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August 27, 26
スライド概要
2026年8月28日開催の第4回問題解決インタラクティブ・カンファレンス(PS IC)でのライトニングトーク資料です.
(クローズドイベントのため,イベントURL記載なし)
以下,AI生成のアブストラクトです.
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新卒エンジニア向けに「信頼できる上司を見つける20の観点」を並べた記事を書きました。全12章、28,472字。要約も構造化も結論の先出しも用意しました。それでも、うまく伝わりませんでした。
なぜ箇条書きは残らないのか。読み手の状況と結びつかないこと、一度に扱える量を超えていること、そして「並べる」という形式そのもの。この3つに効く理論と技法が、すでにあります。物語への移入を扱うナラティブ・トランスポーテーション(Gerrig 1993/Green & Brock 2000)と、娯楽作品に教育的メッセージを埋め込むエンターテインメント・エデュケーション(Miguel Sabido)です。『ザ・ゴール』などの先例も、我々の分野にあります。
この2つを設計要件に落とし込み、同じ中身を全3巻・94話・約70万字の小説に作り直しました。元記事のおよそ25倍です。置き場所も、読み手の生活動線に合わせて選びました。
効果はまだ測れていません。測り方を先に決めずに始めたからです。
お伝えしたいことは一つです。中身が正しいことと、受け取りやすいことは別の問題で、形も置く場所も、すでに設計判断だということ。「最近の若手は読解力がない」で終わらせる前に、できることがあるはずです。
クオリティアーツ代表/NaITE代表/ASTER理事/AFFORDD運営委員/Bizreach Software Quality Enabler、等。世の中に品質の技術で貢献するために活動中。 https://quality-arts.com/ https://naite.swquality.jp/ https://www.aster.or.jp/ https://affordd.jp/
第4回 問題解決インタラクティブ・カンファレンス(PS IC ) ライトニングトーク(3分) いかに伝えるか 〜 新卒エンジニアの教育のための、ライトノベル活用の一例 観点を2 0個並べた文書は、うまく伝わらなかった。 同じ中身を、小説というフォーマットに移植した話。『新卒エンジニア、観察ノートを開く』 池田 暁(クオリティアーツ) ©2026 クオリティアーツ | 著者名:音無 凪(おとなし なぎ)
自己紹介 池田 暁(いけだ あきら) クオリティアーツ 代表 X: @ iked on0505 社外活動 NPO法人ASTER 理事/長崎IT技術者会(NaITE)代表/日 日科技連SQiP 運営委員/日本品質管理学会 代議員 専門 ソフトウェア品質・テスト技術/組込み 開発 経歴 日立グループ(組込み設計・品質保証/医用機器/自動 車のテスト管理)→ ビズリーチ SQE → マネーフォワード ド CQO → NDKCOM CTO → 現在は充電中 主な著訳書 『実践ソフトウェアエンジニアリング 第9版』共訳、 『SQuBOK Guide V3』共著、『マインドマップから始める めるソフトウェアテスト』共著 ほか 最近やっていること 地方中小企業向け 新卒ITエンジニア研修シラバスの公開 /小説『新卒エンジニア、観察ノートを開く』連載/記 事連載「エンジニアの卵に贈る、就活の書」 今日話すのは本業ではなく、その周辺でやっている副産物の話です。 ©2026 クオリティアーツ | 第4回 PSIC 2026.8.28–29 2 / 22
書籍 共訳・共著したもののうち、代表的な3冊 実践ソフトウェア エンジニアリング(第9版) [改訂新版]マインドマップ から始めるソフトウェアテスト ソフトウェア品質知識体系ガイド (第3版)SQuBOK Guide V3 R. S. Pressman/B. R. Maxim 著 SEPA翻訳プロジェクト 訳(共訳) 池田 暁/鈴木 三紀夫 著(共著) 飯泉紀子/鷲崎弘宜/誉田直美 監修 SQuBOK策定部会 編(共著) オーム社/2021年12月/548頁 技術評論社/2019年4月/224頁 オーム社/2020年11月/400頁 ※ 書影は各出版社の著作物です。書誌情報の紹介という目的の範囲で引用しています(著作権法第32条・第48条)。 ©2026 クオリティアーツ | 第4回 PSIC 2026.8.28–29 3 / 22
クオリティアーツ 「前に進む意志に、伴走する」 / ソフトウェア・システム開発の伴走支援(代表:池田 暁) かかわり方 やっていること ソフトウェアエンジニアリング技術の導入に伴走 コンサルタント/伴走者/技術顧問/ 社外C xO ・社外取締役 など 新卒社員を含むエンジニア教育 組織づくり・プロセス改善 おもな相手 中小から大企業のメーカー・ソフトハウス/ 講演、寄稿、書籍執筆、コミュニティ活動 伴走のお仕事、募集中です! ©2026 クオリティアーツ | 第4回 PSIC 2026.8.28–29 成長を望むエンジニア個人 https://quality-arts.com/ https://quality- arts.com / 4 / 22
本日の話 自己紹介はここまで。ここから本編です。/ やったことは、この4つ。 1 新卒エンジニア向けの記事を書いた 2 なぜ残らないのかを、理由に分けた 3 効く理論と技法を使って、小説に作り直した 4 読み手のいる場所に置いた。効果はこれから 本日は、これのエッセンスをお伝えします。 ©2026 クオリティアーツ | 第4回 PSIC 2026.8.28–29 5 / 22
伝えたいこと 相手が読みやすい形で、 読みやすい場所で。 「中身が正しいこと」と「受け取りやすいこと」は、別の問題。 1 正しさは足りていた。それでも、うまく伝わらなかった。 2 だから、理論と技法に沿って、形を作り直した。 3 形も、置く場所も、設計判断。 直すべきなのは中身ではなく、形と場所の方かもしれない。 ©2026 クオリティアーツ | 第4回 PSIC 2026.8.28–29 6 / 22
順番に、6つだけ 問題解決型QCストーリーの流れに沿っています(テーマ選定 → 現状把握 → 要因 → 対策 → 効果 → 標準化) 1 2 3 4 5 6 うまく 伝わらなかった なぜ残らないか 効く理論と 技法がある 小説に した 置き場所も 選んだ 効果は これから 現状把握 要因の解析 対策の立案 対策の実施 対策の実施 効果の確認と標準化 最後の「標準化」は、いちばん最後にもう一度お話しします。 相手が読みやすい形で、読みやすい場所で。これを自分の標準にする、という話です。 ©2026 クオリティアーツ | 第4回 PSIC 2026.8.28–29 7 / 22
1 観点を20個並べても、うまく伝わらなかった 元の文書:note(2026年5月9日 公開)・全12章 記事の中身 全12章の構成 上司を見つける20の観点 20 信頼できる上司を見る観点 A 仕事の進め方 9 先輩を見つける7つのタイプ B 倫理と公正性 6 C 部下との関係性 5 出会えないとき:7つの戦略 全 28,472 字 「優しさ」には2種類ある 公開の12日後に、 「地方IT中小の新卒エンジニアへ: 3年後の『あの人の下にいて良かった』 のために」 小説の連載を開始した。 20の観点を、箇条書きで並べた。結論先出しまで用意した。それでも、うまく伝わらなかった。 ©2026 クオリティアーツ | 第4回 PSIC 2026.8.28–29 8 / 22
なぜ、箇条書きは残らないのか 2 要因の解析:3つの理由 1 2 3 読み手の状況と 結びつかない 一度に扱える量を 超えている 「並べる」という 形式そのもの 他人の正論のまま終わり、自分の 職場の出来事にならない。 短期記憶で保持できる塊は限られ る。文脈のない項目の列は、設計 の拙さに由来する負荷が高い。 箇条書きにした瞬間、暗記の対象 として受け取られる。場面と理由 が落ちる。 ※ 発表者の解釈 Miller 1956/認知負荷理論(Sweller ※結びつけは発表者の解釈 ※ 発表者の解釈 では、どうするか。この3 つに効く理論と技法が、すでにある。 ©2026 クオリティアーツ | 第4回 PSIC 2026.8.28–29 9 / 22
3 この問題に効く、2つの理論・技法 ①②には理論で、③には技法で対応する 理論 技法 ナラティブ・ トランスポーテーション エンターテインメント・ エデュケーション Narrative Transportation(物語への移入) Entertainment-Education(E-E) Gerrig 1993 が定義/Green & Brock 2000 が実証 Miguel Sabido が1970年代に体系化 没入すると内容が記憶に残りやすい 娯楽作品に、教育的メッセージを意図的に埋め込む 批判的な吟味・反論が減る Bandura の社会的認知理論(1986)で説明される 態度と意図の変化が長く持続する Slater &Rouner 2002:没入が反論を抑制する → 理由① ② に効く(状況を与え、量を物語として束ねる) → 理由③に効く(並べる形式そのものを変える) 土台にした理論・技法:ナラティブ・トランスポーテーション(Gerrig1993/Green &Brock 2000)・E-ELM(Slater &Rouner 2002)・社会的認知理 的認知理論(Bandura 1986)・E-E(Sabido 1970s) Appendix E章 p.59〜68 ©2026 クオリティアーツ | 第4回 PSIC 2026.8.28–29 10 / 22
3 先例:この形式は、我々の分野にもある ビジネス小説という系譜 ザ・ゴール The DevOps 逆転だ! カイゼン・ジャーニー ― 企業の究極の目的とは何か/エリヤフ・ゴールド ラット 著・三本木 亮 訳・稲垣 公夫 解説 究極の継続的デリバリー/ジーン・キム、ケビン・ ベア、ジョージ・スパッフォード 著・榊原 彰 監 修・長尾 高弘 訳 たった1人からはじめて、「越境」するチームをつ くるまで/市谷 聡啓・新井 剛 著 ダイヤモンド社/20 01 年5 月/56 0 頁 日経BP社/2014年8月/395頁 翔泳社/20 18 年2 月/28 0 頁 制約理論(TOC)を、小説仕立てで説明 した。 IT運用とD e vO p sを、物語で伝える。 現場のストーリーから、考え方と実践を 学ぶ。 やったのは、この形式の個人開発版。組織で作るのではなく、1人で書いた。 ※ 書影は各出版社の著作物です。書誌情報の紹介という目的の範囲で引用しています(著作権法第3 2 条・第4 8 条)。 ©2026 クオリティアーツ | 第4回 PSIC 2026.8.28–29 11 / 2 2
2 つを適用して、小説にした 4 設計要件に落とす/投入したもの・捨てたもの 投入したもの どう適用したか 1 ナラティブ・トランスポーテーション 移入が起きる条件を、そのまま設計要件にした。 同定可能なキャラクター/イメージ可能なプロット/迫真性(V an et al. 2 014) 2 エンターテインメント・エデュケーション 7 0 0 ,2 6 6 字 全94話・112編/3巻・毎日更新 元記事の約25倍 捨てたもの 20の観点を、解説ではなく場面として埋め込んだ。 技術解説を、捨てた 「判断の根拠を示す上司」を説明せず、そういう場面を書く 文体の自由度を、捨てた スマホ最適化を、捨てた 捨てた根拠:面白い脇道は、主題の学習を妨げる(一貫性原理/H a rp & M aye r 19 9 8 ) ©2026 クオリティアーツ | 第4回 PSIC 2026.8.28–29 A p pe ndix p .5 4 12 / 2 2
どんな話か、少しだけ 『新卒エンジニア、観察ノートを開く』 著者名:音無 凪 / 小説家になろう あらすじ 地方中小企業に就職した新卒エンジニアの3年間を描く群像 劇。入社式で学んだ「半径3メートル」「両輪」「観察」を 軸に、主人公・桐谷蒼太が成長していく。 舞台 四方を山に囲まれた人口30万の盆地・港川市/創業55年、社 101名の株式会社ヨキエル 読みどころ 派手な事件は起きない。新卒が引っ掛かる小さな違和感を、ひ とつずつ拾う。技術解説はほぼなし。 キーワード:職業もの/群像劇/日常/ITエンジニア/新卒/成長 ©2026 クオリティアーツ | 第4回 PSIC 2026.8.28–29 小説家になろう シリーズページ 13 / 2 2
5 置き場所も、選んだ 形だけでなく、どこに置くかも設計のうち 読み手がいる場所に置く 読者は新卒や学生。移動中やスキマ時間にスマホで読む アニメ化された異世界ものの原作が集まる=若い読者の 生活動線 小説家になろう トップページ(2026年8月27日閲覧) 登録 295万人超・掲載 132万作品(2026年8月時点) 月間 約24億PV (2024年4月時点) 自分のブログやnoteでは、その動線に入らない ただし、スマホ最適化は捨てた 紙の文庫の読み心地(字下げなど)は残した。 場所は読者に、読み心地は作品に合わせた。 相手が読みやすい形で、読みやすい場所で。 ©2026 クオリティアーツ | 第4回 PSIC 2026.8.28–29 14 / 2 2
参考:「小説家になろう」とは ご存じない方に向けて。なぜこの場所を選んだのかの前提です。 どんなサイトか 規模 2004年に誕生。運営は株式会社ヒナプロジェクト 誰でも無料で小説を投稿・閲覧できる 月間 約24億PV 登録ユーザー 295万人超/掲載作品 132万件超(2026 年 月時点) 書籍化・コミカライズ・アニメ化の入口 月間PVは2024年4月時点/読者の年代は20代44%・30代 24%(2019年) ここが原作になっている、というと分かりやすいかもしれません 『転生したらスライムだった件』/『Re:ゼロから始める異世界生活』/『無職転生 ― 異世界行ったら本気だ ― 』/『本好きの下剋上』 いずれも「なろう」に投稿された作品が原作。公式のアニメ化作品一覧には2013年秋からの作品が並びます。 出典:登録ユーザー数・掲載作品数は「小説家になろう」トップページの表示(2026 年8月27 日閲覧)/月間PV は ID C フロンティア「株式会社ヒナプロジェクト様」導入事例(2024 年4月 日)/年代構成は K A I- Y O U Prem ium 取材記事(2019 年5 月31 日、登録ユーザーのデータ)/アニメ化作品一覧は s yo s etu.c om /c om m ercializ a tio n/ a nim e/ ©2026 クオリティアーツ | 第4回 PSIC 2026.8.28–29 15 / 2 2
6 効果は、まだ測れていない 言えることと、言えないこと 言えること 言えないこと(未測定) 上巻・中巻は完結、下巻も連載中 読んだ人に「定着」したのか 毎日更新を約3か月、継続できた 行動が変わったのか 先輩・マネージャーも読める形にはなった 元記事と比べてどうだったのか 今後、検討・対応していくこと:効果の確認方法を、目標と同時に設計する 評価の枠組み:カークパトリックの4段階(反応/学習/行動/結果) 具体案:読了後アンケート/研修と併用して比 較/感想収集。今回は測り方を先に決めずに始めたので、そこから整える。 ©2026 クオリティアーツ | 第4回 PSIC 2026.8.28–29 16 / 22
今回の取組での気づき やってみて分かったこと、3つ 1 2 3 形を変えるのは、 作り直しだった 捨てないと、 形は決まらなかった 置き場所も、 中身と同じく設計だった 同じ中身でも、記事2万8千字が小 説70万字に。およそ25倍。 技術解説・文体の自由度・スマホ 最適化を捨てて、形が決まった。 読み手が毎日いる場所に置く。そ れも設計判断だった。 2 8 ,4 72 字 → 7 0 0,26 6 字 足すより、捨てるほうが難しい 場所は読者に、読み心地は作品に 中身を直す作業と、伝わり方を直す作業は、別の作業だった。 ©2026 クオリティアーツ | 第4回 PSIC 2026.8.28–29 17 / 2 2
余談:章節執筆におけるAIの利用 使ったのは C laude。どこまで任せて、どこから任せなかったか。 任せたこと = 編集者の仕事 推敲:文のリズム、重複や冗長さの指摘 校閲:誤字脱字、表記ゆれ 不整合チェック: プロットと設定資料の突き合わせ 任せなかったこと 文章執筆 本文は自分で書いた(全 700,266 字) プロットと設定も自分で決めた。 A I は突き合わせただけ 要するに、編集者がやることを AI に任せた。 私というオリジナルは、決して手放さない。 ©2026 クオリティアーツ | 第4回 PSIC 2026.8.28–29 18 / 2 2
本日のまとめ やったことは、この4つでした。 1 新卒エンジニア向けの記事を書いた 2 なぜ残らないのかを、理由に分けた 3 効く理論と技法を使って、小説に作り直した 4 読み手のいる場所に置いた。効果はこれから そして、いちばん言いたいことを、もう一度だけ。 ©2026 クオリティアーツ | 第4回 PSIC 2026.8.28–29 19 / 22
伝えたいこと 「最近の若手は読解力がない」で終わらせていませんか? 受け取る側を考えて、受け取ってもらう気遣いをしていますか? 相手が読みやすい形で、 読みやすい場所で。 形を選ぶことも、場所を選ぶことも、すでに設計判断。 直すべきなのは中身ではなく、形と場所の方かもしれない。 ©2026 クオリティアーツ | 第4回 PSIC 2026.8.28–29 20 / 22
