コロナウイルスの流行でがん患者の終の棲家は変わったのか?

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October 19, 23

スライド概要

釜地 智子(赤穂中央病院 看護部)

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各ページのテキスト
1.

02:看護 コロナウイルスの流行で がん患者の終の棲家は 変わったのか? 医療法人伯鳳会 赤穂中央病院 外来 〇釜地智子 奥道八重子 神谷美保 小谷 原田雄介 美香 有吉晃一 河田和子

2.

はじめに 2020年コロナウイルスの流行による医療の混乱 ⇩ 面会制限 ⇩ 終末期がん患者は病院で孤独な死を迎える ⇩ 在宅医療であれば残された時間を家族と過ごせる? ⇩ がん終末期の過ごし方に変化があったか?

3.

 日本全国の訪問看護ステーションの多施設アンケート調査で はコロナの流行でがんの在宅死、訪問看護が増えたと報告さ れている  アメリカで入院患者、救急受診は減り、遠隔医療が増えたと 報告されている  台湾では在宅ホスピス医療数に変化はないが、入院ホスピス 医療の在院日数が減ったと報告がある 当院でのがん終末期の過ごし方に変化はあっただろうか? BMC Research Notes (2022) 15:238 J Med Internet Res 2021;23(4):e26558 J Pain Symp - tom Manage. 2020;60(3):e1–6

4.

研究目的 面会制限が行われたことで、がん患者の終の棲家がど のように変わったのかを明らかにする

5.

研究方法と倫理  ①研究の対象 2019年4月~2023年3月に当院もしくは当院の在宅サービス で亡くなったがん患者259名  ➁データの収集および解析 後方視的にカルテより看取りまでの経過を収集した  ③倫理的配慮 この調査において、得られた内容は本研究以外には使用し ないほか、個人が特定されるような情報が研究関係者以外 に知らされることがないように厳重に管理する

6.

% 在宅死の割合 12 11.4 10 8 6 4 2.9 3.4 2019年 2020年 2 3.7 0 2021年 2022年 2019 2020 2021 2022 在宅死(名) 2 2 9 2 入院死(名) 67 57 70 52 全死亡数 69 59 79 54 がん死全体のうち在宅死の割合は2.9%から11.4%に増えた

7.

% 40 35 30 25 20 15 10 5 0 がん死患者のうち訪問看護の 利用率は増えたか? 36.4 27.9 2019年 36.4 28.8 2020年 2021年 コロナ流行前の27%から36%に増えた 2022年

8.

% 40 35 30 25 20 15 10 5 0 訪看看護の介入で在宅死の割は増えるか? 37.5 15.4 13.8 12.5 10.5 3.5 2.9 2019年 4.4 5.4 在宅死/総死亡 在宅死/同居あり 在宅死/訪看あり 11.4 3.7 3.4 2020年 2021年 2022年 訪問看護利用患者の在宅死割合はコロナウイルスの流行前 は10%だが、流行後は約37.5%に増えた

9.

% 入院理由の変化 25 20 15 10 5 0 状態悪化 2019年 2020年 治療 2021年 2022年 病状悪化での入院はコロナ禍では減っている 治療のための入院はコロナ禍でも減っていない

10.

件 癌種ごとの入院死亡件数 25 20 15 10 5 0 肺がん 2019年 血液がん 2020年 2021年 胃がん 2022年 肺がん、血液がんはコロナ禍でも入院死の件数に変化がない 胃がんはコロナ禍で入院死亡が減っている

11.

考察 • 在宅の割合は増えた→減少傾向 在宅の • コロナ感染が落ち着きつつある変化かもしれない 割合 訪問 看護 入院 がん種 • 介入は増えた→訪問は受け入れられている • 訪問看護介入がないと在宅死亡率は増えない • 状態悪化の入院は減少した • 治療入院は減らない • 肺がんは呼吸苦の緩和が困難 • 血液がんは輸血など、終末期まで治療

12.

結語  コロナウイルス感染症によって、がん終末期は入院から 在宅へ変化した  がん終末期を在宅で過ごすために、訪問看護の介入が 必要で、がん種や症状によって困難な場合もある  この結果をがん終末期患者のACPに利用にしていきたい