Serverless Architecture Overview #cdevc

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July 25, 17

スライド概要

2017-07-25 Cloud Developers Circle #2 - Serverless Night -
Serverless Architecture Overview
https://cdevc.connpass.com/event/61296/

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秋葉原生まれ大手町育ちの歌って踊れる江戸っ子インフラエンジニア。 0と1が紡ぐ「ゆるやかなつながり」に魅せられ早20年、 SNSとCGMの力で世界を幸福にするのがライフワーク。 市民、幸福は義務です。 あなたは幸福ですか?

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1.

Serverless Architecture Overview 2017-07-25 Cloud Developers Circle #2 - Serverless Night - Aki@nekoruri

2.

「サーバーレスアーキテクチャ」? • 「サーバ」が「無い」アーキテクチャ • FAQ:「でもサーバ有るんでしょ?」 • イメージは人それぞれ • いまだに明確な定義はされていない

3.

「サーバーレスアーキテクチャ」の歴史 • 2008年 Google App Engineプレビューリリース サーバーレスなPaaSとして一つの完成形 • 2012年 Serverlessというテクニカルターム誕生 「Why The Future Of Software And Apps Is Serverless」 http://readwrite.com/2012/10/15/why-the-future-of-software-and-apps-is-serverless/ • 2014年 AWS Lambdaリリース • 2015年 日本語圏で広く知られるきっかけとなる記事 「サーバーレスアーキテクチャという技術分野についての簡単な調査」 http://qiita.com/zerobase/items/3bc0d15980b472af841d • 2016年 Azure Functions、Bluemix OpenWhiskリリース • 2017年 Google Cloud Functionsベータ公開、各社から継続的な機能拡張

4.

サーバーレスアーキテクチャ • 自分で管理する「サーバ」を無くすための二つの方針 1. 管理運用における「サーバ」という粒度を廃した、 フルマネージドなアプリケーション実行環境 2. クラウド上のコンポーネントをイベント駆動で結びつけて 最大限活用していくシステムアーキテクチャ

5.

寄り道: 「サーバレス」?「サーバーレス」? • Server ⇒ Serverless (合成語) • 内閣告示派 • 基本的に長音はそのまま • 「サーバー」であり「サーバーレス」 • JIS規格派 • 語尾に長音符号を付けないルール • 「サーバ」 だけど「サーバーレス」 ※あくまで一単語のため • 訳語なのでどちらでもいいけど、 原則的にはサーバーレスが正式

6.

サーバーレスアーキテクチャ • 自分で管理する「サーバ」を無くすための二つの方針 1. 管理運用における「サーバ」という粒度を廃した、 フルマネージドなアプリケーション実行環境 2. クラウド上のコンポーネントをイベント駆動で結びつけて 最大限活用していくシステムアーキテクチャ

7.

サーバーレスアーキテクチャ • 自分で管理する「サーバ」を無くすための二つの方針 1. 管理運用における「サーバ」という粒度を廃した、 フルマネージドなアプリケーション実行環境 (FaaS等に乗っかり自分で書くコードを減らす) 2. クラウド上のコンポーネントをイベント駆動で結びつけて 最大限活用していくシステムアーキテクチャ (そもそも自分で用意する機能そのものを減らす)

8.

1. フルマネージドなアプリケーション実行環境 • いわゆる「FaaS(Function as a Service)」 • 「関数」と呼ばれる小さなコードを動かすマネージドサービス • 基本的にはコンテナベースでコードを動かす • 自動でスケール • 他のサービスから呼び出されて動く • APIゲートウェイ(同期) • イベントストリーム、ストレージ等からのトリガー(非同期) • 各社「サーバーレス」の中心人物 AWS Lambda、Azure Functions Google Cloud Functions、Bluemix OpenWhisk

9.

1. フルマネージドなアプリケーション実行環境 • 「確保した量」から「使用した量」へのシフト • 確保したサーバ台数(箱の大きさ)に課金するのでは無く、 実際に使用した実行時間(中身の大きさ)に課金をする (現実的には、メモリ使用量などはまだ確保分になっている) • アプリケーションPaaSの最終形 • 実現方法 • 「いわゆるオートスケーリング」の粒度を「サーバ」より縮小 • 最初から「薄く広く」分散させた分散システム • 背景 • The twelve-factor appなど、ステートレスなアプリケーションという 「ベストプラクティスな制約」の普及

10.

1. フルマネージドなアプリケーション実行環境 • いわゆるPaaSとの違い • 明確な定義の違いは無く、スケールのしやすさで区別 https://twitter.com/adrianco/status/736553530689998848 • 実論まわりはFastContainerあたりの議論が分かりやすいです

11.

