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October 05, 26
スライド概要
以下のnoteのスライド資料です。
https://note.com/tsunobuchi/n/n9ffadb8c6a93
弁理士・博士(理学)/弁理士法人レクシード・テックパートナー
解説スライド 無効資料調査の 考え方と進め方 証拠を探し、主張を組み立てる 起案者の打ち筋を理解し、必要な証拠を探す
この資料の中心となる考え方 この証拠は、 どの打ち筋を支える駒になるのか。 解決したい問題を共有し、立証したい事実を定める。 調査で得た発見を起案者へ返し、次に必要な証拠を考える。 2
全体の構成 01 目的と打ち筋 05 パズル:証拠の役割を見極める 02 証拠の条件を言葉にする 06 弁論:検証できる説明にする 03 詰将棋:相手の応手を読む 07 協働:調査と起案を往復する 04 連想:言葉と分野を越える 08 生成AI:問いを磨く 各章の図解を入口に、確認事項・対比表・仮例で具体化する 3
依頼時に共有する目的と条件 6W2Hを、調査で判断できる条件に具体化する 観点 共有する内容 調査への影響 目的・対象 依頼者の困りごと/対象製品/問題となる 請求項 優先する争点と探す構成が定まる 関係者 依頼者/起案者/調査者/最終的な読み手 相談先と報告の粒度が定まる 期限・費用 回答期限/中間報告日/予算/残り時間 探索の広さと深さを配分する 情報源・方法 既存資料/調査済み範囲/入手可能な資料 重複調査と探索の偏りを減らす 何を見つければ、次の判断ができるかを共有する 5
依頼者・起案者・調査者の役割 依頼者 起案者 調査者 解決したい事業上の問題 争点と主張の構想 必要な証拠の探索 対象製品と将来の仕様 資料の法的な位置付け 記載と公開時期の確認 意思決定の期限と制約 反論・訂正への備え 不足・疑問・発見の共有 役割を分担しながら、判断の前提を相互に伝える 6
検索前に確認する資料 確認対象 確認する内容 残すべき前提 請求項・明細書 対象請求項、用語、構成、実施例、図面 請求項の版と解釈上の争点 経過情報 拒絶理由、引用文献、補正、意見書、外国 対応出願 審査で問題となった点と説明内容 対象製品 構造、動作、材料、工程、変更予定 確認済み仕様と未確定仕様 既存の調査結果 採用候補、未採用資料、調査済み範囲 評価理由と、なお不足する証拠 8
打ち筋を検索可能な問いへ変える 説明用の仮例:工具を使わずに部材を取り外せる構造 構成を示す その取り外し構造が、必要な時期より前に知られていたか。 課題を示す 交換や清掃を容易にしたいという課題が、当時認識されていたか。 用語を確かめる 「着脱」「分離」「解除」が、どの動作や構造を意味しているか。 組合せを支える 既存構造にその機構を採用する技術的な理由があるか。 求める記載と、その記載で示したい事実をセットにする 9
対象・時期・版の管理 調査対象 資料の条件 変更時の対応 請求項番号と版 必要な時期 解釈や訂正案を確認 対象製品の仕様 資料の版・公開の裏付け 既存資料を再評価 想定する無効理由 立証する事実 追加の検索条件を設定 基準日や資料の使い方は、請求項・理由ごとに起案者と確認する 10
属否論と無効論をつなぐ視点 請求項の解釈を共有して、製品と先行技術の両方を検討する 解釈・主張 対象製品についての問い 先行技術についての問い 広い解釈を前提 その範囲に製品の構成が含まれるか 同じ解釈で、既知の構成も含まれるか 限定的な解釈を前提 製品が満たさない要件は何か 限定された要件を示す記載があるか 解釈が途中で変わる 製品との対比で何が変わるか 資料の対応箇所を評価し直す必要があ るか 技術的な類似から、直ちに無効や非侵害の結論を出さない 12
訂正後の局面を想定する 仮例:請求項の構成A・Bに、特徴Cが加わる場合 訂正前の検討 想定する訂正 次に必要な証拠 資料XにA・Bがある A・B・Cへ限定される 製品はCも備えるか 対象製品にもA・Bがある その訂正が認められるか 先行技術にCがあるか Cの記載は未確認 起案者が検討する Cを採用する理由は何か 訂正後も残る製品への影響を見据え、追加証拠を考える 13
検索語を広げる四つの切り口 説明用の仮例:部材を取り外しやすくする構造 切り口 候補となる言葉 読むときの確認 動作・構造 取り外し、着脱、分離、解除、係止 何が、どの方向へ、どう動くか 目的・課題 交換、清掃、保守、分解、作業性 対象と同じ課題や条件か 時代・言語 古い名称、業界用語、同義語、外国語 当時の意味と現在の意味が対応するか 分野・用途 同じ原理を使う別用途の装置 適用できる条件や制約は何か 見つかった文献の言葉を、次の検索へ戻す 15
