日心2022_英語論文投稿への道

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September 12, 22

スライド概要

2022年09月08日 日本心理学会第86回大会@日本大学
JPR編集委員企画大会シンポジウム『英語論文投稿への道2022』
において発表したスライド+追加資料です。
リンクも飛べるようになっていますのでぜひご活用ください。

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Fumiya Yonemitsu

@fyonemitsu

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中央大学文学部 日本学術振興会特別研究員PD 博士(心理学)

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各ページのテキスト
1.

日本心理学会第86回大会@日本大学 JPR編集委員企画大会シンポジウム 英語論文投稿への道2022 2022年09月08日 レジレポのレポ ―新しい論文投稿の形から考える 若手の論文出版戦略― 米満文哉 (中央大学文学部・日本学術振興会特別研究員PD) ※ 本発表に関して開示すべき利益相反関連事項はありません

2.

自己紹介 @FYonemitsu u 現在:学振PD@中央大学文学部 (受入教員:有賀敦紀先生) u 専門分野:認知心理学

3.

心理学の信頼性 u 心理学はいま再現性問題を抱えている u 社会心理学・認知心理学の実験で追試できたのが39%(Open Science Collaboration, 2015)

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疑わしい研究実践 (QRPs) u u u 再現性問題と主に関係してると思われるのが疑わしい研究実践 (questionable research practices; QRPs) QRPs: 不正とまではいかなくても,研究の成功を取り繕うために 行われる研究関連の手段 QRPsの具体例 ・従属変数を選択的に報告(色んな従属変数とって有意なもの だけ報告) ・結果を見ながらデータを増やす or データ収集を停止 ・色んな分析をしまくってp値を.05より低くする ・結果を見てから仮説を立てて,仮説が支持されるように見せた 論文を書く

5.

プレレジ革命(Nosek et al., 2018) u じゃあQRPsの「機会(自由)」を潰せばいいじゃない →事前登録制度(preregistration; プレレジ)!! u プレレジ:目的・仮説,実験内容,分析方法などデータを取る前 に第三者機関に登録 →登録内容が公開され他人が確認できる(公開のタイミングは自分 で操作可能)

6.

プレレジ革命(Nosek et al., 2018) 実験 論文執筆 分析 やる前に 登録 登録した通りに実行 = 第三者機関 QRPsする隙が生まれない

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プレレジのやり方 u 登録する第三者機関って??? →とりあえずOpen Science Framework(OSF)がお勧めです (日本語の資料が充実) u 具体的には何を登録するの??? →研究背景,仮説,研究の種類,実験デザイン,独立変数, 従属変数,データ収集方法,サンプルサイズ,分析計画, 停止規則,データ除外基準, などの各項目の記入欄が用意されてる

8.

プレレジのやり方 u 登録の仕方わからないんだけど,どうやって登録するの??? →長谷川ら (2021) という超便利なものがネットから無料で ダウンロードできるのでぜひそちらを読んでください。 OSFのアカウント作成から懇切丁寧に書いてます。

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プレレジ頑張ったのに… u ただし,頑張ってプレレジをしても論文が採択・出版されるか どうかは別問題 頑張って登録 u 頑張って執筆 頑張ったのに リジェクト 査読者による新規性・ポジティブな結果の追求が原因? →せっかくデータを取ったのにお蔵入りする可能性…

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プレレジ頑張ったのに… u ただし,頑張ってプレレジをしても論文が採択・出版 されるかどうかは別問題 そこで レジレポ 頑張って登録 u 頑張って執筆 頑張ったのに リジェクト 査読者による新規性・ポジティブな結果の追求が原因? →(特に若手は)できるだけ確実に採択されたい

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プレレジからレジレポへ 査読つき事前登録 (registered reports; レジレポ) u 頑張ってプレレジするんだったら,初っ端から雑誌に登録しよう u 雑誌に登録するんだったらついでに査読もしてもらおう 実験 分析 プロポーザルを 執筆 アクセプトされてから実験

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レジレポ 原稿を 2段階で投稿 問題・目的,方法の原稿 u u u 1の原稿に結果,考察までを含めた原稿 Stage 1の査読通過後に原則的採択 (in principle acceptance; IPA) となり,どんな結果であってもジャーナルへの掲載が約束される (QRPsをする意味がなくなる) 査読が2回あるので面倒ではあるが,Stage 2では結果と考察につ いての査読となるのでリジェクトされることはまずない 300以上のジャーナルがレジレポを導入 (Psychological Science, JEP: LMC, Journal of Experimental Social Psychology, Clinical Psychological Science, PLOS ONE, Scientific Reportsなど)

