセンターの利用状況 n=3,307 時々利用している 42.3%(1,398人) よく利用している 25.4%(840人) 利用していない 30.6%(1,013人) 無回答1.7%(56人) 利用している 67.7%(2,238 人) (注)1 保護司へのアンケート調査の結果による。 2 調査対象は、所属している保護区にサポートセンターが設置されている保護司 3,307 人である。 図 3-⑴-イ-(ア)-⑬ 保護観察対象者との面接以外でのサポートセンターの利用目的 会議 76.4%(1,709人) 研修 54.6%(1,222人) 保護司会運営に関連した事務作業 51.0%(1,142人) 他の保護司との情報交換 犯罪予防活動等のイベントの準備 企画調整保護司や先輩保護司への相談 51.0%(1,141人) 34.0%(760人) 29.7%(664人) 関係機関・団体との情報交換 17.9%(400人) 保護観察官への相談・報告 地域住民からの一般的な非行相談 その他 無回答 15.4%(344人) 3.8%(84人) 3.5%(78人) 0.8%(17人) (注)1 保護司へのアンケート調査の結果による。 2 調査対象は、図 3-⑴-イ-(ア)-⑫において、「よく利用している」又は「時々利用している」と回答した保護司 2,238 人である。 3 複数回答である。 ⅳ サポートセンターの設置場所・開所時間 (サポートセンターの設置場所) 調査対象とした 68 保護司会におけるサポートセンターの設置状況を調査したところ、 表 3-⑴-イ-(ア)-③のとおり、平成 31 年 1 月 1 日時点で設置しているのは 48 保護司会 (以下、サポートセンターを設置している保護司会を「設置保護司会」という。)、設置し ていないのは 20 保護司会(以下、サポートセンターを設置していない保護司会を「未設 (注) 置保護司会」という。 ) であった。保護司会ごとに設置されているサポートセンターは、 ほとんどは 1 保護司会につき 1 か所であるが、2 か所に設置している例が 1 保護司会で みられた。 (注)未設置保護司会はいずれも、令和元年度末までにサポートセンターを設置している。 71

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表 3-⑴-イ-(ア)-③ 調査対象保護司会におけるサポートセンターの設置状況 (単位:保護司会) 区分 保護司会 設置している 48 1 か所 2 か所 47 1 設置していない 20 (注)1 保護観察所への実地調査の結果による。 2 「2 か所」欄の 1 保護司会におけるサポートセンターについては、2 か所のうち 1 か所は分室とされている。 48 設置保護司会におけるサポートセンターの設置場所をみると、表 3-⑴-イ-(ア)-④の とおり、41 保護司会(8 割超)は市町村や社会福祉協議会等の公的機関の施設内に設置 しており、7 保護司会(約 1 割)は民間ビル等内に設置している。 表 3-⑴-イ-(ア)-④ 48 設置保護司会におけるサポートセンターの設置場所 (単位:保護司会、%) 設置場所 保護司会 41(85.4) 37(77.1) 4( 8.3) 7(14.6) 公的機関の施設内 市町村の施設内 社会福祉協議会、市町村会の施設内 民間ビル等内 (注)1 保護司会への実地調査の結果による。 2 サポートセンターを 2 か所に設置している 1 保護司会について、ここでは「市町村の施 設内」に含めている。 3 「民間ビル等内」には、漁業協同組合、宗教法人、NPO法人、私人(前保護司会長) 宅を含む。 上記のとおり、多くのサポートセンターは公的機関の施設内に設置されている一方、 保護司会からは、市町村に対し設置場所の提供を要請したものの、 「空きスペースがない」 、 「他の団体との公平性の観点から保護司会のみに場所を提供することはできない」など の事情により断られたため、やむを得ず民間ビル等に設置した経緯が述べられた。 なお、市町村から設置場所の提供を断られたものの、何度も交渉することで、市町村の 施設内に設置することができた例もみられた。 〔市町村等の公的機関の施設内以外にサポートセンターを設置した経緯(主なもの) 〕 ・ 市町村に設置場所の提供を要請したものの、当該市町村が所有する施設に空きスペースがないと して提供を得られなかったため、やむなく民間物件を賃借した。 ・ 保護観察所支部が旧庁舎から新庁舎へ移転したこともあり新庁舎内に設置できないか要請したも のの不可とされ、また、市町村にも要請したものの、空きスペースが無いとして不可とされた。そ のため、NPO法人の建物内に設置した。 ・ 市町村に設置場所の提供を要請したものの、他の団体との公平性の観点から保護司会のみに場所 を提供することはできないと断られ、民間ビル内に設置した。 (注)保護司会への実地調査の結果による。 72

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〔市町村と何度も交渉することで、市町村の施設内に設置することができた例〕 サポートセンターの設置に当たり、当初、市町村に設置場所の提供を要請したものの、当該市町村 からは、更生保護は国の施策であるため国の出先機関に要請すべきとして提供を断られた。このため、 保護観察所と協議して、更生保護施設と交渉した結果、1 年程度の期限付で更生保護施設内のスペー スを無償使用することが認められ、同施設内にサポートセンターを設置することとなった。その後、 再度、市町村に提供を要請したところ、市町村の施設の提供を得て同施設内にサポートセンターを設 置することができた。 (注)保護司会への実地調査の結果による。 調査対象とした 68 保護司会のうち平成 28 年度末までにサポートセンターを設置して いる 41 保護司会における 29 年度のサポートセンター運営経費の支出状況をみると、事 務所借料については、表 3-⑴-イ-(ア)-⑤のとおり、設置場所別では、公的機関の施設内 に設置している 38 保護司会のうち 10 保護司会(2 割超)に支出実績があり、最高額は約 31 万円であった。一方で、民間ビル等内に設置している 3 保護司会全てに支出実績があ り、最高額は約 76 万円であった。 このように、公的機関の施設内に設置している保護司会には、無料で場所の提供を受 けている保護司会がみられたが、借料を支払っている保護司会もみられた。 なお、借料を支払っていても民間ビル等より比較的低額となっていた。 表 3-⑴-イ-(ア)-⑤ サポートセンターの事務所借料の支出状況(平成 29 年度) (単位:保護司会、%) 設置場所 公的機関の施設 民間ビル等 支出あり 10( 26.3) 3(100) (最高額) 311,040 円 755,952 円 (支出額) (平均額) 134,405 円 651,984 円 (最低額) 57,000 円 600,000 円 支出なし 28( 73.7) 0( 0) (注)1 保護司会への実地調査の結果による。 2 支出額はいずれも年額である。 3 ( )内は、平成 28 年度末までにサポートセンターを設置している「公的機関の施設」38 保護司会、 「民間ビ ル等」3 保護司会に占める割合である。 このほか、光熱水料等についても、表 3-⑴-イ-(ア)-⑥のとおり、公的機関の施設内に 設置している保護司会、民間ビル等内に設置している保護司会の多くで支出がみられた。 このように、サポートセンターの開設後の運営経費については、事務所借料、光熱水料 等のいずれも、無料とは限らないことは公的機関の施設内の設置でも同様であった。 73

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表 3-⑴-イ-(ア)-⑥ サポートセンターの光熱水料等の支出の有無(平成 29 年度) (単位:保護司会、%) 設置場所 公的機関の施設 民間ビル等 支出あり 30( 78.9) 2( 66.7) 支出なし 8( 21.1) 1( 33.3) (注)1 保護司会への実地調査の結果による。 2 光熱水料等には、事務所光熱水料、事務所維持管理費が含まれる。 3 ( )内は、平成 28 年度末までにサポートセンターを設置している「公的機関の施設」38 保護司 会、 「民間ビル等」3 保護司会に占める割合である。 48 設置保護司会の担当区域をみると、表 3-⑴-イ-(ア)-⑦のとおり、21 保護司会は複数 の市町村を担当としており、最多で 9 市町村を担当としている保護司会がみられた。 上記のとおり、基本的には 1 保護司会につきサポートセンターは 1 か所の設置である ため、担当区域が広い保護司会においては、自宅等からサポートセンターが遠くなる保 護司はおのずと存在することとなる。 表 3-⑴-イ-(ア)-⑦ 設置保護司会が担当とする市町村数 (単位:保護司会) 区分 保護司会 1 市町村 複数市町村 27 21 2 市町村 3 市町村以上 9 12 (注)1 調査の結果による。 2 「1 市町村」の 27 保護司会のうち、政令指定都市内の 9 保護司会は 1 行政区を担当としている。 (サポートセンターの開所時間) 48 設置保護司会のサポートセンターの開所日時をみると、表 3-⑴-イ-(ア)-⑧のとおり、 41 保護司会(8 割超)が平日のみの昼間(9 時から 18 時までの間)であった。一方で、 土曜日や日曜日にも開所している 7 保護司会(公的機関の施設 6・民間ビル等 1)がみら れ、この中には、夜間(18 時以降)にも開所している 1 保護司会(公的機関の施設 1)が みられた。このほか、事前予約等により通常の開所時間外でも利用可能としている保護 司会(24 保護司会(公的機関の施設 18・民間ビル等 6) )もみられた。 このようにサポートセンターの 8 割超が平日のみの昼間に開所している一方、保護司 の約 4 割が平日夜に、約 2 割が土日祝日に保護観察対象者との面接を行っており(上記 図 3-⑴-イ-(ア)-⑨参照) 、サポートセンターの開所日時と保護司が面接を行う時間帯に はかい離がみられる。 74

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表 3-⑴-イ-(ア)-⑧ 設置保護司会のサポートセンターの開所日時 (単位:保護司会、%) 開所日時 平日(月~金) :昼間 平日(月・水・金) :昼間 平日(月~金)+土曜日:昼間 平日(月~金)+土曜日:昼間・夜間(20 時 まで) 平日(月・火・木・金) :昼間 +第 2・第 4 日曜日:昼間 保護司会 公的機関 民間ビル の施設 等 37(77.1) 4( 8.3) 5(10.4) 32 3 4 5 1 1 平日のみ 41(85.4) 1( 2.1) 1 0 1( 2.1) 1 0 平日 +土・日 7(14.6) (注)1 保護観察所及び保護司会への実地調査の結果による。 2 「開所日時」欄の「昼間」は、9 時から 18 時までの間の開所であり、 「夜間」は 18 時以降の開所である。 3 表中の時間帯のほか、24 保護司会(公的機関の施設 18、民間ビル等 6)では、事前予約等により時間外でも利 用可能としている。 4 ( )内は、48 設置保護司会に占める割合である。 (サポートセンターの面接利用での改善に関する保護司からの意見・要望) 実地調査において、サポートセンターを面接に利用していない保護司 78 人から、改善 策についての意見を聴取したところ、 「地方公共団体との連携を強化し、保護観察対象者 と面接する際に、地方公共団体の出先機関を気軽に利用できるようにしてほしい」など、 サポートセンター以外にも面接場所の確保を望む意見や、 「面接は、仕事との関係で 18 時 以降に設定することが多いが、サポートセンターは、17 時までしか利用できないため面 接では利用できない。面接で利用するためには、これが改善され使いやすいものとする 必要がある」など、サポートセンターの開所時間の見直しを望む意見も聴かれた。 〔サポートセンターを面接に利用していない場合の改善策についての保護司の意見・要望〕 ・ 地方公共団体との連携を強化し、保護観察対象者と面接をする際に、地方公共団体の出先機関を 気軽に利用できるようにしてほしい。 ・ サポートセンターは、保護区内に 1 か所しか設置されていないため、分区単位で面接場所として の支部のようなものがあると良い。 ・ 保護観察対象者が昼夜逆転の生活をしていた(夜間に仕事をしている)ため、サポートセンター の開所している時間帯での面接はできなかった。対象者等が就労している場合、土曜日・日曜日・ 夜間に使用できる環境が必要と考える。 ・ 面接は、仕事との関係で 18 時以降に設定することが多いが、サポートセンターは、17 時までし か利用できないため面接では利用できない。面接で利用するためには、これが改善され使いやすい ものとする必要がある。 (注)保護司への実地調査の結果による。 75

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(保護司の要望を踏まえた保護司会による取組) 48 設置保護司会におけるサポートセンターの利用状況を踏まえた運営の見直しなどの 取組状況について調査したところ、 「サポートセンターが自宅や保護観察対象者宅から遠 くて面接では活用しづらい」などの保護司からの要望等を踏まえ、市町村に依頼するな どして、保護区内にサポートセンターの分室を設置した例(1 保護司会(上記表 3-⑴-イ -(ア)-③参照))や、サポートセンターとは別に一時的に面接に利用できる場所を確保し た例(3 保護司会)がみられた。 なお、後者の例では、保護司会によると、自宅を面接場所として利用できない保護司か ら好評を得ているとしている。 また、 「サポートセンターの開所時間外にも面接等で利用したい」などの保護司からの 要望等を踏まえ、平日夜間や土日祝日にもサポートセンターを利用できるようにするな ど、サポートセンターの開所時間を見直した例(4 保護司会)がみられた。 〔保護司会においてサポートセンターの利用状況を踏まえて面接場所を複数確保する見直し等の 取組を行った例(主なもの) 〕 1 ○サポートセンターの分室を設置した例 更生保護施設内にサポートセンターを設置していたが、当保護司会の支部は保護司が多い地域 で、既存のサポートセンターとは距離が離れており利用しづらかったため、市町村に対し市町村 有施設の提供を要請したところ、市町村庁舎内の一室の提供を受けることができたため、サポー トセンターの分室として設置した。 2 ○一時的に面接に利用できる場所を確保した例 市町村有施設内にサポートセンターを設置していたが、保護司から「サポートセンターが自宅 や保護観察対象者宅から遠くて面接では活用しづらい」との意見があったため、常設されている サポートセンターのほか、公共施設の管理者に依頼し、一時的に「移動サポートセンター」として 面接に利用できる場所を 5 か所確保した。 なお、移動サポートセンターについては、面接に自宅を利用できない保護司から好評を得てお り、面接等に利用可能な公共施設を更に増やしてほしいとの意見が挙がっている。 3 市町村有施設内にサポートセンターを設置していたが、保護区が広いこともあり、保護区西部 にも設置ニーズが高まってきたことから、市町村の出張所内に、保護司は常駐せず、必要なときに 面接等に利用できる保護司会専用スペースを確保した。 4 遠方の保護司のためにサポートセンター以外の場所でも面接できるように市町村に交渉した結 果、市町村庁舎の一室を利用(有料)できるようにした。 5 ○サポートセンターを土日にも開所した例 市町村有の施設内にサポートセンターを設置しており、設置当初の開所日は平日のみであった が、サポートセンターで面接を行う場合、平日に仕事をしている保護観察対象者は仕事を休まな ければならなかったため、市町村や入居している他の団体に説明し、了解を得て平成 28 年頃から 日曜日にも開所することとした。 76

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6 サポートセンター設置当初の開所日時は、月曜日から金曜日までの 10 時から 16 時までであっ たが、保護司から時間外にも面接等で利用したいとの要望があったため、平成 28 年度からは平日 に加え土曜日の同じ時間帯も開所することとした。また、夜間や日曜日、祝日でも事前申請を行え ば利用できるようにサポートセンターの設置場所の提供者(NPO法人)と調整しており、30 年度 (10 月末まで)における面接での利用人数 33 人のうち、少なくとも 25 人は時間外に利用している。 保護観察対象者は平日日中に仕事をしており、面接は夜間や日曜日に行わざるを得ないため、時 間外に利用できることはメリットがあると認識している。 (注)保護司会への実地調査の結果による。 (サポートセンターの利用状況を踏まえた保護観察官からの意見) 調査対象とした保護観察所においては、保護観察対象者との面接でのサポートセンタ ーの利用が低調であることについて、設置場所等に原因があると認識している保護観察 官もみられた。このうち、1 保護観察官からは、その解決策として、広域の保護区では保 護観察対象者との面接を行う拠点が複数あってもよいとする意見が聴かれた。 〔保護観察対象者との面接でのサポートセンターの利用が低調なことに対する保護観察官からの 意見〕 ・ 担当する保護区は市町村域が広く、保護司の自宅や保護観察対象者の帰住先から遠いため、サポ ートセンターを利用しにくい状況にあるほか、市町村の協力を得て、面接場所として市町村役場や 市町村が小学校区ごとに設置している地区センター(公民館)等を利用する保護司もいるためと考 える。 (富山保護観察所保護観察官) ・ 市町村の面積が広く、サポートセンターを利用しているのは、近接の保護司のみであり、サポー トセンターまで出向く手間を考慮して、大部分の面接は、保護司の自宅で行われているため。また、 市町村の面積が広いため、面接を行う拠点は、複数あってもよいと考える。 (大阪保護観察所保護観 察官) ・ サポートセンターは公的施設の中に設けられており、時間外でも使えないことはないと思うが、 警備の関係などで施設管理者への手続が必要となること、企画調整保護司の同席が必要であること など、平日昼間以外の使用には制約があるため、日中に仕事がある保護観察対象者との面接には使 いにくいのではないか。 (鳥取保護観察所保護観察官) (注)保護観察所への実地調査の結果による。 以上のような状況がみられたものの、法務省本省や調査対象とした保護観察所におい ては、保護司会が、保護司のニーズに応じて、サポートセンター以外に一時的な面接場所 を確保した例や、サポートセンターの開所時間が見直された例などを把握・分析し、保護 司会に提供するなど面接場所の確保のための改善や解決に向けた取組はみられなかった。 77

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(イ) 報告書に係る情報技術の活用 保護司は、保護観察又は生活環境調整を行ったときは、 「犯罪をした者及び非行のある少 年に対する社会内における処遇に関する事務規程」及び「犯罪をした者及び非行のある少 年に対する社会内における処遇に関する事務の運用について(依命通達)」 (平成 20 年 5 月 9 日付け法務省保観第 325 号法務省矯正局長・法務省保護局長依命通達。以下「処遇運用通 達」という。 )において、保護観察の経過や生活環境調整の状況等について、保護観察所の 長に対し書面により報告することとされている。保護司が担当する業務の種類等に応じて、 作成し提出することとなる主な報告書の種類は次のとおりである。 〔保護観察関係〕 〔生活環境調整関係〕 ・保護観察経過報告書(甲) ・生活環境調整報告書(甲) ・保護観察経過報告書(乙) ・生活環境調整報告書(乙) ・事故報告書 ・生活環境調整追報告書 ・所在調査結果報告書 ・生活環境調整面接状況報告書 ・所在調査経過報告書 ・裁判確定前の生活環境調整結果報告書 ・転居又は旅行先に関する調査結果報告書 ・一時解除・仮解除中の状況の調査結果報告書 〔その他〕 ・刑の執行停止中の措置の経過報告書 例えば、保護観察経過報告書(甲)については、担当保護司が、保護観察官に保護観察対 象者の状況を知らせるため、月ごと(翌月 5 日まで)に、保護観察対象者に対して行った 指導監督や補導援護の内容、保護観察対象者の遵守事項の遵守状況や生活態度(交友関係、 就労・就学関係、家族関係等)等についてできるだけ具体的に記載し報告するものである。 そして、保護観察官は、この報告等を考慮し、保護観察の実施計画(保護観察対象者につい て、処遇の目標や、指導監督や補導援護の方法、採るべき措置の内容を定めている。 )の見 直し、保護観察対象者に対する指示、担当保護司に対する指導及び助言等の必要な措置を 採ることとなる。 保護司が報告書を作成するに当たって、法務省は、「保護司のてびき(平成 30 年度版)」 (法務省保護局。以下「手引」という。)において、パソコンなどの電子機器を利用して作 成することができることを示すとともに、書類よりも個人情報の漏えいの危険性が高いと し、次のとおり留意点を示している。 〔パソコンを利用する場合の留意点〕 【1】インターネットに接続していないパソコンを使用すること。 やむを得ずインターネットに接続されているパソコンを使用する場合、作業の際は、必ずLA Nケーブル等をパソコンから外してから(無線LANを利用している場合は、接続を切断してか ら)行うこと。 【2】OS(オペレーションシステム) 、ソフトウェア等はサポート期限内かつ最新のアップデートが 78

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完了済みのものを使用すること。また、ウイルス対策ソフトを導入し、定期的に更新して常に最新 のバージョンにしておくこと。 【3】パソコンにWinny(ウィニー)等のファイル交換ソフトをインストールしないこと。 【4】パソコンにパスワードを設定するなどして、作成中の報告書等の内容を他者に閲覧されること のないようにすること。 【5】作成したファイルには暗号化又はパスワードを設定して適切に管理し、外には持ち出さないこ と。 【6】作業終了後は、報告書作成に使用したアプリケーションを終了させてから、LANケーブル、無 線LAN等を接続すること。 【7】報告書等各種情報ファイルについては、担当終了後又は保存の必要がなくなった時点で必ず削 除すること。 【8】過去に対象者等の個人情報を保存したことがあるパソコン及び外部記録媒体を処分する場合に は、データ消去ソフトの使用、物理的な破砕などの方法によりデータが復元できないような状態 とした上で処分すること。 (注)手引による。 ⅰ 報告書の作成・提出の状況等 (保護司における報告書の作成方法の状況) 調査対象とした保護司 136 人のうち保護観察事件等を担当したことがある保護司 125 人における保護観察経過報告書等の作成方法について調査したところ、表 3-⑴-イ-(イ)①のとおり、97 人(8 割弱)はパソコンを利用せず手書きのみで作成しており、パソコ ンを利用(手書きとの併用を含む。 )しているのは 28 人(2 割強)であった。 表 3-⑴-イ-(イ)-① 調査対象保護司における保護観察経過報告書等の作成方法 (単位:人、%) 区分 保護司 手書き 97(77.6) パソコン 19(15.2) 手書き+パソコン 9( 7.2) 28(22.4) (注)1 保護司への実地調査の結果による。 2 ( )内は、保護観察事件等を担当したことがある保護司 125 人に占める割合である。 報告書の作成を手書きのみで行いパソコンを利用していない保護司からは、 「手書き作 成の方が、対象者に思いを巡らせて作成するので、心のこもった対応になる」など手書き で作成したいとする意見もみられた一方で、 「講習や研修でパソコンでの作成についての 説明を受けた。しかし、保護観察所から、パソコンでの作成を余り勧められなかったた め、パソコンでの作成は良くないものだと思った」、 「研修等で説明されているが、セキュ リティの対応を先に言われているので、パソコンでの作成は頭にない」、「情報が漏れる 可能性があることから、できるだけ使用しないように保護観察官に言われている」など 79

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保護観察官から説明されていても推奨されてなかったためパソコンの利用に消極的な意 見や、 「手書きよりパソコンでの作成が楽であるものの、個人情報の漏えいの危険を回避 するため、インターネットに接続している自宅のパソコンでの作成は行わないこととし ている」などパソコンの利用への意向を示しつつも、情報セキュリティの懸念から利用 を控えている意見が聴かれた。 なお、パソコンを利用している保護司においては、 「作成時にもインターネットには接 続した状態である」としていて、手引において示されている留意点の周知が徹底されて いないことがうかがわれる状況もみられた。 〔パソコンを利用していない保護司の意見(主なもの)〕 ・ 情報が漏れる可能性があることから、できるだけ使用しないように保護観察官に言われている。 (60 歳代・15 年目) ・ 研修会では、セキュリティの観点から、手書きの方が安心であると言われている。また、自宅の パソコンは、家族共用であるため、保護司活動の書類を作成することはできない状況である。(50 歳代・3 年目) ・ 新任研修時に、パソコンによる報告書等の作成が可能であることを聞いていたが、自宅のパソコ ンはインターネットにつながっているため、情報流出のリスクが高く、パソコンによる作成は今の ところ考えていない。パソコンであれば、書き誤ってもいくらでも修正ができると分かっているが、 個人情報漏えいの可能性がある以上、パソコンを利用することは好ましくないと考えている。(50 歳代・2 年目) ・ ウイルス感染や情報漏えいを防止するため、パソコンやデータの管理をしっかり行う必要がある こと、手書き作成の方が、対象者に思いを巡らせて作成するので、心のこもった対応になると考え ていることから、手書きで作成している。(70 歳代・24 年目) ・ 手書きでの作成に慣れているので、パソコンで作成したことはない。 (70 歳代・42 年目) ・ 手書きよりパソコンでの作成が楽であるものの、個人情報の漏えいの危険を回避するため、イン ターネットに接続している自宅のパソコンでの作成は行わないこととしている。 (70 歳代・6 年目) ・ パソコンで作成することが可能であれば、面接の都度パソコン上にメモを作成することで、報告 書作成時にはこれをまとめればよく、作業が簡単になると思われる。 (60 歳代・3 年目) ・ 保護観察所から報告用紙(複写式)が保護司宅に郵送されているため、手書きしか認められてい ないと認識していた。 (60 歳代・6 年目) ・ 講習や研修でパソコンでの作成についての説明を受けた。しかし、保護観察所から、パソコンで の作成を余り勧められなかったため、パソコンでの作成は良くないものだと思った。 (60 歳代・21 年目) ・ 研修等で説明されているが、セキュリティの対応を先に言われているので、パソコンでの作成は 頭にない。 (60 歳代・3 年目) ・ 保護司に任命された当時は自らエクセルで様式を作成していたものの、現在は、保護観察所から、 報告書等を作成するに当たりパソコンを使用する際はインターネットに接続した環境での作成は 認められないと指導されていることから、手書きで報告書を作成している。 (60 歳代・15 年目) ・ かつてはワープロで報告書を作成していたが、現在は使用していない。パソコンでの報告書の作 成を検討したものの、保護観察所が、保護司全員に対し、パソコンを使用しないよう指導している 80

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と受け取り、現在は手書きで作成しているが、特段、不便は感じていない。 (60 歳代・21 年目) (注)1 保護司への実地調査の結果による。 2 各意見の文末の( )は、保護司の年齢及び経験年数である。 〔パソコンを利用しているものの、手引において示されている留意点の周知が徹底されていないこ とがうかがわれる例〕 ・ 保護観察事件を担当することになった頃、主任官に相談したところ、パソコンで報告書等を作成 することができるとの説明を受けた。主任官から様式のデータ提供を受けた際、ⅰ)報告書等の作 成後は自宅のパソコン本体で保管するのではなく、提供したCDで作成した上で自宅から持ち出さ ない、ⅱ)保護観察事件の終了後は、CDを粉砕して廃棄する必要があるとの指導を受けたものの、 それ以外には特段の指導を受けておらず、地域別定例研修で説明を受けた記憶もない。報告書等を 作成している自宅のパソコンにセキュリティ対策ソフトをインストールしているものの、その作成 時にもインターネットには接続した状態である。 (70 歳代・22 年目) (注)1 保護司への実地調査の結果による。 2 文末の( )は、保護司の年齢及び経験年数である。 (保護観察官における取組状況等) 調査対象とした 17 保護観察所管内の 68 保護区における保護観察官による、保護観察 経過報告書等の作成にパソコンを利用できることについて手引に沿った保護司への指導 の実施状況を調査したところ、表 3-⑴-イ-(イ)-②のとおり、64 保護区(94.1%)におい て利用できることを指導している一方で、4 保護区(5.9%)において利用できることを 指導していないとしていた。利用できることを指導していない理由には、 「セキュリティ 上のリスクがあるため、積極的に勧めるべきではない」など情報セキュリティ上の懸念 を挙げていた。 表 3-⑴-イ-(イ)-② 調査対象保護区における保護観察経過報告書等の作成にパソコン を利用できることの指導の実施状況 (単位:保護区、%) 区分 保護区 利用できることを 指導している 利用できることを 指導していない 64(94.1) 4( 5.9) (注)1 保護観察所への実地調査の結果による。 2 ( )内は、68 保護区における保護観察官に占める割合である。 〔保護観察経過報告書等の作成にパソコンを利用できることを指導していない理由(主なもの) 〕 ・ 保護区内において、報告書をパソコンで作成している保護司やパソコンでの作成を要望する保護 司はいないため。パソコンでの報告書作成は、セキュリティ上のリスクがあるため、積極的に勧め るべきではないと考えている。 (秋田保護観察所保護観察官) ・ 情報セキュリティの課題があるため、パソコンで報告書を作成することができる旨の説明を積極 的には行っていない。保護司からパソコンでの保護観察経過報告書等の作成について照会があった 場合には、手引に記載された「パソコンを利用する場合の留意点」を厳守した上で、作成すること 81

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ができる旨の説明をすることとしている。(富山保護観察所保護観察官) (注)保護観察所への実地調査の結果による。 (報告書の提出方法の状況) 法務省は、上記のとおり情報セキュリティの観点からパソコンを利用する際にはイン ターネットに接続しないように指導しており、保護観察所においては、電子メールによる 提出は受け付けていない。 調査対象とした保護観察事件等を担当したことがある保護司 125 人における保護観察 経過報告書等の提出方法について調査したところ、表 3-⑴-イ-(イ)-③のとおり、102 人 (8 割強)は常に郵送により提出しており、残りの 23 人(2 割弱)は保護観察官への持 参により提出していた。保護司からは、郵送について、 「手書きの報告書で郵送すること に慣れている」などの意見が聴かれ、また、持参について、 「口頭でやり取りができるの で、情報をより詳細に伝えることができる」などの意見が聴かれた。 表 3-⑴-イ-(イ)-③ 調査対象保護司における保護観察経過報告書等の提出方法 (単位:人、%) 区分 保護司 郵送 郵送+持参 102(81.6) 14(11.2) 持参 9(7.2) 23(18.4) (注)1 保護司への実地調査の結果による。 2 ( )内は、保護観察事件等を担当したことがある保護司 125 人に占める割合である。 〔保護観察経過報告書等の郵送・持参による提出についての保護司の意見(主なもの) 〕 区分 内容 郵送に ついて ・ パソコンで報告書を作成する場合は、インターネットを切断するなどの手間があること、 また、手書きの報告書で郵送することに慣れているため、メールによる報告書等の提出に ついては必要性を感じていない。(60 歳代・20 年目) ・ 報告書の置き忘れや置き引きなどのおそれがあることから持参も望ましくない旨聞いた ことがあり、郵送としている。 (70 歳代・20 年目) ・ 持参に ついて 保護観察所からは郵送で提出するよう指導を受けている。(50 歳代・7 年目) ・ 保護観察所に出向き、職員とコミュニケーションを取ることができるというメリットが ある。遠方に在住している保護司であれば郵送での提出で十分だと思う。 (60 歳代・3 年 目) ・ 保護観察所と自宅が近いので、持参をしている。その際に保護観察官と口頭でやり取り ができるので、情報をより詳細に伝えることができる。 (60 歳代・4 年目) (注)1 保護司への実地調査の結果による。 2 各意見の文末の( )は、保護司の年齢及び経験年数である。 82

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(報告書の作成・提出の負担) 保護観察経過報告書等を作成・提出することについて、アンケート調査の結果による と、図 3-⑴-イ-(イ)-①のとおり、約 5 割の保護司が負担に「感じている」と回答してい る。 また、実地調査において、保護観察事件等を担当したことのある保護司 125 人のうち、 保護観察経過報告書等を作成・提出することについて負担に感じているとしている保護 司 67 人から、その具体的な内容を聴取したところ、 「報告書を作成するのに 1~2 時間を 要しており、手書きで記載することで手間がかかる」など手書きによる負担のほか、 「郵 便局で重さを計った上で切手を貼付している(注)が、そのためだけに郵便局へ出向くこと が手間」など郵送による負担の意見が聴かれた。 (注)定形郵便物の基本料金は 25g 以内:84 円、50g 以内:94 円(令和 2 年 4 月 1 日現在)となっており、 提出する報告書の枚数により、郵便料金が変わる可能性がある。 図 3-⑴-イ-(イ)-① 保護観察経過報告書等の作成・提出に対する負担 とても感じている 10.3%(414人) 保護司 (4,001人) ほとんど感じていない 15.2%(609人) ある程度感じている 38.7%(1,547人) 無回答 1.2%(48人) 余り感じていない 33.8%(1,352人) どちらともいえない 0.8%(31人) 感じている 49.0%(1,961 人) (注)保護司へのアンケート調査の結果による。 〔保護観察経過報告書等の手書きによる負担及び郵送による負担の具体例〕 区分 内容 作成 ・ ⅰ)報告書を作成するのに 1~2 時間を要しており、手書きで記載することで手間がかか ること、ⅱ)報告書の記載内容が、良好措置、不良措置などの評価につながるが、ケースバ イケースでその判断に確信が持てないことを負担(責任の重さ)に感じている。 (50 歳代・ 18 年目) ・ 保護観察では、各保護観察対象者との面接を月 2 回実施し、その結果を報告書にまとめな ければならないが、一人分の報告書を書くのに 1 時間程度を要することから、同時に 5 件 の保護観察事件を担当していた際には、5 人分の報告書を作成するのに時間を要した。(60 歳代・3 年目) ・ パソコンで作成が可能であることを知っているが、データの取扱いが面倒であるため、手 書きにしている。手書きだと、複写式(注)で、書くのに力が要り、また、間違えても消せな いことが負担である。 (50 歳代・3 年目) (注)報告書によっては、筆圧によって複写して同一のものを 3~4 通作成するようになっている。 ・ 生活環境調整事件の報告書は 4 枚つづりになっているため、筆圧を保ったまま完成させ ることが負担になっている。 (70 歳代・17 年目) ・ 手書きで提出しているが、欄が限られているため、その欄に収めるために文を要約するこ とが難しい。収まらなければ別紙を付ければよいことは分かっているが、欄にうまく収めた 83

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いと考えてしまう。なお、修正ができないため、下書きをしてから写している。 (60 歳代・ 15 年目) ・ 報告書の所定の枠内に報告事項を全てまとめようとすると、何度も文章の書き直しをする 必要があり、特に複数の案件を担当している時は大変であった。 (60 歳代・23 年目) ・ 報告書等を一人分作成する程度であれば、負担には感じないが、同時期に複数の事件を担 当する場合は、その人数分の作成作業が発生する。 (70 歳代・24 年目) 提出 ・ 報告書等の枚数は月によって増減するため、必要な切手代が異なり、その都度、郵便局で 重さを計った上で切手を貼付しているが、そのためだけに郵便局へ出向くことが手間であ る。保護観察所において、料金後納のスタンプ入り封筒を配付してもらえないものか。 (60 歳代・3 年目) ・ 保護観察所へ報告する際に使用する封筒については宛名書きが記載済みのものを配付し てもらえるとありがたい。 (70 歳代・16 年目) (注)1 保護司への実地調査の結果による。 2 各意見の文末の( )は、保護司の年齢及び経験年数である。 また、電子メールによる提出について、保護司からは、 「セキュリティ面での不安があ り、誤送信の可能性もある」など情報セキュリティ面を懸念する意見は聴かれているが、 「手書きで記載して切手を貼って郵送する今のやり方より報告書作成・提出の手間がず っと省ける」 、 「補足説明事項がある場合、電子メールであれば、本文に記載でき、主任官 の勤務時間外であっても、気を遣うことなく送信できる」など電子メールの利用は負担 軽減になるため電子メールで提出したいとの意向もみられた。 〔保護観察経過報告書等の電子メールによる提出についての保護司の意見(主なもの) 〕 ・ セキュリティ面での不安があり、誤送信の可能性もある。さらに、取り扱う内容が注意を要する 物であるため、現実的ではないと思う。 (40 歳代・4 年目) ・ 電子メールの場合、誤送信等から情報漏えいのリスクがあるため、電子メールによる報告書等の 提出は認めるべきではない。 (70 歳代・26 年目) ・ パソコンで作成してメールで提出する方法が簡便で理想的であるが、情報の漏えいの危険性を考 えるとメールによる提出が不可なのは仕方がないと思う。(50 歳代・3 年目) ・ パソコンの操作に慣れていないので、電子メールにより提出することは考えていない。 (60 歳代・ 23 年目) ・ 電子メールによる報告ができればよいと思う。それが可能になれば、手書きで記載して切手を貼 って郵送する今のやり方より報告書作成・提出の手間がずっと省けると思う。(50 歳代・18 年目) ・ 郵送の場合、切手を購入する手間もあるため、電子メールで報告書を提出できるようにしてほし い。 (60 歳代・5 年目) ・ 保護観察経過報告書の内容について補足説明事項がある場合、電子メールであれば、本文に記載 でき、主任官の勤務時間外であっても、気を遣うことなく送信できるので、可能であれば電子メー ルによる報告書提出を認めてほしい。保護観察経過報告書を郵送の上、勤務時間中に、補足事項を 多忙な主任官に電話連絡することは気を遣う。 (60 歳代・5 年目) ・ メールが利用できれば、楽だし使いたいとは思うが、セキュリティが心配。 (60 歳代・16 年目) 84

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・ 今は手書きだが、今後、パソコンで作成した報告書に変更することを検討しており、メール報告 ができることが望ましいと考える。しかし、セキュリティ対策を徹底できるかと言われれば自信が ない。 (70 歳代・6 年目) ・ 電子メールが普及し始めた頃(10 年以上前) 、電子メールでの報告を提案したが、できないと言 われた。それ以降は提案等をしていないが、自分ならセキュリティ対策を十分にできる自信がある ので、可能ならばメールによる報告を行いたい。 (70 歳代・23 年目) ・ 職場では、メールでのやり取りが普通であり、メール報告が可能であれば、それに越したことは ない。 (50 歳代・7 年目) (注)1 保護司への実地調査の結果による。 2 各意見の文末の( )は、保護司の年齢及び経験年数である。 ⅱ 他の民間ボランティアにおける報告書の作成・提出の状況 国の業務の一部を担っている民間のボランティアには、保護司のほか、総務大臣から 委嘱される行政相談委員などもある。 行政相談委員は、担当区域内の住民から国の行政機関等の業務に関する苦情の申出を 受け、その苦情の相談に応じて、助言によってその苦情が解消すると認められるときは、 申出人に必要な助言をしたり、助言のみでは解消しないと認められるときは関係行政機 関等や管区行政評価局長等に対して通知をしたりするなどしている。そして、行政相談 委員は、こうした助言や通知等をした場合、「行政相談委員業務実施要領」(昭和 59 年 7 月 1 日総務庁長官決定)において、管区行政評価局長等に対し、様式「行政相談委員苦 情事案報告」及び「行政相談委員月例報告」により報告することとされている。 これらの報告書の作成や提出について、 「行政相談委員の手引」 (平成 31 年 4 月総務省 行政評価局行政相談企画課)によると、パソコンや電子メールによることが可能とされ ている。そして、報告書には、個人情報や担当行政機関等の対応・意見など取扱いに注意 を要する情報が記載されているため、それを作成、保存及び提出するに当たって、パソコ ンを利用する際の留意点については次のとおり、作成文書のパスワードの設定による保 護などの情報セキュリティ上の取扱いなどが示されている。 〔行政相談委員による報告書の作成・提出時等にパソコンを利用する際の留意点〕 〔作成時〕 ⅰ)作成時に、関係のない人が容易に見ることができないように配慮してください(例えば、文書作 成中にパソコンの前から離席するときなどは、画面をロックしてください。 )。 〔保存時〕 ⅱ)作成した文書は、関係のない人が容易に見ることができないように保存・管理してください。パ ソコンで文書を作成した場合は、パスワードによる保護を励行してください。 ⅲ)作成された報告書等をパソコンのハードディスク、USBやSDカードなどに保存される場合は、 紛失や盗難に遭わないよう、適切な保管・管理を行っていただきますようお願いします。 ⅳ)コンピュータウィルスには十分ご注意ください。コンピュータウィルス対策ソフトをお使いのパ ソコンにインストールしておくなどの対策をお勧めします。 85

