4-1 抗腫瘍薬

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October 26, 23

スライド概要

4-1 抗腫瘍薬
薬理学的な特徴
作用機序別分類と特徴

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「くすりのことをわかりやく、基本から臨床まで」 をモットーに、初学者向けの薬情報をまとめています。 資料は、薬剤師が作成しています

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各ページのテキスト
1.

4-1 抗がん薬 抗がん薬の種類、作用機序

2.

抗がん薬 ✓ 基本的な注意事項 ✓ 作用機序

3.

抗がん薬/基本的な注意事項 「抗がん薬は毒性がある」という認識のうえ、 正しい 患者 正しい 治療法 正しい 量 正しい スケジュール 正しい 安全管理

4.

反 応 用量-反応曲線の考え方 効果 100% 毒性 用量を増やすほど、 効果が得られる人の割合は増える 80% ひろい 50% 用量を増やすほど、 毒性が出る人の割合も増える 用量 Effective dose ED50 =A g A g 薬を A Bg g 投与すると、50% の人に効果がでる

5.

反 応 用量-反応曲線の考え方 効果 100% 毒性 80% せまい 薬を B g 投与すると、 ・80% の人に効果がでるが ・20% の人に毒性がでる 50% 「せまい」=効果と同時に副作用の可能性大 用量 Ag Bg

6.

抗がん薬/基本的な注意事項 正しい 量 ✓ 抗がん薬は、治療域と中毒域が近い ✓ 体表面積で補正する Du Bois 式 =身長0.725×体重0.425×0.007184 日本人平均=男性:1.78m2、女性:1.44m2 (冨田1999) ✓ 最新の身長・体重で計算する

7.

抗がん薬/基本的な注意事項 正しい 治療法 レジメン 量 量 投与速度 スケジュール ルート ✓ 薬剤の用量・用法・治療期間を明記し た治療計画 ✓ 抗がん薬だけでなく、支持療法も細か く決められている ✓ 制吐薬・抗アレルギー薬・輸液など ✓ 院内の委員会で審議した上で採用される 順番

8.

抗がん薬/基本的な注意事項 正しい 安全管理 ⚫ 有害事象 ✓ 適切な支持療法 曝露:さらされること ⚫ 抗がん薬曝露防止対策 ✓ なぜ必要か? ✓ 細胞毒性があるため(発がん性・催奇形性) 閉鎖式薬物混合システム ✓ 職業的曝露の対策 ✓ 防護:手袋・マスク・ガウン・ゴーグル・キャップ ✓ 在宅化学療法の対策 ✓ 排泄物・汚染リネンの取扱、こぼれた時の対処

9.

抗がん薬 ✓ 基本的な注意事項 ✓ 作用機序

10.

抗がん薬の分類 ② ① 分子標的薬 がん細胞が持つ標的 を攻撃する がん化 正常細胞 攻撃 化学療法 分裂・増殖を止め、 細胞死に導く がん細胞の特徴 • 殺細胞性抗がん薬 • 細胞障害性抗がん薬 未成熟のまま 分裂・増殖 し続ける と言われる 攻撃 しないで 性ホルモン がん細胞の命令で 免疫がサボっている ③ ホルモン感受性 がん細胞に作用して 細胞増殖を促す 免疫チェックポイント阻害薬 腫瘍に対する免疫反応を働かせる ④ がん細胞の特徴 転移する ホルモン療法 ホルモンによる細胞増殖 促進を阻害する

11.

抗がん薬の有害事象の機序 化学療法 殺細胞性抗がん薬 細胞障害性抗がん薬 分子標的薬 薬理作用 有害事象 細胞増殖が盛んな 細胞増殖が盛んな がん細胞 正常細胞 分裂・増殖を止め、 • 造血幹細胞‥易感染, 貧血, 易出血 細胞死に導く • 消化管粘膜‥口内炎, 下痢 • 毛母細胞 ‥脱毛 • 生殖細胞 ‥不妊 標的がある がん細胞を攻撃 標的がある 正常細胞を攻撃 ※それぞれに特有の有害事象 免疫チェック ポイント阻害薬 がん細胞に 正常細胞に 免疫が働く 免疫が働く ※多彩な副作用 irAE ホルモン 療法 (内分泌療法) ※長期服薬 ホルモン感受性 がん細胞を 増殖させない 通常のホルモンの 働きを阻止

12.

抗がん薬の分類 化学療法 分子標的薬 アルキル化薬 抗体薬 代謝拮抗薬 低分子化合物 免疫チェック ポイント阻害薬 ホルモン 療法 抗腫瘍性 抗生物質 微小管阻害薬 DNAトポイソメラーゼ 阻害薬 白金製剤 「化学療法」とは? 化学物質の選択毒性を利用して、 疾患の原因の微生物やがん細胞の増殖を抑制する 「抗生物質」とは? 微生物が産生する物質で、他の微生物や細胞に 作用して、その発育を抑制する物質

13.