2. コンポーネントを「のり付け」するアーキテクチャ • 高機能なクラウド上のコンポーネントの活用 • Functional SaaS(Service as as Service) あるいはBaaS(Backend as a Service) • コンポーネント自身が高機能化し、様々な「イベント」を生成 • イベントからFaaSを呼び出して連携 • フロント側のネイティブアプリ化/SPA化の波 • アプリから直接データストア等にアクセスできる • 「ガチャ」のようなブラックボックスだけクラウド側に実装を持つ • アプリの一部としてクラウドとメッセージング連携

12.

2. コンポーネントを「のり付け」するアーキテクチャ • クラウド時代の「制御の反転」 • アプリケーションサーバが各コンポーネントを呼び出すのではなく、 各コンポーネントを小さな関数が接続する • システムアーキテクチャの設計手法の変化 • マイクロサービス化、コレオグラフィ化の流れの一部 • 背景 • • • • 高水準なクラウド上のコンポーネントの登場 様々な「イベントトリガ」の整備 ID基盤のうえでコンポーネント側だけで細かいアクセス認可 そもそも「餅は餅屋」、自分で作らなくて良い部分が増えている。

13.

大手クラウドでのサーバーレスアーキテクチャ • Amazon Web Services • AWS Lambda • Microsoft Azure • Azure Functions • Service Fabric • Google Cloud Platform • Google App Engine • Google Cloud Functions • IBM Bluemix • OpenWhisk

14.

AWS Lambda • 主な特徴 • • • • 2014年末にリリース JavaScript(Node)、Python、Java8、C#(.NET Core)に対応 Amazon Linuxベースのコンテナで、Goバイナリなども実行可能 実行プロセスは「良い感じ」に使い回される • 課金モデル • • • • 確保メモリ×実行時間+実行回数 確保メモリは128MB~1.5GBの範囲で64MB単位であらかじめ指定 実行時間は100ms単位で計測 (スケールに伴う起動時間などは、一定時間までは無料)

15.

AWS Lambda • 主なイベントソース • • • • • • • 単独ではAWS APIからのみ実行可能 手動実行、定期実行 HTTP API:API Gateway データストア:S3、DynamoDB、Cognito メッセージ配信:Kinesis Streams、Simple Notification Service 外部連携:Simple Email Service、Echo 管理:CloudFormation、CloudWatch Logs/Events、AWS Config • 実行権限とアクセスコントロール • IAM Roleによる権限管理と、リソース側での認可 • Cognito IdentityでAWS側の一次トークンに紐付け

16.

Azure Functions • 主な特徴 • 2016年3月にプレビューリリース • C#、JavaScript(Node)、Python、F#、PHP、BAT、Bash、Java • 良い感じにスケールする「動的サービスプラン」のほか、 App Serviceとして確保したVM上で動かすプランも設置 • 実行ランタイムがGitHubにてオープンソース化 • 課金モデル • 確保メモリ×実行時間+実行回数 • 確保メモリは128MB~1.5GBの範囲で128MB単位であらかじめ指定 • 実行時間は100ms単位で計測

17.

Azure Functions • 主なイベントソース(入力バインド) 単独でもHTTP APIとして呼び出し可能 タイマー HTTPリクエスト(API Management)、Webhook データストア:Storage BLOB、Storage テーブル、DocumentDB、Mobile Apps • メッセージ配信:Storage キュー、Service Bus キュー、Event Hub • • • • • 出力バインド:関数の出力をコンポーネントに接続 • 実行権限とアクセスコントロール • Azure全体のRBAC準拠 • Shared Access Signatureでリソースに直接アクセス可能

18.

Google App Engine • 主な特徴 • 2008年にプレビューリリースされた元祖サーバレス • ……だったはずが、 正式リリースでは、インスタンス単位課金の一般的なPaaSに…… • 基本的にはHTTPで呼び出される普通のPaaS

19.

Google Cloud Functions • 主な特徴 • 2017年3月にベータリリース • JavaScript(Node)が実行可能 • 課金モデル • 確保インスタンス単価×実行時間+実行回数 • インスタンスは[128MB/200MHz]から[2048MB/2.4GHz]の5タイプ • 実行時間は100ms単位で計測

20.

Google Cloud Functions • 主なイベントソース • • • • HTTP リクエスト データストア:Cloud Storage 非同期メッセージング:Cloud Pub/Sub モバイル統合:Firebase

21.

