ニューラルネットワークによる寄り回り波予測に関する精度評価と学習データの感度解析

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June 08, 26

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海洋開発シンポジウム2019

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金沢大学理工学域地球社会基盤学類 二宮研究室 学会発表などで使用した資料をアップします.

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ニューラルネットワークによる 寄り回り波予測に関する精度評価と 学習データの感度解析 金沢大学大学院 金沢大学 金沢大学 増田 二宮 斎藤 和輝〇 順一 武久

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研究背景と既往研究 2/12 富山湾に来襲する寄り回り波は深刻な被害を与える(人的被害,住家被害) 精度良く&早く予測できるシステムの構築が必要 波浪推算モデルを用いたハインドキャストが進められている ⇒ 富山湾における高波浪の再現は難しい ニューラルネットワーク(NN)を用いた予測(斎藤ら, 2016 ; Traceyら, 2018) ⇒ 気象・海象データを用いたNNの波浪予測の可能性を示す. 既往研究における教師データに気象データを用いて学習した波浪予測 ピーク波高の再現に課題が残る結果となっている 図-1 Yorimawari waves generated on February 24, 2008 in Nyuzen @Yomiuri Newspaper

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本研究の目的 3/12 気象データを用いたNNによる富山湾寄り回り波の予測精度を詳細に調べる 2008年2月23日に発生した大規模な寄り回り波(最大有義波高:9.92m)の 再現が可能なNNモデルの構築を目指す 大規模な寄り回り波の再現が可能なNNモデルを用いた感度解析を行う ⇒ NNモデルに蓄積された高波発生の経験則を抽出 富山湾における大規模な寄り回り波が発生するメカニズムの理解 図-2 2008年2月23日に発生した大規模な寄り回り波の観測データ(左図:波高 右図:周期)

4.

4/12 教師データの概要 NNは教師データの偏りを減らすことで精度向上が期待 ⇒ 教師データに寄り回り波が発生したイベントを複数組合せて学習 寄り回り波発生イベントの充実化と均質なデータセットの確保 気象データに気象庁55年長期再解析データ(JRA-55)を用いる 長期間にわたって高品質で均質なデータセット 表-1 学習イベント(波高3.0m&周期10.0s以上) イベントの期間 最大波高 No. 計40時刻(03, 09, 15, 21JST) [m] 1 2003/3/2 ~ 2003/3/11 4.61 周期 [s] 11.40 冬型気圧配置 気象要因 2 2004/1/10 ~ 2004/1/19 3.86 12.60 冬型気圧配置 3 2004/2/20 ~ 2004/2/29 5.96 13.70 冬型気圧配置 4 2004/12/2 ~ 2004/12/11 4.51 11.90 南岸低気圧 5 2004/12/14 ~ 2004/12/23 3.32 12.60 冬型気圧配置 6 2004/12/27 ~ 2005/1/5 3.02 9.60 冬型気圧配置 7 2005/11/26 ~ 2005/12/5 3.13 11.60 冬型気圧配置 8 2005/12/19 ~ 2005/12/28 6.66 14.40 冬型気圧配置 9 2006/1/10 3.62 12.90 冬型気圧配置 ~ 2006/10/11 3.98 12.90 南岸低気圧 2006/1/1 10 2006/10/2 ~ 11 2006/12/24 ~ 2007/1/2 3.19 12.60 冬型気圧配置 12 2007/1/4 ~ 2007/1/13 4.77 14.30 冬型気圧配置 13 2008/1/20 ~ 2008/1/29 3.59 12.20 冬型気圧配置 図-3 気象データの地点および波浪予測地点 計40地点のデータをNNに入力する

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5/12 ネットワークの構成と評価方法 階層型NN ネットワークの構成 海面更正気圧P, 南北風速V, 東西風速Uの各40地点 計120個の入力データ 波高・周期 NOWPHAS観測地点 教師データに用いるイベント数・組合せやリードタイムを変えて モデルの学習結果(相関係数とピーク差)の比較から最適なモデルを検討 感度解析方法 入出力関係の感度解析に感度係数法を用いる NNの入力データ𝑥 と出力データ𝑦 間の偏微分 (感度係数) を算出 𝜕𝑦 𝜕𝑥 𝐹′ 𝑎 𝑤 𝐹′𝑥 𝑤 𝑎 𝐹 𝑤 𝑥 𝜃 ただし,入力層, 中間層, 出力層のユニットを代表する添字𝑖, 𝑘, 𝑗 , 結合荷重𝑤 中間, 出力ユニットにおける伝達関数𝐹 , 𝐹 , 閾値𝜃とする

