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入試問題解説 第 21 回:共役な無理数と整数列 2017 東 大 文 科 第 4 問( 理 科 共 通 )

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入試問題解説 問題 B p = 2 + 5 とおき,自然数 n = 1; 2; 3; Ý に対して n an = pn + $¡ 1 < p と定める。以下の問いに答えよ。ただし設問 (1) は結論のみを書けばよい。 (1) a1 ,a2 の値を求めよ。 (2) n ≧ 2 とする。積 a1 an を,an+1 と an¡1 を用いて表せ。 (3) an は自然数であることを示せ。 (4) an+1 と an の最大公約数を求めよ。 (2017 東京大学・前期 文科第 4 問,理科共通) ■ 本問の学習テーマ・目的 本問を解いた後に累乗和が整数になる理由と最大公約数が一定になる理由を整理します。 和と積が整数であることと積が ¡1 であることをそれぞれどこで使うのか確認し,数値 を変えても成り立つ性質を確かめます。 指針 / アプローチ ▼ 逆数を有理化する B q = 2 ¡ 5 とおき,p + q = 4, pq = ¡1 を確認します。 ▼ 積の展開から漸化式を導く ▼ 最大公約数を保つ a1 an を 展 開 し て 整 理 し ま す 。 a1 = 4 を代入し,an+1 について an+1 から 4an を引くと an¡1 で す。初めの 2 項まで戻します。 解きます。 1 とおけば an = pn +qn です。(2) では (p+q)(pn +qn ) を展開し,pn+1 +qn+1 と p pq(pn¡1 + qn¡1 ) にまとめます。ここで p + q = 4,pq = ¡1 を使うと an+1 = 4an + an¡1 q=¡ となります。 (3) は初めの 2 項から数学的帰納法で示せます。(4) では an¡1 = an+1 ¡ 4an と変形します。 この式と元の漸化式から共通の約数が一致することを確認し,初めの 2 項まで戻します。 解答 (1) a1 = 4; a2 = 18 B 1 (2) q = ¡ とおく。q = 2 ¡ 5 より p + q = 4,pq = ¡1 である。an = pn + qn な p ので n ≧ 2 のとき (*1) a1 an = (p + q)(pn + qn ) 和と積を使います。 = pn+1 + qn+1 + pq(pn¡1 + qn¡1 ) = an+1 ¡ an¡1 --- 1 --- (*1) 根号を含む式を 展開せず,二つの数の ÝÝ ① © ブリザードマン @HhG2cL9UOLRSz4I 無断転載・共有禁止

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入試問題解説 (3) (1) より a1 ; a2 は自然数である。また①と a1 = 4 より an+1 = 4an + an¡1 (n ≧ 2) ÝÝ ② である。an¡1 ; an が自然数ならば②より an+1 も自然数となる。したがって数学的帰納 法によりすべての自然数 n に対して an は自然数である。(*2) (証明終わり) (*2) 初めの 2 項を確 (4) an+1 と an の最大公約数を dn とする。n ≧ 2 のとき②より an+1 と an の共通 認します。整数である の約数は an¡1 = an+1 ¡ 4an の約数でもある。逆に an と an¡1 の共通の約数は (*3) ことと正であることは 同時に示せます。 an+1 = 4an + an¡1 の約数でもある。よって dn = dn¡1 である。 (*3) 共通の約数が一 したがってすべての自然数 n に対して dn = d1 である。a2 = 18 と a1 = 4 の最大公 致することを両方向か 約数は 2 なので求める最大公約数は 2 である。 ら確かめています。 答案記載上の注意点 (1) は結論だけで構いません。(2) 以降は同じ計算を繰り返さず,前の設問で得た関係を使っ て答案をまとめます。ただし自然数であることと最大公約数が等しいことの根拠は区別して書 きます。 ▼ ポイント 1:計算結果と漸化式を区別する (2) では積 a1 an の表現が求められているので,a1 an = an+1 ¡ an¡1 と結論を書きます。(3) では a1 = 4 を使って②に直します。和と積の値を再計算する必要はありません。 ▼ ポイント 2:初めの 2 項から自然数であることを示す 漸化式は n ≧ 2 で成り立つので初めに a1 ; a2 の両方を確認します。また正であることも示す 必要があります。隣り合う 2 項が自然数なら,後の項を 4 倍して前の項を加えた次の項も自然 数です。このため整数であることと正であることを同時に示せます。 ▼ ポイント 3:最大公約数の等しさを両方向から示す dn が an¡1 の約数であることだけでは,dn = dn¡1 とはいえません。逆方向も確認するか, ユークリッドの互除法を適用します。dn = dn¡1 は n ≧ 2 で成り立ち,最後に d1 を求めれ ば n = 1 の場合も含めて結論が得られます。 解説 1. 共役な二次無理数の和と積を使う B B 1 p = 2 + 5 に対して q = ¡ = 2 ¡ 5 です。このように根号の部分の符号だけが異なる p 二つの数を共役な二次無理数といいます。本問の an はこの 2 数の累乗の和です。p + q = 4, pq = ¡1 なので a1 = 4,a2 = (p + q)2 ¡ 2pq = 18 となります。 B B B 二項定理で (2 + 5)n と (2 ¡ 5)n を展開しても整数になる理由を確認できます。 5 の奇 B 数乗を含む項は二つの展開式で符号が反対となり,相殺されます。残るのは 5 の偶数乗を含 む項だけなので和は整数です。これは (3) の整数性を直接示す方法です。一方で漸化式は (4) るのは整数性です。自 然数であることを示す には正であることの確 認も必要です。 (*4) にも利用できるため,本問全体を解くには漸化式の方が適しています。 --- 2 --- (*4) この展開で分か © ブリザードマン @HhG2cL9UOLRSz4I 無断転載・共有禁止

