-- Views
September 20, 26
スライド概要
ServerlessDays Tokyo 2026 「AIエージェントが再発見したサーバーレス」
https://serverless.connpass.com/event/371637/
発表文字起こし
https://d.nekoruri.jp/entry/2026/09/19/serverlessdays
2026年6月、AWSはAIエージェントのための実行環境「Lambda MicroVMs」を発表しました。
マイクロVM、スナップショット起動、ゼロスケール、新製品のはずなのに、部品はどれもサーバーレスが十年かけて磨いてきた道具です。同じ現象はMicrosoft、Google Cloud、Cloudflareでも起きています。断続的で予測のつかない負荷、人間のレビューを経ないコードの隔離、長い待ちとセッションの継続、エージェントが実行環境に求める特性は、サーバーレスが解いてきた課題とよく似ています。
本セッションではこの現象を「サーバーレスの再発見」と捉え、各社のエージェント実行基盤を収斂進化として読み解きます。そのうえで、原理も実装もそのままに文脈だけが変わった〔再発見〕と、原理は似ていても実行モデルを作り替えた〔再発明〕として整理します。
コールドスタート対策のスナップショットがセッションのsuspend/resumeへ姿を変えた例から、MCP最新仕様のステートレス化まで、新発表をどちらのラベルで読むかによって、既存の運用知識がどこまで通用し、どこから仕様を読み直すべきか決まります。
全てのエージェント向け技術を追いかけなくても使い回せる「エージェント時代のサーバーレス知識地図」を持ち帰ってください。
秋葉原生まれ大手町育ちの歌って踊れる江戸っ子インフラエンジニア。 0と1が紡ぐ「ゆるやかなつながり」に魅せられ早20年、 SNSとCGMの力で世界を幸福にするのがライフワーク。 市民、幸福は義務です。 あなたは幸福ですか?
ServerlessDays Tokyo 2026 #serverlessjp AIエージェントが再発見した サーバーレス 2026-09-19 ServerlessDays Tokyo 2026 めもおきば Aki @nekoruri
ServerlessDays Tokyo 2026 #serverlessjp AIエージェントが再発見したサーバーレス • このセッションのおすすめポイント • 毎週リリースされる新しいサービスに対して、 手持ちの知識からポイントを読み解けるようになれます • 今日の講演を横断して理解するための地図を提供します 2
ServerlessDays Tokyo 2026 #serverlessjp アイスブレイク:技術の時間軸 クラウドの20年(2006 Amazon S3) サーバーレスの11年 ChatGPT登場から怒濤の4年 • 2015 AWS Lambda GA • 2023-03 GPT-4 • 2018 Firecracker/gVisor公開 Azure Durable Functions GA • 2024-12 Devin GA • 2022-11-28 AWS Lambda SnapStart • 2022-11-30 ChatGPT • 2025-05 Claude Code GA 3
ServerlessDays Tokyo 2026 #serverlessjp 昨年のおさらい • Serverless implements Platform Engineering • プラットフォームによるベストプラクティスの提供 • 開発者が自分の価値に注力するための様々な試み • ソフトウェアエンジニアリングの重要性は変わらない • 誰もが、AIでも、安全でスケールするソフトウェアを作れる 世界でありたい • サーバーレスの「良い制約」が、再現性のある開発を支える 4
ServerlessDays Tokyo 2026 #serverlessjp 昨年のおさらい • 自由と制約のグラデーション、その間を埋めるプラクティス • ワークロード認証、最小権限、サプライチェーン • データと処理の分離 • コスト構造や外部制約を踏まえたアーキテクチャ設計の重要性 • Frugal architect • データやインターフェースのロックイン • クロスクラウド、ソブリンクラウド 5
ServerlessDays Tokyo 2026 #serverlessjp サーバーレスなアーキテクチャの3要素 何をクラウドに任せ、 何を自分で持つのか 処理をどうつなぎ、 ワークフローを構成するか フルマネージドサービス イベントドリブンアーキテクチャ プログラミングモデル 自分の「価値」を どこでどのように記述するか 6