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〔提出時(電子メールを送信する場合)〕 ⅴ)アドレスを正確に入力してください。 ⅵ)提出する報告書等は、パスワードを設定できるワープロソフト等を使って作成し、パスワードを 設定して保護してください。報告書等は、Webメールのような簡便な方法ではなく、セキュリテ ィ面で信頼できるメーラーソフト(マイクロソフト・アウトルック等)を用いて送り、これにパス ワードで保護した報告書等のファイルを添付する方法をとってください。 ⅶ)報告書等のファイルに設定したパスワードは、報告書等を添付して送信するメールに記載せず、 パスワードのみを記載した別のメール等で局所センターにお知らせください。 (注) 「行政相談委員の手引」による。 ⅲ 最近の動向 法務省は、平成 31 年の改訂後の基本的指針において、保護司活動に対する支援を強化 するため、保護司の要望を踏まえ、 「保護司の活動環境の整備の観点から、情報管理を十 分徹底の上、保護観察経過報告書等のペーパーレス化、タブレットその他情報技術の活 用等について検討する」こととしている。 なお、近年、政府では、 「新たな日常」を定着・加速させるため、書面・押印・対面を 前提とした我が国の制度・慣行を見直し、実際に足を運ばなくても手続できるリモート 社会の実現に向けて取り組む(注)こととしている。 (注) 「経済財政運営と改革の基本方針 2020~危機の克服、そして新しい未来へ~」 (令和 2 年 7 月 17 日閣 議決定)による。同基本方針によると、「新たな日常」とは、変化を取り入れ、多様性をいかすことに より、リスクに強い強じん性を高めながら、我が国が持つ独自の強み・特性・ソフトパワーをいかした 「ニューノーマル」 (新たな世界)のかたちのこと。 法務省保護局によると、今般のコロナ禍では、保護司活動が制限され、特に、従来の形 式では関係者同士のコミュニケーションが十分に取れない状況が続いており、 「新たな日 常」下における保護司活動の在り方を全国の保護司に示さなければならず、その一つと して、保護司活動のICT化を進める必要があるとしている。また、そのためには、要機 密情報の取扱いに関するセキュリティの確保を万全に行う必要があると考えているとし ている。 86

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地域別定例研修の運営 (ウ) ⅰ 法務省における地域別定例研修に関連する取組 保護司の研修について、法務省は、 「保護司研修要綱」 (平成 20 年 5 月 30 日付け法務 省保更第 480 号法務省保護局長通達)において、保護観察所が行う保護司研修の効果的 な実施を図ることを目的として、その種類、内容等を定めている。同要綱では、実務上必 要な知識・技術の全般的な水準向上を図ることなどを目的として、保護観察所が保護司 全員を対象に「地域別定例研修」を行うこととしており、同研修についておおむね次のと おり定めている。 ⅰ)保護区単位に行う。ただし、保護観察所の長が相当と認めるときは、保護区を適宜分 けて行い、又は 2 以上の保護区を合同して行うことができる。 ⅱ)研修の実施回数(注)、期間、場所等研修実施上必要な事項で、同要綱に特段の定めの ないものについては、保護観察所の長が予算その他の事情を考慮して定める。 ⅲ)保護観察所の長は、研修がその目的に照らし十分な効果を上げられるよう、研修の 実施状況や保護司の要望等を把握し、研修の充実に常に努める。 (注)法務省によると、地域別定例研修に係る予算について、平成 23 年度までは年間 5 回の開催を見込ん でいたが、24 年度からは年間 4 回の開催に見直している。その後、サポートセンターの設置が進み、 保護司間で自主研修を行う機会が多くなっているとして、令和元年度からは更に年間 3 回に見直して いる。 地域別定例研修に関して、平成 24 年提言では、 「地域別定例研修の回数を減らして負 担軽減を図るなど、研修の在り方を改善する必要がある」とされている。 これを踏まえ、法務省は、平成 26 年の基本的指針において、「保護司の能力開発の観 点から適切な研修の在り方について検討すること」として取組を進めている。 (最近の動向) 法務省は、平成 31 年の改訂後の基本的指針において、更に、保護司活動をしやすい環 境の整備に努めるため、 「保護司研修の開催に当たっては、保護司が有する個々の事情に ついて十分に配慮し、例えば夜間の実施や平日以外の実施について積極的に検討するこ と」などとしている。 ⅱ 保護司における地域別定例研修に対する意見と実態等 保護司が保護観察に関する制度を正しく理解することについて、アンケート調査の結 果によると、図 3-⑴-イ-(ウ)-①のとおり、54.2%の保護司が不安に「感じている」と回 答している。 また、実地調査において、保護観察に関する制度を正しく理解することについて不安 に感じているとしている保護司 30 人から、その具体的な内容を聴いたところ、「制度が 複雑で正しく理解できているか不安」 、「普通の主婦であったため、法律的な事柄は余り 理解できていない」といった意見が聴かれているが、中には、 「数回の研修を通じて徐々 87

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に理解できている」など研修の有用性がうかがわれる意見も聴かれた。 図 3-⑴-イ-(ウ)-① 保護観察に関する制度を正しく理解することに対する不安 とても感じている 13.0%(520人) 保護司 (4,001人) ほとんど感じていない 11.4%(458人) ある程度感じている 41.2%(1,650人) 無回答 1.5%(59人) 余り感じていない 31.3%(1,252人) どちらともいえない 1.5%(62人) 感じている 54.2%(2,170 人) (注)1 保護司へのアンケート調査の結果による。 2 割合は、小数点第 2 位を四捨五入しているため、合計が 100 にならない場合がある。 〔保護観察に関する制度を正しく理解することに対する不安の具体的な内容(主なもの) 〕 ・ 保護司は、再犯防止という目標の下、更生保護に励んでおり、更生保護法、保護司法、少年法(昭 和 23 年法律第 168 号)等に基づく数々の制度により、保護観察が成り立っている。これらの制度 を正しく理解し、その中で果たす保護司の役割を明確にし、面接等の処遇活動をする必要があるが、 制度が複雑で正しく理解できているか不安である。保護観察所には、研修をいろいろとやってもら っているが、更に充実した内容の研修を提供してもらえばありがたい。 ・ 普通の主婦であったため、法律的な事柄は余り理解できていない。保護観察所から提供される資 料が多く、読解できていないものの、数回の研修を通じて徐々に理解できている。 ・ 委嘱を受けてから 5 年が経過し、この間、研修にはおおむね出席(8 割方出席)しているが、ま だ理解不足の面がある。研修等を通じて地道に勉強するしかない。 ・ 委嘱を受けてからの期間がまだ短いので、十分な知識・経験を身に付けているわけではない。研 修等を活用して、少しずつ勉強し、吸収していくしかない。 ・ 対象者の処遇に係る法や制度が次々と出てくるため、これらの法や制度を正しく理解し処遇活動 に反映させなければならず、勉強することが多いことが負担である。保護観察所や保護司会が開催 する研修や保護司の機関誌「更生保護」 、テレビのニュース等を通じて、新しい制度を理解するよう 常に心掛けている。 ・ 制度の変更などがあると、定例研修などで説明されても、なかなか理解できないときがある。 (注)保護司への実地調査の結果による。 (地域別定例研修の参加状況) 平成 29 年度及び 30 年度に実施された地域別定例研修の参加状況について、アンケー ト調査の結果によると、図 3-⑴-イ-(ウ)-②のとおり、約 6 割の保護司は「参加している」 と回答している一方で、約 4 割の保護司は「参加していない」と回答している。参加し ていない理由についてみると、図 3-⑴-イ-(ウ)-③のとおり、最も多いのは「仕事があっ たから」 (54.6%)であり、次いで「介護や家庭の事情など私用があったから」 (14.4%) や「他の行政ボランティア活動があったから」(11.5%)の順に多い。 88

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図 3-⑴-イ-(ウ)-② 地域別定例研修の参加状況 まったく参加していない 2.9%(118人) 保護司 (4,001人) 全て参加している 58.4%(2,338人) 一部参加していない 37.9%(1,518人) 無回答 0.7%(27人) (注)1 保護司へのアンケート調査の結果による。 2 平成 29 年度及び 30 年度(31 年 1 月 1 日まで)に実施された地域別定例研修を対象としている。 3 割合は、小数点第 2 位を四捨五入しているため、合計が 100 にならない場合がある。 図 3-⑴-イ-(ウ)-③ 地域別定例研修に参加していない理由 n=1,636 人 仕事があったから 54.6% 介護や家庭の事情など私用があったから 14.4% 他の行政ボランティア活動があったから 11.5% 体調が良くなかったから 研修内容に必要性を感じなかったから 研修の開催場所が遠かったから 7.9% 2.2% 1.8% 金銭的な負担があるから 1.0% 保護観察対象者との面接が重なったから 0.5% 研修の開催を知らなかったから 0.4% 研修内容が難しい(難しそうだと思った)から 0.3% その他 無回答 3.8% 1.5% (注)1 保護司へのアンケート調査の結果による。 2 地域別定例研修に「一部参加していない」及び「全く参加していない」と回答している保護司 1,636 人を対象 としている。 3 複数回答である。 調査対象とした 17 保護観察所管内の 68 保護区において平成 28 年 4 月から 30 年 10 月 までの間に実施された 808 回分の地域別定例研修について、保護司の参加状況を調査し たところ、全体の平均参加率は 67.6%であった。参加率 80%以上の研修が約 2 割(155 回)みられた一方で、参加率 50%未満の研修が約 1 割(76 回)みられた。 表 3-⑴-イ-(ウ)-① 調査対象保護区の地域別定例研修における保護司の参加率の状況 (単位:回、%) 参加率 参加率平均(%) 平成 28 年度 68.3 29 年度 67.1 30 年度 67.2 合計 67.6 80%以上 70%以上 80%未満 60%以上 70%未満 50%以上 60%未満 50%未満 66(20.7) 90(28.2) 76(23.8) 60(18.8) 27( 8.5) 60(18.8) 71(22.3) 100(31.3) 57(17.9) 31( 9.7) 29(17.1) 50(29.4) 50(29.4) 23(13.5) 18(10.6) 155(19.2) 211(26.1) 226(28.0) 140(17.3) 76( 9.4) 319( 100) 319( 100) 170( 100) 808( 100) 合計 89

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(注)1 保護観察所への実地調査の結果による。 2 平成 30 年度は、30 年 10 月末までの実績である。 3 参加率=参加した保護司数/対象保護司数(以下同じ。 ) 4 1 回分の研修を複数の実施箇所に分けている場合は、箇所ごとの研修をそれぞれ回数に計上している。ただし、 複数個所で実施された研修のうち、箇所ごとの対象保護司数が不明のものについては、対象保護司数が分かる単 位でまとめて 1 回として計上している(該当する計 82 か所で実施された研修について、まとめて 34 回として計 上しているため、実際の実施回数より 48 回少なくなっている。 ) 。 5 補講は含めていない。 6 ( )内は、各年度の合計に占める割合である。 (地域別定例研修の実施状況等) a 実施回数 地域別定例研修の回数について、アンケート調査の結果によると、図 3-⑴-イ-(ウ)- ④のとおり、約 2 割の保護司は回数が多いことに負担を「感じている」と回答してい る。 また、実地調査において、研修の回数が多いことに負担を感じているとしている保 護司 5 人から、 その具体的な内容を聴取したところ、 「仕事を抜けて参加しているので、 研修回数が多ければ負担」 、 「地域別定例研修に加え、自主研修もあるため負担」など仕 事や他の研修との兼ね合いで負担とする意見が聴かれた。 図 3-⑴-イ-(ウ)-④ 地域別定例研修の回数が多いことに対する負担 とても感じている 3.8%(151人) どちらともいえない 2.0%(79人) 余り感じていない 43.3%(1,732人) 保護司 (4,001人) ほとんど感じていない 32.9%(1,316人) ある程度感じている 16.0%(640人) 無回答 2.1%(83人) 感じている 19.8%(791 人) (注)1 保護司へのアンケート調査の結果による。 2 割合は、小数点第 2 位を四捨五入しているため、合計が 100 にならない場合がある。 〔地域別定例研修の回数が多いことに対する負担の具体的な内容(主なもの) 〕 ・ 仕事を抜けて参加しているので、研修回数が多ければ負担になる。 ・ 地域別定例研修に加え、自主研修もあるため負担を感じる。 ・ 年 4 回の定例研修に加え、自主研修が 2 回ある。テーマは毎回変わるので、無駄であるとは思わ ないが、年 6 回は多すぎる。 (注)保護司への実地調査の結果による。 調査対象とした 17 保護観察所管内の 68 保護区における平成 28 年度及び 29 年度の 地域別定例研修の実施回数についてみると、表 3-⑴-イ-(ウ)-②のとおり、4 保護区(同 一保護観察所管内)では年間 3 回実施しており、それ以外の 64 保護区では年間 4 回実 90

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施していた。 なお、年間 3 回実施している保護区の参加率の平均は 77.0%であり、4 回実施の 67.2%に比べて高い状況がみられた。 表 3-⑴-イ-(ウ)-② 調査対象保護区における地域別定例研修の年間実施回数 年間回数 3回 4回 保護区(保護観察所) 4( 1) 64(16) 参加率平均 77.0% 67.2% (注)保護観察所への実地調査による。 調査対象とした 17 保護観察所管内の 68 保護区において平成 28 年 4 月から 30 年 10 月までの間に実施された地域別定例研修 856 回の 1 回分の実施箇所についてみると、 表 3-⑴-イ-(ウ)-③のとおり、多くは一保護区につき 1 か所で実施している一方で、複 数の日程を設け保護司が都合の良い方の日に参加できるようにしている例(1 保護区) や、対象保護司が多いため 2 か所以上の地域に分けて実施している例(10 保護区)が みられた。 なお、実施箇所数ごとに研修の参加率の平均を比べてみると、2 か所で実施している 研修(73.1%及び 76.3%)において比較的高い状況がみられた。 また、複数箇所に分けて実施している保護区の中には、支部ごとに開催している研 修に他の支部の保護司も参加できるようにしている例がみられた。 表 3-⑴-イ-(ウ)-③ 実施箇所数 1 か所 2 か所 3 か所 4 か所 5 か所 調査対象保護司区における地域別定例研修 1 回分の実施箇所の状況 形式 - 複数の日程を設け、都合の良い方に参加可 地域を分けて実施 地域を分けて実施 地域を分けて実施 地域を分けて実施 回(保護区) 600(62) 10( 1) 36( 72( 101( 37( 参加率平均 68.2% 73.1% 3) 3) 4) 1) 76.3% 62.9% 69.2% 55.1% (注)1 保護観察所への実地調査による。 2 平成 28 年 4 月から 30 年 10 月末までの間の実績である。 3 実施回によって実施箇所数が異なる保護区があり、該当する実施箇所数それぞれに計上している。 4 1 回分の研修を複数の実施箇所に分けている場合は、箇所ごとの研修をそれぞれ回数に計上している。ただし、 平成 30 年 10 月末時点で未実施の箇所の研修は計上していない。 〔支部ごとに開催している研修に他の支部の保護司も参加できるようにしている例〕 年 4 回の研修のうち、支部別に開催している 2 回目と 3 回目の研修について、所属する支部の研修 に参加できない保護司に対し、他支部の研修(別の日時・場所で開催)への参加を認めている。他支 部の研修への参加者が相当数あり、参加率の低下を防げた。 (注)保護司会への実地調査の結果による。 91

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また、調査対象とした 17 保護観察所管内の 68 保護区においては、表 3-⑴-イ-(ウ)④のとおり、地域別定例研修に参加できなかった保護司を対象として補講を実施(保 護区単位、複数の保護区合同又は保護観察所単位で実施)している例(14 保護区)が あり、中には、夜間や土日に補講を実施している例もみられた。 なお、補講の参加率の平均は 2 割弱であるものの、研修に参加できなかった保護司 が一定程度参加できていることがうかがわれる。 表 3-⑴-イ-(ウ)-④ 調査対象保護区における地域別定例研修の補講の実施状況 補講の有無 補講あり 補講なし 保護区 14 54 参加率平均 18.6% - (注)1 保護観察所への実地調査による。 2 参加率は、補講における対象保護司(通常の研修に参加できなかった保護司)の参加率である。 b 実施日時・場所 都合の良い時間帯や場所で地域別定例研修を受けられないことについて、アンケー ト調査の結果によると、図 3-⑴-イ-(ウ)-⑤のとおり、2 割強の保護司が不満を「感じ ている」と回答している。 また、実地調査において、都合の良い時間帯や場所で受けられないことに不満を感 じているとしている保護司 20 人から、その具体的な内容を聴取したところ、「仕事の 都合で行けない時間帯や場所になることがある」、「決まった時間ではいつも参加でき ない保護司が出てきてしまう」などの意見が聴かれた。加えて、 「夕方開催や夜間開催 等の多様な開催形態を検討することが大切」、「e-ラーニングや電子媒体を利用した研 修等を実施してもらいたい」といった意見・要望も聴かれた。 図 3-⑴-イ-(ウ)-⑤ 都合の良い時間帯や場所で地域別定例研修を受けられないことに対する不満 とても感じている 6.3%(251人) どちらともいえない 2.3%(91人) 余り感じていない 36.1%(1,443人) 保護司 (4,001人) ほとんど感じていない 34.4%(1,377人) 無回答 2.3%(94人) ある程度感じている 18.6%(745人) 感じている 24.9%(996 人) (注)保護司へのアンケート調査の結果による 〔都合の良い時間帯や場所で地域別定例研修を受けられないことに対する不満の具体的な内容(主 なもの)〕 ・ 仕事の都合で行けない時間帯や場所になることがある。しかし、自分だけの都合で決められない ため、仕方がない。 92

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・ 以前は、保護区における定例研修は、2 回とも平日日中の午後に開催していた。現在は午前 1 回 と午後 1 回になって選択肢が多様化したが、決まった時間ではいつも参加できない保護司が出てき てしまう。夕方開催や夜間開催等の多様な開催形態を検討することが大切。 ・ 車椅子生活をしている夫の通院・通所への付添いを優先し、定例研修に参加できないことがある。 夫への付添いについては、おおむね平日の午後に行っており、定例研修も平日の午後に開催されて いるため、定例研修の平日開催は構わないものの、事前にアンケートを行うなどして各保護司の希 望を把握の上、年 4 回中 1、2 回は午前中に開催してもらいたい。 ・ いわゆる e-ラーニングや電子媒体を利用した研修等を実施してもらいたい。保護司自らログイン することは手間がかかるので、法務省からメール等で研修を案内してもらい、ワンクリックでログ インできるような方法であれば、参加しやすいと考える。 ・ 保護司以外に町内会長、地区社会福祉協議会の区長、小学校運営委員、森林組合監事等のボラン ティア活動を行っており、その活動や諸行事と重なることがあるため、研修参加を見送らなければ ならないことがある。 (注)保護司への実地調査の結果による。 地域別定例研修が平日の昼間に開催されることについて、アンケート調査の結果に よると、図 3-⑴-イ-(ウ)-⑥のとおり、3 割弱の保護司が不満に「感じている」と回答 している。 また、実地調査において、平日の昼間に開催されることに不満を感じているとして いる保護司 18 人から、その具体的な内容を聴取したところ、「日中は農作業がある」、 「会社の経営者としては参加することが難しい」など仕事の都合による意見が聴かれ ており、 「できれば夜間に開催されるとありがたい」、 「保護観察所から職場に働き掛け、 保護司活動に関する職場の理解を得られるような環境を作ってもらいたい」といった 要望も聴かれた。 図 3-⑴-イ-(ウ)-⑥ 地域別定例研修が平日昼間に開催されることに対する不満 どちらともいえない 1.6%(66人) とても感じている 9.5%(379人) 余り感じていない 34.5%(1,380人) 保護司 (4,001人) ほとんど感じていない 35.3%(1,414人) ある程度感じている 17.9%(717人) 無回答 1.1%(45人) 感じている 27.4%(1,096 人) (注)1 保護司へのアンケート調査の結果による。 2 割合は、小数点第 2 位を四捨五入しているため、合計が 100 にならない場合がある。 〔地域別定例研修が平日昼間に開催されることに対する不満の具体的な内容(主なもの) 〕 ・ 農業を営んでおり、日中は農作業があるため、夕方以降の開催が望ましい。 ・ 参加したいとは思っているが、平日の昼間に開催される場合は、会社の経営者としては参加する ことが難しい。平日夜間や土日祝日に開催される場合には参加しやすいものの、仕事が最優先され 93

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るため、参加できないこともある。 ・ フルタイムで働いているため、仕事を休むのが難しい。保護観察所から職場に働き掛け、保護司 活動に関する職場の理解を得られるような環境を作ってもらいたい。 ・ 保護司を引き受けたときから、保護司の仕事を優先させるよう努めているが、天候に左右される 本業の仕事柄、天気の良い日は仕事に出たいというのが正直なところであり、できれば夜間に開催 されるとありがたい。 ・ 仕事があるため、平日の日中の研修や夜間に開催される補講研修には参加できないため。また、 参加可能である土日の開催を希望している。しかし、以前、保護司会から保護観察所に対して土日 の開催を要望したところ実現しなかった。 (注)保護司への実地調査の結果による。 調査対象とした 17 保護観察所管内の 68 保護区を担当する保護観察官から、地域別 定例研修の実施日時の決定方法について聴取したところ、いずれの保護区の保護観察 官も、保護司会と調整して決定するとしていた。 調査対象とした 68 保護区において平成 28 年 4 月から 30 年 10 月まで間に実施され た地域別定例研修 856 回の実施曜日についてみると、平日に実施している保護区が多 くみられた一方、一部を土曜日に実施している例(5 回、2 保護区)もみられた。 表 3-⑴-イ-(ウ)-⑤ 調査対象保護区における地域別定例研修の実施曜日の状況 (単位:回(保護区) ) 実施曜日 平日 土曜日 平成 28 年度 340(68) 2( 2) 29 年度 331(68) 2( 2) 30 年度 180(68) 1( 1) 合計 851(68) 5( 2) 参加率平均 67.6% 63.7% (注)1 保護観察所への実地調査の結果による。 2 平成 30 年度は、30 年 10 月末までの実績である。 3 日曜日に実施された研修はない。 また、地域別定例研修の実施時間帯についてみると、表 3-⑴-イ-(ウ)-⑥のとおり、午 後に実施している保護区が多くみられた一方で、午前に実施している例(14 保護区) や夜間に実施している例(3 保護区)もみられた。 なお、夜間に実施している研修の参加率の平均は 79.7%、午前は 73.2%であり、こ れらは、午後の 67.0%に比べて高い状況がみられた。 表 3-⑴-イ-(ウ)-⑥ 調査対象保護区における地域別定例研修の実施時間帯の状況 (単位:回(保護区) ) 実施時間帯 午前 午後 夜間 合計 平成 28 年度 30(12) 310(65) 2( 2) 342(68) 29 年度 31(12) 300(65) 2( 2) 333(68) (注)1 保護観察所への実地調査の結果による。 94 30 年度 16(11) 165(65) 0( 0) 181(68) 合計 77(14) 775(65) 4( 3) 856(68) 参加率平均 73.2% 67.0% 79.7% 67.6%

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2 3 平成 30 年度は、30 年 10 月末までの実績である。 「午前」は 12 時までに、 「午後」は 13 時から 16 時までに、 「夜間」は 17 時以降にそれぞれ研修を開始してい るものである。 4 各回の研修の開始時間が異なる保護区については、該当する実施時間帯にそれぞれ 1 保護区として計上してい るため、各実施時間帯の保護区数の合計と各年度の合計欄の保護区数とは一致しない。 5 各実施時間帯の合計欄の保護区数については、各年度間で重複している保護区を計上していないため、各年度 の保護区数の合計と一致しない。 調査対象とした 17 保護観察所管内の 68 保護区を担当する保護観察官から、地域別 定例研修の実施場所の確保について聴取したところ、保護観察所の庁舎内の会議室を 主に利用している 1 保護区を除き、いずれの保護区においても保護司会が確保すると しており、保護観察所内の会議室や国の合同庁舎、サポートセンター、市町村の施設、 公民館、民間の会議場など様々な場所で実施している状況がみられた。 地域別定例研修の時間についてみると、アンケート調査の結果によると、図 3-⑴-イ -(ウ)-⑦のとおり、約 1 割の保護司が時間が長いことを負担に「感じている」と回答し ている。 また、実地調査において、時間が長いことに負担を感じているとしている保護司 6 人 から、その具体的な内容を聴取したところ、 「長時間の研修は集中力が維持できず負担」、 「内容を詰め込み過ぎている」などの意見が聴かれた。 図 3-⑴-イ-(ウ)-⑦ 地域別定例研修の時間が長いことに対する負担 とても感じている 2.2%(88人) どちらともいえない 1.6%(66人) 余り感じていない 47.9%(1,915人) 保護司 (4,001人) ほとんど感じていない 35.3%(1,414人) ある程度感じている 10.7%(430人) 無回答 2.2%(88人) 感じている 12.9%(518 人) (注)1 保護司へのアンケート調査の結果による。 2 割合は、小数点第 2 位を四捨五入しているため、合計が 100 にならない場合がある。 〔地域別定例研修の時間が長いことについての負担の具体的な内容(主なもの)〕 ・ 地域別定例研修では、毎回 2 時間の研修が組まれており、保護観察所がいろんな知識を伝授した いと頑張っているのは理解できるが、研修を受ける身からすれば、長時間の研修は集中力が維持で きず負担である。研修内容を精査し、簡潔な説明を心掛け、全体として 1 時間 30 分程度に収まる ようにブログラムを構成してほしい。 ・ 内容を詰め込みすぎている印象があり、研修時間が少し長い気がする。 ・ 研修時間をもっと短縮してほしい。 (注)保護司への実地調査の結果による。 95

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調査対象とした 17 保護観察所管内の 68 保護区において平成 28 年 4 月から 30 年 10 月までの間に実施された地域別定例研修 856 回の 1 回分の実施時間の長さについてみ ると、2 時間以内の保護区が多数を占めている。中には保護観察官による講義や保護司 からの発表などを行っていて 1 時間に満たない例がみられた。一方、長いものでは保 護観察官による講義や事例研究などを行っていて 3 時間を超える例がみられた。 表 3-⑴-イ-(ウ)-⑦ 調査対象保護区の地域別定例研修における所要時間の状況 (単位:回、保護区) 所要時間 ~1 時間以内 1 時間超~1 時間 30 分以内 1 時間 30 分超~2 時間以内 2 時間超~2 時間 30 分以内 2 時間 30 分超~3 時間以内 3 時間超~ 合計 平成 28 年度 15(13) 113(46) 171(54) 39(21) 2( 2) 2( 2) 29 年度 20(17) 98(45) 170(56) 38(21) 4( 4) 3( 3) 30 年度 17(13) 50(30) 83(46) 24(14) 5( 5) 2( 2) 合計 52(24) 261(51) 424(63) 101(35) 11( 8) 7( 6) 342(68) 333(68) 181(68) 856(68) (注)1 保護観察所への実地調査の結果である。 2 平成 30 年度は、30 年 10 月末までの実績である。 3 各回の研修の所要時間が異なる保護区については、該当する所要時間にそれぞれ 1 保護区と計上しているため、 各所要時間の保護区数の合計と各年度の合計欄の保護区数とは一致しない。 4 各所要時間の合計欄の保護区数については、各年度間で重複している保護区を計上していないため、各年度の 保護区数の合計と一致しない。 c 内容(テーマ・実施方法) 地域別定例研修の内容について、アンケート調査の結果によると、図 3-⑴-イ-(ウ)- ⑧のとおり、2 割弱の保護司が不満に「感じている」と回答している。 また、実地調査において、いつも同じような内容であることに不満を感じていると している保護司 11 人から、その具体的な内容を聴取したところ、 「書類の書き方や制 度など同じような研修テーマである」、「一方的な講義形式では身に付かない」など研 修で取り扱うテーマや研修の手法についての不満の意見が聴かれており、 「先輩保護司 が処理した事件の内容を事例研究として取り入れてほしい」、「変化をつけてほしい」 といった要望も聴かれた。 図 3-⑴-イ-(ウ)-⑧ 地域別定例研修がいつも同じような内容であることへの不満 とても感じている 2.4%(98人) 保護司 (4,001人) どちらともいえない 4.0%(160人) 余り感じていない 41.9%(1,676人) ほとんど感じていない 35.0%(1,402人) 無回答 2.1%(84人) ある程度感じている 14.5%(581人) 感じている 17.0%(679 人) (注)1 保護司へのアンケート調査の結果による。 2 割合は、小数点第 2 位を四捨五入しているため、合計が 100 にならない場合がある。 96

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〕 〔地域別定例研修がいつも同じような内容であることに対する不満の具体的な内容(主なもの) ・ 毎年、書類の書き方や制度など同じような研修テーマであることが、経験豊富な保護司にとって は少し不満であるが、経験の浅い保護司にとっては勉強になるので仕方がない。 ・ 一方的な講義形式では身に付かない。先輩保護司が処理した事件の内容を事例研究として取り入 れてほしい。 ・ 同様の形式の研修が行われていて代わり映えがしないため、変化をつけてほしい。 ・ 毎回、主任官による導入講義、その後の保護司同士の班別討議というやり方がマンネリ化してい るように感じる。 (注)保護司への実地調査の結果による。 さらに、アンケート調査の結果によると、図 3-⑴-イ-(ウ)-⑨のとおり、1 割の保護 司が、内容が難しくて不満に「感じている」と回答している。 また、実地調査において、内容が難しくて分からないことに不満を感じているとし ている保護司 7 人から、その具体的な内容を聴取したところ、 「新たな制度が導入され た際、理解するのに時間が掛かる」などの意見が聴かれており、 「新たな制度が導入さ れたことによって、保護司の活動がどのような影響を受けるのか具体例を示し説明し てほしい」、 「制度については具体的な事例を交えて説明してもらいたい」といった要 望も聴かれた。 図 3-⑴-イ-(ウ)-⑨ 地域別定例研修の内容が難しくて分からないことへの不満 どちらともいえない 2.7%(108人) とても感じている 0.9%(38人) 余り感じていない 47.2%(1,887人) 保護司 (4,001人) ほとんど感じていない 37.6%(1,505人) ある程度感じている 9.0%(361人) 無回答 2.5%(102人) 感じている 10.0%(399 人) (注)1 保護司へのアンケート調査の結果による。 2 割合は、小数点第 2 位を四捨五入しているため、合計が 100 にならない場合がある。 〔地域別定例研修の内容が難しくて分からないことに対する不満の具体的な内容(主なもの)〕 ・ 新たな制度が導入された際、理解するのに時間が掛かるので、1 回だけではなく何度か研修を行 ってほしい。また、新たな制度が導入されたことによって、保護司の活動がどのような影響を受け るのか具体例を示し説明してほしい。 ・ 事例研究などであれば理解がしやすいが、新たな制度の説明などの研修は理解が難しい。制度に ついては具体的な事例を交えて説明してもらいたい。 ・ 研修講師やその内容によって、理解が難しいと感じることがある。反対に、内容が易しすぎると 感じることもある。研修に関する不満などは特に主任官や保護司会に伝えていない。主任官や保護 司会に意見を言っても改善されるかどうか分からない。 (注)保護司への実地調査の結果による。 97

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調査対象とした 17 保護観察所管内の 68 保護区において平成 28 年度から 30 年度ま での間に実施された地域別定例研修の内容についてみると、いずれの保護区において も保護観察所が毎年決定するテーマに基づき実施している。 そこで、調査対象とした 17 保護観察所における地域別定例研修のテーマの検討方法 についてみると、表 3-⑴-イ-(ウ)-⑧のとおり、多くの保護観察所では、保護観察所内 部のみで検討している一方で、保護司へのアンケートを参考にして検討している例(5 保護観察所)や、保護観察所と保護司会連合会とが協議している例(2 保護観察所)が みられた。 なお、保護司へのアンケート結果を参考としたり、保護司会連合会と協議したりし ている保護観察所管内の研修の参加率は 77.2%であり、保護観察所内部のみで検討し ている保護観察所管内の研修の参加率 65.5%に比べて高い状況がみられた。 表 3-⑴-イ-(ウ)-⑧ 分類 調査対象保護観察所における地域別定例研修のテーマの検討方法 保護観 察所 保護観察所 内部のみで 検討 11 保護司への アンケート 結果を参考 4 具体例 ・ 6、7 人の保護観察官が研修担当としてテーマ案を作成し、保護 観察官が集まる会議において検討している。 (札幌保護観察所) 参加率 平均 65.5% ・ 幹部会議において、メンバー(首席保護観察官以上)が提出す るテーマ案について、過去の実施頻度及び時節に適したテーマで あるか等を検討している。 (福岡保護観察所、佐賀保護観察所) ・ 各保護司会の研修部会が研修の実施方法、研修テーマ等に係る アンケートを実施して、それを保護司会連合会の研修部会協議会 が取りまとめ、その結果を踏まえて検討している。 (富山保護観察 所) 67.8% ・ 各保護司会会長に対し、研修に関する意見・要望等についてア ンケートを実施しており、この結果を参考に保護観察所内の会議 で決定している。(鳥取保護観察所) 保護司会連 合会と協議 1 ・ 各保護区の主任官が各地区保護司会(保護司を含む)の要望を 把握し、民間活動支援専門官(注)にテーマ候補を提出して、民間 活動支援専門官と保護司会連合会の研修部会とが協議して検討 している。 (大阪保護観察所) 76.6% (注)保護司や保護司会、民間の団体、個人等が行う更生保護に関する活動 の支援に関する事務のうち特定事項に関する事務をつかさどる。 保護司への アンケート 結果を参考・ 保護司会連 合会と協議 1 ・ 地域別定例研修のテーマ等を検討する「保護司会連合会研修部 77.2% 会」 (保護観察所の定例研修担当保護観察官及び統括保護観察官、 保護司会連合会の研修部会員等で構成)を保護司会連合会と共催 しており、事前に管内の保護司会に対して実施したアンケートの 結果や保護観察官の希望テーマ等を基に協議している。(徳島保 護観察所) 98

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(注)1 保護観察所への実地調査の結果による。 2 参加率平均は、保護観察所管内の調査対象保護区における研修の参加率の平均である。 また、調査対象 17 保護観察所における平成 28 年度から 30 年度までの研修テーマを みると、9 保護観察所において、一保護区につき年間 4 回又は 3 回実施している研修の うちの 1 回を「自主テーマ」などとして保護区ごとに独自のテーマで実施することと していた。 表 3-⑴-イ-(ウ)-⑨ 区分 自主テーマあり 自主テーマなし 調査対象保護観察所における地域別定例研修での自主テーマの有無 保護観察所(回) 9(425) 8(431) 参加率平均 67.5% 67.7% (注)1 保護観察所への実地調査の結果による。 2 「 (回) 」は、当該保護観察所管内の調査対象保護区において平成 28 年 4 月から 30 年 10 月までの間に 実施された地域別定例研修の回数である。 調査対象とした 17 保護観察所管内の 68 保護区において平成 28 年 4 月から 30 年 10 月までの間に実施された地域別定例研修 856 回の研修手法についてみると、表 3-⑴イ-(ウ)-⑩のとおり、多くの研修では、1 回の研修の中で保護観察官による講義に加え、 事例研究やグループ討議、保護司の発表等などを行っていた。 表 3-⑴-イ-(ウ)-⑩ 手法 講義+α 講義のみ 地域別定例研修における研修手法の状況 回(保護区) 495(66) 361(56) 参加率平均 65.8% 70.0% (注)1 保護観察所への実地調査の結果による。 2 平成 28 年 4 月から 30 年 10 月末までの間の実績である。 3 「講義のみ」には、講義等としているものや質疑応答を行っているものも含む。 99

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(エ) 協力雇用主名簿の取扱い 保護観察における補導援護を行うに当たって、更生保護法第 58 条においては、保護司は、 保護観察対象者が自立した生活を営むことができるようにするため「職業を補導し、及び 就職を助けること」とされており、これについては、処遇運用通達において、 「就労に関す る情報を提供すること、公共職業安定所の利用を促すこと等により行う」などとされてい る。 また、保護司法第 8 条の 2 及び保護司会及び保護司会連合会に関する規則(平成 11 年法 務省令第 2 号。以下「保護司会等規則」という。 )第 1 条においては、保護司は、 「犯罪をし た者及び非行のある少年の改善更生を助けるために、その者を雇用する事業主の確保その 他の雇用の促進を図る活動」の事務に従事することとされている。 ⅰ 法務省の協力雇用主名簿に関する取組 保護観察対象者の就労支援に関して、法務省は、協力雇用主の募集を行っている。そし て、協力雇用主の登録や、その情報の管理等に当たって、法務省は、 「協力雇用主登録等 要領」 (平成 30 年 8 月 23 日付け法務省保更第 82 号法務省保護局更生保護振興課長通知) において、保護観察所の長が、事業主から、事業所名、所在地、業種、雇用形態、就業時 間、給与形態、主な業務内容等が記載された協力雇用主登録届の提出を受け付け、暴力団 の排除事項について確認した後、協力雇用主として登録することとしている。また、保護 観察所の長が、 「定期的に、当該協力雇用主に対し、協力雇用主としての登録を継続する か否かに関する意向、登録している情報の変更の有無及び求人募集の状況等を確認する よう努める」ほか、登録している協力雇用主の情報について、 「登録されている情報を最 新の状態に保持するとともに、適切な運用に努める」こととされている。 なお、保護観察所が管理している協力雇用主の情報の保護司会等への提供等の取扱い や、協力雇用主の登録の継続等の確認方法については、特段示されていない。 (保護観察所における取組状況) 調査対象とした 17 保護観察所における協力雇用主名簿(注)の保護司会等への提供状況 を調査したところ、表 3-⑴-イ-(エ)-①のとおり、9 保護観察所において提供していた。 なお、提供している保護観察所においては、提供するに当たって、情報秘匿を求める協 力雇用主がいることや、積極的に名簿の写しを保護司に渡すことを禁じることなど取扱 い上の留意点を示している例がみられた。一方、8 保護観察所においては提供していなか った。その理由として、協力雇用主であることを公にすることを望まない事業主がいる ことや、利用時に登録状況が変わっていて事業主に迷惑をかけるおそれがあること、保 護司会・保護司に対する提供について協力雇用主から同意を得ていないことなどが挙げ られた。 (注)保護観察所ごとに登録している協力雇用主に係る事業所名、所在地、業種、連絡先のほか、雇用実績や 募集内容、寮の有無等の情報を掲載し一覧化しているものをいう。その内容は保護観察所により異なる。 100

