出席者レポート:【トレンドエキスポ東京2016基調講演】「リアル・ワールド・ゲームのインパクト〜『ポケモンGO』や『イングレス』は、ビジネス、社会にどのような影響力があるのか」

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December 19, 16

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株式会社ナイアンティック村井説人社長のトレンドエキスポ東京2016での講演をまとめたレポートPDF

『ポケモンGO』や『イングレス』は、ビジネスや社会にどのような影響力があるのか - blog-RuinDig
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作成日:2016 年 12 月 19 日 出席者レポート: 【トレンドエキスポ東京 2016 基調講演】 「リアル・ワールド・ゲームのインパクト〜『ポケモン GO』や『イングレス』は、 ビジネス、社会にどのような影響力があるのか」 株式会社ナイアンティック代表取締役社長 村井説人氏 日時:2016 年 11 月 12 日 会場:東京ミッドタウン 文・写真:RuinDig 村井社長はまず、ポケモン GO(Pokémon GO)について、「7 月のリリースからポ ケモン GO は 5 億ダウンロードを記録しているが、まだまだスパイクしていて、サ ーバー増強中である。」と述べました。 Niantic(ナイアンティック)は位置情報ゲームではなく「リアル・ワールド・ゲー ム」と呼んでいて、それは医療の分野、教育の分野、人と人のコミュニケーション に影響を与えるものである、と述べました。 1

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AR(Augmented Reality、拡張現実)は Niantic を語る上では外せない技術である とした上で、 「VR は今あるものをより楽しくするもの、本来ないものをそこに実現する(例えば、 好きなアイドルと共に踊る・プロアスリートとの対戦など)ものである。」 「AR はデバイスを通じて現実に新しい情報を付加して新たなレイヤーを作る、そ の場でしか体験できないもの。」と位置づけていました。 Google の社内スタートアップであった Niantic はかつてアメリカでのゴールドラ ッシュに使用された船の名が由来であること、Google マップや Google アースは Keyhole があったからこそのものであるということも仰っていました。 Niantic の CEO であるジョン・ハンケさんは「自分の周りに何があるのかをもっ 2

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とよく知る。自分の足で歩いて、自分の目で発見する。自分の身の周りを幸せにす る。それが世界中で起これば、世界は良くなる。」ということを過去に述べていて、 それが”Adventures on foot”、つまり「人は歩けば幸せになる」という考えに繋がっ ている、また、Google マップや Google アース、Google ムーンといった自分が動か なくても素晴らしさを知ることができるプロダクトの開発を進めた先に見つけたも のが Niantic であると村井社長は仰っていました。 プロダクトに関して、村井社長は最初にイングレス(Ingress)について触れました。 「イングレスはエキゾチックマター(XM)という物質の使い方を巡って青のレジスタ ンス(Resistance)と緑のエンライテンド(Enlightened)に分かれる陣取りゲームであ る。陣取りゲームであるため、ポータルからポータルキーを発掘し、ポータルとポ 3

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ータルを線で結び三角形を作り、その合計点を競うもの。」と概要について述べま した。 スキャナー画面と呼ばれるゲーム画面に写るポータルは遺跡・史跡といった歴史 的建造物や芸術作品から構成されるもの、光る粒子は XM であることを説明しまし た。 そして、村井社長はイングレスのゲーム内容に影響を与える SF ドラマの始まり が CERN であることに触れました。「始まりは暗黒物質を研究する CERN という 機関であり、日本の KEK と共に世界で 2 つある暗黒物質の研究機関である。」 「暗黒物質の 1 つであるニュートリノの存在は長く噂されてきていて、実際に存在 が確認された。」 「そして、次に重力に作用するグラビトンという一種の暗黒物質の存在が噂されて いる。」 「重力が起こるのは何かが作用するからであることまでは分かっているけれども、 未だ謎が多い。」と暗黒物質を例に挙げながら、「目に見えるものが全てではない」 ということについて述べていました。 「目に見えるものが全てではない」ということに関連して、ハンケさんが日本を 愛し毎月のように来日していることに触れました。 そこで、ハンケさんは過去に「京都で枯山水を見た時、私はその場から動くこと ができなかった。こんなにも人を魅了する庭があることに驚いた。」と述べていて、 目に見えない何かの物質が自身に働きかけたのだと考えたハンケさんは XM のアイ ディアを生み出したのだ、と村井社長は仰っていました。 次に、村井社長は”イングレスの 4 つの指針”について述べました。それは、 4

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1.全世界が舞台 →Niantic はグローバル企業であり、特定の地域にターゲットを絞ったプロダクト は出さない。 2.動いて遊ぶ →美しい天気の日に家の中で長時間ソファに座る・ゲームをする子ども達をどのよ うにして外へ連れ出すかを考えると共に、囲碁や将棋といったテーブルゲームにも ある”ゲーム性”を大切にする。 5