必要な記載から情報源を選ぶ 探す情報 情報源の候補 追加で確かめること 構造・動作 特許公報、論文、設計資料 図面と本文の対応、実施例の条件 実際の使い方 取扱説明書、カタログ、製品資料 型番、版、発売時期、掲載内容 当時の課題や用語 業界誌、専門書、ウェブ記事 発行時期、対象分野、文脈 公開時期の裏付け 奥付、書誌情報、保存記録等 資料の同一性と公開を示す根拠 誰が、その情報を、どこに残したかを考える 16
資料ごとに異なる証拠の役割 役割 示したい事実 確認すべき限界 構成の証拠 具体的な構造・動作が記載されている 別実施例の記載を混ぜていないか 課題の証拠 当時、その問題が認識されていた 対象分野や前提条件は一致するか 技術常識の証拠 用語・原理・慣用的な手法の理解 当時の当業者の知識を示せるか 組合せの証拠 その構成を採用する技術的な理由 組合せを妨げる事情はないか 18
資料の組合せを支える説明 確認する関係 評価に含める事情 技術分野・課題の関係 組合せを難しくする条件 作用や機能の共通性 構成の働きや効果の変化 資料中の示唆や適用条件 進歩性を肯定する事情 発明を知った後の見方を、当時の技術者に重ねない 19
対比表は「不足」を見つける道具 説明用の仮例。文献X・Yと頁番号は架空の設定 対象の要件 資料X 資料Y 追加で必要な確認 A:本体と部材 図2に記載 図1に記載 同じ関係・配置か B:着脱する機構 p.4に記載 p.3に記載 動作の前提条件は何か C:工具不要 記載を確認できず p.3に記載 Xへの適用理由と制約 公開時期 奥付を確認済み 未確認 Yの旧版と公開の裏付け 「記載あり」と「使える」を分けて、起案者と評価する 20
主張と原資料を結び付ける記録 記録項目 残す内容 起案者が判断できること 立証対象 どの事実を示す資料か 主張のどこに使うか 根拠箇所 頁、段落、図、引用する記載 原資料で確認できるか 資料の同一性 文献番号、著者、版、型番 同じ資料を参照しているか 時期と確認状態 公開の裏付け、未確認事項 追加で必要な証拠は何か 文献一覧に、使い方と確認状態を添える 22
ウェブ資料の内容と公開時期 現在のページで見つかった説明を、過去の証拠として使いたい場合 内容の確認 時期の確認 該当する構造や動作 いつ公開された内容か 対象の型番と版 旧版や保存記録の有無 原文・図面・掲載範囲 現在の記載と同一か 取得日と、内容が公開された時期を分けて記録する 23
確認状態を分けて報告する 状態 記載例 次の対応 確認できた事実 「p.3に工具不要と記載がある」 根拠箇所を提示する 推論・評価 「同じ目的に使える可能性がある」 前提と推論の理由を示す 未確認事項 「その版の公開時期は未確認」 必要な裏付けと担当を決める 未発見 「今回の範囲ではCの記載を未発見」 検索範囲と残る探索先を伝える 未発見を不存在として伝えない 24
中間報告で共有する判断材料 報告する状態 伝え方の例 起案者への相談 中心資料を発見 「A・Bの記載はあります。Cは未確認です 」 今の資料を軸に進めるか 解釈が必要 「この用語が対象の動作を含むか検討が必要 です」 確認したい解釈は何か 別の筋が見えた 「異なる分野に、同じ機能の記載がありまし た」 別の構成や組合せを検討するか 追加探索が必要 「旧版の入手と公開時期の裏付けが残ってい ます」 期限内の優先順位をどうするか 26
起案へ渡す調査成果 結論の要約 有力な資料、支えられる論点、残る弱点を簡潔に示す。 証拠と対比 原資料、根拠箇所、版、公開時期、請求項との対応をまとめる。 探索の記録 情報源、検索観点、調査範囲、未確認の経路を残す。 次の判断 追加調査、解釈確認、別の主張の検討など、相談事項を示す。 起案者が「使う・補う・見直す」を判断できる形で渡す 27
前提変更と調査の区切り 前提が変わったとき 一区切りにするとき 請求項の解釈・訂正案を更新 支えられる主張を確認 製品仕様と対象範囲を再確認 不足と残る探索先を共有 既存資料の評価へ戻る 次の行動と担当を決める 調査の区切りも、起案と事業判断に必要な情報から考える 28
AIに依頼する作業と、人が確認する点 作業 AIへの依頼例 人が確認する点 問いを整理 立証したい事実と不足情報を整理する 起案の目的と争点に合うか 探索を広げる 同義語・旧語・他分野の表現を提案する 実際に使われた語か 候補箇所を抽出 要件に対応しそうな記載と位置を列挙する 原文・図面・文脈との一致 報告を整える 事実・推論・未確認事項を分けて要約する 不確かさが消えていないか 出力を検証し、その結果を次の問いへ戻す 30
