VRの会社を作って8ヶ月 進捗どうですか?

12.9K Views

August 11, 23

スライド概要

XRイベント「LODGE XR Talk Vol.6」の登壇資料です。いまさらVRの会社を作ってしまった人間が、2023年8月現在考えていることをぶっちゃけてみました。汎用VRシステム「XRシンセシス」の解説等。

profile-image

ソフトウェアエンジニア・VRクリエイター 株式会社フレームシンセシス代表

シェア

またはPlayer版

埋め込む »CMSなどでJSが使えない場合

関連スライド

各ページのテキスト
1.

VRの会社を作って8ヶ月 進捗どうですか? LODGE XR Talk Vol. 6 2023/08/11

2.

自己紹介 本名 古林 克臣(こばやしかつおみ) ハンドル こりん(@korinVR) 職業 株式会社フレームシンセシス代表兼ソフトウェアエンジニア 東京大学先端科学技術研究センター学術専門職員(稲見研) 備考 日本VR学会認定 上級バーチャルリアリティ技術者 VRChat ID:korinVR(Trusted User)

3.

略歴(VR関連) VR業界歴8年のソフトウェアエンジニアです 2013年 Oculus Rift DK1を入手 VR作品の自主制作や展示活動をしていたらいつのまにか本業に 2016年より 株式会社ハシラスにて 施設型VRコンテンツの開発・制作等 2019年より 株式会社エクシヴィにて Questアプリやブラウザメタバースシステムの開発等 2022年12月 株式会社フレームシンセシスを設立 CEDEC 2020-2023、XR Kaigi 2020-2022等に登壇

4.

VR関連の個人制作活動 2013年からコロナ禍の2020年3月までに展示会での出展31回、メディア掲載37回 個人活動の詳細は https://korinvr.com/about/ をご参照ください

5.

これまでのあらすじ

6.

2022年8月17日 20:31

7.

2022年8月18日 10:12

8.

2022年8月18日 10:18

9.

次にどうするか考えた メタバースプラットフォームを作っている会社に合流させてもらうことも検討……が 人生の実績として一度会社を作ってみたかった あちこちの会社を訪問したり経営者の方々に相談したりするうちに 株式会社設立の意向が固まる

10.

定款を作ったりロゴを発注したり… ちょうど水星の魔女で株式会社ガンダムを設立していた時期(第7-8話あたり) シン・セー開発公社も名前似てない…?

11.

2022年12月1日 法務局に登記申請の書類とCD-Rを提出 株式会社フレームシンセシス設立!

12.

会社のミッション 「日常生活の場におけるバーチャルリアリティの 導入・普及活動を主に技術面からサポートし、 人々の暮らしをより豊かにする」

13.

会社のミッション 「日常生活の場におけるバーチャルリアリティの 導入・普及活動を主に技術面からサポートし、 人々の暮らしをより豊かにする」 自分は長期的には 100%の人がVRを利用すると確信している 今の現役世代が高齢になって自由に出歩けなくなったら 外界へのアクセス手段としてVRのことを必ず思い出す

14.

事業内容 VR・AR・3D・メタバース領域の 企画・開発・技術コンサルティング 自社開発の汎用VRシステム 「XRシンセシス」の ライセンス提供・コンテンツ制作 「XRシンセシス」を使用した 自社プラットフォームおよび ゲーム開発

15.

この8ヶ月間何をやっていたか

16.

昨年12月~2023年3月末 いわゆる年度末案件の受託開発 ↓こりんさんリソース表 • VRシステムの開発 • メタバース開発のサポート(複数) • 3Dビジュアライゼーション • Hubs Cloud構築 等々 会社設立前後になかなかお仕事が決まらず焦ってたら全部決まってしまい 結果的に1人で6案件平行に……(プラス会社設立関連の事務作業の数々) 逆に4月からお仕事ないんじゃないかとめちゃくちゃ不安に

17.

2023年4~6月 年度末案件の入金で銀行口座にベホマがかかる (資本金100万円はぎりぎりだった。融資とか受けないならもっと用意しましょう……) Unityエンジニア(前職の同僚氏)がジョイン 自社プロダクトの開発再開 他社メタバースシステム開発のサポート メタバース総合展出展(株式会社ビジュアライズ様と) 一般社団法人XRコンソーシアムに入会 6月に東大先端研・稲見研にジョイン (登嶋健太さんの研究をお手伝いしていた流れ)

18.

2023年7月~年末? VR・メタバース案件が複数進行中 無事に進行すればこれで一期目終了という感じになりそう 2023年8月現在 スタッフ数 3~4名(代表者・業務委託含む) Unityエンジニア 2名 3Dアーティスト 1名(今月から)

19.

今自社プロダクトをつくっています

20.

汎用VRシステム 「XRシンセシス™」

21.