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我のレジレポ経験 レジレポでオリジナル研究 ←今回は主にこれについて話します レジレポで直接的追試 レジレポで多国間マルチラボ追試 (現在IPAでStage 2をサブミット中) ※Scientific Reportsでレジレポの査読者の経験もしてます

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自粛!!!行動変容!!! u 感染拡大を防ぐために政府は外出自粛やソーシャルディスタンス など行動変容を市民に求めなければいけない

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各個人頼みの日本 u 日本は人の行き来に法的拘束力を以って制限できない →自粛をお願いするだけで都市封鎖は法的にできない →行動変容は完全に個人の倫理的観念に依存せざるを 得ず,人々の自発的な行動変容が感染拡大防止のカギ 人々の態度や行動を効果的に変容させるために, 説得的コミュニケーションが必要 →人々がガイドラインに従いやすくする

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アイデンティティ強調効果 u 社会的認知の研究:教示の表現として行為者を表す接尾辞erを 教示につけることで教示の読者の非倫理的な行動を減らすこと ができる (e.g., Bryan et al., 2013) ­不正行為 Donʼt be a cheater < Donʼt cheat u この研究↑を研究室の後輩たちが日本でレジレポ追試して 成功してたのでやってみようとなった 感染予防の教示文の違い(拡散しないで/拡散者にな らないで)は人々の態度や行動の変容に影響するのか

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方法 第一回調査の前日から7日間 第一回調査から7日間 第一回調査 第二回調査 • メールアドレス • 予防意図尺度 • 予防意図尺度 • 予防行動尺度 • 予防行動尺度 • 教示(拡散者にならないで, 拡散しないで,統制) この変化を見る

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執筆・投稿する前に 2020年4月23日 u Royal Society Open Scienceに投稿前問い合わせ (Presubmission inquiry) をする →19時間後にエディターからいいよってくる 意訳:コロナ関連の研究でこんな論文 をレジレポで出そうと思ってる んだけどどうですかね 意訳:いいぞ。じゃあStage 1の原稿を俺に送って。 そのときに原稿がこのテンプレートに書いてる 点を全部満たしたプロトコルになっているのか きちんと確認してくれよな あと9の研究デザイン表もきちんと含めてね 投稿前問い合わせ:自分の研究がジャーナルのスコープに合うもの か確認が可能

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レジレポのテンプレ u レジレポのStage 1原稿のテンプレートがOSFに用意されてて かなり参考になる (https://osf.io/93znh) Stage 1の原稿がちゃんとできてるかチェックする10の質問

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レジレポのテンプレ u どんなことが書いてる? 1. 研究で取り組む主な問題は何? 2. 主要な従属変数と独立変数が何でどう測定する? 3. 仮説は何? 4. 参加者を何人,どの条件に割り当てる? 5. 何人集めて,その停止規則は何? 6. 参加者の包含基準(対象基準)は何? 7. 参加者の除外基準は何? 8. ポジティブコントロールやクオリティチェックはどうする? 9. 仮説検証のためにどんな分析を行うか具体的に示す 10. 新しいデータを収集するか既存データの分析か? ◎ 付録としてStage 1原稿のリジェクト理由トップ10それを 避けるためのヒント集

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レジレポのテンプレ u どんなことが書いてる? 1. 研究で取り組む主な問題は何? 2. 主要な従属変数と独立変数が何でどう測定する? 3. 仮説は何? 4. 参加者を何人,どの条件に割り当てる? 5. 何人集めて,その停止規則は何? 6. 参加者の包含基準(対象基準)は何? 7. 参加者の除外基準は何? 8. ポジティブコントロールやクオリティチェックはどうする? 9. 仮説検証のためにどんな分析を行うか具体的に示す 10. 新しいデータを収集するか既存データの分析か? ◎ 付録?としてStage 1原稿のデスクリジェクションを避ける お気づきだろうか… ためのヒント集とリジェクト理由トップ10 プレレジと登録するものは変わんないことに…

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レジレポの研究デザイン表 u ただし,1点だけ大きく違うのが「9. 仮説検証のためにどんな分 析を行うか具体的に示す」 u 分析について文章で説明 & 研究デザイン表も作る必要がある ・問題 ・仮説 ・サンプリングプラン(検定力分析とか) ・解析計画 ・(予測と)異なる結果についての解釈 これらを対応させて書く