原資料の確認を促す依頼文の例 説明用の仮例。対象資料を添え、実際の請求項・日付条件に合わせて使う 確認したい事実:部材を工具なしで取り外せること。 添付資料から、対応する記載と頁・段落・図を示してください。 直接の記載、推論、判断できない事項を分けてください。 別の実施例を混ぜず、前後の条件も確認してください。 資料の版と公開時期について、確認根拠と不足を示してください。 回答の各箇所を原資料で照合してから、調査結果に採用する 31
通しの仮例:調査の出発点 以下の3枚は、説明のために設定した架空の案件 依頼者の課題 販売予定の装置について、他社特許との関係を検討している。 対象となる構成 A:本体と部材 B:着脱機構 現在の資料 資料XにA・Bの記載がある。Cの記載は確認できていない。 起案者との合意 Cそのものと、XにCを適用する理由の両方を調べる。 C:工具を使わずに操作できる。 構成の探索と、主張を支える理由の探索を分けて設計する 32
通しの仮例:発見から追加探索へ 架空の資料X・Y・Zを用いた説明 調査で分かったこと 残る問い 次の調査 Yに工具なしで外す機構の記載 必要な時期に公開されていた か 旧版・奥付・書誌情報を確認 Zに交換作業の負担という課題の記載 Xと同じ用途・条件の課題か 前後の文脈と適用範囲を読む Yには特定の材質を使う条件がある Xへの適用を妨げないか 条件の意味と代替例を確認 相手がCをさらに限定する可能性 製品と資料に何が残るか 起案者と想定訂正を共有 見つかった資料が、次に確かめる問いを生む 33
通しの仮例:起案者への中間報告 発見・不足・相談を、短い説明でつなぐ 確認した事実 未解決の点 相談する判断 XにはA・Bの記載 Yの公開時期 今の組合せを検討するか YにはCの記載 Yの材質条件の影響 どの不足を優先するか Zには交換作業の課題 XとZの課題の対応 別の資料を軸にするか 「近い資料が見つかった」を、判断できる報告へ具体化する 34
調査で起きやすい行き違い 行き違い 生じる問題 改善する共有事項 特許番号だけで依頼する 製品や争点に合わない探索にな る 製品、請求項、立証したい事実 類似資料を多数列挙する 資料ごとの使い方が分からない 根拠箇所、証拠の役割、不足 有利な記載だけを拾う 反論や適用条件を見落とす 前後の文脈、不利な事情 未発見を不存在と伝える 残る可能性を判断できない 調査範囲、検索観点、残る経路 35
調査の始まりから終わりまで共有する問い この証拠は、 どの打ち筋を支える駒になるのか。 相手の応手を読む。言葉と分野を越えて探す。 証拠の役割を見極め、他者が検証できる説明へつなぐ。 36
参考資料 1 資料 主に参照した内容 [1] 侵害予防調査と無効資料調査のノウハウ 角渕由英/note 目的・6W2H・調査戦略 [2] 第三者特許の無効資料調査の留意点 角渕由英/知財管理73巻9号(2023) 製品・属否・訂正・協働 [3] 弁理士×調査のメリット 角渕由英/note(2021) 補助的な証拠と無効論 [4] 弁理士と特許調査(3)弁理士と調査業務 角渕由英/note(2021) 目的の伝達・起案との連携 37
参考資料 2 資料 主に参照した内容 [5] 先行技術資料および無効資料の変化 角渕由英・飛田保彦/知財管理72巻9号(2022) 情報源・探索対象の広がり [6] 特許・実用新案審査基準 第III部 第2章 特許庁 進歩性の論理付け [7] 無効資料調査のポイント 角渕由英/note(2025) 根拠箇所・時期・証拠整理 [8] 特許調査における弁理士の役割 角渕由英/パテント78巻9号(2025) 問いとアウトプットの設計 [9] 生成AI時代の特許調査を「一発プロンプト」から解放する 角渕由英/note 工程化・根拠への追跡 38
付録:調査依頼メモのひな型 項目 記載する内容 目的・判断期限 解決したい問題/いつ、誰が、何を判断するか 対象と前提 特許・請求項・版/製品仕様/解釈/時期の条件 現在の打ち筋 重視する争点/立証したい事実/想定する反論・訂正 既存資料と不足 使いたい資料と理由/足りない記載/調査済みの範囲 進め方と成果物 優先順位/中間報告日/相談先/対比表・証拠の形式 39
付録:報告前の確認事項 目的との対応 依頼者の問題と、起案者が判断したいことに答えているか。 根拠の追跡 記載・図面・版・公開時期まで、原資料へ戻れるか。 評価の限界 事実・推論・未確認を分け、不利な事情も共有したか。 次の行動 残る不足、追加調査の優先順位、相談事項が明確か。 証拠と打ち筋をすり合わせ、次の判断につなぐ 40