読んでもらえると、嬉しいです 同じ中身の「前」と「後」です。読み比べてもらえると、たぶん面白いです。 元記事 28,472字 小説 700,266字 約 25 倍 ※ 同じ観点を伝えるために、分量はこれだけ変わりました(完成版目次 2026年8月18日版より) BEFORE:元記事(note) AFTER:小説(小説家になろう) 「地方IT中小の新卒エンジニアへ: 3年後の『あの人の下にいて良かった』 のために」 2026 年5月9日 公開/全12章 qr_note.png 『新卒エンジニア、観察ノートを開く』 上巻37編・中巻37編 完結/下巻38編 連載中 全94話・112編 qr_novel.png n/n264ffccb1a28 note.com/ikedon0505/ s4325k/ ncode.syosetu.com/ note.com/ikedon0505/ n/n264ffccb1a28 ncode.syosetu.com/ s4325k/ 想定読者:地方中小の新卒エンジニア/これから入る学生/受け入れる側(先輩・マネージャー・経営者) ©2026 クオリティアーツ | 第4回 PSIC 2026.8.28–29 21 / 2 2
ありがとうございました いかに伝えるか 〜新卒エンジニアの教育のための、ライトノベル活用の一例 池田 暁(クオリティアーツ) / X @ikedon0505 元記事 note.com/ikedon0505/n/n264ffccb1a28 小説 著者名:音無 凪 @ iked on 0505 この資料はここで公開しています qr_docswell.png qr_speakerdeck.png note.com/ikedon0505/n/n264ffccb1a28 ncode.syosetu.com/s4325k/ ncode.syosetu.com/s4325k/ Docswell docswell.com/s/Akira_Ikeda docswell.com/s/Akira_Ikeda ©2026 クオリティアーツ SpeakerDeck speakerdeck.com/ikedon speakerdeck.com/ikedon
A p p en d ix ここから先は、LT本編では触れません。 この資料は公開します。3分では話しきれなかったことを、勉強のきっかけとして置いておきます。 A 歩き方 B 元記事 C 症状とTWI D 学習の科学 E 理論 H 置き場所 I 効果測定 J 実践 K 目次 L 出典 ©2026 クオリティアーツ F 限界
A この資料の歩き方 事実 この資料の歩き方 3分のLTでは本編(p.1〜22 )しか話しません。ここから先は、あとで読むための資料です。 入口 こんな人向け 読む順番 ⓪ 前提から 何が起きたのかを、まず知りたい B 元記事のなかみ(p .26 〜3 0 ) ① 手法から 「物語で伝える」に理屈はあるのか知りたい D 学習の科学 → E 理論 → F 限界(p.43〜74) ②現場から 明日、後輩や部下への伝え方を変えたい C 症状とTW I → J 実践(p .31 〜4 2, p .89 〜9 3 ) ③ 作品から 小説そのものを読みたい・全体像を見たい H 置き場所 → K 目次(p.75〜79, p.94〜97) ④測り方から 効果をどう測るつもりなのか知りたい I 効果をどう測るか(p .80 〜8 8 ) ⑤ 出典から 一次資料にあたりたい L 出典とライセンス(p.98〜103) ※ ページ番号は本資料のもの。章記号 G は、分量の都合で別資料に分けたため欠番です。 ©2026 クオリティアーツ | 第4回 PSIC 2026.8.28–29 24 / 1 04
A この資料の歩き方 事実 この資料の約束 100枚もあると、どれが調べたことで、どれが私の考えか分からなくなる。だから先に決めておきます。 右上のマークの意味 ● 〔事実〕出典を確認して書いたもの。出典は各ページの下端に置 数値の扱い方 ● 統計は「何年の調査か」「母数は何か」を必ず併記し た ● メタ分析の効果量は、論文に書かれている値だけを載 いた ● 〔解釈〕私がそう考えているだけのもの。裏付けはない ● 〔俗説〕よく語られるが、出典をたどると根拠が見つからないもの ● 〔未クローズ〕作業として終わっていない、宿題のままのもの ● 〔解釈〕〔未クローズ〕のページには、出典の代わりに「どこが発 せた ● 裏が取れなかった数値は、面白くても落とした(例: p.74) ● 作品の字数は、集計方式(章題・注釈を除く本文、空 白/改行除き)を統一している 表者の判断か」を下端に書いた ※ このページ自体が〔事実〕(自分で決めた運用ルールの記述)。 ©2026 クオリティアーツ | 第4回 PSIC 2026.8.28–29 25 / 104
B 事実 元記事のなかみ 出発点になった元記事 2026年5月9日にnoteで公開。全12章、28,472字。 2 8 ,4 7 2 字 元記事の総字数 (全12章) ● タイトル:「地方IT中小の新卒エンジニアへ:3年後の『あの人の下にいて 良かった』のために」 ● 中身:信頼できる上司を見つける20の観点/信頼できる先輩を見つける7つ のタイプ/7つの戦略/優しさには2種類ある ● 冒頭に「※結論を先に:5分で読みたいあなたへ」を用意していた ● つまり、要約も、構造化も、結論の先出しも、やることはやってある ● それでも、読んだ人の中に残っている手応えがなかった 出典:池田暁「地方IT中小の新卒エンジニアへ:3年後の『あの人の下にいて良かった』のために」note、2026年5月9日公開。 https://note.com/ikedon0505/n/n264ffccb1a28 ©2026 クオリティアーツ | 第4回 PSIC 2026.8.28–29 26 / 104
B 事実 元記事のなかみ 「信頼できる上司を見つける20の観点」の全リスト A:仕事の進め方9/B:倫理と公正性6/C:部下との関係性5 の3グループ。これが小説に移植した中身です。 観点の数 このグループが扱う範囲(発表者による要 約) A 仕事の進め方 9個 指示の出し方、判断の根拠の示し方、段取り、 任せ方など、日々の仕事の回し方に現れるも の B 倫理と公正性 6個 評価の公平さ、手柄と責任の扱い、社外・顧 客への態度など、まずいときに現れるもの C 部下との関係性 5個 話しかけやすさ、フィードバックの質、成長 への関与など、関係の作り方に現れるもの グループ 出典:元記事(note, 2026年5月9日)。観点数の内訳は事実。第3列は発表者による要約であり、記事中の文言そのままではありません。個々の観点20 20項目の全文は元記事本文を参照してください。 ©2026 クオリティアーツ | 第4回 PSIC 2026.8.28–29 27 / 104
元記事のなかみ B 事実 20観点のほかに書いたこと 読みやすくする工夫は、ひととおり入れてあった。 記事に入っていた要素 それでも起きたこと ● 信頼できる先輩を見つける7つのタイプ ● 読んだ瞬間は「わかる」と言ってもらえる ● 自分で状況を良くするための7つの戦略 ● 翌日には、何が書いてあったか出てこない ● 「優しさには2種類ある」 ● 現場で判断に迫られた場面で、参照されない ● 章立て(全12 章)と見出しによる構造化 ● ● 冒頭の「5分で読みたいあなたへ」=結論の先 出し ● = 情報としては届いたが、道具としては残らなかっ た〔解釈〕 この観察が、小説を書く動機になった 出典:元記事(note, 20 26年5月9日)。右側の「起きたこと」は発表者の観察と解釈であり、測定した数値ではありません。 ©2026 クオリティアーツ | 第4回 PSIC 2026.8.28–29 28 / 1 04
元記事のなかみ B 解釈 誰に向けて書くかを、決めていなかった 宛名は書いた。読者プロファイルは書き出さなかった。 「地方IT 中小の新卒エンジニアへ」と宛名は書いた。その人が何を知ってい て、何を知らないかは書き出していない ● 文化審議会建議「公用文作成の考え方」は、解説・広報等の文書では「特別な知識を持たない人にとっての読みやすさを優先する」としている ● 同建議「義務教育で学ぶ範囲の知識で理解できるように書くよう努める」 ● 書き方の原則として「一文を短くする」「三つ以上の情報を並べるときには、箇条書を利用する」も挙げられている ● 元記事は箇条書き(20 観点)を選んだ。原則には従っていた。ではなぜ残らなかったのか ● 宛名を書くことと、読者を書き出すことは別の作業でした〔解釈〕 ● 書く前に埋める4項目:① この語を知っているか ②この場面を経験したか ③どこで読むか ④何分もらえるか〔解釈〕 C 章・D 章 出典:文化審議会建議『公用文作成の考え方』令和4年1月7日、文化庁。 建議に「一文は何字以内」という数値の目安はありません。 ©2026 クオリティアーツ | 第4回 PSIC 2026.8.28–29 29 / 1 04
B 元記事のなかみ 事実 W eb ページで実際に読まれるのは、全体の2 割 元記事に「5分で読みたいあなたへ」を付けても足りなかった理由の、外からの説明。 20% 1回の訪問で 読まれる語数の割合 (上限でも 28% ) ● 毎分250語で読める人が、そのページに実際に滞在する時間から逆算した推定値 ● 滞在時間のモデルは、おおよそ「25秒 + 10 0語あたり4.4秒」 ● つまり、ページを100語長くしても、読まれるのは約18語しか増えない。長く書くほ ど読まれない割合が増える ● 元データは 45 ,237ページビューの実測ログ(20 05年収集) ● これは英語・語数ベースの知見です。日本語の文字数に換算した数値は、この資料で は出しません ● 「読み手の努力が足りない」ではなく「滞在時間の構造」の話として読めます〔解 釈〕 出典:Jako b N ielse n 「H o w L ittle D o U sers Read ?」N ielse n N o rm a n Gro u p , 2 00 8 年5 月6 日。h ttp s://w w w .nn g ro up .c o m /artic les/h o w - little- d o - u sers - read / /原 O b en d o r f, H ., H er d er, E., & M ayer, M . (2 0 08 ). N o t Q u ite t he A verag e: A n Em p irica l Stu d y o f W eb Use. A C M Tra nsa ctio n s o n th e W eb , 2 (1 ), A rt ic le 5. ©2026 クオリティアーツ | 第4回 PSIC 2026.8.28–29 30 / 1 04
C 伝わらないという症状 解釈 「伝わらない」は、個人の資質の話ではない 教える側の熱意や、受け手の読解力の話にすると、そこで議論が終わってしまう。 「最近の若手は読解力がない」で終わらせると、次の手が出てこない ● 伝わらなかったとき、直せる場所は3つある:中身/形/場所 ● 中身の正しさは、多くの現場でいちばん時間をかけて直している ● 一方で、形(どんなフォーマットで渡すか)と場所(どこに置くか)は、ほとんど設計されていない〔解釈〕 ● この2つを設計対象として扱う、というのが本編の主張 ● 次のページから、「伝わらない」が個人の資質の問題ではなく、本が読まれる量と、職場の人材育成の実態の両方に現れていることを確認する ※ このページは発表者の主張です。データではありません。 ©2026 クオリティアーツ | 第4回 PSIC 2026.8.28–29 31 / 104
C 事実 伝わらないという症状 そもそも、本が読まれていない 16歳以上を対象とした全国調査。電子書籍は含み、雑誌・漫画は除く。 6 2 .6 % 「1か月に本を 読まない」と答えた人 (令和5年度) ● 1、2冊:27.6%/3、4冊:6.0%/5、6冊:1.5%/7冊以上:1.8% ● 1冊以上読むと答えた人は合わせて36.9% ● 調査時期2024年1〜3月、郵送法、対象6,000人・有効回答3,559人(59.3%) ● 注意:過去調査は「読まない」が4割台後半だったが、令和2年度から調査方法 が面接から郵送に変わっており、文化庁自身が「比較には注意が必要」と明記し ている ● したがって「読書離れが急に進んだ」という経年比較の主張には使えない 出典:文化庁『令和5年度「国語に関する世論調査」の結果の概要』(令和6年9月)p.23。 https://www.bunka.go.jp/tokei_hakusho_shuppan/tokeichosa/kokugo_yoronchosa/pdf/94116401_01.pdf ©2026 クオリティアーツ | 第4回 PSIC 2026.8.28–29 32 / 104
C 伝わらないという症状 事実 製造業の人材育成、いちばんの問題は「教える人がいない」 能力開発・人材育成に問題がある事業所に、その内訳を聞いた結果(複数回答の上位5つ)。 6 2 .8 % ● 2位:人材を育成しても辞めてしまう 54.4% ● 3位:人材育成を行う時間がない 45.4% ● 4位:鍛えがいのある人材が集まらない 34.6% ● 5位:育成を行うための金銭的余裕がない 13.8% ● 「指導する人材が 不足している」 (製造業・事業所調査) ● 母数は「能力開発や人材育成に関する問題がある事業所」を100とした 割合。全事業所に対する割合ではない 全産業ベースの同じ設問は59.5% (令和6年度)。62.8% は製造業に限っ た再集計値 出典:経済産業省・厚生労働省・文部科学省『20 26年版ものづくり白書』(令和8年5月)厚生労働省概要 p.7 図4。原データ:厚生労働省「令和6年 能力開発基本調査(事業所調査)」(20 25年6月公表)。https://www.m hlw.g o.jp/content/0 017 051 60.pdf ©2026 クオリティアーツ | 第4回 PSIC 2026.8.28–29 33 / 1 04
C 伝わらないという症状 事実 技能継承に問題がある事業所は、製造業で 65.8% 令和7年度の調査で確認できる最新の値です。 6 5 .8 % 技能継承に問題がある 事業所(製造業) 令和7年度・事業所調査 ● 全産業の総数は 44.2%。製造業はそれを 21.6ポイント 上回る ● 「教える人がいない」と「技能が渡らない」は、この調査では別々に集 計されている、別の設問です ● 前ページの 62.8%(2026年版ものづくり白書)は令和6年度調査の値。こ この 65.8%は令和7年度調査(2026年7月31日公表)の値です ● 問題の中身は次ページ。効いているのは「手法を知らないこと」ではあ りません 出典:厚生労働省『令和7年度 能力開発基本調査 結果の概要』(令和8年7月31日公表)事業所調査 図61「技能継承に問題がある事業所」。 https://www.mhlw.go.jp/content/11801500/001728125.pdf ©2026 クオリティアーツ | 第4回 PSIC 2026.8.28–29 34 / 104
C 伝わらないという症状 事実 詰まっているのは「手法がわからない」ではない 技能継承の問題点(複数回答・全産業の総数)。 ● 意欲のある若者・中堅層の確保が難しい:74.5% ● 技術・ノウハウ等の伝承に時間がかかり円滑に進まない:60.6% ● 継承者が習得後に離職(転職)してしまう:28.5% ● 教える人材がいない:25.8% ● 教える方と教わる方の年代やレベルの差が開きすぎていて、コミュニケーションがうまくいかない:25.7% ● どのような手法を用いて技能を伝承すればよいかわからない:10.5% ● 手法は、すでに持っている。教え方の側で詰まっているのは「時間」と「世代の距離」。この資料が関わるのは、そこだけです 〔解釈〕 出典:厚生労働省『令和7年度 能力開発基本調査 結果の概要』事業所調査 図62「技能継承の問題点(複数回答)」。 ©2026 クオリティアーツ | 第4回 PSIC 2026.8.28–29 35 / 104
C 伝わらないという症状 事実 技能継承の取組は「人を確保する」に偏っている 技能継承の取組の内容(複数回答・全産業の総数)。 上位3つは、すべて「人を確保する」取組。「何を伝えるか絞り込む」は8社 に1社 ● 中途採用を増やしている:56.2% ● 退職者を選抜し、雇用延長・再雇用して指導者として活用している:54.7% ● 新規学卒者の採用を増やしている:30.0% ● 伝承すべき技能・ノウハウ等を絞り込んで伝承している: 12.4% ● 私がやったのは、この 12.4% のほうでした。20の観点に絞り込んだ〔解釈〕 ● 絞り込みはした。そのあとの「どう渡すか」を置き去りにした。それがこの資料の出発点です〔解釈〕 出典:厚生労働省『令和7年度 能力開発基本調査 結果の概要』事業所調査 図64「技能継承の取組の内容(複数回答)」。 ©2026 クオリティアーツ | 第4回 PSIC 2026.8.28–29 36 / 104
C 事実 伝わらないという症状 TWI:ものづくりの現場が持っている「教え方」の型 監督者向けの企業内訓練。昭和25年秋に米国から日本の労働省へ紹介され、現在も職業能力開発促進法に基づく教育訓練として 実施されている。 TWIの4本柱 ● JI(Job Instruction)=仕事の教え方 ● JM(Job Methods)=改善の仕方 ● ● ● 実施している主なところ ● 日本産業訓練協会(TWI-JI一般コース、JITトレーナーコー ス) ● 都道府県職業能力開発協会(監督者訓練10時間講習など) JR(Job Relations)=人の扱い方 ● 一般社団法人 雇用問題研究会(訓練資料の発行元) JS(Job Safety)=安全作業のやり方 ● 中部産業連盟ほか、認定トレーナーによる民間実施 ● 本資料でTWIを持ち出すのは、この型が「知識を渡す設計」と しても読めるからです〔解釈〕 基礎訓練は10時間訓練(2時間×5回)、受講者は最大 10人 出典:日本産業訓練協会(sankun.jp)、一般社団法人 雇用問題研究会「TWI」(koyoerc.or.jp/publication/twi.html)、愛知県職業能力開発協会「TWI監 「TWI監督者訓練」(avada.or.jp) ©2026 クオリティアーツ | 第4回 PSIC 2026.8.28–29 37 / 104
