C++コードはいらない!UE4で作るお手軽マルチプレイネットワークゲームについて

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May 12, 22

ue4

スライド概要

UNREAL FEST 2015 YOKOHAMAで登壇した際に発表した内容のスライドです。
UE4上でマルチプレイネットワークゲームを作るための入門的な内容となっております。

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関西を拠点にUnreal Engineを専門とするゲームスタジオ、Indie-us Games代表&クリエイター。

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関連スライド

各ページのテキスト
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Unreal Fest 2015 Yokohama C++コードはいらない! UE4で作るお手軽マルチプレイ ネットワークゲームについて フリーランスゲームクリエイター コミュニティサポーター 中村 匡彦

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自己紹介 名前 : 中村 匡彦 Twitterでは『@aizen76』でやっています。 8年ほどゲーム会社でゲームプログラマーやってました。 3DアクションゲームやMMORPGなど幅広く携わってきました。 アンリアルフェスでも毎回喋らせてもらっています。 趣味もゲームを遊び、ゲーム制作しつつイラストを描いたり。

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今回のテーマは… ネットワークとマルチプレイヤー!

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UE4のネットワークについて クライアント・サーバーモデルを採用。 Client ただしUE4はエンジンがクライアント、 サーバー両方をこなせる仕組みを持つ。 Server Client Client

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UE4のネットワークについて 最初からエンジンコアの部分でネットワークに 対応する設計になっているので、シングルプレイヤーから マルチプレイヤーにするのも比較的簡単。 更にC++コードを書かなくてもブループリントのみで、 マルチプレイヤーゲームが作れるように配慮されています。

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サーバーについて ネットワークにおける最高権限を持ち、 ゲームプレイフローを管理します。 クライアントはサーバーにログインしてから、 あらゆる情報に従う必要があります。 ListenサーバーモードとDedicatedサーバーモードがあり。 どちらの手段であっても役割自体は同じ。

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Listenサーバーモード クライアントと同じようにゲームプレイを行なう事が可能。 サーバー機能を有しつつもクライアントのように動作する。 見た目にも動作がわかりやすく、テストプレイもしやすい。 特に問題がなければListenサーバーモードで。

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Dedicatedサーバーモード いわゆる完全なサーバー専用モード。 クライアントのような画面はなく、コマンドプロンプトの ような真っ黒い画面上でも動作する。 最低限のリソースで動作し、クライアントを処理するのに フルスペックで動作するので比較的大規模なネットワークの マルチプレイヤー向けのモード。

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クライアントについて サーバーにログインして、各々の見た目の部分を担当する。 ゲームロジックの処理はサーバー側にお任せ。 ただし、自分がコントロールするPlayerControllerの情報を 逐次サーバー側へと送信してあげる必要あり。 これをしないとサーバーとそれぞれのクライアント上で 自分の情報が反映されなくなってしまう。

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サーバーへのログイン(その1) サーバー側でレベルを起動する際にオプションを渡すと、 Listenモードで起動するので、そこにクライアントは IPアドレスを指定してログインする。 LANを使っての場合は、LANオプションを指定。 WANの場合はオプションはいらないが、繋ぎにいく側の UDPポート(デフォルトでは7777)を開放する必要あり。

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サーバーへのログイン(その1) Listenサーバーを実行 クライアントのログイン

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サーバーへのログイン(その2) UE4に用意されている『オンラインサブシステム』を使う。 これはプラットフォーム(Steam等)毎に用意されている、 オンライン機能をUE4用にラッピングして使えるようなっている。 セッション(ルームとも言う)作成、検索、参加、破棄を 簡単に行なう事ができ、マッチングシステムを提供。 エラーハンドリングまで簡単にできます。

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サーバーへのログイン(その2)

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Play In Editorの場合 レベルを実行した時点で複数プレイヤーを ログインさせた状態でいきなり実行可能! 実行時にサーバーとクライアントを それぞれ自動に振り分け。 Playボタン横から選択可能なメニューで プレイヤー数を設定しておきます。

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1つのPC上で即マルチプレイ!