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レジレポの研究デザイン表 ・アイデンティティ強調したメッセージは感染リスク の高い行動を抑制するか? ・アイデンティティを強調することで意図が修正され るなら,予防意図スコアの変化は、拡散条件と統制条 件よりも拡散者条件で有意に大きくなるだろう。 ・G*Power使って検定力分析して必要サンプルサイズ が942人。ただしオンライン実験なのでドロップアウ トも考慮してその約2倍の人数を最大サンプルサイズ とする。 ・従属変数の算出方法,独立変数,1要因分散分析の 詳細といった解析計画。多重比較や報告する効果量, 主効果が有意でないときどんな分析をするのかなど。 ・もし有意な差がなければアイデンティティを強調し て認識を修正する効果は,パンデミックの抑制におい ては効果がない。

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Stage 1原稿の注意点① u 「レジレポテンプレート」と書いているが,投稿時の原稿は プレレジみたいな一問一答形式ではなく,Introduction と Method のセクションで分けられた一般的な原稿スタイルにする こと。 u 研究デザイン表が要るかは各雑誌の投稿規定を基に判断。 RSOSやサイレポは必須。 →なのでやり方としては2通り ・テンプレの質問に答えていく形で最初は書いて,あとで論文 の形式にセクションを整える ・最初から論文形式で書いてレジレポテンプレをチェック リスト的に利用する

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Stage 1原稿の注意点② u これからやることについては未来形(will)を使う ・先行研究が示したことについてはこれまで通り過去形でOK -Bryan and colleagues investigated the effect of… (Bryan et al., 2011). ・本研究でやろうとしていることはwillにする。方法は基本的に未来形 -The present study will investigate…. - We will perform two one-way ANOVAs…. - The gratitude message will be presented…. ・テンプレの付録にあるリジェクト理由トップ10の1つ →予備研究として既にやったことなのかこれからやろうとしている 研究の提案の部分なのかを明確にする ※どうせ英文校正すると思うので,そこまで神経質にならなくてOK。 ミスって過去形にすることがなければ大丈夫

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Stage 1原稿を用意・投稿・査読 2020年5月5日 u Stage 1 投稿(投稿前問い合わせから二週間弱で原稿を用意) 2020年5月13日 u 査読者5人から計6200wordsのありがたいコメントをいただき メジャーリビジョンの判定 ※コロナ禍向けの特殊方式で査読者を集めたので集まりまくった ※レジレポだから査読者が増えたわけではない(現に私が査読 したサイレポのレジレポ論文は私入れて査読者2人)

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Stage 1原稿を用意・投稿・査読 2020年5月27日 u Stage 1 の修正稿を投稿 2020年6月2日 u 査読者5人から計5000wordsのありがたいコメントを再び いただきマイナーリビジョンの判定

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Stage 1原稿を用意・投稿・査読 どんな指摘が来る? u イントロの論理展開や方法の妥当性について =普通の論文と同じ -アイデンティティの強調を利用しているけど,それを使う積極的 な理由は? -サンプルサイズについて(レジレポでは増やされることが多い) 初稿1380人→指摘を受けて1980人に修正 -メッセージをきちんと読んだことの確認方法(教示操作確認)に ついて などなどたくさん指摘がきました

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Stage 1原稿を用意・投稿・査読 2020年6月6日 u Stage 1 の修正第2稿を投稿 2020年6月9日(最初に投稿してから1ヶ月ちょい) u Stage 1 アクセプト (IPA)!!原稿がOSFに登録(https://osf.io/f87nj)

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Stage 1原稿を用意・投稿・査読 2020年6月6日 u Stage 1 の修正第2稿を投稿 2020年6月9日(最初に投稿してから1ヶ月ちょい) u Stage 1 アクセプト (IPA)!!原稿がOSFに登録(https://osf.io/f87nj)

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Stage 1原稿を用意・投稿・査読 2020年6月6日 u Stage 1 の修正第2稿を投稿 2020年6月9日(最初に投稿してから1ヶ月ちょい) u Stage 1 アクセプト (IPA)!!原稿がOSFに登録(https://osf.io/f87nj) これで終わりじゃないのがレジレポ

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ようやく実験に入れる u IPAで(実験開始の)スタートラインに立てた状態 u 頑張って実験やるぞーと意気込んで実験やってるとトラブルが…

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トラブル① u 参加者全然集まらない問題 Stage 1原稿を書いた時点で感染者が一番多かった東京の在住者を 実験対象としていた