C 伝わらないという症状 事実 TWI-JI「仕事の教え方」4段階法 標語は「相手が覚えていないのは、自分が教えなかったのだ」。 段階 細目 第1段階 習う準備をさせる 気楽にさせる/何の作業をやるかを話す/その作業について知っている程度を確かめる/作 業を覚えたい気持ちにさせる/正しい位置につかせる 第2段階 作業を説明する 主なステップを1つずつ言って聞かせ、やって見せ、かいて見せる/急所を強調する/はっ りと、ぬかりなく、根気よく/理解する能力以上に強いない 第3段階 やらせてみる やらせてみて、間違いを直す/やらせながら、作業を説明させる/もう一度やらせながら、 急所を言わせる/わかったとわかるまで確かめる 第4段階 教えたあとをみる 仕事につかせる/わからぬときに聞く人を決めておく/たびたび調べる/質問するように仕 向ける/だんだん指導を減らしていく 出典:厚生労働省職業能力開発局『TW I活用の手引(改訂増補版)仕事の教え方』雇用問題研究会, 1993 , pp.2 5- 30。段階名の表記は日本産業訓練協 会による。 ©2026 クオリティアーツ | 第4回 PSIC 2026.8.28–29 38 / 1 04
C 伝わらないという症状 事実 「誰に聞くか」は、教える側が決めることになっている 前ページ第4段階の「わからぬときに聞く人を決めておく」を、1945年の原典で確かめると。 “ Put him on his own. Designate to whom he goes for help. Check frequently. Encourage questions.(ひとりでやらせる。分からないとき誰の を、指名しておく。頻繁に確認する。質問を促す。) The Job Instruction Card / TrainingWithin Industry Report 1940–1945 ● designate(指名する)という語が使われている。誰に聞けばよいかを探すのは、新人の仕事ではない ● 1940年代の時点で、「困ったとき誰のところへ行くか」は 教える側が決めておくもの とされていた ● 私の「信頼できる上司を見つける20の観点」は、教える側が指名すべきことを、新人側の見極める力に置き換えていた〔解釈〕 ● つまり元記事は、新人に「自力で当たりを引け」と言う文書になっていた。観点の中身を論じる前に、立ち位置が反転していた〔解釈〕 ● ただし、教える側が機能していない現場は実在します。そこで新人が自衛する道具として20観点に意味がないとは思っていません〔解釈〕 出典:United States War Manpower Commission, Bureau of Training, The Training Within Industry Report 1940–1945 (1945), "The Job Instruction Card", pp.33–34。 Instruction Card", pp.33–34。原本のスキャンより。日本語は発表者による訳。 ©2026 クオリティアーツ | 第4回 PSIC 2026.8.28–29 39 / 104
伝わらないという症状 C 事実 教える前にやること:作業を分解する 4段階に入る前の準備として、作業を「主なステップ」と「急所」に分解する。 作業分解の2要素 知識を渡すときに置き換えると ● 主なステップ:作業を前へ進める区切り。何をするか ● 急所:手順を正確に遂行するために特に心得ておくべき重要 点 ● 急所の3分類:①事の成否にかかわること ②安全にかかわるこ と ③仕事をやりやすくすること ● 「安全は常に急所」とされる ● 急所の理由は、第2段階の説明の中で口頭で伝える指導内容と して位置づけられている ● 主なステップ=どういう場面で、何を判断する のか ● 急所=その場面で外してはいけない一点 ● 急所の理由=なぜそれを外すとまずいのか ● この置き換えで元記事を見直すと何が欠けてい たか 次ページ 出典:厚生労働省職業能力開発局『TW I活用の手引(改訂増補版)』雇用問題研究会, 1 99 3, p p .1 3- 2 4 /(一財)中小建設業特別教育協会 職長教育テキスト「2- 2 作業 の定め方」。※ 日本の定型JI 様式で「急所の理由」を独立した欄とするかは一次資料で確認できなかったため、本資料では欄としては扱っていません。 ©2026 クオリティアーツ | 第4回 PSIC 2026.8.28–29 40 / 1 04
C 伝わらないという症状 解釈 20の観点は「急所」だけを並べたものだった 作業分解の枠に当てはめて元記事を見直すと、欠けていたものがはっきりする。 急所だけを渡された人は、その急所をいつ使うのか分からない ● 「判断の根拠を示すか」は急所です。だが、どの場面で観察できるのかが書いていない ● 「手柄と責任の扱い」も急所です。だが、どうまずくなるのかが書いていない ● TWIの言い方をすれば、主なステップ(場面)と急所の理由(なぜ)を省いて、急所(一点)だけを20個並べた文書だった ● 小説は、この「場面」を1話ずつ与え直す装置として設計した ● ただし、これは後から枠に当てはめた説明であって、書く前にTWIを参照したわけではありません ※ このページは発表者の解釈です。TWIの枠組みは事実、当てはめは解釈。 ©2026 クオリティアーツ | 第4回 PSIC 2026.8.28–29 41 / 104
C 伝わらないという症状 事実 教える側は、自分が分かっていることを説明できない 「説明できるはず」という感覚そのものが、実際より過大に見積もられている。 “ 身近な装置(トイレ、ジッパー、シリンダー錠など)について自分の理解度を7段階で自己評価させ、その後に仕組みを詳しく説明させると、説明 を生成した直後に自己評価が有意に低下した。この錯覚は、事実や手続きや物語の知識よりも、複雑な因果パターンを含む説明的知識で顕著だった。 Rozenblit & Keil (2002)「説明深度の錯覚」全12研究の要旨 ● つまり、人は説明を生成する前、自分の理解度を実際より高く見積もっている ● 教える側にも同じことが起きていると考えています〔解釈〕(実験で測ったのは一般の参加者が身近な装置について行った自己評価であり、職場で自分の専門を教える場 面ではありません) ● 20観点のような要約された記述は、書き手にとっては全部入っているように見える〔解釈〕 ● 書き手の頭の中にある場面と理由は、文字には出てこない〔解釈〕 ● 対策のひとつが、実際に説明を生成させること(=書かせる、話させる) 出典:Rozenblit, L., &Keil, F. (2002). The misunderstood limits of folk science: An illusion of explanatory depth. Cognitive Science, 26(5), 521–562. DOI: 562. DOI: 10.1207/s15516709cog2605_1 ©2026 クオリティアーツ | 第4回 PSIC 2026.8.28–29 42 / 104
D 記憶と学習の科学 事実 物語にすると、覚えていられる 10個の名詞× 12リストを覚える実験。物語群は「覚える語を織り込んだ意味のある物語を作れ」と教示された。 ● 大学生24名(物語群12・統制群12)。統制群は同じ時間を通常の記 銘に使った ● 93% vs 各リスト直後の再生は両群ともほぼ天井(物語群99.9%/統制群 99.1%)で差がない 12リスト全部を終えた あとの最終再生率 (中央値・物語群 vs 統制群) ● 差が出るのは、干渉が効いたあとの最終テスト。約7倍 ● よく引用される「直後の再生でも物語が優れる」は誤りです ● 示しているのは、物語が「量を覚える」ためではなく「干渉のなか で残る」ために効くということ 出典:Bower, G. H ., & Clark, M. C . (1 969 ). N arrative stories as m ediators for se rial learning . Psychonom ic Sc ience, 14(4 ), 1 81–18 2. D O I: 10.3758/BF03332778 ©2026 クオリティアーツ | 第4回 PSIC 2026.8.28–29 43 / 1 04
記憶と学習の科学 D 事実 読み手の頭に残るのは、文字列ではなく「状況」 文章理解の研究では、表層形式・テキストベース・状況モデルの3層が区別される。 ev e nt- ind ex in g m o de l の5 次元 ● tim e(時間) ● space(空間) ● causation (因果) ● motivation(意図・目標) ● protag onist(主人公・登場人物) ● 読み手は各出来事をこの5次元で索引化する 設計への含意 ● 次元の連続性が途切れるほど読み時間が増え、統合の コストが上がる ● つまり「誰が・いつ・どこで・なぜ」が繋がっている 文章は、頭の中に組み上がりやすい ● 観点の箇条書きには、この5次元がどれも入っていない 〔解釈〕 ● 小説の1話は、5次元がすべて揃った最小単位として設 計できる〔解釈〕 出典:Z waan , R. A ., & R adva nsky , G. A . (1998). S ituatio n mode ls in la ng uag e com pre hens io n and m e m ory. Ps ycholo g ica l Bulletin, 123(2), 162 –185. D O I: 10.1037/ 0033整理したこのレビューに拠ります。3層の区分は van D ijk & Kints ch (1983) S trateg ies o f Disco urs e C omprehension. Aca demic Press . による。event- indexing mo del の初出は Z waan , (1995). Psycholog ical Scien ce, 6(5), 292–297. D O I: 10.1111/ j.1467- 9280.1995.tb00513.x ©2026 クオリティアーツ | 第4回 PSIC 2026.8.28–29 44 / 1 04
D 記憶と学習の科学 事実 認知負荷理論:削れる負荷と、削れない負荷 ワーキングメモリの容量制約から教材設計を考える理論。 負荷の種類 日本語での呼び方 intrinsic 課題内在性負荷 ex tra n eo u s 課題外在性負荷 内容と扱い 学習内容そのものの要素間相互作用性に由来す る。内容を変えない限り減らせない 教材の提示形式・設計の拙さに由来する。設計 で減らすべき負荷 スキーマ構築に直接資する処理。近年の改訂で、 germane 学習関連負荷 独立した第3の負荷源ではなく「資源を外在性の 活動から学習に振り向ける機能」と再定義され た 出典:Sw e lle r, J. (20 10 ). Ed u catio n al Psyc h o lo g y R eview , 22 (2 ), 12 3–1 38 . D O I : 1 0 .1 00 7 /s 10 64 8 - 0 10 - 9 12 8- 5 /Sw e lle r, van M errië nb o er & P aas (2 0 19 ). 3 1(2), 2 61 –2 92 . D O I : 1 0 .1 00 7 /s 10 64 8 - 0 19 - 0 94 65 - 5 。※「学習関連負荷を増やせ」という古い言い回しは現行理論に整合しません。 ©2026 クオリティアーツ | 第4回 PSIC 2026.8.28–29 45 / 1 04
記憶と学習の科学 D 解釈 2 0観点が残らなかった理由の、私なりの仮説 ここまでの3ページを使って、元記事に何が起きていたのかを説明してみます。 文脈のない項目の列は、読む側に「状況を自前で用意する」作業を丸投げし ている ● 読み手(新卒)は、その観点が発動する場面をまだ経験していない ● だから状況モデルを組み立てる材料がなく、文字列として保持するしかない ● 文字列の保持は干渉に弱い(p.43・p.44)。翌日には消える ● さらに、20 個を並列に保持しようとすると課題外在性負荷が上がる( p .45 ) ● 小説は、この「状況の材料」を書き手の側で用意して渡す方法だと考えています ● ただしこれは仮説です。私は元記事と小説で比較実験をしていません(p .80 ) ※ このページは発表者の解釈です。前後のページの理論から論理的に導いたものであり、検証されたものではありません。 ©2026 クオリティアーツ | 第4回 PSIC 2026.8.28–29 46 / 1 04
D 記憶と学習の科学 事実 物語を読んでも、自分の場面には自動的には移らない 物語による教育の、いちばん古くて、いちばん厄介な弱点です。 30% ヒントなしで 解けた割合 (ヒントを与えると 75%) ● 「軍隊の物語」を読ませた直後に、構造の同じ医学の問題を解かせた実験 ● 物語を読まなかった統制群の正答率は 10%未満。物語そのものは効いている ● ところが自分から「さっきの話が使える」と気づいたのは 約30%。「さっきの話を使え」 と言われると 約75% ● ● ● つまり、使える形で頭には入っているのに、自分からは思い出さない この作品の読者にも同じことが起きうる。読んだことは覚えていても、レビューで凹んだ 日にその話を思い出すとは限らない〔解釈〕 足りないのは知識ではなく、目の前の問題と過去の物語を結びつける手がかり。現場側で 「あの話の場面だ」と名指しする人が要る J章〔解釈〕 出典:Gick, M. L., &Holyoak, K. J. (1980). Analogical problem solving. Cognitive Psychology, 12(3), 306–355. 数値は Gick & Holyoak (1983) 冒頭の自己要約による 頭の自己要約による(pp.3–4)。 ©2026 クオリティアーツ | 第4回 PSIC 2026.8.28–29 47 / 104
D 記憶と学習の科学 事実 事例は、2つないと「型」にならない 前ページの弱点に対して、実験的に確かめられている処方箋。 物語1本より、違う物語2本。効いたのは「2本の共通点を自分の言葉で書か せた」こと ● ヒント前に自力で解けた割合:物語1本 21% → 2本 45% ● 最終的な正答率:53% → 80%。2本に加えて図を与えた条件では 92% ● 1本の 物語 に要 約・原 理の 言語化 ・図 を与 えても 、効 果はほ とん ど出 なかっ た ● 効いたのは、2本を並べて「同じところはどこか」を書かせたこと。そこで作られた型の質が、その後の転移をよく予測した ● 単一の物語では、読者の中に「型」は残りにくい。同じ急所を別の場面で 2度描くか、読者が2例目を持っている必要がある〔解釈〕 ● この作品は3年分の場面を並べているが、「同じ観点の2例目」を意図して配置したわけではありません〔未クローズ〕 出典:Gick, M. L., &Holyoak, K. J. (1983). Schema induction and analogical transfer. Cognitive Psychology, 15(1), 1–38(数値は pp.23, 29)。 ©2026 クオリティアーツ | 第4回 PSIC 2026.8.28–29 48 / 104
D 事実 記憶と学習の科学 読み返すより、思い出すほうが残る(テスト効果) 散文を読んだあと、再読するか/テストを受けるかで、あとの再生率がどう変わるか。数値はアイデアユニット再生率。 条件 5分後 2日後 1週間後 実験1:再読×2(SS) 81% 54% 42% 実験1:再読1回+テスト1回(ST) 75% 68% 56% 実験2:再読×4(SSSS) 83% 測定なし 40% 実験2:再読3回+テスト1回(SSST) 78% 測定なし 56% 実験2:再読1回+テスト3回(STTT) 71% 測定なし 61% 出典:Roediger, H. L., III, & Karpicke, J. D. (2006). Test-enhanced learning. Psychological Science, 17(3), 249–255. DOI: 10.1111/j.1467-9280.2006.01693.x ※短期では再読が有利に見え、遅延が長くなるほ え、遅延が長くなるほど逆転する。かつ再読群のほうが自分の記憶に自信を持つ。実験2の遅延条件は5分後と1週間後のみで、2日後は実験1だけの条件です。アイデアユニットとは、文章を意 味のかたまりに区切った単位のことで、再生率はそのうち何割を思い出せたかを指します。 ©2026 クオリティアーツ | 第4回 PSIC 2026.8.28–29 49 / 104
D 事実 記憶と学習の科学 効果のある学習法/ない学習法(10手法の評価) 認知心理学・教育心理学の知見から10の学習法を評価した大規模レビュー。high は2つだけ。 評価 手法 ひとこと High(高) Practice testing(練習テスト・検索練習) 効果が頑健で広く一般化する High(高) Distributed practice(分散学習) 同上 Moderate(中) Elaborative interrogation(なぜ?と問う)/Selfexplanation(自己説明)/Interleaved practice(交互 配置) 条件つきで有効 Low(低) Summarization(要約)/Highlighting・underlining(下 (下線)/Keyword mnemonic/Imagery use for text learning/Rereading(再読) 広く使われているが、評価は低い 出典:Dunlosky, J., Rawson, K. A., Marsh, E. J., Nathan, M. J., & Willingham, D. T. (2013). Improvingstudents' learning with effective learningtechniques. Psychological Science in the Psychological Science in the Public Interest, 14(1), 4–58. DOI: 10.1177/1529100612453266 ©2026 クオリティアーツ | 第4回 PSIC 2026.8.28–29 50 / 104
