アーティストだけで作るアセット確認環境 ~スタイライズドでも様々なライティングに対応するために~ | Unreal Fest Tokyo 2025

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December 05, 25

スライド概要

本講演へのアンケートにご協力をお願い致します:
https://forms.gle/CVq55tgzRgkTVeT56

講演動画:
https://youtu.be/hViFIuguO8M

講演内容:
当社では汎用的にアセットの確認を行える環境を現在開発しています
アセット確認環境を用意することになった経緯と確認環境があるメリット
WidgetBlueprintを用いて汎用的にアセット確認を行うための実装内容
露出を取り扱いしやすい範囲に圧縮したライティングの設計について
アーティストやテクニカルアーティスト向けに当社事例をご紹介させていただきます。


講演者:
原田 留緯利(株式会社アトラス)

株式会社アトラスについてはこちら:
https://www.atlus.co.jp/

Unreal Fest Tokyo 2025公式サイト:
https://www.unrealengine.com/ja/events/unreal-fest-tokyo-2025

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Unreal Engineを開発・提供しているエピック ゲームズ ジャパンによる公式アカウントです。 勉強会や配信などで行った講演資料を公開しています。 公式サイトはこちら https://www.unrealengine.com/ja/

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各ページのテキスト
1.

アーティストだけで作るアセット確認環境 ~ スタイライズドでも様々なライティングに対応するために ~ 株式会社アトラス テクニカルアーティスト 原田 留緯利

2.

会社紹介 Company - Introduction ATLUS は独創性のあるRPG ゲーム ⚫ 真・女神転生 シリーズ ⚫ ペルソナ シリーズ ⚫ メタファーリファンタジオ などを手掛けている日本のゲーム会社です

3.

自己紹介 Self - Introduction 原田 留緯利 株式会社アトラス / テクニカルアーティスト ⚫ 2024 年 8 月 から ATLUS にテクニカルアーティストとして入社 ⚫ レンダリング関連、ワークフローの整備とツールの作成をしています ⚫ 前職では大規模のコンソール開発に携わっていました

4.

本セッションでは 社内で汎用的に使用する想定で、現在開発中のアセット確認環境と 露出を取り扱いしやすい範囲に圧縮したライティングの設計についてご紹介させていただきます ( ※ ビジュアルに関してのお話はありません ) アトラスにあった形でツールやライティング環境を整備していますが 当社事例が何かしら皆様の手助けになりましたら幸いです

5.

ペルソナ5: The Phantom X QRコードはこちら

6.

Section 1 Table of contents アセット確認環境について Section 2 アセット確認環境の実装内容について Section 3 露出範囲を圧縮したライティングの設計 Section 4 Q&A

7.

Section 1 アセット確認環境について

9.

アセット確認環境について アセット確認環境が用意されていると アーティストにとって何が嬉しいのか?何がメリットなのか?必要性は?

10.

アセット確認環境を作った経緯 よくこんな相談をされたことがあります・・・

11.

とある開発初期のころ・・・ やっほー! 背景とライティングができてるところで アセットを確認したいんだけど~

12.

とある開発初期のころ・・・ まだモックでなんですけど・・・

13.

とても忙しい開発中盤 ~ 後半 大変です!! ○○のアセットを違うレベルに置いたら 見た目がおかしいんですが、、、 調整してもらえませんか?

14.

とても忙しい開発中盤 ~ 後半 うぅぅッ・・・

15.

協力会社さんへの発注前 協力会社さんにプロジェクトデータを 渡せないけど、協力会社さんの環境で アセットの品質チェックをしてもらいたい 場合どうしたらいいかな?

16.

協力会社さんへの発注前 ・・・

17.

アセット確認環境について これらあらゆる人の要望や相談を解決するため用意しました

18.

アセット確認環境について ⚫ アーティストが意図した見た目でアセットを作れているか確認できる環境を整備しました 色や質感を確認するのに最適な IBL を用意しています

19.

アセット確認環境について ATLUS 社内の会議室を使って、一般的な撮影方法で IBL の撮影と現像をしています

20.

アセット確認環境について Substance Unreal Engine

21.

アセット確認環境について ⚫ レギュレーション違反しているアセットを手軽に確認できるようサポート機能を実装しています

22.

アセット確認環境について 意図して真っ黒にする場合もあるので赤くなった箇所全てを NG にしているわけではありません 意図しているので問題ない ◎

23.

アセット確認環境について ⚫ 基本的な天候・時間帯のライティングを確認できるようにプリセットを作成しました

24.

アセット確認環境について エミッシブアセットの発光度合を事前に確認し実際のシーンでも破綻がおきないようにしています

25.

アセット確認環境について ⚫ 参考資料としても活用できる 2Dアーティストが絵を描く際に、ポーズ、立体の参考資料やレタッチ素材として活用しています

26.

アセット確認環境について ⚫ 協力会社さんにも手軽に提供できる仕組みで実装しています Unreal Engine の標準機能で全て作っているため、アーティストだけでも作成可能 協力会社さんにも新規プロジェクトを用意し Migrate するだけで提供できます

27.