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表 3-⑴-イ-(エ)-① 調査対象保護観察所における協力雇用主名簿の保護司会等への提 供状況 (単位:保護観察所) 区分 保護観察所 提供している 9 提供していない 8 (注)保護観察所への実地調査の結果による。 〔調査対象保護観察所において協力雇用主名簿を保護司会等に提供する際に示している留意点の 内容(主なもの) 〕 ・ 協力雇用主の中には、協力雇用主名簿内の情報秘匿を求める者もいるため、毎年度末に実施して いる保護司会の代表者会議において、本名簿を配布する際に、口頭にて取扱いに注意するよう指導 するとともに、本名簿表面に、 「保護司会の内部資料として取り扱い、直接対象者に閲覧させること は控えてください」との文言を印刷して、重ねて注意を促している。 (佐賀保護観察所) ・ 協力雇用主名簿については当該保護司会限りとするよう注意喚起している。当該保護司会に属す る保護司から情報提供の要請があった場合には、当該名簿の閲覧をさせることは構わないが、名簿 の写しを保護司に渡すことは禁じている。(広島保護観察所) ・ 情報の取扱いにおいては、担当保護司の処遇上の取扱いのみとし、関係機関への情報提供や保護 観察対象者への就労支援以外の目的での情報提供を行わないよう依頼している。また、雇用の申込 みについては、保護観察所を経由することとしている。 (徳島保護観察所) ・ 各保護司会への協力雇用主の名簿の提供に当たり、取扱い上の注意として、ⅰ)協力雇用主の名 称等を外部に漏らさないことや複写しないこと、ⅱ)協力雇用主に対して保護観察対象者の雇用を 求めようとする場合には協力雇用主に当たる前に主任官等に事前に相談することを求めている。 ⅰ)を促している理由としては、協力雇用主であることを公にしていない事業主がいることを挙げ ている。ⅱ)を促している理由としては、保護観察対象者の就労支援には保護司と主任官が協働し て当たる必要があるため、主任官を必ず通してもらいたいことと、保護観察対象者を雇用した協力 雇用主を保護観察所が確実に把握し奨励金等を漏れなく支給したいことを挙げている。(福岡保護 観察所) (注)保護観察所への実地調査の結果による。 〔調査対象保護観察所において協力雇用主名簿を保護司会等に対して提供していない理由(主なも の)〕 ・ ⅰ)協力雇用主であることを公にすることを望まない事業主がいること、ⅱ)協力雇用主の名簿 については、毎年雇用主に意向確認を行い、雇用条件を含めた登録内容の更新や抹消をするほか、 随時新規登録・抹消を行っているため、ある一時点で作成した名簿を提供すると、利用時には登録 状況が変わっていて、事業主に迷惑をかけてしまうおそれがある。(札幌保護観察所) ・ ⅰ)保護司会・保護司に対し協力雇用主の名簿を提供することについて、協力雇用主から同意を 得ていないこと、ⅱ)現状、保護司は保護観察対象者等に対する就職支援を行うに当たり、公共職 業安定所(以下「ハローワーク」という。 )を通じた就職支援を前提としているため、協力雇用主の 名簿の提供を必要としていない。(函館保護観察所) ・ 保護司会や保護司に協力雇用主名簿等を提供した場合、保護司が名簿等を利用して保護観察所を 通さずに個別に対象者雇用を依頼した場合、協力雇用主支援制度や就労支援メニュー等の活用がで 101

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きず、結果として効果的な対象者雇用及び協力雇用主支援ができなくなるおそれがある。(甲府保 護観察所) (注)保護観察所への実地調査の結果による。 また、調査対象とした 17 保護観察所における協力雇用主の情報を更新する際の協力雇 用主への確認方法についてみると、これら保護観察所では、自ら協力雇用主に対するア ンケート調査を行って毎年確認している例や、自ら確認するとともに補足的に保護司会 に依頼して数年に一度確認している例、保護司会に依頼して確認している例がみられた。 このような状況の中、保護司会に依頼して確認している保護観察所管内の保護司会か らは、 「負担は感じておらず、保護区内の協力雇用主とは関係を持っておかないと、いざ 保護観察対象者を雇用してもらう際に円滑に進まない」とする意見が聴かれた一方で、 「協力雇用主の継続についての依頼文等が保護観察所から協力雇用主又は保護司会に送 付されておらず、協力雇用主から苦情を受ける」として確認作業が負担になったとの意 見が聴かれた。 〔調査対象保護観察所における協力雇用主の情報の確認方法の例〕 分類 協 用 対 ア ー 査 施 力 主 す ン ト を 雇 に る ケ 調 実 内容 [保護観察所の取組] 平成 27 年度以降、更生保護就労支援事業(注)を実施しており、17 人の就労支援員が配 置されている。就労支援員の全員が保護司に委嘱されており、毎月 1 回、就労支援員の会 議が開催されている。この中で、複数の就労支援員から担当保護区内にどのような会社が 協力雇用主となっているのか知りたいので情報を提供してほしいとの要望があった。 (注)民間のノウハウ・ネットワークをいかし、矯正施設入所中から就職後の職場定着まで、継続的か つきめ細かな支援等を行うものであり、一部の保護観察所において実施している。この事業では、 就労の確保が困難な者の就労支援や雇用管理に関する専門知識及び経験を有する就労支援員によ り、ⅰ)就職活動支援、ⅱ)雇用基盤整備の 2 つの支援を実施している。 これを受けて、4,5 年前から毎年、協力雇用主に対するアンケート調査を実施し、登録 事項の確認及び変更がある場合の修正依頼、登録継続の意思、登録情報の保護司会等への 提示の可否、保護観察対象者の雇用の可否等を確認している。 上記のアンケートを実施する目的は、管内の協力雇用主登録者数は 500 社以上と他庁に 比べて多く、これを対象者の就労の確保と安定につなげていきたいと考えているが、協力 雇用主の様々な事情の変化により協力できる内容が変化する可能性があり、それを把握す るために実施している。 (広島保護観察所) 自ら確 認する ととも に、補足 的に保 護司会 に確認 を依頼 [保護観察所の取組] 各地区保護司会を経由して保護観察所に登録した協力雇用主について、数年に一度(直 近では平成 29 年度) 、保護観察所が継続登録の意思確認のアンケートを行っている。その 際、宛先が不明であったり、返送がなかったりした協力雇用主について、保護観察所が各 地区保護司会に、所在確認及び継続登録の意思確認の依頼を行っている。その結果、保護 観察所に「継続登録で問題なし」との回答があった協力雇用主を含めた該当保護司会の協 力雇用主名簿を提供している。 (大阪保護観察所) 102

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[保護司会の意見] 上記確認依頼について負担は感じておらず、保護区内の協力雇用主とは関係を持ってお かないと、いざ保護観察対象者を雇用してもらう際に円滑に進まないと考えている。 [保護観察所の取組] 保護司 会に確 認を依 頼 保護観察対象者に対する就労支援の参考としてもらうことを目的として、管内の全ての 保護司会に対して、協力雇用主一覧表を平成 27 年度から提供している。 当該協力雇用主一覧表について、ⅰ)協力状況の変化等を把握し、反映する必要がある こと、ⅱ)記載の情報が古く、最新の情報に更新すべきであると地区保護司会から要請を 受けたことから、平成 29 年 6 月に、その更新作業を実施した。更新する上で必要となる協 力雇用主の登録継続の確認作業に当たり、ⅰ)保護観察所の職員数では全ての協力雇用主 に対する確認を行うことが困難であること、ⅱ)保護司が円滑な就労支援を実施するため に、この確認作業を通して地区の協力雇用主と接点を持ってもらう必要があると考えたこ とを理由に、各保護司会にそれぞれ地区内に所在する協力雇用主に対する確認を依頼し た。 (徳島保護観察所) [保護司会の意見] 上記依頼について、地区内の協力雇用主に対して確認作業を行ったものの、登録継続の 確認書類には、協力雇用主の印が必要であったため、保護司が全ての協力雇用主を個別に 訪問して継続をお願いする必要があったこと、また、協力雇用主の継続についての依頼文 等が保護観察所から協力雇用主又は保護司会に送付されておらず、協力雇用主側から苦情 を受ける場合があったことから、この更新作業は、保護司会にとって大きな負担になった。 (注)保護観察所及び保護司会への実地調査の結果による。 ⅱ 保護司における就労支援の状況 調査対象とした保護司 136 人のうち、保護観察を担当したことがある保護司 122 人に おける保護観察対象者に対する就労支援の状況について調査したところ、表 3-⑴-イ(エ)-②のとおり、3 割強の保護司(42 人)は、最近担当した保護観察において、ハローワ ークへの同行やハローワークを通じた協力雇用主の紹介、新聞・チラシ等の求人情報の 提供等の就労支援を行っているとしている。一方、約 6 割の保護司(73 人)は、担当し た保護観察対象者が自ら就職先を見付けているなどのため、最近担当した保護観察では 就労支援を行っていないとしている。 表 3-⑴-イ-(エ)-② 調査対象保護司における保護観察対象者に対する就労支援の状況 (単位:人、%) 区分 保護司 (注)1 2 3 4 5 行っている 42(34.4) 行っていない 73(59.8) 不明 7( 5.7) 保護司への実地調査の結果による。 調査対象 136 人のうち、14 人については保護観察事件を担当した経験がないため対象から除いている。 「不明」は、覚えていないなどである。 ( )内は、保護観察事件を担当した経験がある保護司 122 人に占める割合である。 割合は、小数点第 2 位を四捨五入しているため、合計が 100 にならない場合がある。 103

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〔調査対象保護司が行っている就労支援の内容(主なもの) 〕 ・ 保護観察対象者がハローワークに行くのに同行している。 ・ 就職を希望する保護観察対象者に対しては、ハローワークを通じて、求人の有無を確認するよう 指導している。 ・ 就労支援をする場合は、NPO法人の就労支援事業者機構と連携して協力雇用主を紹介する、又 はハローワークに行くことなどを勧めている。 ・ 新聞の折り込みチラシの求人情報を対象者に提供している。 (注)保護司への実地調査の結果による。 〔調査対象保護司が就労支援を行っていない理由(主なもの) 〕 ・ 保護観察対象者自らが就職先を見付けてきており、就労に関する相談もなかった。 ・ 保護観察開始時には既に就職先が決定しており、就労支援の必要がなかった。 ・ 保護観察対象者は、ハローワークでの求職も保護司の紹介も嫌がり、知り合いの口コミや情報誌 で探すことを希望している。 ・ 保護観察対象者に対しては、自発的に就労活動をするよう促している。その理由は、対象者が自 発的に探した就労場所でなければ、早期退職する可能性が高いと考えるからである。 (注)保護司への実地調査の結果による。 ⅲ 保護司における協力雇用主名簿の活用状況 調査対象とした保護司 136 人から、就労支援のために協力雇用主名簿の提供を定期的 に受けることの必要性について聴取したところ、表 3-⑴-イ-(エ)-③のとおり、約 7 割の 保護司(92 人)は、就労を希望する対象者から相談を受けたときに活用できるなどとし て、協力雇用主名簿の提供を受けることを求めている。 表 3-⑴-イ-(エ)-③ 調査対象保護司における協力雇用主名簿の提供を受けることの必要性 (単位:人、%) 区分 保護司 必要だと思う 92(67.6) 必要だと思わない 16(11.8) 分からない 28(20.6) (注)1 保護司への実地調査の結果による。 2 ( )内は、調査対象保護司 136 人に占める割合である。 しかし、必要としている保護司において、保護観察所や保護司会等から協力雇用主名 簿提供を受けて所持しているのは、表 3-⑴-イ-(エ)-④のとおり、3 割強(32 人)程度で あった。 104

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表 3-⑴-イ-(エ)-④ 協力雇用主名簿の提供を受けることを必要としている保護司にお ける協力雇用主名簿の所持状況 (単位:人、%) 区分 保護司 持っている 32(34.8) 持っていない 60(65.2) (注)1 保護司への実地調査の結果による。 2 ( )内は、表 3-⑴-イ-(エ)-③において「必要だと思う」と回答した保護司 92 人に占める割合 である。 105

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(オ) 都道府県・市町村との連携 都道府県・市町村との連携に関して、保護司は、保護司法第 8 条の 2 において、「犯罪 の予防に寄与する地方公共団体の施策への協力」の事務に、また、保護司会は、保護司会 等規則第 1 条において、 「犯罪をした者及び非行のある少年の改善更生を助けるために、 教育、医療又は福祉に関する公私の団体又は機関からの協力の促進を図る活動」、「犯罪の 予防を図るために、公私の団体又は機関からの協力の促進を図る活動」の事務に従事する こととされている。そして、都道府県・市町村は、保護司法第 17 条において、「その地域 において行われる保護司、保護司会及び保護司会連合会の活動に対して必要な協力をする ことができる」こととされている。 また、保護観察所は、更生保護法第 30 条において、保護観察を実施するなどの「所掌事 務を遂行するため、官公署、学校、病院、公共の衛生福祉に関する機関その他の者に対し、 必要な援助及び協力を求めることができる」こととされている。 さらに、国及び都道府県・市町村は、平成 28 年に施行された再犯防止推進法第 5 条にお いて、 「再犯の防止等に関する施策が円滑に実施されるよう、相互に連携を図らなければな らない」などとされているほか、再犯防止推進法第 24 条において、都道府県・市町村は再 犯の防止等に関して、 「国との適切な役割分担を踏まえて、その地方公共団体の地域の状況 に応じ、前節に規定する施策(注)を講ずるように努めなければならない」こととされている。 (注)非行少年等に対する支援、就業の機会の確保、情報の共有などの各種施策 ⅰ 法務省における都道府県・市町村との連携に関連する取組 地方公共団体との連携に関して、平成 24 年提言では、「効果的な保護司活動を展開す るため、これまで以上に基礎自治体たる市区町村との連携強化に努めることが重要であ る」、 「市区町村長等に保護司活動の内容や意義等について理解してもらうことが必要で あり、そのための各種方策に保護観察所と保護司会が協力して取り組むことが必要であ る」とされているほか、 「保護司法第 17 条をより機能させるため、法務省において総務 省と必要な協議をすることが求められる」などとされている。 こうしたことを踏まえ、法務省は、地方公共団体から保護司活動に対する一層の協力 を得られるよう、平成 26 年の依頼通知において、都道府県知事及び市町村長に対し、保 護司候補者やサポートセンター等に関する事項のほか、保護観察対象者等の社会復帰支 援のために、住居や就労先の確保、福祉サービスの調整等の支援について、当該地方公共 団体所管の関係機関等と連携した実施や、当該地方公共団体との安定的な関係作りのた めに、保護司活動等について職員に説明する機会の提供を依頼している。 (保護観察所における取組状況) 調査対象とした 17 保護観察所における都道府県・市町村との連携を図るための取組(注) について調査したところ、これらの保護観察所では、都道府県における地方再犯防止推 進計画の策定に際して意見交換を行っている例や、保護司会の総会等の機会に、連携体 106

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制を構築するために市長や幹部職員等に働き掛けを行っている例などがみられた。一方 で、 「各保護司会に任せており、保護司会から要望がある場合等に保護観察所から都道府 県・市町村に対し支援を求めることとしている」としている保護観察所もみられた。 (注)面接場所(サポートセンター)及び保護司候補者の確保に関する取組については、それぞれ 3-⑴-イ(ア)及び 3-⑵-ア-(イ)において取り扱っているため、本項では取り扱わない。 〔保護観察所における都道府県・市町村との連携を図るための取組の例〕 ・ 都道府県・市町村との連携については、各保護司会に任せており、保護司会から要望がある場合 等に保護観察所から都道府県・市町村に対し支援を求めることとしている。 (高松保護観察所) ・ 保護司会長等による首長への表敬訪問に同行する機会や、各保護司会の総会に出席する機会など に、保護司活動の重要性を強調し理解を求めている。(佐賀保護観察所) ・ 地方再犯防止推進計画の策定については、都道府県と勉強会を開催し、各種機会に都道府県と意 見交換を実施している。その上で、再犯防止推進計画検討会の委員として参画し、計画の作成に関 与している。また、市町村に対しても説明会の開催や個別説明を実施し、連携関係の構築に努めて いる。(東京保護観察所) (注)保護観察所への実地調査の結果による。 ⅱ 都道府県・市町村における保護司等との連携の状況 (都道府県における連携の状況) 調査対象とした 16 都道府県における保護観察所や保護司等との連携 (注 1) の状況につ (注 2) いて調査したところ、これら都道府県では、地域再犯防止推進モデル事業 などを通 じて、保護観察所や保護司会連合会、保護司会等と連携した取組を実施しているほか、保 護司会連合会に対し補助金を交付したり、功労のあった保護司を表彰したりして保護司 活動に対して協力している状況がみられた。また、令和元年 4 月に策定した県再犯防止 推進計画において、サポートセンターの設置のための公的施設の提供について記載して いる例(1 都道府県)や、就学・就労、福祉等に関する相談窓口を紹介したガイドブック を保護司に配布している例(1 都道府県)がみられたほか、就業の機会の確保に関する施 策として、協力雇用主に対して競争入札に係る優遇措置を行っている例(8 都道府県)や、 保護観察対象者を雇用する取組を行っている例(2 都道府県)がみられた。 (注 1)保護司候補者の確保に関する連携については、3-⑵-ア-(イ)において取り扱っているため、本項では 取り扱わない。 (注 2)再犯防止推進計画を踏まえ、国と地方公共団体が協力して、地域における犯罪や非行をした者の実態 調査や支援策の策定・実施、効果検証といった一連の取組の実施を通じて、国・地方公共団体の協働に よる地域における効果的な再犯防止対策の在り方を検討することを目的とする事業。法務省の公募によ り平成 30 年度から 30 団体に、令和元年度から 7 団体に委託している。 107

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〔都道府県における保護司等との連携等の例(主なもの) 〕 分類 内容 連携した 取組 ・ 安全で安心して暮らせる社会の実現に向け、国、道、関係機関等が協働し、地域にお ける再犯防止対策等に係る情報共有及びネットワーク構築等を目的として、地域再犯 防止推進モデル事業を実施しており、その一環として再犯防止推進会議を開催してい る。(北海道) ・ 再犯防止に携わる関係機関・団体等が連携して再犯防止に関する施策を推進するた め、再犯防止連絡協議会を設置している。構成機関は、県担当部局のほか、保護観察所、 刑務所、県保護司会連合会など関係機関・団体等の代表者 45 人であり、情報交換を行 っている。(愛知県) ・ 非行少年に対する支援を行っている機関・団体がそれぞれの取組の現状や課題を共有 し連携を深めていくことを目的に、保護観察所、県、民間団体等をメンバーとして構成 される非行少年等再犯防止連絡会を開催している。保護観察所による就労支援が保護 観察中の者を対象にしていることを踏まえて、県は保護観察終了後の非行少年等を対 象とする非行少年等就労支援事業を実施している。 (広島県) ・ 保護観察所が開催している高齢又は障害により特に自立が困難な矯正施設収容中の 者の社会復帰に関する関係機関連絡協議会に出席している。(佐賀県) 補助金の 交付 ・ 保護司に対する研修の実施、社明運動といった更生保護のための地域活動促進のため に、県保護司会連合会に対して補助金を交付している。(広島県) ・ 県保護司会連合会に対して、以下の補助金を交付している。 ⅰ)薬物乱用によって生ずる健康被害を防止するため、県保護司会連合会が行う薬物乱 用防止の啓発活動に対して補助を行うことにより、県民の健康で快適な生活環境づ くりに寄与することを目的に、同連合会が行う福岡県薬物乱用防止県民運動事業を 実施するために必要な経費について福岡県薬物乱用防止県民運動事業補助金を交付 している。 ⅱ)県保護司会連合会が行う地域社会非行防止推進事業に要する経費を補助すること により、地域社会において青少年による非行を未然に防止し、青少年の健全育成の促 進を図ることを目的に、同連合会が行う地域社会非行防止推進事業に要する経費に ついて福岡県地域社会非行防止推進事業補助金を交付している。(福岡県) 功労のあ った保護 司の表彰 ・ 罪を犯した人の更生に向けて尽力している人への感謝の意を表するため、保護司に対 して社会福祉事業功労者表彰を行っている。(和歌山県) サポート センター の設置に 関する支 援 ・ 議員からの要望書や、保護観察所から「サポートセンターが保護区に 1 か所では足り ない」 、 「複数の分所があるとよい」などの意見を伺ったことを受け、平成 31 年 4 月に 策定した県再犯防止推進計画において、サポートセンターのサテライトセンター設置 のための公的施設の提供について記載している。 (佐賀県) 情報提供 ・ 非行少年が社会復帰する際に役立つと思われる都や関係機関(就学・就労、福祉等)の 相談窓口等を紹介した保護司向け情報冊子「少年支援ガイドブック」を作成・配布し、 地域で非行少年の立ち直り支援に携わる保護司等の活動を促進している。(東京都) 協力雇用 主に対す ・ 県が推進する施策への入札参加者の協力度を入札参加資格の審査に加味することに より施策への積極的な協力を促す制度(地域貢献活動評価制度)の中で、協力雇用主で 108

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る優遇措 置 保護観察 対象者の 雇用 あることを加点対象にしている。(福岡県) ・ 総合評価方式の政策的評価項目への活用可能な項目例として、保護観察対象者等の雇 用(協力雇用主として保護観察対象者等を雇用した実績があること)を例示している。 (東京都) ・ 就業体験の機会を与え、立ち直り支援を後押しすることを目的に、保護観察対象者を 臨時職員として雇用している。 (東京都) ・ 再犯防止推進法が成立したこと及び県議会からの要請があったことを踏まえ、保護観 察対象者の民間企業への就職を促進するため、県で一定期間雇用するチャレンジ雇用 を実施している。 (鳥取県) (注)都道府県への実地調査の結果による。 (市町村における連携の状況) 調査対象とした 63 市町村における保護観察所や保護司等との連携の状況(注)について 調査したところ、これら市町村では、地域再犯防止推進モデル事業や地方再犯防止推進 計画策定のための会議などを通じて、保護観察所や保護司会等と連携した取組を実施し ているほか、保護司会に対し補助金を交付したり、サポートセンターの設置場所を提供 したり、功績のあった保護司を表彰するなど保護司活動に対して協力している状況がみ られた。また、保護司会の事務の支援を行っている例(11 市町村)や、研修や会議の際 に施設を提供している例(6 市町村)、更生保護関係団体間で連携して合同研修を行って いる例(1 市町村)がみられたほか、就業の機会の確保に関する施策として、協力雇用主 に対する競争入札に係る優遇措置を行っている例(13 市町村)や、保護観察対象者を雇 用する取組を行っている例(6 市町村)がみられた。 (注)保護司候補者の確保に関する連携については、3-⑵-ア-(イ)において取り扱っているため、本項では取 り扱わない。 〔市町村における保護司等との連携・協力の例(主なもの) 〕 分類 内容 連携した 取組 ・ 保護観察所からの依頼を受け、地方検察庁、刑務所、少年鑑別所、保護司会、保護観 察所等を構成員とする再犯防止推進計画を踏まえた地方公共団体への説明・打合せ会 に参加している。(秋田市) ・ 地域再犯防止推進モデル事業(平成 30 年度から令和 2 年度まで)として、起訴猶予 処分となった者のうち、福祉的な支援が必要な高齢者・障害者・若者を、業務委託され たコーディネーターが適切かつ円滑に福祉窓口につなぎ、一定期間継続的に支援する 伴走型入口支援事業を実施し、同事業の効果等について検証を行っている。(名古屋市) ・ 保護観察所と福祉関係者が連携して福祉的支援が必要な者(起訴猶予者など)に対す る支援体制の構築を図っている。(高松市) ・ 市民や関係機関等と連携して犯罪のないまちづくりを推進する豊田市防犯ネットワ ーク会議において、 「犯罪のないまちづくり規則」に基づき保護司が参加しており、ま た、豊田市若者支援地域協議会に保護観察所が参加している。(豊田市) 109

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・ 保護司会と連携して、矯正展(刑務所作業製品展示即売会)の会場予約、自治会長・マ ンション管理組合理事長宛てにチラシ回覧依頼等を行っている。(箕面市) ・ 更生保護関係 4 団体(地区犯罪者予防更生協会(当該市は会員)、地区保護司会、地区 更生保護女性会及び地区協力雇用主会)においてスキルアップのため合同研修会を行 っている。(気仙沼市) ・ 保護観察所の協力の下保護司会が主催する薬物依存からの回復に向けたプログラム に関して、保護司会から会場の提供依頼を受けたことにより、実施会場を月に 1 回(各 2 時間程度)提供している。(千代田区) 補助金の 交付 ・ 犯罪のない地域づくりや保護司の資質向上に寄与することを目的とし、青少年の非行 防止と健全な育成を図るため、各種更生保護活動を実施している保護司会に対し補助 を行っている。(高松市) ・ 保護司会の活動が、地域社会の安全及び住民福祉の向上のため、犯罪・非行を未然に 防止し、犯罪をした人や非行のあった少年の改善・更生を助け、地域の理解を深めるな ど公益上必要であると認められるため、市内の保護司会に補助金を交付している。補助 金の対象事業及び対象経費は、ⅰ)各保護司会における社明運動等の保護司会活動及び 機関誌等の作成などの広報活動、ⅱ)市保護司会連絡協議会における保護司会活動及び 広報活動の実施に要する経費である。(福岡市) 功労のあ った保護 司等の表 彰 ・ 安全で安心なまちづくり活動に功績のあった市民及び団体等の意識の高揚を図るた め、更生保護活動に多大な功績のある保護司などに対し、毎年表彰を行っている。(札 幌市) サポート センター の設置に 関する支 援 ・ サポートセンターの設置場所として、市が所管する施設の一室を無償提供している。 (秋田市) ・ サポートセンターの設置場所として、市が所管している施設の一室を無償提供してお り、さらに、光熱水料を免除している。 (観音寺市) ・ サポートセンターの設置場所として、市が所管している施設の一室をその借料及び光 熱水料を減額した上で提供しており、さらに、保護司会に対して机や椅子等の備品を貸 し出している。 (田辺市) 保護司会 の事務の 支援 ・ 特別任用職員(非常勤職員)を雇用し(6 時間/日、週 3.5 日程度) 、保護司会事務の 補助業務に当たらせている。同職員は、保護司会宛て文書の収受、通知・案内の作成・ 発送、会議室の確保・調整、その他雑務を主に行っており、市が報酬を負担している。 (豊田市) ・ 理事会、定例研修、小中学校との交流会等の案内、会場準備、資料準備のほか、会計 事務を行っている。(富田林市) 保護司会 総会や研 修等の会 場提供 ・ 保護司会定期総会、定例会議、研修会等の大規模会合開催時の区が所有する施設の使 用に当たっては、区担当から公用使用として会場予約・申請を行っている(使用料:無 料) 。(中野区、練馬区) 協力雇用 主に対す ・ ・ 保護司会の総会や、定例の研修会等の会場として、本庁舎の会議室を無償で貸し出し ている。(高松市) 保護司会連合会長・保護観察所長から市長宛てに要望書が提出されたことなどを受 け、入札参加事業者が、協力雇用主として登録されている場合に、入札参加資格者名簿 110

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る優遇措 置 保護観察 対象者の 雇用 登載者(工事)に係る格付評点に加点を行っている。(仙台市) ・ 市が保護司会・協力雇用主会と就労支援に関する協定を締結したことを機に、保護観 察対象者等の雇用を促すため、総合評価入札における評価項目の追加等を実施し、保護 観察対象者等を雇用する協力雇用主に対する入札上の優遇措置を設けた。(箕面市) ・ 保護司会から市長宛てに更生保護事業の充実に関する要望書が提出されたことをき っかけとして、保護司会と「保護観察対象者に対する就労支援に関する協定」を締結 し、保護観察対象者の雇用に当たっては、保護司会からの推薦を受けて選考を行うこと となっている。 (秋田市) ・ 保護司会と「保護観察対象者に対する就労支援に関する協定」を締結し、保護観察対 象者を臨時職員として雇用している。(大田区) (注)市町村への実地調査の結果による。 (保護観察所に対する都道府県・市町村からの意見・要望) 調査対象とした都道府県・市町村から、保護観察所に対する意見・要望を聴取したとこ ろ、再犯防止施策や保護観察対象者等の支援のために必要な情報の提供を望む意見や、 保護司会との情報交換の場の設置を望む意見などが聴かれた。 〔保護観察所に対する都道府県・市町村からの意見・要望(主なもの)〕 区分 内容 都道府県 ・ 地域再犯防止推進モデル事業を通じて、保護観察所を始め、今まで関わりが皆無であ った機関との連携が生まれるなど、地方レベルでは協力の機運が高まっているが、保護 観察所等が保有する犯歴に関する情報等、取扱いに注意を要する情報の提供について は、法務本省の許可を得ることが困難である。一方で、当方が保有する当該情報につい ても、他機関に提供することはできず、情報の共有が課題である。犯歴に関する情報に ついては、地方公共団体の再犯防止施策の効果を検証する、また、刑余者や保護観察対 象者等を支援する上でも必要な情報であることから、情報提供できるよう改善してい ただきたい。 市町村 ・ 更生保護活動における地方自治体の役割が、法律などで明確に位置付けられていない ことから、日々の市町村行政においても優先度が低くなってしまっていると感じてい る。例えば、民生委員などは民生委員法(昭和 23 年法律第 198 号)において、都道府 県や市町村の役割がきちんと規定されており、市町村行政の現場でも所掌業務として 進めやすい。率直に言って、平成 26 年の依頼通知では、市町村行政の現場での動機付 けとして弱いと考える。また、現状では、更生保護活動に関する地方自治体における担 当者間や、保護司会との定例の情報交換の場がなく、他の市町村で保護司に対してどの ような支援を行っているかも承知していない状況にあることから、そのような情報交 換の場の設置について検討していく余地があるのではないかと考える。 (注) 都道府県及び市町村への実地調査の結果による。 111

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ⅲ 保護司における市町村との連携・協力に関する意見等 調査対象とした保護司 136 人から、市町村との連携・協力に関する意見・要望を聴取 したところ、市町村からは十分な支援が得られているといった意見が多く聴かれたもの の、市町村における更生保護や再犯防止施策等に係る窓口が分かりづらいため窓口の明 確化などを望む意見や、福祉関係部局とのネットワークや個々の保護司と交流する機会 を望む意見などが聴かれた。 〔市町村との連携・協力に関する保護司の意見・要望(主なもの) 〕 ・ 保護司会の事務局については、市町村が全面的に担っており、非常に手厚いサポートを受けてい ると思っているため、これ以上の支援に関する要望はない。 ・ 市町村からは保護司会事務局として支援を受けてきており、今の支援で十分であると感じている ため、これ以上の支援の必要性を感じない。 ・ 市町村の支援には十分満足しており、支障や不満はない。 ・ 市町村における更生保護や再犯防止施策等に係る窓口が分かりづらい。今後は窓口の明確化のほ か、関係機関との連携強化等に取り組んでほしい。 ・ 保護観察や生活環境調整を行う上で、生活保護や貧困者への貸付金など福祉関係の情報や雇用関 係の情報が必要であると感じるので、市町村の福祉関係部局やハローワークとのネットワークがあ ればよいと思う。 ・ 保護観察対象者の中には、産後うつや精神障害のある者がおり、これらの者には市町村の相談員・ ヘルパーによる支援が行われるが、こうした支援について保護司には連絡がなく、保護観察対象者 から聞いて初めて知ることとなる。保護司と市町村の相談員・ヘルパーの両者が協力することによ り、保護観察対象者の生活状態の変化を把握したり、保護観察と福祉のそれぞれの立場から処遇の 方法をより良くしたりすることが可能となることから、これらの相談員・ヘルパーと連携できるよ う情報を提供してほしい。 ・ 自分自身は、保護司のほかに、居住する市町村において 10 年以上民生委員をしていたことから、 市町村に様々な協力をちゅうちょすることなく依頼することができたため、以前、担当した高齢者 や知的障害者であった保護観察対象者が救護施設や身体障害者施設へ入所する際に市町村に協力 を依頼したことがある。しかし、市町村との連携になじみのない保護司にとっては簡単なことでは ないのかもしれない。 ・ 一般の保護司にとっては市町村には声を掛けにくいので、市町村においては、個々の保護司と今 以上に交流する機会を持つようにしてもらいたい。 ・ 市町村から保護司会への支援は、必要な時に保護司会から要望して、必要最小限の支援をしても らっていると思うが、市町村の業務として保護司への支援が位置付けられていないので、担当者の 考え方による部分があり、不安定な面があることは否めないと思う。今のところ直ちに支障が生じ ているとは言えないが、保護司会と市町村の関係をいずれ考えることが必要となるかもしれないと 思う。 (注) 保護司への実地調査の結果による。 112

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⑵ 担い手確保に関する取組 ア 保護司候補者の確保のための方策 保護司の委嘱については、保護司法第 3 条第 1 項及び第 3 項において、保護観察所の長が 推薦した者のうちから法務大臣が行うこととされている。そして、保護観察所の長は、委嘱 等通達において、各保護区における保護司の配置及び保護観察中の者等の分布の状況のほか、 各地域の人口、犯罪その他の状況を勘案して、広く地域の各層から保護司候補者を見いだす よう努めることとされている。 また、保護司会は、保護司法第 13 条第 2 項及び保護司会等規則第 4 条において、保護司の 人材確保の促進に関する活動の事務を行うこととされている。 保護司候補者(注)の確保に当たっては、以下の図 3-⑵-アに示すように、一般的には、保 護司会長において保護司候補者の情報提供を受け、具備条件の審査・検討等を行った後、保 護観察所長に対して内申がなされる。この内申を経て、保護観察所長が保護司候補者を法務 大臣に推薦するという流れとなっている。 (注)保護司として適任と思われる人物のことをいう。法務省の資料では「保護司適任者」との記載もみられる が、今回の調査では、資料から引用している場合を除き「保護司候補者」とする。 図 3-⑵-ア 保護司の委嘱までの手続のおおまかな流れ (注)1 保護観察所の資料を参考にして、当省が作成した。 2 ※を付した手続は、保護司法又は委嘱等通達において規定されているものである。 3 保護司選考会は、保護司法第 5 条に基づいて設置されており、保護観察所長からの諮問に応じて保護司の委嘱 及び解嘱に関する意見を述べる。 4 保護観察所長による候補者推薦は、保護司の選考に関する規則(平成 13 年法務省令第 15 号)により、地方更 生保護委員会を経由して行う。また、保護司及び保護司選考会委員の委嘱及び解嘱に関する訓令(昭和 59 年 2 月 27 日付け法務省人任訓第 222 号)により、地方更生保護委員会の委員長は、保護司の委嘱を法務大臣名をも って代行することができる。 5 保護司会長と保護観察所長との間では、内申書・履歴書の提出の前に、内申の可否の照会や保護司候補者申 告書の提出などの手続を行っている。 113

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そして、従来の保護司候補者の確保については、平成 24 年版犯罪白書によると、個々の 保護司の人脈を活用して保護司候補者に関する情報を集め、退任予定保護司の後任者を探し 出すことが実態として多くみられるとされている。しかし、個々の保護司の人脈を活用した 候補者の発掘は、職務内容を熟知した保護司によって、保護司候補者の人柄をよく理解して なされる点でメリットは大きいものの、限界もあると述べられている。 (ア) 保護司候補者検討協議会等 ⅰ 法務省の保護司候補者検討協議会に関する取組 法務省は、近年、地域社会における人間関係の希薄化等の影響によって、これまで主 流としていた保護司の人脈での保護司候補者の確保が困難化するなどの問題が生じてい るとし、こうした問題の解決を図るため、平成 16 年度から実施してきたモデル事業の成 果を踏まえ、20 年度から保護司候補者検討協議会(以下「協議会」という。)の設立を 進めている。 協議会の目的は、保護司活動に対する地域の理解を深め、幅広い人材から保護司候補 者を確保するとともに、保護司候補者の推薦手続の一層の適正化を図ることであり、協 議会の運用に当たって、法務省は、その手続等を定めた「保護司候補者検討協議会設置 要綱」(平成 20 年 3 月 31 日付け法務省保更第 178 号法務省保護局長通達。以下「協議 会設置要綱」という。)及び協議会設置要綱を実施する際の留意点を定めた「保護司候 補者検討協議会設置要綱の実施について(解説)」(平成 20 年 3 月 31 日付け保更第 179 号総務課長・更生保護振興課長通知。以下「協議会設置要綱の解説」という。)を、保 護観察所に対して示している。その主な概要は、次のとおりである。 〔協議会の概要〕 〔設置〕 ① 保護観察所長及び保護司会長(以下「保護観察所長等」という。)が共同して、保護区ごとに 設置する。 ② 保護観察所長等は、各協議会について、会議を開催する時期、場所等について計画するものと し、特に次の要件を満たす保護区については、複数の協議会を設置し、又は同一の協議会で年間 に複数回の会議を開催することを検討する。 ア 保護司の定数に対する保護司の実人員の割合が比較的低い保護区 イ 安定して保護司候補者を確保することが困難であると見込まれる保護区 ウ 2 以上の市区町村の区域又は広域の区域の保護区 エ その他複数の協議会を設置することなどについて、特段の必要性が認められる保護区 ※ 1 保護区の中で、特に保護司の確保が必要な区域ごと(例えば小中学校区単位等)に協議会を設 置することができるとともに、同一の協議会を年間に複数回開催することもできる。 〔役割〕 当該保護区の保護司候補者を広く求めるために必要な人材情報の収集及び交換を行う。 ※ 保護司候補者の適性を事前審査することまでは求めていない。 〔構成〕 ① 協議会は、おおむね 5 人以上の委員をもって組織する。 ② 保護観察所長等は、おおむね次に掲げる者のうちから、委員としてふさわしい者を選定する。 114

