AI×組織 シードVCから見たAI時代に少数でも勝てるチームの条件

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March 11, 26

スライド概要

AI活用による生産性向上が当たり前となった今、ツール選びやプロンプトの書き方だけでは差がつかなくなってきており、より踏み込んだ組織やプロセスのあり方が求められています。

シード・アーリー中心に投資するVC「デライト・ベンチャーズ」で投資先にハンズオン支援で深く関与する中で見えてきた知見をお話しします。少数でも高速な開発サイクルを回し、競争力のあるプロダクトを提供できる組織の条件とは何か、実例を交えてご紹介します。

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各ページのテキスト
1.

AI×組織 シードVCから見たAI時代に少数でも勝てる チームの条件 立花 優斗

2.

立花 優斗 株式会社デライト・ベンチャーズ ベンチャー・ビルダー・ファンド 大手IT企業で企画職 → 複数のスタートアップで開発責任者やエンジニアMgr → DeNAでテックリードや事業開発 → デライト・ベンチャーズで投資先スタートアップに CTOとしてハンズオン支援

3.

デライト・ベンチャーズの紹介 世界を動かす事業をつくろう。をビジョンにDeNAグループから創設された独立系VC シード~シリーズA中心にオールジャンルで投資し、起業プログラムも定常的に実施。 デライト・ベンチャーズ2号ファンド (155億円) ベンチャー・ビルダー3号ファンド (50億円) ベンチャー投資専門の2号ファンド 対象:シード〜シリーズA 社会・市場における巨大な課題を解決 する事業 共同創業、シード投資 バーティカル・モメンタム領域、US 創業 起業プログラム V-ShIP: 製造業や⾦融などバーティカル領域 M-ShIP: マクロな変化を捉えるモメンタム領域 DelightX: US創業

4.

デライト・ベンチャーズの紹介 起業プログラムでは創業後も強力に伴走支援。 デライト・ベンチャーズのプロダクトエキスパートが実際に現場に何度も向かい検証・開発・チー ム組成まで、ファウンダーと密接に共創するケイパビリティのある稀有なVC。 起業準備期 創業〜シード期 『V-ShIP』の支援範囲 課題探索 検証 投資交渉 企画 資 金 調 達 【共同創業投資】 エキスパートと共同事業開発 川崎修平(MP/Eng) 元DeNA取締役CTO Mobageを3ヶ月で開発 【純投資】

5.

目次 1. これからのAI活用 2. デライト・ベンチャーズ支援事例紹介(TRASS株式会 社) 3. 成果を最大化するチームに求められること

6.

これからのAI活用

7.

ますます高度化する生成AI 2025 1Q GPT-4.5 Gemini 2.0 Flash Claude 3.7 Sonnet Claude Code(preview) バイブコーディング初出 2025 3Q GPT-5 Claude Opus 4.1 2025 2Q o3/o3-pro Gemini 2.5 Pro Claude 4(Opus/Sonnet) 2025 4Q GPT-5.1 Gemini 3.0 Pro Nano Banana Pro Claude Opus 4.5

8.

生産性の爆発的な向上はすでに起きている “ トップクラスのAIスタートアップは極めて効率的に事業を展開してお り、その多くが従業員1人あたり100万ドルを超える収益を上げてい る。 "The best AI startups are moving with extreme efficiency—many are earning north of $1M in revenue per employee." - Sequoia Capital - AI in 2026: A Tale of Two AIs (2025) “

9.

“How?” から “What?” への急速なシフト 依然として凄まじいAIの進化速度 ● ● プロンプトやツールの些末なテクニックではもはや差がつかない 出力の良し悪しを判断する審美眼が重要 社会実装が急速に進んでいる → どうやるか?という問題はAIが解決してくれるようになってきている → ボトルネックは “What?” に移行している

10.

