教師が主体的に扱える教材を目指して

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August 19, 13

スライド概要

2013年8月18日に大阪大学で行われたデジタル教科書学会2013年次大会での角南の実践発表のスライド。

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各ページのテキスト
1.

2013.8.18 日本デジタル教科書学会 2013年度年次大会 実践発表 教師が主体的に扱える 教材をめざして 角南 北斗(Sunami Hokuto)

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角南 北斗 Sunami Hokuto フリーランスの 教育系Webデザイナー

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Web 学習

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これまでの活動 1. 大阪大学で日本語教育学を専攻(修士) 2. 日本語教育機関などで講師 3. 教育機関のサイト制作 4. Web教材の開発(日本語教育以外も) 現場のIT活用指南・学会発表

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日本語でケアナビ 外国人介護士のための日本語学習ツール http://nihongodecarenavi.jp

6.

NIHONGO eな 日本語e-Learningのポータルサイト http://nihongo-e-na.com

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プレゼンのプ 電子書籍:プレゼンテーション入門

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飲食店開業支援の講座 調理師専門学校でITと経営を教える photo by pakutaso.com

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では本題。

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ITの恩恵を受けることが 当たり前の日常に

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教育の現場はどうか? 教師の意識はどうか?

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問い: 教育現場のIT活用は どうして進まないのか?

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答えのひとつ: ITやWebを道具として 自分の授業に位置づける、 そんなスキルが不足している

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たとえば、教材

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IT教材 と 紙の教材 を比較して

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IT教材は使う側(学習者)にも 教材制作側(教師)にも 扱いにくい部分がいくつかある

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教材制作時: 切り貼りでは形にできない。 ITの知識や理解が十分でないと 使えるレベルに仕上がらない。

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運用時: 現場に合わせた改変は? コンテンツの二次利用は? ITの知識やスキルがないと 手を入れることすら不可能。

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要するに、IT教材は 紙ほど直感的には扱えない

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結果として... 1. 教材開発に手を出しにくい 2. 設計には新たな知識が必須 3. 質の悪い教材が生まれやすい 4. 教材に困らされた教師は ITへの不信感を増すことに

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この状況を何とかしたい...

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結果として... 1. 教材開発に手を出しにくい 2. 教材設計には別の知識が必須 3. 質の悪い教材がいっぱい 4. 教材に困らされた教師は ITへの不信感が増してしまう

23.

開発側は、技術だけでなく 教育についても学ぶべき。 でも教師も、ITを学ばないと 教育の実質は変わっていかない。

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旧来の e-Learning 誰かが作ったIT教材を 教師は受け身的に使うだけ。 授業内容に沿った教材ではなく 教材に沿った授業のような姿勢。

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目指すべき e-Learning 教材ではなく教師が主役。 ITを「活用すべき道具」として 主体的に扱うようなアプローチ。

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今日の提案: オールインワンの教科書より ピンポイントの道具がいい

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実践例を2つお見せします

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実践例1: Google Drive のフォームで 授業を部分的に双方向化する

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回答フォーム

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回答フォーム 事前にフォームを作って 学習者にURLを伝えておく

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教師が授業で適時質問をし、 学習者はPCやスマホから その回答を投稿する。

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回答は自動的に集計される

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回答フォーム 具体的に何に使ってるの?

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活用例 ✴ アイディアや意見の出し合い ✴ グループワークの進捗報告 ✴ 課題の提出(テキスト) ✴ 授業の感想や質問の受付

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回答は教師だけが見たり 投影などで学生と共有したり

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学生の反応 ✴ いつでも質問できる ✴ 匿名なので周囲を気にせず 意見を思い切って出せる ✴ 発言が目の前に示されるので 議論への参加感が増す

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その他の利点1: 導入が簡単。3分。無料。

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回答フォーム 5

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その他の利点2: 様々な場面で柔軟に使え 使い回しもしやすい。

44.

回答フォーム 問いはフォームに書かずに その都度、教師が伝える

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回答フォーム 名前欄を追加してみる

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3択問題専用のフォーム

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その他の利点3: できないことが明確。

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できないこと ✴ 投稿者のなりすまし防止 ✴ 投稿回数の制限 ✴ ファイルの送信 ✴ 表示の細かい調整

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できる範囲で活用する術を知る。 必要なのに足りないものが 自分の中で明確になってやっと 独自開発も適切に行なえる。

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周りに勧めたい理由 受講生の多い授業であっても 部分的に双方向化できる。 様子を見ながら活用できる。

52.

実践例2: Web学習リファレンス作りで 教材開発の勘所を学ぶ

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Web学習リファレンス = 辞書 + 語彙リスト + クイズ を Webサイトにしたもの

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10年間、現場と話をしつつ 個別に教材設計をしてきたが、 結果的に似たタイプの教材を 作ることが多かった。 =Web学習リファレンス というタイプ(として認識

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日本語でケアナビ 外国人介護士のための日本語学習ツール

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言葉の検索

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言葉の解説

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関連語表示

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多様なリスト

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選んだリストで一問一答

62.

選んだリストで一問一答

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学習者にとっての利点 ✴ 紙媒体より柔軟な検索が可能 ✴ 多様な切り口の語彙リスト ✴ スマホで使えば紙との併用も楽 ✴ 隙間時間の学習を支援

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教師にとっての利点 ✴ データをExcelで入出力 ✴ ブラウザでも編集可能 ✴ 画像・動画・音声も登録可 ✴ 教師向けの教材DBとしても

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教師の開発力の向上にも ✴ データの編集が容易だから 教師の参加のハードルが低い ✴ データの内容や構造が 教材の使い勝手に反映され、 開発の勘所が理解しやすい

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ツール自体はシンプルであるが それゆえ道具として捉えやすく、 教師の「やりたいこと」を中心に その活用方法を考えられる。

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まとめと提案

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シンプルなIT活用であっても 教師なら誰もが自然に思いつく.. というわけでは、ない。 まだその段階にはなっていない。

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たとえ質の良い教材であっても それをそのまま使うだけでは、 教師が主体的に考えなくなる。

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もっと多くの教師にIT活用力、 授業デザインのスキルがないと 独自開発しても失敗するだけ。

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まずIT教材を使うこと。 自分なりにアレンジすること。 足りない要素を整理すること。 そんな体験を積み重ねることで 教師のIT活用力は上がっていく。

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今日の提案: オールインワンの教科書より ピンポイントの道具がいい

73.

教師の授業デザイン力を上げる、 IT活用力を上げるために、 小さな実践+開発の経験が必要。 それには、用途の限られる 道具的な教材が向いているのでは?

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ありがとうございました。 ご感想・ご意見をお待ちしてます。 Twitter:@shokuto Blog:withcomputer.jp Portfolio:sunamihokuto.com