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保護司、町内会又は自治会関係者、民生委員・児童委員、社会福祉事業関係者、教育関係 者、保健・医療関係者、青少年関係団体関係者、地方自治体関係者、経済・産業関係団体関 係者、更生保護女性会・BBS会・都道府県就労支援事業者機構等更生保護関係団体関係 者、その他地域の事情に通じた学識経験者 ③ 委員の選定に当たっては、広範な層から適正に保護司候補者を確保できるよう、委員の所属分 野等に偏りが生じないよう配慮する。 ④ 委員の任期は、選定した年度の年度末までを基本とするが、延長を妨げない。 〔会議〕 協議会の会議は、保護観察所長等が招集する。 ※ 会議には、当該保護区担当の保護観察官等保護観察所職員が出席する。 〔その他〕 協議会の会議に出席した委員に対しては、原則として、配賦予算の範囲内で謝金を支給する。た だし、保護司の身分を有する委員(保護司以外の身分により選定された場合を除く。)に対しては支 給することができない。 ※ 保護観察所は、保護司会と協調しながら、平素から保護司や保護司活動の重要性、更生保護 の現状等について、地域の関係機関・団体の理解を得るよう努めるとともに、協議会において も必要な説明を十分に行う。 (注)1 協議会設置要綱及び協議会設置要綱の解説に基づき、当省が作成した。 2 ※書きは協議会設置要綱の解説に記載のある内容である。 協議会に関して、平成 24 年提言では、ⅰ)保護司候補者を幅広く発掘するとともに、 選考過程の透明性を確保するため、全ての保護司会に協議会を設置することが望ましい、 ⅱ)原則として、町内会や地方公共団体関係者の参画を得る、中学校単位等きめ細かに 開催する、保護観察所の関与を強化するなどの改善を図る必要があるとされている。 なお、再犯防止推進計画では、保護司候補者を確保するため、総務省等の協力を得て、 地方公共団体、自治会、福祉・教育・経済等の各種団体と連携して、協議会における協 議を効果的に実施し、若年層を含む幅広い年齢層や多様な職業分野から地域の保護司適 任者に関する情報収集を促進することとされている。また、協議会で得られた情報等を 踏まえて、保護司適任者に対して、実際に保護司として活動してもらえるよう、積極的 な働き掛けを実施することとされている。 こうしたことを踏まえ、法務省は、協議会を積極的に運用していくため、平成 26 年の 基本的指針において、その地域で必要な人材の具体的な情報を持っていると思われる者 を構成員とする協議会の柔軟な開催を組織的に行うこととして取組を進めている。 また、法務省は、保護司会に対し、更生保護法人日本更生保護協会が発行している月 刊誌「更生保護」(注)を通じて、協議会を含めた担い手確保の好事例等を紹介している。 (注)法務省保護局が編集協力を行い、全国の保護司を始めとする更生保護関係者、関係機関、大学等に配 布されている。 (最近の動向) 法務省は、平成 31 年の改訂後の基本的指針において、「保護司個人の人脈を生かした 人材情報の収集に加え、その地域で必要な人材の具体的な情報を持っていると思われる 人を構成員とする保護司候補者検討協議会を積極的に設置・運営すること」としている 115

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ことに加え、「保護司候補者検討協議会の開催に当たっては、協議会委員に同協議会の 趣旨をよく理解してもらうほか、協議会委員の構成の見直しや、確保重点区域を定める などの工夫をすることにより、より有用な人材情報を収集するとともに、こうした情報 が実際に保護司の委嘱につながるよう努めること」などとしている。 (保護観察所の保護司会に対する指導状況) 調査対象とした 17 保護観察所における保護司会に対する保護司候補者の確保に関す る指導状況について調査したところ、表 3-⑵-ア-(ア)-①のとおり、6 保護観察所におい ては、保護司候補者の確保に関する好事例を保護司会に提示している一方で、半数以上 の 11 保護観察所においては、こうした取組を行っていなかった。その理由について、1 保護観察所では「地域ごとの事情が異なることから、特効薬的な好事例を示すことは容 易でなく、地道に協議会の開催を重ね、地域住民等の理解と協力を求めているのが現状」 としていた。 また、2 保護観察所においては、協議会の具体的な運営方針や方法を保護司会に提示 しており、これらの保護観察所管内の一部の保護司会では、提示された運営方法に沿っ て協議会を開催して、多数の情報提供を受けられている例(1 保護司会)がみられた。 一方で、15 保護観察所では、協議会設置要綱及び協議会設置要綱の解説以外には特段提 示していなかった。その理由について、1 保護観察所では「協議会の設置や開催方法等 に関しては、保護区ごとの地域特性や保護司会の考え方があるため、保護司会の自主 性・主体性に委ねている」としていた。 表 3-⑵-ア-(ア)-① 保護観察所における保護司会に対する候補者確保についての指導状況 (単位:保護観察所) 好事例を把握して提示 区分 保護観察所 協議会の運営方針・方法の提示 行っている 行っていない 行っている 行っていない 6 11 2 15 (注)保護観察所への実地調査の結果による。 〔保護観察所における保護司会に対する保護司候補者の確保に関する好事例を提示している例・ 提示していない理由〕 区分 内容・理由 提示している 例 ・ 所管内の協議会の内容等で参考になる事例について、他の地区へ情報提供を行 っている。(函館保護観察所) ・ 成果が上がっている他の地区の協議会の開催内容や取組などを紹介している。 (仙台保護観察所) ・ 会議等の場において具体的な好事例を示した例はないが、保護司候補者の確保 について個々の保護司会から相談を受けた場合などには、協議会の開催等により 効果的に候補者を確保した地区の例などを適宜提供している。(甲府保護観察 所) ・ 保護司代表者等会議において、担い手確保に関する好事例を共有している。 (那覇保護観察所) 116

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・ 保護観察所が把握している個々の保護司会における保護司の確保の取組につい て、様々な機会を通じて紹介している。(大阪保護観察所) ・ 月刊誌「更生保護」を基に他の保護区の好事例を研修会で示して情報提供して いる。(広島保護観察所)※保護観察官による独自の取組 提示していな い理由 ・ 地域ごとの事情が異なることから、特効薬的な好事例を示すことは容易でな く、地道に協議会の開催を重ね、地域住民等の理解と協力を求めているのが現状 である。(高松保護観察所) (注)保護観察所への実地調査の結果による。 〔保護観察所における保護司会に対して協議会の具体的な運営方針や方法を提示している例・提 示していない理由〕 区分 内容・理由 提示している 例 ・ 保護司会に対しては、保護司代表者協議会等の協議会において、適宜具体的な 運営方針・方法等を示している。(甲府保護観察所) ・ 管理職が会議に参加し、保護司会に対して協議会の具体的な運営の方針・方法 を示している。(大阪保護観察所) 提示していな い理由 ・ 協議会の設置や開催方法等に関しては、保護区ごとの地域特性や保護司会 の考え方があるため、保護司会の自主性・主体性に委ねている。(和歌山保護 観察所) (注)保護観察所への実地調査の結果による。 〔保護観察所から提示された運営方法に沿って協議会を開催して、多数の情報提供を受けられて いる保護司会の例〕 保護観察所が管内の保護司会に対し、保護司の補充が必要な地域からの委員選定、協議会の開催 日時・場所等の調整、1 回目・2 回目の各会議内容等の協議会の運営方法を記載した「保護司候補者 検討協議会の一般的な進め方」を提示。 提示された運営方法を踏まえ、この保護司会では、地域の実情に明るく、適任者の発掘が期待で きると考えられる自治会関係者、民生委員・児童委員関係者、社会福祉関係者を中心に協議会委員 を選定し、平成 28 年度から 30 年 10 月末までの間に、保護司会内の四つの支部ごとに協議会を計 10 回(3 支部:2 回ずつ、1 支部:4 回)開催している。 1 回目の会議では、保護観察所から協議会の内容や必要とされる候補者、事務連絡等について説明 し、2 回目の会議では、各委員から提出された「保護司候補になり得る人材情報に係る報告書」を基 に候補者の情報交換等を行っており、4 支部合計 53 人(1 支部につき 8~14 人)の候補者の情報提供 を受け、このうち 14 人が保護司に委嘱されている。 (注)保護司会への実地調査の結果による。 ⅱ 協議会の開催の有無と候補者確保の効果 調査対象とした 68 保護司会における平成 28 年度から 30 年度 10 月末までの間の協議 会の開催状況(注)を調査したところ、以下のような状況がみられた。 (注)法務省における協議会の「設置」については定義が明確ではないため、今回の調査では、協議会の 開催の有無を基準にして調査した。 117

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(協議会の開催の有無) 調査対象とした 68 保護司会のうち、表 3-⑵-ア-(ア)-②のとおり、協議会を開催して いるのは 47 保護司会(以下、協議会を開催している保護司会を「開催保護司会」とい う。)で、開催していないのは 21 保護司会(以下、協議会を開催していない保護司会を 「未開催保護司会」という。)であった。 なお、調査対象とした 17 保護観察所管内の保護司会における協議会の開催状況をみる と、管内全 328 保護司会のうち 121 保護司会で開催している。 表 3-⑵-ア-(ア)-② 調査対象 17 保護観察所管内の保護司会における協議会の開催状況 (単位:保護司会、%) 区分 調査対象保護司会 都市部 非都市部 全ての保護司会 平成 28 年度~30 年度 開催あり 開催なし 総数 21(30.9) うち 29 年度以降 開催あり 開催なし 68(100) 47(69.1) 43(63.2) 25(36.8) 28(100) 23(82.1) 5(17.9) 22(78.6) 6(21.4) 40(100) 24(60.0) 16(40.0) 21(52.5) 19(47.5) 328(100) 121(36.9) 207(63.1) 110(33.5) 218(66.5) (注)1 保護観察所への実地調査の結果による。 2 平成 28 年 4 月 1 日から 30 年 10 月末までの間の開催状況である。 3 「うち 29 年度以降」については、表 3-⑵-ア-(ア)-⑤及び表 3-⑵-ア-(ア)-⑥において、協議会で情報提供を受 けた保護司候補者と、平成 29 年 4 月 1 日から 30 年 10 月末までの間の保護司の委嘱との関係をみるために算出 している。 4 調査対象保護司会については、協議会の実施状況を詳しく把握するに当たって、協議会の開催実績がある保 護司会を多めに選定したため、全ての保護司会と比べて「開催あり」の割合が高くなっている。 5 平成 28 年度にのみ協議会を開催している保護司会は、「平成 28 年度~30 年度」では「開催あり」に計上し、 「うち 29 年度以降」では「開催なし」に計上している。 6 保護司会の担当区域内に人口 20 万人以上の市町村、県庁所在市又は特別区の全部又は一部を含む保護司会を 「都市部」に、都市部以外の保護司会を「非都市部」に分類している。調査対象とした 68 保護司会では、都市 部が 28 保護司会、非都市部が 40 保護司会である。以下同じ。 (協議会での保護司候補者の情報提供の状況) 47 開催保護司会の協議会における保護司候補者の情報提供の状況をみると、表 3-⑵ア-(ア)-③のとおり、40 保護司会が計 452 人の情報提供を受けていた。 表 3-⑵-ア-(ア)-③ 開催保護司会における協議会での保護司候補者の情報提供の状況 (単位:保護司会、人、%) 平成 28 年度~30 年度 区分 保護司会 都市部 非都市部 情報提供数(人) 開催あり 47 23 24 情報提供 あり 40(85.1) 18(78.3) 22(91.7) 452 情報提供 なし 7(14.9) 5(21.7) 2( 8.3) 0 118 うち 29 年度以降 開催あり 43 22 21 情報提供 あり 34(79.1) 15(68.2) 19(90.5) 273 情報提供 なし 9(20.9) 7(31.8) 2( 9.5) 0

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(注)1 保護観察所への実地調査の結果による。 2 平成 28 年 4 月 1 日から 30 年 10 月末までの間に開催された協議会における保護司候補者の情報提供の状況で ある。 3 割合は、47 開催保護司会に対する割合である。 4 保護司会によって協議会を開催していない年度がある。 5 各年度ごとに情報提供を受けている保護司会があるため、各年度の合計と、「情報提供あり」及び「情報提供 なし」の保護司会数とは一致しない。 平成 29 年度以降の 43 開催保護司会における保護司充足率(注)をみると、表 3-⑵-ア(ア)-④のとおり、30 年 10 月末現在では 90.6%となっている。都市部・非都市部別にみ ると、都市部の 22 保護司会では 87.8%で、非都市部の 21 保護司会では 93.6%となって おり、都市部においてより低い傾向にある。さらに、29 年度以降の協議会での情報提供 の状況をみると、上記表 3-⑵-ア-(ア)-③のとおり、非都市部では 9 割の保護司会が情報 提供を受けられている一方、都市部では約 7 割にとどまっており、約 3 割の保護司会が 情報提供を受けられていない状況にある。 (注)保護司充足率とは、保護司定数に占める保護司数現員数の割合である。 表 3-⑵-ア-(ア)-④ 平成 29 年度以降の 43 開催保護司会における保護司充足率 (単位:%) 区分 保護司会 都市部 非都市部 (43 保護司会) (22 保護司会) (21 保護司会) 平成 30 年 10 月末 90.6 87.8 93.6 (注)1 保護観察所への実地調査の結果による。 2 調査対象保護司会のうち平成 29 年度以降に協議会を開催している 43 保護司会を対象としている。 (協議会で情報提供を受けた保護司候補者の保護司への委嘱の状況) 平成 29 年度以降に協議会で情報提供を受けた保護司候補者の保護司への委嘱の状況を みると、表 3-⑵-ア-(ア)-⑤のとおり、28 保護司会において委嘱につながっている実績 がみられた。この 28 保護司会における新規委嘱者に占める協議会で情報提供を受けた保 護司候補者から委嘱につながった者の割合をみると、表 3-⑵-ア-(ア)-⑥のとおり、16 保 護司会において新規委嘱者の 5 割以上が協議会で情報提供を受けた保護司候補者となっ ている。このように、保護司会によっては、従来の方法等よりも協議会を開催すること で担い手を確保している状況がみられた。 表 3-⑵-ア-(ア)-⑤ 平成 29 年度以降に協議会で情報提供を受けた保護司会における保護司候補者 の保護司への委嘱状況 (単位:保護司会、人) 区分 保護司会(委嘱者) 情報提供あり 34 委嘱あり 28(102) 委嘱なし 4 不明 2 (注)1 保護観察所への実地調査の結果による。 2 平成 29 年 4 月 1 日から 30 年 10 月末までの間に開催された協議会における情報提供を受けた保護司候補者の 119

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保護司への委嘱の状況である。 3 ( 4 )内の数字は、協議会で情報提供を受けた保護司候補者からの保護司への委嘱者数である。 「委嘱なし」の 4 保護司会のうち 1 保護司会については、実地調査後に委嘱されている。 表 3-⑵-ア-(ア)-⑥ 保護司会の全新規委嘱者に占める協議会で情報提供を受けた保護司候補者か ら委嘱につながった者の割合にみる保護司会数 (単位:保護司会) 協議会で情報提供を受けた 保護司候補者から 委嘱につながった者あり 28 区分 保護司会 5 割以上 5 割未満 16 12 (注)1 保護観察所への実地調査の結果による。 2 平成 29 年 4 月 1 日から 30 年 10 月末までの間の委嘱の状況である。 3 「5 割以上」及び「5 割未満」は、保護司の新規委嘱者数に占める協議会で情報提供を受けた保護司候補者数 の割合である。 以上を踏まえると、協議会の開催による保護司候補者の確保には、一定の効果がある と認められる。 (協議会を開催していない保護司会) 21 未開催保護司会について、平成 27 年度以前の協議会の開催状況についても遡って みると、表 3-⑵-ア-(ア)-⑦のとおり、13 保護司会では一度も開催していなかった。こ れらの保護司会からは、その理由について、人脈など他の方法で候補者を確保できてい ること(12 保護司会)のほか、「保護司の業務内容や適性などに詳しくない委員が候補 者の情報を提供できるのか」、「保護区全域で一つの協議会では、地元以外の校区のこ とは分からず、形式的なものになってしまうのではないか」など協議会開催で担い手が 確保できるのか疑問(3 保護司会)や、「協議会委員の選定など、運営する過程で保護 司に負担をかけることから、協議会の設置には消極的」など、開催に当たっての事務負 担が大きくなることへの懸念(2 保護司会)などが挙げられた。 また、残りの 8 保護司会では平成 27 年度以前には協議会を開催していた。これらの保 護司会からは、直近では開催していない理由について、他の方法で候補者を確保できて いること(6 保護司会)のほか、「開催したものの、保護司会全体では組織が大き過ぎ て各団体から候補者を紹介してもらえない」、「設置・開催に見合う効果が得られなか った」など、協議会を開催したが成果が上がらなかったこと(5 保護司会)などが挙げ られた。 表 3-⑵-ア-(ア)-⑦ 未開催保護司会における平成 27 年度以前の協議会の開催状況 (単位:保護司会) 区分 平成 28 年度から 30 年度 10 月までの間 に開催していない 保護司会 21 (注)保護観察所への実地調査の結果による。 120 27 年度以前 開催していない 開催している 13 8

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〔平成 30 年 10 月末まで一度も協議会を開催していない理由(主なもの)〕 分類 他の方法で候補者を確保 できている 理由 ・ 保護司の人脈により保護司を確保できている。 ・ 保護司の人脈で確保できており、協議会の設置の必要性を感じたこ とがない。 (12 保護司会) 協議会開催で担い手が確 保できるのか疑問 ・ 協議会を設置したところで、保護司の業務内容や適性などに詳しく ない委員が候補者の情報を提供できるのか疑問である。 (3 保護司会) ・ 運営が負担 ・ 仮に協議会を開催しても、保護区全域で一つの協議会では、地元以 外の校区のことは分からず、形式的なものになってしまうのではない か。 協議会委員の選定など、運営する過程で保護司に負担をかけること から、協議会の設置には消極的である。 (2 保護司会) ・ 保護司に協議会を作れと言われても、作業の負担が大きくとてもで きない。実際に協議会を設置しようとすると、保護司の中の誰か 1 人 が作業をやることになると思うが、とてもできないと思う。 保護区内の地域ごとに必 要性の認識が異なる ・ 保護区が複数の市町で構成されており、それぞれの市町において、 新任の保護司の探し方が異なっていることから、それぞれの地区の代 表者へ協議会の設置を働き掛けてはいるものの、意見がまとまらず、 協議会を設置できない状況である。 (1 保護司会) (注)1 保護司会への実地調査の結果による。 2 一の保護司会において複数の理由を答えている場合がある。 〔平成 27 年度以前には協議会を開催していたが、その後開催しなくなった理由(主なもの)〕 分類 他の方法で候補者を確保 理由 ・ 保護司の個人的な人脈によって保護司を確保できている。 ・ 開催したものの、保護司会全体では組織が大き過ぎて各団体から候 できている (6 保護司会) 開催したが成果があがら 補者を紹介してもらえない。 なかった (5 保護司会) ・ 協議会委員から平成 26 年度に 3 人、27 年度に 2 人の候補者の情報 提供を受けたが、候補者に対する保護司活動の説明が充分でなかった ことや候補者が既に様々な役職を兼務し多忙な状況であったことか ら、4 人の候補者からは応諾を得られず、委嘱に至った者は 1 人のみ であり、設置・開催に見合う効果が得られなかった。 トラブルが発生した (2 保護司会) ・ 民生委員や団体代表等に声を掛け、何とか第 1 回の協議会に参加は してもらったものの「そもそも保護司が何をしているのか分からない のに、適任者を見付けろというのは無理がある」等の不満が噴出し た。何とか 2 回目の協議会で複数の候補者が示されたが、1 人は委嘱 され 1 人は委嘱されなかったことで、協議会委員等との間でトラブル 121

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になった。 協議会委員の保護司に対 ・ 協議会の委員(学識経験者等)から、保護司の業務内容が分から する理解不足(1 保護司 ず、どのような人物を保護司に推薦してよいか分からないこと、保護 会) 司会の中で決めたほうが効率が良いとの意見があり、開催されなくな った。 (注)1 保護司会への実地調査の結果による。 2 一の保護司会において複数の理由を答えている場合がある。 ⅲ 協議会の開催単位と候補者確保の効果 47 開催保護司会における平成 28 年度から 30 年度 10 月末までの間の協議会の開催単 位と保護司候補者の確保状況を調査したところ、以下のような状況がみられた。 47 開催保護司会における一回の協議会での開催単位をみると、表 3-⑵-ア-(ア)-⑧ のとおり、28 保護司会(59.6%)では分区や支部、小学校区など保護区よりも小さな単 位(以下「分区等単位」という。)で開催しており、19 保護司会(40.4%)では保護区 全域を単位(以下「保護区単位」という。)として開催していた。都市部・非都市部の 別でみると、都市部の 15 保護司会、非都市部の 13 保護司会が分区等単位で開催してい た。 表 3-⑵-ア-(ア)-⑧ 47 開催保護司会における協議会の開催単位 (単位:保護司会、%) 区分 保護司会 都市部 非都市部 分区等単位 28(59.6) 15 13 保護区単位 19(40.4) 8 11 (注)1 保護観察所及び保護司会への実地調査の結果による。 2 平成 28 年 4 月 1 日から 30 年 10 月末までの間の調査結果である。 3 ( )内は、47 開催保護司会に占める割合である。 分区等単位で協議会を開催している保護司会をみると、小学校区で開催して当該地区 に詳しい住民(自治会長、公民館長、民生委員)を構成員とすることができ、人材情報 が多く得られ、委嘱につながる者も多い例がみられた。また、協議会の開催単位を保護 区単位から分区等単位に見直した例などもみられた。 〔分区等単位で協議会を開催し、地域をよく知る住民を委員に選定している例〕 1 保護司がいない又は退任により保護司がいなくなることが予想される小学校区を対象にして協 議会を開催しており、消防団長、前小学校PTA会長、小学校PTA会長、前子供会会長、子供 会会長、中学校PTA副会長、スポーツ推進委員等を協議会委員に選定している。 協議会は年に複数回開催し、初回は協議会委員の責務や保護司の具体的な活動の内容等の説明 を行い、次の回から情報提供を受けられるようにしている。平成 28 年度に 2 回、29 年度に 3 回 開催した結果、計 11 人の情報提供を受け、このうち 4 人が委嘱につながっている。 122

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2 担当区域が 2 市にまたがる保護司会において協議会を開催しており、市生活福祉部福祉課長、 民生委員児童委員協議会会長、青少年育成市民会議委員長、更生保護女性会会長、更生保護女性 会支部長、日本赤十字県支部委員長、前地区長、市議会議長など、幅広い分野から協議会委員を 選定している。 1 回の協議会で、候補者の情報提供を受けた場合でも、候補者に打診した結果を踏まえて再調 整のための協議会を開催するなど柔軟に運用している。平成 29 年度に 6 回、30 年度(10 月ま で)に 2 回開催した結果、計 17 人の情報提供を受け、このうち 3 人が委嘱につながっている。 3 他の保護司会が保護区単位で協議会を開催し、うまく保護司を確保できなかったことを踏ま え、新たに保護司の委嘱を必要とする小学校区においてピンポイントで協議会を開催し、その地 区周辺をよく知る住民(自治会長、公民館長、民生委員等)を協議会委員として選定している。 平成 28 年度に 5 回、29 年度に 9 回、30 年度(10 月まで)に 4 回開催した結果、計 37 人の情報 提供を受け、このうち 14 人が委嘱につながっている。 4 保護司候補者の情報収集を充実させるために協議会を開催しており、協議会の委員には民生委 員児童委員協議会会長や学区社会福祉協議会会長など、地域の人材に詳しいと考えられる団体の 関係者を選定している。平成 28 年度に 2 回、29 年度に 2 回、30 年度(10 月まで)に 1 回開催し た結果、計 14 人の情報提供を受け、このうち 9 人が委嘱につながっている。 (注)保護観察所及び保護司会への実地調査の結果による。 〔開催単位を見直したことで情報提供を受けられるようになった例〕 平成 20 年度(第 1 回目の開催)から 26 年度までの間は、保護区全域を代表する者を協議会委員に 選定して協議会を開催していたが、候補者の情報提供が余り受けられなかったことから、27 年度か ら欠員が生じている地区ごとの開催に変更して、候補者の情報が得られるようになった。 協議会委員には町総区長会会長、民生児童委員会会長、青少年育成町民会議会長、公民館長、町 住民環境課長、町教育委員会生涯学習課長、社会福祉協議会会長等を選定している。毎年度協議会 を 2 回開催し、1 回目に保護司活動の説明及び候補者の推薦依頼を行い、2 回目に候補者の情報提供 を受けている。平成 28 年度に 2 回、29 年度に 2 回開催した結果、6 人の情報提供を受け、このうち 3 人が委嘱につながっている。 (注)保護観察所及び保護司会への実地調査の結果による。 〔事前説明等を行い、地区単位で開催することで情報提供を受けられている例〕 保護司の欠員が生じた時点で、協議会を開催する前に、保護司会の各支部長と保護観察所の企画 調整課長とが町内会連合会の会議の場で保護司活動について説明し、協議会への出席や保護司候補 者の情報提供を依頼している。協議会委員には、地域の実情をよく知る者として、町内会連合会会 長のほか、PTA会長等を選定している。平成 28 年度に 3 回、30 年度(10 月まで)に 1 回開催した 結果、13 人の情報提供を受け、このうち 3 人が委嘱につながっている。 (注)保護観察所及び保護司会への実地調査の結果による。 47 開催保護司会が担当する保護区の広さを可住地面積(注 1)でみると、最も小さい保護 区では 7 ㎢、最も大きい保護区では 471 ㎢となっており相当な差がみられた。そこで、 協議会における保護司候補者の情報提供の状況を開催単位別に比較するに当たって、担 当する保護区の可住地面積が 50 ㎢(注 2)以下の 12 保護司会をみたところ、表 3-⑵-ア(ア)-⑨のとおり、1 保護司会当たりの情報提供数は、分区等単位で開催している 6 保護 123

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司会では 6.3 人で、保護区単位で開催している 6 保護司会では 3.5 人となっている。 なお、都市部の 9 保護司会についてみると、分区等単位で開催している 5 保護司会で は 7.4 人で、保護区単位で開催している 4 保護司会では 3.8 人となっている。 このように、1 保護司会当たりの情報提供数については、分区等単位での開催の方が、 保護区単位での開催よりも一定程度多く得られている。 (注 1)「統計でみる市区町村のすがた 2019」(総務省統計局)による。以下同じ。 (注 2) 参考として、東京都特別区では、可住地面積が 50 ㎢を超える区は大田区(約 61 ㎢)、世田谷区 約 58 ㎢)、足立区(約 53 ㎢)のみ。江戸川区の可住地面積が約 50 ㎢である。 表 3-⑵-ア-(ア)-⑨ 保護区の可住地面積が 50 ㎢以下の保護司会における協議会の開催単位別の情 報提供の状況 (単位:保護司会、人) 区分 分区等単位 うち都市部 保護区単位 うち都市部 計 うち都市部 保護司会 情報提供数 6 5 6 4 12 9 38 37 21 15 1 保護司会当たり の情報提供数 6.3 7.4 3.5 3.8 (注)1 保護観察所への実地調査による。 2 平成 28 年 4 月から 30 年 10 月末までの協議会の実績である。 3 47 開催保護司会のうち、担当する保護区の可住地面積が 50 ㎢以下の保護司会を対象としている。 また、協議会における保護司候補者の情報提供の状況を開催単位の規模別で比較する ため、開催単位を小学校数(注)に置き換えてみてみると、表 3-⑵-ア-(ア)-⑩のとおり、 情報提供を受けられている保護司会は、1~3 校分を開催単位としている 12 保護司会の 全て、4~9 校分を開催単位としている 16 保護司会の約 9 割(14 保護司会)となってい る一方、10 校分以上を開催単位としている 19 保護司会では約 7 割(14 保護司会)とな っている。 (注)小学校数は「統計でみる市区町村のすがた 2019」による(以下同じ。)。47 開催保護司会が担当す る保護区のうち最も少ない保護区では 5 校、最も多い保護区では 67 校であった。 このように、開催単位の規模で比較してみると、より小さい規模(小学校数)の単位 で開催した方が、情報提供を受けられている割合が高い。 なお、10 校分以上を開催単位としている保護司会は、非都市部では約 3 割となってい るのに対し、都市部では 5 割以上となっており、非都市部に比べて都市部では開催単位 の規模が大きい傾向にあると言える。 124

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表 3-⑵-ア-(ア)-⑩ 47 開催保護司会の開催単位を小学校単位に置き換えた場合の情報提供の状況 (単位:保護司会、%) 小 学 校 合計 数 1~3 校 12 (25.5) 4~9 校 16 (34.0) 10 校以 19 上 (40.4) 計 47 (100) 都市 7 (30.4) 4 (17.4) 12 (52.2) 23 (100) 非都市 5 (20.8) 12 (50.0) 7 (29.2) 24 (100) 情報提供あり 都市 12 7 (100) (100) 14 3 (87.5) (75.0) 14 8 (73.7) (66.7) 40 18 (85.1) (78.3) 非都市 5 (100) 11 (91.7) 6 (85.7) 22 (91.7) 情報提供なし 都市 0 0 ( 0.0) ( 0.0) 2 1 (12.5) (25.0) 5 4 (26.3) (33.3) 7 5 (14.9) (21.7) 非都市 0 ( 0.0) 1 ( 8.3) 1 (14.3) 2 ( 8.3) (注)1 保護観察所への実地調査による。 2 平成 28 年 4 月から 30 年 10 月末までの協議会の実績である。 3 小学校数は、各保護司会の区域内の小学校数を、協議会の開催単位数で割ったもの。例えば、保護司会内に 4 分区あり、分区ごとに協議会を開催している場合であって、当該保護司会の区域内に小学校が 20 校ある場合、 20(小学校)/4(分区)=5 小学校としている。 4 小学校数を算出するに当たって、小数第 1 位を四捨五入している。 5 「合計」欄の( )内の数値は小学校数別の割合である。「情報提供あり」及び「情報提供なし」欄の( ) 内の数値は、「合計」欄の数値を 100 としたときの情報提供の有無別の割合である。 また、47 開催保護司会それぞれの分区等単位と保護区単位を小学校数に置き換えてみ ると、表 3-⑵-ア-(ア)-⑪のとおり、分区等単位で開催している 28 保護司会の約 9 割(24 保護司会)の協議会が、1~3 校又は 4~9 校分での開催となっている一方、保護区単位 で開催している 19 保護司会の約 8 割(15 保護司会)の協議会が、10 校分以上での開催 となっており、各保護区の規模に差があるとしても、おおむね分区等単位はより小さな 単位であり、保護区単位はより大きな単位であると言える。 表 3-⑵-ア-(ア)-⑪ 47 開催保護司会の協議会の開催単位に含まれている小学校数 (単位:保護司会、%) 小学校数 1~3 校 4~9 校 10 校以上 分区等単位 12(42.9) 12(42.9) 4(14.3) 保護区単位 0( 0.0) 4(21.1) 15(78.9) 計 28 (100) 19 (100) (注)1 2 3 4 24 保護司会 (85.7%) 保護観察所への実地調査による。 平成 28 年 4 月から 30 年 10 月末までの協議会の実績である。 小学校数については、表 3-⑵-ア-(ア)-⑩の(注)3 及び 4 に同じ。 割合は、小数点第 2 位を四捨五入しているため、合計が 100 にならない場合がある。 以上のことから、協議会の開催を法務省が推進するのであれば、保護司会の中には協 議会運営に係る事務負担を懸念する意見があることや、保護区よりも小さな単位での開 催が情報提供を多く得られる効果を上げている事例があること、より小さい単位での開 催に効果がみられる傾向にあることを踏まえる必要があると考えられる。 125

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ⅳ 保護司会独自の保護司候補者の確保の取組 調査対象とした 68 保護司会における保護司候補者の確保の手段について調査したとこ ろ、表 3-⑵-ア-(ア)-⑫のとおり、従来からの保護司等の人脈や、上記ⅱでみた協議会の 開催のほか、保護司会独自の取組により候補者の確保に取り組んでいる保護司会がみら れた。また、これらの手段を併用している保護司会もみられた。 表 3-⑵-ア-(ア)-⑫ 調査対象 68 保護司会における保護司候補者の確保の手段 (単位:保護司会) 区分 保護司会 保護司の人脈 61 協議会の開催 47 保護司会独自の取組 11 (注)1 保護観察所及び保護司会への実地調査の結果による。 2 「協議会の開催」の数値は、平成 28 年 4 月 1 日から 30 年 10 月末までの間に協議会を開催している保護司会 数である。 3 調査対象とした保護司会については、協議会の実施状況を詳しく把握するため、協議会を開催している保護 司会を多めに選定した。 4 異なる複数の手段を併用している保護司会がある。 保護司会独自の取組により保護司候補者を確保している保護司会の中には、社会福祉 士会やPTA等の地域団体関係者で構成するプロジェクトチームを設置し、若い年齢層 から保護司候補者を発掘している例や、様々な取組を組み合わせて計画的に行っている 例がみられた。このほか、県議会議員、市長、消防団などに人選を依頼して候補者を確 保しているとする保護司会がみられた。 〔保護司会独自の取組の具体例〕 ○若い年齢層から保護司候補者を発掘している例 保護司会役員及び地域団体関係者(社会福祉士会、退職校長会、PTA、青少年対策地区委員会 等)で構成するプロジェクトチームを設置。当該プロジェクトチームは、ⅰ)分区等による情報を 集約一元管理し、適任者の内申を効率的に図ること、ⅱ)保護司適任者を紹介していただける団体 等への働き掛けを推進し、適任者の開拓への活動をサポートすることを目的としており、今までに 保護司の出身母体のネットワークを活用して候補者を探し、推薦している。この取組により推薦さ れた候補者の平均年齢は、56.7 歳(最年少は 43 歳)であり、全国の保護司の平均年齢 65.1 歳より も若い状況。 ○様々な取組を組み合わせて保護司候補者の確保を計画的に行っている例 所属する各保護司がいつ頃定年に達し退任するのか予測が可能であることから、次のような取組 を組み合わせて、保護司候補者の確保に計画的に取り組んでいる。当該保護司会における保護司の 充足率は、過去 3 年間 95%前後と高い状況。 ⅰ)サポートセンターに「十数年先までの各分区の保護司の定年予定時期が分かる表」、「保護司 の新規委嘱が必要な時期が一目で分かる表」を貼り、候補者確保の必要性を保護司に意識付け ※ 当該保護区では、平成 29 年 4 月~30 年 10 月までに、10 人の保護司が新規委嘱されており、 8 人が人脈、1 人が協議会、1 人が自薦によるもの。また、令和元年 6 月に 7 人の委嘱が予定さ れており、その内訳は、4 人が人脈、2 人が協議会、1 人が自薦によるもの 126

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ⅱ)保護司の委嘱を受けるか判断しかねている者に対しては、分区の定例会、啓発活動、研修会な どに参加(保護司活動インターンシップを活用)してもらい、委嘱につなげている。 ⅲ)協議会委員には、所属分野等に偏りが生じないよう配慮しながら地域事情に詳しい者を選定。 その結果、町内会長、民生委員、社会福祉協議会職員、青少年育成委員会委員、更生保護女性会 会員を選定することが多い。自治体職員では、分区に所在するまちづくりセンターの所長を選定 している。 ⅳ)候補者の情報提供が少なく、打診しても、保護司には大変なイメージがある、子育てで忙し い、家族の協力が得られないなどの理由から断られることがあり、委嘱につながったのは、平成 29 年 6 月委嘱の 1 人、令和元年 6 月委嘱予定の 2 人の計 3 人であるが、保護司の委嘱につながら なくとも、協議会は更生保護や保護司について理解してもらえる良い機会である。 (注)保護司会への実地調査の結果による。 127

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(イ) 市町村等の協力 地方公共団体は、保護司法第 17 条において、 「その地域において行われる保護司、保護司 会及び保護司会連合会の活動に対して必要な協力をすることができる」こととされているほ か、更生保護法第 2 条第 2 項において、同条第 1 項の国の活動(注 1)が「地域社会の安全及び 住民福祉の向上に寄与するものであることにかんがみ、これに対して必要な協力をすること ができる」こととされている。また、平成 28 年に施行された再犯防止推進法第 24 条におい て、 「国との適切な役割分担を踏まえて、その地方公共団体の地域の状況に応じ、前節に規定 する施策(注 2)を講ずるように努めなければならない」こととされている。 (注 1)更生保護法第 2 条第 1 項では、 「国は、前条の目的の実現に資する活動であって民間の団体又は個人によ り自発的に行われるものを促進し、これらの者と連携協力するとともに、更生保護に対する国民の理解を深 め、かつ、その協力を得るように努めなければならない」と規定されており、同法第 1 条では、同法の目的 が規定されている。 (注 2)前節(国の施策)に規定する施策について、再犯防止推進法第 18 条では、 「国は、犯罪をした者等に対し 充実した指導及び支援を行うため、関係機関における体制を整備するとともに、再犯の防止等に係る人材の 確保、養成及び資質の向上のために必要な施策を講ずるものとする」と規定されている。 ⅰ 法務省における市町村等からの保護司候補者の確保の協力に関連する取組 平成 24 年提言では、保護司法第 17 条をより機能させるため、各市区町村長に対して、 保護司適任者に関する情報提供等、保護司の委嘱手続への参画などの協力・支援内容等を 盛り込んだ総務省と法務省の連名による通知等を発出することなどについて、法務省にお いて総務省と必要な協議をすることが求められるとされている。 これを踏まえ、法務省は、平成 26 年の基本的指針において、保護司適任者の確保につい て、地方公共団体や業界団体を始めとする各種機関・団体等への人材情報の提供依頼を組 織的に行うこととしている。また、「「保護司の安定的確保に関する基本的指針」について (通知) 」 (平成 26 年 4 月 1 日付け法務省保更第 48 号法務省保護局長通知)において、保 護観察所に対し、保護司会と連携して、保護司の安定的確保に関する現状を分析し、平成 26 年の基本的指針に基づいて取り組むべき課題の検討に努めるよう留意を求めている。 また、保護司のなり手不足が深刻化するとともに、保護司活動に対する地域の方々から の協力も得られにくくなるなど、保護司の負担も大きくなっていることなども踏まえ、平 成 26 年の依頼通知において総務省との連名で、都道府県知事及び市区町村長に対し、保護 司候補者に関する情報提供等に関して、「地方公共団体が有している保護司適任者に関す る人材情報の提供等の相談に応じていただき可能な範囲で協力いただきたい」として、依 頼を行っている。これに合わせて、法務省は、 「保護司活動に関する地方公共団体に対する 協力等依頼について(通達) 」 (平成 26 年 6 月 30 日付け法務省保更第 73 号法務省保護局 長通達)において、保護観察所に対し、保護司会と連携して、保護司活動について地方公 共団体から一層の協力を得るための活動を積極的に展開するよう求めており、「各保護司 会及び保護司会連合会と協議して個々の保護司組織と地方公共団体との関係の現状を分析 し、 (中略)個別具体的な依頼内容を検討し、優先順位をつけるなどして計画的に訪問時期 及び訪問者、依頼内容等を調整すること」などの留意点を示している。 128