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入試問題解説 2. (2) の漸化式は二次方程式からも導ける p + q = 4,pq = ¡1 より p; q は二次方程式 x2 ¡ 4x ¡ 1 = 0 の 2 解です。したがって p2 = 4p + 1,q2 = 4q + 1 が成り立ちます。両辺にそれぞれ pn¡1 ,qn¡1 を掛けてから二式 を加えると②と同じ漸化式になります。 一般に ® + ¯ = s,®¯ = t を満たす実数 ®; ¯ に対して un = ®n + ¯n (n は自然数)とお くと (n ≧ 2) un+1 = sun ¡ tun¡1 が成り立ちます。s; t が整数なら u1 = s,u2 = s2 ¡ 2t も整数なので,すべての項が整数に なります。各項が整数となるには積が ¡1 である必要はなく,和と積がともに整数であれば十 分です。 3. 最大公約数と漸化式の係数 整数 X; Y; k について X と Y の共通の正の約数は X ¡ kY と Y の共通の正の約数と一致 します。これは X ¡ kY が X; Y の整数倍の和であり,逆に X = (X ¡ kY) + kY とも書 けるためです。本問では an+1 ¡ 4an = an¡1 なので,隣り合う 2 項の最大公約数を一組前の 2 項の最大公約数に置き換えられます。 一方で漸化式が an+1 = 4an + 2an¡1 ならこの操作で現れるのは 2an¡1 です。an¡1 の係数 2 はそのまま除けないため,一組前の 2 項の最大公約数と一致するとは限りません。先ほどの一 般形で s が整数で,t = 1 または t = ¡1 なら,差を取った後に un¡1 または ¡un¡1 が現れ, 共通の正の約数は変わりません。(*5) (*5) 整数性には和と 積が整数であることを 使います。最大公約数 4. 和を変え,積を ¡1 に保つ を一組前まで戻すとき 本問の p + q = 4 を p + q = m に変え,pq = ¡1 はそのままにしてみます。 C C m を自然数 とすると二次方程式 x2 ¡ mx ¡ 1 = 0 の 2 解は m+ B B m = 4 ならこの 2 数が 2 + 5 と 2 ¡ 5 になります。 m2 + 4 m ¡ m2 + 4 と です。 2 2 この変更では累乗和の漸化式の係数 4 が m に変わるだけです。整数性も隣り合う 2 項の最大 公約数が一定であることも保たれます。ただし初めの 2 項は変わるので最大公約数の値まで同 じとは限りません。補充問題ではその値が m によってどう変わるかを確かめます。 ■ 復習のポイント 本問では以下のポイントを確認します。 ★★★★★ 和と積の利用:共役な二次無理数の累乗を個別に展開しない ★★★★★ 漸化式の再利用:(2) の結果を (3)(4) で使える形に直す ★★★★★ 最大公約数:一方から他方の整数倍を引いて求める ★★★★☆ 数学的帰納法:初めの 2 項を確認し,次の項も自然数であることを示す ★★★★☆ 条件の役割:整数性と最大公約数の議論で使う条件を区別する --- 3 --- © ブリザードマン @HhG2cL9UOLRSz4I 無断転載・共有禁止 は積が §1 であること を使います。

