LeSSでつなぐビジネスとIT

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March 18, 22

スライド概要

アジャイルジャパン2019で発表させていただいたスライドになります。時間が余った時用のおまけも付けました。
#agilejapan2019

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木村 卓央(Takao Kimura) 合同会社カナタク 代表社員/アジャイルコーチ 2003年頃にアジャイルに出会い、アジャイルコミュニティへの参加を通してアジャイルを学び。個人や小さいチームでアジャイルの実践を行ってきた。 2009年よりスクラムマスターとして経験を積み、2012年にはアジャイルコーチとして、他社へのアジャイル導入支援や、アジャイル研修などを行っている。 LeSS Study主催 Agile Discussion!!主催 Fearless Change アジャイルに効くアイデアを広めるための48のパターン 共訳 大規模スクラム Large-Scale Scrum(LeSS) アジャイルとスクラムを大規模に実装する方法 共訳

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関連スライド

各ページのテキスト
1.

LeSSでつなぐビジネスとIT アジャイルジャパン 2019 Copyright© LeSS Study

2.

⾃⼰紹介 合同会社カナタク ⽊村 卓央 Copyright© LeSS Study 株式会社オージス総研 ⽔野 正隆 グロース・アーキテクチャ &チームス株式会社 有限会社Studio LJ ⾼江洲 睦

3.

LeSS Study Large-Scale Scrum の勉強会 n LeSSのサイトである less.works を翻訳しながら 学び合う場として2015年から開催していた n 2019年『⼤規模スクラム Learge-Scale Scrum(LeSS)』 が丸善出版より出版されたことを期に読書会 として活動を開始 n LeSS https://less-study.doorkeeper.jp/ https://www.facebook.com/groups/less.study/ Copyright© LeSS Study

4.

LeSSでつなぐビジネスとIT アジャイルジャパン 2019 Copyright© LeSS Study

5.

デジタルトランスフォーメーション(DX) 出典: 『我が国のICTの現状に関する調査研究 報告書』株式会社情報通信総合研究所 (2018年3⽉) Copyright© LeSS Study

6.

Society 5.0 Copyright© LeSS Study 出典: 『Society 5.0とは』内閣府

7.

⿊船来航 Copyright© LeSS Study https://ja.wikipedia.org/wiki/⿊船来航

8.

変わらなくてはならない!! Copyright© LeSS Study https://ja.wikipedia.org/wiki/明治維新

9.

組織を変⾰していくために DX推進 アジャイル導入 Copyright© LeSS Study

10.

現状の組織の問題点 Copyright© LeSS Study

11.

官僚型のマネジメント n ビジネスとITが分離され、開発現場が顧客視点を失う n 顧客に素早く価値を届けることよりも、組織内部の稼働に注⽬する n 組織が⼤規模で⼤きな階層型であれば特に顕著 Copyright© LeSS Study

12.

サイロ化した組織 n 機能別の部⾨ n 部⾨の責務に閉じた⽬標 Copyright© LeSS Study n セクショナリズム n 多くの受け渡しと中間成果物 https://pixabay.com/images/id-521758/

13.

⻭⾞としてのメンバー 計画側と実⾏側に分けた⽅が 効率が良いと考えた結果、 チームは顧客価値を考えなく なり、組織の⻭⾞として動く だけ 出典: "The 30 Best Silent Movies in Hollywood History" http://www.tasteofcinema.com/2015/the-30-best-silent-movies-in-hollywood-history/ Copyright© LeSS Study

14.

従来型の組織はチームになっていない n 役割間で l 異なる⽬標 l 作業を分担 l やり⽅が共有されていない 参考)『チームでお仕事するということ』Agile Japan 2017 福岡サテライト, ⻑沢智治 (2017) Copyright© LeSS Study

15.

組織をチームにしよう n 同じ⽬標を持つ n フォローし合う関係 n やり⽅を共有している 参考)『チームでお仕事するということ』Agile Japan 2017 福岡サテライト, ⻑沢智治 (2017) Copyright© LeSS Study

16.