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(最近の動向) 法務省は、平成 31 年の改訂後の基本的指針において、地方公共団体から地方公共団体の 職員も含めた保護司適任者に関する人材情報が得られるよう努めることとしている。そし て、近年、保護司候補者の確保がますます困難となっていることなども踏まえ、令和元年 の依頼通知において総務省との連名で、都道府県知事及び市区町村長に対し、保護司の人 材確保に関して、地方公共団体の職員の保護司への就任、保護司適任者に関する情報提供 等、保護観察所や保護司会による保護司適任者確保の取組への協力について依頼を行って いる。これに合わせて、法務省は、 「再犯防止対策の推進に向けた保護司活動に関する地方 公共団体への協力依頼について(通達)」 (令和元年 5 月 8 日付け法務省保更第 2 号法務省 保護局長通達)において、保護観察所に対し、保護司会と連携して、地方公共団体から一 層の協力を得るための活動を積極的に展開するよう求めており、「個々の保護司組織が抱 える課題等を十分把握した上で、各保護司会及び保護司会連合会と協議し、地方公共団体 に対する個別具体的な依頼内容を検討し、計画的に協力依頼を行うこと」などの留意点を 示している。 ⅱ 市町村における保護司候補者の確保に関する協力 (市町村における協力状況) 調査対象とした 17 保護観察所管内の 63 市町村における保護司候補者の確保に関する協 力状況について調査したところ、表 3-⑵-ア-(イ)-①のとおり、34 市町村が協力していた。 具体的には、協議会の委員やオブザーバーとして協議会に参加している例(25 市町村)や、 協議会には参加していないが保護司候補者の情報提供をしている例(2 市町村)(注)、市役 所の職員向けポータルサイトを利用して保護司の募集に協力している例(1 市町村)など がみられた。 (注)当該市町村を担当地域とする保護司会では、協議会を開催していない。 一方、29 市町村は協力していなかった。協力していない理由で最も多く挙げられたのは、 保護観察所や保護司会からの要請がないから(21 市町村)であった。 なお、要請がないとして協力していない市町村の中には、要請があれば対応するとの意 見(3 市町村)もみられた。 表 3-⑵-ア-(イ)-① 調査対象市町村における保護司候補者の確保に関する協力状況 (単位:市町村) 区分 市町村 協力している 34 (注)市町村への実地調査の結果による。 129 協力していない 29

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〔保護司候補者の確保に関して協力している市町村の例(主なもの) 〕 ○協議会に参加している例 ・ 保護司会の依頼に基づき、町民福祉課長が協議会の委員になって協議会に出席している。(江差 町) ・ 市教育長が協議会のメンバーになっており、候補者の情報を提供している。 (滑川市) ・ 保護観察所・保護司会が開催している協議会に区長、市民協働課長がオブザーバーとして参加し ている。(大阪市(西成区) ) ・ 協議会の設置を機に、保護司会長から担い手確保を目的に行政の情報も活用したいとの要望があ ったため、人権対策課長が委員として出席、候補者の推薦、該当者への依頼をしている。(小豆島 町) ・ 福祉生活課長が、福祉関係に見識がある者として委嘱を受け、協議会の委員になっており、候補 者の情報提供を行っている。平成 31 年に行われた協議会においては、2 人の候補者の情報提供(① 町役場OB、②民生委員)を行った。 (石井町) ○協議会には参加していないが保護司候補者の情報提供をしている例 ・ 30 年以上前から町職員が保護司になる風土があり、候補者の選定にあたり保護司会から相談があ った場合に、保護司である先輩職員が後輩職員を保護司として推薦している。(北海道森町) ・ 保護司と町役場職員(人権センター職員)が情報収集をして、保護司委嘱を引き受けてくれるよ うお願いする役割を町役場職員が担っている。保護司の再委嘱についても、再委嘱を受けてくれる ようお願いする役割は町役場職員が担っている。 (日南町) ○その他の協力例 ・ 保護司会と意見交換する中で、担い手確保のために協力する必要性を感じ、市役所の職員向けポ ータルサイトを利用して保護司募集を案内している。(堺市) ・ 新任保護司の推薦者を円滑に決定するために設置された保護司推薦委員会において、市の代表と して市民課長が委員になっており、市として候補者の推薦の審議に関わっている。(芦別市) ・ 更生保護法第 2 条の規定に基づき、必要な協力として、支部保護司会長と市長の連名で保護司候 補者の内申書を保護観察所に提出している。 (北斗市) ・ 市担当課が保護司会事務局を担っており、保護司の発掘等について保護司会長をサポートしてい る。 (富田林市) ・ 保護司会から協議会委員を自治会長から選任したい旨の依頼、相談があり、自治振興課が仲介し た。相談があれば支援は惜しまない。 (田辺市) (注)市町村への実地調査の結果による。 〔保護司候補者の確保に関して協力していない市町村の理由(主なもの) 〕 ・ これまで保護観察所や保護司会から、協力依頼、要請等を受けたことはない。例えば、協議会の 委員選考に当たって協力要請があれば、市町村の関係課や関係団体との間を取り持つことはやぶさ かでない。 ・ 保護観察所や保護司会から要望がないため。要請があれば対応する。 ・ 依頼がない。 130

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なお、協力依頼があれば、可能な範囲で情報提供などの協力を検討する。 ・ 要請がない。 なお、保護司から市町村の職員や退職者に候補者がいないか相談を受けることはあり、その都度、 思い当たった者を口頭で伝えているが、委嘱された者はいない。 ・ 担い手確保に関して、保護司会との協議等は行っていないが、担い手不足についての危機感は共 有しており、依頼があれば、対応の検討は可能である。 ・ 保護司の人選については、保護司会内において行われており、市町村では関与していない。市町 村内の各種団体等の情報提供を保護司会から求められれば、それに応じることはやぶさかでない が、協議会に直接参画したり、さらに、候補者の人選に関わるようにするには、法的にその位置付 けを明確にする方が望ましい。 ・ 辞める保護司が後任の保護司を見付け推薦することが慣例となっている。市町村としては保護司 候補者が適当であるか否かについて保護司会から意見を求められた場合、これに答えるにとどま る。 ・ 現状では保護司会に対する助成や協力は行っているが、担い手確保に対する支援までは行ってい ない。 (注)市町村への実地調査の結果による。 (保護観察所による協力要請状況) 調査対象とした 17 保護観察所における調査対象の 63 市町村に対する平成 30 年度及び 令和元年度の 2 か年間の協力要請の状況を調査したところ、表 3-⑵-ア-(イ)-②のとおり、 13 保護観察所において 35 市町村に対し協力要請を行っていた。 一方で、9 保護観察所において 28 市町村に対し協力要請を行っていなかった。その理由 として、保護司充足率が高水準で推移していることや、保護司会側から要望がなかったこ と、退任する保護司が後任者を探してくることが慣例となっているため要請する必要性を 感じていないことなどが挙げられた。 表 3-⑵-ア-(イ)-② 調査対象保護観察所における調査対象市町村に対する協力要請の状況 (単位:保護観察所、市町村) 区分 保護観察所 市町村 計 17 63 要請実績あり 13 35 要請実績なし 9 28 (注)1 保護観察所及び市町村への実地調査の結果による。 2 平成 30 年度及び令和元年度の 2 か年間における実績である。 3 一つの保護観察所管内に、協力要請を行っている市町村と、行っていない市町村とがある場合、当該保護 観察所は、 「要請実績あり」と「要請実績なし」の両方に計上されているため、これらを足し合わせた数値 と計の数値とは一致しない。 〔市町村に対して保護司候補者の確保の協力要請を行っていない理由〕 ・ 要請を実施した 8 市町村以外も実施予定である。今後順次、協力依頼を実施する。[令和元年度] (札幌保護観察所) 131

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・ 書面等による具体的な働き掛けには至っていないが、各地区保護司会総会等への市町村からの出席 者に対し保護司活動の重要性を訴え、保護司候補者の確保に協力を求めている。そのほか、市町村に 対する再犯防止推進計画策定及びサポートセンター等への協力をお願いする際にも、市町村長を含 む自治体職員に対し保護司候補者の確保にも理解と協力を求めている。[平成 30 年度・令和元年度] (秋田保護観察所) ・ 市町村ごとの保護司充足率も高水準で推移しており、市町村への要請は必要ないと判断したため。 [平成 30 年度] ごく一部の保護区で保護司充足率の低下が見られ、当該保護区にある地方自治体への要請、働き掛 けを検討したが、当該保護区保護司会から「まだ保護司会独自の取組により充足率を向上できる余地 があり、自治体への要請等はもう少し待って検討してほしい」との意見を受けたため。 [令和元年度] (甲府保護観察所) ・ 保護司会からの同意が得られていない。 [平成 30 年度・令和元年度] (富山保護観察所) (大阪保 地方再犯防止推進計画策定に向けての働き掛けを優先した。 [平成 30 年度・令和元年度] 護観察所) ・ ・ サポートセンター未設置地区保護司会 6 地区のサポートセンター設置への働き掛けに重点を置い ていたため。 [平成 30 年度] 保護司会に対して要望があれば、県及び市町村に対して観察所職員が共に訪問し、要請を行う旨助 言を行っていたが、保護司会側から要望がなかったため、当庁の所在地だけの要請になった。 [令和 元年度](和歌山保護観察所) ・ 保護司適任者の人材情報については、市町村に対応する各地区保護司会との連携が図られており、 保護観察所が直接的に市町村に対して要請をする必要がなかったため。[平成 30 年度・令和元年度] (鳥取保護観察所) ・ 新任保護司候補者については、主として、退任する保護司が後任者を探してくることが慣例となっ ており、各地区保護司会に対応している市町村に要請する必要性を感じていないため。[平成 30 年 度・令和元年度] (徳島保護観察所) ・ 個別に要請はしていないが、毎年、各地区保護司会の総会や社明運動メッセージ伝達、保護観察所 が行う広報活動、協議会時に、首長、担当者に対し、保護司の役割等を説明し、保護司の適任者確保 の協力依頼を行っている。 [平成 30 年度・令和元年度] (福岡保護観察所) (注)1 保護観察所への実地調査の結果による。 2 各理由の文末の[ ]は、当該理由により協力要請を行っていない年度である。 しかし、保護観察所から協力要請されていない 28 市町村を担当地域としている 30 保護 司会における保護司充足率をみると、表 3-⑵-ア-(イ)-③のとおり、11 保護司会では、全国 の保護司充足率(90.7%)(注)を下回っていた。 (注)平成 30 年 1 月 1 日現在。なお、調査対象保護司会の平成 30 年 3 月末現在の保護司充足率の平均は 91.4% である。 なお、これらの保護司会を管轄する保護観察所の中には、保護司充足率が高水準で推移 していることを理由に市町村への協力要請を行っていなかった保護観察所がみられた。 保護司充足率が低い保護司会については、他の保護司会に比べて保護司の確保が困難な 状況にあり、市町村の協力を得る必要性はより高いと考えられる。 132

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表 3-⑵-ア-(イ)-③ 担当区域内の市町村に対して保護観察所が協力要請を行っていない調査対象保 護司会(保護司充足率別) (単位:保護司会) 保護司充足率 保護司会 計 30 100% 以上 8 90%以上 100%未満 12(1) 80%以上 90%未満 8 70%以上 80%未満 2 全国の保護司充足率(90.7%)未満:11 保護司会 (注)1 保護観察所及び市町村への実地調査の結果による。 2 保護司会の保護司充足率は、平成 30 年 3 月末現在の状況である。全国の保護司充足率は 30 年 1 月 1 日現在の状 況である。 3 「90%以上 100%未満」の( )内の数値は、全国の保護司充足率 90.7%未満の保護司会数である。 また、保護観察所が協力要請を行っていない市町村を担当地域とする保護司会・保護司 からの意見を聴取したところ、次のとおり、保護観察所が市町村への協力要請の必要性を 判断するに当たって、保護司会や保護司の意向を把握していないとみられる例がみられた。 ⅰ)保護司充足率が高い保護司会であっても、市町村からの情報提供を望んでいるが、保 護観察所は、保護司充足率が低くなければ市町村に協力要請しないこととしている。 ⅱ)保護司会は、市町村からの情報提供を望んでいるが、保護観察所は、保護司会からの 要望がなかったとしている。 ⅲ)保護司は、後任者を見付けることが負担で市町村の協力を望んでいるが、保護観察所 は、退任する保護司が後任者を探すのが慣例であるとして、市町村への協力要請の必要 がないとしている。 これらの例からは、保護司会や保護司が保護司候補者の確保を担っているのが実態であ ることを考慮すると、保護観察所は、上記のとおり保護司会における保護司の充足状況を 考慮することとともに、管内の保護司会や保護司の意向を把握した上で、それを踏まえて 協力要請を行うことが必要であると考えられる。 〔保護司会・保護司からの意見と保護観察所による市町村への協力要請の状況〕 ⅰ)保護司充足率が高い保護司会であっても、市町村からの情報提供を望んでいるが、保護観察所は、 保護司充足率が低くなければ市町村に協力要請しないこととしている。 甲府保護観察所管内の保護司会(保護司充足率 100%(平成 29 年度末) )からは、市町村に対して「よ り多くの候補者が得られるよう、退職者の中で退職後出身地に帰住してボランティア活動を希望する 者等の情報を保護司会に提供していただきたい」といった保護司候補者に関する情報提供を望む意見 が聴かれた。 しかし、同保護観察所は、平成 30 年度には、市町村ごとの保護司充足率が高水準で推移していたた め市町村に対する協力の要請は必要ないと判断したとして、当該保護司会が担当地域としている市町 村に対する要請を行っていない。 133

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ⅱ)保護司会は、市町村からの情報提供を望んでいるが、保護観察所は、保護司会からの要望がなかっ たとしている。 和歌山保護観察所管内の保護司会からは、市町村に対して「保護司の担い手確保に関して、市が持っ ているネットワークを活用した候補者情報の提供などの支援・協力を希望する」といった保護司候補者 に関する情報提供を望む意見が聴かれた。 しかし、同保護観察所は、平成 30 年度には、6 保護司会でのサポートセンターの設置の働き掛けに 重点を置いていたとして、また、令和元年度には、管内の保護司会に対して要望があれば、保護観察所 の職員が市町村を共に訪問し、協力の要請を行う旨助言していたが、保護司会側から要望がなかったた め、同保護観察所が所在する市町村に対してのみ協力の要請を行ったとして、上記の意見のあった保護 司会が担当地域としている市町村に対する要請を行っていない。 ⅲ)保護司は、後任者を見付けることが負担で市町村の協力を望んでいるが、保護観察所は、退任する 保護司が後任者を探すのが慣例であるとして、市町村への協力要請の必要がないとしている。 徳島保護観察所管内の保護司会の保護司からは、市町村に対して「適任者の情報提供等、後任者探し の協力を行ってほしい」といった保護司候補者に関する情報提供を望む意見が聴かれたほか、保護観察 所に対して「後任者を人脈で見付けることに負担を感じているため、法務省や保護観察所にも協力して ほしい」といった後任者を探すことが負担であるとする意見が聴かれた。 しかし、同保護観察所は、平成 30 年度及び令和元年度には、新任保護司候補者については、主とし て、退任する保護司が後任者を探してくることが慣例となっており、各保護司会に対応している市町村 に協力要請する必要性を感じていないためとしている。 (注)保護観察所、保護司及び保護司会への実地調査の結果による。 なお、調査対象とした保護観察所の中には、管内の市町村に対して保護司候補者の確保 の協力要請をした結果として、市町村から保護司候補者の情報提供を受けた例(6 保護観 察所 13 市町村)や、市町村職員を協議会の委員に委嘱した例(1 保護観察所 3 市町村)な どの成果がみられており、市町村への協力要請を行うことの有効性が認められる。 〔市町村に対して保護司候補者の確保の協力要請をし、その成果が得られた例(主なもの) 〕 1 平成 30 年度及び令和元年度に、管内の保護司充足率が全国平均を下回り保護司候補者の確保が 重要課題となっているため、保護観察所長が町長に対して依頼文書を交付するなどして保護司候補 者確保の取組への協力を要請した。この結果、同町の課長が協議会の委員として参加することとな った。※他に 2 町について同様の例がある。 (函館保護観察所) 2 令和元年度に、保護司会から要望があったため、企画調整課長が市庁舎を訪問し、市長に対して 保護司候補者として市職員や市職員OB等の情報提供を依頼した。この結果、保護司会に対し同市 職員 1 名及び職員OB2 名の情報提供があった。※要請したきっかけ等は異なるが、他に 3 市につ いて同様の例がある。 (仙台保護観察所) 3 平成 30 年度及び令和元年度に、保護司候補者の確保に苦慮している保護司会との協議を踏まえ、 ブロック別再犯防止シンポジウムにおいて、保護観察所長が市の市民安全推進課に対して市職員か らの保護司候補者の推薦について協力を要請した。この結果、同市職員の保護司候補者としての推 薦があった。※要請した場等は異なるが、他に 3 市について同様の例がある。(広島保護観察所) 134

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4 令和元年度に、保護司会から要望があったため、保護観察所長が協議会の席上で、市総務課の職 員に対して、保護司適任者確保の緊急性について資料を基に説明し協力を要請した。この結果、市 の退職職員等 3 名について、保護司会から内申を受けた。 (佐賀保護観察所) 5 令和元年度に、保護観察所長が記念式典に参加した際に、市長に対して、協議会への市職員の参 加及び人材の情報提供、市職員からの保護司登用について協力を要請した。この結果、市議会議員 3 名が保護司に委嘱された。※要請した場等は異なるが、他に 1 市について同様の例がある。 (那覇 保護観察所) (注)保護観察所への実地調査の結果による。 ⅲ 都道府県における保護司候補者の確保に関する協力 (都道府県における協力状況) 調査対象とした 16 都道府県における平成 30 年度の保護司会への協力状況について調査 したところ、保護司候補者の確保に関して人材の情報を提供する協力を行っている都道府 県はみられなかったものの、県職員に対する保護司募集の説明の場を提供している例がみ られたほか、更生保護団体に助成金を交付していて、それが保護司候補者の確保にもつな がっているとする例もみられた。また、平成 30 年度には特段の協力は行っていなかった が、保護観察所からの働き掛けにより県再犯防止推進計画に保護司候補者の確保の協力を 盛り込んだことから、令和元年度に、新たに職員に保護司募集のパンフレットを配布する などの協力を行っている例がみられた。 〔保護司候補者の確保に関して協力している都道府県の例〕 ・ 保護観察所からの要請を受け、定年退職予定の職員を対象にした説明会の場で更生保護及び保護 司のパンフレットを配布するとともに、保護司適任者の人材確保等に関する周知を行った。 (佐賀県) ・ 更生保護法人富山県更生保護事業協会に対して補助を行っており、同協会は、保護司の人材確保の 促進に関する活動を行っている県保護司会連合会に対して助成金を交付している。(富山県) ・ 保護観察所からの働き掛けを受け、福岡県再犯防止推進計画(平成 31 年 3 月施行)に「保護司の 人材確保を支援するため、保護観察所と連携し、県職員の退職者説明会においてパンフレットを配 布するなどの取組を行います。 」と記載したことから、これに基づき、以下の取組を行った。(福岡 県) ⅰ)令和元年 8 月に、県職員を対象として開催した「ライフプランセミナー」(50 歳代 184 名が参 加)において、 「保護司募集パンフレット」(法務省作成)を配布した。 ⅱ)令和 2 年 2 月に、県職員等を対象として開催した「退職者説明会」(266 名が参加)において、 福岡保護観察所企画調整課長が保護司募集の概要説明を行った上で、 「保護司募集パンフレット」 を配布した。 ⅲ)令和 2 年 2 月に、福岡県が主催した「福岡県再犯防止推進市町村連絡会議」 (市町村及び市町村 社会福祉協議会の職員計 116 名が参加)において、市町村職員に対して支援を呼び掛けるととも に、 「保護司パンフレット」を配布した。 (注)都道府県への実地調査の結果による。 135

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(保護観察所による協力要請状況) 調査対象とした 17 保護観察所における調査対象の 16 都道府県に対する平成 30 年度及 び令和元年度の 2 か年間の協力要請の状況を調査したところ、表 3-⑵-ア-(イ)-④のとお り、8 保護観察所において 8 都道府県に対し協力要請を行っていた。 一方で、9 保護観察所において 8 都道府県に対し協力要請を行っていなかった。その理 由として、管内の保護司充足率が高いことや保護司会からの要望がないことなどから県へ の要請は必要ないと判断したことなどが挙げられた。 表 3-⑵-ア-(イ)-④ 調査対象保護観察所における調査対象都道府県に対する協力要請の状況 (単位:保護観察所、都道府県) 区分 保護観察所 都道府県 計 17 16 要請実績あり 8 8 要請実績なし 9 8 (注)1 都道府県及び保護観察所への実地調査の結果による。 2 平成 30 年度及び令和元年度の 2 か年間における実績である。 3 保護観察所のうち 2 保護観察所については、同じ都道府県を管轄しているため都道府県数と数値が異な る。 〔都道府県に対して保護司候補者の確保の協力要請を行っていない理由〕 ・ 準備未了のため、着手せず。 [平成 30 年度] 準備未了のため、着手せず。 なお、都道府県レベルにおいて、要請することが効果的である分野について、検討中である。 [令 和元年度] (札幌保護観察所) ・ 北海道は、当庁の他に三つの保護観察所管内を管轄しており、北海道に対する働き掛けは、基本的 には北海道地方更生保護委員会が対応しているため。 [平成 30 年度・令和元年度] (函館保護観察所) ・ 管内全域(県域)の保護司充足率がおおむね 95~98%で推移しており、県への要請までは必要な いと判断したため。 [平成 30 年度・令和元年度] (甲府保護観察所) ・ 当庁管内の保護区保護司会等は、その事務局が地方公共団体にあり、両者の関係が確立されている ことから、同保護司会等に対応する基礎自治体に要請することで足りるものと考えたため。 [平成 30 年度] 令和 2 年に「愛知県再犯防止推進計画(案) 」の策定に合わせて行うことが得策であると考え、当 該年度に行う方針としたため。 [令和元年度] (名古屋保護観察所) ・ 保護司会連合会、保護司会からの同意が得られていない。[平成 30 年度・令和元年度](富山保護 観察所) ・ 地方再犯防止推進計画策定に向けての働き掛けを優先した。 [平成 30 年度] 地方再犯防止推進計画策定に向けての働き掛けを優先した。 なお、 「大阪府再犯防止推進計画」においては、保護司の人材確保支援に関する項目が設定されて いる。 [令和元年度] (大阪保護観察所) ・ サポートセンター未設置地区保護司会 6 地区のサポートセンター設置への働き掛けに重点を置い ていたため。 [平成 30 年度] 保護司会に対して要望があれば、県及び市町村に対して保護観察所の職員が共に訪問し、要請を行 136

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う旨助言を行っていたが、保護司会側から要望がなかったため。 [令和元年度](和歌山保護観察所) ・ 鳥取県は平成 30 年 4 月 1 日に「鳥取県再犯防止推進計画」を策定しており、県の施策として民間 協力者の活動の促進広報、啓発活動推進の取組がなされているため。 [平成 30 年度・令和元年度] (鳥 取保護観察所) ・ 平成 31 年 1 月 1 日現在の保護司充足率を見ると、全国平均は 90.0%であるが、徳島県は 93.3%で 3.3 ポイント高く、また、令和 2 年 1 月 1 日現在の保護司充足率を見ると、全国平均は 89.1%である が、管内県域は 93.7%で 4.6 ポイント高く、過去 10 年間の充足率はおおむね 93%台で推移してい る。また、新任保護司候補者については、各地区保護司会を通じて当庁に推薦がなされており、各地 区保護司会は、同保護司会に対応している市町村とのつながりが強いため、県に要請する必要性がな いため。[平成 30 年度・令和元年度] (徳島保護観察所) (注)1 保護観察所への実地調査の結果による。 2 各理由の文末の[ ]は、当該理由により協力要請を行っていない年度である。 なお、調査対象とした保護観察所の中には、都道府県に対して保護司候補者の確保の協 力要請をした結果として、定年退職した元県職員について保護司会から内申があった例(1 保護観察所)などの成果がみられており、都道府県への協力要請を行うことの有効性が認 められる。 〔都道府県に対して保護司候補者の確保の協力要請をし、その成果が得られた例(主なもの)〕 1 平成 30 年度及び令和元年度に、定年による退任予定保護司の充足と保護司適任者の人材を広く 求める必要があったため、保護観察所長が県の健康福祉部福祉課長に対して、定年退職予定の職員 を対象にした説明会の場での更生保護及び保護司のパンフレットの配布と、保護司適任者の人材確 保等に関する周知の協力を要請した。これらの協力が得られた結果、令和元年度に定年退職した元 県職員 1 名について、居住地の保護司会からの内申を受けた。(佐賀保護観察所) 2 平成 27 年度以降毎年、保護観察所長が県の人事課に対して、定年退職予定の県職員へ保護司のリ ーフレットを配布するよう協力を要請している。この協力が得られた結果、少しずつではあるが、 定年退職した元県職員への保護司の委嘱が認められている(平成 27 年度及び 29 年度に 1 人ずつ。)。 (秋田保護観察所) (注)保護観察所への実地調査の結果による。 137

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イ 保護司候補者の年齢制限の運用 ⅰ 法務省の保護司候補者の年齢制限に関連する取組 (新任時の年齢制限) 新任の保護司候補者の年齢について、法務省は、委嘱等通達において、「委嘱予定日現 在 66 歳以下の者を推薦(注 1)すること。ただし、更生保護法人役職員等で専門的な知識及 び技能を有する者を保護司に推薦する必要があるなど、これによることができない特別の 事情がある場合には、この限りでない」(注 2)として原則 66 歳以下の年齢制限を設定し、 ただし書による例外(以下「例外規定」という。)を定めている。 (注 1)保護司の委嘱については、保護司法第 3 条第 3 項において、「保護観察所の長が推薦した者のうちか ら行うものとする」とされている。 (注 2)法務省によると、平成 11 年に初めて年齢制限を設けており、当時は「65 歳以下」としていた。その 後、平成 24 年提言において、65 歳であっても就業中の者が増加していることを踏まえ、「今後、定年 退職後に保護司活動に意欲を示す者の委嘱を促進するため、(中略)新任時の年齢制限を見直し、1 歳 程度引き上げることが効果的と考える」とされたことを受け、法務省は、24 年に「66 歳以下」に見直 している。また、この見直しの検討の中で、保護司としての活動を委嘱後すぐに行うことができる者を 年齢制限で排除することを避けるため、例外規定を設けた。 (再任時の年齢制限) 再任の保護司候補者の年齢について、法務省は、委嘱等通達において、「委嘱予定日現 在 76 歳未満の者を推薦すること」(注)として 76 歳未満の年齢制限を設けている。 (注)少年との世代ギャップの拡大を考慮して定年制が導入され、平成 16 年 4 月から運用を開始している。 なお、保護司を退任した者(以下「退任者」という。)に関して、法務省は、平成 26 年 の基本的指針において、保護司を安定的に確保していくため、退任者を保護司会の協力者 として受け入れ、保護司会の行う活動についての支援を得るための方策を検討することと して取組を進めている。 (最近の動向) 法務省は、平成 31 年の改訂後の基本的指針において、再任時の年齢制限に関して、保 護司を安定的に確保していくため、「76 歳未満とされている現行の再任時の上限年齢の引 き上げについて、恣意的な運用はなされるべきではないこと、保護司会の活性化を損なう ことのないよう配慮すべきであること等の保護司が有する懸念に配慮しつつ」検討するこ ととしている。これを受け、令和 2 年 3 月、「「保護司及び保護司選考会委員の委嘱及び 解嘱等に関する事務の取扱いについて」の一部改正について(通達)」(令和 2 年 3 月 26 日付け法務省保総第 88 号法務省保護局長通達)において、委嘱等通達を改正し、「ただ し、委嘱予定日現在 76 歳以上 78 歳未満の者が、再任を希望し、かつ、78 歳に達した日以 降の職務については別途定める取扱いとなることに同意するときは、この限りでない」と して再任時の年齢制限に係る特例規定を新設(令和 3 年 4 月 1 日施行)している。また、 平成 31 年の改定後の基本的指針においては、退任者に関しても、更に、退任者が有する 人材情報の活用や、経験等を次世代に引き継ぐための取組を推進するなどとしている。 また、法務省は、令和元年 12 月に発出した「新任の保護司候補者の推薦時における年 齢制限にかかる例外規定の弾力的な運用について(通知)」(令和元年 12 月 25 日付け法 138

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務省保総第 303 号法務省保護局総務課長・更生保護振興課長通知)において、保護観察所 に対し、例外規定の運用事例を示しており、保護観察所には、保護司会長にその運用事例 を共有して、例外規定の弾力的な運用に努めることを求めている。 (保護観察所における取組状況) 調査対象とした 17 保護観察所における、委嘱等通達に規定されている新任時の年齢制限 の例外規定の運用状況について調査したところ、表 3-⑵-イ-①のとおり、5 保護観察所に おいて例外規定の運用実績があった。 表 3-⑵-イ-① 調査対象保護観察所における例外規定の運用の状況(平成 28 年度以降) (単位:保護観察所) 区分 保護観察所 運用実績あり 5 運用実績なし 12 (注)保護観察所への実地調査による。 実績がある 5 保護観察所から運用した理由を聴取したところ、「経験・知識が保護司活 動にいかされることが期待できる」、「更生保護に関する専門知識を備えている方で、年 齢上限を超えて推薦する特別な事情ありと判断」、「候補者が居住する地域で早急に保護 司が必要であった」などケースごとに保護司候補者の知識や技能、地域の事情等を考慮し て判断している様子が見受けられた。中には、「協議会において、66 歳を超える者であっ ても経歴等によって委嘱が可能な場合があるため、積極的に情報を提供してほしいと働き 掛けている」とする保護観察所もみられた。また、これらの保護観察所で例外規定を運用 して保護司の委嘱に至った例の中には、最も高齢の者で 69 歳の者を保護司に委嘱した例 がみられた。また、職業をみると、更生保護法人の施設長のほか、元刑務官や元警察官、 地域でボランティア活動に従事している者など様々な例がみられた。 〔新任時の年齢制限の例外規定を運用して保護司の委嘱に至った例〕 ・ 更生保護法人の施設長であることから、保護司の委嘱等通達の例外規定で例示する「更生保護 法人役職員等で専門的な知識及び技能を有する者」に合致するとして、69 歳の者が委嘱されるに 至った。 ・ 刑務官として定年まで勤務し、その後、矯正関係の団体の勤務を経て、更生保護施設に補導員 として採用されている 67 歳の者が、経験を踏まえて委嘱されるに至った。 ・ 矯正施設に勤務し、定年後も再任用で勤務していた女性について、66 歳を超過していたが、こ れまでの矯正施設での豊富な経験・知識が保護司活動にいかされることが期待できるとして同人 を保護司選考会に諮問したところ、年齢制限の弾力的な運用が認められ、委嘱されるに至った。 ・ ①警察官として 40 年以上勤務し、退官後も団体職員として勤務していた 67 歳の男性、②病院 や市役所で福祉医療に関する職務経歴があり、更生保護女性会や更生保護女性連盟の役員である 67 歳の女性について、更生保護に関する専門知識を備えている方で、年齢上限を超えて推薦する 特別な事情ありと判断し、委嘱されるに至った。 ・ 協議会委員から情報提供があった、実父が元保護司である候補者について、①更生保護女性会 の一員として非行少年の更生に熱意をもって支援活動を行っていること、②当該候補者が居住す 139

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る地域で早急に保護司が必要であったこと、③内申時点では 66 歳であり、委嘱予定日時点で約 2 か月の超過となること等を総合的に勘案して、保護司として適任であるとして委嘱を推薦した。 ※この保護観察所は、協議会において、66 歳を超える者であっても経歴等によって委嘱が可能な場合があるた め、積極的に情報を提供してほしいと働き掛けている。 ・ ボランティア活動に従事しており、3~4 年前から保護司候補として声掛けをしていた 68 歳の者 について、地域的な事件数の増加・早急な保護司の確保のため委嘱されるに至った。 ※ 仙台保護観察所、甲府保護観察所、東京保護観察所、福岡保護観察所、那覇保護観察所におい て運用実績あり。 (注)保護観察所への実地調査の結果による。 一方、実績がない 12 保護観察所からその理由を聴取したところ、「認める場合の基準を どうするか検討が必要になるが、個人差が大きく、複雑であり、多様な面からの検討が必 要となり判断が難しい」、「1 件でも例外を認めると、これが端緒となり歯止めが利かな くなるおそれがある」というものや、地方更生保護委員会に照会して「1 歳上回る程度で あれば認めることができるが、3 歳も上回っていると困難である」との回答を受け委嘱し なかったとするものがみられた。 〔新任時の年齢制限の例外規定の運用実績がない理由(主なもの)〕 ・ 例外規定の運用を認めると、認める場合の基準をどうするか検討が必要になるが、個人差が大 きく、複雑であり、多様な面からの検討が必要となり判断が難しいため、例外規定の運用を行っ ていない。(札幌保護観察所) ・ 年齢制限については、明確に示されているものであり、保護観察所の判断、裁量で変更できる ものではない。また、1 件でも例外を認めると、これが端緒となり歯止めが利かなくなるおそれが ある。保護司候補者の選考に当たって、保護司会から年齢が超過した者の取扱いについて相談が あった場合にも、年齢が超過していることをもって「不可」である旨回答している。保護司会か ら、このような相談があるのは、あらかじめ、選考に当たっては年齢制限を遵守するよう何度も 説明しているが、どうしても、年齢の確認が後回しになっている(いきなり年齢を聞き難い)こ とによるものと推測している。(和歌山保護観察所) ・ 欠員が生じている地区の自治振興会長から強い推薦を受けた 69 歳の保護司候補者について、地 方更生保護委員会に照会した結果、「特別な事情がある場合には、1 歳上回る程度であれば認める ことができるが、3 歳も上回っていると困難である」との回答を受けたため委嘱に至らなかった。 (富山保護観察所) (注)保護観察所への実地調査の結果による。 ⅱ 保護司・保護司会における年齢制限の運用状況等 (新任時の年齢制限) 調査対象とした保護司 136 人及び 68 保護司会から、新任時の年齢制限に対する意見を聴 取したところ、表 3-⑵-イ-②のとおり、現状のままでよいとする意見が保護司 36 人 (26.5%)及び 19 保護司会(27.9%)から聴かれた。その理由については、「保護司活動 に慣れるためには一定の期間が必要」など保護司としての経験に関するもののほか、「体 力面を考えた場合に、現状が適切だと考える」など健康面に関するもの、「未成年の保護 140

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観察対象者を相手にするには比較的若い保護司の方が望ましい」など処遇活動に関するも の、「組織の維持や活動を活性化させるためには若い人の存在が必要」など世代交代に関 するもの、「67 歳や 68 歳に引き上げたとしても、保護司確保の労力は余り変わらないの ではないか」など担い手確保に関するものがみられた。 一方で、上限を引き上げる見直しが必要とする意見が保護司 44 人(32.4%)及び 27 保 護司会(39.7%)から聴かれた。その理由については、「打診可能な期間を長くすること で候補者の確保につながる」など担い手確保に関するもののほか、「気力や行動力のある 人、正義感の強い人が向いており、年齢は関係ない」など個別に判断する方が良いといっ たもの、「健康で元気であれば、年齢制限は不要である」など健康面に関するもの、「保 護観察対象者においても、人生経験の豊富な年配の保護司の方が話しやすいと思う」とい った処遇活動に関するものなどがみられた。また、中には、「面接により能力のあること を確認」、「すぐに事件を担当できるような者であれば」など条件を付した見直しを提案 する意見も聴かれた。 表 3-⑵-イ-② 新任時の年齢制限に対する保護司及び保護司会の意見 (単位:人、保護司会、%) 区分 現状のままでよい 理 経験 由 健康面 処遇活動 世代交代 担い手確保 その他 上限を引き上げる見直しが必要 理 担い手確保 由 個別 健康面 処遇活動 その他 その他 意見なし 保護司 36(26.5) 9 7 6 4 2 9 44(32.4) 23 11 5 1 4 10(7.4) 46(33.8) 保護司会 19(27.9) 5 3 3 2 3 6 27(39.7) 17 10 13(19.1) 9(13.2) (注)1 保護司及び保護司会への実地調査の結果による。 2 理由は複数回答である。 3 ( )内は、「保護司」欄においては調査対象保護司 136 人に、「保護司会」欄においては調査 対象の 68 保護司会に占める割合である。 〔新任時の年齢制限に対する保護司及び保護司会の意見(主なもの)〕 分類 現状のま までよい 内容 (保護司) ・ 体力面を考えた場合に、現状が適切だと考える。 ・ 保護司活動に慣れるためには一定の期間が必要であるため、現状のままでよい。 141