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登録内容からの逸脱 u 対象者を東京から全国に広げたいとエディターにメール 対象者を全国に広げたい旨とその理由及び妥当性について真摯に説明 (登録内容から逸脱するデメリットよりサンプルサイズを確実に増やせる メリットのほうが大きい)

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登録内容からの逸脱 u エディターからOKのメールをもらう 言った通りにやってOK。ただし,Stage 2での投稿の際は,方法の 該当箇所を修正内容に変更し,脚注に元の手順が何でなぜ変更した のか,研究のいつの時点で変更したのか (データ収集前か後か), データ分析前の変更か,変更がエディターによって承認されている ことについて追記してくれ。あとStage 1との変更箇所を強調した ファイルも一緒に投稿してね。 ・登録からの逸脱はOKだが妥当性とエディターの承認が必要 ・逸脱に関すること全てをオープンかつ詳らかにすることが大事

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トラブル② u 第一回調査に答えた人たちに第二回調査の回答フォームリンクを1 日に100〜1000人に送ろうとしたら,通常のGmailアドレスだと 1日に50件程度しか送れないことが判明。Gmailアカウント大量に 作成しようとするもセキュリティ的に5つが限度という詰み状態に。 →試行錯誤して手動&徹夜でメール送信作業をして昼夜逆転 ←当時のSlack u メールによる縦断研究という初めての手法を使ったことが原因 →丁寧な計画を作ったつもりでも,慣れてない手法を登録すると 思わぬ落とし穴に嵌ることがある ※ちなみにメールで縦断研究はG-suiteという法人向けアカウントを 作ることが一番安くかつ確実(他に良い方法知ってたら教えて下さい)

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Stage 2原稿の執筆 u こんなこともありつつ,何とかデータを集めて分析し,Stage 2 原稿の執筆をする ちなみに実験結果は… メッセなし 拡散 拡散者 メッセなし 拡散 拡散者 ⇦通常ならこうなるかもですが,レジレポなので 大丈夫だ、問題ない

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Stage 2原稿の注意点① u Stage 1の部分で未来形にしたところを過去形にする。 ・Stage 2で投稿する原稿は一般的な論文形式と同じになる ・時制や書式を揃えなければならない Stage 1:We will recruit participants via Yahoo! Crowdsourcing. ↓ Stage 2:We recruited participants via Yahoo! Crowdsourcing.

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Stage 2原稿の注意点② u 事後的に,探索的に分析を行ったら,その部分を明確にする。 ・事後解析や探索的分析は行ってもOK。 ・ただし,セクションを設けるなどしてその部分を明確にして 理由を説明する。 ↑ 訳:計画してない分析でしたが,考察に有益なのでやりました

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Stage 2原稿の注意点③ u 考察で一般化制約について記すのも重要(だと個人的に考えてます) ・一論文の研究は,ある特定のサンプルや状況,刺激や手続き などに基づいている。でも,それらが本当に代表性があるかの 議論は少ない。 ・研究結果の一般化制約について考察することで,後続研究が 追試や知見の境界条件を検証するのに役立てることができる ・この研究では以下の点について述べた - 実験実施時の感染状況 - 実験手続き - 参加者の国籍と文化 ※Simons et al. (2017)に詳しく書いてる 調査期間中

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Stage 2原稿を用意・投稿・査読 2020年8月4日(IPAから2ヶ月弱) u Stage 2 の原稿を投稿 2020年8月17日 u 査読者3人から計2500wordsのありがたいコメントをいただき メジャーリビジョンの判定

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Stage 2原稿を用意・投稿・査読 どんな指摘が来る? u 分析についての事後解析の要求や,考察の論理展開,結論がエビ デンスによって正当化されているか =普通の論文と同じ - 感染予防尺度について全部の項目毎に分析やってもいいかもね - この段落の論理についていけないし,主張することも理解できな い - Stage 1で指摘した点が反映されなかったけど,それはエディ ターがアクセプトしたのでまあいいけど考察では言及しなさい などなどたくさん指摘がきました

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Stage 2原稿を修正・アクセプト 2020年9月15日 u Stage 2 の修正稿を投稿 2020年9月16日(Stage1投稿から約4ヶ月,Stage 2投稿から 約1ヶ月) u Stage 2 アクセプト = レジレポのアクセプト!!

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Stage 2原稿を修正・アクセプト 2020年9月15日 u Stage 2 の修正稿を投稿 2020年9月16日(Stage1投稿から約4ヶ月,Stage 2投稿から 約1ヶ月) u Stage 2 アクセプト = レジレポのアクセプト!!