アセット確認環境の必要性 ⚫ 実際のシーンが無くても安定したアセット制作と確認を行うことができ ⚫ チェック機能を使ってアセットの管理コストを削減することができます ゲームシーンで何かしらの問題が起きた際にアセットの問題なのかを切り分けも可能 アーティストが幸せになることを願いアセット確認環境を作成し現在運用しています

28.

Section 2 アセット確認環境の実装内容について

30.

Widget Blueprint

31.

Widget Blueprint (Designer) Widget Blueprint の Designer について

32.

Widget Blueprint (Designer) ⚫ Section List ⚫ Asset List ⚫ Animation List

33.

Widget Blueprint (Designer) Section List の Combo Box String のみ Default Option を設定

34.

Widget Blueprint (Designer) Asset List と Animation List は 動的に アセット名を追加・削除 をするため -- None -- を設定

35.

Widget Blueprint (Designer) Asset List と Animation List は 動的に アセット名を追加・削除 をするため -- None -- を設定

36.

Section List (リストの初期化)

37.

Widget Blueprint (Graph) Widget Blueprint の Graph について

38.

Widget Blueprint (Graph) 実装内容の大まかな流れ ⚫ ゲーム開始時に空のスケルタルメッシュアクターをスポーン ↓ ⚫ Section List の選択肢で指定のフォルダ以下を検索 ↓ ⚫ Asset List にアセット名を表示 ↓ ⚫ Asset List で選択したアセットを空のスケルタルメッシュアクターにアタッチ ↓ ⚫ Animation List で選択したアニメーションアセットのアタッチ

39.

EventConstructで空のSkeletalMeshActorをSpawn

42.

Section List 全体図 初期化 指定フォルダ以下の検索とフィルタリングAsset List に追加

43.

Section List (検索とフィルタリング)

44.

Section List (検索とフィルタリング)

45.

Section List (検索とフィルタリング)

46.

Section List (検索とフィルタリング)

47.

Section List (検索とフィルタリング)

48.

Section List (検索とフィルタリング)

49.

Section List (検索とフィルタリング)

55.

Section List (Asset List に追加)

56.

Section List (Asset List に追加) /Game/Design/Character/Chara_01/Mesh/SK_Chara_01 /Game/Design/Character/Chara_02/Mesh/SK_Chara_02 /Game/Design/Character/Chara_03/Mesh/SK_Chara_03 /Game/Design/Character/Chara_04/Mesh/SK_Chara_04 /Game/Design/Character/Chara_05/Mesh/SK_Chara_05

57.

Section List (Asset List に追加)

59.

Asset List 全体図 初期化 選択されたアセットを空のスケルタルメッシュにアタッチ

60.

Asset List

61.

Asset List (Load Asset)

62.

Asset List (Load Asset)

63.

Asset List (Load Asset)

64.

Load Asset(Function)

65.

Load Asset(Function)

66.

Load Asset(Function) /Game/Design/Character/Chara_01/Mesh/SK_Chara_01 /Game/Design/Character/Chara_02/Mesh/SK_Chara_02 /Game/Design/Character/Chara_03/Mesh/SK_Chara_03 /Game/Design/Character/Chara_04/Mesh/SK_Chara_04 /Game/Design/Character/Chara_05/Mesh/SK_Chara_05

67.

Load Asset(Function)

68.

Load Asset(Function)

69.

Load Asset(Function) Game/Design/Character/Chara_01/Mesh/SK_Chara_01.SK_Chara_01

70.

Load Asset(Function)

71.

Asset List (Load Asset) Game/Design/Character/Chara_01/Mesh/SK_Chara_01.SK_Chara_01

72.

Asset List (スケルタルメッシュにアタッチ)

73.

アセットリストからキャラクター を表示できるようになりました

75.

Set Anim Asset List(Function) Asset List に追加と同様の処理なので割愛

77.

Animation List 全体図 選択されたアニメーションをロード アニメーションアセットのアタッチ

78.

Animation List

79.

Animation List

80.

Animation List

83.

Section 3 露出範囲を圧縮したライティングの設計

84.

ライティング環境の用意 アセット確認環境を作るのであれば 基本的な天候、時間帯のライティング環境がほしい

91.

悩み このプリセットを作るにあたり考えることがたくさんありました

92.

ATLUSのアーティストはすごいたくましい! 弊社は少数精鋭のチームです 様々な人がライティング業務に携わることがあります

93.

ライティングのワークフローは悩みの種 様々な人がライティングをするということは ワークフローが整っていない場合 プロジェクト、チーム、作業者、それぞれで設定がバラバラになります

94.

問題を確認した時の恐怖 同じシチュエーション、同じ Emissive Intensity のアセットでも ライティング結果は同じような見た目のに EV の設定が違うと エミッシブの明るさが暗くなってしまいます

95.

ライティングのワークフローを整えてみる こういったシーンごとの設定の差が大きく発生しないよう ライティングの設計・ワークフローの整備をはじめました

96.