⼤規模スクラム Large-Scale Scrum (LeSS) Copyright© LeSS Study https://less.works/

17.

組織をシンプルにし、“アジャイル”になるためには どうすれば良いのか︖ Copyright© LeSS Study

18.

『Large-Scale Scrum: More with LeSS』 n Craig Learman , Bas Vodde n 2016年 Addison-Wesley Professional Bas Vodde Craig Larman 出典 : https://less.works/resources/about.html Copyright© LeSS Study

19.

⼤規模スクラムはスクラムである Large-Scale Scrum is Scrum Copyright© LeSS Study

20.

スクラムガイド™ スクラム公式ガイド: ゲームのルール 2017 年 11 月 Developed and sustained by Scrum creators: Ken Schwaber and Jeff Sutherland 日本語版 | Japanese Copyright© LeSS Study 出典 : https://scrumguides.org/docs/scrumguide/v2017/2017-Scrum-Guide-Japanese.pdf 20

21.

スクラムが⼀番利⽤されているアジャイル⼿法 64% スクラム単体と スクラムとXPのハイブ リッド を合わせて 出典: "13th Annual State of Agile Report" VersionOne Inc. (2019) Copyright© LeSS Study

22.

スクラムの導⼊が爆発的に増えている理由 スクラムの成功は、 抽象的な原理・原則 と具体的な⼿法の絶 妙なバランスによる ものだ Bas Vodde Craig Larman 出典 : https://less.works/resources/about.html Copyright© LeSS Study

23.

スクラムの成功は抽象的な原理・原則と 具体的な⼿法の絶妙なバランスにある n 抽象的な原理・原則 l 透明性・検査・適応 n 具体的な⼿法 l 3つのロール l 5つの価値基準 l 3つの作成物 l 経験的プロセス制御 l 4つのイベント Copyright© LeSS Study

24.

⼤規模スクラムはスクラムである はスクラムと同様にバランスを取っている l 抽象的な原理・原則 l 具体的なプラクティス n LeSS n ⾃分たちの仕事の仕⽅を継続的に改善できるように l 徹底的な透明性の維持 l 検査と適応のサイクルを重視 l スクラムに具体的な構造を追加 Copyright© LeSS Study

25.

LeSS complete picture LeSSは原理・原則をコアにして、複 数チームのコンテキストにスクラム を適⽤するためのルールとガイドの セットからなる n 原理・原則 l LeSSのコア n フレームワーク l ルールで定義している n ガイド l l ルールを効率的に適応するためのもの 試す価値がある実験の集まり(経験知) n 実験 Copyright© LeSS Study l 限定的な環境で機能する

26.

原理・原則 - LeSSのコア ⼤規模スクラムは スクラムである 透明性 待ち⾏列理論 少なくすることで もっと多く 経験的プロセス 制御 プロダクト全体 思考 システム思考 顧客中⼼ リーン思考 完璧を⽬指しての 継続的改善 Copyright© LeSS Study 出典: https://less.works/less/principles/index.html

27.

フレームワーク - ルール n LeSS Rules (April 2018) l LeSSフレームワーク 2~”8”チームで開発するプロダクトに 適⽤ l LeSS Hugeフレームワーク “9”チーム以上で開発するプロダクトに 適⽤ Copyright© LeSS Study

28.

1⼈のPO、1つのプロダクトバックログ、1つのプロダクト 各チームは独⾃のプロダクトバックログを持っていないし、バックログアイテ ムが事前にアサインされることもない LeSSのプロダクトバックログは1チームのスクラムと同じ Copyright© LeSS Study

29.

基本は1チームのスクラムと同じ スクラムのプラクティスとアイデアを保持 n 1つのプロダクトバックログ n 1⼈の(全体の)プロダクトオーナー n 1つの完成の定義 n 各スプリントの終わりに出荷可能なインクリメント n クロスファンクショナルなチーム n スプリント l LeSSでは、全てのチームが共通のスプリントで 共通の出荷可能なインクリメントをデリバリーする Copyright© LeSS Study

30.