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Stage 2原稿を修正・アクセプト 2020年9月15日 u Stage 2 の修正稿を投稿 2020年9月16日(Stage1投稿から約4ヶ月,Stage 2投稿から 約1ヶ月) u Stage 2 アクセプト = レジレポのアクセプト!! これで本当にレジレポ完成

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ちなみに u 5人の査読者との計3ラウンドの査読やりとりはReview historyと して雑誌に公開されていて合計119ページあります https://royalsocietypublishing.org/action/downloadSupplement?doi=10.1098/rsos.200793&file=r sos200793_review_history.pdf u 査読やりとりをオープンにしてる雑誌も増えてるので,査読対応 に慣れてないならそれ見て参考にするのもアリ

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ちなみに u 5月・6月といえば・・・学振申請の時期 u IPAのメールが来たときが,大学事務が学振に申請書を送る2〜3 時間前だった →事務に連絡して研究遂行能力の業績欄に追加させてもらった その結果,採用されたので,たとえ論文がIPAであっても マイナスに働くことはないかも (審査者次第ではありますが)

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レジレポのメリット① u Stage 1査読のおかげで,自分の研究をよりブラッシュアップ して実験を実施できる ­自分たちだけでやるプレレジにも限界がある ­自分たちでは見落としてるミスとかにも気付かされる ­しかもチェックして指摘するのは,自分と同じor近い分野の エキスパート 査読者 研究計画 指導教員 自分

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レジレポのメリット② u IPAによる安心感・精神的余裕・大船に乗ったような気持ち ­論文の掲載が約束される安心感は半端じゃない ­どんな結果になってもいいので実験や解析,考察など執筆への モチベが維持できる

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レジレポのデメリット u 面倒さは否めない ­通常の論文だと平均1〜2ラウンドで掲載されることが多い ­査読が2回入るので,単純計算でその倍となる(今回紹介した私 の論文もStage 1・2で計3ラウンド) ­論文掲載に至るプロセスで最も辛いものの一つが査読

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レジレポのデメリット u 時間がかかる(?) ­確かに以前は時間かかっているものが多かった。 例;Nitta et al. (2018):1年8ヶ月 Yoshimura et al. (2021):2年 佐々木ら (2019):10ヶ月 →1)査読者の要求に応えてサンプルサイズを増やした事, 2)コロナ禍で実験実施困難に陥った の2つが大きな原因 ­最も時間を取られるのは実験実施 (データ収集) →サンプルサイズが大きくなっても実験をある程度素早く完了 できるリソースがあるならそこまで問題はないはず あとはエディター運・査読者運次第?=通常の論文と一緒

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レジレポを使う(べき)とき 全部の研究をレジレポでやるべき??? u やってもいいけど,そこまではしなくていいと思います →レジレポのメリットをうまく利用する! ①自分のメインテーマの研究ではないが,やってみたい(学位 論文にしないような)研究 ­私が紹介した研究は研究室の後輩がやってる研究をゼミで 知って思いついたやつです ②追試してみたい研究 ­メインテーマでもいいし,たまたま読んだ論文で再現 されるのか気になる研究を見つけたらやるといいかも ③ネガティブリザルトになりそうな研究 ­Stage 1を通過したら確実に掲載されるレジレポの特性を 活かす

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レジレポを使う(べき)とき 全部の研究をレジレポでやるべき??? u やってもいいけど,そこまではしなくていいと思います →レジレポのメリットをうまく利用する! ④学位論文の核としたい研究(あえて) ­レジレポに早めに着手してIPAされることで,学位論文に 必要な要件(査読論文)を確実に満たせる状態になれる。 →精神的にかなり楽になる!! ちなみに…私の後輩はコロナ禍で想定していた実験が完全ストップ するも,レジレポ論文があったおかげで要件を満たせてその論文を 核とした博士論文を執筆し博士号を取りました。

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レジレポの誤解を解きたい① u 探索的分析ができない → できます ・仮説検証型の研究をやるなら,Stage 1の時点では探索的な解析 には言及しない方がベター →仮説検証の分析の部分と探索のための分析の部分が曖昧に なるのを避けるため ・Stage 2では,探索的や事後的であることを理由とともに述べて 計画してた分析と明確に分ければ問題ない ・仮説検証じゃない探索型の研究もOK。データ収集方法や 分析方法についてStage 1査読を取り入れればより良い探索的 研究ができるはず。

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レジレポの誤解を解きたい② u プレレジ・レジレポの登録にミスは許されずそこからの逸脱は ダメ → 逸脱は認められるし,万が一ミスっても一貫の終わりという わけではない ・レジレポで逸脱しても大丈夫なのは先ほど説明した通り →プレレジでミスったら・・・?