作用機序/アルキル化薬 細胞が 生きるためには DNA DNA DNA 複製 増殖 翻訳 転写 RNA タンパク質 生命活動 ➢ 作用機序/アルキル化薬‥DNA に入り込んで、複製を阻害する (休止期の細胞に有効) 架橋形成etc アルキル化薬 DNA 複製障害 ↑ 複製

14.

作用機序/代謝拮抗薬 原料 プリン ピリミジン 塩基 塩基 塩基 糖 リン酸 グアニン アデニン シトシン チミン (ウラシル) ➢ 作用機序: 生理的基質に拮抗して 代謝を阻害する (分裂中の細胞に有効:DNA合成期) • 葉酸拮抗薬 • ピリミジン拮抗薬 • フッ化ピリミジン系 • シチジン系 • チミジン系 複製 • プリン拮抗薬

15.

作用機序/微小管阻害薬 微小管とは? ・細胞分裂で重要な役割を果たす →複製した DNA を両極に引っ張る 他にも、細胞運動や軸索輸送などにも関与 ➢ 作用機序: 微小管に作用し、細胞分裂を止める (分裂中の細胞に有効:有糸分裂期) 微小管 微小管阻害薬 ・ビンカアルカロイド系 ・タキサン系 ‥ビンクリスチン 等 ‥パクリタキセル 等

16.

作用機序/DNA トポイソメラーゼ阻害薬 DNA トポイソメラーゼとは? ・DNA の「ねじれ」や「からまり」を解消する酵素 複製 DNA トポ イソメラーゼ ねじれ・からまり ➢ 作用機序: DNA トポイソメラーゼを阻害することで、 DNA のねじれが解消できず、細胞分裂が止まる (分裂中の細胞に有効:DNA 合成期)

17.

作用機序/白金製剤 ➢ 作用機序/白金製剤‥DNA に入り込んで、複製を阻害する (休止期の細胞に有効) DNA 複製障害 ↑ 複製 白金製剤 【おまけ】なぜ、“白金”? Cl 白金(Pt)が構造中に含まれているから シスプラチン 「プラチナ」 Cl Pt H N N H H H H H

18.

細胞周期非特異的 アルキル化薬 レジメン ・作用機序が異なる薬 ・異なるタイミングで効く薬 組み合わせる 細胞周期特異的 抗腫瘍性 抗生物質 代謝拮抗薬 白金製剤 トポイソメラーゼ 阻害薬 微小管阻害薬 S期 G2期 M期 G1期 DNA合成 準備期 有糸分裂 準備期 細胞周期(増殖サイクル) G0期 休止期 増殖指令

19.

作用機序/分子標的薬 分子標的薬‥体内の特定の 標的分子 を制御する薬 ・抗体薬 「標的分子」を持っているか 事前に調べる ・低分子化合物 バイオマーカー 信 号 伝 達 がん細胞 新生血管 未分化・増殖 し続ける細胞 がん細胞を養うため 血管を作り出す 抗体薬 モノクローナル抗体 信 号 伝 達 細胞増殖 低分子化合物 細胞増殖 遺伝子変異のため 常に増殖指令ON 酵素(キナーゼ)阻害など がん細胞が 指令をだす 細胞増殖の指令伝達の過程 どこかを阻害する

20.

作用機序/免疫チェックポイント阻害薬 免疫作用が働かないため、がん化促進 樹状細胞 通常の状態 抑制 B7 PD-L1 CTLA-4 PD-1 抑制 免疫作用 がん化抑制 免疫作用 がん化

21.

作用機序/免疫チェックポイント阻害薬 免疫作用が働かないため、がん化促進 樹状細胞 通常の状態 抑制 抗 CTLA-4 抗体 B7 PD-L1 CTLA-4 PD-1 抑制 免疫作用 がん化抑制 免疫作用 がん化 抗 PD-L1 抗体 抗 PD-1 抗体 免疫抑制の命令が 届かないように するよ! 免疫反応の抑制を解除し、免疫作用によって抗腫瘍作用を発揮

22.

ホルモン療法(内分泌療法) ホルモン感受性 ➢ 女性ホルモン 卵胞ホルモン 乳がん エストロゲン 卵巣がん 子宮体がん ホルモン感受性陽性 ‥ER陽性(Liminal 型) ホルモン感受性陽性(タイプ1) ホルモン感受性陰性(タイプ2) ➢ 男性ホルモン アンドロゲン 前立腺がん ホルモン療法 (内分泌療法) ホルモン療法 (内分泌療法) ホルモン 腫瘍 →増殖

23.