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入試問題解説 補充問題 C m を自然数とし,p = m+ m2 + 4 とおく。自然数 n = 1; 2; 3; Ý に対して 2 n 1 bn = p + $¡ < p n と定める。 (1) bn は自然数であることを示せ。 (2) bn+1 と bn の最大公約数を m を用いて表せ。 指針 / アプローチ 1 とおけば pq = ¡1 なので p b1 = m,b2 = m2 + 2,bn+1 = mbn + bn¡1 となります。m も自然数なので (1) は本問と同 本問の p + q = 4 を p + q = m に変えた問題です。q = ¡ じ帰納法で示せます。(2) では初めの 2 項まで戻します。その後 m2 + 2 と m の共通の約数 が 2 と m の共通の約数と一致することを使います。 解答 C m ¡ m2 + 4 1 (1) q = ¡ とおくと q = である。よって p + q = m,pq = ¡1 であ p 2 り,b1 = m,b2 = (p + q)2 ¡ 2pq = m2 + 2 はともに自然数である。また n ≧ 2 の とき mbn = (p + q)(pn + qn ) = pn+1 + qn+1 + pq(pn¡1 + qn¡1 ) = bn+1 ¡ bn¡1 であるから bn+1 = mbn + bn¡1 (n ≧ 2) ÝÝ ③ である。bn¡1 ; bn が自然数ならば m も自然数なので③より bn+1 も自然数となる。数学 的帰納法によりすべての自然数 n に対して bn は自然数である。 (証明終わり) (2) bn+1 と bn の最大公約数を en とする。n ≧ 2 のとき③と bn¡1 = bn+1 ¡ mbn より bn+1 と bn の共通の約数は bn と bn¡1 の共通の約数と一致する。よって en = en¡1 で ある。(*6) (*6) ここで差し引く 2 したがってすべての自然数 n に対して en = e1 であり,これは m + 2 と m の最大公 約数である。m2 + 2 ¡ m ¢ m = 2 より e1 は 2 と m の最大公約数に等しい。ゆえに求 める最大公約数は m が奇数のとき 1,偶数のとき 2 である。 --- 4 --- © ブリザードマン @HhG2cL9UOLRSz4I 無断転載・共有禁止 mbn は bn の整数倍 です。

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入試問題解説 答案記載上の注意点 ▼ ポイント 1:m が自然数であることを使う b1 = m,b2 = m2 + 2 が自然数であることに加え,漸化式の係数 m も自然数です。このた め隣り合う 2 項が自然数なら次の項も自然数になります。整数係数というだけでは正であるこ とまでは保証されません。 ▼ ポイント 2:最後に m の偶奇を調べる en = e1 だけでは求める値は決まっていません。m2 + 2 から m の m 倍を引き,2 と m の 最大公約数を求めます。奇数なら 1,偶数なら 2 と結論を書きます。本問の答えが 2 でも,補 充問題の答えまで同じになるとは限りません。 解説 1. 和を置き換えても成り立つ性質 本問では和が 4 でしたが,補充問題では自然数 m に置き換えています。和が整数で積が ¡1 であることは変わらないため,累乗和は整数となり,隣り合う 2 項の最大公約数も一定です。 さらに m > 0 なので正であることも漸化式から示せます。 ここで漸化式に現れる m は最初の計算で求めた b1 = p + q そのものです。初項と漸化式の 係数が同じになるのは偶然ではなく,(p + q)(pn + qn ) を展開しているためです。 2. 最大公約数の値は初めの 2 項で決まる 隣り合う 2 項の最大公約数が一定であることとその値が 2 であることは別の事柄です。前者は 漸化式から分かりますが,具体的な値は初めの 2 項を使って決めます。補充問題では m が偶 数なら 2,奇数なら 1 となり,項の値がどれほど大きくなっても最大公約数は変わりません。 B B 本問の m = 4 を m = 3 に変えると二つの数は 3 + 13 3 ¡ 13 と になります。初めの 2 2 2 項は 3 と 11 なので隣り合う 2 項は常に互いに素です。具体的な数値を変えてみると,漸化 式から共通していえることと初めの 2 項に依存することを区別できます。 --- 5 --- © ブリザードマン @HhG2cL9UOLRSz4I 無断転載・共有禁止