ServerlessDays Tokyo 2026 #serverlessjp サーバーレスなアーキテクチャの3要素 何をクラウドに任せ、 何を自分で持つのか 処理をどうつなぎ、 ワークフローを構成するか フルマネージドサービス イベントドリブンアーキテクチャ AIエージェントという新しい需要 プログラミングモデル 自分の「価値」を どこでどのように記述するか 7
ServerlessDays Tokyo 2026 #serverlessjp AIエージェントによる再発見・再発明 小さな計測単位:時間、性能 確保量から使用量へ コスト最適な アーキテクチャ設計 再実行と冪等性・重複削除 弾力性・消費リソース量課金 (オートスケール、ゼロスケール) ワークロード認証、利用者認証、委任認可 MCP等の外部サービス認証 フルマネージドサービス プロセス実行の抽象化・仮想化 マイクロVMによる高速なサンドボックス イベントドリブンアーキテクチャ AIエージェントという新しい需要 スナップショットによるプロセス再開 履歴の記録によるDurable Execution ワークフローエンジン プログラミングモデル ツール実行の追跡・決定証跡 データエンジニアリング オントロジー 価値・成果への注力 現場の語彙・FDE ストレージとコンピュートの分離 シャーディング・レプリケーション 自然言語による実装 ストリーミング処理 自由と抽象化のグラデーション Container – Function – DSL - Configuration 9
ServerlessDays Tokyo 2026 #serverlessjp 「全部新しい」と「全部昔からある」の間には おもしろい領域がたくさんある 『振り子と螺旋』の「差分」を考えるためのキーワード • 再発見:既存の知識の見方を変える • 使い所はかわっても同じ間隔で使える • 再発明:既存の仕組みから新しい切り出し方を見いだす • 技術要素を把握すると勘所が使い回せる • 新規:新しい切り出し方 • 再発明と誤解すると罠にはまりやすい 10
ServerlessDays Tokyo 2026 #serverlessjp 実行基盤の収斂進化 • エージェントが持ち込む要求 • レビューを経ないコード、断続的な負荷、プロセス継続実行 • 各社ごとの既存技術を組み替えた新しいサーバーレスのかたち • AWS:Lambda MicroVM/Google Cloud:Kubernetes+gVisor • Microsoft:Hyper-V+プール/Cloudflare:エッジ+コンテナ • 効率よく「環境」を割り当てる点は同じでも、 実現方法や考え方の違いで細かく性質が違うのはFaaSと同じ 11
ServerlessDays Tokyo 2026 #serverlessjp 例:スナップショット • 初期化済みの環境から、 新しい実行を始める • FaaSコールドスタート短縮 技術の延長線上にある (再発見) • まっさらな出発点を、 すばやく複製する • 作業途中の環境を保存し、 続きから再開する • 会話セッションの suspend / resume • 一つの実行プロセスの動作 状態を、次の実行時に戻し てくる(再発明) 12
ServerlessDays Tokyo 2026 #serverlessjp 高レイテンシーが許された特別な時間の終わり • 文章の生成だけが、モデルの仕事ではない • 次のツール、継続・再試行・停止などを判断する • コーディングエージェントでは当たり前の世界 • 小さな判断を、低遅延で返すモデルも登場 • Jev:文章ではなく、型付きの判断と確率を返す • 「モデルが遅いから誤差」という数年間だけの常識 • UI操作:100ms未満、画面遷移:100ms〜1sの世界に戻ろう 14
ServerlessDays Tokyo 2026 #serverlessjp 応答時間と処理時間 • 利用者に見せる応答時間は、短くしたい(<100ms) • 受付、最初の判断、ツール呼び出し、進捗の表示 • 実際に処理に長い時間がかかる • 人間の承認、外部ジョブ • AIによる「長考」が本当に必要とされる処理 • 翌朝から再開した会話セッション • 短い応答は速く返し、長い待ちはいったん外部に記録する 15
