生体情報モニターアラーム疲労軽減に向けた当院MACTの取り組み

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October 19, 23

スライド概要

長尾 建治(赤穂中央病院 臨床工学部)

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各ページのテキスト
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はじめに ・生体情報モニターに関連した死亡事例はアラームの無駄鳴りが引き起こす アラーム疲労が原因とされている。 ・当院でもアラームの無駄鳴りは頻発しており、我々MACTはこの度アメリカ看護 クリティカルケア学会より推奨されている「アラーム軽減戦略6つの推奨事項」 に注目し、無駄鳴り軽減への取り組みを行った。 MACT(モニター,アラーム,コントロール,チーム) 通称:マックティー アラーム疲労を無くすことを目的 として結成されたチームです 以降、画像は日本光電社より許可を頂き、ホームページから引用. 医療事故情報収集等事業 医療安全情報 No.95 2014年10月

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6つの推奨事項と、取り組み内容 石鹸で皮膚の前処理してから 電極を貼り付ける 毎日の心電図電極 の交換を検討する SpO2指用センサー を耳に付けない Evidence Level B Evidence Level E Evidence Level C Evidence Level A 特定の行動や介入、治療を一貫して支持する結果 を持つメタアナリシスまたはメタシンセシス。 (システマティックレビューを含む) Evidence Level B (➀) 特定の行動、介入、治療を一貫して支持する結果 を有する十分に設計された対照研究。 〇 × SpO2センサーは温かい 指趾に装着する アラーム設定を個々 の患者に合わせる シフトごとにアラーム設定 を確認する Evidence Level C Evidence Level E Evidence Level E Warm! Evidence Level C (➂、➃) システマティックレビューによるエビデンス、質 的研究、記述的研究、相関的研究、あるいはラン ダム化比較試験で、一貫性のない結果 Evidence Level D 専門家による組織的な査読を受けた、推奨を支持 する臨床研究がある。 Evidence Level E (➁、➄、➅) 複数の症例報告、専門家の意見による理論に基づ くエビデンス Evidence Level M 製造者の推奨のみ ©2018 American Association of Critical-Care Nurses doi: https://doi.org/10.4037/ccn2018468

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推奨➀ Evidence Level B 石鹸で皮膚の前処理をしてから電極貼付 “皮膚の前処理にアルコールを使用しないで下さい。皮膚を乾燥させます。” 参考:©2018 American Association of Critical-Care Nurses doi: https://doi.org/10.4037/ccn2018468 前処理の方法をアルコール綿から石鹸に変更、統一した 清拭シャボン(大阪エンゼル) ホームケア前科 推奨➁ Evidence Level E 毎日の心電図電極交換を検討する ✔長期間、同じ電極を使用し続けることはノイズ生成に繋がる ✔しかし、電極の交換頻度が高いほど皮膚かぶれの頻度も増加する 参考:高齢者におけるECG電極交換時のスキンケア―スキナ法の検証― 連続使用は最長7日まで、交換時は電極を全て交換とした

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推奨➂ Evidence Level C 指用SpO2プローブを耳につけない 指用センサーを耳に使っていた! 耳朶用クリップセンサーを導入 医療機器管理室にて中央管理とした 推奨➃ Evidence Level C SpO2センサーは温かい指趾に装着する “低体温下でも正確な測定ができるような種類のセンサーや装着部位を考慮する必要がある。” 参考:AAMI FOUNDATION | SpO2 Tool Kit プローブの装着部位や装着方法について、 研修を行うことで正しい知識を共有した

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推奨➄ Evidence Level E アラーム設定を個々の患者に合わせる ―SpO2アラーム設定の参考値― アラーム設定の考え方を 一例として具体的数値 で示した a. Ⅰ型呼吸不全 上限値:OFF 下限値:88% b. Ⅱ型呼吸不全 上限値:97% 下限値:86% 推奨➅ Evidence Level E シフト毎にアラーム設定を確認、 カスタマイズする まず、モニタリングの継続が必要か否か?を考えるために 毎日のモニター継続・終了に関する アセスメントツールとして電子カルテ を使用することにした (心電図モニタリング 考え方の例) Aさんは頻脈を内服治療中で、 実測のHRが120~140ぐらいで動くから 上限:160(危険値) 下限:100(目標値) にしておこう

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取り組み内容とデータ収集 医療安全管理室 下部組織としてMACT設立 ⇩ 6つの推奨事項を基盤に院内規定マニュアルを作成 ⇩ 各病棟にMAC-L(MAC-Leader)配置し、研修を実施 ⇩ MAC-L試験合格 ⇩ 一般スタッフ向けにe-Learning研修 ⇩ 周知・対策開始 ・対象機器:日本光電社製医用テレメータ WEP-5200シリーズ ・対象病棟:内科病棟 ・調査期間:(対策実施前) 2021年8月6日~9月9日 35日 (対策実施後) 2022年4月6日~5月4日 34日 ・調査方法:日本光電社 アラームレポート

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結果➀ 総合評価 ・全てのアラーム件数が減少 ・特にバイタルアラーム、アラーム解除数が大幅に減少

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結果➁ アラーム種類別評価 ・全てのアラーム件数が減少 ・SpO2関連テクニカルアラーム件数以外は大幅に減少

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考察➀ バイタルアラーム数減少について ・アラーム設定の参考値を実数で明記したことで 現場でのアラーム管理が容易に実施できた可能性がある。 ・平均患者数が減少したことは全てのアラームの削減に繋がる。現場でモニタリング 必要性の検討を行った結果、必要数が減少したのかもしれない。 考察➁ ECGテクニカルアラーム数減少について ・心電図電極の取り扱い方法を院内規定とすることで、現場レベルで エビデンスに則った手技を標準化できたことが大きな要因となった可能性がある

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考察➂ アラーム解除数の減少について 9735往復 解除! 対応! 総アラーム件数が大幅に改善したことで 「無駄鳴り」を低減させ、現場のモニタリング 環境が改善されたことによってスタッフの 2280往復 「アラーム疲労(対応の負担)が軽減」 された可能性を示唆する 解除! 対応!

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結語 エビデンスに基づいたMACTの取り組みは アラームの無駄鳴り低減に有効である。