学びがたくさん! 世の中には物理的なライティングの設定に関する情報がたくさんあり EV とライト関連の値をそのまま設定すればいいなんてラッキー

97.

こちらの都合によるものです と思っていたのですが

98.

困りました なんか合わない

99.

高揚しました そして気づきました

100.

ATLUSのアーティストは絵作りする能力がすごい! 弊社タイトルはフォトリアルの絵作りをしていないため マテリアルは物理的な反応をしないものや 手描きの IBL、絵を重視した特殊なライト環境がたくさんありました

101.

困りました でも何かを基準にライティングのワークフローは固めたい

102.

いつでも君のことを考えてるよ そこで忘れてはいけないのが エミッシブは EV の影響を受けているということ

103.

デバッグしてみる エミッシブが EV に対してどれだけの影響を受けるのか EV 0 を基準に +EV の時と -EV の時の変化を確認してみました Emissive Intensity 0.25 / 0.5 / 1 / 10 / 100

104.

デバッグしてみる Perspective → High Resolution Screenshot → Include Buffer・Write HDR 有効 書き出された PreTonemapHDRColor.exr を Photoshop で開くとリニアの値が確認できます

105.

EV 0 0.25 / 0.5 / 1 / 10 / 100

106.

+1 EV 0.125 / 0.25 / 0.5 / 5 / 50

107.

+2 EV 0.063 / 0.125 / 0.25 / 2.5 / 25

108.

-1 EV 0.5 / 1 / 2 / 20 / 200

109.

-2 EV 1 / 2 / 4 / 40 / 400

110.

EVの影響結果 EV 0 の時は 1倍 - EV 値で2倍明るく、 + EV 値で2倍暗くなることがわかりました -2 EV -1 EV EV 0 +1 EV +2 EV 1 / 2 / 4 / 40 / 400 0.5 / 1 / 2 / 20 / 200 0.25 / 0.5 / 1 / 10 / 100 0.125 / 0.25 / 0.5 / 5 / 50 0.063 / 0.125 / 0.25 / 2.5 / 25 x4 x2 x1 x 1/2 x 1/4

111.

現実世界のダイナミックレンジ 試しに現実の EV値と照らし合わせ、EV14 を晴天のライティング環境と仮定し 昼間に光るエミッシブの値(駅構内蛍光灯など)が最低でも1必要になる計算を表にしてみました 昼間の太陽光? EV 1 になる Emissive 値 明るさの倍率 16 65,536 1/65,536 15 32,768 1/32,768 14 16,384 1/16,384 … … … 4 16 1/16 3 8 1/8 2 4 ¼ 1 2 ½ 0 1 1 -1 0.5 2 -2 0.25 4 -3 0.125 8 -4 0.0625 16

112.

痛いほど気持ちがわかる!! そんな桁数の計算は嫌だ もっと簡単にして アーティストは泣き叫びました

113.

アーティストにとって嬉しいことを改めて考える 弊社タイトルはフォトリアルの絵作りをしていません 見た目重視で物理的な設定から意図的に外すことが多くあります

114.

アーティストにとって嬉しいことを改めて考える 短期間に 様々なライティング環境を作り 様々な人がライティングをする場合があります

115.

アーティストにとって嬉しいことを改めて考える 大枠だけを用意しそのレギュレーションの中で アーティストが自由にライティングできるのが理想

116.

アーティストにとって嬉しいことを改めて考える 難しいことを考えずシンプルに EV 0 の時は Emissive 1 = 1 これを基準に考えよう

117.

露出を圧縮したライティングの設計 EV Situation Directional Light ( lux ) 1 になる Emissive 値 輝度の倍率 +5 - バッファ – 160 32 x 1/32 +4 晴天 屋外 80 16 x 1/16 +3 午後 屋外 40 8 x 1/8 +2 曇天 屋外 20 4 x 1/4 +1 夕方 屋外 10 2 x 1/2 0 明るい室内 5 1 x1 -1 日没 屋外 2.5 0.5 x2 -2 暗い室内 1.25 0.25 x4 -3 夜の街灯下 0.625 0.125 x8 -4 月明り 0.3125 0.0625 x 16 -5 - バッファ - 0.1563 0.03125 x 32

118.

露出基準のライティング

119.

露出基準のライティング

120.

露出基準のライティング

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まとめ ⚫ アセット確認環境を用意しておくメリット 統一した確認環境とツールを用意することでアーティストの管理コストを減らすことができ ターンテーブル機能でかっこいいアセットを眺めながらコーヒーブレイクすることもできます ⚫ 露出範囲を圧縮したライティングの設計 現実の広いレンジよりも基準の EV値から扱いやすい範囲でレンジを設けることで アーティストが取り扱いしやすいフローになると考えています

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採用情報 テクニカルアーティストなど、様々な職種で積極採用中です! 詳しくは「アトラス採用HP」をご確認ください • ライティングアーティスト • プログラマー • リギングアーティスト(リガー) • テクニカルアーティスト etc. https://www.atlus.co.jp/recruit/ https://www.atlus.co.jp/recruit/ まってるホ~

123.

ご清聴ありがとうございました