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レプリケーションについて

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レプリケーションとは? サーバーがクライアントに対してネットワークを通じて、 情報をレプリケート(複製)する事によって、 クライアント間で差異が生じないように同期する。 これをネットワークレプリケーションと呼び、 UE4では何をレプリケートするかを選択する事が可能。

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アクターのレプリケーション 基本はアクターに対してレプリケートを行ない、 多くのアクターではデフォルトでレプリケート設定になっている。 レプリケートがオンになっていると 自動的にアクターの動き等が 同期されるようになっている。

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レプリケート権限 レプリケーションはサーバーのみが行なう事ができます。 クライアントはサーバーに対してレプリケーションして 欲しい情報を送信する必要あり。 つまりサーバーとクライアントか判断してロジックを 変更して動かしてあげる必要がある。

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Switch Has Authorityマクロ サーバーと クライアントを 判断するマクロ。 ロジック分岐の際に 多用します。

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アクター所有権限 基本的にアクターはサーバーでスポーンしますが、 例外的にクライアント上でアクターをスポーンした場合、 クライアントがアクターの所有権を持つ。 クライアント上のアクターはレプリケートされないので、 ロジックやダイナミクスを含むアクターは基本的にサーバー上で スポーンしておく事をオススメします。

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変数のレプリケーション ブループリント上で変数を作った場合には、 プロパティの設定ひとつでレプリケーション可能。 単純なレプリケーションの他に、 変数値が変更された場合のイベント通知も可能。 この場合にはサーバーとクライアント双方に送信される。

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Replicated 最も単純な変数のレプリケーション。 設定をすると、変数値の変更は 自動的にサーバーからクライアントへ レプリケートされる。 クライアント上の変数値は一度 サーバーに送信してからレプリケートする。

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RepNotify Replicatedと同様の設定方法で使用可能。 選択すると自動的に『OnRep_<変数名>』 という関数が自動的に追加。 中身は自由に実装が可能で、該当名の変数値が変更される度に この関数がイベントのように呼び出されるようになる。

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RPC(リモートプロシージャコール)

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RPCとは? ネットワークの先にある環境で関数やイベントを実行する事。 UE4では標準で3つの呼び出し方法が存在。 ブループリントではカスタムイベントを作成して使用する。 デフォルトでは『Not Replicated(複製なし)』 になっているので、必要に応じて設定する。

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Multicast 呼び出しをサーバーで行なうと 全てのクライアントで処理が実行。 最も一般的なRPCイベント。 (Server to Client) クライアントで呼び出しても、 クライアント内でしか処理されない。

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Run on Server 呼び出しをクライアントで行なうと サーバー上で実行される。 ただしアクターの所有権が必要。 (Client to Server) サーバー上で呼び出しても、 クライアント上へレプリケートしない。

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Run on Owning Client サーバーから呼び出した場合に、 アクター所有権のあるクライアント上 でのみ実行される特殊なRPCイベント。 (Server to Client) クライアントで呼び出しても、 クライアント内でしか処理されない。

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RPC使い分け 『Multicast』はサーバーから全てのクライアントで 同期する際に一番最も頻繁に使用する。 『Run on Server』はクライアントからサーバー上へ何かしら 情報を通知したい場合に使用し、変数値を同期させる 場合にも使用するので非常に重要。 サーバー上で変数値を反映させれば自動的にレプリケートされる。

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RPC使い分け 『Run on owning Client』は最も特殊で、 アクター所有権を自分で管理しておく必要あり。 つまり、サーバーはそのアクターを誰が所有しているのかを 理解しておく必要があり、特定クライアントに対してのみの RPCイベントを行なう際にはこの仕組みを使用します。 またサーバーがアクター所有権を持っている場合もあり、 その場合には名前に反してサーバー上で実行されます。