ServerlessDays Tokyo 2026 #serverlessjp Durable Functions • Azure 2018年(再発見)/AWS 2025年(StepFunctions⇒再発明) • オーケストレーター関数は、途中で消えてもよい • 実行環境ではなく「進行状態」の履歴を記録する • 再開時は、オーケストレーター関数を先頭から再実行 • 完了済みActivityは再実行せず、履歴の記録を読み返す • 履歴の末尾に到達したら、 そこから次の処理を継続する @app.orchestration_trigger(context_name="context") def support_orchestrator(context: df.DurableOrchestrationContext): docs = yield context.call_activity("search_documents" ) draft = yield context.call_activity("generate_reply", docs) approval = yield context.wait_for_external_event("approved") if approval: yield context.call_activity("write_back", draft) return draft 16
ServerlessDays Tokyo 2026 #serverlessjp MCPも「ステートレス」を再発見した • MCP 2026-07-28版:プロトコルコアをstateless化 • initialize / initialized ハンドシェイクやMcp-Session-Id を廃止 • 必要な情報は、各リクエストに入れる • 長時間の継続が必要な状態だけを、 明示的なhandle / IDとして次の呼び出しへ渡す 17
ServerlessDays Tokyo 2026 #serverlessjp 技術選定は、導入した日で終わらない • 長く運用すれば、環境の条件も変わる • ライセンス、価格、ランタイムのEOL、利用規模 • 安全に変えるための備え:E2Eテスト、可観測性、デプロイ 追跡 • 当時の選択理由は、今も成り立っているか • あの頃は強いロックインだった部分も今では……? 22
ServerlessDays Tokyo 2026 #serverlessjp 書いたコードでも、持ち続ける必要はない • 当時はLambdaで書いた、小さな処理(グルーコード) • SDK呼び出し、入力検証、データ変換、条件分岐 • 「Lambda書いたら負け」 • Step Functions+JSONata(再発見へのちょい足し) • AIに速く書かせる前に、持たなくてよいコードを考える • ⇒自由と制約のグラデーションのどこを目指すか(例:DSL 24
ServerlessDays Tokyo 2026 #serverlessjp 「サーバーレス」の全体像2026 小さな計測単位:時間、性能 確保量から使用量へ コスト最適な アーキテクチャ設計 再実行と冪等性・重複削除 弾力性・消費リソース量課金 (オートスケール、ゼロスケール) ワークロード認証、利用者認証、委任認可 MCP等の外部サービス認証 フルマネージドサービス プロセス実行の抽象化・仮想化 マイクロVMによる高速なサンドボックス イベントドリブンアーキテクチャ AIエージェントという新しい需要 スナップショットによるプロセス再開 履歴のリプレイによるDurable Execution ワークフローエンジン プログラミングモデル ツール実行の追跡・決定証跡 データエンジニアリング オントロジー 価値・成果への注力 現場の語彙・FDE ストレージとコンピュートの分離 シャーディング・レプリケーション 自然言語による実装 ストリーミング処理 自由と抽象化のグラデーション Container – Function – DSL - Configuration 28
ServerlessDays Tokyo 2026 #serverlessjp 今日はいちにち化学反応をおこそう! • いろんなアウトプットを意識して楽しもう! • 様々なアウトプットの形があるよ • SNSへのポスト • (もちろん)ブログも! • 参加できなかったトラックにもハッシュタグで擬似参加 From #ssmjp 30
ServerlessDays Tokyo 2026 #serverlessjp 仲山 昌宏 / @nekoruri 株式会社スタディスト(2025-) SecHack365 トレーナー(2017-) 📗技術系同人誌サークル 「めもおきば」「ssmjp同人部」 👬#ssmjp /#serverlessjp ☁ Microsoft MVP (Azure, Cloud Native) 🎮ProjectSEKAI Colorful Stage Rank.539 31
ServerlessDays Tokyo 2026 #serverlessjp 【宣伝】 • 「 AIエージェントが見つけたサーバーレス」 • 通常1500円 ⇒ ServerlessDays開催 1,000円 (9/20まで) • 印刷書籍版は11月技術書典に増刷予定 https://nekoruri.booth.pm/items/8718496 32