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September 01, 25
スライド概要
だれでも衛星開発ができる時代!
超小型衛星とCubeSatの世界を第一人者が語る!
トラ技ファン読者イベント「エレキ万博2025」の資料です
ミニ講演
「誰でも衛星開発.超小型衛星CubeSatの世界」
※トラ技イベント情報はconnpassにメンバー登録すると届くようになります
https://toragi.connpass.com/
誰でも衛星開発。 超小型衛星CubeSatの世界 趙孟佑 千葉工業大学 工学部 宇宙・半導体工学科 九州工業大学 革新的宇宙利用実証ラボラトリー 2025年8月9日 1
「宇宙」は私達に何を与えてくれるのか? • 安全・安心・快適な生活 ©JAXA ©JAXA 通信・放送 災害監視 ©Wiki ©MELCO GNSS 気象観測 • 地球規模の問題の解決 ©JAXA 地球環境観測 ©JAXA 宇宙エネルギー利用 2
「宇宙」を知ることで何が得られるのか? • 人類の存在理由に対する答え • 宇宙のはじまりは? ©JAXA 天文衛星 ©JAXA 惑星探査 • 人類は独りなのか? http://voyager.jpl.nasa.gov/spacecraft/index.html 太陽系外探査 3
「宇宙」を知ると何が起きるのか? 人間の考え方の基本が変わる可能性 Nicolaus Copernicus (Poland, 1473-1543) コペルニクス Johannes Kepler (Germany, 1571-1630) ケプラー Galileo Galilei (Italy, 1564-1642) 4 ガリレオ
宇宙の彼方を見てみたい 5
人類以外の存在を知りたい From: Movie “Star Trek: First Contact”, 1996, Paramount http://cyberbrethren.typepad.com/cyberbrethren/macintosh/index.html 6
宇宙を自由に飛び回りたい 7
宇宙で暮らしてみたい http://www.starlarvae.org/Space_Brains_Space_Migration.html 8
宇宙を身近に • もっと多くの人が宇宙に携わらないと、未来はやってこない!! • 普通の人々にとって宇宙は未だ敷居が高い • 宇宙開発は特別な人たちがすることと考えてる • 「宇宙」に仕事で携わる人が増えない限り、いつまでたっても宇 宙はあこがれのまま あこがれ 仕事 誰でも宇宙へ 9
拡大する宇宙産業 https://www.projectdesign.jp/articles/685173be-25bd-4db1-82d1-a72711a896dc 産業規模が拡大する→仕事でやる人が増える 10
日本の宇宙産業 航空宇宙工業会「航空宇宙産業データベース」(2024年8月) 4000 12,000 3500 10,000 8,000 2500 6,000 2000 従業員数 売上高(億円) 3000 1500 4,000 売上高(億円) 従業員数 1000 2,000 500 0 1990 1995 2000 2005 2010 2015 2020 0 2025 年度 成長が見られない!人が全然増えていない! 11
普通の人が考える「宇宙」のやり方 •値段が高すぎる •時間がかかりすぎる このやり方を変えないと未来はやってこない 12
なぜ宇宙は高くて、時間がかかるのか? 衛星は大事 失敗は許されない リスクは許容できない より良い部品、より高い信頼性、もっと試験 コスト増 時間かかる 更に失敗が許されなくなる 13
新しい潮流 ©SpaceX Credit: Virgin Galactic ©Virgin Galactic http://www.huffingtonpost.jp/2013/11/22/ultrasmallsatellite-axelspace-corporation_n_4322364.html • Credit: AST mobile 世界中で(日本でも)、新しいやり方で「宇宙」に取り組もうとしているス タートアップ企業(New Space)が生まれている
日本の宇宙スタートアップ企業 • でも、まだまだ足りていない 15
New Spaceのやりかた 衛星はとても大事 衛星単体の失敗は許容する リスクを許容する 安い部品、少ない試験 コスト減 短い時間 失敗するかもしれないが、次をすぐに打ち上げ 16 次をすぐ打ち上げるために、衛星のサイズは小さくなる
超小型衛星とは • 従来とは異なる方法で作る • リスク許容、少人数チーム • 低コスト、短納期を目標 • 地上民生品がベース • 衛星開発と管理でリーンな手法 • Lean Satellite • リスク許容が衛星サイズを小さくする • 数同時運用で、地球全体を面でカバー • コンステレーション • 宇宙利用のあり方を根本から覆す可能性 コンステレーションイメージ • 宇宙参入の格好の入り口 • 大学、中小企業、発展途上国 • 宇宙のすそ野を広げ、新たな人材を獲得 衛星の大きさは結果であって、目的ではない 17