記憶と学習の科学 D 解釈 日次連載という形式について 分散学習(d istrib u ted p rac tice )は、有効性が高いと評価されている数少ない学習法のひとつ(p .50 )。 やったこと 言えることと、言えないこと ● 言えること:分散学習そのものは有効性が高いと評価され ている ● 言えないこと:連載形式が分散学習として機能したかは 測っていない 6,300字) ● そもそも読者が毎日読んでいるかも分かっていない 読者は毎日、少しずつ読むことになる ● 同じ人が同じ内容に繰り返し触れているわけではないので、 ● 1話ずつ、日を分けて公開する形式にした ● 1話はおよそ3,000〜13,200字(本編94話のう うち、挿話 IL 13話を除く81話の平均が約 ● 分散学習の実験条件とは違う ● = 期待はしているが、根拠にはしていません ※ 左は事実(実施した形式)、右のうち「言えること」は p.50 の出典に基づき、それ以外は発表者の解釈です。字数は完成版目次(20 26年8月18日 版)の各行から集計。 ©2026 クオリティアーツ | 第4回 PSIC 2026.8.28–29 51 / 1 04
記憶と学習の科学 D 事実 読ませたあとに「言わせる」:自己説明 J章の「読ませたら、言わせる」に、独立した根拠があります。 「なぜそうなるのか」を自分の言葉で言わせるだけで、学習成果は上がる ● 解答例を読むとき、成績上位者ほど自分に向けた説明を多く生成していた(Chi et al. 1989) ● 説明を促すプロンプトを与えるだけで効果が出る。メタ分析で g = .55 (69 の効果量/64 の報告) ● p.50 の Dunlosky らの評価では、自己説明と精緻化質問はいずれも Moderate。要約・下線・再読(Low)より上 ● 効くのは「なぜ」を自分の言葉で埋めさせること。正解を見せることではない ● この作品に後から足せる数少ない改善策:各話の末尾に問いを置く/読了後に「自分の職場で同じ場面はあったか」を書かせる〔解釈〕 ● 現状の作品には、この仕掛けを入れていません〔未クローズ〕 出典:Bisra, K ., L iu, Q ., N esb it, J . C ., Salim i, F., & W in ne , P. H . (20 18 ). I n d uc in g se lf- ex p lan atio n : A m et a- an alysis. Ed u c atio n al P sych o lo g y Review , 3 0(3 ), 7 03–7 25 . 0 18 - 9 43 4- x /C h i, M . T. H ., Bas so k, M ., L ewis, M . W ., Reim an n, P ., & Glase r, R. (1 9 89 ). C o g n itive S cie nc e, 1 3(2), 1 45 –1 82 . ©2026 クオリティアーツ | 第4回 PSIC 2026.8.28–29 52 / 1 04
D 記憶と学習の科学 事実 初心者に効く教え方は、熟達者には逆効果になる 熟達者反転効果(expertise reversal effect)。 手厚い説明は、既にスキーマを持つ人には「冗長情報」になり、余分な負荷 を生む ● 初学者では設計A>設計Bだったものが、熟達に伴って設計B>設計Aに反転する ● 既有知識と提示情報を照合する処理そのものが負荷になるため(冗長性効果) ● この資料の文脈で言えば:ベテランにとって最適な文書と、新卒にとって最適な文書は別物 ● 20観点の箇条書きは、実は「もう分かっている人向けのチェックリスト」として最適化されていた〔解釈〕 ● 同じ中身でも、渡す相手によって形を変える必要がある、というのが本編の主張の根拠のひとつ 出典:Kalyuga, S., Ayres, P., Chandler, P., & Sweller, J. (2003). The expertise reversal effect. Educational Psychologist, 38(1), 23–31. DOI: 10.1207/S15326985EP3801_4/レビュー: 10.1207/S15326985EP3801_4/レビュー:Kalyuga, S. (2007). Educational Psychology Review, 19(4), 509–539. ©2026 クオリティアーツ | 第4回 PSIC 2026.8.28–29 53 / 104
記憶と学習の科学 D 事実 物語にすることの副作用:面白い脇道が学習を妨げる sed uctive details effect(魅力的細部効果)。 興味を引くが学習目標とは無関係な情報は、主要概念の記憶と転移を下げる ● 学部生357名・4実験。seductive details を含む説明文を読んだ群は、含まない群より主要概念の再生が少なく、転移課題の解答数も少なかった ● 原因は単なる注意の逸脱ではなく、不適切なスキーマが先に活性化されて材料の体制化が誤導されること ● Mayer の一貫性原理(cohe re nce principle)の実証的な中核 ● 小説化は、この副作用をまさに正面から浴びる方法です〔解釈〕 ● だから設計判断として「技術解説を捨てる/文体の自由度を捨てる」を選びました(本編 p.12)〔解釈〕 出典:H arp , S. F., & M ayer, R. E. (19 9 8). H o w sed u c tive d et ails d o th eir d am ag e. J o ur nal o f Ed u ca tio n al P sych o lo g y, 9 0(3 ), 4 14–4 34 . D O I: 1 0.1 03 7/0 02 2 Gillin g h am , M . G., & W h ite, C . S. (19 89 ). Co g n itio n an d I n stru ct io n, 6 (1), 41 –5 7. ©2026 クオリティアーツ | 第4回 PSIC 2026.8.28–29 54 / 1 04
D 記憶と学習の科学 事実 手応えと、実際に学べた量は、逆を向くことがある 「面白かった」「よく分かった」を成果の代わりに使えない理由。 ● ● + 0 .4 6 S D 同じ教員・同じ教材で、能動的な授業と講義形式をランダムに割り付けて比較した実験 (大学の物理・149名) テストの点は能動群のほうが高い。ところが本人が感じた「学べた感」は低い。いずれも P < 0.001 ● つまり、学んだ量は多いのに、学んだ感覚は少ない ● 逆も成り立つ。滑らかで読みやすい教材は「分かった感じ」を強く生むが、それは成績の 予測子ではない 実際のテスト成績 (能動的な授業 −講義) 本人の「学べた感」は −0.56 SD ● ● p.49 のテスト効果でも同じことが起きている。再読した人のほうが成績は低いのに、自分 の記憶に自信を持つ 「面白かった」という感想は、カークパトリックのレベル1であってレベル2ではない I 章〔解釈〕 出典:Deslauriers, L., McCarty, L. S., Miller, K., Callaghan, K., & Kestin, G. (2019). Measuring actual learning versus feeling oflearning in response to beingactively engaged in the actively engaged in the classroom. PNAS, 116(39), 19251–19257. DOI: 10.1073/pnas.1821936116 ©2026 クオリティアーツ | 第4回 PSIC 2026.8.28–29 55 / 104
D 事実 記憶と学習の科学 物語以外の選択肢と、その証拠の強さ 「なぜ小説だったのか」に答えるには、比べる相手が要ります。 手法 証拠の中身 強さの目安 練習テスト 分散学習 Dunlosky et al. (2013) の10手法評価で、唯一 High と評価された2つ(p.50) 強い 自己説明 メタ分析で g=.55(69の効果量/64の報告) 中 行動モデリング訓練 117研究のメタ分析。効果は学習成果に最大、職務行動に中程度、組織成果に最 中 ワークト エグザンプル 問題を解かせるより解答例を見せるほうが学習が速い(認知負荷理論の出発点)。 ナラティブ ただし熟達者反転効果あり(p.53) 統制群比では効果あり(提示媒体による差はなし)。ただし非物語との直接比較 では有意差なし(F章)。※後者の対象は映像・音声メディア 中 弱い〜不明 ※ 異なるメタ分析の効果量を横に並べて比較することは、本来できません(アウトカムも統制条件も測定時点も違います)。強さの目安としてのみ読んでください。出典:Dunlosky et al. (2013) (2013)/Bisra et al. (2018)/Taylor, P. J., Russ-Eft, D. F., &Chan, D. W. L. (2005). Journal of Applied Psychology, 90(4)/Sweller, J., &Cooper, G. A. (1985). Cognition and Instruction, 2(1), 59–89/Braddock & 2(1), 59–89/Braddock &Dillard (2016)・Rahmani et al. (2025)。 ©2026 クオリティアーツ | 第4回 PSIC 2026.8.28–29 56 / 104
D 記憶と学習の科学 俗説 使わない話① :学習ピラミッド(定着率10%〜90%) 「講義は5%、people teach others は90%」というあの図です。出典がありません。 “ It was developed andused by NTL Institute at our Bethel, Maine campus in the early sixties … Yes, we believe it to be accurate – but no, we no longer have – nor we no longer have – nor can we find – the original research that supports the numbers.(正しいと信じているが、数値を支える元の研究はもう手元になく、 う手元になく、見つけることもできない) NTL Institute からの回答メール(2003年2月)。Lalley & Miller (2007) に収録 ● 数値は Edgar Dale の「経験の円錐」(1946/1954)に後から誰かがパーセンテージを付け足したもの。Dale 自身は数値を示していない ● 5/10/20/30/50/75/90 と、すべてが5または10の倍数。この切りの良さ自体、実測に由来しないことの傍証として挙げられる ● Letrud & Hernes (2018) は、類似モデルが160年以上前から存在し、実証研究に由来しないことを示した ● この1枚は、本資料が「出典をたどる」という態度で作られていることの実演として置いています 出典:Lalley, J. P., & Miller, R. H. (2007). The learning pyramid. Education, 128(1), 64–79/Letrud, K., & Hernes, S. (2018). Excavating the origins of the learning pyramid myths. Cogent pyramid myths. Cogent Education, 5(1), 1518638. DOI: 10.1080/2331186X.2018.1518638/Letrud & Hernes (2019). PLOS ONE, 14(9), e0222213 ©2026 クオリティアーツ | 第4回 PSIC 2026.8.28–29 57 / 104
記憶と学習の科学 D 俗説 使わない話②:忘却曲線 学習ピラミッドと並んで、企業研修でいちばん使われている図です。 忘却曲線そのものは実在の研究。俗説なのは、あの図に添えられる数字の使 われ方のほう ● 2015年の追試でも再現されました(22歳の被験者1名が、70時間かけて70のリストを学習) ● ①測っていたのは「思い出せた割合」ではなく s a ving s(節約率)。再学習にかかる時間がどれだけ短縮されたか ● ② 材料は無意味綴り。意味のある文章・技能・業務知識の忘却率ではない ● ③被験者は E bb ing ha us 本人ただ1人(n= 1 の自己実験) ● ④ 曲線の形自体、忘れにくい項目と忘れやすい項目を平均したものである可能性が指摘されている ● 「研修の内容は翌日には◯% 忘れられている」という言い方は、測っていないものを測ったことにしています。分散学習の根拠が要るなら、 p .50 の D un los k y を引くのが い〔解釈〕 出典:M u rre, J . M . J ., & D ro s, J. (2 01 5). Rep lic atio n an d ana lys is o f Eb b ing h au s' fo rg ettin g c u rve. P LO S O N E, 1 0(7 ), e0 1 20 64 4 . D O I: (18 85 ). Üb er d as G ed äc h tnis . ※よく引かれる「◯% 」という数値は、この資料では出しません(流通元を特定できていないため)。 ©2026 クオリティアーツ | 第4回 PSIC 2026.8.28–29 58 / 1 04
E ナラティブ説得の理論 事実 「物語で伝える」の研究系譜 心理学・コミュニケーション学の側に、50年以上の蓄積があります。以降のページで1つずつ扱います。 年 文献 何を出したか 1969 Bower & Clark 物語連鎖法。物語化が長期の保持を助けることの実験的裏づけ(p.43) 1993 Gerrig narrative transportation を「旅」の比喩として提示 2000 Green & Brock 移入を測る尺度を作り、移入が高いほど物語一致の信念が増えることを示す 2001 Cohen identification(同一化)の概念定義 2002 Slater & Rouner E-ELM。没入が反論(counterarguing)を抑制する 2008 Moyer-Gusé EORM。娯楽作品が受け手の抵抗を越える経路を整理 2014 Van Laer et al. ETIM。移入の先行要因と帰結をメタ分析で統合 2016 / 2025 Braddock &Dillard/Rahmani et al. 効果量のメタ分析。そして「思ったほど大きくない」という結果(p.69-70) ※ 各文献の書誌は該当ページおよび L 章(p.98-101)に記載。 ©2026 クオリティアーツ | 第4回 PSIC 2026.8.28–29 59 / 104
E ナラティブ説得の理論 事実 ナラティブ・トランスポーテーション=物語への「移入」 Gerrig が導入したのは、比喩でした。 “ Someone ('the traveler') is transported, by some means of transportation, as a result of performingcertain actions. The traveler goes some distance from his or some distance from his or her world of origin, which makes some aspects of the worldof origin inaccessible. The traveler returns to the worldof origin, world of origin, somewhat changed by the journey. Gerrig (1993) pp.10–11 / Green & Brock (2000) が引用している該当箇所 ● 読者は「旅人」として、ある手段によって運ばれる ● 出発した世界から距離を取るため、元の世界の一部が一時的に手の届かないところへ行く ● そして、旅によっていくらか変化して、元の世界に戻ってくる ● 注意:Gerrig 自身は測定尺度を作っていません。尺度化したのは Green & Brock(p.62) 出典:Gerrig, R. J. (1993). ExperiencingNarrative Worlds: On the Psychological Activities of Reading. Yale University Press. ©2026 クオリティアーツ | 第4回 PSIC 2026.8.28–29 60 / 104
E 事実 ナラティブ説得の理論 移入が起きると、何が変わるのか 公刊された物語を用いた4実験(N=97/69/274/258)。 移入の中身 ● imagery(心的イメージ) ● affect(感情) ● attentional focus(注意の焦点化) ● 論文の表現では「注意・イメージ・感情の 統合的な溶け合い」 実験で観測されたこと ● 移入度が高いほど、物語と一致した信念が増え、主人公へ の評価が好意的になった ● 高移入の読者は、物語中の「false notes(誤り)」を見つ けにくかった ● 処理指示で移入を直接下げると、信念・評価も下がった ● 物語を「事実」と表示するか「フィクション」と表示する かは、移入にも信念にも概ね影響しなかった 出典:Green, M. C., & Brock, T. C. (2000). The role of transportation in the persuasiveness of public narratives. Journal of Personality and Social Psychology, 79(5), Social Psychology, 79(5), 701–721. DOI: 10.1037/0022-3514.79.5.701 ©2026 クオリティアーツ | 第4回 PSIC 2026.8.28–29 61 / 104