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レジレポの誤解を解きたい② プレレジでミスったら・・・? u OSFに「Updates」機能がつきました!!

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レジレポの誤解を解きたい② プレレジでミスったら・・・? u OSFに「Updates」機能がつきました!! アプデする正当な理由をしっかり書く

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レジレポの誤解を解きたい② u プレレジでミスってもリカバリーできる ・プレレジ内容はアプデ前も後も第三者が確認可能 ・そのことを論文でもきちんと説明することを忘れずに

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レジレポに二の足を踏んでる方へ u 普通の英語論文書いたことある →イントロとメソッドだけの論文を書けばいいのでいけます。 やりましょう。 u プレレジやったことある →研究デザイン表も作ればレジレポもいけます。やりましょう。 u 英語論文書いたことない →僕の友人や後輩には初の英語論文がレジレポの人が4,5人いるので いけます。やりましょう。 u 英語苦手なんです →パーソナリティ研究が日本語でレジレポ論文受け付けてるので いけます。やりましょう。(このシンポで言うのは憚られますが) u 今回の話だけだとようわからんかった →申し訳ないす。この後話しかけてください or いつでもご連絡を。

60.

PIの先生方へ u このように研究営為や論文出版の形が色々と変化して多様に… →従来の評価基準だけでは不十分な側面が出てくる可能性も… u プレレジの論文や,レジレポの論文,IPAの論文,オープンデータ などオープン・プラクティスを実践している論文をどのように 評価するのか議論の俎上に載せていただけると幸いです u 例えば業績欄の論文には査読有無だけじゃなくオープンプラク ティスの実践を記入させるとか? (Psychological Scienceで導入されているバッジ制度みたいに) こんな感じで プレレジ レジレポ オープンデータ

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まとめ u レジレポやプレレジはオープン・プラクティスの一手段 =自分の研究に正直に向き合う・研究の厳密性の指標となる u 普通の論文と共通点も多く,登録内容にガチガチに縛られるわけ じゃなく柔軟に変更できるのでハードルはそんなに高くない ※ただし変更をちゃんと正直に報告するというのが大事 u 時代の潮流としてオープンプラクティスの経験があることは絶対 にプラスになる。今後はその経験の有無を研究業績,研究費獲得, 就職などで重視する評価者が増えるかもしれない ※英国は既にそっちに舵を切ってる(Chambers & Tzavella, 2021) どんな結果でも出版されるレジレポをうまく利用して 将来に備えた論文出版戦略を立てよう!!

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補足:これまでの研究営為の問題点 u QRPは成功を取り繕うための行為 自分の行った研究に対して正直でない →隠している(オープンになっていない)部分がある u なぜ隠蔽できるのか →論文執筆までの研究営為に自由ありまくり 実験 分析 論文執筆 QRPができる「機会」がある = 研究営為の隙をつく 論文出版

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補足:心理学の信頼性 u 心理学の再現性問題は世間一般にも広まりつつある u 少し前にTwitterで話題になったこれとか↓ https://note.com/s1000s/n/n535be7155581 https://note.com/s1000s/n/na0dbd2e8632d ちなみに「心理学 再現性」や「心理学 追試」でそれぞれググると 先頭に出てくるのはこの2つです

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補足:実は・・・ 2020年4月21日 u 投稿前問い合わせ (Presubmission enquiry) をNature Human Behaviour にする→翌日速攻でリジェクト 意訳:コロナ関連の研究でこんな論文 をレジレポで出そうと思ってる んだけどどうですかね 意訳:単一国だけの自己報告データはエビデンス として弱いからリジェクトです ほかを当たってください

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補足:シンポで誤った発言しました u OSFのプロジェクトやプレレジのリンクは,レビューなどのため に登録者を伏せた状態で第三者が確認できる閲覧専用のリンクを 生成できます u やり方についてはOSFのこちらのリンクからどうぞ https://help.osf.io/article/201-create-a-view-only-link-for-a-project https://help.osf.io/article/155-create-a-view-only-link-for-a-registration

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補足:バッジ制度について u 本シンポを企画してくださったJPR編集委員会の先生よりシンポ 中に,JPRはバッジ制度の導入を検討しているとのご発言があり ました。先生方のご決断とご尽力に深く感謝申し上げます。