MRを活用した品質管理システム「holonica」 (ホロラボカンファレンス 2022 株式会社大林組 中林様 発表スライド)

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May 05, 22

スライド概要

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ホロラボです Unityを使用したHoloLensのアプリ開発を中心にしています。 最近では建設業でのBIMデータ、製造業でのCAD データ、空間の3Dスキャン(点群データやメッシュデータ)も扱っています。 物理世界とデジタル世界をどのように連携するか。ということを日々考えています。

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各ページのテキスト
1.

MRを活用した品質管理システム holonica® 大林組 技術研究所 生産技術研究部 Obayashi SVVL (@Silicon Valley in USA) 兼務 中林 拓馬

2.

1 開発背景 2

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開発背景 ○建設業とDX 建設業では、以下の背景からDXは喫緊の課題になっている • • • 2024年4月から施行される時間外労働の上限規制 間近に控える建設技能者の大量離職 いわゆる「バブル入社組」ゼネコン技術者の離職 3 大林組中期経営計画2022内、経営基盤戦略から抜粋

4.

開発背景 ○建設現場における品質管理 若年施工管理者の時間の使い方(N=15) • 若年施工管理者が最も時間を割いている タスクが品質管理 • 品質管理の主な作業は、 • • • 品質管理 30% 検査 写真撮影・管理 書類作成 デジタル化すらできていない業務も。 デジタイゼーションからはじめ、 DXの実現が必要! その他 70% 4

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開発背景 ○従来の品質管理における課題 • 設計図書等から情報を選別、施工箇所と照らし合わせて正誤判定 ⇒経験が必要であり、多大な時間を要する • 協力会社(施工会社)への手直しの伝達は紙ベースになることも多い ⇒手渡しでの帳票のやりとりは時間がかかるうえ、リアルタイム性に欠ける 5

6.

開発背景 ○BIM(形状に各種仕様情報が付与された3次元設計図書)利用に関する課題 • 形状や仕様等の情報を一元化して参照可能 ⇒情報の選別・照合は依然として必要 • 3次元的に施工内容が確認できるため2次元の図面よりも直感的に理解できる ⇒目的箇所の参照のため3Dモデルの操作が必要だが、タブレット上では困難 6

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開発背景 MRを利用して品質検査をデジタル化すれば これらの課題を解決できるのではないか? BIMを現場と重ねながら品質検査ができる MR品質管理システム「holonica」を開発 7

8.

開発背景 HoloLens 発売 ホロラボ ARKit 設立 発表 ・ 2018 ホ ロ ラ ボ と 連 携 し 活 た 用 の 開 始 開 始 MR ・ 自 社 開 発 で の 2019 iPad付き LiDAR発売 2020 試行錯誤の連続・・・ ・位置合わせの簡易化・高精度化 ・BIM活用効果の最大化 ・本当に効果のあるMRの用途の探索 2021 ・ holonica 2017 HoloLens2 発売 2022 PoC PoC プ レ ス リ リ ー ス 8

9.

2 holonicaでできること 9

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holonicaでできること ○概要 • ホロラボ様のmixpaceをベースに開発しており、iPad・HoloLens2の どちらでも利用可能 • mixpaceの可視化機能に加え、品質管理用の検査機能を追加 現実空間の鉄骨 iPad 配管の収まりや貫通孔位置の 正誤を確認 HoloLens2 (メガネ型端末) 配管のBIMデータ 端末利用イメージ 端末画面内での表示例 10

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holonicaでできること ○システム構成 ① BIMコンバーター (mixpaceベース) ② クライアントアプリ ③ 検査記録管理用 webアプリ 11

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holonicaでできること 〇品質管理へのMR活用で期待している効果 • イメージの共有 各工事後の完成イメージを関係者に効率よく、かつ確実に共有 • 「気づき」の創出 形状の違いに気づき、不具合の防止に寄与 • 確認業務の効率化 シームレスな品質管理を実現し、現場滞在時間の削減 12

13.

holonicaについて 〇特徴:「気づき」の記録・共有 • 形状・BIM属性情報を確認しながら シームレスに指摘事項を記録 重ね合わせたBIMデータにピンを立て 指摘事項を記録 • リアルタイムな検査記録の共有 指摘事項をサーバーにアップロードし、 他のユーザーに共有が可能 13

14.

holonicaでできること 14

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3 holonicaの生産性向上効果 15

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holonicaの生産性向上効果 ○実験概要 • 内装仕上げ工事段階の新築物件を対象に検証 • 壁、床、天井、設備、扉などを対象に内装仕上げ検査および是正確認を実施 16

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holonicaの生産性向上効果 ○実験詳細 検査方 式 指摘 事項 従来方式 既存検査 アプリ MR システム 15箇 所 媒体 作業者Aによる作業フロー (検査作業) 作業者Bによる作業フロー (是正確認作業) 検査用紙+付箋 1:指摘を発見 2:付箋に番号を記入し、 指摘箇所に貼付け 3:用紙に内容を記録 1:是正指示書と現地の付箋を照合 2:是正を確認し、是正確認日を記録 3:付箋を剥がす タブレット端末 +付箋 1:指摘事項を発見 2:付箋に番号を記入し、 指摘事項に貼付け 3:アプリ内で指摘事項を記録 1:アプリ内の平面図と 現地の付箋を照合 2:是正を確認し、是正確認日を記録 3:付箋を剥がす タブレット端末 1:指摘事項を発見 2:アプリ内で指摘事項を記録 1:MRにより指摘事項を照合 2:是正を確認し、是正確認日を記録 17

18.

holonicaの生産性向上効果 ○実験結果 • 従来手法と比較して約20%の作業時間短縮 • 検査時 • 従来手法と比較して所要時間が改善 ⇒従来方法では指摘箇所に付箋を貼るが、 これをデジタル化したことが大きく寄与 • 手直し後の確認時 • 従来手法と比較して所要時間が増大 ⇒指摘箇所の探索時に迷いがあったため 18

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holonicaの生産性向上効果 ○実験概要② • 内装仕上げ工事段階の新築物件を対象に検証 • 壁、床、天井、設備、扉などを対象に内装仕上げ検査および是正確認を実施 • 実験①と同条件で従来方式とholonica(ナビゲーション追加)を比較 19

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holonicaの生産性向上効果 ○実験結果 • ナビゲーション機能を追加することで、 従来手法と比較して約30%の作業時間短縮 ⇒ 上記は当社内利用だけで上記の効果。協力会社もholonicaを利用する 一気通貫の業務フローの確立により、さらなる効率化が期待できる 20

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まとめ • ホロラボ様と連携し、mixpaceをベースとした品質管理システムを開発した • 従来方法での内装仕上げ検査と比較して30%の省力化効果が得られた • 検査だけでなく、品質管理全体のDXに寄与する技術だと期待している 21