求められる “ドメイン知識 x プロダクト” 人材 従来型の開発プロセスはディスラプト する 🏢 顧客 󰳕 👔 Dev Biz セクショナリズムに依拠したミッショ ンをそれぞれ持つのではなく、全員が 事業成⻑を⾒据える 現場に行き、顧客に会い、自分で解決 すべき課題を見出してプロダクトに落 とす 開発からリフトアップして営業や経営 のあり方を変えていく

11.

デライト・ベンチャーズ支援事例紹介 TRASS(トラス)株式会社

12.

Case: TRASS株式会社の紹介 橋梁などの土木インフラ点検を高度化するためのAI SaaSを提供。 2025年6月創業。2026年2月25に正式にサービス提供を開始。 ファウンダー 経営・営業 家業が建設会社 事業開発 営業 土木工学専攻 + 立花(創業期CTO)

13.

Case: インフラメンテナンスの課題 例えば橋は ● 全国73万橋 ● 5年に1度の点検が義務 ● 2040年には75%が築50年以上に

14.

Case: インフラメンテナンスの課題 煩雑な整理作業 地域‧発注者ごとに異なる要領様式 現場に分厚いファイルを持参 千枚に及ぶ写真を撮影して事務所で整理 定期的な改正もあり標準化が進まない 他地域の案件を⼊札しづらい

15.

Case: ソリューション 点検アプリによるデータ化 x AIエージェントで、現場でTRASSを使うだけでほとんど点 検が完了するような業務フローを実現(書類仕事ゼロ)。 点検者は専門性の高い業務に集中でき、より多くの点検案件を受注できるようになった。

16.

Case: プロダクトのイメージ 1. 前回の点検データをアップロード AIが解析 2. 現場用アプリで点検データ入力 CADのような操作感とAI補助 3. 事務作業用アプリで最終チェック 自動入力による補助 4. 納品データをエクスポート AIで様式の差分を吸収

17.

Case: 創業から8ヶ⽉の歩み 2025.06 会社設立 ヒアリングを重ねPoC開発。実案件でトライアル実施(1ヶ月未満) 5社以上でトライアル実施 リード約20社 2025.10 初の有償受注 有償受注を伸ばしながら営業 主要業界団体中心にアプローチ, リード約60社 成果品の品質を向上させながら事務作業の70%程度削減 2026.02 正式リリース

18.

Case: 競合環境 ● 課題設定自体に新規性があるわけではない ○ 把握している限りで10以上のサービスが存在 ○ 東証プライム上場企業のサービスも複数 ● しかしどの現場でも「TRASSが一番いい」といった声を頂戴す る 人員も開発費も圧倒的に少ない少数スタートアップでなぜ勝ててい るのか?

19.

取り組みの紹介

20.

ミッション 投資先のバリューアップを支援すること スタートアップなら2年でARR200M~300Mほしい。プロダクトを即 作ってすぐに売上を立てに行く必要がある。 そのためには ○ 初期プロダクトを作ること ○ 初期顧客と契約してPMFまでの道筋を立てること ○ 強い組織を作ること

22.

現場に行く 商談に出る 直接ヒアリングする 顧客が使っているところを見る 現場に出て自分でプロダクトを使ってみる etc…

23.

プロダクト・ビルダーの重要性 従来 フルサイクルエンジニア ソフトウェアのライフサイクルを一気通貫で担当 ヒアリ ング 要求 要件 定義 設計 実装 QA AI時代 プロダクト・ビルダー 現場に行き、ドメインに精通したビルダーとなっ て、自分自身で何を作るか決める 運用 営業

24.

プロダクト・ビルダーの重要性 売れるプロダクトを作り、営業や経営にリソースを回すためには... ● 従来かかっていたコストを最小化する ● 検証サイクルを回すための期間を最小化する → より多く現場に出て顧客と接触し、プロダクトを磨きつつ関係構 築を進めていける

25.