キューブサット (CubeSat) • 超小型衛星の代表的な形態 • 10cm単位で外形寸法を標準化 • 箱(POD)に入れてロケットに搭載 • ロケット間の互換性 • キューブサット用機器・プラットホームのインターネット通販がある Credit: Pumpkin, Inc. 18
打ち上げ数 CubeSatの動向 500 400 1-10kg 11-50kg 51-100kg less than 50kg total 300 殆どが CubeSat 200 100 0 2004 2008 2012 年 2016 2020 19
私が関わってきたCubeSat HORYU-1 (1U) 2006-2010 Not launched BIRDS-III constellation 2017-2019 ISS release 2019/06/17 CURTIS ISS release 2024/4/11 BIRDS-I constellation 2015-2017 ISS release 2017/07/07 BIRDS-IV constellation 2018-2020 ISS release 2021/03/14 MO-1 ISS release 2024/4/11 BIRDS-II constellation 2016-2018 ISS release 2018/08/10 SPATIUM-I 2016-2018 ISS release 2018/10/06 KITSUNE 2019-2021 ISS release 2022/03/24 Gardens-1,2,3 ISS release 2024/4~2024/12 BIRDS-X ISS release 2025/9 AOBA VELOX-IV 2016-2018 Launched 2019/01/18 BIRDS-5J, -5Z, -5U ISS release 2022/12/2 Gardens-4 ISS release 2025/9 LEOPARD ISS release 2026/2 20
CubeSatの中身 鳳龍1号のパーツ 太陽電池以外は 全て非宇宙部品 21 非宇宙部品 ちゃんと試験さえすれば、宇宙で使うことは可能
CubeSatの利用方法 • 教育 • 大学でのシステム工学教育に最適 • 技術実証・科学観測 • NASAでは積極的に活用 • 火星探査も実施 • 商業利用 Credit: NASA • 単一または少数の衛星によるサービス • コンステレーションによるサービス Credit: NASA Credit:Planet 22
CubeSatに適した利用 • 現在のところ、 CubeSatは通信容量と光学観測分解能に限界 • 下記では非常に強み • センサーデータ中継(例: AIS, ストア&フォワード) • テキストメッセージ • 非撮影観測(例:気象データ観測) • 低分解能(5m以上)の撮影 • 農業や環境モニタには十分 • 新技術の軌道上実証 • コンステレーションによる利用はより利点をもつ • 多地点同時観測 Credit:Spire CubeSat コンステレーションによる船舶モニタリング 23
CubeSatサロンの紹介 • • • • • CubeSatや宇宙利用など、宇宙に関するあら ゆる相談に応えます できるだけ敷居を低く ゆるい雰囲気で「茶飲み話」 手ぶら 全て無料 日本橋ライフサイエンスビル10階 予約サイト(1時間前まで可能) 24
CubeSatの教育利用 • CubeSatは元々、大学での教育のために開発された • 人工衛星プロジェクトはシステム工学の学習に最適 • 人工衛星は「システムの王様」 • またがる分野の広さ • システム工学、エレクトロニクス、 機械、材料、etc • 部品の多さ • 衛星作りを通じてシステム工学をカラダで学ぶ • 世界では宇宙産業は拡大しているのに、日本はペースが遅い • 深刻な人材不足を解決できる? 25
千葉工業大学高度技術者育成プログラム • 2021年に開始 • 急拡大する宇宙産業の基盤を支える高度技術者を育成する • 軌道上で確実に動く衛星(産業としての衛星)を作るにはどう すればいいかを肌身で知った人間 • 衛星を安く•早く•確実に作るためにはどうすればいいかを、実 際の衛星プロジェクトを最初から最後まで体験することで学ぶ • 毎年プロジェクトを実施し、各世代をオーバーラップさせる • 9世代に亘って実施予定 • 全学科から学生を募り、多様性をもたせる • 学部4年で卒論が本格化するまでに運用までを体験する 26
これまでの実績と現状 B1 B2 1号機 B3 2022.7 2023.4 M2 衛星納入 打ち上げ (2024/12) 2022.2 3号機 5号機 M1 キックオフ(2021.6) 2号機 4号機 B4 2024.4 2024.8 2025.10? 2024.11 1~3号機 4号機 27
学生から 4号機メンバー CubeSatを作ってみるというのは、どんな感じ? 実際にCubeSatを作ってみて、学んだこと、成長したこと 28