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・ 組織の維持や活動を活性化させるためには若い人の存在が必要であり、現状のまま の方が良いのではないか。 (保護司会) ・ 67 歳や 68 歳に引き上げたとしても、保護司確保の労力は余り変わらないのではな いか。 ・ 未成年の保護観察対象者を相手にするには比較的若い保護司の方が望ましい。 ・ 企業の定年が 65 歳である一方で、保護司活動にも一定の期間が必要であることを踏 まえると妥当 上限を引 き上げる 見直しが 必要 (保護司) ・ 再雇用等の年齢が上がっていることから「66 歳以下」としている上限を見直すこと は現実的だと思う。 ・ 後任者探しを今よりも柔軟に行えるようにするため、年齢制限を撤廃すべきであ る。 ・ 健康で元気であれば、年齢制限は不要である。 ・ 保護司には、気力や行動力のある人、正義感の強い人が向いており、年齢は関係な いと思う。 ・ 新規委嘱時及び再任時の年齢制限は撤廃してもよい。保護観察対象者においても、 人生経験の豊富な年配の保護司の方が話しやすいと思う。 ・ 適任者であれば年齢にこだわる必要はないと思う。保護司の仕事は、個人の資質や 人生経験こそが重要であり、年齢は重要ではない。 ・ やる気があり、面接により能力のあることを確認できるのであれば、70 歳以上の者 にも新規委嘱を認めてよいのではないか。 (保護司会) ・ 退職後、打診可能な期間を長くすることで保護司候補者の確保につながると思う。 ・ 定年延長で 65 歳まで働く人が多くなってきており、体力や能力には個人差があるの で、個別のケースでは柔軟な対応もよいのではないか。 ・ その他 すぐに事件を担当できるような者であれば、68 歳程度に引き上げてもよいと思う。 (保護司) ・ 他の保護司と打ち解けて話ができるようになるための期間が必要なことから、65 歳 に引き下げることが望ましいと考える。 ・ 他のボランティアの新規委嘱時の年齢制限と異なることもあり、何歳が良いか判断 が難しい。 (注)例えば、民生委員・児童委員については、民生委員・児童委員選任要領により、「75 歳未満 の者を選任するよう努めること。なお、年齢要件については、地域の実情を踏まえた弾力的な 運用が可能なものであるので留意すること」とされている。 (保護司会) ・ 年齢制限を 1 歳上げれば、その分、委嘱できる対象者は増えるが、一時しのぎの対 応でしかないように思う。ますます保護司の高齢化を進める結果となりかねないの で、むしろ、若い年代の保護司候補者を確保する方策を検討すべきであると考える。 142

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・ 保護司の担い手の確保は進むかもしれないが、若い人に早く業務を引き継いでいく ことも大事なことだと考えているため、判断は難しい。 (注)保護司及び保護司会への実地調査の結果による。 調査対象とした 68 保護司会における新任時の年齢制限による保護司候補者の確保への影 響について調査したところ、19 保護司会において、「委嘱予定日が誕生日の 1 か月後であ ったため、委嘱予定日現在の年齢が 67 歳になってしまい新規委嘱できなかった」など、 候補者の年齢が委嘱予定日直前に 66 歳を超えたことなどにより委嘱を断念した例がみら れ、中には、委嘱を断念してから欠員を補充できていない例もみられた。 〔保護司候補者の年齢が 66 歳を超えていたため委嘱を断念した例〕 ・ 保護司に適任であると思われた方の年齢が 68 歳であったため、新規委嘱できなかった。 候補者の委嘱予定日が誕生日の 1 か月後であったため、委嘱予定日現在の年齢が 67 歳になって しまい新規委嘱できなかった。 ・ ・ 候補者は民生委員・児童委員を務めており、保護司に適任と思われたが、委嘱予定日現在の年 齢が 67 歳であったため、新規委嘱できなかった。 ・ 以前に説明・打診に伺った際に現役で勤務していることを理由に応諾してもらえなかった候補 者に対して、再び説明・打診に伺ったが、66 歳を超えていたため、内申に至らなかったことがあ る。 <欠員を補充できていない例> ・ 保護司の欠員が生じている地区の自治振興会長から強い推薦を受けた更生保護に係る専門的な 知識・技能を有する候補者について、保護観察所に委嘱の相談をしたところ、年齢を理由に委嘱 を断られ、その後欠員が解消されていない。 ・ 退任する前任者が適任者を見つけ、保護司になることを打診したところ、「私は年齢の関係で 保護司にはなれない」と言われた。その後、適任者が見つからず地区に 1 人欠員が出た。 ・ 委嘱予定日現在の年齢が 67 歳であったため、新規委嘱できなかったが、委嘱できていれば定員 を充足していた。 (注)保護司会への実地調査の結果による。 (再任時の年齢制限) 調査対象とした保護司 136 人から、保護司の定年後(注)も保護司を続けたいかどうか調 査 し た と こ ろ、 表 3-⑵ - イ - ③ の と おり 、「 続 け た い 」と 回 答 した 保 護 司は 24 人 (17.7%)、「続けたくない」と回答した保護司は 61 人(44.9%)であった。年齢階層別 にみると、40 歳代を除き、50 歳代から 70 歳代へと年齢層が上がるにつれて「続けたくな い」と回答している割合が高くなる傾向がみられた。 (注)任期満了時の年齢が再任時の年齢制限(76 歳未満)を超えた後をいう。例えば、75 歳の時に再任され た場合は、77 歳が定年である。 それぞれの理由を聴取したところ、「続けたい」と回答している保護司からは、「体力 や気力が続けば保護司の活動に携わりたい」、「仲間の保護司と一緒に活動するのが好き」 143

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などが挙げられた一方、「続けたくない」と回答している保護司からは、「体力や思考力 の低下に不安がある」、「高齢になるにつれて、考え方の柔軟性が失われていき、保護観 察対象者との面接の際に自分の考えを押し付けてしまい、保護観察対象者との関係に悪影 響が生じやすくなる」などが挙げられた。 表 3-⑵-イ-③ 定年後の保護司の継続希望の状況 (単位:人、%) 区分 保護司 8( 5.9) 16(11.8) 31(22.8) 30(22.1) 51(37.5) 続けたい どちらかと言えば続けたい どちらかと言えば続けたくない 続けたくない どちらとも言えない 続けたい 24 人(17.6%) 続けたくない 61 人(44.9%) (注)1 保護司への実地調査の結果による。 2 ( )内は、調査対象保護司 136 人に占める割合である。 3 割合は、小数点第 2 位を四捨五入しているため、合計が 100 にならない場合がある。 〔年齢階層別〕 (単位:人、%) 区分 40 歳代 50 歳代 後半 13 60 歳代 前半 19 60 歳代 後半 44 70 歳代 不明 5 50 歳代 前半 9 保護司計 45 1 続けたい 1 (20.0) 4 (44.4) 2 (15.4) 2 (10.5) 7 (15.9) 8 (17.8) 0 (0.0) どちらとも 言えない 1 (20.0) 4 (44.4) 7 (53.8) 9 (47.4) 15 (34.1) 14 (31.1) 1 (100.0) 続けたくな い 3 (60.0) 1 (11.1) 4 (30.8) 8 (42.1) 22 (50.0) 23 (51.1) 0 (0.0) (注)1 保護司への実地調査の結果による。 2 ( )内は、各年齢階層における保護司計に占める割合である。 3 割合については、四捨五入しているため、合計が 100 にならない場合がある。 〔定年後の保護司の継続希望についての理由(主なもの)〕 区分 理由 続けたい ・ どちらかと言 えば続けたい ・ 体力、気力が続けば保護司の活動に携わりたいと思う。 分区の仲間の保護司と一緒に活動するのが好きなので、定年を迎えてもできれ ば続けたいと考えている。 ・ 自分自身でもう続けられないと感じたら、年齢に関係なく、退任しようと考え ている。逆に、まだやれると感じていたら、定年を迎えても続けていきたい。 どちらかと言 えば続けたく ない ・ 75 歳以上で体調を崩している知人が何人かおり、75 歳になったときの自分の体 力や思考力の低下に不安がある。 ・ 気力、体力、記憶力が衰えると思うので、現在の定年で辞めたいと考えてい る。 144

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・ 高齢になるにつれて、考え方の柔軟性が失われていき、保護観察対象者との面 接の際に自分の考えを押し付けてしまい、保護観察対象者との関係に悪影響が生 じやすくなると考える。このような保護司にはなりたくないので、定年までは保 護司を続けるが、定年を迎えたら辞めたいと思う。 続けたくない ・ 体力的に保護司の活動は厳しくなると思うが、定年後も更生保護女性会の活動 などには関わっていきたいと思っている。 ・ 年を重ねると、社会の変化について行くのが難しいと思うので、現在の定年の 歳に達したら辞めたいと思う。 ・ 体力的に厳しいと思うことから、定年を超えてまで保護司を続けたいとは思っ ていない。 どちらとも言 えない ・ 保護司活動は続けたいが、76 歳になってみなければ健康状態が分からないの で、何とも言えない。 ・ 定年時に保護司を続ける熱意があるかによるが、現時点では分からないので、 どちらとも言えない。ただし、今すぐ辞めたいとは思っていない。 (注)保護司への実地調査の結果による。 調査対象とした保護司 136 人及び 68 保護司会から、再任時の年齢制限に対する意見を聴 取したところ、表 3-⑵-イ-④のとおり、現状のままでよいとする意見が保護司 59 人 (43.4%)及び 27 保護司会(39.7%)から聴かれた。その理由については、「体力や気力 の衰えにより保護司活動を行うことが難しくなる」など健康面に関するもののほか、「保 護観察対象者との年齢差があり意思疎通が難しくなる」など処遇活動に関するもの、「一 定の年齢で終了することも必要」など区切りを必要とするもの、「若い人を増やす方策を 考えるべき」など世代交代に関するものがみられた。 一方で、上限を引き上げる見直しが必要とする意見が保護司 42 人(30.9%)及び 28 保 護司会(41.2%)から聴かれ、その理由については、「続けたいと考えている人は定年後 も再任してもよい」など個別に判断する方が良いといったもののほか、「本人が元気であ り、希望するのであれば続けてもよいのではないか」など健康面に関するもの、「委嘱歴 が長くなると、他の保護司にアドバイスも行えるようになる」など保護司としての経験に 関するものなどがみられた。また、中には、「延長する場合は、適正に保護司活動ができ るよう客観的な評価指標を取り入れるべき」など条件を付した見直しを提案する意見も聴 かれた。 145

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表 3-⑵-イ-④ 再任時の年齢制限に対する保護司及び保護司会の意見 (単位:人、保護司会、%) 区分 保護司 保護司会 現状のままでよい 59(43.4) 27(39.7) 健康面 処遇活動 区切り 世代交代 その他 上限を引き上げる見直しが必要 35 5 9 6 10 42(30.9) 10 5 0 2 13 28(41.2) 24 8 - 20 4 その他 1 1 2 10( 7.4) 1 1 4 3( 4.4) 意見なし 25(18.4) 10(14.7) 理 由 個別 健康面 経験 理 由 処遇活動 担い手確保 その他 (注)1 保護司及び保護司会への実地調査の結果による。 2 理由は複数回答である。 3 ( )内は、「保護司」欄においては調査対象保護司 136 人に、「保護司会」欄においては調査対 象の 68 保護司会に占める割合である。 〔再任時の年齢制限に対する保護司・保護司会の意見(主なもの)〕 分類 現状のまま でよい 内容 (保護司) ・ 体力や気力の衰えにより保護司活動を行うことが難しくなる。 ・ 保護観察対象者との年齢差があり意思疎通が難しくなる。 ・ 世代交代を図る上で定年制は必要 ・ 一定の年齢で終了することも必要である。 (保護司会) ・ 高齢になると行動力や気力は落ちていき、保護観察対象者との年齢の差も広がっ ていくため、現行の年齢制限は妥当 ・ 高齢になると、保護観察経過報告書等を正確に記載することが大変で困難になっ てくる。 ・ 若い人を増やす方策を考えるべきであり、80 歳近い人が増えるのは望ましいと は思わない。 ・ 定年について、保護司の多くは「当然」と考えており、むしろ無事定年を迎えて ど 安 堵 したという声が多い。 (保護司) ・ 本人が元気であり、希望するのであれば続けてもよいのではないか。 146

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上限を引き 上げる見直 しが必要 ・ 新規委嘱時の年齢を上げるならそれに合わせて上げるべき。 ・ 定年制は必要であるが、続けたいと考えている人は定年後も再任してもよいと考 える。 ・ 適性検査等を実施し、基準を満たす場合は、定年後も続けてもらってよいのでは ないか。 ・ 延長する場合は、適正に保護司活動ができるよう客観的な評価指標を取り入れる べき。 ・ 保護司と保護観察所の双方が合意した場合に特例として定年延長を認める措置を 講ずるべき。 ・ 経験を積んだ保護司は貴重であるため、任意継続の制度を設け、弾力的に再任し てもよい。 (保護司会) ・ 延長することで保護司候補者の確保につながる。 ・ 高齢であっても健康で意欲的な人が多い中、年齢を理由に委嘱しないというのは 疑問である。 ・ 委嘱歴が長くなると、他の保護司にアドバイスも行えるようになることから、意 欲と体力がある人は 80 歳程度まで弾力的に再任してもよい。 ・ 民生委員・児童委員のように、健康状態が良好、意欲がある等の一定の要件を満 たせば再任できる制度に変えてほしい。 (注)民生委員・児童委員選任要領により、「75 歳未満の者を選任するよう努めること。なお、 年齢要件については、地域の実情を踏まえた弾力的な運用が可能なものであるので留意する こと」とされている。 ・ 保護観察対象者の面倒を最後まで見たいという思いがあるため、保護観察期間終 了までは続けてもよいのではないか。 ・ 定年制は必要であるが、保護観察所と個別に協議し、延長するなどの弾力的な運 用をしてもよいのではないか。 ・ その他 現状のルールを原則としつつ、新任時の年齢が 67 歳以上の者に限って少しでも 長く活躍してもらうため定年を延長するなどの方法もあるのではないか。 (保護司) ・ 体力的な衰えや少年との話がかみ合わないなどの状況があるため、73 歳程度に 引下げが望ましいと考える。 ・ 何歳が望ましいと一概に言えないが、保護司の活動は 10 年をスパンとして考え るべきだと思うので新任時の上限年齢を上げるのであれば、その分再任時の上限年 齢も連動して上げるべきだと思う。 ・ 現在のところは現状維持でよいが、欠員が多い状況が続くようであれば引上げも やむを得ないと考える。 (保護司会) ・ 脳の機能としては 76 歳くらいで限界がくると思うので、適当な年齢だと思う が、保護司確保の観点からいうと、2 年ほど延長してもらえると、新たな人材確保 が不要で、2 年の間に保護司確保の取組ができるので助かるのも事実であるとし、 どちらが良いか判断が難しい。 147

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・ ある程度のゴール(定年)の設定は必要だと思う。 ・ 75 歳に達した場合の取扱いには、発令日で退任するのではなく、委嘱されてい る期間中は当該年度末まで在職(例:平成 28 年 7 月 1 日再任発令日の場合、31 年 3 月 31 日で退任)できるような取扱いをお願いしたい。そうしていただければ、 保護司会の運営等にも支障を来さない(現在は、退任者にも年度末まで保護司会の 運営等に協力してもらっている)。 (注)保護司及び保護司会への実地調査の結果による。 また、再任時の年齢制限に対する意見について定年後の継続希望別にみると、表 3-⑵イ-⑤のとおり、定年後も保護司を「続けたい」としている保護司の半数以上が、上限を 引き上げる見直しが必要との意見を有している一方、「続けたくない」としている保護司 の 7 割以上が現状のままでよいとの意見を有していた。 表 3-⑵-イ-⑤ 保護司の継続希望と再任時の年齢制限に対する意見 (単位:人、%) 区分 保護司 計 保護司計 136 定年後 続けたい の継続 続けたくない 希望 どちらとも言えない 24 61 51 現状のまま でよい 59 1( 4.2) 43(70.5) 15(29.4) 再任時の年齢制限 見直しが その他 必要 42 10 14(58.3) 8(13.1) 20(39.2) 3(12.5) 3( 4.9) 4( 7.8) 意見なし 25 6(25.0) 7(11.5) 12(23.5) (注)1 保護司への実地調査の結果による。 2 ( )内は、「定年後の継続希望」の「保護司計」に占める割合である。 3 割合は、小数点第 2 位を四捨五入しているため、合計が 100 にならない場合がある。 (退任者の活用) 退任者に関して、保護司からは、「定年で保護司を退任した者の中には、元気で有能な 者がいるので、退任者の活用方策を考えるべき」など、その活用を望む意見が聴かれた。 〔退任者に関する保護司の意見と退任者の活用を図る保護司会の例〕 区分 保護司 内容 ・ 定年で保護司を退任した者の中には、元気で有能な者がいるので、退任者の活 用方策を考えるべきである。所属する保護司会では、平成 29 年 12 月に退任した保 護司からなるOB会を設置している。OB会の具体的な活動内容は決まっていな いが、社明運動への参加などを想定している。 ・ 年齢制限を延長し年齢が高い人が増えるとやりにくいこともあるため、年齢制 限は現在のままでよいと思う。OB会などを作り、交流するぐらいが良いと思 う。 保護司会 ・ 定年を迎えた保護司で作る「シニア保護司会」があり、主な活動内容として保 護司担い手の確保をお願いし、活動費 3 万円を会から支出している。実績は今のと ころないが、引き続き候補者について情報を提供してもらうこととしている。 (注)保護司及び保護司会への実地調査の結果による。 148

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ウ 保護司活動の理解の促進・関心の喚起 (ア) 保護司活動インターンシップ ⅰ 法務省の保護司活動インターンシップに関連する取組 法務省は、保護司適任者確保の推進、保護司活動に対する理解の促進等を図るため、 地域住民等を対象に、保護司活動について体験する機会を提供する保護司活動インター ンシップ(以下「インターンシップ」という。)を平成 28 年度から推進している。 インターンシップの実施に当たって、法務省は、「「保護司活動インターンシップ」 実施要領」(平成 28 年 3 月 31 日付け法務省保更第 22 号法務省保護局長通達)におい て、インターンシップの目的や、参加者、内容、対象となる活動などを示している。 具体的には、インターンシップの実施主体は保護司会であり、保護司活動に関心を有 する地域住民や更生保護関係団体などの参加者に対し、保護司会が実施する会議・研修 や犯罪予防活動などの保護司活動を体験する機会を提供することとされている。また、 実施する際の手続については、インターンシップの参加希望者から書面による参加申込 みを受けた上で、保護司会が選定した活動に参加させ、実施後には、活動結果報告を保 護観察所に提出することとされており、保護司会は保護観察所から一定の実費弁償金の 支給を受けることができるとされている。 〔インターンシップの概要〕 区分 内容 目的 インターンシップは、保護司会が地域住民又は地域の関係機関・団体に所属する者等 に保護司活動を体験する機会を提供することにより、地域住民等の保護司活動に対する 理解と関心を高め、保護司適任者を確保する間口の拡大を図るとともに、関係機関・団 体との一層の連携強化を図ることを目的とする。 参加者 インターンシップの参加者は、保護司適任者の確保や保護司活動に対する理解の促進 等を図る観点から、保護司活動に関心を有する地域住民のほか、地域の関係機関・団体 に所属する者、更生保護女性会、BBS会等の更生保護関係団体に所属する者とするこ とが考えられる。 内容 インターンシップは、上記の参加者を保護司会が主体となって実施する活動等に保護 司とともに参加させることによって、保護司活動を体験する機会を提供する。 対象とな る活動 1 2 3 4 5 6 留意事項 ・インターンシップは、保護観察対象者の情報等の個人情報を取り扱わない活動とする こと。 総会及び理事会、役員会 機能別専門部会 その他保護司組織が主体的に実施する会議 自主研修会(地域処遇会議を含む。) 関係機関・団体との連絡協議会(保護司会が実施主体のもの) 地域活動(社明運動等の犯罪予防活動)における行事 ・会議や研修等の講師及び当該活動への出席・参加が当然に予定される者は対象としな いこと。 ・実施については、可能な限り、参加者に活動の趣旨や内容を事前に伝えておくこと。 149

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・活動の選定に当たっては、参加者が保護司活動の魅力や意義を感じられるような活動 を選定すること。また、参加者の関心分野や更生保護に対する知識・経験を考慮し、 参加者の需要に応じた活動を選定するよう配慮すること。 ・活動時間については、参加者が当該保護司活動の本質的な部分を有意義に体験するこ とができ、かつ、長時間に及ばないよう留意すること。 (注)「保護司活動インターンシップ」実施要領に基づき、当省が作成した。 また、インターンシップの運用に関して、法務省は、月刊誌「更生保護」を通じて保 護司会に好事例等を周知している。 なお、インターンシップに関して、再犯防止推進計画では、若年層を含む幅広い年齢 層や多様な職業など様々な立場にある国民が、実際に民間協力者として活動するように なることを促進するため、インターンシップなど、更生保護ボランティアの活動を体験 する機会の提供を推進することとされている。 (最近の動向) 法務省は、平成 31 年の改訂後の基本的指針における「保護司活動を体験するための 取組の推進」について、インターンシップに積極的に取り組み、保護司適任者確保につ なげるよう努めることや、好事例の共有や実施に関するマニュアルを作成するなど、実 施主体である保護司会に対して必要な支援を講ずることとしており、当該マニュアルは 法務省において令和 2 年度中を目途に作成中とされている。 (保護観察所の保護司会に対する指導状況) 調査対象とした 17 保護観察所における保護司会に対するインターンシップの指導状況 について調査したところ、2 保護観察所において、インターンシップの活用例や好事例 を会議等で保護司会に対して示している一方で、その他の 15 保護観察所においては特段 の指導を行っていなかった。 なお、活用例や好事例を示しているとしている 2 保護観察所管内の保護司会における インターンシップの参加者の中には、保護司に委嘱されている例がみられた。 表 3-⑵-ウ-(ア)-① 調査対象保護観察所におけるインターンシップに関する保護司会への指導 の状況 (単位:保護観察所) 区分 保護観察所 活用例や好事例を示している 2 特段の支援をしていない 15 (注)保護観察所への実地調査による。 〔保護観察所の保護司会に対するインターンシップの指導の例〕 国民が漠然と抱いている保護司活動の大変さを払拭し、保護司の担い手を確保するため、保護司 や保護司会において積極的にインターンシップの活用が図られるよう、協議会や管内保護司等代表 者協議会の中で、これまでのインターンシップの活用例等の説明・周知を行っている。(函館保護 150

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観察所) ※ 当該保護観察所管内の調査対象保護司会では、インターンシップ参加者 5 人について保護司 に委嘱されている例がみられた。 管内の全ての保護司会のインターンシップの実績のほか、参加人数や行事の内容等についても把 握している。また、法務省本省から提供を受けたインターンシップの具体的な実施方法等に係る好 事例の情報を、保護司会へ提供しているほか、管内全ての保護司会の会長が参加する会議の席上、 インターンシップを活用している保護司会から実施方法等を説明してもらうことがある。(富山保 護観察所) ※ 当該保護観察所管内の調査対象保護司会では、インターンシップ参加者 2 人について保護司 に委嘱されている例がみられた。 (注)保護観察所及び保護司会への実地調査の結果による。 ⅱ 保護司会におけるインターンシップの実施状況 調査対象とした 68 保護司会における平成 28 年 4 月から 30 年 10 月末までの間のイン ターンシップの実施状況を調査したところ、表 3-⑵-ウ-(ア)-②のとおり、34 保護司会 において実績(延べ 224 人が参加)があった一方、34 保護司会においては実績はなかっ た。 表 3-⑵-ウ-(ア)-② 調査対象保護司会におけるインターンシップの実績 (単位:保護司会) 区分 保護司会 実績あり 34 実績なし 34 (注)1 保護観察所への実地調査による。 2 調査対象 68 保護司会における平成 28 年 4 月から 30 年 10 月末までの実績の有無である。 インターンシップの実績がある 34 保護司会におけるインターンシップの参加者延べ 224 人について、その後の保護司への委嘱の状況をみると、8 保護司会で延べ 39 人の保 護司候補者が参加し、そのうち 28 人が保護司に委嘱されていた。この 8 保護司会の中に は、協議会で情報提供があった保護司候補者や、保護司の人脈で探した保護司候補者を インターンシップに参加させて委嘱につなげている例がみられた。 〔インターンシップに参加した保護司候補者が委嘱された例〕 ・ 人脈で確保した保護司候補者 5 人が自主研修会に参加し、5 人とも保護司に委嘱。事例研究 が非常に効果的であった。 ・ 協議会で情報提供があり、委嘱を受けるか、ためらっていた者が、分区の定例会(年間行事 予定の打合せ等)、啓発活動、研修会に参加し、「保護司の活動内容がよく分かった」とし て、その後委嘱された。 ・ 保護司の知人が社明運動とその後の打合せ会議に参加し、委嘱された。 ・ 研修・保護司会の雰囲気を味わってもらうため、保護司会長が保護司になってほしいと思う 意中の者を参加させ、委嘱につながった。 151

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・ 現職の保護司が、保護司として適任と思われる者を社明運動に参加させ、平成 30 年度に 2 人 委嘱された。 ・ 人脈で見付けてきた参加者に対して、ⅰ)社明運動への参加、ⅱ)サポートセンターでの保 護司についての説明を経て委嘱につながった。 ・ 保護司候補者として情報提供があった者を参加させ、委嘱につながった。インターンシップ は保護司活動の周知啓発につながると考えている。 ・ 協議会で情報提供があった保護司候補者に対して、委嘱を受ける前に保護司活動に関する理 解を深めてもらうため、インターンシップへの参加を呼び掛け、その後委嘱につながった。 (注)保護司会への実地調査の結果による。 一方、インターンシップの実績がない 34 保護司会から、実施していない理由を聴取し たところ、「候補者を確保できている」、「必要性を感じない」としているもの以外で は、「参加を希望する者がいない・見付からない」、「実態が分かると敬遠されてしま う」、「どのようにしたらよいか分からない」などの理由が多く聴かれた。 〔インターンシップを実施していない理由(主なもの)〕 分類 理由 参加を希望する 者がいない・見 付からない ・ 保護司の委嘱について声を掛けても余り乗り気になってくれる人が少ない状 況で、インターンシップに誘ったところで来てくれる人がいると思えない。ま た、インターンシップに参加したいという希望が寄せられていない。 (8 保護司会) ・ 保護司の候補者を見付けるのが難しいのと同じように、インターンシップの 対象者(保護司の候補者となり得る人)を見付けるのが難しい。 候補者を確保で きている ・ (7 保護司会) ・ 当面退任者がいないこと、保護司の人脈により候補者を確保できていること による。 必要性を感じな い ・ 保護司の人脈や保護司活動を行う中で人材情報を収集し、保護司候補者を確 保していることから、改めてインターンシップを行う必要性を感じていない。 保護司の業務を前向きに理解できている者(内定者など)でないと、インタ ーンシップを実施しても担い手確保につながるとは思えないため、特に必要性 を感じていない。 (7 保護司会) ・ 実態が分かると 敬遠されてしま う (5 保護司会) 保護司の仕事を知ってもらうための対象者がおらず、必要性がない。 ・ 保護司をやりたいと思っている者に保護司活動の実情を知ってもらうことに よって、やる気がなくなってしまう可能性があることを危惧しているため。 ・ 研修や会議などのインターンシップに参加してもらった場で、例えば処遇の 話が出てきた場合、保護司活動を理解してもらうどころか、大変な(難しい) 仕事だと分かってしまい、かえって担い手確保の間口を狭めることになるので はないかと感じている。 152

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どのようにした らよいか分から ない ・ インターンシップの対象者の選定や内容について、どのようにすれば候補者 の発掘につながるかが分からない。 ・ (4 保護司会) その他 (6 保護司会) どのような対象者にどのように呼び掛けを行うのか分からず、実施していな い。また、保護司活動について、どこまで説明し体験させるのか分からない。 ・ 保護観察事件を直接体験する訳ではなく、広報活動等の体験だけであるた め、保護司業務の本質を理解してもらえるか疑問であり、実施には消極的であ る。 ・ 当保護司会の活動は、他の団体と共同(協働)して実施するケースが多く、体 験活動をインターンシップとして位置付けるのか、又は他団体の活動として位 置付けるのか、判断に迷うところである。 ・ インターンシップ制度は保護司活動に関して理解をしてもらうための活動で あるが、当保護区では、広報誌を毎年 1 回発行しており、既に住民に保護司の 活動内容は知ってもらえていると思う。 (注)1 保護司会への実地調査の結果による。 2 複数回答である。 また、調査対象とした保護司会から、インターンシップに関する意見・要望を聴取し たところ、インターンシップを実施している保護司会と、実施していない保護司会との 双方から、「具体的にどのような人を対象としてよいのか分からない」、「具体的な実 施方法や他の保護司会における成功例について情報提供してもらいたい」などの意見・ 要望が聴かれた。 〔インターンシップに関する保護司会からの意見・要望〕 ・ 処遇活動など具体的な保護司の仕事は見せられない中、どのような活動に参加してもらえばよ いか分からない。 ・ 具体的にどのような人を対象としてよいのか分からないので、対象者をより具体的に示してほ しい。 ・ 当初、「保護司活動インターンシップ」実施要領の趣旨に沿って、内定者以外で保護司活動に 関心のある者をインターンとして受け入れようとしたが、保護観察所の意向で参加者を制限する ことになったので、参加者の定義を明確にしていただきたい。 ・ 保護司候補者を確保するための間口を広げる有効な方法の一つであると理解しており、他の保 護司会が活用した事例、特に参加希望者を呼び込む方法などを明らかにしたものを提供していた だきたい。 ・ インターンシップの運用に関するひな型のようなものが示されれば活用しやすくなるのではな いか。 ・ 保護観察所に具体的な実施方法や他の保護司会における成功例について情報提供してもらいた い。 ・ 他の保護区におけるインターンシップの実施状況は分からないので、インターンシップの実施 により候補者確保につながった例があれば教えてほしい。 (注)保護司会への実地調査の結果による。 153

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保護司活動の広報 (イ) 更生保護に対する国民の理解に関して、国は、更生保護法第 2 条第 1 項において、責務と して「更生保護に対する国民の理解を深め、かつ、その協力を得るように努めなければならな い」とされており、保護観察所は、同法第 29 条において、所掌事務として「犯罪の予防を図 るため、世論を啓発」することとされている。 また、保護司は、保護司法第 8 条の 2 において、職務として「犯罪をした者及び非行のあ る少年の改善更生を助け又は犯罪の予防を図るための啓発及び宣伝の活動」などの事務に従 事することとされている。また、保護司会は、保護司会等規則第 4 条において、任務として 「保護司及び保護司会の活動に関する広報宣伝」の事務を行うこととされている。こうした 保護司や保護司会の活動に対して、地方公共団体は、同法第 17 条において、「必要な協力を することができる」こととされている。 法務省、保護司、保護司会及び地方公共団体においては、これらの規定等に基づき、更生保 護や保護司活動に関する国民の理解を深め、協力を得るために、犯罪予防活動(犯罪や非行の 予防のために、国民の理解促進や犯罪の原因となる社会環境の改善等に努める活動をいう。) として様々な取組や協力を行っている。 なお、犯罪予防活動は、保護観察等の処遇活動と並び保護司活動における車の両輪に例え られている(注)。 (注)平成 31 年の改訂後の基本的指針では、 「保護司の活動は、犯罪や非行をした人たちの立ち直りを支援する 活動と、犯罪や非行を防止する活動を両輪」としてこれらの活動に取り組むこととされている。 〔保護司会が行う犯罪予防活動の例〕 種類 具体例 街頭広報活動等 駅頭広報活動やパレード等の広報啓発活動 講演会等 外部講師を招くなどして開催する講演会やシンポジウム、表彰式等 ミニ集会等 保護司が講師を務めるなどして行うミニ集会、公開ケース研究会、薬物乱用防 止教室、非行防止教室 スポーツ大会等 青少年を対象としたスポーツ大会、ワークショップなど参加体験型活動、ミニ コンサート等 防犯活動等 声掛け運動、防犯パトロール、街頭補導活動、チラシ撤去等 (注)実費弁償金運用通達を参考に当省が作成した。 ⅰ 法務省における保護司活動の広報に関連する取組 犯罪予防活動の一つとして、法務省の主唱する社明運動が、毎年 7 月を強調月間として、 地域住民の参加を得て実施されている。社明運動を推進するに当たっては、関係機関・団体 で構成される推進委員会が、中央に一つ、また、各都道府県・市区町村等を単位に設置(注) されるほか、法務省は、都道府県知事に対し、社明運動への尽力と管内市区町村への社明運 動の趣旨の周知について、毎年、協力依頼を行っている。 154

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(注)平成 29 年においては、中央に 126 の関係機関・団体で構成された中央推進委員会が設置されたほか、各 都道府県単位(北海道にあっては、道及び道内各保護観察所単位)に 51 の都道府県推進委員会が、また、 市区町村等を単位に 1,531 の地区推進委員会が設置された。 保護司活動の広報に関して、平成 24 年提言では、地方公共団体に加え、関係機関・団体、 地域住民に保護司活動の内容や意義について理解してもらうため、保護観察所と保護司会 が各種方策(例:地元マスメディアに対する積極的な情報提供、社明運動の充実等)に取り 組むことが必要であるとされている。また、再犯防止推進計画では、法務省は、国民の間 に、再犯の防止等に協力する気持ちを醸成するため、更生保護ボランティア等の活動に関 する広報の充実を図ることとされている。 こうしたことを踏まえ、法務省は、保護司活動の広報啓発活動に一層取り組むため、平成 26 年の基本的指針において、法務省及び保護司会は、 「地域住民や地方公共団体を始めとす る多くの者から活動について理解されることは、保護司活動を続けていく意欲や、保護司 活動への新たな参画者を得ることにもつながることから、広報啓発活動に一層取り組むこ と」、「平素の犯罪予防活動等の場面を捉えて、保護司活動を地域住民に理解してもらうよ う努めること」などとして取組を進めている。 また、法務省は、地方公共団体の職員や地域住民による保護司活動についての理解を図 るため、平成 26 年の依頼通知において、都道府県知事及び市区町村長に対し、職員研修等 の場における保護司活動に関する研修の機会や、地方公共団体の広報誌等を活用するなど の地域住民に保護司活動を周知する機会の提供を依頼している。 (最近の動向) 法務省は、平成 31 年の改訂後の基本的指針において、保護司活動の重要性や魅力につい て広報する際には、 「保護司の適任者確保に向け、幅広い年齢層や多様な職業分野にある人 たちに情報発信を行うとともに、特に必要となる人材に応じた戦略的な適任者確保となる ようそれぞれの興味や関心を引き付ける工夫をすること」などとしている。 (保護観察所における取組状況) 調査対象とした 17 保護観察所における犯罪予防活動の取組状況について調査したとこ ろ、ポスターの掲示や、チラシ・パンフレットなどの配布を行ったり、パネル展などの各種 行事において広報を行ったりしているほか、Jリーグなどプロスポーツ会場で広報を行っ ている例(4 保護観察所)や、地域の著名人を「社会を明るくする大使」に任命して街頭広 報活動等を実施している例(1 保護観察所)がみられた。 〔保護観察所における犯罪予防活動の取組例〕 ・ 地元サッカーチームの大会時に、スタジアムの電光掲示板で社明運動のCM動画を放映した。 (那 覇保護観察所) ・ 県出身の落語家を「社会を明るくする大使」として任命し、街頭広報活動等を実施した。また、 同大使がメインキャスターのラジオ番組に保護観察所長が出演し、社明運動の趣旨や更生保護制度 等について同大使とともに解説を行った。実施した保護観察所は、ラジオ番組において、同大使が 155

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分かりやすい言葉で解説することで、幅広い層に理解が広がったのではないかとしている。(和歌 山保護観察所) (注)保護観察所への実地調査の結果による。 調査対象とした 17 保護観察所から、更生保護に対する国民の理解を促進するために必要 と考える取組について聴取したところ、10 保護観察所において、世論調査の結果(注)を踏 まえ、特に 10 歳代後半から 30 歳代前半の若い世代への広報が必要など若年層を含めた幅 広い世代を対象に広報を行うことが必要としていた。 (注)平成 26 年度に内閣府が実施した「基本的法制度に関する世論調査」 (対象:全国 20 歳以上の日本国籍を 有する者 3,000 人。有効回収数:1,826 人(60.9%) )のこと。 「保護司」という言葉を聞いたことがあるか 聞いたところ、 「聞いたことがある」とする者の割合(「言葉の意味を知っている」及び「意味は知らないが、 言葉は聞いたことがある」の合計)は、78.1%であり、年齢階層別にみると、20 歳代は 37.0%、30 歳代は 53.3%であった。 また、保護観察所の中には、小学生の保護者の年齢層への認知度向上を狙って親子向け の更生保護施設の見学等のツアーを行ったり、若年層への周知の効果を狙って高校生が司 会を務めるイベントで社明運動の説明を行うなど特定の世代を対象にした取組例(2 保護観 察所)がみられた。 〔保護観察所における特定の世代を対象にした犯罪予防活動の取組例〕 ・ 平成 29 年度に社明運動を始めとした更生保護施策に関する小学生の保護者の年齢層への認知度 向上策として、親と子の両方の世代に更生保護について楽しみながら学んでもらう「おかえりバ スツアー」(法務省の見学、協力雇用主の職場や更生保護施設の見学等)を企画・実施している。 実施した保護観察所は、参加者(9 組 18 名)からは好評を得ているとしている。 (東京保護観察 所) ・ 若年層への周知に効果のある取組として、社明運動強調月間に市が開催している高校生が司会 を務めるなど若年層向けイベントにおいて、社明運動の趣旨等の説明を行った。(福岡保護観察 所) (注)保護観察所への実地調査の結果による。 (保護観察所における犯罪予防活動の見直し等の状況) 調査対象とした 17 保護観察所における犯罪予防活動の見直し等の状況についてみると、 4 保護観察所において、県推進委員会の構成員等の見直しを行っている例(4 保護観察所) や、管内の実施状況を把握し、共有等を行っている例(9 保護観察所)がみられた。 〔県推進委員会の構成員等の見直しを行っている例〕 ・ 毎年、県推進委員会の構成団体について、見直しを行い、社明運動の趣旨に賛同してもらえる団 体を開拓している。1~2 割程度であるが、新規に構成団体に加入してもらっており、構成団体数は 微増している。 (秋田保護観察所) ・ 県推進委員会の構成員に福祉関係機関を加えることで、更生保護活動に福祉関係機関の関与を促 せるのではないかとの意見を受けて、福祉関係機関を追加する等の見直しを行った。 (沖縄保護観 156

