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October 25, 23
スライド概要
「1-3 薬の投与経路と特徴(経口)」[臨床★☆☆][基礎★★☆]
・経口投与した時の ADME[臨床★★★][基礎★★★]
・経口投与する剤型の特徴[臨床★☆☆][基礎★☆☆]
・放出制御型製剤の注意点 [臨床★☆☆][基礎★★☆]
https://note.com/kohakudo589/
「くすりのことをわかりやく、基本から臨床まで」 をモットーに、初学者向けの薬情報をまとめています。 資料は、薬剤師が作成しています
1-3 薬の投与経路 と特徴 経口投与の体内動態
臨床★★★ 基礎★★★ アドメ ADME A absorption D distribution M metabolism E excretion 簡単にいうと、 投与した薬が、体内に入ってから、出るまで 吸収 投与された薬物が、全身循環血液 中に移行する過程 分布 薬物が、血液中から組織へ移行す る現象 代謝 薬物、毒物などの生体内物質を、 分解・排泄するための反応 全体的に、水溶性を高くして排泄 しやすくする 排泄 薬物または代謝物が、体内から除 去される反応
経口投与した薬が体内で辿る道すじ 経口投与 心臓 ①消化管内を移動 ・蠕動運動によって粉砕される ・一部の薬は胃酸で分解される ②小腸粘膜から吸収される ・ほとんどの薬は小腸で吸収される ①胃 ③肝臓 胆汁中へ 排出 吸収 A, administration ②小腸 ④血管 標的臓器 便 薬理作用 尿 ⑥体外へ 副作用 ③門脈から肝臓を経由する 代謝 M, metabolism ④全身循環血液中に入る →目的の標的臓器に到達する
経口投与 ④薬物が全身循環血液中を巡る中 分布 心臓 ①胃 ③肝臓 胆汁中へ 排出 D, distribution 移行しやすさ 組織への蓄積性 代謝 M, metabolism ③肝臓で代謝される ②小腸 ④血管 標的臓器 排泄 E, excretion 便 薬理作用 尿 ⑥体外へ (“解毒”・排泄しやすい形に変換) 副作用 ⑥腎臓から体外へ排泄される ・排出‥尿、胆汁、呼気、 乳汁、汗、爪
経口投与する剤型 放出制御型製剤 素錠(裸錠) フィルムコーティング錠 腸溶性 徐放性 胃 錠 剤 “ラムネ”型の製剤 “マーブルチョコ”型の製剤 嬌味・嬌臭、 光・湿気から守る 軟カプセル剤 カ プ セ ル 剤 硬カプセル剤 早く 溶ける 腸 胃では溶けず、 ゆっくり 腸で溶ける 溶ける →副作用軽減 薬効が持続する 主薬分解防止 特殊な製剤加工が失われるため、 内容物: 液状・ペースト状 内容物: 粉状・顆粒状 × 半割 × 粉砕 × 脱カプセル ☑︎ ゴーストピル 5
経口投与する薬剤の注意点 臨床★★☆ 基礎★☆☆ 腸溶性製剤 表面の層が ・胃では溶けず ・腸で溶ける 胃 腸 断面図 目的 ・副作用を軽減するため ・薬効を得るため 例)アスピリン腸溶錠 ・薬効)血小板凝集抑制(低用量アスピリン) ・副作用)胃腸障害 分割・粉砕すると‥副作用↑ 例)オメプラゾール腸溶錠【PPI】 ・薬効)胃酸分泌抑制 ・特徴)胃酸で分解される 分割・粉砕すると‥薬効↓ その他、大腸に薬を届けるため など
経口投与する薬剤の注意点 臨床★★☆ 基礎★☆☆ 徐放性製剤 ゆっくり 溶ける 早く 溶ける ゆっくり 溶ける 断面図 ※徐放製剤の 仕組みは複数ある 目的 ・薬効を持続的に得るため →服薬回数が少なくて済む 例)ニフェジピン【Ca 拮抗薬】 ・薬効)血管拡張作用→降圧薬 ➢ ニフェジピン カプセル 1日3回 ➢ ニフェジピン L 錠 1日2回 ➢ ニフェジピン CR 錠 1日1回 分割・粉砕すると‥薬物血中濃度が急上昇 →副作用↑:血圧低下、ふらつき
放出制御型製剤を見分けるコツ:①薬の名称 この名前には注意! 薬効成分が徐々に放出されるように設計された製剤 (錠剤、カプセル剤、顆粒剤) 徐放 Controlled Release 放出制御 CR L, LA R Long Acting 長時間作用型 Retard 遅らせる 復効錠 S, SR TR Sustained/Slow Release 持続放出 Time Release 持続放出 グラデュメット錠 放出制御型製剤を見分けるコツ:②薬の外観 割線がある →分割・粉砕可能 ※個々の症例で「可能」とは 別の意味です 製剤の特徴として、です 割線がない! →分割・粉砕不可
補 足 臨床では遭遇する問題 薬の有効成分 放出制御型製剤の注意点 ゴーストピル 水に溶けない基剤 ‥便中に錠剤の剤被が排出 薬の成分がゆっくり 溶け出し、効果が長 く続く 便をよく見たら、 薬がでていた! (成分を閉じ込める “プラスチックのかご” のようなもの) “かご”の部分が 便の中に残る →ゴーストピル 放出制御型製剤で起こりやすい 蠕動運動が弱い高齢者など 通常、薬効成分は溶出しているので 薬効には問題ない 9
補 足 臨床では遭遇する問題 錠剤・カプセル剤の取り扱い <一包化> 服用時点ごとにまとめる ◯長所 服薬遵守 ◯短所 医薬品の安定性 遮光性 高い 不安定 PTP 安定 Press through Package ◯特徴 光・湿度から薬を守る アルミ 赤色 透明 ※アルミ・赤色:原則、除包不可のものが多い