コストを最小化する 現時点でのAIへの委譲度 要求定義 要件定義 10%(調査や壁打ち程度) 50% 95% 設計・実装 レビュー 80% QA 50%(試験観点の洗い出しはAI) 運用 50%(定型的業務はすべてAIに任せる) → 人がやるのは「事業計画や顧客への価値を考慮したプロダクト戦略」、 「アーキテクチャやデータベース設計」、「最終的な品質への責任」

26.

検証期間を最小化する プロダクトを磨くためにも売るためにも顧客を巻き込んだ検証は重要。 自らアポを取りに行き、細かく回しながら知見を深めていく。 検証の目的 ● ● 開始時: 「導入意思」、「懸念点」、「検証期間・方法」の合意 終了時: 「いつ」、「いくらで」、「どの部門に」導入するかといった内諾や契約 高速な検証を下支えするのは ● PoC、オンサイトでのオンボーディング、ライトパーソンとの関係構築、プロトタ イプ提供...

27.

プロトタイピングの例 プロトタイプは検証したいスコープに絞ってクイックに構築してどんどん顧客に持っ ていく。 図面への書き込み機能 どんな要件や体験なら過不足なく受け入れ られるか?機能単位で確認する

28.

作りながら決める 作るコストが最⼩化する → ⼿戻りのリスクも最⼩化する 現場を知るプロダクト‧ビルダーが「作りながら決めていく」ことが最も合理的になる。 モックアップなどで 不確実性を軽減 仕様を固めて 設計着⼿ 🏢 👔 󰳕 顧客 Biz Dev 🏢 顧客 ヒアリングしたら作って持っていく その後チューニングを繰り返す 󰳕 Builder

29.

成果を最大化するチームに求められるこ と

30.

エンジニアの役割を再定義する(プロダクト・ビルダー) “難しい問題は「どう作るか」から「何を作るか」に移った” a16z - Notes on AI Apps in 2026 - 「課題解決の専門家」として、「何を作るか」から考える - 営業できるくらい業務、顧客、課題に精通する バーティカル(医療・金融など) ユーザーの仕事場 業界の慣習・商習慣 ホリゾンタル(人事・労務など) その業務自体 コンシューマ 市場自体 個々のユーザー

31.

セクショナリズムからの脱却 ● 従来型の職能組織の境界をAIが曖昧にする - Dev: 開発コストを最小化し顧客の課題に向き合う - Biz: 自然言語でAIに指示し動くものを自分で作る ● より本質的なミッションに取り組む - Dev: コードを書くことではなく、良いプロダクトを作ること - Biz: 御用聞きではなく、トップラインを上げること

32.

デライト・ベンチャーズでの実践例 バイブコーディングのワークショップを実施 エンジニアでなくてもAIを活用して、 課題の当事者がアプリケーションを作ること ができるようになっている

33.

デライト・ベンチャーズでの実践例 資金調達ニュースbot 資金調達ニュースを定期的に収集してSlackに概要を流すbot 調達額、投資家、事業概要などもAIで生成

34.

デライト・ベンチャーズでの実践例 税制適用チェックツール VC特有の税制適用に関するチェックツール。 必要項目を入れると自分はどの措置が適用されるのかを確認できる。

35.

まとめ AI時代に少人数でも勝てる組織を作るには... 現場に行き、課題に精通したプロダクト・ビルダーを持つ ● ● 開発コストを最小化し、顧客課題に自ら向き合う 経営者やBizメンバーは経営や営業に集中できるようにする セクショナリズムから脱却する ● ● 全員がAIを活用できている 全員が事業計画に向けたミッションを持っている

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Thanks 👋 デライト・ベンチャーズでは、手厚い伴走支援を強みに シード~シリーズAまでオールジャンルに投資していま す。 起業プログラムやCxO人材として投資先への紹介なども 取り組んでいます。 ● スタートアップでのキャリア ● 起業 ● 資金調達 ...にご興味のある方はぜひコンタクト ください!