広告における「信号とシステム」(阪大の招待講演)

スライド概要

大阪大学の講義、「信号とシステム」にて講演を行いましたので、講演のうち、公開できる内容を公開します。受講者の回顧録として、受講できなかった方の参考資料として使っていただければ幸いです。内容は比較的ビジネス寄りにしています。主にFFTによる広告コスト配信の削減、AIによる広告効果の最大化、AIによる広告のDXになります。コンピュータビジョンなどを基礎技術として使っているため、その分野に興味のある方はぜひご覧ください。

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あるふ

@alfredplpl

作者について:

サラリーマン研究員。

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公開日

2022-07-19 17:26:00

各ページのテキスト

1. 広告における「信号とシステム」 CyberAgent AI Lab 尾崎安範

2. 今⽇の話題 • 会社と⾃分の紹介 • 広告を配信するための「信号とシステム」(コスト削減) • 広告効果を最⼤化するための「信号とシステム」(利益の最⼤化) • 実世界における広告と「信号とシステム」(既存システムの改⾰)

3. サイバーエージェント ってどんな会社︖

4. ウマ娘を作った会社︕ https://www.cyberagent.co.jp/ir/library/results/ より画像を引⽤

5. ウマ娘を作った会社(でもある)︕ https://www.cyberagent.co.jp/ir/library/results/ より画像を引⽤

6. 実は様々な事業をしている • サイバーエージェントにはゲーム、メディア、広告の事業が主にある したがって、サイバーエージェントは広告代理店でもある https://www.cyberagent.co.jp/ir/library/annual/ より画像を引⽤

7. AI技術を研究開発するAI Lab • 広告事業に活かせるAI技術を研究開発する部⾨ AI界隈で有名な国際会議CVPRやICMLなどにてたくさん論⽂を発表している 研究開発した技術はAIを活⽤した広告配信や効果測定などに応⽤ https://www.cyberagent.co.jp/ir/library/annual/ や https://www.cyberagent.co.jp/news/press より画像を引⽤

8. そのAI Labに所属するのが講演者 • 尾崎安範 (Yasunori OZAKI) @alfredplpl サイバーエージェント リサーチサイエンティスト ← NTT研 研究員 ← 東京⼤学 ⼤学院情報理⼯学系研究科 修⼠課程修了 • 最近の趣味 DALL·E 2 [1] などに使われている画像⽣成AI(拡散モデル[2])の改造 ・ウマ娘に出てきそうなキャラクターを作ること ・いらすとやにありそうな画像を作り出すサイトを運営すること [1] https://openai.com/dall-e-2/ [2] “Denoising Diffusion Probabilistic Models”

9. それで 広告と「信号とシステム」に 関係があるのか︖

10. 「信号とシステム」がなければ 現代の広告は成り⽴たない︕

11. たとえば、スマートフォンの広告 https://www.cyberagent.co.jp/ir/library/results/ より画像を引⽤

12. スマートフォンの広告にも信号 電波を変調するのも信号 広告配信されるのも信号 広告を画⾯表⽰するのも信号 https://www.cyberagent.co.jp/ir/library/results/ より画像を引⽤

13. 広告配信について詳しく話す 広告配信されるのも信号 https://www.cyberagent.co.jp/ir/library/results/ より画像を引⽤

14. 広告配信するときに情報圧縮 • 広告を配信するときに広告は情報圧縮される 広告のもとはPhotoshopとか使って作っていて、そのファイルサイズはとても⼤きい ⼤きいファイルを送信すると、配信コストがめちゃくちゃかかる

15. 広告を情報圧縮するのに⼤切なのが ⾼速フーリエ変換︕

16. 広告は⾼速フーリエ変換の亜種で圧縮 • 広告は⼤きく分けて静⽌画広告と動画広告の2つがある 静⽌画広告にはJPEGという規格が使われている JPEGに⾼速フーリエ変換 (FFT) の亜種である離散コサイン変換 (DCT) が使われている 動画広告にはMPEGという規格が使われている MPEGに⾼速フーリエ変換 (FFT) の亜種である離散コサイン変換 (DCT) などが使われている JPEGによる圧縮の概略(”新しい信号処理の教科書”より引⽤) MPEGによる圧縮の概略(”新しい信号処理の教科書”より引⽤)

17. FFTでなく、なぜDCTで圧縮するの︖ • なぜフーリエ変換でなくコサイン変換なのかはいろいろ理由がある 教科書から抜粋すると以下の通り 低周波成分にエネルギーが圧縮されやすい(右図) DFTは複素数で計算しなければならないが、DCTは実数値でよい 上記の特徴を有しながらDCTはFFTと同じ⾼速化が可能 Created by Alessio Damato (CC BY-SA 3.0)

18. DCTで静⽌画像を圧縮解凍する様⼦ • 教科書より某国⺠的ゲームキャラの横顔をDCTで変換すると以下のようになる 少ない基底で画像を復元できる DCTによる圧縮の概略(”新しい信号処理の教科書”より引⽤)

19. どれぐらい変換で圧縮できるの︖ • 約1/50まで圧縮される GB単位の画像や動画がMB単位まで圧縮される • 配信コスト削減に⼤きな貢献 JPEGによる圧縮 (表⽰できません) 約13GBの無圧縮画像 約280MBのJPEG画像 (画像はイメージです)

