3-1 抗菌薬

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October 26, 23

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「くすりのことをわかりやく、基本から臨床まで」 をモットーに、初学者向けの薬情報をまとめています。 資料は、薬剤師が作成しています

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各ページのテキスト
1.

3 抗微生物薬 病原微生物に対する薬物

2.

病原微生物 細菌 抗菌薬 結核菌 真菌 ウイルス 抗 抗結核薬 抗真菌薬 ウイルス 薬 寄生虫 原虫 蠕虫 抗原虫薬 抗蠕虫薬

3.

3-1 抗菌薬 抗菌薬の特徴、種類、作用機序

4.

3-1 抗菌薬 抗菌薬 薬理作用 副作用 β- ラクタム系 ペニシリン系 菌交代症 抗 生 物 質 アミノグリコシド系 セフェム系 選択毒性 テトラサイクリン系 その他 合 成 抗 菌 薬 ニューキノロン系 マクロライド系 サルファ剤 耐性菌 アナフィラキシー 特有の副作用

5.

抗菌薬の作用機序 細菌に対して‥毒性 ヒトに対して‥無毒 太枠:選択性が高い 細胞壁 細胞壁合成阻害作用 β-ラクタム系 [ヒト]細胞壁がない/[細菌]細胞壁がある 核 細胞膜障害作用 核様体 構成成分が少し違う 核酸合成阻害作用 リポソーム アムホテリシンB ミコナゾール キノロン系 核酸合成酵素が違う RNA タンパク合成阻害作用 葉酸 リポソームが違う 葉酸合成阻害作用 ヒト 細菌 真核細胞 原核細胞 テトラサイクリン系 アミノグリコシド系 サルファ剤 [ヒト]葉酸は食物から摂取/[細菌]葉酸合成する

6.

抗菌薬の有害事象/菌交代症 菌交代症 抗菌薬投与後、ある種の細菌が異常に増殖する現象 (菌交代現象)によって、引き起こされる疾患 ※通常は、常在細菌叢を形成する細菌の働きで病原性 菌の増殖は抑えられている。抗菌薬で常在菌も減少 増えたくても、 場所がない 病原性菌 細菌 B 病原性菌 抗菌薬 投与 アセスメント項目 下痢 場所があいた! 下痢の有無 頻度・性状

7.

耐性菌 耐性菌 Antimicrobial Resistance, AMR 薬剤耐性 薬物に対する感受性が低く、常用量では効果がない 自然耐性‥もともとある薬物が効かない (例)細胞壁を持たない細菌にはβ-ラクタム系は効果がない 獲得耐性‥本来は感受性があったが、何らかの機序で耐性を得た 機序 ①抗菌薬の不活性化:例)β ラクタマーゼ‥βラクタム環分解 ②作用点の変化:抗菌薬結合部位が変化 ③菌体内の抗菌薬の低下 対策 AST 必要なときだけ、必要最低限使う 指示通り使う‥指導:「飲み切ってください」 抗菌薬適正使用支援チーム(Antimicrobial Stewardship Team:AST)

8.

耐性菌 耐性菌 Antimicrobial Resistance, AMR 薬剤耐性 薬物に対する感受性が低く、常用量では効果がない 抗菌薬 治療 症状が良くなったと思い、自己判断で中断すると 治療中断 • わずかに残った病原菌が耐性化 →薬剤耐性菌が増殖 対策 AST 必要なときだけ、必要最低限使う 指示通り使う‥指導:「飲み切ってください」 抗菌薬適正使用支援チーム(Antimicrobial Stewardship Team:AST)

9.

抗菌薬の有害事象/アナフィラキシー アナフィラキシー 特に重篤なアレルギー反応 アレルゲンなどの侵入により複数の臓器に全身性にアレルギー症状が あらわれて生命に危機を与え得る過敏反応 アナフィラキシーショック アナフィラキシーのうち、血圧低下や意識障害を 伴う場合 →迅速な処置が必要:アドレナリン ※ βラクタム系抗菌薬はリスクが高い 対策/与薬の前に 以前に、抗菌薬投与後にアナフィラキシーを 副作用歴 起こした場合は、原則、回避(同剤・同系統) 対策/与薬の時に 観察 静脈内注射で使う場合、投与開始から5分間は 2回目以降に起こりやすい 注意深く観察する ふらつき、喉の痒み、しびれ、ムズムズ感、嘔気、息苦しさ、くしゃみ、体熱感、 皮膚の紅潮、眼球上転、痙攣、急速な呼吸困難、心電図の ST 上昇、等

10.

抗菌薬の有害事象/ペニシリン系 アナフィラキシーショック ペニシリン系: 基本骨格が同じ 側鎖が異なる ここが似ていると交差性がある βラクタム環 ペニシリン系 の基本骨格 セファロスポリン系(セフェム系) の基本骨格 ペニシリン系でアナフィラキシーショック を起こしたが、セフェム系なら大丈夫 間違い 対策/与薬の前に 副作用歴 以前に、抗菌薬投与後にアナフィラキシーを 起こした場合は、原則、回避(同剤・同系統)

11.

薬剤耐性菌感染症 MRSA 感染症 MRSA, メチシリン耐性黄色ブドウ球菌 黄色ブドウ球菌 ・体表面(皮膚・消化管内)に常在 ・グラム陽性球菌 MRSA:消毒薬(アルコール等)が有効 抗 MRSA 薬 メチシリン(ペニシリン系)だけでなく ・セフェム系 ・カルバペネム系 ・ニューキノロン系 ・アミノグリコシド系 バンコマイシン, VCM テイコプラニン, TEIC アルベカシン, ABK リネゾリド, LZD テジゾリド, TZD ダプトマイシン, DAP 多剤耐性

12.

一般名 バンコマイシン塩酸塩, VCM 先発名 塩酸バンコマイシン 注 TD M 散 ‥消化管内の殺菌(吸収されない) 抗菌薬 グリコペプチド系 患者さん向け説明 細菌を殺して、感染を治療する薬です 主な作用機序 • 細菌の細胞壁合成を阻害して、抗菌作用を示す ⚫ MRSA 感染症の第一選択薬 ※VCM 耐性腸球菌 (VRE) が存在する 主な適応症、用法・用量等 観察項目 注意すべき 副作用 服薬時注意 MRSA, CD 投与期間, 血中濃度, WBC, CRP, ショック・アナフィラキシー様症状, 腎機能, 血球数, 第Ⅷ脳神経障害(めまい, 耳鳴, 聴力低下), 肝機能 ショック 腎機能障害‥尿量減少, 体重増加, 浮腫 他 【注射】投与速度に注意:60分以上かけて レッドマン症候群 症状)上半身に紅斑・掻痒, 血圧低下 禁 本剤等の過敏症歴, 薬剤性難聴 他