LeSSの構造 顧客価値による組織化 チーム フィーチャーチーム 組織構造 スクラムマスター Copyright© LeSS Study コミュニティ

31.

ラーマンの組織⾏動の法則 1. 2. 3. 4. 組織は、中間及び現場のマネージャーや、単 ⼀専⾨職といったポジションの権⼒構造を維 持するために、暗黙に最適化されます。 1.の結果として、組織を変えようという試みは、 今まで使っていた⽤語をただ、別の名前に変 えるか、⽤語を⼤量につくって何か分からな くする事で現状を維持します。 1.の結果として、組織を変えようという試みは、 弱みを指摘される事を嫌がったり、マネー ジャー/スペシャリストの現状を維持しようと する⼈々により、「純粋主義者」、「理論主 義者」、「⾰命主義者」、「現実に合わせる ためにカスタマイズが必要だ」と⾮難されま す。 ⽂化は構造に従います。 出典 : https://2016-conference.less.works/speakers/craig-larman.html Copyright© LeSS Study 「大規模スクラム」P.63 より

32.

カスタマイズ(とかテーラリング)の前に。。。 n クロールでしか泳いだことのない集落の話 Copyright© LeSS Study by myyorgda https://www.flickr.com/photos/yorgda/7160583428/sizes/l

33.

⽂化は構造に従う “組織”の構成要素(グループ、 役割、階層、ポリシーまた はより広範には“組織システ ム/設計“)が変更されない限 り、⾏動や考え⽅は変わる ことはないのです。 出典 : https://2016-conference.less.works/speakers/craig-larman.html Copyright© LeSS Study 「大規模スクラム」P.63 より

34.

顧客価値による組織化 n LeSSルール l 実際のチームを基本的な単位としてブロックを組み⽴ てるように組織を構成します。 l 各チームは、(1)⾃⼰管理、(2)クロスファンクショナル、 (3)同⼀ロケーション、(4)⻑期間存続とします。 l チームの⼤半は顧客中⼼のフィーチャーチームです。 Copyright© LeSS Study 「大規模スクラム」P.74 より

35.

フィーチャーチーム Copyright© LeSS Study

36.

フィーチャーチームとは n エンドツーエンドで顧客中⼼のフィーチャーを実現する、安 定した⻑期間存続するチーム n クロスファンクショナル n クロスコンポーネント n すべてのスプリントで完成したフィーチャーを提供 Copyright© LeSS Study 「大規模スクラム」P.77 より

37.

フィーチャーチームの利点 n 明確なフィーチャーの所有権 l 顧客中⼼のフィーチャーに責任を持つことで、統合する際 の責任の押しつけが無くなる n 遅延を引き起こす依存関係がない l コンポーネント単位ではないため、他のチームを待つ必要 がない n 顧客の⾔葉で話す開発組織 l フィーチャーの“なに”・“なぜ”・“だれのため”を理解するこ とで、よりプロダクトの⽬的に合った作業ができる Copyright© LeSS Study 「大規模スクラム」P.82 より

38.

現地現物 問題の解決⽅法を 教える マネージャーの役割 ⾃⼰管理 スクラムマスターとしての マネージャー︖ 改善業務 LeSSでのマネジメント Copyright© LeSS Study

39.

⾃⼰管理チーム 全体的な⽅向性を決め る チームの構成と所属組 織におけるチームの位 置づけを決める 仕事の⼿順と進⾏状況 を監督する 「Hackmanの権限マトリックス」 与えられた仕事を淡々 とこなす Copyright© LeSS Study ー ャ ジ ム 理 計 ネ ー 管 設 マ チ ⼰ ⼰ 導 ⾃ ーム ⾃ ーム 主 チ チ ハーバードで学ぶ「デキるチーム」5つ の条件―チームリーダーの「常識」 - J. リチャード・ハックマン 治 統 ⼰ ⾃ ーム チ

40.