20. どれぐらいのコストが削減できるの︖ • 圧縮した場合、圧縮しなかった場合と⽐べて、広告配信のコストが約1/50になる。 クラウドで広告配信した場合、インターネットへの送信で莫⼤なコストがかかる JPEGによる圧縮 (表⽰できません) 約13GBの無圧縮画像を ⽉100万回インターネットへ送信する →⽉2億円のところも (試算はイメージです) 約280MBのJPEG画像を ⽉100万回インターネットへ送信する →⽉440万円のところも (試算と画像はイメージです)

21. 広告を情報圧縮するのに⼤切なのが ⾼速フーリエ変換︕

22. コストの削減を圧縮で削減する⼀⽅ で利益も最⼤化したい

23. 広告効果を最⼤化するAI Lab • AI Labには広告効果を最⼤化するミッションもある https://www.cyberagent.co.jp/ir/library/annual/ より画像を引⽤

24. 「信号とシステム」を 広告効果の最⼤化に活かしたい

25. AI Labのプロダクトや技術 • 最先端の技術⼒で広告効果を最⼤化するAI Labのプロダクトや技術 https://www.cyberagent.co.jp/ir/library/annual/ より画像を引⽤

26. 広告効果を予測するプロダクト • 与えられた広告がどれぐらいの効果を⽣むか配信する前から予測するプロダクト https://www.cyberagent.co.jp/news/detail/id=24647 より引⽤

27. 広告効果を予測するプロダクトの中⾝ • 基本的には「信号とシステム」の発展形でできている(教科書p.191以降) 公開資料[1]によると、昔は以下の通りの構成だった 予測スコア DNN ⽂字認識 ⽬⽴つ場所 情報圧縮 [1] https://www.cyberagent.co.jp/techinfo/info/detail/id=26111 ・・・

28. 広告効果を予測するプロダクトの影響 • 既存広告よりも極予測AIを使って改善した広告のほうが⽬的達成率1.7倍になった[1] • 広告を作る仕事の流れが根本的に変わった[1] ルールにもとづいて⼤量に広告を作り、毎週⼊稿して、効果が良いものを探す →今配信している広告と、制作している広告の効果を⽐較しながら、その場で探せる (写真は [1] より引⽤) [1] https://www.cyberagent-adagency.com/works/681/

29. 広告素材を⽣成するプロダクト • 広告に使う⼈間を⽣成してくれるプロダクト [1] https://www.cyberagent.co.jp/news/detail/id=26366

30. 広告素材を⽣成するプロダクトの中⾝ • やはり「信号とシステム」の発展形でできている 教科書p.201にもあるDNN (GAN) を利⽤している https://www.cyberagent.co.jp/news/detail/id=26366 より動画を引⽤

31. 広告素材を⽣成するプロダクトの影響 • 「実際に撮影されたモデル画像素材」を使⽤した広告とくらべて、 クリック率が122%に向上

32. 広告そのものを⽣成する研究 • 広告の配置を⽣成する技術の開発[1] [1]より画像を引⽤ [1] https://arxiv.org/abs/2108.01249

33. 広告そのものを⽣成するAIの中⾝ • やはり「信号とシステム」の発展形でできている 教科書p.201にもある最先端のDNN (AttentionとVAE) を利⽤している [1]より画像を引⽤ [1] https://arxiv.org/abs/2108.01249

34. 研究による影響 • 広告⽣成の流れがやがて変わるかも︖ AIが勝⼿に広告を作って配信していく未来もあるかもしれない [1]より画像を引⽤ [1] https://arxiv.org/abs/2108.01249

35. 広告ってインターネットだけ︖

36. スマートフォンに広告 https://www.cyberagent.co.jp/ir/library/results/ より画像を引⽤

37. デジタルサイネージにも広告 https://www.cyberagent.co.jp/ir/library/results/ より画像を引⽤

38. ロボットにも広告︖︕ https://www.cyberagent.co.jp/ir/library/results/ より画像を引⽤

39. 実世界にも広告だらけ︕ https://www.cyberagent.co.jp/ir/library/results/ より画像を引⽤

40. 「信号とシステム」で 実世界の広告をよくしていこう︕

41. 広告をお客様に合わせるプロダクト • 滞在率を⾼める最適なタイミングでの広告配信やAIカメラを⽤いた来店客の棚前での⾏ 動変容分析による広告効果の可視化ができるデジタルサイネージシステム https://cyberagent.ai/news/press/14599/より画像を引⽤

42. プロダクトの中⾝ • ⼈の検出に「信号とシステム」が使われている https://cyberagent.ai/news/press/14599/より画像を引⽤

43. プロダクトの影響 • 「⽴ち寄り配信」の実施により滞在率が約10%向上 https://cyberagent.ai/news/press/14599/より画像を引⽤

44. ところでさっき書いてあった ロボットで広告ってなんだ︖︕

45. ⼈型ロボットで広告する実験 • 私たちがやりました https://www.slideshare.net/yasunoriozaki12/ss-250405327

46. ⼈型ロボットで広告する中⾝ • ⼈の様⼦を「信号とシステム」でひたすら計測する • ⼈が近くによってきたら声をかける https://www.slideshare.net/yasunoriozaki12/ss-250405327

47. ⼈型ロボットで広告した結果 • ⼈間の平均よりも広告効果が⾼かった • 私たちが書いた論⽂が主要な国際論⽂誌に採択された 左の図はロボットがクーポンを配った率。困った素振りを⾒せると、 右図の⼈間のクーポンを配った率を超えてクーポンを配ることができた[1]。 [1] https://arxiv.org/abs/2109.02771

48. まとめ • 「信号とシステム」は広告の基盤を担っている 広告配信におけるコスト削減 広告効果最⼤化による利益最⼤化 実世界における広告の改⾰