4-1 抗がん薬 抗がん薬の種類、作用機序

24.

抗がん薬の分類 ② ① 分子標的薬 がん細胞が持つ標的 を攻撃する がん化 正常細胞 攻撃 化学療法 分裂・増殖を止め、 細胞死に導く がん細胞の特徴 • 殺細胞性抗がん薬 • 細胞障害性抗がん薬 未成熟のまま 分裂・増殖 し続ける と言われる 攻撃 しないで 性ホルモン がん細胞の命令で 免疫がサボっている ③ ホルモン感受性 がん細胞に作用して 細胞増殖を促す 免疫チェックポイント阻害薬 腫瘍に対する免疫反応を働かせる ④ がん細胞の特徴 転移する ホルモン療法 ホルモンによる細胞増殖 促進を阻害する

25.

抗がん薬の有害事象の機序 化学療法 殺細胞性抗がん薬 細胞障害性抗がん薬 分子標的薬 薬理作用 有害事象 細胞増殖が盛んな 細胞増殖が盛んな がん細胞 正常細胞 分裂・増殖を止め、 • 造血幹細胞‥易感染, 貧血, 易出血 細胞死に導く • 消化管粘膜‥口内炎, 下痢 • 毛母細胞 ‥脱毛 • 生殖細胞 ‥不妊 標的がある がん細胞を攻撃 標的がある 正常細胞を攻撃 ※それぞれに特有の有害事象 免疫チェック ポイント阻害薬 がん細胞に 正常細胞に 免疫が働く 免疫が働く ※多彩な副作用 irAE ホルモン 療法 (内分泌療法) ※長期服薬 ホルモン感受性 がん細胞を 増殖させない 通常のホルモンの 働きを阻止

26.

作用機序/分子標的薬 分子標的薬‥体内の特定の 標的分子 を制御する薬 ・抗体薬 「標的分子」を持っているか 事前に調べる ・低分子化合物 バイオマーカー 信 号 伝 達 がん細胞 新生血管 未分化・増殖 し続ける細胞 がん細胞を養うため 血管を作り出す 抗体薬 モノクローナル抗体 信 号 伝 達 細胞増殖 低分子化合物 血管を作れ 遺伝子変異のため 常に増殖指令ON 酵素(キナーゼ)阻害など がん細胞が 指令をだす 細胞増殖の指令伝達の過程 どこかを阻害する

27.

作用機序/免疫チェックポイント阻害薬 免疫作用が働かないため、がん化促進 樹状細胞 通常の状態 抑制 B7 PD-L1 CTLA-4 PD-1 抑制 免疫作用 がん化抑制 免疫作用 がん化

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作用機序/免疫チェックポイント阻害薬 免疫作用が働かないため、がん化促進 樹状細胞 通常の状態 抑制 抗 CTLA-4 抗体 B7 PD-L1 CTLA-4 PD-1 抑制 免疫作用 がん化抑制 免疫作用 がん化 抗 PD-L1 抗体 抗 PD-1 抗体 免疫抑制の命令が 届かないように するよ! 免疫反応の抑制を解除し、免疫作用によって抗腫瘍作用を発揮

29.

ホルモン療法(内分泌療法) ホルモン感受性 ➢ 女性ホルモン 卵胞ホルモン 乳がん エストロゲン 卵巣がん 子宮体がん ホルモン感受性陽性 ‥ER陽性(Liminal 型) ホルモン感受性陽性(タイプ1) ホルモン感受性陰性(タイプ2) ➢ 男性ホルモン アンドロゲン 前立腺がん ホルモン療法 (内分泌療法) ホルモン療法 (内分泌療法) ホルモン 腫瘍 →増殖

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抗がん薬の有害事象の機序 化学療法 殺細胞性抗がん薬 細胞障害性抗がん薬 分子標的薬 薬理作用 有害事象 細胞増殖が盛んな 細胞増殖が盛んな がん細胞 正常細胞 分裂・増殖を止め、 • 造血幹細胞‥易感染, 貧血, 易出血 細胞死に導く • 消化管粘膜‥口内炎, 下痢 • 毛母細胞 ‥脱毛 • 生殖細胞 ‥不妊 標的がある がん細胞を攻撃 標的がある 正常細胞を攻撃 ※それぞれに特有の有害事象 免疫チェック ポイント阻害薬 がん細胞に 正常細胞に 免疫が働く 免疫が働く ※多彩な副作用 irAE ホルモン 療法 (内分泌療法) ※長期服薬 ホルモン感受性 がん細胞を 増殖させない 通常のホルモンの 働きを阻止