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June 08, 26
スライド概要
気象学会2017秋
金沢大学理工学域地球社会基盤学類 二宮研究室 学会発表などで使用した資料をアップします.
⼤規模アンサンブル気候予測データd4PDF を⽤いた爆弾低気圧の将来変化 ⾦沢⼤学 ⼤学院 ⾃然科学研究科 1年 指導教員︓⼆宮 順⼀ ⾼ 裕也
研究背景 IPCC第五次報告書︓ ・気候変動よって極端現象の強化が懸念 気候変動に関する既往研究︓ ・森ら(2016)︓台⾵に起因する可能最⼤⾼潮が増加傾向 ・志村ら(2014)︓台⾵に起因する極⼤波浪が東⽇本沖で増加傾向 台⾵に関する研究は多いが, 爆弾低気圧の将来変化に関する研究が少ない ・ 冬季〜春季に⾼潮・⾼波災害を引き起こす 急速に発達する温帯低気圧 (例) ・ 2008年︓⾼波によって富⼭では死者1名,負傷者15名 ・ 2014年︓⽔位上昇による浸⽔被害(根室)
本研究における⽬的 ・超⻑期積分データセットd4PDFを⽤いて 爆弾低気圧の将来変化統計変動量を明らかにする ・⽇本周辺域領域モデル実験結果を⽤いる(図‐1) ⽔平解像度20km, 時間解像度1時間 ・現在気候実験︓ 1950年9⽉‐2011年8⽉ ×50メンバ(合計3,000年) ・将来気候実験︓ 2050年9⽉‐2111年8⽉ ×90メンバ(合計5,400年) 図‐1 解析対象領域(⾚線内は沿岸域)
爆弾低気圧の抽出⽅法 ・海⾯更⽣気圧(以下,SLP)分布の空間的平滑化(Gauss分布) ・周囲のSLP ‐ 中⼼のSLP >= 1 (hPa) ・標⾼1500(m)以上は除去 ・ピーク間は3.0°以上離れていること Step1: 低気圧抽出 Step2: トラッキング Step3: 爆弾低気圧 判定 ・N+1ステップの抽出範囲︓東⻄‐各9° , 南北‐各6° ・抽出範囲内に複数個ある場合はSLPが⼩さいほうを選択 ・トラッキング継続時間︓24時間以上 ・冬季〜春季︓10⽉〜4⽉ ・最⼤発達率が1以上のものを爆弾低気圧として定義 𝑝 𝑡 12 𝑝 𝑡 24 12 sin 60° sin 𝜑 𝑡 𝑝 ∶ 海⾯更⽣気圧(SLP) 𝑡 : 時間 𝜑︓緯度
爆弾低気圧の発⽣数の将来変化(1) 表‐1 爆弾低気圧の年平均発⽣個数と標準偏差 Average S.D. JRA‐55 17.45 Present 10.15 2.09 Future 10.56 0.71 CC 10.01 0.33 GF 10.23 0.33 HA 9.67 0.27 MI 11.39 0.27 MP 11.17 0.34 MR 10.91 0.41 SST ・JRA‐55での発⽣数 のほうが多い データ同化の影響 ・現在気候のほうが 発⽣数が多い t検定の結果,95%で 棄却されず増加傾向 とは断定できない ・現在気候のばらつき が⼤きい ・将来気候のばらつき が⼩さい
爆弾低気圧の発⽣数の将来変化(2) (a) 現在気候 (a) 将来気候 図‐2 爆弾低気圧の各メンバにおける年平均発⽣個数 ・この15メンバにおいて個数が少ない
爆弾低気圧の経路の将来変化(1) (a) 現在気候 図‐3 (b) 将来気候 爆弾低気圧の年平均通過経路 ・主に2つの経路に⼤別 ⽇本海上を通過する経路と太平洋上を通過する経路 ・両気候とも関東付近の沿岸域の通過が0.4個/年と多い
爆弾低気圧の経路の将来変化(2) (a) 将来気候と現在気候の差 (b) 各SST条件と現在気候の差 図‐4 爆弾低気圧の通過経路の将来変化量 ・将来的に太平洋上を通過する数が減少するのに対して,⽇本海上 を通過する数が同程度増加する. ・SST毎では,MIのみが太平洋上においても増加する傾向
解析領域全体における最低中⼼気圧の将来変化(1) ・ アンサンブル平均値はどの 再現期間においても将来気候 のほうが⼤きい ・ JRA‐55は再現期間が⼩さいとこ ろアンサンブル中の上限orやや 外れたところに位置 ⇔ 再現期間が⼤きなところでは 平均的なところに位置 ・ 現在気候では20hPa,将来気候 では30hPa程度の幅を有する ・ 平均値での変化は‐5hPa程度, 最低値では‐12hPa程度の変化 図‐5 解析領域全体における爆弾低気圧 の最低中⼼気圧における再現期間 (破線は各アンサンブルメンバ, 太線はアンサンブル平均を⽰す)
解析領域全体における最低中⼼気圧の将来変化(2) 再現期間60年︓ ・ CC,HA,MI,MPが同程度(2,3hPa) ・ MRでは5hPa程度の増加 ・ GFでは7hPa程度の増加 図‐6 SST毎における最低中⼼気圧の 再現期間(アンサンブル平均値) 再現期間が⻑い,強い爆弾低気圧に限ればいずれのSST条件 においても現在気候よりも最低中⼼気圧の強度が増加する
⽇本沿岸域における中⼼気圧の将来変化(1) ・ JRA‐55は先ほどの図‐5 と同様な傾向を⽰す d4PDFは極端現象を やや弱く評価している ・ ⽇本周辺域と⽐べて強度は ⼩さいものの,強度⾃体は 増加する傾向を⽰す 平均値で4hPa, 最低値で8.5hPaの増加 図‐7 ⽇本沿岸域における爆弾低気圧 の中⼼気圧における再現期間
⽇本沿岸域における中⼼気圧の将来変化(2) 表‐2 Weibull分布における 各パラメータ α Β JRA‐55 96.62 1001.40 Present 88.97 1000.80 Future 88.61 999.68 図‐8 沿岸域における中⼼気圧のヒスト グラムおよびWeibull分布で近似し た確率密度関数 ・JRA‐55と現在気候を⽐較すると,970hPa以上では少し差が ⾒られるが,それ以下では類似 ・将来的に台⾵並みに発達する爆弾低気圧の割合が増加する傾向
結論 [ ⽇本周辺域 ] ・ 爆弾低気圧の数が増加傾向にあるとは統計的に有意ではない. ・ 最低中⼼気圧の強度が増加傾向にある. ・ 太平洋上を通過する数が減少し,⽇本海上を通過する数が増 加する傾向にある. [ ⽇本沿岸域 ] ・ 周辺域に⽐べて強度は⼩さいものの,強度⾃体は増加傾向に ある. ・ 台⾵並みに発達する爆弾低気圧の割合が増加傾向にある