「XRシンセシス™」とは 元々は株式会社エクシヴィで開発していたWebブラウザ用軽量メタバースシステム 「J-WAVE META STUDIO」で起動がめちゃくちゃ速いと一部で話題に システムの権利を引き継いで今年4月頃から開発を再開 「XRシンセシス」という名前がつきました(商標出願中) 「J-WAVE META STUDIO」 Copyright © J-WAVE Inc.

22.

「XRシンセシス™」とは フレームシンセシス社自社開発のUnity製汎用VRフレームワークで、 以下の4つの特徴を持ちます。 軽量 Lightweight マルチプラットフォーム Multi-platform マルチプレイヤー Multi-player 多目的 Multi-purpose

23.

「XRシンセシス™」とは フレームシンセシス社自社開発のUnity製汎用VRフレームワークで、 以下の4つの特徴を持ちます。 軽量 Lightweight マルチプラットフォーム Multi-platform 既存開発分 4月以降の マルチプレイヤー Multi-player 多目的 Multi-purpose アップデート分

24.

Multi-platform マルチプラットフォーム アプリ化ができるようになりました 多数のプラットフォームにビルドして 共通の体験が可能 • Meta Quest • Webブラウザ(スマホ・WebXR対応) • Windows(Steam VR) • Windows(デスクトップ) • iPhoneアプリ • Androidアプリ • PICO 4

25.

Multi-platform マルチプラットフォーム(対応中) • CAVE(立体視可能なプロジェクターの投影面に囲まれた部屋) • ソニー空間再現ディスプレイ プロジェクターの部屋とiPhoneでコミュニケーションするような構成も手軽に構築可能に

26.

Multi-player マルチプレイヤー VR(3点トラッキング+手のポーズ) およびNon-VRのネットワーク同期 任意のネットワーク基盤を利用可能に • • • • Photon Normcore Netcode for GameObjects 自前ゲームサーバー(予定) ローカルマルチプレイヤーもできるようになりました (構成例:ノートPC+Wi-Fiルーター+Quest 4台等) さらにマルチプレイヤーを切ることも可能

27.

Multi-purpose 多目的 あくまで汎用VRシステムです メタバースシステムとして使えますが メタバースシステムとして作っていません • • • • • • • Webブラウザ用3Dウォークスルー メタバースプラットフォームのベースシステム 施設型VRコンテンツ アカデミック用途(VR実験環境等) VRChat等の既存プラットフォームではライセンスや運用面で対応できないケース 自社のログイン機構や特殊なハードウェアと連携したいケース Meta Quest用VRゲーム VR刺身タンポポもXRシンセシスに乗せ替える予定(メリットが大きいので)

28.

その他実装済みの機能 • VRでのモーションコントローラーによる移動 • スマートフォン・PCキーボード操作 • 一人称および三人称カメラ • バーチャルスティック(マルチタッチ対応) • 自動カメラ・手動カメラ • エモート機能 • メッセージ表示およびサウンド再生機能 • AssetBundleのワールドビルド・ポータル移動 • VRMアバターの使用 • ストリーミング動画・配信の視聴 (HLS再生でCloudflare Stream等を使用)

29.

今後の開発ロードマップ • ウェブフロントエンド(ワールド・アバターのアップロード等) • 各種ボイスチャット対応(Tencent RTC、Vivox、WebRTCその他) • 大人数の同期可能なゲームサーバー(おそらくGo) • VRライブの演者のモーション・音声配信(WebRTC SFUカスケード? HLSに乗せる?) • ワールド内スクリプティング • フルトラッキング対応 • ウェブカメラでのボディトラッキング・フェイストラッキング対応 等々… やることいっぱい! 各種案件に対応しつつ優先順位をつけて機能開発を進めていきます

30.

これってどうやって売るんですか? パターン1 弊社が受託開発をするときにフレームワークとして使用する 「それXRシンセシスでできるよ」と話がしやすい パターン2 ソースコードのライセンス提供(GitHubリポジトリの共有) 提供実績がすでに3例あり

31.

今後の計画 • 受託開発やライセンス提供をしながら「XRシンセシス」を育てていく • 来年あたりXRシンセシスを基盤にQuestのオリジナルゲームを作りたい メタバースプラットフォームを自社で作るつもりは今のところない (自己資本の小さな会社なので……その辺はクラスターさんとか応援してます!) • 開発で得た技術的な知見はできるだけ「VR開発メモ」に公開していきたい • Apple Vision Pro楽しそうですよね! • Godot版? 以上が2023年8月現在自分が考えていること

32.

VRでこの先生きのこる (今回どこまでオープンにするか悩んだのですが) いまさらVRの会社を作ってしまった人間が 生存戦略をぶっちゃけてみました。ご参考まで! 「こうすればもっと行けるんじゃない?」とか 面白い話とかあればぜひ教えてください ざっくり「VR(3D)+マルチプレイヤー」の何かがあれば それXRシンセシスでできるよという可能性があるので 思い出してください