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アクター所有権の確認 自分がそのアクターを所有しているのか確認する際には、 Pawnの場合には『Is Locally Controlled』を、 PlayerControllerは『Is Local Player Controller』を使用します。

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Reliability (信頼性) RPCには『Reliable』というプロパティがあり、 通信の信頼性を向上させる事が出来ます。 ただし、Reliableを設定すると通信帯域幅をより多く消耗し、 レイテンシーが大きくなる可能性があり、 リアルタイムマルチプレイゲームには向きません。 逆にパケットロスの可能性は大きくなります。

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通信パフォーマンス最適化 『Net Cull Distance Squared』は、 アクターのレプリケーションが届く範囲を 設定し遠距離の不要な通信しなくなる。 『Net Update Frequency』は通信の更新頻度 を設定する事が可能で少ないと通信も より少ない通信量で行なう事が出来るように。 『Net Priority』は通信混雑時の優先度。

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マルチプレイヤー化 実演

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マルチプレイヤー化 元々シングルプレイヤーなゲームを マルチプレイヤーへとライブノーディングしていきます! 今回使用するのはFPテンプレートを少し改造したもの。 デフォルトではシングルプレイヤーですが、 簡単にマルチプレイヤーへと変化します!

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マルチプレイヤー化 ゲームジャンルによっては、すぐにシングルプレイヤーを マルチプレイヤーに出来る事がわかったと思います。 UE4はこれだけの事がブループリントのみでもいけます! もちろんC++を使えばもっと奥深い事も可能です。

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その他 ネットワークやオンライン周り

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パッチやDLC 4.8からその機能自体は存在。 あまり情報はないですが、少しずつ資料が増量中。 DLCというよりもMODやUGCとして扱われているようです。 https://wiki.unrealengine.com/Modding:_Adding_modsupport_to_your_Unreal_Engine_4_project サンプルプロジェクト https://github.com/tomlooman/ModSampleGame

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コミュニティでの実績 UE4のフォーラムでMMOを作るためのキットも 実際に販売されています。 MMO Starter Kit https://forums.unrealengine.com/showthread.php?53208MMO-Starter-Kit バックエンドサーバーにPHPを使用し、MySQLをDBに使用。 既にリリースされているタイトルもあり。

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コミュニティでの実績 UE4をマスターサーバー化するプラグイン。 Master Server with Unreal Engine 4 Plugin https://forums.unrealengine.com/showthread.php?73739Master-Server-with-Unreal-Engine-4-Plugin シンプルにサーバーを登録し、オンラインサブシステムなしで 複数サーバーを管理する事が出来るように。 UE4だけでサーバー管理が出来るようになるかも…?

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コミュニティでの実績 HTTP通信をブループリントで実現するプラグイン。 VaRest https://forums.unrealengine.com/showthread.php?13509Plugin-Http-s-REST-blueprintable-JSON-and-Parse-REST-APImanager-at-once-(VaRest) JSON Query https://forums.unrealengine.com/showthread.php?7045PLUGIN-JSON-Query

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コミュニティでの実績 日本でもプラグインを作って公開している人も!! UE4でBlueprint上からHTTP通信を行うWebApiプラグインを公開しました http://hogetatu.hatenablog.com/entry/2015/08/17/134731

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コミュニティでの実績 日本ではTwitterプラグインを作っている人もいます! Twitter4UE http://blog.cnu.jp/2015/08/27/twitter-plugin-for-ue4/ Pull Requestも歓迎らしいので、 気になる人は改良して送ってみよう!

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まとめ UE4はネットワーク周りも相当充実しています。 面倒くさいRPC周りも設定をメニューからするだけ! あまりにも簡単にネットワーク対応が出来るの驚き。 スマホであればHTTP通信さえ出来れば十分なゲームもあるはず。 さぁUE4使いの皆さん。マルチプレイゲーム作ってみませんか?