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察所) (注)保護観察所への実地調査の結果による。 〔管内の実施状況を把握し、共有等を行っている例〕 ・ 社明運動を振り返り、反省すべき点、工夫すべき点等々について協議し、次年度に向けより効果 的になるよう協議を重ねている。 (徳島保護観察所) ・ 毎年、社明運動については、地方推進委員会及び地区推進委員会単位の犯罪予防活動の実施状況 を集計し、法務省保護局に報告しており、これらの情報を地方推進委員会において提示し、特に効 果のあった行事や取組等を紹介して取組の参考としてもらっている。 (札幌保護観察所) ・ 矯正展の参加者に対して、社明運動に関するアンケートを実施している。当該アンケートは、10 年以上前から実施しており、地方推進委員会において、前年度の結果報告及び傾向の説明を行う際 の参考資料として活用しているが、具体的な見直しまでには至っていない。 なお、アンケートを実施すること自体が、社明運動に関する広報となると考えている。(大阪保 護観察所) (注)保護観察所への実地調査の結果による 一方で、見直しを行っていない保護観察所の一部からは、 「法務本省から特段の指示を受 けておらず、保護司会からも犯罪予防活動等の負担が大きいという意見を聴いたことがな い」とする説明が聴かれたが、当該保護観察所管内の保護司会からは、保護観察所から広報 チラシが送付されてくるが、市の回覧物は、県・市の広報誌と福祉に関するものに限られて いることから、配布に苦慮しているとの意見が聴かれた。 〔見直しを行っていない保護観察所と当該保護観察所管内の保護司会が負担を感じている例〕 [保護観察所からの意見] 社明運動の活動内容を見直すかどうかの議論を行ったことはなく、法務本省から特段の指示を受け ておらず、保護司会からも犯罪予防活動等の負担が大きいという意見を聴いたことがない。(和歌山 保護観察所) [当該保護観察所管内の保護司会からの意見] 保護観察所から送付されてくるチラシは「回覧」と印刷されているが、市の回覧物は県・市の広報 誌と福祉に関するもののみであり、配布に苦慮している。 (注)保護観察所及び保護司会への実地調査の結果による。 ⅱ 保護司会・保護司における犯罪予防活動の取組状況 調査対象とした 68 保護司会における平成 30 年度に取り組んだ犯罪予防活動の内容(調 査時点において予定を含む。 )について調査したところ、表 3-⑵-ウ-(イ)-①のとおり、9 割 以上の保護司会(64 保護司会)は「街頭広報活動等」を行っていた。このほか、 「社明運動 作文コンテスト・弁論大会」 (51 保護司会)、 「ミニ集会等」 (50 保護司会) 、 「総理大臣メッ セージ伝達式等」 (40 保護司会)などを行っている保護司会が多くみられた。街頭広報活動 等の中には、地元サッカーチームの試合で、チラシやグッズ配布を行ったり、スクリーンで 157

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社明運動のCMを放映した例などが、また、学校との連携等の中には、PTAや更生保護女 性会等と協力し、通学路での子供の見守り等を実施した例などがみられた。 表 3-⑵-ウ-(イ)-① 調査対象保護司会における犯罪予防活動の主な取組(平成 30 年度) (単位:保護司会、%) 分類 保護司会数 街頭広報活動等 64(94.1) 社明運動作文コンテスト・弁論大会 51(75.0) ミニ集会等 50(73.5) 総理大臣メッセージ伝達式等 40(58.8) 講演会等 25(36.8) 防犯活動等 22(32.4) 学校との連携等 21(30.9) スポーツ大会等 14(20.6) (注)1 保護司会への実地調査の結果による。 2 複数の取組を実施している保護司会がある。 3 ( )内は、調査対象とした 68 保護司会に占める割合である。 〔調査対象保護司会における犯罪予防活動の具体的な取組例〕 分類 街頭広報活動等 具体的な取組例 ・ 地元サッカーチームの試合時に、広報ブースを設けて、更生保護のチラシや グッズ(ホゴちゃん(注)お面)の配布を行い、会場スクリーンでは社明運動の CM動画を放映している。 (注)更生保護のマスコットキャラクター ミニ集会等 ・ 社明運動推進委員会と協働して各学校区における住民集会・ミニ集会を開催 している。 総理大臣メッセ ージ伝達式等 ・ 講演会等 ・ 防犯活動等 ・ 学校との連携等 ・ 保護区を構成する 4 市町村の庁舎ロビーにおいて、総理大臣メッセージ、県 知事メッセージ及び県教育長メッセージを伝達する社明運動出発式を開催して おり、出発式には、市町村職員、保護観察所職員、保護司、更生保護女性会、 自治会等が参加している。 商工会議所会頭を会長とした市町村更生保護協会と連携して講演会を実施し ている。 はいかい 毎月第 3 金曜日の「少年を守る日」の夜間巡回、青少年の深夜 徘徊 防止決起 大会に参加するなどの未成年者に対する犯罪予防活動に参加している。 保護区内全校区における統一活動について、毎年度 7 月第 1 金曜日に、PT A、更生保護女性会等と協力し、小中学校前や通学路において、交通指導や子 供の見守りを実施している。また、小学校区ごとの啓発活動について、各校区 に、保護司会、更生保護女性会及び青少年指導員等で構成される青少年を守る 会が設置されており、同会を中心に地域の事情に即した啓発活動を実施してい 158

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る。 スポーツ大会等 ・ 社明運動少年サッカー教室を行っている。 (注)保護司会への実地調査の結果による。 調査対象とした保護司 136 人における犯罪予防活動への参加状況について調査したとこ ろ、表 3-⑵-ウ-(イ)-②のとおり、8 割以上の保護司(107 人)は「街頭広報活動等」に参加 していた。このほか、 「防犯活動等」(79 人)、 「講演会等」 (76 人)、「ミニ集会等」 (63 人) に参加している保護司が多くみられた。 表 3-⑵-ウ-(イ)-② 調査対象保護司における犯罪予防活動への参加状況 (単位:人、%) 分類 保護司 街頭広報活動等 107(82.3) 防犯活動等 79(60.8) 講演会等 76(58.5) ミニ集会等 63(48.5) スポーツ大会等 23(17.7) その他 23(17.7) (注)1 2 3 4 保護司への実地調査の結果による。 複数回答である。 不参加の保護司 1 人及び無回答の保護司 5 人は計上していない。 ( )内は、調査対象保護司 136 人から上記 3 の 6 人を除いた保護司 130 人に占める割合である。 (犯罪予防活動の効果の実感) 調査対象とした保護司 136 人から犯罪予防活動に対する印象について聴取したところ、 表 3-⑵-ウ-(イ)-③のとおり、44 人の保護司から犯罪予防活動の効果を感じているとする意 見が聴かれた。具体的には、防犯活動等に参加している保護司からは、 「子供達の徘徊が減 ってきており、犯罪予防活動の効果を感じる」、また、講演会等及び防犯活動等に参加して いる保護司からは、 「学校等の関係機関との連携、信頼の向上という点からは効果があると 感じる」などの意見が聴かれた。 また、 「社明運動参加者はボランティアの意識が高い方々であるので、社明運動の取組を 通じて参加者に保護司の活動や魅力を伝えることが、将来的な保護司の担い手の確保につ ながると思う」 、 「犯罪予防活動を通じ、地域住民との交流を深めることで、保護司の活動に 対する理解が広がっていると思う」など、犯罪予防活動を通じて保護司活動の理解が進み 保護司の担い手確保につながるとする意見(25 人)も聴かれた。 なお、調査対象とした保護司会によると、社明運動に携わったことをきっかけに保護司 に委嘱された例(1 保護司会)があるとしている。 159

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表 3-⑵-ウ-(イ)-③ 調査対象保護司における犯罪予防活動の効果の実感の有無 (単位:人) 区分 保護司 効果を感じている 44 効果を感じていない 34 (注)1 保護司への実地調査の結果による。 2 保護司 58 人は、効果についての意見なし。 〔犯罪予防活動の効果を感じているとする保護司の意見(主なもの) 〕 ・ 担当校区内のパトロールに参加し、自治会役員やPTA役員、少年補導員らと子供達のたまり場 等へ行き、声掛けを行っているが、子供達の徘徊が減ってきており、犯罪予防活動の効果を感じる。 ・ 社明運動等の犯罪予防活動については、学校等の関係機関との連携、信頼の向上という点からは 効果があると感じる。 ・ 社会のルールを知らないために犯罪を起こしてしまう者がいると思う。若いうちから犯罪予防や ルールについて話を聞く機会があれば犯罪の予防になると考える。保護司会としての声掛け運動や 寺子屋デーはその良い機会である。 ・ 青少年健全育成を地域全体で行っていることから、少年による事件が少なく、結果的に保護観察 の対象となる事件数は減少しており、犯罪予防活動に関わっていることに満足している。 ・ 街頭広報活動などで、見ず知らずの人に広報物品を渡すことにより顔見知りになるなどコミュニ ケーションの一つとして役に立っていると感じている。また、いろいろな組織が地域の住民を守っ ていると意識してもらうことができるなど、犯罪予防活動は役立っていると感じている。 ○ 犯罪予防活動が保護司の担い手確保につながるとする意見 ・ 社明運動参加者はボランティアの意識が高い方々であるので、社明運動の取組を通じて参加者に 保護司の活動や魅力を伝えることが、将来的な保護司の担い手の確保につながると思う。 ・ 地域住民の中には、保護司が何をしているのか知らない・理解していない人もいるが、犯罪予防 活動を通じ、地域住民との交流を深めることで、保護司の活動に対する理解が広がっていると思う。 ・ 保護司とは何かを市民にアピールできること、各民生委員、町内会等と一緒に集まって活動でき ること、保護司のなり手を探せる貴重な機会であることから、大事な活動であると考える。 ・ 犯罪予防活動は、一般の方々の更生保護への理解を深める、保護司になりたい人を増やすという 意味で必要なものであり、地道に継続して行っていく必要がある。 ・ 地域での活動(伝承遊び、剣道・空手の披露などの催し時の広報)としてティッシュペーパーの 配布などを行っているが、住民からねぎらいの言葉をもらうなど、手応えを感じており、広報活動 によって更生保護に関心を持ってもらう機会となっていると感じている。 ・ 犯罪予防活動を通じて保護司と更生保護女性会会員が交流を持つことができ、ミニ集会等では保 護司の活動を説明して認知度を上げることができており、有意義な活動となっていると思う。 (注)保護司への実地調査の結果による。 〔保護司活動から保護司の担い手確保につながった例(保護司会の意見)〕 ・ 社明運動の関係者(中学校長)が保護司に委嘱された例もあり、担い手確保の一面もあると感じて いる。 (注)保護司会への実地調査の結果による。 160

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一方で、上記表 3-⑵-ウ-(イ)-③のとおり、34 人の保護司から犯罪予防活動の効果が感じ られないとする意見が聴かれた。具体的には、 「周囲に保護司への理解が広がっているとい う実感は余りない」 、「目に見えた効果が現れているようには思えない」などの意見が聴か れ、中には、 「むなしい気持ちしか残らず、保護司はこんな仕事をしていると紹介しても意 味がないのではないかと感じる」 、 「何の役割も与えられず、ただ参加するだけであるので、 何らかの効果が発現することを期待されているとは感じられない」といった意見も聴かれ た。 〔犯罪予防活動の効果を感じていないとする保護司の意見(主なもの) 〕 ・ 親戚との集まりの中で 30 歳代以下の全員が保護司の存在を知らなかったこともあり、周囲に保 護司への理解が広がっているという実感は余りない。※街頭広報活動等に参加 ・ 毎年参加しているが、目に見えた効果が現れているようには思えないため、準備や実施のために 手間がかかっているだけなのではないかと感じている。また、社明運動の実施方法については、毎 年、同じように街頭宣伝やグッズの配布をしているなど、その方法が固定化している。しかし、予 算上、斬新な方法も採れない。※街頭広報活動等に参加 ・ 犯罪予防活動については、保護司の方のひとりよがりという印象を有しており、活動内容もマン ネリ化していると感じている。中学生弁論大会などは、学校側に負担をかけているのではないか、 街頭広報活動(パレード)についても、効果が上がっていない(地域に浸透していない)のではな いかと感じている。※街頭広報活動等、講演会等、ミニ集会及び防犯活動等に参加 ・ 社明運動を実施しても、効果が見えないため、むなしい気持ちしか残らず、保護司はこんな仕事 をしていると紹介しても意味がないのではないかと感じる。そもそも更生保護とは宣伝するもの ばんそうこう とも思えない。更に言えば、配布するティッシュや 絆 創 膏 、あるいはチラシの印刷に要する費用 も運動のための準備にとられる時間ももったいないと感じている。※街頭広報活動等、講演会等及 び防犯活動等に参加 ・ 犯罪予防活動について、周知活動そのものは非常に重要だが、特に、広報物品の配布について、 ただ配布するということには、周知活動としての効果に疑問を感じている。※街頭広報活動等に参 加 ・ 安全パトロール等に参加しているものの、何の役割も与えられず、ただ参加するだけであるので、 何らかの効果が発現することを期待されているとは感じられない。※講演会等及び防犯活動等に参 加 (注)保護司への実地調査の結果による。 (犯罪予防活動の負担感等) 調査対象とした保護司 136 人から犯罪予防活動を行う上での負担感について聴取したと ころ、表 3-⑵-ウ-(イ)-④のとおり、12 人(8.8%)の保護司は負担を感じているとする意 見が聴かれた。具体的には、 「複数の保護観察事件等を担当している場合に、保護観察対象 者との面接日時の調整に苦慮している上に、犯罪予防活動の打合せや準備の日程調整も行 わなくてはならず、全体の日程調整が非常に負担」、「準備作業などに多くの時間を取られ ることが負担」などの意見が聴かれた。 161

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表 3-⑵-ウ-(イ)-④ 調査対象保護司における犯罪予防活動での負担感の有無 (単位:人、%) 区分 保護司 負担感あり 12(8.8) 負担感なし 124(91.2) (注)1 保護司への実地調査の結果による。 2 ( )内は、調査対象保護司 136 人に占める割合である。 〔犯罪予防活動に負担を感じている保護司の意見(主なもの) 〕 ・ 複数の保護観察事件等を担当している場合に、保護観察対象者との面接日時の調整に苦慮してい る上に、犯罪予防活動の打合せや準備の日程調整も行わなくてはならず、全体の日程調整が非常に 負担になっている。 ・ 当日の活動だけでなく、参加する地域住民の人集めや準備作業などに多くの時間を取られること が負担である。 ・ 企画準備の段階から犯罪予防活動に関わっているため、社明運動強調月間前(6 月~7 月)はプラ イベートの予定が入れられない。また、学校関連の行事は 3 月までに学校や教育委員会と調整しな いといけないため、年度末も打合せが多くなる。 ・ 犯罪予防活動には、保護司会長を中心に取り組んでいるが、保護観察協力募金の関係者への依頼 から取り組む必要があり大変である。法務省でも保護司会の事務簡素化が言われているが、保護司 会の運営では事務局の負担が大きく、更なる負担軽減が必要である。 ・ 準備作業、打合せに多くの時間を取られており、負担を感じている。 (注)保護司への実地調査の結果による。 このほか、 「自分が保護司であることが地域住民に広まると、保護観察対象者が自宅で の面談に来づらくなるなど悪影響も生じかねない」など保護観察を行うに当たって、犯罪 予防活動を行う際に自分が保護司であることを公にするのは抵抗感があるとする意見(6 人)も聴かれた。 なお、調査対象とした保護司会によると、保護司であることを前面に出すことに納得で きないとして辞任した保護司がいる(1 保護司会)としていた。 〔自分が保護司であることを公にするのは抵抗感があるとする意見〕 ・ 以前は保護司のバッジを外して保護観察対象者と面接を行うなど、保護司であることを表に出さ ないように気を付けていたが、2~3 年ほど前から、法務省から保護司であることを前面に出すよう に指導されており、少々疑問を感じている。 ・ 自分が保護司であることを余り第三者に話していないので、保護司であることを前面に出して活 動することには少し抵抗感がある。 ・ 保護司の役割や活動内容に関する一般市民の認知度は低く、犯罪予防活動を積極的に行わなけれ ば理解を広げることは難しいと思うが、保護観察対象者にとっては、面接のため保護司の自宅を訪 問することに抵抗感を持つようになるので、保護司であることは知られない方が良い面がある。 ・ 保護司の活動を広報しなければならないことは理解しているが、犯罪予防活動に参加することで、 162

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自分が保護司であることが地域住民に広まると、保護観察対象者が自宅での面談に来づらくなるな ど悪影響も生じかねないと考えるため、一長一短であると感じている。 (注)保護司への実地調査の結果による。 〔保護司であることを前面に出すことに納得できないとして辞任した保護司の例〕 保護観察所から、保護司はもっと保護司であることを前面に出して犯罪予防活動を行ってほしい旨 の考えが示されたときに、保護司の中には、保護観察等は余り人目に触れずに活動すべきものであり、 その考えには納得できないとして辞任した者もいたことから、保護司の保護観察等の活動と犯罪予防 活動の両立には難しい面もあると考えている。 (注)保護司会への実地調査の結果による。 (保護司会における犯罪予防活動の見直し状況) 調査対象とした保護司会における犯罪予防活動の見直しの状況をみると、社明運動推進 委員に対してアンケートを行うなどにより、街頭広報活動の実施場所やケース研究会の参 加者等の見直しを行った例(10 保護司会)などがみられた。 〔犯罪予防活動について見直しを行った例〕 ・ 平成 20 年頃からだと思うが、社明運動を幅広い運動とするため、保護司会内での運営方法や、 案内の対象、運動の主体を見直した(注)ところ、強調月間中の市町村民の集いへの参加人数が 200 ~300 人から 800 人以上に増加した。 (注)見直した内容は以下のとおりである。 ⅰ)保護司会内の部会が中心となって運営してきたが、分区の持ち回り担当にし、地域団体に協力要請を行った。 ⅱ)保護区内全域への案内とは別に、市町村民の集いに参加する小中高生の保護者の参加を広げることを試行し た。 ⅲ)各地区単位で推進委員会を設置した。 ・ 社明運動大会の開催後、地区推進委員会の推進委員(市町村、教育委員会、保護司会、更生保護 女性会、自治会等)に対して、同大会の運営等を問うアンケートを実施し、その結果を同委員会の 反省会にてフィードバックしており、当該結果に基づき、同大会の開催時間を短縮するための表彰 方法の見直しや、街頭広報活動の実施場所の見直しを行った。 ・ 更生保護女性会と合同で社明運動総括反省会を実施しており、平成 28 年度には少年非行をテー マに実施した公開ケース研究会について、同年代の中学生の意見も聴けたらよいのではないかとの 意見を踏まえて、29 年度から同研究会に中学生も参加できるように見直しを行った。見直し後は好 評であったので、今後も継続する予定である。 (注)保護司会への実地調査の結果による。 (犯罪予防活動に関する法務省・保護観察所への保護司からの要望) 調査対象とした保護司から、犯罪予防活動に関する法務省・保護観察所への要望を聴取 したところ、 「法務省がテレビCMなど多くの人の目につく形の広報を積極的に行ってほし い」、 「保護観察所には、各種行政ボランティア団体の会議等を活用して、犯罪予防活動及び 保護司活動の周知活動等を実施してほしい」など積極的な広報を求める要望が聴かれたほ か、 「統計上、活動の効果が数字として出てくれば、より活動の意味を感じられる」など効 163

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「保護観察対象者との面接日時を調整しないといけないこ 果の把握・検証を求める要望や、 とに負担を感じているため、犯罪予防活動に関するイベントを減らすことが必要」など負 担軽減のための見直しを求める要望も聴かれた。 〔犯罪予防活動に関する法務省・保護観察所への保護司からの要望(主なもの)〕 分類 内容 積極的な広 報を求める 要望 ・ 社明運動については世間での認知度が低く、保護司による活動だけでは限界を感じ るため、主唱者の法務省がテレビCMなど多くの人の目につく形の広報を積極的に行 ってほしい。 ・ 物品の配布は、更生保護女性会と一緒に配布するため人員は十分であるため、保護 観察所及び都道府県・市町村には物品作成に必要な金銭面の補助を充実してほしい。 ・ 犯罪予防活動の効果を大きくするためには、他の行政ボランティア等と連携して活 動規模を拡大し、保護司の活動を認知してもらうことが重要であると考えているた め、保護観察所には、各種行政ボランティア団体の会議等を活用して、犯罪予防活動 及び保護司活動の周知活動等を実施してほしい。 効果の把 握・検証を 求める要望 ・ 犯罪予防活動を行う上での不満は、活動による効果を把握することが難しいことで あり、統計上、活動の効果が数字として出てくれば、より活動の意味を感じられると 思う。 ・ 個人的には、犯罪予防は、生活基盤及び家庭環境の安定や、社会教育、家庭教育が 重要と考えているので、イベントにより犯罪を予防できるとは思わないが、それでも 引き続き犯罪予防活動を展開していくのであれば、活動が犯罪予防に結び付いている のかを検証すべきであると思う。 負担軽減の ための見直 しを求める 要望 ・ 犯罪予防活動に関する会議等の日程を考慮して保護観察対象者との面接日時を調整 しないといけないことに負担を感じているため、犯罪予防活動に関するイベントを減 らすことが必要だと思う。 ・ 犯罪予防活動を保護区全体及び分区単位で実施しているが、保護司が減少している 分区もあり、分区ごとの実施は負担が大きいため長期的には保護区単位に整理・統合 してほしい。 (注)保護司への実地調査の結果による。 164

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⑶ まとめと所見 ア 保護司の育成 (ア) 担当保護司の複数指名(⑴-ア-(イ)関係) アンケート調査結果によると、経験年数の少ない保護司ほど、保護観察対象者との面接 の経験が少ないことや、一人で面接することに不安を感じている者が多かった。また、実地 調査の結果では、保護観察事件等の担当の指名がなかったことがモチベーションの低下に つながり、保護司の早期退任の理由となった事例も報告されているなど、経験の不足や担 当の指名がないことが、保護司の不安材料や早期退任の理由となっている状況がみられた (⑴-ア-(ア)参照) 。 法務省は、対象者の居住先等の調整や処遇活動の具体的な進め方を学ばせるなど、新任 保護司等経験年数の少ない保護司に対する育成のため、複数指名の活用を行うこととして いる。実地調査の結果では、複数指名の経験がある保護司は少ないが、複数指名の経験があ る保護司や保護観察官からは、保護司への経験付与や、ノウハウ伝承の観点から複数指名 に肯定的な意見が聴かれた。こうしたことからも、複数指名により保護司に委嘱後早期に 保護観察事件等を担当させ、経験年数の少ない保護司に経験を積ませ、経験豊富な保護司 からノウハウの伝承を図ることについては、保護司の職務上の不安を解消し、モチベーシ ョンを維持する効果を持つという意味において、保護司の確保策としての有効性が認めら れる。 しかしながら、複数指名の実績は顕著に伸びていない。実際に複数指名の経験がある保 護司や保護観察官とも、効能を実感している一方で、近年実績がない保護区の保護観察官 からは、 「対象者からみたときに、どちらの保護司が主担当なのか混乱する」ため行ってい ないとの意見(この「混乱」については、保護司の中にも指摘する者あり)や、複数指名の 経験がある保護司からは、複数指名のために「面接の日程調整に苦労した」との意見が聴か れており、担当に係る混乱のおそれや処遇活動の打合せの負担が、複数指名の積極的な実 施を抑制する結果につながっている可能性を指摘することができる。 この指摘に関しては、複数指名制については、法務省が複数指名通知において、保護司 が、対象者に対し、各担当保護司の役割等について説明するなどして、その理解を得るよう 努めることとされており、これは「混乱」回避の目的であると考えられるが、現場に十分に 浸透していないように見て取れることから、このことの徹底が必要であると考えられる。 また、日程調整に関連して、保護司会に対する実地調査で、3 回目の面接から経験年数の少 ない保護司でも単独で対応できるようになり、短期間で独り立ちできるようになるなど複 数での担当は最初の数回の面接で十分であるとする意見が聴かれたことを踏まえると、状 況に応じた工夫により対処できる課題であり、好事例を示し、活用を促すことが必要であ ると考えられる。 生活環境調整事件や保護観察事件の年間取扱件数、保護司一人当たりの担当事件数は、 いずれも減少傾向にあることを踏まえれば、複数指名に係る法務省の取組は、保護司の確 保という観点からも推進されるべきと考えられる。 165

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【所見】 したがって、法務省は、保護観察所に対し、経験年数の少ない保護司の不安・負担を軽減する 観点から、保護観察事件等の性質を踏まえつつ、複数指名の好事例を示し、活用を促すべきであ る。また、保護観察官及び担当保護司に対し、複数指名の際の混乱を防止する観点から、それぞ れの保護司の役割等について、保護観察等の対象者やその関係人への説明の実施を徹底させるべ きである。 イ 保護司の活動環境の整備 (ア) 保護観察対象者との面接場所の確保支援(⑴-イ-(ア)関係) 平成 24 年提言では、 「複雑・多様な問題を抱えた保護観察対象者等を自宅に招き入れる ことについて家族の理解が得られないケース(場面)が増加している。また、保護司候補者 の中には、マンションなど居宅の構造上自宅での面接が困難な者が増加しており、これが 保護司確保を困難にしている大きな要因のひとつになっている」とされている。また、実地 調査の結果では、調査対象の保護司の多くは、自宅以外の場所で面接を行うことがあると しており、その理由として、自宅を面接場所にする際に感じる不安や負担感を挙げる者が 少なくなかった。 なお、保護司における保護観察対象者との面接に関して、マンションなどの保護司の居 住実態等に係るデータについては、法務総合研究所による平成 16 年の調査結果以降、法務 省において把握されているものはなく、今後、保護司の実態を踏まえた各種方策の検討を する上で、こうしたデータの収集・分析が望まれる。 法務省は、保護司や保護司会の活動を支援するため、保護司会によるサポートセンター の設置を推進しているところ、上記を踏まえると、 「自宅以外の面接場所の確保が必要」と いう認識は共有でき、法務省が、このための取組の一つとしてサポートセンターの設置を 進めることは理解できる。 しかし、保護司のアンケート調査結果によると、サポートセンターの面接利用は 2 割余 りにとどまり低調となっており、理由として、設置場所と開所時間を挙げる者が多かった。 保護司会の担当区域が広いと自宅等からサポートセンターが遠くなる保護司はおのずと存 在することや、サポートセンターの開所時間が平日昼間であるなど、設置場所や開所時間 が、保護司の面接場所としての利用という視点からみると便利ではないこともあり、これ らの運用が保護司の実際の活動と必ずしもマッチしていない事情が浮かび上がってくる。 こうした中、実地調査の結果では、保護司から、サポートセンター以外の面接場所の確保 などの要望も聴かれており、保護司会の中には、保護司の要望などを踏まえ、市町村に依頼 するなどして一時的に面接に利用できる場所の確保に取り組む保護司会や、サポートセン ターの支所の設置、日曜日の開所などに取り組む保護司会もみられた。 法務省では、サポートセンターの設置を推進する観点から事例集を作成し、未設置の保 166

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護司会に配布する取組を行っているが、面接場所を自宅以外に確保することについて不安・ 負担に感じている保護司に対し、サポートセンターの設置推進の方策以外に現場での取組 が進むような、特段の支援は行われていない。また、サポートセンターの設置の推進の取組 も、設置場所や開設時間について保護司の利用のしやすさの視点が十分とは言えない。 以上を踏まえると、法務省においては、保護司の確保のためにも保護司の職務の環境を 改善する観点から、保護司のニーズに応じて自宅以外の面接場所を確保するという目的を 明確に踏まえた取組を推進する必要があると考えられる。 【所見】 したがって、法務省は、保護司の確保のためにも保護司の職務の環境を改善する観点から、保 護司のニーズに応じて自宅以外の面接場所を確保するという目的を明確に踏まえた取組を推進 する必要がある。このため、保護観察所に対し、次のような取組を促進すべきである。 ① 個々の保護司の事情(担当する保護観察対象者の事情を含む。)を踏まえた上で、一時的 に面接場所に利用できる場所の確保を市町村に依頼するなど、当該保護司や保護司会による 面接場所確保を支援する取組 ② サポートセンターの整備については、その日常の運営等の負担が第一義的には保護司会に あることも考慮しつつ、設置数のみを目標とするのではなく、設置可能な場所や開所可能な 時間が保護司による面接場所としての利用に適したものとなるようにする配慮を含め、自宅 以外の面接場所確保の目的のために可能な限り最大の効果を上げることができるよう支援 をする取組 (イ) 報告書に係る情報技術の活用(⑴-イ-(イ)関係) 政府の直近の動きを踏まえ、法務省は、今般のコロナ禍で保護司活動が制限され、従来の 形式ではコミュニケーションが十分とれない状況が続く中、 「新たな日常」下における活動 の在り方の一つとしてICT化を進めるとともに、要機密情報のセキュリティを万全にす る必要があるとしている。 実地調査の結果によると、手引において報告書の作成についてパソコンの利用が認めら れているにもかかわらず、情報セキュリティへの懸念がネックとなり実際にパソコンを利 用している保護司は少ない。保護観察官の中にも同様の懸念により手引に沿った指導をし ていない者がみられた。 報告書の作成について、手書きの方が心がこもった対応になるとして手書きで作成した いとする保護司がいる一方で、報告書を手書きで作成している保護司の中には、負担軽減 の面から、パソコンの利用の意向を示す者がみられた。 また、報告書の提出については、手引では、電子メールによる報告書の提出が認められて いない。 保護司への実地調査の結果によると、郵送する方が慣れている、持参の際に詳細に伝え 167

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ることができるとして郵送や持参で提出したいとする保護司がいる一方で、報告書を手書 きで記載することや郵送するために郵便局へ出向くことが手間であるとする意見や、負担 軽減の面から、電子メールによる提出の意向を示す者がみられた。 国の業務に関わる他の民間ボランティアの中には、作成した報告書のパスワードの設定 等により情報セキュリティを確保するよう求められた上で、情報技術による報告書の作成・ 提出が認められていることが確認されたところである。 以上を踏まえると、報告書の作成・提出に当たり、情報技術が利用できるようにすること は、保護司の負担軽減に資するものと考えられる。他方で、保護司が作成する報告書は、犯 罪をした人や非行のある少年の保護観察の経過など秘匿性が求められる情報を扱うという 特殊性を有する。このため、報告書の作成・提出に情報技術が利用できるようにするには、 政府が定めた「政府機関等の情報セキュリティ対策のための統一基準」(平成 30 年 7 月 25 日サイバーセキュリティ戦略本部)に沿いつつ、例えば、報告書の内容の秘匿性に応じてセ キュリティを確保した情報システム環境を整備するとともに、その運用を徹底するための 保護観察官や保護司に対する研修を実施するなどの措置を講ずることが考えられる。 【所見】 したがって、法務省は、保護司の負担を軽減する観点から、報告書の作成・提出に情報技術が 利用できるようにするため、例えば、報告書の内容の秘匿性に応じてセキュリティを確保した情 報システム環境を整備するとともに、その運用を徹底するための保護観察官や保護司に対する研 修を実施するなどの措置を講ずるべきである。 ウ 保護司候補者の確保のための方策 (ア) 保護司候補者検討協議会等(⑵-ア-(ア)関係) 保護司候補者の確保が従来の保護司の人脈による方法では困難となってきている中、地 域における保護司候補者確保のため、法務省は、平成 20 年から協議会の開催を進め、平成 31 年の改訂後の基本的指針においても、協議会を積極的に開催することとしている。 協議会の設置・開催は、保護観察所長等が共同して、保護区ごとに行い、必要に応じ、例 えば小中学校区単位等の保護司の確保が必要な区域で開催することができるとしている。 今回の調査結果では、開催保護司会において、保護司候補者の情報提供を受けられてい る保護司会が多くみられたことや、その半数以上の保護司会で新規委嘱者に占める協議会 で情報提供を受けた保護司候補者から委嘱につながった者の割合が 5 割以上となっている ことから、協議会の開催には、保護司候補者の確保に一定の効果があると認められる。 一方で、未開催保護司会からは、協議会を開催することで担い手が確保できるのかとい った疑問や、事務負担が大きくなることへの懸念が聴かれた。 また、調査対象とした保護司会の協議会では、分区等単位で開催している場合と、保護区 単位で開催している場合とがみられ、分区等単位で開催している場合には、当該地区に詳 168

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しい者を協議会の構成員として、情報提供を多く受け委嘱につながる者も多い事例がみら れた。さらに、各保護司会が担当する保護区の広さには相当な差があるため、可住地面積 50 ㎢以下の保護司会の協議会をみた場合には、分区等単位で開催していた方が、また、各 協議会の開催単位を小学校単位で置き換えてみた場合には、より少ない小学校数で開催し ていた保護司会の方が、情報提供を多く受けられているなど、より小さな単位で開催して いる方が、情報提供を得られている傾向がみられた。 しかしながら、これまで一部の保護観察所では、保護司会に対し、協議会の開催を促す指 導が行われているものの、協議会の開催単位や開催効果を把握するために事例を分析し、 その結果を保護司会に提供するなどの成果の上がるような取組は行われていない。 以上を踏まえると、法務省においては、保護司候補者確保のため、各地における協議会の 開催を推進するのであれば、保護司会の中に事務負担を懸念する意見があることや、保護 区よりも細かな単位での開催が効果を上げている事例、より細かな単位での開催に効果が みられる傾向があることを踏まえる必要があると考えられる。 【所見】 したがって、法務省は、保護司候補者確保のため、各地における協議会開催を推進するのであ れば、開催に係る負担と成果を考慮し、保護観察所に対し、共同開催者である各地の保護司会に、 協議会の効果的な開催のための情報の提供に努めさせるべきである。その際、地域によっては保 護区単位よりも細かな単位での開催がより効果的な場合があることから、各地の協議会の開催事 例を分析し、開催単位についての考え方等も示すべきである。 (イ) 市町村等の協力(⑵-ア-(イ)関係) 都道府県及び市町村は、保護司法や更生保護法において、保護司会や保護観察所の活動 に対して必要な協力をすることができることと規定されている。こうした規定の下、法務 省は、近年、保護司候補者の確保が困難となっていることを踏まえ、各都道府県及び各市町 村に対し、保護司会や保護観察所による保護司候補者の確保の取組に対する協力を求める とともに、保護観察所に対し、地方公共団体からの協力を得るための活動を積極的に展開 するよう求めている。 実地調査の結果においては、保護司候補者の確保の協力をしていない市町村が一定程度 みられた。その市町村の多くは、協力していない理由として、そもそも保護観察所等から協 力要請を受けていないことを挙げており、中には、協力要請があれば対応するとしている 市町村もみられた。そして、保護観察所によっては、市町村に対して協力要請をしていな い。 しかしながら、保護観察所による協力要請が行われていない市町村を担当地域とする保 護司会の保護司充足率をみると、その 3 分の 1 以上の保護司会で、全国の保護司充足率を 下回っている状況がみられた。他方、保護司充足率が高い保護司会でも市町村からの保護 169

176.

