COVID-19患者の隔離解除にPCR(Ct値)を活用して

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October 22, 23

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勝平真司 赤穂中央病院 ICT

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1.

COVID-19患者の隔離解除にPCR(Ct値)を活用して P2-131 医療法人伯鳳会 赤穂中央病院 ○勝平真司 槙祥吾 竹元あい 永石郁恵 矢部博樹 背景 COVID-19院内クラスター予防として罹患時の隔離解除基準を入院継続の場合、国が推奨している10日間では なくPCRのCt(Cycle Threshold)値を活用した。Ct値による感染性評価の議論が十分なされたとはいえないが 一般的にCt値が高くなるに従いウイルス量は減少し、感染性が低下する。今回Ct値を利用した当院独自の隔離 解除基準を文献1)を参考に設定し、COVID-19病棟から一般病棟転棟後の二次感染事例0例の成果を報告する。 方法 2022年1-12月にCOVID-19病棟へ入院または入院中に罹患した18歳以上の160名の患者のうち隔離解除目的で PCRを行った77名(一般病棟へ転棟、施設へ再入所、デイサービス利用)の症例を検討した。隔離解除基準の Ct値30未満を二次感染高リスク、30から35未満を低リスク、35以上をリスクなしで隔離解除とし、PCR検査は 基本、発症から10日目前後に行い再検査の日程は文献2)を参考に、Ct値を数値毎で判断出来る運用とした。 取り組み PCR(Ct値)解除基準適応等 運用基準の流れ 解除基準表(当院独自) Ct値:35以上で隔離解除 25以上30 未満 30以上35 未満 ➢要一部再検 ・25-27:5日後 に再検査 ・28-29検査無 しで4日後に 解除 ➢再検査不要 ・30-31:3日後 に解除 ・32-33:2日後 に解除 ・34:1日後に 解除 25未満 ➢要再検査 ・7日後に 再検査 感染対策 個室隔離またはコホート隔離 フルPPE対応 隔離継続 PPE緩和 結果 Ct値遅延患者・非遅延患者の比較検討 転棟後の二次感染事例 Ct値を隔離解除判断基準 使用中に招いた問題点 問題点① 0件 Ct値を35以上に設定すると国が推奨している10日間で 隔離解除出来た患者は全体の27.3%しかなかったため COVID-19病棟の運営に支障をきたした。 問題点② 悪性リンパ腫患者のような重度免疫不全患者にこの基準を 当てはめると、長期間隔離解除が出来ない事や検査費用も 持ち出しになり、頻回の検査の必要性を迫られた。 対応のないt検定 P<0.05 統計ソフト EZR 発症後経過日数とCt値の関係 10日間で隔離解除:27.3% 隔離日数平均15日 Ct値遅延患者の背景及び隔離解除までのCt値の推移 隔離解除日数 Ct値35cut offの場合:発症から16日~19日目(3名)20日目以降(12名) 重度免疫不全患者のCt値経過 考察 ウイルス分離は出来ておらず感染性を直接評価出来ていない点に注意が必要であるが、Ct値を35以上に設定し隔離解除した結果、一般 結語 病棟の患者へ感染伝播を起こす事はなかった。しかしCt値を35以上に設定すると国が推奨している10日間で隔離解除が出来た患者の多く が若年・妊婦等で全体の27.3%、隔離日数は平均15日と長くなり、COVID-19病棟の運営に影響を及ぼした。そのため第8波ではCt値 30以上で隔離解除3)として対応したが、今後はCt値を測定せずにリスクが少なければ発症から10日間、それ以外は15日間・20日間と段階 的に解除の方向でいく方針を検討中である。ただ悪性リンパ腫治療後の患者においては3か月に亘りCt値が遷延し、隔離解除が出来ない 事態に陥った。このような重度免疫不全患者では慎重に隔離解除を行う必要性が示唆されたため、5類移行後はより早期に隔離解除の 必要性がある場合や免疫不全症例に限定してCt値を測定することで隔離解除の参考として感染伝播を防ぐ手段としたい。 結論 ・ Ct値を参考に隔離解除をした事でCOVID-19隔離解除後の患者から一般病棟の患者への感染伝播はなく、一定の成果を上げる事が 出来た。 ・ 今回設定した基準では隔離日数が長くなる事からCt値のcut off値を30に再設定した。 ・ 今後はリスクを考慮し日数で感染対策を緩和、隔離解除する。但し重度免疫不全患者については引き続きCt値を測定し、隔離解除の参考 とする。 引用・参考文献 1)Oba J et al., Keio J Med 2021 2)https://www.niid.go.jp/niid/images/iasr/2020/7/485r09f01.gif 3)Kim MC,et al.N Eng J Med.2021;384:671-673. 4)Aydillo,T.et al.Shedding od Viable SARS-CoV-2 after Immunosuppressive Therapy fpr Cancer.N Engl J Med.383(26),2020,2586-8. 5)https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1341321X23001174?ref=pdf_download&fr=RR-2&rr=7e27a160bd791a09 (日本環境感染学会 COI開示)発表者:勝平真司 演題発表に関連し,開示すべきCOI関係にある企業などありません.