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精度検証の結果ー最適なネットワークの検討 高波発生イベント(計13個)の取り得る全ての組合せ:8191通り 教師データに用いた組み合わせたイベント数ごとに学習結果を比較 Difference between peak value(m) イベント数が多いほど相関係数は大きく,波高ピークの予測精度は低下 ⇒ イベント数は4~6個(計160~240時刻ほどの気象データ)が 波高のピークを再現する上で適している 図-4 イベント数の学習精度比較(13イベントから1イベントを用いた学習結果を13C1と表す. 〇点は中央値,上下左右+点は第一,第三四分位数を示す.) 6/12

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精度検証の結果ー最適なリードタイムの検討 7/12 リードタイムを7~19時間の2時間ごとに増やしていき学習 Difference between peak value(m) 相関係数とピーク差ともにリードタイムが13時間が精度良い学習結果を示す 図-5 リードタイムの学習精度比較(〇点は中央値,上下左右+点は第一,第三四分位数を示す.)

8.

精度検証の結果ー適切な学習データの検討 8/12 教師データによって再現できる場合と,全く再現できない場合が生じる ⇒ 学習に適したイベントと適さないイベントがあると考えられる 各イベントを用いたモデルの学習結果の比較から No.1,3,4のイベントを教師データに用いたモデルの学習結果が良好になる Comparison of learning accuracy of training data 図-6 教師データの学習精度比較(左図:ピーク差 右図:相関係数,箱上下線は第一,第三四分位数, 箱の中央線は中央値,+は外れ値,ひげの上下限線は第一,第三四分位数+四分位数範囲×1.5 内 にある最大値および最小値を示す.赤枠は精度の良い学習結果,青枠は精度の悪い学習結果)

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精度検証の結果ー適切な学習データの検討 9/12 各イベントの高波を引き起こす要因となった爆弾低気圧の経路を確認 良好な学習結果を得られるイベント ⇒ 爆弾低気圧が日本列島を通過している 教師データに日本列島を通過する低気圧を含むデータを取り入れると 良好な学習結果が得られる可能性を示す 黒線:2008年02月23日発生(予測対象) 緑線:2003年03月01日発生(No.1) 赤線:2004年02月21日発生(No.3) 青線:2004年12月04日発生(No.4) 水色線:No.1,3,4以外 図-7 各イベントの期間に発生した爆弾低気圧の経路 爆弾低気圧の経路は九州大学メガストーム情報データベースより

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精度検証の結果 ネットワーク構成・教師データを変えて学習した結果, 学習に適した条件は次の通り イベント数:4~6個(計160~240時刻ほどの気象データ) リードタイム:13時間 適したデータ:日本列島を通過する低気圧を含むデータ(No.1,3,4) 学習に適した条件より,大規模な寄り回り波を精度良く再現 波高と同様の教師データを用いて学習した周期も概ね観測を再現可能 2016年12月24日に発生したケースも精度良く再現することが可能 図-8 最適な学習条件を用いたNNモデルの波浪予測結果(左図:波高 右図:周期) 赤線:NN予測値 青線:NOWPHAS観測値 10/12

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学習済みNNモデルの感度解析 大規模な寄り回り波を再現できている学習済みNNモデルを用いて 海面更正気圧P, 南北風速V, 東西風速Uの地点ごとの入力の影響度を示す 特に北海道西岸海域の広域や福島沿岸で影響が高い 寄り回り波発生時に低気圧の通過の影響で北海道西岸海域の広域と 福島沿岸付近で強風が発生 ⇒ 低気圧による風速の変化を学習している 図-9 学習済みNNの感度解析結果(赤が濃いほど出力に影響する) 左図:海面更生気圧P, 中図:南北風速V, 右図:東西風速U 11/12

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12/12 結論 本研究で得られた主な結果を以下にまとめる. 学習に適した条件は以下の通り イベント数:4~6個(計160~240時刻ほどの気象データ) リードタイム:13時間 適したデータ:日本列島を通過する低気圧を含むデータ(No.1,3,4) 学習済みNNモデルの感度解析より 特に北海道西岸海域の広域や福島沿岸で影響が高く, 寄り回り波発生時の気象条件から低気圧による風速の変化を学習 今後,教師データの改良を続けて再現性を高めた構築を目指し, 過去事例の再現や長期評価を行っていく.