ナラティブ説得の理論 E 事実 移入を測る:Transportation Scale と短縮版 「効いたかどうか」を測りたいなら、こういう道具が既にあります。 Transportation Scale(原尺度) Tran sp o rtatio n S c ale –S ho rt F or m ( T S - ● 全15項目=一般項目11+対象物語固有のイメージ項目4 ● 6項目に短縮したもの ● 7件法(very m uch 〜 n ot at all) ● 探索的バイファクターモデリングで原尺度の3ファ ● α = .76(N=274)。理論的範囲15–105、実測31–99 ● 後続研究では一般11項目のみを使う例が多い。その場 合は「一般項目11のみ使用」と明記が必要 セット+一般移入因子の構造を確認 ● Study 1(N=179)、Study 2(N=131, N=246)、Study 3 Study 3(N=301)で因子構造・信頼性・妥当性を検 検証 ● 短い分、実務のアンケートに入れやすい 出典:Green & Brock (2 000 ) T able 1/A ppel, M., Gnambs, T ., Richter, T., & Green, M. C. (20 15). The Transportation S cale –Short Form (TS- SF). 18 (2), 243–26 6. D O I: 10.10 80/1521 326 9.201 4.98 7400 ©2026 クオリティアーツ | 第4回 PSIC 2026.8.28–29 62 / 1 04
ナラティブ説得の理論 E 事実 もうひとつの尺度:N arrative En g ag em e nt S cale 移入とは別に、物語への関与を4つの下位次元に分けて測る尺度。 1 2 項目・4 下位次元(各3 項目) ● N arrative understanding (物語理解):話の筋を追えているか ● Attentional focus(注意の焦点化):他のことに気を取られていないか ● Em otional eng ag eme nt(感情的関与):登場人物の身に起きることに感情が動くか ● Narrative presence(物語世界への臨場感):その世界の中にいる感覚があるか ● この4つは、読者アンケートの設問を作るときの下敷きになります〔解釈〕 出典:Busselle, R . W ., & Bilandzic , H . (2009 ). Measuring narrative eng ag em ent. Media Psycholog y, 12(4 ), 3 21–34 7. D O I: 10.1080/15213260903287259 ©2026 クオリティアーツ | 第4回 PSIC 2026.8.28–29 63 / 1 04
ナラティブ説得の理論 E 事実 同一化(iden tification ):登場人物「について」ではなく「とともに」感じる 共感や類似性とは別の概念として定義された。 “ a p ro ces s tha t co ns ists o f in crea sing lo ss o f s elf - a wa reness a nd its tem pora ry rep lacem ent with heig htened em o tio na l a nd co g niti ve (自己意識の喪失が進み、それがキャラクターとの高まった情動的・認知的な結合に一時的に置き換わっていく過程) Cohen (2001) による identification の定義 ● 鍵となる区別:feeling with the character, rather than about the character ● つまり、キャラクターの視点を共有すること。傍観(sp ectato rs hip )との対比 ● sympathy(共感)や similarity(類似性)とは異なる ● 新卒読者に「自分と同じ立場の人物」を置いたのは、この経路を狙ったからです〔解釈〕 出典:Cohen, J. (20 01). D efining identification: A the oretic al look at the identification of audienc es with m edia charac ters. Mass 24 5–26 4. D O I: 10.12 07/S153 278 25MC S04 03_01 ©2026 クオリティアーツ | 第4回 PSIC 2026.8.28–29 64 / 1 04
ナラティブ説得の理論 E 事実 エンターテインメント・エデュケーションの系譜 娯楽作品に教育・社会課題を意図的に埋め込む戦略。名称そのものの変遷もあります。 理論的な基盤 名称と実践の流れ ● ● 1970年代:Miguel Sabido が Televisa で教育的テレノベラを制作。識字 識字テーマの『Ven conmigo』(1975) が最初 1 97 9 年に Evere tt R o g ers が「En tert ainm en t an d Ed u catio n 」と呼 ● Slater & Rouner (2002) の冒頭:「E-E はその発足当初から Bandura (1986) の社会的認知理論と密接に結びついていた」 ● Ban d u ra, A . (2 00 1 ). S o cial co g n itive th eo ry o f m ass c o m m un ic atio n . Me d ia P syc ho lo g y, 3 (3), 26 5–2 99 ● Bandura, A. (2004). Social cognitive theory for personal and social change by enabling media(Singhal et al. 編, pp.75–96) 広く紹介されていますが、一次資料は特定できていません〔未クロー ズ〕 ● ● 現在:En tert ainm en t- Ed u c atio n (E- E ) 技術書の世界での先例:『ザ・ゴール』(ダイヤモンド社, 2001)、 『The DevOps 逆転だ!』(日経BP社, 2014)、『カイゼン・ジャー ● ただし E- E の「伝説的な成功譚」には注意が必要です(p .74 ) ニー』(翔泳社, 2018) 出典:Slater & Rouner (2 002) p.1 73/Bandura (2 001 , 2 004)/Sabido の実践は Johns Hopkins C CP のインタビュー記事(20 18年4月30日)ほか。 Sabido 本人は「この名前は私のものではない」と述べており、Rog ers による19 79年の改称は同記事には出てきません。 ©2026 クオリティアーツ | 第4回 PSIC 2026.8.28–29 65 / 1 04
E ナラティブ説得の理論 事実 E-ELM:なぜ物語だと反論されにくいのか 娯楽教育の効果を、説得研究の枠組み(精緻化見込みモデル)から説明し直したもの。 物語への没入とキャラクターへの反応が説得効果を高め、反論 (cou nterarg uing )を抑制する ● 従来 E-E の効果は Bandura の社会的認知理論で説明されてきたが、それだけでは不十分だという問題意識 ● 暗黙の説得内容が受け手の態度に反する場合でも、没入があると反論が抑えられる ● 同時に、争点関与(topic involvement)など従来の説得研究の媒介・調整変数の重要性は低下する ● 従来のELMとの違い:中心ルート/周辺ルートの明確な区別が消え、代わりに没入とキャラクター同一化が入る ● 裏返せば「鵜呑みにさせる」危うさでもあります。F 章(p.69-74)で扱います ● 用語:ここで「没入」と訳しているのは、原語が absorption だからです。原論文は「engagement・absorption・transportation は、別々の研究者が同じ現象を指して 使っている3つの語」と明記しています 出典:Slater, M. D., & Rouner, D. (2002). Entertainment—education and elaboration likelihood. Communication Theory, 12(2), 173–191. DOI: 10.1111/j.1468-2885.2002.tb00265.x 原文:"Engagement, absorption, and transportation are three terms used by different researchers to describe the same phenomenon." absorption の定義は "the degree to which a message recipient is cognitively and affectively invested in a narrative"。 ©2026 クオリティアーツ | 第4回 PSIC 2026.8.28–29 66 / 104
E 事実 ナラティブ説得の理論 EORM:娯楽作品が越える「5種類の抵抗」 論文が提示するのは P1〜P7 の命題(P2 は P2b を伴う)と、それらが対応づけられる5種類の抵抗です。 抵抗の形態 対応する命題(要旨) Reactance(心理的リアクタンス) P1 物語構造がリアクタンスを下げる/P2 登場人物との擬似社会的相互作用(PSI)が下げる/ P2b キャラクターへの好意が下げる Counterarguing(反論) P3 PSI が反論を減らす Selective avoidance(選択的回避) P4 同一化が「惰性」による回避を克服する/P5 楽しさが「恐怖」による回避を克服する Perceived invulnerability(無敵感) P6 脆弱なキャラクターへの知覚類似性・同一化が無敵感を下げる Perceived norms(知覚規範) P7 反規範的行動をとるキャラクターとの PSI が知覚規範を変える 出典:Moyer-Gusé, E. (2008). Toward a theory of entertainment persuasion. Communication Theory, 18(3), 407–425. DOI: 10.1111/j.1468-2885.2008.00328.x ※ 2885.2008.00328.x ※論文中に「◯本の経路」という表現はありません。7命題/5種の抵抗が原文に忠実です。 ©2026 クオリティアーツ | 第4回 PSIC 2026.8.28–29 67 / 104
E ナラティブ説得の理論 事実 ETIM:何が移入を強め、移入は何をもたらすか 76 本の公刊・未公刊論文から13 2の効果量を統合したメタ分析。ρ は補正済み相関。 区分 項目 ρ 送り手側の先行要因 Identifiable characters(同定可能なキャラクター)/ Imaginable plot(イメージ可能なプロット)/ Verisimilitude .20 / .29 / .27 Verisimilitude (迫真性) 受け手側の先行要因 Fam iliarit y / A tten tio n / Tr ans p o rtab ility / Ed u c atio n (女性ほど高い) .21 / .29 / .30 / .10 / .15 受け手側(有意でない) Age(年齢) .00 (p = .4 9 6 ) 帰結 A ffe ctive resp o ns e / A ttitu d e / In ten tio n / Belief / th o u g h ts / C r itical th o ug hts .57 / .44 / .31 / .26 / .20 / −.20 出典:Va n Lae r, T., D e Ru yter, K ., Visc o n ti, L . M., & W e tzels, M . (20 1 4). Th e Exte nd e d T ran sp o rtat io n- Im ag ery Mo d el. Jo u rn al o f C o n su m er Rese arc h, 4 0(5 ), 1 0.10 8 6/67 3 38 3 ※これらは「調整変数」ではなく「先行要因」です。本研究で検定されたモデレータは測定尺度の1 つのみ。 ©2026 クオリティアーツ | 第4回 PSIC 2026.8.28–29 68 / 1 04
F 効果と限界のエビデンス 事実 物語の説得効果はどのくらいか(2 0 1 6年のメタ分析) ナラティブが信念・態度・意図・行動に与える効果を統合したもの。数値は相関係数 r。 アウトカム 研究数 k 参加者数 N 効果量 r Beliefs(信念) 37 7,376 .17 Attitu d es(態度) 40 7,132 .19 Intentio n s(意図) 28 5,211 .17 Beh av io rs(行動) 5 978 .23 出典:Bradd ock, K., & D illard, J. P. (2016). Me ta- ana ly tic evidence fo r the p ersua sive effect of na rrativ es on beliefs, a ttitud es , intentions , and beha vio rs . Co mmunica tion M onog ra phs, 10.1080/03637751.2015.1128555 ※行動の r = .23 は k = 5 のみに基づきます。「行動への効果が最大」と読むのは危険です。フィクション性のモデレータ分析は結果が混在。 ©2026 クオリティアーツ | 第4回 PSIC 2026.8.28–29 69 / 1 04
効果と限界のエビデンス F 事実 最新のメタ分析:物語は、非物語より明確に説得的とは言えない 77実験・377の知見(57論文・計24,380人)を統合した2025年のメタ分析。対象はナラティブの映画・テレビ・ラジオ・ ポッドキャストに限る。 物語 vs 非物語の直接比較(1 4の実験比較・5 8比較)は、いずれのアウトカ でも統計的有意差なし ● プール推定値 0.231(SE = 0.1423, 95%CI [−0.133, 0.595])=信頼区間が0をまたぐ ● 一方、統制群との比較(主分析)では効果がある:全体 β = 0.236 (95% C I [0.139, 0.332], p < .001) ● 態度 0.276/信念 0.316/行動意図 0.299/行動 0.21 ● 遅延測定でも残る:即時 β = 0.268 v s 遅延 β = 0.199 (有意差なし) ● 著者らの結論:「視聴者が実際に座って視聴・聴取する条件下では、ナラティブは非ナラティブより著しく説得的というわけではない。ナラティブの主な利点は、大規模 で多様なオーディエンスを惹きつけ関与させる能力にあるかもしれない」 ● つまり、物語の価値は「説得力」より「惹きつける力」の側にある。その可能性を、著者らは示唆しています〔解釈〕 出典:Rah m ani, B., M o n tan o , B., Gr o ves, D . W ., & Gr een , D . P . (20 25 ). T h e p e rsu asive e ffe cts o f n arrative en tert ainm en t: A m e ta- an alysis o f rec en t ex p erim en ts. P o licy, 1 –2 3. D O I: 10 .10 17 /b p p .20 25 .10 01 0 ©2026 クオリティアーツ | 第4回 PSIC 2026.8.28–29 70 / 1 04
F 効果と限界のエビデンス 事実 「小説を読むと人の気持ちが分かる」は、再現しなかった この作品の狙いにいちばん近い有名な知見が、いちばん派手に崩れた例です。 出来事 年 結果 原著:Kidd & Castano Science 2013 文学的フィクションを短く読ませた群は、心の理論の課題(RMET)の成績が良かった。5実 験 直接追試:Panero et al. JPSP 2016 792名を4条件に無作為割付。文学的フィクションの優位は、どの条件に対しても認められ なかった 大規模再現:Camerer et al. Nature Human Behaviour 2018 Nature/Science 掲載の社会科学実験21本のうち再現できたのは13本(62%)。この研究は失 敗した側 著者本人の応答 2018 「はるかに高い検出力があったにもかかわらず、フィクション条件で成績が高いという結 果を得られなかった」と認めている ただし消えていない知見 生涯の読書量を測る尺度は、条件を問わず心の理論課題の成績を予測し続けた 出典:Kidd &Castano (2013) Science, 342(6156)/Panero, M. E., et al. (2016). JPSP, 111(5). DOI: 10.1037/pspa0000064/Camerer, C. F., et al. (2018). Nature Human Behaviour, 2(9), 637–644. DOI: 637–644. DOI: 10.1038/s41562-018-0399-z/Kidd &Castano (2018). Nature Human Behaviour, 2, 604. ※一回読ませる介入としての効果は支持されていない。長期の接触との相関は残っている。3巻・94 ている。3巻・94話・日次連載という形式には、むしろこちらが関係します〔解釈〕。 ©2026 クオリティアーツ | 第4回 PSIC 2026.8.28–29 71 / 104