組織の強さを作る存在としてのマネージャー ユーザー 価値消費の現場 要求 チーム 組 織 価値 価値創造の現場 組織の能⼒改善 にフォーカスす る マネージャ ● ● 多くの権限をチームに移譲する チームとスクラムマスターが取り組んでいる障害の排除と改善を⼿助けする Copyright© LeSS Study

41.

現地現物 n 問題解決⼒の向上 チームが直⾯している問題を真に理解することができる l マネージャーの重要な役割は、チームが解決出来るように問題解決 の⽅法を教え、ファシリテートする n より良い組織の意思決定 l 組織の構造、意思決定、⽅針などの経営判断によって引き起こされ る問題がある l チームの仕事の状況を真に理解し、経営判断についてのフィード バックを得ることができる l そのフィードバックは、現実に基づいた優れた組織の意思決定をも たらす l 「⼤規模スクラム」P.117-118 より Copyright© LeSS Study

42.

みなさんもできる︕︕︕ Copyright© LeSS Study

43.

原著者からのメッセージ アジア以外の場所でよく聞かれる質問として、スクラムは韓国や⽇本 のような環境でうまく適⽤できないのでは︖と聞かれることがあります。 彼らの主張はスクラムが⾮階層組織を基本としているが、これらの国で は社会全体が強く階層化されているので、機能しないのではないかと。 (中略) よくある勘違いなのですが、階層型組織とマネジメントスタイルを同 じに捉えている⼈が多いのです。(中略)階層型組織でも指⽰型のマネ ジメントスタイルでなければ⾃⼰管理チームを作ることは可能です。 「⼤規模スクラム」P.x ⽇本語刊⾏に寄せて より Copyright© LeSS Study

44.

おまけ Copyright© LeSS Study

45.

調整と統合 Copyright© LeSS Study

46.

ただ話す n 調整が必要になったチームが、⽴ち上がって 別のチームのところに⾏き、「やあ︕ちょっと話 そう」というだけ n より正式な調整⽅法の環境が整っていると、調整 が少なくなる n ⼤規模な調整の問題は、どのような調整のテク ニックを利⽤するかではなく、調整する必要があ ることを理解し、それを誰と話す必要があるのか を理解すること Copyright© LeSS Study

47.

コミュニティ n クロスファンクショナルチームになると専⾨スキルが延ばせない コミュニティ n 上⼿く回すコツ l コミュニティファシリテーター Ø ミーティングの調整、Wiki、ネタの設定 l 20%の時間を使うことをマネジメントと約束する n 権限はない QA l SM コミュニティ コード コミュニティ コミュニティ コーディング規約 Copyright© LeSS Study

48.

トラベラー n 専⾨性が⾼い⼈ LeSSでは複数チームに所属できない n ⽬標は、その⼈に依存しないようにする n トラベラーになりたい⼈は、⾃分で⾏き先を決める l スプリントの最初に必要そうなチームにいく Ø チームに許可をもらわないと⼊れない l 永住の地を⾒つけたら、そのチーム所属になるかも l Copyright© LeSS Study

49.

コンポーネントメンター n どうやったらなれるのか︖ ⾃然となったり l 任命されたりする n コンポーネントの説明をしたり、ティーチャー、メンター n コンポーネントコミュニティを作ったりする n フィーチャーチームに所属するメンター l Copyright© LeSS Study

50.

スカウト(偵察) n 他のチームのデイリースクラムに参加して話を聞く n 観察したい対象を偵察する l ただ話すのタイミングを⾒図る Copyright© LeSS Study

51.

オープンスペース n ⾃⼰組織化に基づいた⼤規模ファシリテーション n 定期的に開くことが多い マネジメントが、コーヒーやケーキを持ってくる n 各スペースで、ディスカッションを⾏う l Copyright© LeSS Study