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3.新しい視点から見ること →その土地に隠された物語や人々が何度も通りかかる場所に隠されているものに気 づき、最終的にはその土地の地域コミュニティに気づく。 4.現実世界の友情を作る →イングレスは MMORPG(大規模多人数同時参加型ゲーム)だが、プレイヤー同士 のコミュニケーションが生まれる場が現実世界であることが特徴的である。 以上の点でした。これらと共に、 6

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・イングレスは 200 ヶ国で配信され 2 億 5800 万 km、ポケモン GO は 150 ヶ国以 上で配信され 46 億 km 歩いたこと ・Helios(ヘリオス)台北・Interitus(インテリタス)石巻・Persepolis(ペルセポリス) 仙台・Darsana(ダルサナ)東京・Shonin(ショウニン)京都・AegisNova(イージスノ ヴァ)東京の様子を取り上げ、イベントが人々を動かす動機づけの 1 つであり、自治 体首長の出席が増えていること ・iOS 版リリースというのが日本では重要な要素であったこと にも触れました。 7

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村井社長は更に、「イングレスとポケモン GO をリリースした Niantic はゲーム 会社ではなく、プラットフォームを開発する企業であることから 1 年 2 年ではなく、 "一生の友人として一生付き合うように"開発を行う」と仰っていました。 次に、村井社長はイングレスにおいて人種や国境、宗教、性別という壁を越えた 繋がりを生み出した例としてイスラエルでの作戦等を挙げました。 他にも、岩手県をはじめとする自治体主体の企画、あるいはユーザー主体のイベ ント、ミッションデイ、InitioTohokuMission(イニシオ東北ミッション)を挙げてい ました。 そうして、講演の中心はポケモン GO へと移りました。 8

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村井社長は、ユーザー主体、あるいは自発的なイベントが起こった例として、ポ ケモン GO におけるシドニー・シカゴ・サンフランシスコでの様子を挙げ、「見ず 知らずの人が集まり、人種や国境、宗教、性別という壁を越えた繋がりを生み出し たのはポケモン GO でも同じである」と述べました。 ポケモン GO が医療の分野において様々な効果を与えていることに触れ、最初の 例として体重が減少した事例を挙げました。 医療の分野での効果の例として、村井社長は 2 つ目に、1 通の手紙を紹介しまし た。それは、自閉症の娘さんがポケモン GO によって自ら外へ出るようになったと いうご両親からの手紙でした。 9

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「そのご両親は手紙で『十数年闘ってきたけれども、それは娘だけの闘いではな く、自分達家族の闘いであった。そして、ポケモン GO がリリースされたことで、 今では近所の見ず知らずの人とどこにどんなポケモンが現れたのか等とコミュニケ ーションをするほどになっている。』と述べられていた。」と村井社長は仰ってい ました。 更に、シカゴの小児病棟での例も挙げました。 「小児病棟で過ごす子ども達は身体を動かすことがマンネリ化して飽きつつあっ た。ポケモン GO がリリースされたことで、子ども達は病棟の中を歩き始め、医師 達もポケモン GO をネガティブに捉えることなく、彼らもプレイすることで子ども 達とコミュニケーションしている。」と村井社長は仰っていました。 次に、村井社長はポケモン GO におけるローカルビジネスについて触れました。 10

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「ポケモン GO をプレイする内に、喉が渇いて飲み物が欲しくなることはある。 そこで人々がその地域の店で飲み物を買う、という流れもあり、将来的にはローカ ルビジネスにおけるポケストップの設定やルアーの利用等を考えていく。」と仰っ ていました。 次に、村井社長はポケモン GO における自治体の取り組みについて触れ、京都 府・京都市との観光面での取り組み、神奈川県横須賀市による「ヨコスカ GO」、 鳥取県による「トットリ GO」、既に発表された東北 3 県との取り組み、そして宮 城県でのポケストップ追加イベント”Explore Miyagi”を挙げました。 11

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こうしてポケモン GO が普及していく中で、村井社長はシニア層がポケモン GO をするためにスマートフォンに替えたということに触れ、こうした変化は非常に素 晴らしいと仰っていました。 次に、村井社長はマクドナルドとのパートナーシップに触れました。 「マクドナルドとのパートナーシップによってマクドナルドの売上が 25.6%アッ プしたとあるが、その全てがポケモン GO によるものではないだろう。マクドナル ドは普段から魅力ある商品を提供している。それがポケモン GO による集客が重な り、売上が増加したとみていて、集客と購買は別々であると考えている。」と仰っ ていました。 12

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最後に、村井社長は、Niantic は今後も人を動かすことに取り組み続けることを 述べて、講演は閉じられました。 13