F 効果と限界のエビデンス 事実 物語に混ぜた誤りは、そのまま覚えられる 実世界の情報を含む短編を読ませ、短い遅延のあと一般知識テストを受けさせた3実験。 参加者は、正しい事実でも誤情報でも、同じように物語の情報を使って回答 した ● あまり知られていない事実も、広く知られた事実も、事前の読解が産出を促進した ● 反復読解で効果は増大。1週間後は、初回セッションでテストされた項目で効果が最も強かった ● さらに厄介な点:参加者は物語情報を使った自覚があったにもかかわらず、物語への接触が「実験前から知っていた」という信念も高めた ● 物語なしではほとんど産出されない誤答についてさえ、そうだった ● つまり、小説で技術情報を伝えるなら、誤りを混ぜた時点で読者はそれを「前から知っていた事実」として持ち帰りうる〔解釈〕(実験は英語の短編と一般知識テスト。 日本語の長編での再現は示されていません) ● これが、執筆中に設定資料との整合を執拗に検証した理由です〔解釈〕 出典:Marsh, E. J., Meade, M. L., &Roediger, H. L., III (2003). Learning facts from fiction. Journal of Memory and Language, 49(4), 519–536. DOI: 10.1016/S0749DOI: 10.1016/S0749-596X(03)00092-5 ©2026 クオリティアーツ | 第4回 PSIC 2026.8.28–29 72 / 104
F 事実 効果と限界のエビデンス 科学を物語で伝えることの倫理(PNAS, 2014) 「ナラティブは理解・興味・関与を高める。同時に本質的に説得的でもあり、それゆえ倫理的な考慮を要する」 論点 内容 ① 説得か、理解か 望ましい結論への合意形成を目指すのか、個人の自律的判断を促すのか。Public Understanding of Science モデルと Public Engagement モデルの対立 ② どこまで正確であるべきか external realism(外的現実性)と representativeness(代表性)の2層。最悪シナリオを例に選ぶ 得的だが代表性を欠く ③ そもそも使うべきか 受け手の期待に反して信頼を損なう可能性がある一方、他の論者が使うなかで使わないこと自体が非 倫理的になりうる、というジレンマ 根本的な緊張 ナラティブは論理科学的コミュニケーションと同じ真実性要件に服さないため、反論されにくく、誤 情報を永続させうる 出典:Dahlstrom, M. F. (2014). Using narratives and storytelling to communicate science with nonexpert audiences. PNAS, 111(Suppl. 4), 13614–13620. DOI: 13614–13620. DOI: 10.1073/pnas.1320645111 ©2026 クオリティアーツ | 第4回 PSIC 2026.8.28–29 73 / 104
効果と限界のエビデンス F 俗説 落とした話:E-Eの「伝説的成功譚」 当初この資料には「メキシコで放映年に成人教育制度へ100万人が登録」と書く予定でしたが、裏が取れず落としました。 “ 当時私は、著者が「1万2千人以上が本部に殺到した」とか、新規学生が「100万人近く」といった主張をどう裏づけたのかを問おうとすら思わな かった。(inflated claims backed up by poorly designed impact assessments =設計の粗い効果測定に支えられた誇張された主張) D onald P. Gree n (2021), Entertainm ent- Educ ation B ehind the Scenes 所収 ※p .70のメタ分析の共著者 ● 数値が資料ごとに 50万人/84万人/100万人 とばらついている ● Sabido 本人の証言は「50万人以上(more than half a million adults)」(JHU CCP インタビュー, 2018) ● 「100万人」の出典をたどると、1987年の新聞記事と一般向け教科書に行き着き、評価研究や行政統計ではない ● 面白い数字ほど、載せる前に一次情報を確認する必要がある。この資料でいちばん実感した点です 出典:Gre en , D . P . (2 0 21 ). I n searc h o f e nte rtain m e nt- ed u c atio n 's effec ts o n attitu d es an d b eh avio rs . In Fran k & Falz o ne (Ed s.), En ter tain m e nt- Ed u c atio n Beh in d th e Sc en es, p p .19 5 –2 10 . D O I : 1 0 .1 00 7 /9 7 8- 3- 0 30 - 6 36 14 - 2 _12 /Jo h n s H o p k in s C C P 「M ig u el S ab id o : En tert ainm en t- Ed u c atio n P io n eer 」2 01 8 年4 月3 0 日 ©2026 クオリティアーツ | 第4回 PSIC 2026.8.28–29 74 / 1 04
H 置き場所の設計 解釈 読み手の生活動線の上に置く どんなに良い文書でも、読み手が普段行かない場所にあれば読まれない。 新卒や学生が実際に文字を読んでいるのは、通勤・移動・スキマ時間のス マートフォンの上 ● 文書を置く場所は、読み手がそこへ行く習慣を持っているかどうかで決まる。媒体ごとの比較は p.77 ● アニメになる異世界ものの原作が集まる場所には、毎日そこを開く習慣がある人がいる ● その動線の上に置く、という判断をした ● 「相手が読みやすい形で、読みやすい場所で」の後半が、この判断です ● 注意:これは仮説に基づく判断であって、動線の効果を測ったものではありません(I章) ※ このページは発表者の判断とその根拠の説明です。読者行動を調査したものではありません。 ©2026 クオリティアーツ | 第4回 PSIC 2026.8.28–29 75 / 104
H 置き場所の設計 事実 小説家になろうという場所 20 04年に誕生。現在の運営は株式会社ヒナプロジェクト(20 10年3月17 日設立)。 ● 登録 295万人 作品掲載数 132万作品 (2026年8月27日閲覧) 月間 約24億PV (2024年4月時点) ● トップページ表示の実数は登録2,952,348人・掲載1,323,219作品(2026年8月27日閲覧)。 2024年4 2024年4月時点は「なろう」単独で登録255万人超・掲載100万件超 アクティブユーザー4 5 万人と投稿作品1 21 万件超は、同社が運営する全サイトの合計値です (2 02 4 年4 月時点) ● 登録ユーザーの年代構成:20代44%/30代24%/10代14%/40代12%/50代以上6% ● 性別は男性が約6 割、女性が約3 割、未入力が約1 割(未入力があるため、女性の比率は下限値) ● 重要な注意:この年代構成は2019年4月時点の数値であり、かつ「登録ユーザー」のデータです ● 運営側自身が「実際に利用されている層とは少々異なるかもしれない」と留保しています ● したがって「Z世代に一番愛されている場所」といった断定はできません 出典:サイトの誕生年と運営会社の設立年月日は 株式会社ヒナプロジェクト 会社概要 https :// hina pro ject.co .jp/compa ny/ou tline/ (2026年8月27日閲覧)/登録ユーザー数・作品掲載数は になろう」トップページ https :// syo setu.co m/ の表示(2026年8月27日閲覧)/PV・アクティブユーザー数は IDC フロンティア「株式会社ヒナプロジェクト様」導入事例(2024年4月24日掲 https :// www.id cf.jp/cas e/hinap ro ject/ )/年代構成は KA I- Y O U Premium ヒナプロジェクト取締役 平井幸氏インタビュー(2019年5月31日、https :// premium.ka i- you .net/a rticle/53 ) ©2026 クオリティアーツ | 第4回 PSIC 2026.8.28–29 76 / 1 04
H 置き場所の設計 解釈 置き場所の候補を並べて考える 同じ中身でも、置く場所によって届く相手と読まれ方が変わります。 候補 そこにいる人 この用途での向き・不向き 社内Wiki/共有ドライブ 同じ会社の人 note 文章を読みに来ている人。テーマは広い 元記事を置いた場所。読まれるが、長編連載の動線ではない Zenn/Qiita 技術情報を探しに来た人 解決したい問題がある人には強い。物語は場違いになりやすい 小説家になろう/カクヨム 毎日、物語を読みに来ている人 長編連載の動線がある。ただし技術文書として探されることはない Kindle(電子書籍) 買う判断をした人 対価を払う分だけ真剣に読まれるが、入口で人数が絞られる 確実に届くが、困ったときにしか開かれない。新卒が「まだ困ってい ない段階」では読まれない ※ この比較表は発表者の判断であり、各プラットフォームの実測データに基づくものではありません。なろうの規模の数値は p.76 に出典つきで示し ています。 ©2026 クオリティアーツ | 第4回 PSIC 2026.8.28–29 77 / 104
置き場所の設計 H 解釈 スマホ最適化は、捨てた 場所は読者に合わせたが、読み心地は作品に合わせた。矛盾しているように見える判断です。 捨てたこと ● 代わりに取ったこと 1話を短く割って、スマホで一気に読み切れる長 ● 場面として成立する長さを優先した(p.44 の5次元が揃う 単位) ● 1話で1つの出来事が完結する構造にした ● 毎日1話ずつ公開することで、1回の読書量を分散させた ● 代償:離脱率は上がっているはずだが、測っていません 〔未クローズ〕 ● この判断が正しかったかは、いまも分かりません さにする ● 改行を多くして、縦スクロールで軽く読める見た 目にする ● 会話中心にして、地の文を減らす ● 1話あたり平均約6,300字は、スマホ読書としては 長い部類です ※ このページは発表者の設計判断とその自己評価です。1話あたり字数は完成版目次より。 ©2026 クオリティアーツ | 第4回 PSIC 2026.8.28–29 78 / 1 04
H 置き場所の設計 事実 「小説家になろう」に置くとき、決められること 「自分でも置いてみよう」と思った人が、最初にぶつかる表です。 項目 仕様 作品タイトル 100文字以内(ルビ不可) エピソードタイトル 100文字以内 本文 70,000文字以内 前書き・後書き 各 20,000文字以内 キーワード 15個まで・各10文字以内 ジャンル 大ジャンル5・小ジャンル20。あらすじは必須入力 予約掲載 0〜23時・10分刻みで指定できる 出典:小説家になろう ヘルプセンター(作品タイトル/新規エピソード作成/キーワード/ジャンル/あらすじ/予約掲載設定)https://syosetu.com/helpcenter/ 2026年8 月2 7 日閲覧。※ 本編9 4 話のうち挿話 IL を除く8 1 話の平均が約6 ,3 00 字。本文上限7 0,00 0 字の1 割弱にあたります。制約になっていたのは媒体ではなく、読者の時間のほ です〔解釈〕。 ©2026 クオリティアーツ | 第4回 PSIC 2026.8.28–29 79 / 1 04
I 効果をどう測るか 未クローズ まず正直に:効果は測れていません この資料でいちばん弱いところです。先に書いておきます。 元記事と小説で、読者に何が残ったかを比較した測定はしていません ● 執筆は完結しているが、公開(日次連載)は下巻の途中。読者の総数がまだ確定しない ● アクセス解析の数字は p.84-85 に参考として載せました。公開の完了前で宣伝もしていないため、指標としては扱いません ● 読者アンケートを実施していない ● 元記事と小説の両方を読んだ人を特定できていない ● そもそも読者に新卒エンジニアが何人いるかも分からない ● したがって本編で「効果があった」とは言っていません。言えるのは「形と場所を変えた」ところまでです ● 以降の8ページは、測る枠組みと代理指標(p.81-83)、参考までの途中経過(p.84-85)、これから何をどう測るつもりかの計画とその限界(p.86-88)です ※ このページは事実(未実施であること)の記述です。 ©2026 クオリティアーツ | 第4回 PSIC 2026.8.28–29 80 / 104
I 効果をどう測るか 事実 カークパトリックの4段階で整理する 教育・研修の効果測定で広く使われる枠組み。何を測っているのかを混同しないために使います。 段階 名称 測るもの この作品での状況 レベル1 R eac tio n(反応) 満足したか、面白かったか なろうの評価・感想欄で部 分的に見える レベル2 L earnin g (学習) 知識・スキルが身についたか 未測定 レベル3 Behavio r(行動) 現場で行動が変わったか 未測定 レベル4 R esults(結果) 組織の成果につながったか 測定の見込みなし 出典:Kirkpatrick, D. L. (1994). E valuating Training Prog ra ms: The F our Leve ls . Be rre tt- Ko ehler Publis hers./批判的検討:A llig er, G . M., & Jana k, E . A . (1989). Kirkp atrick's levels of tra ining criteria: T hirty years later. Pers onnel Ps ycholog y, 42(2). D O I: 10.1111/j.1744 - 6570.1989.tb00661.x ※ 本資料では枠組みとしてのみ用いています。この4段階が因果の階段ではな いことは、次ページ。 ©2026 クオリティアーツ | 第4回 PSIC 2026.8.28–29 81 / 1 04
I 効果をどう測るか 事実 カークパトリックの4段階は、因果の階段ではない 「上の段は下の段から生じる」という想定は、メタ分析では支持されていません。 関係 補正済み相関 r k 反応(感情的)→ 直後の学習 .02 9 反応(有用性の知覚)→ 直後の学習 .26 6 反応(全体)→ 直後の学習 .08 23 直後の学習 → 現場での転移 .11 16 保持された学習 → 転移 .08 4 反応(有用性の知覚)→ 転移 .18 3 出典:Alliger, G. M., Tannenbaum, S. I., Bennett, W., Jr., Traver, H., &Shotland, A. (1997). Ameta-analysis of the relations among training criteria. Personnel Psychology, 50(2), 341–358. ※「役に立ちそうだ」 358. ※「役に立ちそうだ」という反応のほうが、学習テストの点数よりも現場での行動をよく予測した(.18 対 .11 と .08。ただし .18 は k =3 に基づく値です)。感想欄からレベル2は推定できま きませんが、「面白かった」より「役に立ちそうだ」という種類の反応のほうが、まだ手がかりになります〔解釈〕。 ©2026 クオリティアーツ | 第4回 PSIC 2026.8.28–29 82 / 104
効果をどう測るか I 解釈 取りうる代理指標の候補 レベル2以上を直接測れないとき、何で代用するか。 ● ① 読了率:最終話まで到達した読者の割合。プラットフォームのアクセス解析で近似できる ● ②話別の離脱点:どの話で読むのをやめたか。設計の失敗箇所が見える ● ③ 感想に現れる語:感想欄に、作品固有の語ではなく「観点」の語(レビュー、判断の根拠、任せ方 など)が出てくるか ● ④再訪:同じ読者が翌日も来ているか(分散学習として機能しているかの傍証・p.51) ● ⑤ 行動の自己報告:アンケートで「これを読んで実際に何かしたか」を聞く。ただし自己報告は過大になりやすい ● ⑥移入の測定:Transportation Scale–Short Form (6項目・p.62)や N arrative Eng ag em ent Sc ale(12項目・p.63)を読者アンケートに入 ● ※ ①〜⑥のいずれも、まだ実施していません。①④に関わる生の数字だけ p.84-85 に参考として載せましたが、公開の完了前かつ宣伝もし いない段階のものです ※ 指標の案は発表者によるもの。⑥で挙げた尺度の書誌は p.62- 63 の出典どおり。 ©2026 クオリティアーツ | 第4回 PSIC 2026.8.28–29 83 / 1 04
I 効果をどう測るか 事実 参考:アクセス解析の途中経過 連載中の数字です。まだ公開が終わっておらず、特に宣伝もしていないため、指標としては使えません。 上巻 観察を、始める 中巻 両輪を、回す 下巻 道を、選び取る 5月 64 0 P V / 50 4件 6月 1,6 62 P V / 98 4件 98 PV / 85件 7月 532 PV / 322件 63 9 P V / 49 8件 37 PV / 35件 8月 243 PV / 195件 28 6 P V / 21 3件 435 PV / 360件 合計 3,077 PV / 2,005件 1,0 23 P V / 79 6件 472 PV / 395件 出典:小説家になろう 月別アクセス解析(2026年8月27日 16:44 〜16:49 取得)。数値は3巻それぞれのシリーズページのもの。右側が月別ユニークアクセス(単位は件)。8月は27日までの 経過で、ユニークアクセスは2日遅れで反映されるとサイトに注記があります。空欄はその月の掲載がまだない、または0。3巻の単純合計は 4,572 PV / 3,196 件ですが、巻をまたぐ重複も月 たぐ重複も含むため、実人数ではありません〔解釈〕。公開が完了しておらず、特に宣伝もしていない状態の数字である点にご注意ください。 ©2026 クオリティアーツ | 第4回 PSIC 2026.8.28–29 84 / 1 04