司候補者に関する情報提供を望んでいるが、保護観察所では保護司充足率でしか市町村へ の協力要請の要否を判断していない例や、保護司は後任者を見付けることが負担であり市 町村からの協力を望んでいるが、保護観察所では退任する保護司が後任者を探すことが慣 例であるとして市町村への協力要請の必要性がないとしている例などもみられた。 また、実地調査の結果、都道府県においても、保護司候補者の確保の協力をしている例は 少なく、都道府県にも協力要請を行っていない保護観察所がみられた。 市町村等に対して協力要請を行った保護観察所の中には、保護司候補者の人材情報の提 供を受けているなど、市町村等への協力要請を行うことの一定の効果が認められる。 こうした状況から、保護観察所は、保護司会における保護司の充足状況に加え、保護司会 や保護司の意向を把握し、考慮するとともに、管内の都道府県や市町村への協力要請を行 うべきであると考えられる。 【所見】 したがって、法務省は、保護司候補者の安定的な確保の観点から、保護観察所に対し、保護司 の充足状況に加え、保護司会や保護司の意向を把握し、考慮するとともに、管内の都道府県や市 町村への協力要請を行うよう指導すべきである。 170

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4 資料 目次 ⑴ アンケート調査における自由記入欄の意見等 ······································ 174 ⑵ 法令、通知等 ·································································· 181 【共通】 資料① 保護司法(昭和 25 年法律第 204 号) (抄) ································ 181 資料② 保護司会及び保護司会連合会に関する規則(平成 11 年法務省令第 2 号) (抄) ································································ 182 資料③ 売春防止法(昭和 31 年法律第 118 号) (抄) ······························ 183 資料④ 更生保護法(平成 19 年法律第 88 号)(抄) ······························· 183 資料⑤ 再犯の防止等の推進に関する法律(平成 28 年法律第 104 号) (抄)··········· 185 資料⑥ 再犯防止推進計画(平成 29 年 12 月 15 日閣議決定) (抄) ·················· 185 資料⑦ 雇用保険法等の一部を改正する法律案の概要(抄) ························ 186 資料⑧ 保護司制度の基盤整備に関する検討会報告書(平成 24 年 3 月 21 日) (抄)···· 187 資料⑨ 保護司の安定的確保に関する基本的指針(平成 26 年 3 月) (抄)············· 190 資料⑩ 保護司の安定的確保に関する基本的指針【改訂版】 (平成 31 年 3 月)(抄)···· 191 資料⑪ 保護司の安定的確保のための 10 のアクションプラン ······················· 194 資料⑫ 保護司活動に対する御理解・御協力について(依頼)(平成 26 年 6 月 30 日付け総行政第 107 号・法務省保更第 72 号総務省地域力創造審議官・法 務省保護局長通知) (抄) ··············································· 195 資料⑬ 再犯防止対策の推進に向けた保護司活動に対する一層の御理解・御協力に ついて(依頼)(令和元年 5 月 8 日付け総行政第 4 号・法務省保更第 1 号 総務省地域力創造審議官・法務省保護局長通知) (抄) ····················· 195 【保護司活動に対する指導・支援に関する取組(3-(1))共通】 資料⑭ 犯罪をした者及び非行のある少年に対する社会内における処遇に関する 規則(平成 20 年法務省令第 28 号)(抄) ································· 196 資料⑮ 犯罪をした者及び非行のある少年に対する社会内における処遇に関する 事務規程(平成 20 年 4 月 23 日付け法務省保観訓第 261 号法務大臣訓令) (抄) ································································ 197 資料⑯ 犯罪をした者及び非行のある少年に対する社会内における処遇に関する 事務の運用について(依命通達) (平成 20 年 5 月 9 日付け法務省保観第 325 号法務省矯正局長・法務省保護局長依命通達)(抄) ···················· 199 171

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【担当保護司の複数指名(3-(1)—ア-(イ))関係】 資料⑰ 保護観察等における担当保護司の複数指名について(通知) (平成 25 年 4 月 26 日付け法務省保観第 42 号法務省保護局観察課長通知) (抄) ·········· 200 【保護観察官・先輩保護司等のサポート(3-(1)—ア-(ウ))関係】 資料⑱ 保護観察対象者の来訪の確保について(通知)(令和元年 7 月 9 日付け 法務省保観第 26 号法務省保護局観察課長通知) (抄) ······················ 201 【保護観察対象者との面接場所の確保支援(3-(1)—イ-(ア))関係】 資料⑲ 更生保護サポートセンターを活用した更生保護活動の促進について(通達) (平成 23 年 3 月 25 日付け法務省保更第 108 号法務省保護局長通達) (抄)···· 201 資料⑳ 更生保護サポートセンターの設置・運営に係る留意点について(通知) (平成 24 年 4 月 6 日付け法務省保更第 37 号法務省保護局更生保護振興 課長通知) (抄) ······················································· 201 資料㉑ 保護司実費弁償金支給規則の運用について(通達) (平成 27 年 4 月 9 日付 け法務省保総第 141 号法務省大臣官房会計課長・保護局長通達)(抄)········ 202 資料㉒ 保護司実費弁償金支給規則の運用細則について(通知)(平成 27 年 4 月 9 日付け法務省保総第 142 号法務省保護局総務課長通知)(抄)················ 202 資料㉓ 更生保護サポートセンター運営の手引き(平成 30 年 3 月版)(抄)··········· 203 【報告書に係る情報技術の活用(3-(1)—イ-(イ))関係】 資料㉔ 保護観察経過報告書(甲)の様式 ········································ 204 資料㉕ 保護司のてびき【平成 30 年度版】(法務省保護局) (抄) ··················· 206 資料㉖ 行政相談委員業務実施要領(昭和 59 年 7 月 1 日総務庁長官決定)(抄)······· 206 資料㉗ 行政相談委員苦情事案報告の様式 ········································ 207 資料㉘ 行政相談委員の手引(平成 31 年 4 月総務省行政評価局行政相談企画課) (抄) ································································ 208 資料㉙ 経済財政運営と改革の基本方針 2020~危機の克服、そして新しい未来へ~ (令和 2 年 7 月 17 日閣議決定)(抄) ···································· 209 【地域別定例研修の運営(3-(1)—イ-(ウ))関係】 資料㉚ 保護司研修要綱(平成 20 年 5 月 30 日付け法務省保更第 480 号法務省保護 局長通達) (抄) ······················································· 209 【協力雇用主名簿の取扱い(3-(1)—イ-(エ))関係】 資料㉛ 協力雇用主登録等要領(平成 30 年 8 月 23 日付け法務省保更第 82 号 法務省保護局更生保護振興課長通知)(抄) ······························· 210 172

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【担い手確保に関する取組(3-(2))共通】 資料㉜ 保護司及び保護司選考会委員の委嘱及び解嘱等に関する事務の取扱いに ついて(昭和 58 年 12 月 23 日付け保総第 402 号法務省保護局長通達)(抄)··· 211 【保護司候補者の確保のための方策(3-(2)—ア)共通】 資料㉝ 保護司の選考に関する規則(平成 13 年法務省令第 15 号)(抄)·············· 212 資料㉞ 保護司及び保護司選考会委員の委嘱及び解嘱に関する訓令(昭和 59 年 2 月 27 日付け法務省人任訓第 222 号) ····································· 212 資料㉟ 平成 24 年版犯罪白書(法務省) (抄) ···································· 212 【保護司候補者検討協議会等(3-(2)—ア-(ア))関係】 資料㊱ 保護司候補者検討協議会設置要綱(平成 20 年 3 月 31 日付け法務省保更 第 178 号法務省保護局長通達)(抄) ····································· 213 資料㊲ 保護司候補者検討協議会設置要綱の実施について(解説) (平成 20 年 3 月 31 日付け保更第 179 号総務課長・更生保護振興課長通知) (抄) ································································ 214 【市町村等の協力(3-(2)—ア-(イ))関係】 資料㊳ 「保護司の安定的確保に関する基本的指針」について(通知) (平成 26 年 4 月 1 日付け法務省保更第 48 号法務省保護局長通知)(抄)······ 217 資料㊴ 保護司活動に関する地方公共団体に対する協力等依頼について(通達) (平成 26 年 6 月 30 日付け法務省保更第 73 号法務省保護局長通達)(抄)····· 217 資料㊵ 再犯防止対策の推進に向けた保護司活動に関する地方公共団体への協力 依頼について(通達) (令和元年 5 月 8 日付け法務省保更第 2 号法務省保 護局長通達) (抄) ····················································· 218 【保護司候補者の年齢制限の運用(3-(2)—イ)関係】 資料㊶ 新任の保護司候補者の推薦時における年齢制限にかかる例外規定の弾力 的な運用について(通知)(令和元年 12 月 25 日付け法務省保総第 303 号 法務省保護局総務課長・更生保護振興課長通知) (抄) ····················· 218 資料㊷ 「保護司及び保護司選考会委員の委嘱及び解嘱等に関する事務の取扱い について」の一部改正について(通達)(令和 2 年 3 月 26 日付け法務省 保総第 88 号法務省保護局長通達) (抄) ·································· 219 【保護司活動インターンシップ(3-(2)—ウ-(ア))関係】 資料㊸ 「保護司活動インターンシップ」実施要領(平成 28 年 3 月 31 日付け法 務省保更第 22 号法務省保護局長通達)(抄) ······························ 219 173

180.

⑴ アンケート調査における自由記入欄の意見等 「保護司の活動に関するアンケート調査」では、法務省における保護司制度の運用に資する 観点から、質問とは別に、保護司活動の全般についての御意見・御要望等をお聴きした。その 結果、多数の保護司の方々から、様々な御意見・御要望等を頂いたところであり、紙面の都合 上、次のとおり、その一部を紹介したい。 (保護観察事件等の担当保護司の指名関係) ○ 地域別で対象者が偏りがちな面があります。担当の多い保護司、ない保護司があり分担する 方法を考えていただきたい。 ○ 保護司 15 年目ですが、担当は全くなく不安を感じています。ボランティアですので良き経 験をさせていただいていると考えて頑張っています。 ○ まだ担当経験がないので正直不安でならない。周りの方々に教えていただきながら務められ ればよいと思っています。 ○ 一人で担当する機会が 1 度もなかった (2 人での担当が 1 回のみ)。他の保護司は同時期に 2 件くらい担当していたり、自分より遅く保護司を受けた人でも担当したりしている。実際に担 当していないので不要なら辞めたいと何度も思った。地域的に事件も少ないのかもしれないが、 実践しないと何のために研修だけ受けなければならないのか疑問 ○ 保護司の出番がほとんどない地域の実態や保護司の充足率が 100%であることなどから、ほ とんど実質的な保護司活動が求められることがない状態が任に就いてから 15 年以上たってい る。そのため研修内容が自分の中で空回りしてモチベーションを高く持ち続けるのが難しい。 ○ 地域に保護観察事案がないのは良いことであるが、保護司としての経験が身に付かないので、 できるだけ早く経験が身に付くよう担当保護司をうまく割り振ってもらいたい。 ○ 担当件数が少ないことと、次の担当者を受け持つまでの期間が長すぎて、不安のみが増大し ている。 ○ 一人で対象者を数多く担当することが多いので、ベテラン、中堅、初心者の保護司と均等に 対象者を持たせるように心掛けてもらいたい。 ○ いまだ、対象者を持ったことがなく、それに対する不安がとてもある。自分に務まるのだろ うかという思いが強い。 (担当保護司の複数指名関係) ○ 自分がもし保護観察事件を担当した場合、一人でなく複数で担当したいです。 ○ 一人で男性の対象者の家に往訪する事は非常に不安であり、他の保護司の先生に同伴を依頼 したこともあった。保護司OB、OGでもよいので主担当・副担当の 2 人体制で臨めると安心 できる。ベテランと相談しながら進められたらよいと思う。 ○ 保護観察は、犯罪の減少等によりかなり減ってきています。中には、保護観察を行ったこと のない方もいらっしゃいます。一人で不安を持って保護観察をなさる保護司も多いと思います。 そこで、同一事件の保護観察を 2 人で行うことを提案いたします。 174

181.

○ この保護司活動も 2 人組で面談するなど(女性だから不安な面がある。1 対 1 の面談)とい うやり方も今後を担う保護司の方々の不安・負担がかからないやり方を要望します。 ○ 初めて対象者と接する時、一人で対応することに不安を感じた。先輩保護司と実習のような 形で取り組めたら心強いのではないかと思った。 ○ 保護司になって日が浅い時期に対象者を担当する時は、一人でなく経験のあるベテラン保護 司と複数体制で担当することを望みます。最近この体制が整ってきたことは、初任者にとって、 不安も減り、また、面接後でも、先輩保護司に相談に乗ってもらえることができると思います。 ○ 他人の人生に大きく関わる重要でかつ繊細な仕事でありながら、新任でもいきなり単身で、 事案を預けられる事はいかがなものか。一期目は、ベテラン保護司に帯同し、話し方や、細か な部分を実地に勉強させてほしい。大量の書物を与えてもらうだけでは到底理解できない。是 非複数担当を。 ○ 対象者を一人の保護司で対応すると負担を感じる。2 人(複数)で対応した時は負担感が半 減して精神的にも楽である。月 2 回の面接を 2 人の保護司が連携して行うような形をもっと取 り入れてほしい。 ○ 経験が浅いため、薬物事犯や複雑な事件等への対応に大変不安があります。未経験者が担当 する場合には、ベテラン保護司との 2 名体制を考えてほしいです。 (保護観察官・先輩保護司等のサポート関係) 〔保護観察官〕 ○ 分からないことは、保護観察官に聞くことができるので問題はない。 ○ まだまだ未熟なゆえ、保護観察対象者に対する言い方や接する態度に迷うこともありま す。その都度、保護観察官に相談に乗ってもらっています。分からないこと、不安なこと、 全て回答してもらえていますので助かります。 ○ 就労支援や保護観察対象者の保護者への対応など具体的なことを相談したくても保護観察 官と充分に話す時間がなく、私が感じている不安を理解してもらえているとは感じられませ ん。意見の違いもあるので、担当の保護観察官が変わるたびに負担感を感じます。 ○ 地区担当の保護観察官との交流がない。 ○ 個人的な疑問など研修日に聞くのも気が引けるので 年に一度でもいいので、保護観察官 との面接日を設けていただきたく思います。 〔先輩保護司等〕 ○ 先輩や仲間の保護司の方のお話には学びが多いです。感謝しています。 ○ 研修会や会議などで他の保護司の方と顔を合わせることは、意見交換したり、情報交換し たりして刺激を受けて有意義に感じています。 ○ 今まで守秘義務があるので先輩保護司に相談したことがなかった。 ○ 地域の保護司以外の方々に活動内容が理解されていないので、誤解を受けることが多々あ る。保護司同士のコミュニケーション不足から、相談や指導を仰ぐ機会がないので、常に不 安を抱いている。 175

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○ 先輩保護司がどのようなケースを扱ってきたのか、全く分からず処遇について相談できない。 (保護観察対象者との面接場所の確保支援関係) ○ 保護観察対象者が自分の子供(女性)の同級生(男性)であったため、自宅に呼べず、対象 者宅で続けたケースもある。 ○ 自宅に保護観察対象者を入室させることに多少の不安や抵抗がある。特に私の子供が女性で 高校生までは、不安が大きく、洗濯物などを対象者の目に触れないよう対応した。今でも対象 者には夫の事以外は家族の話はしないようにしている。 ○ 放火をした保護観察対象者を担当した際は、面接を自宅でせず、対象者の自宅で実施した。 ○ 家で暖かく迎え入れて更生を図ると言われていることもあり、昔は家族に気を遣い時間を調 整して迎えていたが、今は環境の変化や社会の状況が変ってきている。面接場所として気楽に 使用できる所があるともっと保護司になる人も増えるのではないかと思う。 ○ 保護司になりたがらない理由の一つに自宅に保護観察対象者を入れて面接を行うのが嫌で あるということがあると思う。サポートセンターは、近くの人は良いが離れている人達は利用 しにくい。そこで、自宅、サポートセンター以外での場所(例えば学校、公民館、自治会館等) が利用できると良いと思う。 ○ 保護司の後継者確保について、最大のポイントは、面接場所の確保であると考える。保護観 察対象者との面接場所を自宅以外でいかに効率よく確保できるかにかかっていると考える。家 族は保護司の活動内容を理解はしていても、自宅での面接をどうしても嫌がる。 〔サポートセンター〕 ○ サポートセンターが設置され、保護司会の事務作業がやりやすくなった。面接場所として利 用でき、時間の変更等に臨機応変に対応できるようになった。 ○ 面接について、サポートセンターを利用したいが、保護観察対象者は運転免許を持っていな い者が多いこと、私たちの地域では公共交通機関がほとんどなくなっていて自宅でせざるを得 ない状況なので、家族の理解を得て実施しているのが実情である。以上のことが全てではない が保護司の後継者問題は高齢化と合わせて重要なことだと思う。 ○ 就労中の保護観察対象者は、休日又は平日夜間(遅い時は深夜 11 時頃)に面接することが 多い。特に平日夜間の自宅での面接は、保護司の家族へも気を遣っている。サポートセンター は平日夜 8 時までしか利用できない。休日、平日深夜まで利用できる面接場所の確保が必要と 思う。 (報告書に係る情報技術の活用関係) ○ 報告書の作成が大変なので、重大事件の対象者以外はもう少し簡略化したものになると良い と思います。 ○ 保護観察対象者の面接時の指導と報告書の記載事項について、保護観察対象者の更生に向け て、月 2 回の面接を行っていますが、対象者が更生の姿勢や、変化がみられない状況が続くと、 的確なアドバイスや指導方法、また、報告書の記載に悩むことがあります。 176

183.

○ 仕事を持ちながら研修や保護観察の面接、報告書の作成をすることは時間的に厳しくつらい。 ○ 各種報告書提出時の切手の購入が面倒である。料金後納郵便等の封筒があれば助かります。 ○ 保護観察経過報告書の作成・提出になぜパソコンを活用しては駄目なのか。少ないスペース の中に私のような字を書く者は書ききれないし、書くことも不可能です。今はパソコンを利用 していますが、入カフォームを自分で作成するのが大変です。 (地域別定例研修の運営関係) ○ 経験の浅い私にとって、定例研修は、保護観察官が豊富な経験からのポイントや要領をかみ 砕いて伝えてくれるため、大変分かりやすく、また、保護観察官との距離も縮めてくれる貴重 な機会となっている。 ○ 定例研修は皆さんの体験などが聞ける場でもあり、今後対象者を受け持った時に役立つと思 っている。 ○ 新任研修や、地域研修に出席することにより、知識を増やしたり、先輩保護司との交流がで きたりすることは大変心強く思っている。研修に積極的に参加し、より良い保護司としての活 動ができるよう準備しておこうと思う。 ○ 最近、保護区の研修などの出席率が悪くなって心配。特に、最近保護司になられた方が欠席 する率が高い傾向がみられる感じがする。 ○ 定例研修を欠席した者に対して、インターネットで定例研修の内容の受講ができるよう配慮 すれば、若手保護司の確保もできやすくなる。 ○ 平日の昼間は仕事をしている人が増加傾向にあると思われ、休みを取得して研修に参加して いる現状にあるので、一部研修を休日又は夜間に実施することを検討していただきたい。 ○ 現役の農家であるので、その時々の管理作業を放置してまで研修に参加する時間的、経済的 な余裕がないのが現実である。 ○ 現職で仕事をしているので、日中の研修や保護司会の活動に参加できない。それを責める保 護司がいる。 ○ 地域での研修会に一定割合以上出席しないと、保護司を続けられないこと。 ○ 研修会等に仕事の都合でなかなか参加できていません。保護観察事件についての活動は特に 困っておらず、分からないことも主任官に聞くなどして活動していますが、研修会や、保護司 会の活動に参加できず、先輩保護司の方に文句を言われ非常に煩わしさを感じる。 (協力雇用主名簿の取扱い関係) ○ 山あいの小さな過疎地域なので、保護観察対象者の就労に苦慮している。近隣の都市部地区 保護司会や雇用主会との交流ができれば情報交換、共生互助の方向性が見いだされる。 ○ 就労支援について、県内に複数の雇用主会があるが、各地区への情報連絡が全くできていな い。協力雇用主は多数あるが、名前だけ。雇用主会の情報での就労は極端に少なく、保護司個 人の人脈で就労させているのが現状である。市と市や地区が隣り合わせでも、県や地区が違う と情報は全く手に入らない。 177

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○ 就労支援については、積極的に雇用主会に協力を求めるものの、求人情報は、個人情報に関 係するためか分からないが全く入ってこないので、協力するすべもないのが実情である。 ○ 協力雇用主による採用状況について、保護司が十分に理解できていない。 ○ 協力雇用主関係の情報が不足している(安心できる雇用関係が流れてこない)。 (都道府県・市町村との連携関係) ○ 地域で保護司活動の存在が余り知られておらず、地方公共団体との関わりも少ない。保護司 会が関係団体との連携を積極的に深めるべきと感じる。 ○ これまでの長い経緯から、保護観察所と地方公共団体とのつながりが弱く、地方公共団体か ら保護司会の運営事務への手助けが余りない。保護観察所がもっと前面に立って地方公共団体 などに協力を求めてほしい。 ○ 保護司と民生委員をしているが、両者はつながりがあるようで全く連携しておらず、障害者 の状況も全く連絡がないため、災害時の行動をどうしたらよいか、分からないことがある。も っと行政等がしっかりと掌握すべきではないかと思う。 ○ 地方公共団体等への働き掛けが充分なされているだろうか。例えば、社明運動について、令 和元年度で第 68 回を数えるが住民への理解はなかなか得られていない。また、再犯防止推進 法も更生保護の広報材料としてアピールしたい。 ○ 国又は保護観察所は、地方公共団体職員を出席させる会議を定期的に開催して協力を求めて もらいたい。 ○ 保護司の立ち位置が地域組織と連携したものになっていない中で、犯罪予防等の活動をする ことは難しいと思う。犯罪予防・再犯防止を国から都道府県、市町村などへ浸透させていき、 保護司が地域活動の中で役割を果たしていることを明確にするための啓発活動や仕組みづく りを全体で行ってほしい。 ○ 保護司会と市町村との関わりが少ないように思う。もっと連携してほしい。 ○ 地方公共団体等にアプローチする方法は、日本更生保護協会が発行する冊子「更生保護」を 首長や教育委員会、福祉課長等担当部署、社会福祉事業協会等外部団体に提供し、課題を決め て話し合うことが大切である。国・県段階で理解され、市町村にも協力要請がされれば解決は 早い。ただ、財政上の厳しさから、職員数の減少もあり、困難な面も多いと思うが、粘り強く 働き掛けをすべき。 ○ 国・地方公共団体の更なる連携、協働の下、再犯を防止し、安全・安心な地域社会づくりを、 客観的なデータ等を用いて検証して確立していっていただきたいと考えている。 ○ 薬物事犯等専門知識を必要とする場合のサポートが少し不十分な気がすると同時に、保護司 の活動に対しての、地方公共団体、警察などの理解・協力が不足しており、保護観察対象者と の間で板挟みになる事もある。今一度、地方公共団体・警察の現場の方への教育・周知をお願 いする。 178

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(保護司候補者の確保のための方策関係) ○ 自身も含め保護司の推薦で選任される例が多く、知人の集まりのようで閉塞感がある。なか なかなり手のいない保護司ではあるが、多様で清新な人材が選任されたらよいと思う。 ○ 社会の現況として 65 歳定年、定年後も 5 年は勤めるなどによって適任者の範囲が縮小され 後継者確保に苦慮している。 ○ 国の制度が改正される度に、保護司への負担が増えているのではないかと感じている。自分 が退任する時期が来る頃に後継者を確保できるのか不安である。 ○ 後継者確保が難しい。知人に声を掛けても危険、不要を訴えられ、断られてしまう。 (保護司候補者検討協議会等関係) ○ 地区保護司会の取組として、協議会がスタートしたことにより、以前よりも確保が容易にな り、負担軽減が図られてきた。更に常時活動として意識的に推進していきたい。 ○ 協議会を未設置のため、欠員補充が進まない。 ○ 協議会での広範な情報提供にて候補者が挙がるが、成果が得られない。 (市町村等の協力関係) ○ 後継者確保に関して、人脈をたどるだけでは、なかなか引き受けてくださる方が見当たらな いことが多いと思います。行政からのバックアップが必要になってくると思います。 ○ 民生委員・児童委員や人権擁護委員は、人材確保を行政が進めていくが保護司は自ら進めな くてはならず、65 歳を過ぎても、働く人、老後はボランティアより趣味を、という人がほとん ど。行政が、候補者を探す手助けをしてもらいたい。 ○ 保護司の後継者確保については厳しい状況です。市・県職員退職者に対し、退職後 2~3 年 の保護司としての貢献は、お願いできないものかと考えています。 (保護司候補者の年齢制限の運用関係) ○ どの保護区も人材確保が困難な状況下、定年制度を撤廃してはどうかと思っております。75 歳でも意欲のある方々は大勢いると思われる。 ○ 保護司人材確保のため、定年の延長をお願いいたします。心身共に健康な 75 歳以上の方に ついては、1 年更新にして保護司を続けられるようにしてはと思います。 ○ 保護司の後継者確保について、新任時の年齢制限をもう 1 歳くらい上げていただきたい。以 前と違い満 65 歳で定年する人が多く、保護司になってもらうために依頼に行く頃はまだ現役 でなかなか引き受けていただけない。仕事を引退し、地域のことに協力できる年齢になる頃に は、推薦年齢を越えてしまう。 ○ 保護司の年齢層が高いため、若返りを図っていく必要があるのではと感じています。長い年 月をかけて培った経験や知識によって若い人たちのお手本になる反面、経験主義に陥りやすい 面もあるかと思います。今の若い人たちの子育て、生き様に寄り添っていく必要があるように 思います。保護観察の対象者には中高校生もいるので、学校現場の先生方に近く、子供にも近 179

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い保護司がいるというのも必要なのではないかと思います。 ○ 保護司の定年延長の話も出るが、75 歳以上の年齢では体力等に個人差があり過ぎる。 (保護司活動の広報(犯罪予防活動)関係) ○ 最近、地域においても、保護司の活動が、自治会内で自治会長を通じて実施している愛の協 力金募金や社明運動での街頭広報活動の実施などの活動で地域住民に浸透しつつある。 ○ 年 1 回開催する「公開ケース研究会」では、地域を担う町づくりセンター長、小中学校教師、 PTA役員、民生委員・児童委員、青少年育成委員、BBS会等が一堂に会し、意見交流の中 で保護司活動や社明運動の意義が共有された。安心できる地域は、地域で見守ることで犯罪の 芽生え難い、安全・安心な地域づくりなのだと参加者と共有できたのが成果である。 ○ 犯罪予防活動で街頭広報に参加しているが、関心を示して下さる方が少ないことがさみしい。 ○ 犯罪予防活動が多過ぎて負担である。もっとこれらの活動は地域自治会の活動としてお願い し、保護司は、協力する程度にすべきか、保護観察対象者に対する活動に特化すべきではない か。 ○ 犯罪予防活動については、街頭でのチラシ配布等を行うが、どの程度犯罪予防に役立ってい るのか疑問である。犯罪予防活動の成果について知りたい。単なる啓発活動をしているだけで よいか。 ○ 犯罪予防活動として、社明運動での啓発活動や地域集会等を実施しているが、犯罪予防とし ての効果が実感できない。地域住民へ浸透していないのではないかと思っている。つまり、保 護司の活動が一般的に周知されておらず、理解されていないのではないかと考えている。 ○ もう 保護司はやってみるとすばらしいボランティア活動であるという啓 蒙 を積極的に行ってい かないと現在の社会情勢では後継者の確保が難しいと思う。30 歳代、40 歳代の方は保護司の 活動について知らない方が多い。 ○ 世の中では保護司について怖いものを扱うように思われている。理解が全く進んでいない。 理解をしているのは一部の人たちだけである。過度のPRはどうかと思うが、世の中でもっと 保護司の理解が進むように願う。 ○ 私個人としてはもっともっと犯罪予防活動を増やし、地域社会に広報して成果を上げたいの だが、そうなると、保護司会員の負担が増すとの反対意見が多く出る。 ○ 保護司は、非常に重要な役割であるにもかかわらず一般の方々に理解が行き渡っているとは 言えない。 「犯罪者をなぜ援助しなければならないのか」などということを言う方もあり、活動 に苦慮している。青少年のときから理解を深めていくことが肝要と考え、社明運動の担い手を 若年層に広げていく手段を考えていかねばならないと思う。 180

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⑵ 法令、通知等 【共通】 資料① 保護司法(昭和 25 年法律第 204 号) (抄) (保護司の使命) 第一条 保護司は、社会奉仕の精神をもつて、犯罪をした者及び非行のある少年の改善更生を助ける とともに、犯罪の予防のため世論の啓発に努め、もつて地域社会の浄化をはかり、個人及び公共の 福祉に寄与することを、その使命とする。 (設置区域及び定数) 第二条 保護司は、法務大臣が都道府県の区域を分けて定める区域(以下「保護区」という。 )に置く ものとする。 2 保護司の定数は、全国を通じて、五万二千五百人をこえないものとする。 3 保護区ごとの保護司の定数は、法務大臣がその土地の人口、経済、犯罪の状況その他の事情を考 慮して定める。 4 (略) (推薦及び委嘱) 第三条 保護司は、左の各号に掲げるすべての条件を具備する者のうちから、法務大臣が、委嘱する。 一 人格及び行動について、社会的信望を有すること。 二 職務の遂行に必要な熱意及び時間的余裕を有すること。 三 生活が安定していること。 四 健康で活動力を有すること。 2 法務大臣は、前項の委嘱を、地方更生保護委員会の委員長に委任することができる。 3 前二項の委嘱は、保護観察所の長が推薦した者のうちから行うものとする。 4 保護観察所の長は、前項の推薦をしようとするときは、あらかじめ、保護司選考会の意見を聴か なければならない。 (保護司選考会) 第五条 保護観察所に、保護司選考会を置く。 2~4 (略) (任期) 第七条 保護司の任期は、二年とする。但し、再任を妨げない。 (職務の執行区域) 第八条 保護司は、その置かれた保護区の区域内において、職務を行うものとする。但し、地方更生 保護委員会又は保護観察所の長から特に命ぜられたときは、この限りでない。 (職務の遂行) 第八条の二 保護司は、地方更生保護委員会又は保護観察所の長から指定を受けて当該地方更生保護 委員会又は保護観察所の所掌に属する事務に従事するほか、保護観察所の長の承認を得た保護司会 の計画の定めるところに従い、次に掲げる事務であつて当該保護観察所の所掌に属するものに従事 するものとする。 一 犯罪をした者及び非行のある少年の改善更生を助け又は犯罪の予防を図るための啓発及び宣 伝の活動 二 犯罪をした者及び非行のある少年の改善更生を助け又は犯罪の予防を図るための民間団体の 活動への協力 三 犯罪の予防に寄与する地方公共団体の施策への協力 四 その他犯罪をした者及び非行のある少年の改善更生を助け又は犯罪の予防を図ることに資す る活動で法務省令で定めるもの 181

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(服務) 第九条 保護司は、その使命を自覚し、常に人格識見の向上とその職務を行うために必要な知識及び 技術の修得に努め、積極的態度をもつてその職務を遂行しなければならない。 2 保護司は、その職務を行うに当つて知り得た関係者の身上に関する秘密を尊重し、その名誉保持 に努めなければならない。 (費用の支給) 第十一条 保護司には、給与を支給しない。 2 保護司は、法務省令の定めるところにより、予算の範囲内において、その職務を行うために要す る費用の全部又は一部の支給を受けることができる。 (保護司会) 第十三条 保護司は、その置かれた保護区ごとに保護司会を組織する。 2 保護司会は、次に掲げる事務を行うことを任務とする。 一 第八条の二に規定する計画の策定その他保護司の職務に関する連絡及び調整 二 保護司の職務に関し必要な資料及び情報の収集 三 保護司の職務に関する研究及び意見の発表 四 その他保護司の職務の円滑かつ効果的な遂行を図るために必要な事項で法務省令で定めるも の (保護司会連合会) 第十四条 保護司会は、都道府県ごとに保護司会連合会を組織する。ただし、北海道にあつては、法 務大臣が定める区域ごとに組織するものとする。 2 保護司会連合会は、次に掲げる事務を行うことを任務とする。 一 保護司会の任務に関する連絡及び調整 二 保護司の職務に関し必要な資料及び情報の収集 三 保護司の職務に関する研究及び意見の発表 四 その他保護司の職務又は保護司会の任務の円滑かつ効果的な遂行を図るために必要な事項で 法務省令で定めるもの (地方公共団体の協力) 第十七条 地方公共団体は、保護司、保護司会及び保護司会連合会の活動が、犯罪をした者及び非行 のある少年の改善更生を助けるとともに犯罪を予防し、地域社会の安全及び住民福祉の向上に寄与 するものであることにかんがみ、その地域において行われる保護司、保護司会及び保護司会連合会 の活動に対して必要な協力をすることができる。 (注)下線は当省が付した。 資料② 保護司会及び保護司会連合会に関する規則(平成 11 年法務省令第 2 号)(抄) (保護司の従事する事務) 第一条 保護司法(昭和二十五年法律第二百四号。以下「法」という。 )第八条の二第四号に規定する 法務省令で定める活動は、次のとおりとする。 一 犯罪をした者及び非行のある少年の改善更生を助けるために、その者を雇用する事業主の確保 その他の雇用の促進を図る活動 二 犯罪をした者及び非行のある少年の改善更生を助けるために、教育、医療又は福祉に関する公 私の団体又は機関からの協力の促進を図る活動 三 犯罪の予防を図るために、公私の団体又は機関からの協力の促進を図る活動 四 犯罪の予防に寄与する公私の団体又は機関(地方公共団体を除く。)の施策又は活動への協力 五 犯罪の予防に関する事項について、住民からの相談に応じ、必要な助言その他の援助を行う活 動 182

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(保護司会の任務) 第四条 法第十三条第二項第四号に規定する法務省令で定める事項は、次のとおりとする。 一 保護司の職務に関する研修 二 保護司及び保護司会の活動に関する広報宣伝 三 保護司の人材確保の促進に関する活動 四 保護司の職務遂行に関し災害が発生した場合の救済に関すること(国家公務員災害補償法(昭 和二十六年法律第百九十一号)に基づくものを除く。)。 (注)下線は当省が付した。 資料③ 売春防止法(昭和 31 年法律第 118 号) (抄) (仮退院中の保護観察) 第二十六条 仮退院を許された者は、補導処分の残期間中、保護観察に付する。 2 (略) (注)下線は当省が付した。 資料④ 更生保護法(平成 19 年法律第 88 号)(抄) (目的) 第一条 この法律は、犯罪をした者及び非行のある少年に対し、社会内において適切な処遇を行うこ とにより、再び犯罪をすることを防ぎ、又はその非行をなくし、これらの者が善良な社会の一員と して自立し、改善更生することを助けるとともに、恩赦の適正な運用を図るほか、犯罪予防の活動 の促進等を行い、もって、社会を保護し、個人及び公共の福祉を増進することを目的とする。 (国の責務等) 第二条 国は、前条の目的の実現に資する活動であって民間の団体又は個人により自発的に行われる ものを促進し、これらの者と連携協力するとともに、更生保護に対する国民の理解を深め、かつ、 その協力を得るように努めなければならない。 2 地方公共団体は、前項の活動が地域社会の安全及び住民福祉の向上に寄与するものであることに かんがみ、これに対して必要な協力をすることができる。 3 (略) (所掌事務) 第二十九条 保護観察所は、次に掲げる事務をつかさどる。 一 この法律及び売春防止法の定めるところにより、保護観察を実施すること。 二 犯罪の予防を図るため、世論を啓発し、社会環境の改善に努め、及び地域住民の活動を促進す ること。 三 前二号に掲げるもののほか、この法律その他の法令によりその権限に属させられた事項を処理 すること。 (協力等の求め) 第三十条 保護観察所の長は、その所掌事務を遂行するため、官公署、学校、病院、公共の衛生福祉 に関する機関その他の者に対し、必要な援助及び協力を求めることができる。 (保護司) 第三十二条 保護司は、保護観察官で十分でないところを補い、地方委員会又は保護観察所の長の指 揮監督を受けて、保護司法(昭和二十五年法律第二百四号)の定めるところに従い、それぞれ地方 委員会又は保護観察所の所掌事務に従事するものとする。 (保護観察の対象者) 第四十八条 次に掲げる者(以下「保護観察対象者」という。 )に対する保護観察の実施については、 この章の定めるところによる。 183

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一 少年法第二十四条第一項第一号の保護処分に付されている者(以下「保護観察処分少年」とい う。 ) 二 少年院からの仮退院を許されて第四十二条において準用する第四十条の規定により保護観察 に付されている者(以下「少年院仮退院者」という。) 三 仮釈放を許されて第四十条の規定により保護観察に付されている者(以下「仮釈放者」という。) 四 刑法第二十五条の二第一項若しくは第二十七条の三第一項又は薬物使用等の罪を犯した者に 対する刑の一部の執行猶予に関する法律第四条第一項の規定により保護観察に付されている者 (以下「保護観察付執行猶予者」という。) (指導監督の方法) 第五十七条 保護観察における指導監督は、次に掲げる方法によって行うものとする。 一 面接その他の適当な方法により保護観察対象者と接触を保ち、その行状を把握すること。 二 保護観察対象者が一般遵守事項及び特別遵守事項(以下「遵守事項」という。 )を遵守し、並び に生活行動指針に即して生活し、及び行動するよう、必要な指示その他の措置をとること。 三 特定の犯罪的傾向を改善するための専門的処遇を実施すること。 2 保護観察所の長は、前項の指導監督を適切に行うため特に必要があると認めるときは、保護観察 対象者に対し、当該指導監督に適した宿泊場所を供与することができる。 (補導援護の方法) 第五十八条 保護観察における補導援護は、保護観察対象者が自立した生活を営むことができるよう にするため、その自助の責任を踏まえつつ、次に掲げる方法によって行うものとする。 一 適切な住居その他の宿泊場所を得ること及び当該宿泊場所に帰住することを助けること。 二 医療及び療養を受けることを助けること。 三 職業を補導し、及び就職を助けること。 四 教養訓練の手段を得ることを助けること。 五 生活環境を改善し、及び調整すること。 六 社会生活に適応させるために必要な生活指導を行うこと。 七 前各号に掲げるもののほか、保護観察対象者が健全な社会生活を営むために必要な助言その他 の措置をとること。 (保護観察の実施者) 第六十一条 保護観察における指導監督及び補導援護は、保護観察対象者の特性、とるべき措置の内 容その他の事情を勘案し、保護観察官又は保護司をして行わせるものとする。 2 (略) (収容中の者に対する生活環境の調整) 第八十二条 保護観察所の長は、刑の執行のため刑事施設に収容されている者又は刑若しくは保護処 分の執行のため少年院に収容されている者(以下この条において「収容中の者」と総称する。)につ いて、その社会復帰を円滑にするため必要があると認めるときは、その者の家族その他の関係人を 訪問して協力を求めることその他の方法により、釈放後の住居、就業先その他の生活環境の調整を 行うものとする。 2~4 (略) (保護観察付執行猶予の裁判確定前の生活環境の調整) 第八十三条 保護観察所の長は、刑法第二十五条の二第一項の規定により保護観察に付する旨の言渡 しを受け、その裁判が確定するまでの者について、保護観察を円滑に開始するため必要があると認 めるときは、その者の同意を得て、前条第一項に規定する方法により、その者の住居、就業先その 他の生活環境の調整を行うことができる。 (準用) 第八十四条 第六十一条第一項の規定は、第八十二条第一項及び前条の規定による措置について準用 する。 184

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(注)下線は当省が付した。 資料⑤ 再犯の防止等の推進に関する法律(平成 28 年法律第 104 号) (抄) (連携、情報の提供等) 第五条 国及び地方公共団体は、再犯の防止等に関する施策が円滑に実施されるよう、相互に連携を 図らなければならない。 2 国及び地方公共団体は、再犯の防止等に関する施策の実施に当たっては、再犯の防止等に関する 活動を行う民間の団体その他の関係者との緊密な連携協力の確保に努めなければならない。 3 国及び地方公共団体は、再犯の防止等に関する施策の実施に当たっては、再犯の防止等に関する 活動を行う民間の団体その他の関係者に対して必要な情報を適切に提供するものとする。 4 再犯の防止等に関する活動を行う民間の団体その他の関係者は、前項の規定により提供を受けた 犯罪をした者等の個人情報その他の犯罪をした者等の個人情報を適切に取り扱わなければならな い。 (関係機関における体制の整備等) 第十八条 国は、犯罪をした者等に対し充実した指導及び支援を行うため、関係機関における体制を 整備するとともに、再犯の防止等に係る人材の確保、養成及び資質の向上のために必要な施策を講 ずるものとする。 第二十四条 地方公共団体は、国との適切な役割分担を踏まえて、その地方公共団体の地域の状況に 応じ、前節に規定する施策を講ずるように努めなければならない。 (注)下線は当省が付した。 資料⑥ 再犯防止推進計画(平成 29 年 12 月 15 日閣議決定) (抄) 第6 民間協力者の活動の促進等、広報・啓発活動の推進等のための取組(推進法第5条、第 22 条、 23 条、24 条関係) 1.民間協力者の活動の促進等 (1) (略) (2) 具体的施策 ① 民間ボランティアの確保 ア 民間ボランティアの活動に関する広報の充実 警察庁及び法務省は、国民の間に、再犯の防止等に協力する気持ちを醸成するため、 少年警察ボランティアや更生保護ボランティア等の活動に関する広報の充実を図る。 【警察庁、法務省】 イ 更生保護ボランティアの活動を体験する機会の提供 法務省は、若年層を含む幅広い年齢層や多様な職業など様々な立場にある国民が、実 際に民間協力者として活動するようになることを促進するため、保護司活動を体験する 保護司活動インターンシップ制度など、更生保護ボランティアの活動を体験する機会の 提供を推進する。【法務省】 ウ 保護司候補者検討協議会の効果的な実施等 法務省は、保護司候補者を確保するため、総務省、文部科学省、厚生労働省及び経済 産業省の協力を得て、地方公共団体、自治会、福祉・教育・経済等の各種団体と連携し て、保護司候補者検討協議会における協議を効果的に実施し、若年層を含む幅広い年齢 層や多様な職業分野から地域の保護司適任者に関する情報収集を促進する。また、法務 省は、同協議会で得られた情報等を踏まえて、保護司適任者に対して、実際に保護司と して活動してもらえるよう、積極的な働き掛けを実施する。 【総務省、法務省、文部科学 省、厚生労働省、経済産業省】 185