IBM Bluemix OpenWhisk • 主な特徴 • オープンソース実装とそれに基づくパブリッククラウド基盤 • パブリッククラウドとしては2016年12月に正式リリース • JavaScript(Node)、Python、Swift、Dockerコンテナが実行可能 • 主なイベントソース • • • • HTTP リクエスト データストア:noSQL DB 非同期メッセージング:Message Hub タイマー

22.

サーバーレス時代の指針 • リアクティブシステム • 素早く、かつ安定した応答時間を保つシステムのベストプラクティス • The Twelve Factor Appのレイヤー高い版 • ID管理とリソースへのアクセス制御

23.

リアクティブシステム • 目的:即応性 • システム全体として、素早く、かつ安定した応答時間を保つ • 要件1:耐障害性 • 障害が発生しても、それをコンポーネント内部に影響を隔離すること で、システム全体としての即応性を保つ。 • 要件2:弾力性 • 負荷の増減があっても、ボトルネックを排除し、割り当てるリソース を調整することで、即応性を保つ。 • 手段:メッセージ駆動 • 各コンポーネント間を、非同期なメッセージ配信で疎結合に保つ。

24.

リアクティブシステム • メッセージ駆動(手段) • システム間をキューで非同期に接続する • 複数のワーカプロセスがキューから取ってきて処理 • 弾力性(要件2) • メッセージが増えてきたらワーカプロセスを増やせばよい • 横並びのワーカプロセスに相互依存はないので気軽にスケールアウト・イン • 耐障害性(要件1) • コンポーネントで異常が起きたら自爆して、別のワーカが実行 • ずっとおかしいメッセージはDead letter queueに積み替えて例外処理 • 即応性(目的) • 様々な状況に強いシステムが構築できる

25.

ID管理とリソースのアクセス制御 • クライアントアプリを経由したID連携 • mBaaS(CognitoやFirebase)等がすでに確立している • つまりFaaSによる「のり付け」すら不要な場合も • そもそも高レベルのデータストア等があり、 ID基盤のうえで、細かいアクセス制御(認可)が可能 • 「Facebookから連携したIDがあれば、書き込みを許可」 • 「ID=Aなら、階層Aの下の領域だけ読み書き可能」

26.

ID管理とリソースのアクセス制御 • サーバレス時代のマルチクラウド連携はID連携が基本 • IDを連携し、それに対するリソース側で細かい認可を制御 • JWT等を引き回すことで、「誰の」「どのアプリが」アクセスして きたのかをコンポーネント間で連携 • プログラムは「整合性」のための最小限に留まるのでは • 「ガチャ」 • 「複雑なトランザクション」

27.

主なパターン • ウェブアプリ・モバイルアプリのバックエンド • いわゆるBaaSの発展系 • サーバ側ロジックが不要ならデータストアに直接アクセス • クラウド基盤のイベント処理 • 「ピタゴラ装置」的に動画共有サイトを実現する事例など • AWS Lambdaは「イベント」をたくさん用意したのが勝利の鍵 • 運用の自動化では既に多数の事例 • イベントのストリーミング処理 • さいきんはやりのLINE Botを手軽に実現する事例など

28.

サーバーレスアーキテクチャの今と未来 •今 • • • • 基本機能は揃い始め、既に適用しやすい領域ではメリット大 「小さく始める」領域では、もうデメリットは小さい 管理ツールなどが見えてきた テスト手法、CI/CDのやり方や開発フレームワークの整備はこれから • 未来 • ID管理とリソース側の認可だけでできることが増え、 「サーバが全ての面倒を見る設計じたいが陳腐化していくのでは • FaaSがエッジコンピューティング側にも拡がっていく第一歩 「次の集中から分散への波」

29.

まとめ • ふたつのサーバーレスアーキテクチャ • ステートレスなソフトウェアを前提としたフルマネージドな実行環境 • クラウドコンポーネントを活用するリアクティブなアーキテクチャ設計 • どちらも良いシステムを導くための「良い制約」 =クラウドが提供するベストプラクティスの活用 • 大手クラウドの提供する「サーバーレス」の違い • サーバーレスなシステムを設計するときの指針 • リアクティブシステム • ID管理とリソース側での細かい認可

30.

で、誰? • 通称Aki (@nekoruri) • BLEなIoTシステムの クラウド側担当 • ちょろっと執筆も • 「薄い本」も出しています • C92でます!(金曜) • 最近はすっかり セキュリティ教育畑に…… • セキュリティ・キャンプ プロデューサー • SecHack365 実施協議会委員 • ProjectDIVA Arcade LV.624 NEW!