I 効果をどう測るか 事実 参考:閲覧デバイスの内訳(途中経過) これも途中経過の数字です。置き場所の判断(本編 p.14)を検証したものではありません。 PC 88% ユニークアクセス延べ 3,196件のうち2,813件がPC スマホ382件(12.0%) アプリ1件 ※すべて途中経過 ● PVでも同じ傾向:4,572 PV のうち PC 3,985(87.2%)、スマホ 586(12.8%)、アプリ 1〔事実〕 ● 巻ごとのPC比:上巻85.8%/中巻89.7%/下巻90.7%(PVベース)〔事実〕 ● 巻ごとの月別ピーク:上巻984件(6月)→ 中巻498件(7月)→ 下巻360件(8月)〔事実〕 ● 公開が完了していません。下巻は連載途中で、読者の総数がまだ確定しません〔未クローズ〕 ● 特に宣伝をしていません。読者がどこから来たのかが分からず、経路の偏りを切り分けられませ ん〔未クローズ〕 ● 執筆者自身のアクセスが除外されているか、確認していません〔未クローズ〕 ● したがって、この数字を「スマホ前提が正しかった/誤りだった」の判断には使いません〔解 釈〕 出典:小説家になろう 月別アクセス解析(2026年8月27日 16:44〜16:49 取得)。比率は発表者が計算したもの。3,196件は3巻の月別ユニークアクセスの単純合計で、巻を またぐ重複も月をまたぐ重複も含みます。実人数ではありません(p.84)〔解釈〕。公開の完了前かつ宣伝をしていない段階の数字であり、読者層を代表するものでは ありません〔解釈〕。 ©2026 クオリティアーツ | 第4回 PSIC 2026.8.28–29 85 / 104
I 解釈 効果をどう測るか これから測るとしたら 連載完了後にできることと、その限界。 やりたいこと ● 完結時に読者アンケートを実施する(TS-SF 6項目+ 自由記述) ● 話別のアクセス数を取り、離脱点を特定する ● 元記事の読者と小説の読者に、同じ設問で答えても それでも残る限界 ● アンケートに答える人は、そもそも最後まで読んだ人。強い選択バイ アスがある ● 統制群がない。小説を読まなかった新卒との比較ができない ● p.70 のメタ分析が示すとおり、物語 vs 非物語の差はもともと大きく い可能性がある(ただし対象は映像・音声メディア。文字で読む長編 への外挿には注意) らう ● 新卒研修で使ってもらい、レベル2(学習)を測る協 ● つまり、個人の1作品で有意差を出すのは、そもそも難しい ● 測れないなら測れないと書く、というのがここでの結論です 力先を探す ※ このページは発表者の計画と自己評価です。 ©2026 クオリティアーツ | 第4回 PSIC 2026.8.28–29 86 / 104
効果をどう測るか I 事実 メディアを比べると、方法が交絡する 「元記事と小説を比べる」という測定計画への、40 年前からの警告。 “ media are mere vehicles that deliver instruction but do not influence student achievement any more than the truck that delive rs our groceries causes changes in groceries causes changes in our nutrition.(メディアは指導を運ぶ乗り物にすぎず、食料品を運ぶトラックが我々の栄養を変えないのと同じで、学習成 学習成果を左右しない) C lark (1983) p.445 ● メディア比較研究で出た差は、たいていメディアではなく、同時に変わってしまった「方法」に由来する。同じ人が両方を設計すると差は消える ● もうひとつの交絡は新奇性効果。新しい媒体は最初だけ注意と努力を集める。期間が短い研究ほど出やすい ● 「元記事 vs 小説 」で 交絡 するも の: 形式/ 分量 (約25倍)/配信頻度/置き場所/読者の自己選択/執筆時期 ● 仮に小説の読者のほうが成績が良くても、それが「物語だから」だとは言えません〔解釈〕 ● 比べるなら媒体ではなく方法。同じ場所・同じ分量で「場面あり/場面なし」のような対比にする必要があります〔解釈〕 出典:Clark, R. E. (19 83). Rec onsidering research on learning from m edia. Review of Educational Research, 53 (4), 445–45 9. ©2026 クオリティアーツ | 第4回 PSIC 2026.8.28–29 87 / 1 04
I 効果をどう測るか 解釈 効果の前に、費用がある:読者の時間 測れていないのは効果のほうだけで、費用はもう確定しています。 2 3 時間 700,266字を毎分500字で 読んだ場合の総読書時間 (毎分400字なら約29時間) ● 元記事 28,472字は同じ換算で約57分。分量比は約24.6倍 ● つまりこの取り組みは、読者に「1時間で読めたものを、20〜30時間かけて 読んでください」と要求している ● 教育の評価は効果量だけでは足りない。同じ20時間を練習テストや自己説明 に使ったらどうだったか、という対抗仮説が常にある ● 弁明の余地はある。その20〜30時間は業務時間ではなく、もともと娯楽に われていた時間かもしれない ● H章 それも測っていません。いま正確に言えるのは「費用は確定していて、効果 が未測定である」ということだけです〔未クローズ〕 ※ 字数は完成版目次(2 02 6 年8 月1 8 日版)および元記事の実測値。読書速度の毎分5 00 字は仮定であり、一次情報に基づく実測値ではありません。換算式:7 00 ,2 6 6 ÷ ÷ 6 0 ≒ 2 3.3 時間。B 章では「英語の知見を日本語の文字数に換算しない」と書きましたが、ここでの仮定は、あちらの知見を換算したものではなく、読書時間の桁を示 ための独立した概算です。 ©2026 クオリティアーツ | 第4回 PSIC 2026.8.28–29 88 / 1 04
J 明日から使える形に 解釈 若手が1年目でつまずく場面 小説の前半(上巻)で扱った場面を、現場のカタログとして並べ直したもの。 ● ① レビューで大量の指摘が返ってきて、人格を否定された気持ちになる(上巻 第09話「白瀬、二十二件のレビュー」) ● ② 「LGTM」とだけ返ってきて、何が良かったのか分からない(第08話「LGTM、その四文字の中身」) ● ③ 開発の言葉と、事業の言葉が違いすぎて会話に入れない(第05話「二つの世界、二つの言葉」) ● ④ 先輩の優しさが、甘やかしなのか本当の配慮なのか判断できない(第04話「赤坂、最初の優しさ」) ● ⑤ 期待されている水準が分からず、どこまでやれば終わりか決められない(第11話「諏訪、三つの期待」) ● ⑥ 違和感を覚えたが、言語化できず、言っていいのかも分からない(第12話「葉山の違和感」) ● ⑦ 初めて本番環境に自分のコードが乗る日の怖さ(第18話「初めて本番に乗った日」) ● ⑧ 書く側になって初めて、伝わらなさが分かる(第20話「書く人と、読む人」) ● ※ 話数は完成版目次(2026年8月18日版)の採番。場面の一般化は発表者の解釈です 出典:完成版目次(2026年8月18日版)上巻テーブル。 ©2026 クオリティアーツ | 第4回 PSIC 2026.8.28–29 89 / 104
J 明日から使える形に 解釈 教える側が、月曜からできること この資料のC章・D章から素直に導ける範囲のことだけ書きます。 ● ① 急所だけを渡さない。「どの場面で」と「なぜそれを外すとまずいか」を一緒に渡す(TWI・p.40-41) ● ② 相手の熟達度で渡す形を変える。ベテラン向けのチェックリストを新卒に渡さない(p.53) ● ③ 読ませたら、言わせる。説明を生成させると、理解の過大評価が崩れて本人が気づく(p.42・p.49・p.52) ● ④ 一度で終わらせず、間隔を空けて何度か触れさせる(分散学習・p.50) ● ⑤ 要約・下線・再読を「勉強した」の指標にしない。評価は低い(p.50) ● ⑥ 面白い脇道を入れるなら、主題を食っていないか確認する(p.54) ● ⑦ 読ませたあと、実際にその場面が来たら「あれと同じだ」と名指しする。物語は、自分からは思い出されない(p.47) ● ⑧ 「読解力がない」で止めず、形と場所を変えてもう一度試す(p.31) ● ※ ①〜⑦は各ページの出典からの翻案です。⑧は出典ではなく、p.31と同じ発表者の主張です。いずれもそのまま研究の結論ではあり ません ※ 括弧内は、それぞれの対応ページです(① 〜⑦ には出典を記載しています)。 ©2026 クオリティアーツ | 第4回 PSIC 2026.8.28–29 90 / 104
J 解釈 明日から使える形に 急所を「観察できる行動」に書き換える 公的な書式があります。厚生労働省「職業能力評価基準」。 職業能力評価基準の構成 ● ① 職種 ● ② 職務 ● ③ 能力ユニット(活動単位でくくったもの) ● ④ 能力細目 ● ⑤ 職務遂行のための基準 ● ⑥ 必要な知識 「職務遂行のための基準」とは ● 原文:「『能力細目』の仕事を確実に遂行できるか否かの判 断基準となる典型的な行動例や、技能・技術を列挙したもの です」 ● 急所を、観察できる行動の文に書き換えたもの、と読めます 〔解釈〕 ● 書き換えて初めて、レベル2(学習)・レベル3(行動)が測 れるようになる ● I章〔解釈〕 私の20の観点は、この書き換えをしていませんでした〔解 釈〕 出典:厚生労働省「職業能力評価基準の構成」https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/001018939.pdf /職業能力評価基準について https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/jinzaikaihatsu/ability_skill/syokunou/index.html ©2026 クオリティアーツ | 第4回 PSIC 2026.8.28–29 91 / 104
明日から使える形に J 事実 書く前に決める:Diátaxis の4区分 技術文書を4種類に分け、混ぜないことを求めるフレームワーク。 この作品はどれか 4つの区分 ● Tutorial(チュートリアル):学習のための、手を動か す道筋 ● 元記事の2 0観点は、R efere nce の形をしていた(引くため の一覧) ● How-to guide(ハウツーガイド):目的を達成するため ● しかし読者が必要としていたのは Explanation と、場面を伴 う Tutorial だった〔解釈〕 ● 小説は、Ex p lana tion を物語として渡す試みだと整理でき る〔解釈〕 ● 混ぜてはいけない、という原則からすると、小説はかなり 危うい形式でもあります の手順 ● Reference(リファレンス):正確に引くための情報 ● Exp lanatio n(説明):理解するための背景と理由 出典:Diátaxis(https://diataxis.fr/ )。右側の当てはめは発表者の解釈です。 ©2026 クオリティアーツ | 第4回 PSIC 2026.8.28–29 92 / 1 04
J 明日から使える形に 解釈 自分の現場で試すときのチェックリスト 小説を書け、という話ではありません。形と場所を設計対象にする、という話です。 ● □ その文書は、誰に向けたものか。熟達度は揃っているか(揃っていないなら分ける) ● □ 渡しているのは急所だけになっていないか。場面と理由はどこにあるか ● □ 読み手は、それをいつ・どこで読むのか。その動線に置いてあるか ● □ 一度読んで終わりの設計か。思い出す機会は用意されているか ● □ 同じ急所の「2例目」があるか。1つの事例だけでは、相手の中に型は残りにくい(p.48) ● □ 急所を「観察できる行動」の文に書き換えたか。書き換えないと、身についたかを測れない(p.91) ● □ 「読解力がない」と言いたくなったとき、形と場所を1回変えてみたか ● □ 効果を測る手段を、作る前に決めてあるか(作ってからでは間に合わない・I章) ● □ 相手の「分かりました」を、身についた証拠として扱っていないか(p.55) ● □ 面白くするために足した要素が、主題を食っていないか ● □ 誤りを混ぜていないか。物語に混ぜた誤りは、事実として持ち帰られる(p.72) ※ 発表者が本資料の内容からまとめたものです。 ©2026 クオリティアーツ | 第4回 PSIC 2026.8.28–29 93 / 104
K 事実 作品の目次 作品の目次:上巻「観察を、始める」(1年目) 221,902字/37編(プロローグ1+本編31+エピローグ1+断章4。本編31のうち挿話 IL①〜④の4話を含む) 音無 凪『新卒エンジニア、観察ノートを開く』小説家になろう https://ncode.syosetu.com/s4325k/ 凡例:01・02…=本編(3巻あわせて94話) / プロローグ・エピローグ・断章Ⅰ〜Ⅻ=本編以外の18編 プロローグ 港川行きの特急 13 五月晴れ、城跡公園 26 港川の夏祭り、六人の浴衣 01 ヨキエル株式会社、四月一日 14 初めての賞与 27 とんぼ、定例化の夜 02 研修の日々、四つの出会い 15 社内勉強会、エンジニアとは何か 28 資格を、受けますか 03 配属の朝、散らばる六人 16 家族みたい、断る夜 29 とんぼ、二人の料理人 04 赤坂、最初の優しさ 17 黒木の沈黙、大沢の機嫌 30 一月、折れた友 05 二つの世界、二つの言葉 18 初めて本番に乗った日 31 葉山の冬 06 美月、五月のある日 19 最初の障害、振替機能の三十分 エピローグ 春の予感 07 五月、六人の最初の杯 20 書く人と、読む人 断章Ⅰ 村瀬正之の朝 08 LGTM、その四文字の中身 21 凪の夜、レビューを書く 断章Ⅱ 遠野吉彦の夜 09 白瀬、二十二件のレビュー 22 悪口の宴、そしてとんぼへ 断章Ⅲ 採用判定の夜、村瀬・遠野・沢田 10 寮の夜、小林の言葉 23 間宮、構造を語る 断章Ⅳ ある日のとんぼ、沼田寿の朝 11 諏訪、三つの期待 24 全社会議、CTOの言葉 12 葉山の違和感 25 磨く優しさ、放置する優しさ 出典:完成版目次(2026年8月18日版)。※ 挿話 IL① 〜⑬は本編94話のなかに含めて 01・02… の通し番号で並べているため、この目次では個別の印を付けていません〔事実〕。※ 各話と20観 観点(p.27)の1対1の対応表は付けていません。1話に複数の観点が入り、同じ観点が巻をまたいで繰り返し出てくるため、表にすると実際より整理されて見えてしまうからです〔解釈〕。観点 点から辿りたい場合は、話数ではなく巻の主題(1年目=観察、2年目=両輪、3年目=選択)を手がかりにしてください〔解釈〕。 ©2026 クオリティアーツ | 第4回 PSIC 2026.8.28–29 94 / 104
K 作品の目次 事実 作品の目次:中巻「両輪を、回す」(2年目) 254,950字/37編(プロローグ1+本編31+エピローグ1+断章4。本編31のうち挿話 IL⑤〜⑧の4話を含む) 凡例:01・02…=本編(3巻あわせて94話) / プロローグ・エピローグ・断章Ⅰ〜Ⅻ=本編以外の18編 プロローグ 2年目、桜並木通りの新人たち 44 初めての登壇、岡崎さんとの出会い 32 森山翼、二つ隣の席に着く 45 33 立花先輩の手柄 34 白瀬先輩の信頼 35 教えてみて分からなくなる 36 受け取り方を、刻み直す 37 事業の数字を聞く日 38 葉山、議事録の振られる席で 39 ある日の三浦翔太 40 黒木、テックリード補佐の夜 41 赤坂先輩の異動 D O RA の四つの軸、白瀬から借りる本 46 夏の夜、桜並木通りの帰り道 47 金曜夜、ロード中で止まる画面 48 諏訪が引き受ける 49 産業医、斎藤先生との面談 50 寮で一人、泣く夜 51 ノリ悪いね、と言われた午後 52 四人のマネージャー、継ぐ・見ない・波・地 53 ある日の諏訪千絵 54 葉山、異動希望を出す日 42 寮ラウンジ、副業のススメ勉強会 55 43 56 間宮、駅前を歩きながらの夜 LT前夜、同期で猛特訓 アユシュの選択、古川先輩の本音 57 オンボーディングは、技術だ 58 遠野CTO 、半径3メートルをもう一度 59 とんぼ、倉田さんの長話 60 斎藤先生、二度目の面談 61 続ける、ということ 62 2年目の終わり、同期で振り返る エピローグ 冬の桜並木通り 断章Ⅴ ある日のアユシュ・タパ 断章Ⅵ ある日の江口弘樹 断章Ⅶ 中堅四人組のある夜、立花・古川・赤 坂・大沢 断章Ⅷ ある日のとんぼ(沼田雅代) 出典:完成版目次(20 26年8月18日版)。※ 各話と20観点(p.27)の1対1の対応表は付けていません。理由は上巻のページ(p.94)に書きました。 ©2026 クオリティアーツ | 第4回 PSIC 2026.8.28–29 95 / 1 04
K 作品の目次 事実 作品の目次:下巻「道を、選び取る」(3年目/最終巻) 223,414字/38編(プロローグ1+本編32+エピローグ1+断章4。本編32のうち挿話 IL⑨ 〜⑬ の5話を含む) 凡例:01・02…=本編(3巻あわせて94話) / プロローグ・エピローグ・断章Ⅰ〜Ⅻ=本編以外の18編 プロローグ 3年目、後輩を持つ春 75 夏の終わり、鈴木さんとの別れ 88 澪での、四つのお祝いの夜 63 橋本香織、チームAに加わる朝 76 赤坂先輩、アーケードの再会 89 蒼太の決断 64 香織さんへ、最初のレビュー 77 諏訪マネージャーの異動 90 諏訪マネージャーへの報告 65 葉山のキャリア相談 78 三冊のノート、縦棒と横棒 91 後輩へ、自分が受け取ったもの 66 黒木、補佐が取れた夜 79 視座と視野、白瀬・間宮との夜 92 二月、論文を詰める 67 商工会議所、ヨキエル代表で立つ 80 遠野CTOとの2度目の対話 93 研修員論文発表会 68 3つの開発部を、歩く一週間 81 3つの道、選び取る前夜 94 三年、やり切った夜 69 ある日の黒木律 82 ある日の黒木律、事件の夜 エピローグ 四年目の春の予感 70 インターンを預かる 83 葉山の決断、黒木の決断 断章Ⅸ ある日の鈴木未來 71 鈴木さんの戸惑い、立花先輩の流し方 84 ある日の杉本結と、ある日の丸山健司 断章Ⅹ 遠野CTOと村瀬社長の対話 72 桐谷、引き受ける夜 85 村瀬社長との対話 断章Ⅺ ある日の間宮啓 73 未來が見る、同期六人の素顔 86 岡崎さん再訪、社内発表の続け方 断章Ⅻ ある日のとんぼ(沼田夫妻対話) 74 アユシュ、韓国行きの夏 87 蒼太の決断、前夜 出典:完成版目次(2026年8月18日版)。+(全巻共通・巻末特典)あとがき「シリーズ完結を迎えて」11,325字。※ 各話と20観点(p.27)の1対1の の対応表は付けていません。理由は上巻のページ(p.94)に書きました。 ©2026 クオリティアーツ | 第4回 PSIC 2026.8.28–29 96 / 104
作品の目次 K 解釈 翻案で、足したもの/失ったもの 28 ,472 字が 70 0,26 6字になった。約96 % は、元記事に無かったものです。 足したもの ● ● ● 失ったもの 場面:観点が発動する状況 ● 一覧性:20個を一望できない ● 検索性:「あの観点」を引けない ● 網羅の保証:読者は、自分が何を読み落としたか分からな い ● 読了時間:約1時間、要約なら5分 → 20〜30時間 ● 観点の名前:場面は覚えても、観点を名指しで持ち帰れな 人物:観点を体現する対比役 時間:3年という経過 ● 因果:なぜその急所が要るのか ● 反復:同じ観点への複数回の遭遇 い可能性がある ※ 失ったものは、元記事が得意だったものそのものです。置き換えではなく、役割分担にすべきだったのかもしれません(J章 D iátax is:Refere nce Explanation は別物)〔解釈〕。読者が「観点」を語彙として持ち帰れているかは未測定です〔未クローズ〕。字数はいずれも本資料の既出値。 ©2026 クオリティアーツ | 第4回 PSIC 2026.8.28–29 97 / 1 04
出典とライセンス L 事実 引用文献①:ナラティブ説得・エンターテインメント教育 E章・F章で参照したもの。おおむね年代順(同じ論点のものはまとめています)。 ● Gerrig, R. J. (1993). Experiencing Narrative Worlds. Yale University Press. ● Green, M . C ., & B rock, T. C . (2000). JPSP, 79(5), 701–721./A ppel, M., et al. (2015). Media Psy cho lo g y, 18(2), 243–266.(移入の尺度) ● Cohen, J. (2001). Mass Communication and Society, 4(3), 245–264.(同一化) ● Ban dura, A . (2001). Media Ps ycho lo g y, 3(3), 265 –299./Ban dura, A . (2004). In Sing hal et al. (Eds .), E nterta in m ent - Ed ucation a nd S ocia l C hang e, pp .75–96. ● Slater, M. D., & Rouner, D. (2002). Communication Theory, 12(2), 173–191.(E-ELM) ● M arsh, E . J., M ea de, M. L., & R oe dig er, H . L., III (2003). Journal of Me m ory and La ng ua g e, 49(4), 519 –536.(物語に混ぜた誤りの記憶) ● Moyer-Gusé, E. (2008). Communication Theory, 18(3), 407–425.(EORM) ● Bus selle, R. W ., & Bila ndz ic, H. (2009). M edia Ps ycholog y, 12(4), 321 –347.(N ES ) ● Van Laer, T., et al. (2014). Journal of Consumer Research, 40(5), 797–817.(ETIM) ● Da hls trom, M. F . (2014). PN A S , 111(S upp l. 4), 13614–13620.(倫理) ● Braddock, K., & Dillard, J. P. (2016). Communication Monographs, 83(4), 446–467. ● Kidd, D. C ., & Cas tano, E . (2013). Science, 342(6156), 377 –380./Panero, M . E., et al. (2016). JPS P, 111(5)./Ca merer, C . F., et al. (2018). N ature H uman Behaviour, 2(9), 637– 644./Kidd & Ca stano (2018). 同誌 2, 604.(再現性) ● Green, D. P. (2021). In Frank & Falzone (Eds.), Entertainment-Education Behind the Scenes, pp.195–210. ● Ra hmani, B., et al. (2025). Beha vioura l Public Policy, 1 –23. DO I: 10.1017/bpp .2025.10010 ※ この一覧は主要文献です。併記した文献を含む書誌の詳細は、E 章(p.59- 68)・F 章(p.69- 74)の該当ページ下端にあります。D O I は一部の文 のみ記載しています。 ©2026 クオリティアーツ | 第4回 PSIC 2026.8.28–29 98 / 1 04
出典とライセンス L 事実 引用文献②:記憶・学習・転移 C章・D章で参照したもの。おおむね年代順(同じ論点のものはまとめています)。 ● Bower, G. H., & Clark, M. C. (1969). Psychonomic Science, 14(4), 181–182. ● Gick, M . L., & Ho lyo ak, K . J. (1980). Cog nitive Psy cho lo g y, 12(3), 306 –355./同 (1983). 15(1), 1–38.(転移) ● Sweller, J., & Cooper, G. A. (1985). Cognition and Instruction, 2(1), 59–89./Sweller (2010). Educational Psychology Review, 22(2)/Sweller, van Merriënboer & Paas (2019). 同誌 31(2).(認知負荷) ● Chi, M . T. H., et al. (1989). Cog nitive S cience, 13(2), 145 –182./Bisra, K ., et a l. (2018). E ducatio nal Psycholog y Review, 30(3), 703 –725.(自己説明) ● Zwaan, R. A., & Radvansky, G. A. (1998). Psychological Bulletin, 123(2), 162–185.(状況モデル) ● Ha rp , S . F., & Ma ye r, R . E. (1998). Journa l of Educa tiona l Ps ycholo g y, 90(3), 414 –434.(魅力的細部) ● Rozenblit, L., & Keil, F. (2002). Cognitive Science, 26(5), 521–562.(説明深度の錯覚) ● Ka lyu g a, S ., et al. (2003). E ducational Psy cho log is t, 38(1), 23 –31.(熟達者反転) ● Roediger, H. L., III, & Karpicke, J. D. (2006). Psychological Science, 17(3), 249–255./Dunlosky, J., et al. (2013). Psychological Science in the Public Interest, 14(1), 4–58. ● Lalley, J. P., & M iller, R . H. (2007). E ducatio n, 128(1), 64 –79./Le trud, K ., & He rne s, S. (2018). C og e nt E ducatio n, 5(1), 1518638.(学習ピラミッド) ● Murre, J. M. J., & Dros, J. (2015). PLOS ONE, 10(7), e0120644.(忘却曲線の追試) ● Des la uriers , L., et a l. (2019). PN A S , 116(39), 19251 –19257.(手応えと成績) ※ この一覧は主要文献です。併記した文献を含む書誌の詳細は、C 章(p.31- 42)・D 章(p.43- 58)の該当ページ下端にあります。D O I は一部の文 のみ記載しています。 ©2026 クオリティアーツ | 第4回 PSIC 2026.8.28–29 99 / 1 04
出典とライセンス L 事実 引用文献③:教育訓練の評価と公的統計 教育訓練の効果測定と、日本の公的統計・公的資料。 ● Clark, R. E. (1983). Review of Educational Research, 53(4), 445–459.(メディア比較の交絡) ● Kirkpatrick, D. L. (1994). E valuating Training Prog ra ms: The F our Levels . Berrett - Ko ehler./A llig er, G . M., & Jana k, E . A . (1989). Person nel Psycholog y , 42(2), 331 –342./A llig er, G. M ., et al. (1997). 同誌 50(2), 341 –358. ● Taylor, P. J., Russ-Eft, D. F., & Chan, D. W. L. (2005). Journal of Applied Psychology, 90(4).(行動モデリング訓練) ● United S tates W ar Man power Com mis sion, Bureau of Trainin g . T he Tra ining W ithin Industry Report 1940 –1945 (1945). ● 厚生労働省職業能力開発局『TWI活用の手引(改訂増補版)仕事の教え方』雇用問題研究会, 1993/日本産業訓練協会(sankun.jp)/雇用問題研究会(koyoerc.or.jp)/愛知県職業能力開 発協会(ava da.or.jp ) ● 厚生労働省「職業能力評価基準」(構成および「職務遂行のための基準」の定義) ● 経済産業省・厚生労働省・文部科学省『2026年版ものづくり白書』(令和8年5月)。原データ:厚生労働省「令和6年度 能力開発基本調査(事業所調査)」 ● 厚生労働省『令和7年度 能力開発基本調査 結果の概要』(令和8年7月31日公表)。技能継承に関する数値 ● 文化庁『令和5年度「国語に関する世論調査」の結果の概要』(令和6年9月)/文化審議会建議『公用文作成の考え方』(令和4年1月7日、文化庁) ※ U RL・調査の図番号など、詳細は各章の該当ページ下端に記載しています。 ©2026 クオリティアーツ | 第4回 PSIC 2026.8.28–29 10 0 / 104
出典とライセンス L 事実 引用文献④:実務資料・書籍・作品情報 Web の読まれ方、文書設計、書籍、そして作品そのものの情報。 ● Jak ob N ielsen「H o w Littl e D o U sers R ead ?」N iel sen N o rm a n G rou p (2008)/原データ:W einrei ch , H ., et al . (2008). AC M Tra nsa ctio ns on the ● Diátaxis(https://diataxis.fr/ ) ● ● ● 小説家になろう ヘルプセンター(作品タイトル/エピソード/キーワード/ジャンル/あらすじ/予約掲載)2026年8月27日閲覧/IDCフロンティア 「株式会社ヒナプロジェクト様」導入事例(2024年4月24日)/KAI-YOU Premium 取材記事(2019年5月31日) 池田暁「地方IT 中小の新卒エンジニアへ:3年後の『あの人の下にいて良かった』のために」no te, 2026年5月9日/音無凪『新卒エンジニア、観察ノー トを開く』小説家になろう(連載中)/完成版目次(2026年8月18日版) 『ザ・ゴール』ダイヤモンド社, 2001/『The DevOps 逆転だ!』日経BP社, 2014/『カイゼン・ジャーニー』翔泳社, 2018/『実践ソフトウェアエンジニ アリング(第9版)』オーム社, 2021/『マインドマップから始めるソフトウェアテスト[改訂新版]』技術評論社, 2019/『SQuBOK Guide V3』オーム社, 2020(後半3冊は本編 p.3 で紹介) ※ U RL・D O I・調査の図番号など、詳細は各章の該当ページ下端に記載しています。 ©2026 クオリティアーツ | 第4回 PSIC 2026.8.28–29 10 1 / 104
出典とライセンス L 事実 まず、どれから読むか 全部読む必要はありません。目的別に4つだけ挙げます。 用語の対応 目的別の最初の1 本 ● 学習法を見直したい → D unlosky et al. (2 013 )。10手法の評 価は、それだけで研修設計が変わる ● 移入(transportation)=物語世界に入り込むこと(p.60) ● 没入(ab so rp tio n )=移入と同じ現象を指す別の語。E- EL M の原語 (p.66) ● 物語で伝えることの理屈を知りたい → Green & Brock (2000)。 ● ここが基礎研究 ● ● 同一化(id en tific atio n )=キャラクターの視点を共有すること (p.64) 物語の危うさを知りたい → D ahlstrom (20 14) PN A S 。7ペー ジで倫理の論点が揃う ● 課題外在性負荷=設計の拙さが生む、削るべき負荷(p .45 ) ● 熟達者反転効果=初心者に効く教え方が熟達者には逆効果になること (p .53 ) 現場の教え方を変えたい → TWI-JI の10時間訓練。読むより受 ● seductive details=面白いが主題と無関係な細部(p.54) けたほうが早い ● 転移(tran sfer )=学んだことを、別の新しい場面で使えること (p.47) ● 自己説明=「なぜそうなるのか」を自分の言葉で言うこと(p .52 ) ※ 書誌は p.98- 10 1 を参照。 ©2026 クオリティアーツ | 第4回 PSIC 2026.8.28–29 10 2 / 104
L 出典とライセンス 事実 この資料の公開にあたって 「いかに伝えるか 〜新卒エンジニアの教育のための、ライトノベル活用の一例」/第4回 問題解決インタラクティブ・カンファ レンス(PSIC)ライトニングトーク資料。 ● 作成:池田 暁(クオリティアーツ)/小説の著者名:音無 凪 ● 引用について:他者の著作物は著作権法第32条の要件(公正な慣行・引用の目的上正当な範囲・主従関係・明瞭区別)を満たす範囲で引用し、第48条に基づき出 X:@ikedon0505 出所を明示しています ● 書影・画面キャプチャ:出版社・各サービスの著作物です。書誌情報の紹介およびBEFORE/AFTERの比較という目的の範囲で掲載しています ● 商標:本文中の製品名・サービス名は各社の商標または登録商標です ● 統計データ:政府統計等は出典を明記のうえ引用しています。数値の解釈に誤りがあれば、それは発表者の責任です ● 生成AIの利用:本作品の校閲、および本資料の制作過程で生成AIを利用しています ● 本資料の著作権:発表者が作成した部分の著作権は池田 暁(クオリティアーツ)に帰属します。無断転載・改変を禁じます。著作権法の範囲での引用・紹介は 自由です。二次利用をご希望の場合はご相談ください ● 公開先(Docswell):https://www.docswell.com/s/Akira_Ikeda/59N681-2026-08-28-PSIC ● 公開先(SpeakerDeck):https://speakerdeck.com/ikedon/ikani-tsutaeru-ka-shinsotsu-enjinia-no-kyouiku-no-tame-no-raito-noberu-katsuyou-no-ichirei ※ 本資料は発表者個人の見解であり、所属組織・主催者の見解ではありません。 ©2026 クオリティアーツ | 第4回 PSIC 2026.8.28–29 103 / 104
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